ヨーガ療法のエビデンスレポート構造化抄録フォーマット 健康な高校生 1)文献(著者:タイトル、雑誌名、年、巻、ページ) Noggle, JJ et al: Benefits of Yoga for Psychosocial Well-Being in a US High School Curriculum: A Preliminary Randomized Controlled Trial. Journal of Developmental & Behavioral Pediatrics 33:193-201,2012 2)目的 高校の授業におけるヨーガの実行可能性と精神的健康に対する予防効果の検討。 3)研究デザイン RCT 4) セッティング マサチューセッツのパブリックハイスクール 5)参加者 11 学年または 12 学年の高校生 51 名(平均 17 歳)。 6)介入 ヨーガプログラム(36 名)もしくは通常の体育の授業(15 名)を 10 週行った。 (1)1回の時間、週に何回。特にホームプラクティスについても言及すること。 1 セッション 30-40 分のヨーガを週に 2,3 回、10 週行った(合計 28 セッション) 。 (2)誰が指導。 クリパルセンターで指導プログラムを受けたヨーガ指導者 2 名。 7)ヨーガの詳細 クリパルヨーガ(ポーズ、呼吸法、リラクゼーション、瞑想の4つの要素を含む) 体の軸の調整(5 分)、準備運動(5 分)、ヨーガの姿勢や運動(15-25 分)、クロージングリラクゼ ーション(5 分) 8)主なアウトカム評価項目: Yoga Evaluation Questionnaire (YEQ):実行可能性 Profile of Mood States-Short Form (POMS-SF):気分 Postive and Negative Affect Schedule (PANAS-C):情動 Peceived Stress Scale (PSS):自覚ストレス Inventry of Positive Psychological Attitude-32R (IPPA):前向きさ Resilience Scale (RS):精神的回復力 State-Trait Anger Expression Inventory-2 (STAXI-2):怒りの表出 Child Acceptance and Mindfulness Measure (CAMM):マインドフルネス などを介入 1 週間前と 11 週後に比較した。 9)主な結果 ヨーガプログラムを完遂した 36 名の内、33 名が YEQ に回答した。ヨーガプログラムに対 して 18 名が肯定的、5 名が否定的なコメントをした。 POMS-SF 得点は Total mood disturbance と Tension anxiety において通常群では上昇したが、 ヨーガ群では低下した(全体的な気分と緊張はヨーガで改善した)。 PANAS-C 得点は Negative affect において通常群では上昇したが、ヨーガ群では低下した(負の 情動はヨーガで改善した)。その他の得点は両群に差が見られなかった。 10)結論および著者らのヨーガの推奨度 ヨーガプログラムは通常の体育よりも精神的な改善効果が高い。また、ヨーガプログラムを受 けた学生の多くがヨーガは有効であると感じており実行可能性はある。 11)心身医学的考察(予想される奏効機序についても) ヨーガのポーズ、呼吸法、深いリラクゼーションがリラックス反応を生じストレスシステム に対してダウンレギュレーションするのであろう。瞑想の練習はストレスシステムをダウンレ ギュレーションする一方で、注意のコントロール、ストレス感受性、情動調節を向上させるの であろう。これらがメンタルヘルスのスキルを向上させることの説明になるだろう。 12)安全性に関する言及: Valsalva 網膜症(力んだ時に眼内の静脈圧の上昇によりも網膜の毛細血管が破裂し出血する疾 患)の既往がある男子学生 1 名がヨーガのポーズ後に一時的に片目の視力を喪失したが、その後、 医学的処置無しに自然に回復した。 13)ヨガを導入した治療のドロップアウト率と、ドロップアウト群の特徴: 37 名中 1 名がドロップアウトした。理由は不明。 14)医療費軽減効果に関する言及: 言及なし。 15)Abstractor のコメント Valsalva 網膜症:この先天的疾患では、あらゆる倒立の姿勢は避けるべきである。病気の性質 から禁忌になるポーズが存在する時、あらかじめ指導者は病名と行なってはならないポーズに ついて知っておくべきである。 16)Abstractor の推奨度(何に対して、ヨーガを(1)勧める、(2)条件付きで勧め る、(3)どちらとも言えない、(4)勧めない) 高校の授業において精神的健康度を向上させるために、ヨーガを(2)条件付きで勧める。 17)Abstractor and date 菊池嘉朋,岡孝和 2013.4.12
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