霞ヶ浦の植物プランクトン 目的 植物プランクトンは霞ヶ浦の水質に大きな影響を及ぼしています。そこ でどの様なプランクトンが多くなっていて、なぜそうなっているのか解明す ることが重要です。 霞ヶ浦に優占する 優占する植物 する植物プランクトン 植物プランクトンの プランクトンの変遷 ~1986年 1986年 1999~ 1999~2004年 2004年 1987~ 1987~1998年 1998年 Cyclotella キクロテラ Planktothrix プランクトスリックス (旧名 オシラトリア) Microcystis ミクロシスティス 1986年まではミクロシスティスが優占していましたが、1987年以降プランクトスリックス という糸状藍藻に変化し、1999年以降はキクロテラなどの珪藻が高い割合を示しました。 植物プランクトンの組成(%) 2005~ 2005~2009年 2009年 100 その他の藻類 緑藻 80 その他の珪藻 60 ニッチア属 スケレトネマ属 40 珪藻 キクロテラ属 20 その他の藍藻 糸状藍藻(ユレモ目) 0 2005 2006 2007 2008 2009 藍藻 ミクロキスティス 2006年以降、糸状藍藻(プランクトスリックスなど)の割合が多くなってきています。 この原因は湖の窒素の低下や透明度の上昇が考えられます。 今後の 今後の研究 糸状藍藻類が何故多くなったのかを光りの強さ、窒素やリン の濃度との関係から詳しく解明していきます。 近年における霞ヶ浦植物プランクトンの傾向 1. 霞ヶ浦の代表的な植物プランクトン 夏季に多い Microcystis (ミクロキスティス) 冬季から春季に多い 藍藻 Pseudanabaena Planktothrix suspensa (プセウドアナベナ) (プランクトスリックス サスペンサ) Aulacoseira 珪藻 Synedra (シネドラ) (アウラコセイラ) Nitzschia (ニッチア) • 植物プランクトンは季節によって構成する種が 変化する。 • 夏季の藍藻は、アオコをつくるミクロキスティス や 糸 状藍 藻 ユ レモ 目のプ セ ウ ドア ナ ベナ が 確認され、冬季からはユレモ目プランクトスリッ クス サスペンサが多くなる。 • 珪藻は、中心目のアウラコセイラから羽状目の シネドラやニッチアになる。 10 1 0.1 0.01 N.D. S 0 O N D J F M A M プランクトスリックス サスペンサ 100 2 3 10 5 6 0 S O D J F M A M シネドラ, ニッチア 2010 1 Depth (m) N 2011 1 2 3 4 5 0.1 6 S O N D J F M A M • 珪藻シ ネド ラ やニッチアは 表層や水深 4 mまで、 ほぼ均一に 分布した。 緑藻など その他の珪藻 Aulacoseira アウラコセイラ Nitzschia ニッチア Synedra シネドラ その他の藍藻 培 養 前 7 > 西浦・湖心における藍藻プランクトスリックス サスペンサ, 珪藻シネドラ, ニッチアの水深分布. > なぜ、この様な分布 を示すのか? 光が弱い条件 培養 日目 4 • プランクトスリ ックス サスペ ンサは、水深 5 mに極大を 示した。 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 光が十分な条件 培養 日目 Depth (m) 1 西浦・湖心では、 ユレモ目のプラ ンクトスリックス サスペンサが常 に出現しており、 冬季から増加 している。 3. 光環境による霞ヶ浦 植物プランクトンの組成変化 植物プランクトン組成 (%) Planktothrix suspensa プランクトスリックス サスペンサ Synedra, Nitzschia シネドラ, ニッチア 100 プランクトン量 (mm3 L-1) プランクトン量(mm3 L-1) 2. 霞ヶ浦(西浦・湖心)の代表的な 植物プランクトンの水深分布 プランクトスリックス Planktothrix サスペンサ suspensa 7 光が十分であると、 珪藻が優占した。 弱光環境で培養すると、 プランクトスリックス サス ペンサが、優占率を上げ た。 まとめ • 以前の霞ヶ浦では、夏期にアオコが大量発生しても、冬期には植物プランクトンは減少した。 • 近年は、夏期にアオコが発生する他、年間をとおして、ユレモ目の藍藻類が優占するようになってきて いる。 • ユレモ目のうち、プランクトスリックス サスペンサは、光環境が制限された環境で、 高い競争力を もっており、弱光環境で現存量を維持している。
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