高速ビジュアルフィードバックによるフレキシブルアームの 先端位置制御

高速ビジュアルフィードバックによるフレキシブルアームの
先端位置制御
­ 高橋 考作
清水 一弘¸ 平井 慎一
立命館大学ロボティクス学科
¸
Ì Ô ÔÓ× Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐ Ó ­ Ü Ð ÖÑ Ý
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Ò ÍÒ Úº
×ØÖ Ø Ì × Ô Ô Ö ÔÖÓÔÓ× × ÓÒØÖÓÐ Ð Û Ó Ø Ô ÔÓ× Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐ Ó ­ Ü Ð ÖÑ Ù× Ò ½¼¼¼ÀÞ
¹×Ô Ú ×Ù Ð
º ÌÛÓ¹ Ñ Ò× ÓÒ Ð × ÑÙÐ Ø ÓÒ Ù× Ò Ø Ú ÖØÙ Ð Ó ÒØ ÑÓ Ð × ÔÔÐ ØÓ
Ø Ú Ö ¬ Ø ÓÒ Ó Ø ÓÒØÖÓÐ Ð Ûº Ï × ÓÛ Ø Ø Ø
¹×Ô
Ò Ú ×Ù Ð
× « ØÚ º
à ÝÛÓÖ × À ¹×Ô Ú × ÓÒ¸ Ð Ü Ð ÖѸ È
½
緒言
視覚センサによって制御対象の状態を制御周期と同期し
て認識できれば,高速運動する制御対象に対して簡単な制
御則で制御が行えることが期待できる.そこで,本研究で
は,撮影速度 ½¼¼¼ Ô× の高速ビジョンシステムを用いるこ
とによって,高速ビジュアルフィードバックによるフレキ
シブルアームの先端位置の制御を目指している.フレキシ
ブルアーム制御の研究は制振制御などの直接ひずみフィー
ドバック制御 ½ などの多くの研究がなされているが,本
研究ではアームの先端位置を制御するというアプローチで
ある.
を搭載した高速ビジョンシステ
本稿では,まず, È
ムを用いてリアルタイムにアーム先端を検出する手法を述
べる.次に,高速ビジュアルフィードバックによるフレキ
シブルアーム先端位置制御の制御則を提案し,シミュレー
ションによって検証する.
¾
システム構成
本研究で構築した高速ビジュアルフィードバック制御シ
º½ に示す.
ステムを
本システムでは,制御対象であるフレキシブルアームを
½¼¼¼ Ô× の高速 ÅÇË センサで撮影し, È
を用いて
にはユーザ領域が
アームの先端位置を検出する. È
設けてあり,そこに本研究で設計するマーカ位置検出回
にアクセスし,
路を実装する.制御プログラムが È
フィードバックデータを取得する.破線で囲まれた部分は
Vision FPGA
on PCI64 board
High-speed
Camera head
Image data (LVDS)
Marker
PC
Flexible arm
Motor angle data
Counter
D/A Converter
º½ À
Driver amplifier
¹×Ô
Ú ×Ù Ð
Motor
ÓÒØÖÓÐ ×Ý×Ø Ñ
画像技研製 ÁÌĹÀË ¹
¹Ë à であり, È
は Ð ÒÜ
社製 Î ÖØ Ü¹ÁÁ ¼¼¼ を搭載している.
フレキシ ブルア ームは厚 さ ¼º ÑѸ 長さ ¼¼ÑѸ 幅
¾¼ÑÑ のバネ鋼 ´ËÍÈ¿µ を用い,アームの端を減速機を介
さずダイレクトにモータに繋げている.モータは三菱電機
¾¼¼Ï サーボモータ),ドライバアンプ
製 À ¹ÃȾ¼¼(
は同社製 Åʹ¿¹¾¼ ½(トルク制御モード)を使用する.
制御は È で行い,ÇË は Ä ÒÙÜ である.
¿
ビジョン回路
本 シ ス テ ム で 用 い てい る 高 速 ÅÇË セ ン サ は 最 大
½¾ ¼
½¾Ô Ü Ð の画像サイズを ½¼¼¼ Ô× で撮影するこ
とができる.この大量の画像情報を È 上で処理を行う場
合,È Á バスの転送速度がボトルネックとなり,リアルタ
上でマーカ位置検
イム性を確保できない.そこで, È
出を行い,制御に必要な情報のみを抽出することでリアル
タイム性を実現する.
フレキシブルアーム先端位置の検出アルゴリズムは,
マーカと背景の輝度の差を利用し,画像重心位置を計算す
ることで検出する.
制御ソフトウェアからアーム先端位置情報を取得するた
がメモリと同様に扱え
めに,ソフトフェアからは È
るように設計している.設計方法は,架空のメモリアドレ
スを用意し,ソフトウェアからそのアドレスにアクセスし
上の先端位置情報が保持されている
ようとすると È
レジスタ値を返すことで実現する.
¢
シミュレーション
アーム先端位置をフィードバックすることによって得ら
れる効果の検証のために 言語を用いてシミュレーショ
ンを行った.アームの先端位置制御は, を鉛直下向き
´¹ »¾Ö µ から目標角の水平方向 ´¼Ö µ に制御するもので
º¾ に示すように定める.
ある.なお,アームの角度は
フレキシブルアームをシミュレーションするにあたっ
て,吉川らが提案した仮想受動関節を用いたモデリング手
法 ¾ を用いた.これは,フレキシブルアームを幾つかの
剛体リンクとして各関節にはフレキシブルアームに一致す
第5回システムインテグレーション部門学術講演会(SI2004)(2004年12月17日~19日・つくば)
-178-
SY0013/04/0000-0178 © 2004 SICE
y
この Ø ÔÈ 制御における振動を抑えるために¸ アームし
µ を追加する.
なりを無くすように働く要素 ÃÔ×ØÖ ´
式 ¿ に示す制御則でのシミュレーション結果を
º に示
す.さらに,アーム先端の定常偏差を無くすために積分項
を追加する.式 に示す制御則でのシミュレーション結果
º に示す.
を
tip
flexible arm
e
0
x
base
È
ÖÑ
È
るようにバネ・ダンパを設計する方法である.また,任意
関節数でシミュレーションが行えるようにニュートン・オ
イラー法を用いて逆動力学計算を行っており,数値計算に
は4次のルンゲ・クッタ・ギル法を用いている.空気抵抗
を近似的に関節ダンパ要素として用い,実際の板バネとの
キャリブレーションを行った.なお,シミュレーション刻
み時間は ¼º¾Ñ× ,制御周期は ½Ñ× である.
まず,振動抑制のない × È 制御と Ø ÔÈ 制御での
制御を考える.式 ´½µ で示す × È 制御は剛体を対象と
した場合の一般的な È 制御である.式 ´¾µ に示す Ø ÔÈ
制御は先端角度
を目標角に近づけるようにした制御則
である.更に, ¼ を用いてダンパとしている.この二つの
制御則のシミュレーション結果を
º¿¸ に示す.
¡
ÃÔ ´
¼µ
0.2
0
0
-0.2
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1
-1.2
0.2
0.4
0.6
control time [sec]
0.8
-0.6
-1
base PD control
0
0.2
0.4
0.6
control time [sec]
0.8
1
ÓÒØÖÓÐ Ð Û ´ÃÔ¼
0
-0.2
tip angle [rad]
0
-0.2
-1.2
base angle [rad]
µ Ø
´ µ
0.2
0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1
-0.4
-0.6
-0.8
-1
-1.2
-1.2
-1.4
-1.4
tip PD+P control
tip PD+P control
-1.6
0.2
º
½ ¼¼
0.4
0.6
control time [sec]
0.8
1
0
0.2
0.4
0.6
control time [sec]
0.8
1
0.8
1
Ö ×ÙÐØ× Ó Ø ÔÈ ·È ÓÒØÖÓÐ Ð Û ´ÃÔ
à ¼ ½ ÃÔ×ØÖ ¿ ¼µ
¼
0.2
0.2
0
0
-0.2
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1
-0.4
-0.6
-0.8
-1
-1.2
-1.2
-1.4
-1.4
tip PD+PI control
-1.6
tip PD+PI control
-1.6
0
0.2
0.4
0.6
control time [sec]
0.8
1
0
0.2
0.4
0.6
control time [sec]
Ö ×ÙÐØ× Ó Ø ÔÈ ·ÈÁ ÓÒØÖÓÐ Ð Û ´ÃÔ
à ¼ ½ ÃÔ×ØÖ ¿ ¼ à ½ ¾½µ
¼
本稿では,高速ビジュアルフィードバックによるフレ
キシブルアームの先端位置制御を提案し,簡単な制御則
´Ø ÔÈ ·ÈÁµ でフレキシブルアームを制御できることをシ
ミュレーションによって示した.今後,ビジョンアルゴリ
に実装し,実機での検証を行う予定である.
ズムを È
0.2
-1
´¿µ
結言
0.2
-0.8
´
µ
º に示すように,アーム先端の振動が起きずに制御
できていることがわかる.さらに,
º では先端角度を
振動を起さずに目標角度に収束できていることがわかる.
以上より,フレキシブルアームの制御において高速ビジュ
アルフィードバック制御が有効であることが分かる.
-0.8
º ¿ Ö ×ÙÐØ× Ó × È
½ ¼¼ Ã ¼ ¼ ½ µ
-0.6
¼
-0.4
1
-0.4
Ø
0
0
´¾µ
-1.6
0
·
-0.2
º
½ ¼¼
-1.4
base PD control
-1.6
·È
-1.6
´½µ
¼
-1.2
-1.4
base angle [rad]
ü ¡
µ ü ¡ ¼
0.2
tip angle [rad]
base angle [rad]
ØÔ
¡
ÃÔ¼ ´
È
0.2
base angle [rad]
×
·È Á
· ÃÔ×ØÖ ¡ ´
tip angle [rad]
ÓÒØÖÓÐ Ó ­ Ü Ð
ØÔ
tip angle [rad]
º¾
·È
-0.4
-0.6
-0.8
-1
-1.2
-1.4
-1.4
tip PD control
-1.6
謝辞
tip PD control
-1.6
0
0.2
º
½ ¼¼
0.4
0.6
control time [sec]
0.8
1
Ö ×ÙÐØ× Ó Ø ÔÈ
ü ¼ ½ µ
0
0.2
0.4
0.6
control time [sec]
0.8
1
本研究の一部は,立命館大学 ¾½ 世紀 Ç プロジェク
ト「マイクロ・ナノサイエンス・集積化システム」による.
ÓÒØÖÓÐ Ð Û ´Ã ¼
参考文献
º¿¸ からわかるように,両制御則について振動が収
を
まらないことがわかる.さらに,アームの先端角度
制御するためには Ø ÔÈ 制御が望ましいと考えられるが,
× È 制御よりも振動が大きくなっている.この原因
は,フレキシブルアームのしなりによってトルク入力の位
相が遅れていることに起因している.
½ 羅・山本:ゲイン適応によるフレキシブルロボットアー
ムのひずみ直接フィードバック制御,日本機械学会論
号,ÔÔº¾ ¼»¾ ´½ ¿µº
文集 ´C編µ, 巻,
¾ 吉川・田村:フレキシブルアームに対する仮想受動関節
モデルの有効性の検討,日本ロボット学会誌,ÎÓк½ ,
ÆÓº¾,ÔÔº¾ ¼»¾ ´½
µº
-179-