広島県周産期医療体制整備計画 参考資料・用語解説(419KB)(PDF文書)

参考資料
県の取組状況(平成 22(2010)年度)
特に医療従事者が不足している,産科及び小児科(新生児医療)を対象とした直接的な支
援を実施し,必要な医療従事者を供給する仕組みづくり及び医師の負担軽減に視点を置いた
取組を推進している。
(1)広島大学医学部「ふるさと枠」等の設置
(2)「ふるさとドクターネット広島」の運営
(3)緊急医療支援市町交付金
不足地域・診療科への直接対策
(4)広島大学医学部寄附講座の設置
(5)「広島県地域医療推進機構(仮称)」設立準備等
(6)女性医師等就労環境整備事業
(7)地域周産期母子医療センター医師育成支援
(8)基幹病院等との連携による研修システムの構築
(産科専門医研修プログラム)
(9)産科・救急医確保支援事業
(10)助産師緊急確保対策事業
(11)助産師外来支援モデル事業
(12)周産期オープン病院化支援事業
(13)周産期母子医療センター運営事業補助金
環境づくり支援
(14)地域医療と健康を支える環境づくり事業
(1)広島大学ふるさと枠等(平成 21(2009)年度創設)
将来,県内で医療に従事する医師を確保するため,広島大学医学部に「ふるさと枠」及び
岡山大学医学部に「広島県地域枠」を設け,奨学金を貸与。
対
象
将来,県内の公的医療機関等に従事する意向のある「広島大学ふるさと枠」,「岡
山大学広島県地域枠」として入学した学生
貸与額:月 200 千円×12 月(年 2,400 千円)※6 年間で 14,400 千円
貸与者数
内
容
「広島大学ふるさと枠」
:5 名(平成 22(2010)年度から 15 名に拡充)
「岡山大学広島県地域枠」
:2 名(平成 22 年度(2010)年度新設)
※一定期間,県内の中山間地域医療機関等で従事した場合,返還免除規定あり
42
(2)「ふるさとドクターネット広島」の運営(平成 19(2007)年 12 月開設)
将来,広島県の地域医療を担っていただける医師・研修医・医学生とのネットワークづく
りを目的としたサイトを開設。
・本県の地域医療に関心を持つ医師等の登録によるネットワークづくり
・登録医師等への情報発信と県内就業などのサポート
平成 20(2008)年 9 月,登録医師が公立みつぎ総合病院 産科に就業,分娩の取扱を再開。
平成 22(2010)年 5 月,広島県の取組みを広く紹介し,身近に感じることのできるホーム
ページとなるよう,本県の医療情報の発信に重点を置いたホームページにリニューアル。
(3)緊急医療支援市町交付金(平成 20(2008)年度創設)
県外医師の招聘,医師の定着支援など医療体制の維持・確保に取組む市町に対し交付。
区
分
交付市町数
交
付 額
H20(2008)年度
H21(2009)年度
H22(2010)年度
8市3町
9市3町
9市4町(予定)
107,609 千円
159,041 千円
227,000 千円(予算額)
(4)広島大学医学部寄附講座の設置(平成 22(2010)年度開設)
平成 22(2010)年 4 月に開講した広島大学医学部寄附講座「地域医療システム学講座」に
おいて,地域での実習指導などを通じ,将来,地域医療を担う医師を育成する。
① 地域医療の教育及び啓発活動
主な
② 地域医療課題の調査・研究
③ 地域医療課題への対応
事業内容
④ 地域医療体制確保のための県内医療機関等への支援
開設期間
平成 22(2010)年 4 月 1 日から平成 26(2014)年 3 月 31 日まで(4年間)
(5)「広島県地域医療推進機構(仮称)
」設立準備等(平成 22(2010)年度)
医師・看護職員確保や人材育成等を総合的に行うため,県,市町,大学,広島県医師会等
が参画した新たな枠組みとしての「広島県地域医療推進機構(仮称)」の平成 23(2011)年
度設立に向けた検討を行う。
① 医師・看護職員確保や医師の配置調整
② 人材育成,研修機能の充実
機構の
③ 医師等の離職防止などの体制づくり
主な業務 ④ 広島の魅力ある地域医療の情報発信による医師の定着,県外からの医師の流
入に向けた環境づくりなど
(6)女性医師等就労環境整備事業(平成 22(2010)年度創設)
女性医師の短時間勤務導入や相談窓口の設置を通じて,女性医師が出産・育児と勤務を両
立できる環境を整え,勤務医等の負担軽減を図り,地域の医療体制を確保する。
〔女性医師短時間勤務導入支援〕
○ 医療機関において,モデル的に女性医師の短時間正規雇用を実施し,短時間
主な
勤務導入の際の課題を抽出し,制度の普及に向けた検討を行う。
〔女性医師相談体制強化〕
事業内容
○ 女性医師の復職・育児の悩み等に対応する相談窓口をモデル的に設け,復
職・育児支援のための課題を抽出し,支援策を検討する。
43
(7)地域周産期母子医療センター医師育成支援(平成 20(2008)年度創設)
後期臨床研修医の定着促進及び研修医にとって魅力的な指導医の育成を図るため,地域周
産期母子医療センターで周産期医療を担う若手医師の研修・研究に必要な支援。
区
分
H20 年(2008)度
H21(2009)年度
月額 200 千円を上限
基準額
月額 100 千円を上限
(年額 2,400 千円を上限)
交付決定者数
H22 年(2010)度
(年額 1,200 千円を上限)
5名
10 名
9名
(8)基幹病院等との連携による研修システムの構築(平成 22(2010)年度)
不足する産科専門医の確保を図るため,県内の周産期母子医療センター等と連携した研修
システムを構築する。
研修内容
研修期間
産婦人科専門医の取得に必要な分娩件数,手術件数を修得するとともに,リ
スクの高い周産期管理及び NICU における新生児管理を習得する
3年
(9)産科・救急医確保支援事業(平成 21(2009)年度創設)
過酷な勤務環境にある産科医や新生児担当医等への処遇改善を図るため,医療機関が支給
する分娩手当や新生児担当医手当等の一部を助成。
区
産科
医療機関数
H22 年度
H21 年度
(2010)
(2009)
(予定)
分
補助基準額
分娩手当
38
46
1 分娩当たり 10,000 円以内
研修医手当
0
3
研修医 1 人当たり月額 50,000 円以内
17
31
-
5
救急勤務医手当
新生児担当医手当
【H22(2010)~】
休日日中:1 人当たり 13,570 円以内
夜
間:1 人当たり 18,659 円以内
NICU入院新生児 1 人当たり
10,000 円以内
(10)助産師緊急確保対策事業(平成 21(2009)年度創設)
助産師養成施設へ看護師を派遣する分娩取扱機関への助成や学生に対する修学資金の貸与。
区
分
助産師養成
施設派遣支
援事業
助産師修学
資金
対
象
交付者数等
H21(2009) H22(2010)
年度
年度
内
容
県内の分娩を取扱
う医療機関
5 施設
8名
5 施設
8名
代替看護職員の人件費の 1/2 を補助
補助額:年額 1,275 千円/人(上限)
将来,県内の分娩
取扱医療機関で助
産師として就業す
る意向のある助産
師養成施設に在学
する者
13 名
14 名
貸与額:
月 50 千円×12 月(年 600 千円)
※一定期間,県内で助産師業務に従
事した場合,返還免除規定あり
44
(11)助産師外来支援モデル事業(平成 20(2008)年度創設)
産科医の負担軽減のため,助産師が妊婦健診を担当する助産師外来の開設を支援する「助
産師外来支援事業」を実施。
年
度
H20(2008)年度
H21(2009)年度
H22(2010)年度
実施医療機関
開設年月日
広島赤十字・原爆病院
平成 21(2009)年 4 月 1 日
公立みつぎ総合病院
平成 21(2009)年 7 月 1 日
広島記念病院
平成 22(2010)年 1 月 21 日
3 病院(予定)
(12)周産期オープン病院化支援事業(平成 20(2008)年度創設)
分娩を取扱う医療施設と健診を担当する診療所等で適切な機能分担を図る,地域の実情に
応じたシステム構築を支援。
年
度
H20(2008)年度
実施機関
呉市医師会
市立三次中央病院
(13)周産期母子医療センター運営事業補助金(平成 22(2010)年度創設)
ハイリスクの分娩・出産及び新生児医療を担う,総合周産期母子医療センター及び地域周
産期母子医療センターの運営支援を行うことにより,周産期医療体制を確保する。
対
象
総合周産期母子医療センター又は地域周産期母子医療センター
(独立行政法人,国立大学法人を除く)
内
容
ハイリスクの分娩・出産及び新生児に対応するための集中治療室等を備え
た施設の運営に必要な経費の補助
(14)地域医療と健康を支える環境づくり事業(平成 21(2009)年度創設)
地域が主体となり,喫緊の課題である地域の救急医療や出産体制を確保し,地域医療を支
える環境づくりを推進するための支援を行う。
事業名
開催地
竹原市地域医療市民フォーラム
講演:
「これからの地域医療のあり方~安心して子どもを
生み育てるために」 外
庄原市の地域医療を考える会
講演:
「広島の小児医療の現状」 外
赤ちゃんってふしぎ!~笑顔あふれる家族づくり~
報告:
「妊婦健診診査の実際」 外
みんなで支えよう小児救急医療!!
講演:
「小児救急医療の理想像の実現に向けて」 外
45
参加者数
竹原市
53 名
庄原市
220 名
広島市
150 名
広島市
60 名
妊婦健康診査公費助成拡充の効果と今後のあり方について中間報告書(概要)
Ⅰ 目的
公費助成を拡充した平成 20 年度から平成 22 年度における妊婦健康診査支援事業の効果等か
ら今後のあり方を探る。
Ⅱ 事業の概要
出産年齢の上昇などに伴い,健康管理が重要となる妊婦が増加している一方で,経済状況の悪
化に伴ない,経済的理由などから十分な妊婦健診を受けないで出産する妊婦がいる。そのため,
必要な健診回数 14 回を受けることができるよう,従来の 5 回に加えて 9 回分の公費助成を行う
市町に国の交付金を原資に造成した広島県妊婦健康診査支援基金で補助を行った。この結果,
平成 21 年 4 月から県内全市町が妊婦健診公費助成を 14 回に拡充した。
<拡充前>
<拡充後>
9回
9回
14 回
(個人負担または
県 1/2
市町 1/2
市町任意助成)
(基金)
(地財措置)
5回
市町 10/10
国交付金を原資に造成した
妊婦健診支援基金を充当
(地財措置)
5回
市町 10/10
(地財措置)
Ⅲ 調査の概要
平成 22 年 4~5 月に産婦(4 か月健診受診者等の保護者 2,433 人,回収率 82.0%)・産科医療
機関(産科・婦人科・産婦人科標榜 184 施設,回収率 96.7%)・市町(23,回収率 100%)に郵送
等による自記式質問紙調査を行った。また,未受診妊婦による分娩があった医療機関に二次調
査を行った。(40 件,回収率 39.2%)
Ⅳ 調査の結果及び考察
1 産婦
「経済的負担が減り受診しやすくなった」(86.3%),「次の
妊娠・出産を考えやすくなった」
(49.0%)と,公費助成の拡
充により,妊婦健診受診や妊娠・出産に前向きになった旨の
回答が多かった。
次の妊娠・ 出産が考えやすく なったか
(産婦 1,000 人)
無回答
0.8%
変わらない
40.7%
はい
49.0%
いいえ
9.5%
2 医療機関
事務の煩雑をあげる医療機関が多いが,
「公費助成が 14 回と
なり適正な妊婦健診を受ける動機付けとなった」と継続を望
む(55.1%)機関が多く,概ね好評であった。
公費助成額や回数の継続について
( 医療機関 178 )
無回答
24%
分からない
19%
継続してほしい
55%
必要ない
2%
3 医療機関における未受診妊婦
平成 19~21 年度の未受診妊婦による分娩件数は 102 件で,その多くが週数不明のまま分娩に
至っていた。このため,未受診妊婦のあった医療機関に追加調査を行なった。(回答 40 件)。
分娩の状況は「救急車による搬送」
(35.0%),「低出生体重児」
(20.0%)
,
「死産」(10.0%)
とリスクの高い者が多かった。
妊婦健診回数は,「全く受けていない」(57.5%),
「1 回から 3 回」
(27.5%)で,受診
46
妊婦健診未受診の主な理由(複数回答)
そ の 他
社 会 的 理 由
気 が つ か な
か った
認 識 の 欠 如
未 婚 な ど
20人
15人
10人
5人
0人
経 済 的 理 由
しなかった理由は,「経済的理由」が最も多く
(42.5%),母子健康手帳をもっていない者は
57.5%であった。
また,医療機関は妊婦健康診査未受診の防止
に 最 も 重 要 な こ と と し て ,「 経 済 的 な 援 助 」
(57.5%)と「気軽に相談できる機関の拡充」
(57.5%)が多かった。
4 市町
財政負担は大きいが,
「妊娠届出の時期が早くなり,20 週以降の届出者が減った」
(妊娠
11 週以内の妊娠届出者 91.3%(平成 18 年は 82.0%)),
「経済的困窮や未婚など社会的な
ハイリスク妊婦へ早期介入ができるようになった」,
「受診勧奨がしやすくなった」など,
メリットが大きいとする回答が多かった。
20週以降の妊娠届出者(再
また,出生数が増加し,1,500g 未満の出生児
2 0 週以降届出者(再掲)
や死産数が減少していた。
300人
250人
200人
妊 娠届 出時期
不明
28週以上
20~27週
12~19週
11週未満
20~27週
28週以上
不明
150人
100%
100人
90%
50人
80%
0人
H18
H19
H20
H21
70%
60%
50%
H18
H19
H20
H21
Ⅴ 妊婦健康診査支援検討委員会における協議結果
学識経験者・産婦人科医会・助産師会・市町の代表からなる妊婦健康診査支援検討委員
会を開催し,調査結果をもとに妊婦健診支援事業の効果や今後のあり方について協議した。
委員会では,妊婦に対する経済的支援により,
「十分な妊婦健診の受診につながり,安全で
安心な妊娠・出産ができる」,「ハイリスク者へ早期からの支援が可能になる」,「出産への
動機付けなどの効果が期待できる」など妊婦健診公費助成拡充の効果が確認された。
また,
「未受診者の発見とフォローの重要性」,
「医療機関と行政の連携の継続」,
「事務の
簡素化」の必要性が述べられた。
Ⅵ 今後の課題
1 妊婦健診公費助成の財源確保
妊婦健診公費助成の拡充は当初平成 23 年 3 月をもって終了予定であったが,引き続き
公費助成の財源確保を国に要望し,制度を継続・定着させる必要がある。
2 ハイリスク妊婦のフォロー体制の強化
十分な妊婦健診を受けないで出産に至る妊婦や出生児にハイリスク者が多く,これらの
者を防ぐために,未受診者にどのようにアプローチし,市町と医療機関が連携して早期
支援につなげるかが重要である。妊婦健診の意義と公費助成14回に係る普及・啓発の
重要性も強調された。
3 事務量の増大に伴う負担の検討
事務量の増大に伴う煩雑さに対する事務改善も必要である。
Ⅶ まとめ
妊婦健診の公費助成の拡充は大きな成果を得ており,今後も全国どこでも安心して妊婦
健診が受けられ,子どもを生みやすい環境づくりが実現できるよう,国の積極的で継続的
な妊婦への支援が強く望まれる。
47
広島県周産期医療協議会設置要綱
(目的)
第1条 診療体制の整備された分娩環境や未熟児に対する最善の対応など,充実した周
産期医療に対する需要の増加に応え,地域において妊娠,出産から新生児に至る高度
専門的な医療を効果的に提供する総合的な周産期医療体制を整備し,安心して子ども
を生み育てることができる環境づくりを推進するため,広島県周産期医療協議会(以
下「協議会」という。)を設置する。
(協議事項)
第2条 協議会は次の事項について協議する。
(1)地域の実情に応じた周産期医療体制(総合周産期母子医療センター,地域周産期
母子医療センター及び搬送体制等)の整備及び運営に関する事項
(2)周産期医療情報ネットワークシステムに関する事項
(3)周産期医療関係者の研修に関する事項
(4)周産期医療体制整備についての調査・研究に関する事項
(5)その他周産期医療体制の整備及び運営に関し必要な事項
(組織)
第3条 協議会は,周産期医療関係機関・団体及び行政機関に属する者で構成するもの
とし,知事が委嘱する。
2 協議会は,会長及び委員で組織するものとし,会長の選任は,委員の互選による。
(任期)
第4条 会長及び委員の任期は,2年とし,再任を妨げないものとする。ただし,会長
又は委員が交替した場合の任期は,前任者の残任期間とする。
(協議会の運営)
第5条 協議会は,会長が必要に応じて招集し,これを主宰する。
2 会長に事故あるとき又は会長が欠けたときは,あらかじめ会長が指名する委員がそ
の職務を代理する。
3 会長が必要と認めるときは,協議会に委員以外の者の出席を求め意見を聴くことが
できる。
(病院部会)
第6条 協議会に病院部会を設置し,会長の要請に基づき,周産期医療機関におけるよ
り実践的,専門的な事項について調査,研究を行うとともに,その結果を協議会に報
告するものとする。
2 病院部会の委員は,総合周産期母子医療センター及び地域周産期母子医療センター
に属する者で構成する。
3 病院部会の部会長は,総合周産期母子医療センターである県立広島病院に属する者
が担当するものとする。
(事務局)
第7条 協議会の事務局は,広島県健康福祉局医療政策課に,病院部会の事務局は県立
広島病院に置く。
(雑則)
第8条 この要綱に定めるもののほか,協議会の運営に関して必要な事項は会長が定
める。
附 則
この要綱は平成12年10月31日から施行する。
附 則
この要綱は平成20年4月7日から施行する。
48
平成22年度 広島県周産期医療協議会委員
◎:会長
委員氏名
所属及び役職名
赤木武文
市立三次中央病院産婦人科医長
池田政憲
国立病院機構福山医療センター小児科部長
上田克憲
県立広島病院産科主任部長
宇津宮仁志
広島県健康福祉局保健医療部医療政策課長
◎工藤美樹
広島大学大学院医歯薬学総合研究科産婦人科学教授
桑原正彦
広島県小児科医会会長
小林正夫
広島大学大学院医歯薬学総合研究科小児科学教授
佐々木伸孝
厚生連尾道総合病院小児科主任部長
下惠子
広島県保健師研究協議会会長
中川仁志
広島県産婦人科医会常務理事
林智恵子
日本助産師会広島県支部副支部長
林谷道子
広島市立広島市民病院総合周産期母子医療センター主任部長
堀江正憲
広島県医師会常任理事
桝岡正一
広島市消防局警防部救急担当部長
水之江知哉
吉田信隆
国立病院機構呉医療センター産科科長
広島市立広島市民病院産婦人科主任部長
(50音順)
49
用語解説(50音順)
【現員医師数】
当該医療機関における医師の現員数(初期臨床研修医は除く)
【合計特殊出生率】
15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、1人の女性が仮にその年次の
年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子ども数に相当する。
【産科合併症】
子宮筋腫,卵巣腫瘍,深部静脈血栓症,前置胎盤,切迫早産,前期破水,妊娠高血圧症候群,
糖尿病,胎児心拍数異常,癒着胎盤など
【産科・周産期傷病者】
妊婦(分娩直後の褥婦を含む。)及び出生後1週間未満の新生児で,救急事故の内容から,当
該傷病者に産科・周産期医療が必要であると思われたものをいう。
【周産期】
妊娠22週から生後7日未満の期間をいう。
【周産期医療】
本計画における周産期医療とは,基本的にはハイリスク妊婦の妊娠・分娩管理その他の産科医
療及びハイリスク新生児の集中治療管理その他の新生児医療をいう。
【周産期死亡率】
周産期死亡数(妊娠22週以後の死産と早期新生児死亡(生後1週未満の死亡)を合わせたも
のをいう。
)を出産数(妊娠満 22 週以後の死産数に出生数を加えたもの)で除したもの。
【傷病者の搬送及び受入れの実施基準】
H21年度消防法の一部改正により,都道府県において,消防機関による救急業務としての傷
病者の搬送及び医療機関による当該傷病者の受入れの迅速かつ適切な実施を図るために策定す
るものをいう。
50
【助産師外来】
医師の診察と並行し,助産師が妊婦健診や保健指導を行うものを指す。
【新生児死亡率】
新生児死亡とは生後4週未満の死亡をいう。
新生児死亡率=年間新生児死亡÷年間出生数×1,000
【セミオープンシステム】
セミオープンシステムとは,妊婦健診は診療所で,分娩は病院という形態で,主治医権は病院
にあり病院医師が入院後の治療方針を決定し,分娩を取り扱う。
【低出生体重児】
出生時の体重が2,500g未満の新生児をいう。
【ドクターカー】
医師が同乗し,処置・治療等を行うため,人工呼吸器や保育器等を搭載した救急車をいう。
【妊産婦死亡率】
妊産婦死亡とは,妊娠の期間および部位に関係なく,妊娠またはその管理に関連した,あるい
はそれらによって悪化したすべての原因による妊娠中または分娩後42日以内における女性の
死亡をいい,不慮のまたは予期せぬ偶然の原因による死亡は含まない。
妊産婦死亡率=
年間妊産婦死亡数
×100,000
年間出産数(出生数+死産数)(又は年間出生数)
【妊婦健診の公費助成】
健やかな妊娠と出産のため,母体や胎児の健康状態を定期的に確認する妊婦健診を行う事が望
ましいとされている。昭和44年から低所得者を対象に医療機関等に委託して1回のみ公費によ
る妊婦健診が受けられるようになり,その後,所得制限の撤廃,前期・後期の2回の助成,5回
に拡充を経て,平成20年度の国の補正予算により,受診することが望ましいとされる14回に
助成回数が拡充された。
妊娠届出を居住地の窓口に提出すると,母子健康手帳と受診券を交付され,この受診券を医療
機関に提出する事により,所定の健診を受けることが出来る。また,出産に直接支障をきたす疑
いのある疾病に対しては精密健康診査を受けることができる。
【ハイリスク分娩】
妊娠22週から32週未満の早産,40歳以上の初産婦,妊娠高血圧症候群重症,多胎妊娠な
ど,緊急処置を視野に入れた分娩管理が必要なものをいう。
【必要求人医師数】
地域医療において,現在当該医療機関が担うべき診療機能を維持するために確保しなければな
らない医師のうち,調査時点において,求人しているにもかかわらず充足されていない医師数
51
【必要非求人医師数】
地域医療において,現在当該医療機関が担うべき診療機能を維持するために確保しなければな
らない医師のうち,調査時点において,求人していない医師数
【広島県周産期医療協議会】
地域において,妊娠,出産から新生児に至る高度専門的な医療を効果的に提供する総合的な周
産期医療を整備し,安心して子どもを生み育てる環境づくりを協議するため,平成12(200
0)年10月に設置。広島大学,周産期医療関係施設,団体,消防関係者及び行政機関等に属す
るもので構成。
【広島県保健医療計画】
「医療法」の規定に基づき,都道府県における医療を提供する体制の確保を図るために定める
計画のこと。少なくとも5年ごとに再検討を加え,必要があると認めた場合は変更することとな
っている。
【母体搬送】
ハイリスク妊娠母体(妊産婦,胎児及び新生児について集中管理が必要な母体)並びに産科的
緊急を必要とする母体を周産期医療施設へ搬送することをいう。
【レスパイト】
乳幼児や障害児・者,高齢者などを在宅でケアしている家族を癒やすため、一時的にケアを代
替し,リフレッシュを図ってもらう家族支援サービス。
【GCU】
新生児集中治療管理室より退出した児,及び点滴,酸素投与等の処置を必要とする児を収容す
るために必要な設備を有するNICUの後方病床をいう。
【MFICU】
合併症妊娠,切迫早産や胎児異常など,ハイリスク出産の危険度が高い母体・胎児に対応する
ための設備と医療スタッフを備えた,母体・胎児集中治療管理室をいう。
【NICU】
低出生体重児や先天性のハイリスク疾患がある新生児に対応するための設備と医療スタッフ
を備えた,新生児集中治療管理室をいう。
52