MitoProbe™ DiC ₁ (5) Assay Kit 製品データ No. 181 MitoProbe ™ DiIC ₁ (5) Assay Kit を用いた HEK293T 細胞のアポトーシス解析 2005 年 3 月 データの提供 : 国内国立研究所の研究者 1. はじめに アポトーシス関連遺伝子 X の機能を調べるため、遺伝子 X の全長 cDNA ( 約 1.2 kbp) を HEK293 T 細胞に 導入し、酸化ストレス刺激後のアポトーシス誘導率を MitoProbe™ DiIC ₁ (5) Assay Kit for Flow Cytometry を用いて評価した。 2. 方法 (1) 遺伝子導入 HEK293 細胞を 6 ウェルプレートに 6 x 10 ⁵ cells/well で継代、翌日トランスフェクション試薬 ( 他社製品 ) を用いて遺伝子 X の発現ベクターを導入した。 (2) 過酸化水素処理 遺伝子導入 24 時間後、過酸化水素水を最終濃度 0 または 300 µM で培養液に添加し、37 ℃ 5% CO ₂ で 1 時間培養した。細胞をピペッティングにて 15 ml 遠沈管に回収、PBS(-) で 2 回洗浄後ディッシュに移して 37 ℃ 5% CO ₂で一晩培養した。 (3) MitoProbe DiIC ₁ (5) Assay Kit for Flow Cytometry を用いたアポトーシス細胞の解析 ディッシュより細胞をピペッティングにより回収し、遠沈後 PBS(-) で 1 x 10 ⁶ cells/ml になるよう調製し た。1.5 ml チューブに 1 ml 移し、CCCP 添加区にはキットに添付の 50 µM CCCP 溶液を 1 µl 加え、37 ℃ で 5 分反応させた。続いて 5 µl の 10 µ Μ DiIC ₁ (5) を添加し、37 ℃で 15 分反応させた。PBS(-) で 2 回 洗浄、500 µl PBS(-) に再懸濁、死細胞を検出するために 5 µl 7-AAD (7-Amino-Actinomycin D) (日本ベク トン・ディッキンソン ) を添加して 5 分後に FACScalibur ( 日本ベクトン・ディッキンソン ) を用い、488 、 635 nm の励起波長にてフローサイトメトリー解析を行った。 3. 結果・考察 アポトーシス細胞群を同定するために、FL3(7-AAD 、650 nm) と FL4 (DiIC ₁ (5)、633 nm) で展開したブ ロットを作製し解析を行った。バックボーンのプラスミドを導入した細胞 (mock) について CCCP 添加区 (A) と非添加区 (B) のサンプルを比較したところ、両実験区で 7-AAD 陽性細胞 (R1) の割合はほぼ同じであった (R1= 非添加区 6.3% 、添加区 7.0%)。CCCP 添加区では 7-AAD 陰性かつ DiIC ₁ (5) のシグナルが弱い細胞 (R2) が増加していた (R2= 非添加区 7.1 % 、添加区 15 .9 %) 。これらの結果から R1 を死細胞 ( ネクローシスまた はアポトーシスが進行した細胞 )、R2 をアポトーシスが誘導された細胞、R3 は生細胞と見なすことにした。 HEK293 細胞に 0.3 m M 過酸化水素処理を行うことによって死細胞 (R1) およびアポトーシス細胞 (R2) の増 加が認められた (C, R 1=8.4%, R 2=9.7%)。次にアポトーシス関連遺伝子 X を導入した場合のアポトーシス 細胞の割合について検討を行った。遺伝子 X 導入細胞におけるアポトーシス細胞および死細胞の割合はバッ クボーンのプラスミドを導入した細胞とほとんど変わらなかったが (D, R1= 7.6 %, R 2=6.5 %) 、0.3 mM 過 製品データ No.181 -1 (2) MitoProbe™ DiC ₁ (5) Assay Kit 図 MitoProbe™ DiIC ₁ (5) Assay Kit for Flow Cytometry によるアポトーシス解析 酸化水素処理によるアポトーシス誘導効率は遺伝子 X 導入細胞においてより強く認められ、同時に死細胞も増 加していた (E, R2=11 .3 % 、R1=11 .5 %) 。以上の結果から遺伝子 X は酸化ストレスによるアポトーシス・細 胞死誘導において促進的に機能することが示唆された。 本実験では実験施設の都合上、酸化ストレス刺激から 24 時間後にアポトーシス解析を行ったが、刺激後数 時間以内に解析することによって今回死細胞として評価された細胞群についてもアポトーシス細胞かどうか検 討できると思われる。添付のプロトコルでは DiIC ₁ (5) 添加後 37 ℃ 5% CO ₂で反応させるところを本実験で は 1.5 ml チューブで蓋を閉じた状態で行ったが、各実験区について予想される結果を得たことから、この気 層条件の改変は解析に影響を与えなかったと考えている。本研究では遺伝子 X による刺激感受性の変化を解析 したいため、弱いアポトーシス誘導刺激を加えた細胞を対象として実験を行っている。これまで利用していた Annexin V による解析ではフローサイトメーターを設定するために実験区とは別に強い刺激で細胞死を誘導し た細胞群を用意しなくてはならず、そのための刺激の条件検討や細胞の準備が負担になっていた。本キットで は生細胞に CCCP を添加することによって DiIC ₁ (5) のコントロール細胞を作製することができる点で非常に 利用しやすく、本実験系に適した製品であると思われた。 製品情報 製品名 MitoProbe™ DiC ₁ (5) Assay Kit 研究用にのみ使用できます。診断目的およびその手続き上での使用は出来ません。 記載の社名および製品名は、弊社または各社の商標または登録商標です。 標準販売条件はこちらをご覧ください。www.lifetechnologies.com/TC The trademarks mentioned herein are the property of Life Technologies Corporation or their respective owners. © 2012, Life Technologies Japan Ltd. All rights reserved. Printed in Japan. ライフテクノロジーズジャパン株式会社 本社:〒108-0023 東京都港区芝浦 4-2-8 TEL.03(6832)9300 FAX. 03(6832)9580 www.lifetechnologies.com 製品データ No.181 -2 (3) 大阪:〒564-0052 大阪府吹田市広芝町 10-28 TEL.06(6339)8165 FAX. 06(6339)8138 製品番号 サイズ M34151 1 kit
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