高精度画像処理型変位計を用いた近距離重力実験 - 立教大学

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(様式1)
立教SFR-院生-報告
立教大学学術推進特別重点資金(立教SFR)
大学院生研究
2010年度研究成果報告書
研究科名
立教大学大学院
理学研究科
在籍研究科・専攻・学年
氏 名
研 究 代 表 者 理学研究科・物理学専攻・博士課程
後期 1 年
二宮一史
所属・職名
指導教員
自然
研究課題名
印
氏 名
理学部・准教授
自然・人文
・社会の別
物理学専攻
村田次郎
個人・共同の別
印
共同
2 名
高精度画像処理型変位計を用いた近距離重力実験
在籍研究科・専攻・学年
理学研究科・物理学専攻・博士前期 小川就也
課程 2 年
氏 名
理学研究科・物理学専攻・博士前期 西尾悠法
研 究 組 織 課程 1 年
研究期間
2010 年 度
研究経費
500 千円
研究の概要(200~300 字で記入、図・グラフ等は使用しないこと。)
本 研 究 は 、画 像 処 理 技 術 を 用 い た 捩 れ 秤 に よ る 近 距 離 重 力 の 精 密 検 証 で あ る 。重 力 相
互作用は他の三つの相互作用に比べて非常に弱いことが階層性問題として知られて
いる。標準理論を越える理論(超弦理論や M 理論など)では 4 次元以上の空間次元
( 余 剰 次 元 )を 要 求 す る 。そ の 中 で 本 研 究 が 注 目 す る 大 き な 余 剰 次 元 モ デ ル で は 、ミ
リメートル以下まで余剰次元が広がる可能性があり実験的にニュートンの逆二乗則
か ら の 逸 脱 が 観 測 さ れ る こ と を 示 唆 し た 。ま た 、実 験 的 に も 数 ミ ク ロ ン ス ケ ー ル で は
ニ ュ ー ト ン 重 力 と 比 べ て 千 倍 以 上 強 い 力 を 除 外 で き な い 程 精 度 が 悪 い 。本 研 究 は 、近
距離におけるニュートンの法則の精密検証をすること余剰次元の探索を目指す。
キーワード(研究内容をよく表しているものを3項目以内で記入。)
〔
近距離重力
〕 〔
大きな余 剰 次 元
〕〔
画像処理
〕
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(様式2-1)
立教SFR-院生-報告
研究成果の概要(図・グラフ等は使用しないこと。)
本研究はキャベンディッシュの実験より用いられてきた捩れ秤を使用して近距離重
力の精密検証を行っている。これまで捩れ秤の振動中心の変化から重力の測定(変位
測 定 ・ 追 随 測 定 )を 行 い 、セ ン チ メ ー ト ル ス ケ ー ル で 5 % の 精 度 で ニ ュ ー ト ン 重 力 の 測
定に成功し、またミリメートルスケールで等価原理の検証に成功した。しかし、この
測定方法では捩れ秤と重力源が接触すると測定できないという最大の弱点があり、測
定 で き る 距 離 に 制 限 を か け る 。そ こ で 2 0 0 8 年 度 に こ の 弱 点 を 克 服 す る 加 速 度 測 定 を 提
案し新たに実験を開始した。加速度測定法は捩れ秤の運動から加速度を求める。これ
により重力源と捩れ秤が接触する直前まで測定可能になる。昨年度までの測定では加
速度測定の原理検証に成功した。しかし衝突点付近で働く重力以外の強い引力を観測
し 100 ミ ク ロ ン 以 下 で の 重 力 の 検 証 を 行 え て い な い 。 本 年 度 は 、 こ の 近 距 離 で 働 く 近
距離力の原因を排除し、加速度測定の本来の目的である重力源と捩れ秤が衝突する直
前まで重力の逆二乗則の検証を行った。また、測定と並行して分解能や統計精度向上
を目指し新たな画像解析システムの設計・開発を行った。
加速度測定によるニュートンの逆二乗則の検証
加速度測定は重力源と捩れ秤が接触する直前まで測定することを目的としているた
め電気シールドを置くことが出来ない。そのため重力源と捩れ秤間に生じる接触電位
差の影響を受けてしまう。この接触電位差が昨年度まで観測された数百ミクロン以下
で働く強い引力の主な原因と考えることが出来る。本年度は、この接触電位差を抑制
するような装置を開発し測定を行った。
【実験装置】
装置(重力源と捩れ秤)は真空チェンバーに入れ真空状態にして空気による対流の
影響を抑える。またチェンバーを含めすべてを導通させることで電気的な影響を抑制
する。重力 源と 捩れ 秤の 形状 は、本 年度 は同 一素 材の タン グ ステ ンワ イヤ ーを 用 いた。
具 体 的 に は 捩 れ 秤 を 直 径 500 ミ ク ロ ン 、 長 さ 240 ミ リ の ワ イ ヤ ー を 用 い 、 重 力 源 に は
直 径 3 0 ミ ク ロ ン の ワ イ ヤ ー を 用 い た 。同 一 素 材 を 用 い る 理 由 は 接 触 電 位 差 対 策 で あ る 。
接触電位差は異なる物質が接触した際に生じる電位差のため本年度は重力源と捩れ秤
を 同 一 素 材 ( タ ン グ ス テ ン ) を 用 い て 作 成 す る こ と で 接 触 電 位 差 の 影 響 を 抑 制 し 、1 0 0 ミ
クロン以下で働く強い引力の影響を排除した。さらに、チェンバー内の残留気体によ
る対流やカシミール力の影響を考え重力源と捩れ秤をそれぞれ表面積の小さい細いワ
イヤーを用いた。また、重力源と捩れ秤を細いワイヤーにすることで近距離での感度
を高めることが出来る。
【測定・解析】
本研究は、振動環境を考慮し神奈川県横須賀市にある立教大学原子力研究所に装置
を 設 置 し 実 験 を 行 っ た 。 デ ー タ 取 得 は 2010 年 12 月 15 日 か ら 12 月 23 日 の 間 に 行 っ
た。重力源を設置した場合、加速度測定から得られるデータには、捩れ復元力による
寄与と重力による寄与の両方の寄与が含まれる。そこで捩れ復元力の寄与を除去する
ため重力源を遠ざけ重力源の寄与がない時のデータ(参照データ)を測定し、捩れ復
元力による寄与を一次関数として与える。取得した重力データから得られた関数で捩
れ復元力の寄与を引き重力源の寄与のみのデータを得ることが出来る。これにより得
られたデータはニュートン重力と矛盾しないデータを得ることに成功した。
【結果】
本年度、重力源と捩れ秤を同一素材で作ることで接触電位差をキャンセルし、さら
に形状をワイヤーにすることで近距離での感度を上げ加速度測定の本来の目的である
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(様式2-2)
立教SFR-院生-報告
研究成果の概要 つ づ き
接 触 直 前 ま で ニ ュ ー ト ン 重 力 と 矛 盾 し な い 結 果 を 取 得 す る こ と が 可 能 に な っ た 。こ れ
により、数百ミクロンスケールでニュートンの逆二乗則の検証に成功した。しかし、
本年度の測定は昨年度まで行ってきた追随測定や変位測定による結果よりも装置の
構 造 上 、よ り 近 距 離 で の 測 定 を 可 能 に し た が 精 度 が 悪 い 。そ の た め 今 後 は 、精 度 の 向
上 を め ざ し 新 た な 装 置 の 設 計 ・ 開 発 を 行 う 。そ し て 世 界 最 高 精 度 で 近 距 離 に お け る ニ
ュートンの逆二乗則の検証を行い、余剰次元の探索を目指す。
画像解析システムの開発
【 CCD カ メ ラ を 用 い た 画 像 解 析 】
本 年 度 は 角 度 分 解 能 の 向 上 を 目 的 と し CCD カ メ ラ と 拡 大 レ ン ズ を 用 い て 捩 れ 秤 の
端 を 測 定 す る 新 た な 測 定 を 試 み た 。捩 れ 秤 の 端 を 拡 大 し 撮 影 す る こ と で 、よ り 小 さ な
変 位 に 感 度 を 持 つ こ と が で き 位 置 分 解 能 が 向 上 す る 。静 止 し た 物 体 を 撮 影 し 評 価 し た
本 シ ス テ ム の 角 度 分 解 能 は 従 来 の シ ス テ ム に 比 べ 千 倍 向 上 す る 。本 年 度 の 測 定 は こ の
シ ス テ ム を 用 い て 行 っ た 。し か し 、実 際 の 測 定 で の 分 解 能 は 十 倍 程 度 の 向 上 に と ど ま
っ て し ま う 。従 来 の 測 定 で は 捩 れ 秤 の 全 体 を 撮 影 し 解 析 す る た め 捩 れ 振 動 と 振 り 子 振
動 を 区 別 す る こ と が 出 来 き た が 、捩 れ 秤 の 端 の み を 測 定 シ ス テ ム で は 捩 れ 振 動 以 外 の
振 動 モ ー ド( 主 に 振 り 子 振 動 )の 影 響 を 受 け や す く 新 シ ス テ ム の 性 能 を 最 大 限 に 生 か
す こ と が 出 来 な い た め で あ る 。そ の た め 新 た な 画 像 測 定 シ ス テ ム の 性 能 を 最 大 限 に 生
か す た め に 、磁 気 ダ ン プ な ど の 除 振 シ ス テ ム を 導 入 し 振 り 子 振 動 モ ー ド な ど を 除 去 す
ることが課題となる。
【 FPGA を 用 い た 画 像 処 理 シ ス テ ム 】
現 在 使 用 し て い る 、画 像 解 析 シ ス テ ム は「 オ フ ラ イ ン 解 析 シ ス テ ム 」と「 オ ン ラ イ
ン 解 析 シ ス テ ム 」の 両 方 を 用 い て い る 。( 本 年 度 の 実 験 で は 使 用 し た C C D カ メ ラ の 関
係 で オ フ ラ イ ン 解 析 シ ス テ ム を 主 に 使 用 し た 。) オ フ ラ イ ン シ ス テ ム は 動 画 を 録 画 し
そ の 後 解 析 を 行 う た め 、画 像 情 報 を す べ て 残 す こ と が 出 来 る が デ ー タ 量 が 多 く 、解 析
時間が長いという弱点がある。これを解決したのがオンライン解析システム である。
こ れ は 画 像 処 理 ボ ー ド を 用 い て 動 画 を 録 画 せ ず 解 析 を 行 う も の で あ る 。こ れ に よ り デ
ー タ 量 の 圧 縮 と 解 析 時 間 の 短 縮 に 成 功 し た 。し か し 、こ の シ ス テ ム は 処 理 ス ピ ー ド が
CPU に 依 存 す た め 、 キ ャ プ チ ャ ー す る 画 像 サ イ ズ が 大 き い 性 能 が 半 減 す る 。 そ の た
め 、 FPGA を 用 い た 画 像 処 理 シ ス テ ム の 開 発 を 開 始 し た 。 こ の シ ス テ ム は PC に デ ー
タ を 転 送 す る 前 に FPGA 上 で 画 像 解 析 を 行 う た め CPU に 依 存 す る こ と な く 高 速 で 画
像 処 理 が 行 え る 。 こ れ に よ り 、 最 終 的 に は CCD に フ レ ー ム レ ー ト が ボ ト ル ネ ッ ク と
な る が FPGA を 用 い る こ と で 統 計 精 度 が 十 倍 向 上 す る こ と が 期 待 で き る 。
※
この(様式2)に記入の成果の公表を見合わせる必要がある場合は、その理由及び差し控え期間等
を記入した調書(A4縦型横書き1枚・自由様式)を添付すること。
(様式3)
立教SFR-院生-報告
研究発表(研究によって得られた研究経過・成果を発表した①~④について、該当するものを記入してください。該当するものが多い場
合は主要なものを抜粋してください。
)
①雑誌論文(著者名、論文標題、雑誌名、巻号、発行年、ページ)
②図書(著者名、出版社、書名、発行年、総ページ数)
③シンポジウム・公開講演会等の開催(会名、開催日、開催場所)
④
その他(学会発表、研究報告書の印刷等)
①
小川就也 他 5 名【ピコ精度画像処理型変位計を用いた近距離重力実験Ⅲ】日本物理
学 会 講 演 概 要 集 第 6 6 巻 第 1 分 冊 p 7 1 2 0 11 年 3 月
二宮一史 他 5 名【ピコ精度画像処理型変位計を用いた近距離重力実験Ⅳ】日本物理
学 会 講 演 概 要 集 第 6 6 巻 第 1 分 冊 p 7 1 2 0 11 年 3 月
小 川 就 也【 オ ン ラ イ ン 画 像 処 理 型 変 位 計 を 用 い た 近 距 離 重 力 実 験 】立 教 大 学 大 学 院 理
学 研 究 科 物 理 学 専 攻 修 士 論 文 2 0 11 年 2 月
②
該当なし
③
【シンポジウム】
二 宮 一 史 「 ピ コ 精 度 画 像 処 理 型 変 位 計 を 用 い た 近 距 離 重 力 実 験 」 第 17 回 ICEPP シ
ン ポ ジ ウ ム 長 野 2 0 11 年 2 月
④
【学会発表】
小川就也 他
理 学 会 第 66
二宮一史 他
理 学 会 第 66
5 名 【 ピ コ 精 度 画 像 処 理 型 変 位 計 を 用 い た 近 距 離 重 力 実 験 III】 日 本 物
回 年 次 大 会 , 新 潟 大 学 , 2 0 11 年 3 月
5 名 【 ピ コ 精 度 画 像 処 理 型 変 位 計 を 用 い た 近 距 離 重 力 実 験 IV】 日 本 物
回 年 次 大 会 , 新 潟 大 学 , 2 0 11 年 3 月