5.関西医科大学附属枚方病院 - 大阪府

5.関西医科大学附属枚方病院
Kansai Medical University Hirakata Hospital
所 在
設計期
工事期
竣
発 注
監
設
施
都市と自然のインターフェイス
地:大阪府枚方市新町
間:1998年10月∼2003年2月
間:2003年3月∼2005年8月
工:2005年8月
者:学校法人 関西医科大学
修:㈱日本設計
計:㈱竹中工務店
工:㈱竹中工務店
面
積:58,452.31㎡(敷地)/71,851.19㎡(延面積)
構造・階数:RC造(一部S造)・地下1階・地上13階・塔屋2階
環境配慮計画検討体制
・事業者側は枚方病院準備室・施設部が窓口
・設計者側は枚方病院設計室を構成
市街地
環境配慮計画に関する特記事項
・環境アセスメントを実施
・枚方市の都市整備構想に沿って水辺に至る歩行者動線を整備
・国交省のスーパー堤防工事、河川公園整備工事と協調
・大阪府花とみどりの街づくりモデル事業に選定された
都市と自然のインターフェイス
北河内医療圏の中核病院として高度先進医療の提供を行う大学病院の新築計画である。
環境と調和し、シンボル性と親しみやすさを兼ね備えた、21世紀の大学病院にふさわしい新しい形態・表現を、機能と
アメニティを満足しながら実現することをめざした。
市民に開かれた病院として、建物周辺のオープンスペースは、枚方市駅周辺の都市空間と淀川河川敷の自然をつなぐイ
ンターフェイスと位置づけて整備し、都市環境の向上を図った。
(西村 章/竹中工務店)
自然採光
熱負荷抑制
ブラインド内蔵2重サッシ
垂壁付バルコニーによる高い庇効果
ライトウェル・センターアトリウム
エントランスホール
氷蓄熱
屋上緑化
節水型衛生器具
低騒音機器の採用
街区全体計画
BEMS
躯体Pc
外壁Pc
敷地内緑化
敷地内禁煙
廃棄物処理
駐車場・駐輪場の確保
分別処理
滅菌破砕化
交通量への配慮
免震構造
基礎免震
雨水利用
屋上雨水を利用
雨水抑制
敷地内雨水を一時貯留して
下水道負荷削減
建物断面構成図
コージェネレーション
道路提供(拡幅・新設)
環境配慮事項とねらい
敷地内にできるだけオープン
スペースを確保し緑化を図り、
淀川の水辺空間に連続する
景観を形成している。
中央に桜並木の通り抜け遊
歩道を設置。
緑のマウンド
遊歩道
病棟部分(高層部)には病室からの
避 難とメンテナンスのためバルコ
ニーを設置している。
バルコニー先端に垂れ壁を設ける
ことで日射の遮蔽効果を高めてい
る。
垂壁
バルコ
ニー
病室
バルコニー断面図
要所に大きな開口部を設け、積極的に外光をと
り入れ、眺望を確保し、患者さんに適度な刺激を
与えるとともにアメニティーの向上を図った。
エントランスホール
EVホール
デイルームの窓(遮熱断熱複層ガラス)からは
淀川の大パノラマを楽しむことができる。
アトリウムではトップライトの光を浴びながら待ち
時間を過ごすことができる。
(PHS呼び出しシステム採用)
デイルーム
アトリウム
患者さんの憩いのスペースとして
屋上庭園を設けている。植栽帯と
デッキ床を設け熱負荷低減にも寄
与している。
子供病棟プレイコート
屋上庭園
梁の少ない架構
高層棟の架構
低層棟の架構
免震装置の配置
(基礎レベル)
高層棟の構造計画
Pc躯体
基礎レベルで免震するとともに、将来の改修に備え、梁を最
小限とした架構を採用している。また、躯体・外壁のPc化を推
進した。
環境配慮と建築デザインの検討プロセス
基本構想∼基本計画段階
病院の基本理念制定
高度先進医療を行う病院、患者さん主体の病院、地域から信頼される病院、質の高い医療を提供できる病院
を実現することを基本的な考え方としています。
環境アセスメントを実施
再開発地区計画条例化
病 院 の 基 本 理 念
アメニティーの高い病院
■ 明るくわかりやすい病院
■ 便利でくつろげる病院
■ ゆとりを感じさせる病院
■ プライバシーを守る病院
社会のニーズに応えられる病院
■ 患者さん主体の医療の提供
■ 高度な医療の提供
■ 新しい医療ニーズへの対応
建物配置を決定
医療人を育成する教育病院
■ 教育環境の整備
■ 新しい医学・医療教育への対応
■ 地域医療人の育成支援
遊歩道設置を検討
安心できる安全な病院
■ 院内感染防止の徹底
■ 防災体制の徹底
働きがいのある病院
■ 機能的な動線と快適な作業環境
■ 清潔な職場
■ 充実した院内情報システム
開かれた病院
■ 地域医療連携の推進
■ 地域医療への貢献
■ 情報と交流の場の提供
環境にやさしい病院
■ 緑化の推進
■ 廃棄物の集中処理
フレキシビリティーの高い病院
■ フレキシブルな診療体制
■ 変化する医療機能への対応
運営と維持管理のしやすい病院
■ ライフサイクルコストの低減
■ 効率的な施設の保全・維持管理
配置検討模型
基本設計段階
免震構造を採用
バルコニー形状検討
高層部躯体をPC化
外壁RC造で検討
カーテンウォール配置検討
病室2重サッシを採用
バルコニー形状スタディー模型
アトリウムイメージ
実施設計段階
梁を最小限とした架構を採用
カーテンウォール形状決定
屋上庭園、外構植栽の計画
屋上庭園検討模型
施工段階
外壁PC化を決定
低層部躯体のPC化を決定
(サイトPC)
残土を場内処分(マウンド)
外構植栽樹種決定
バルコニーPc板
作業所全景
CASBEE評価に対応する特徴的な取り組み
Q環境品質・性能向上の特徴的な取り組み
Q-1 室内環境
・二重サッシ・内蔵ブラインドによる温熱環境・
音環境の向上
・院内感染防止を考慮した細かな空調ゾーニング
・全館禁煙
・内装のVOC対策
・レジオネラ菌対策
Q-2 サービス性能
・災害拠点病院としての設備二重化・信頼性の確保
・免震構造による耐震性の向上
・熱源多重化(電気・ガス)によるリスク分散
・屋上の雨水を集水し、雨水利用
・梁の少ない架構による設備更新性
Q-3 室外環境
・周辺の景観に配慮した配置や意匠
・都市軸線への適合、敷地緑化と小公園の整備
BEEによる建 築 物 の サ ス テ ナビリ テ ィランキング
100
建築物の環境品質 ・性能 Q
S
BEE=1.0 B
BEE=1.5
BEE=3.0
B+
A
71
BEE=2.4
B-
50
BEE=0.5
30
C
0
0
50
100
建築 物の 外部 環境 負荷 L
BEMSによる中央監視室
コジェネレーションシステム
による効率的な運用
LR環境負荷低減の特徴的な取り組み
LR-1 エネルギー
・ BEMSによる効率的な運用・省エネ制御
・高効率機器・高効率照明の採用
・氷蓄熱による負荷平準化
・コジェネレーションシステムによる効率的な運
用
・建物の熱負荷抑制
・垂壁付バルコニーによる高い庇効果
LR-2 資源・マテリアル
・全面的な節水衛生器具採用
・屋上雨水の便所洗浄水・潅水利用とによる水資
源の有効活用
・リサイクル材の採用
LR-3 敷地外環境
・主要機器は低騒音型とし屋上配置
・敷地雨水の一時貯留抑制・透水性舗装
・屋上緑化・敷地内緑化
・ゴミの分別回収
・特殊排水の適正処理
・駐車スペース・駐輪場の確保
・交通量への配慮
氷蓄熱による負荷平準化
熱源機器の屋上設置・廃熱
CASBEEの評価結果
Q 建 築 物 の 環 境 品 質 ・性 能 (建 築 物 の 居 住 環 境 の アメ ニテ ィを向 上 させ る 性 能 評 価 )
レーダ ーチャート
Q-2
5
重み係数
= 0 .3
4
3
Q-1
Q-3
2
重み係数
= 0 .4
1
ス コ ア (評 価 点 ):
= 0 .4
重み係数
=
S Q 1 = 3.6
※ S Q = 0.4* S Q 1 + 0.3 * S Q 2 + 0.3 * S Q 3
3 .8
Q -2
Q -3
S Q 2 = 4.0
S Q 3 = 4.0
5
5
4
4
5
5 .0
4 .1
4 .0
3
LR- 3
Q
Q -1
0
LR- 1
S
ス コ ア (評 価 点 ):
重 み 係 数 = 0 .3
3 .1
3 .4
4 .6
3
2
2
1
1
3 .3
3
2
2 .0
重 み 係 数 = 0 .3
LR- 2
4 .5
4
4 .2
音 環 境 温 熱 環 境 光 ・ 視 環 境 空 気 質 環 境
重 み 係 数= 0 .3
機 能 性 耐用性 ・ 信 頼 性 対応性
・更 新 性
1
生 物 環 境 ま ち な み 地 域 性
景 観 ア メ ニ テ ィ
LR 建 築 物 の 環 境 負 荷 低 減 性 ( 建 築 物 の 環 境 負 荷 を 低 減 さ せ る 性 能 評 価 )
S
ス コ ア (評 価 点 ):
LR
=
3 .8
※ S LR = 0.4 * S LR 1 + 0.3 * S LR 2 + 0.3 * S LR 3
LR -1
ス コ ア (評 価 点 ):
S LR 1 = 3.7
5
4 .5
4
4 .0
3 .5
3
3 .0
2
1
建 物 の 熱 負 荷 L R -3
LR -2
自 然 エ ネ 設 備 シ ス テ 効 率 的
ル ギ ー ム 効 率 化 運 用
(執筆担当者:西村 章/竹中工務店)
S
LR2
= 3.8
5
5
4
4
5 .0
3 .8
4 .0
3 .8
3
3
2
2
1
S L R3 = 4.0
3 .5
3 .0
水 資 源 低 環 境
保 護 負 荷 材 料
1
4 .0
大気汚染
3 .0
騒 音 ・振 動
・悪臭
風害
光害
ヒー ト ア イ
ラン ド化
地 域 イン
フラ負荷