大型発電機の建設について - 日本風力発電協会

■ウインドウズ オブ Wind (風の窓)
大型発電機の建設について
鹿島建設株式会社
安
茂
はじめに
最近のウィンドファーム計画・工事の傾向を
風力発電施設の建設は、「全体工事計画」を
要約して以下に掲げる。
作成し、2007 年 6 月 20 日の改正建築基準法の
①大臣認定の取得は比較的スムースになり
施行により「大臣認定」を受ける必要がある。
つつある。
それを踏まえ「工事計画」をたてて「造成・基
②風車メーカーによる一般認定取得により、
礎工事」がなされ、風車の「輸送」と「据付」
コスト削減と認定時間短縮が可能となる。
と進むこととなる。
③山岳地に計画される案件が増加し、土木
建設プロジェクトの成否は、いわゆる「段取
の計画が重要性を増している。
り八分」と言われるように計画にかかっている。
④輸送の面からみると、風車の大型化は 2.5
風力発電施設の場合のリスクは、BOP(Balance
~3MW クラスが限界と考えられる(輸送の
of Plant)にあり、風車本体以外の全て、つま
許認可に時間がかかる案件が増えてい
り土木工事、電気工事、輸送・据付がリスク対
る)。
象となる。そのため、基本となる「工事計画」
なお、以下に紹介する内容は「第 9 回風力エ
が重要である。
ネルギー利用総合セミナーテキスト」で講演し
たスライドから抜粋したものである。
一般的な工事フロー
設計
許認可/
許認可/大臣認定
風車製作
準備工事・仮設工事
海外輸送
水切・通関・仮置
造成工事
国内輸送
国内輸送
造成・整地
管路工事
変電所工事
送電線工事
取付道路
風車基礎工事
風車基礎工事
受電
風車据付
風車内電気工事
試運転調整・自主検査
安全管理審査
竣 工
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大臣認定による影響
風車選定
九州等の一部地域では、タワー強度
の関係等で風車の選択肢が狭くなっ
ている。
基礎設計
従来よりも基礎が大きくなる場合が有
る。その影響で必要用地が増える場
合も有る。
工期
設計開始から大臣認定取得まで、最
短で4ヶ月必要。
認定取得まで風車の発注が出来ない。
一般認定
• 風車機種別のタワーおよび基礎の設計について、一般認
定を取得することにより、個別に大臣認定を取得する必要
がなくなる。
地盤調査
一般認定がない風車の場合
一般認定取得風車の場合
タワー・基礎設計
地震動応答解析
性能評価委員会
大臣認定申請
建築確認申請
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風車基礎工事フロー
杭基礎
直接基礎
地盤改良+直接基礎
準備工
掘削
杭打設
地盤改良
平板載荷試験
平板載荷試験
アース線設置
均しコンクリート
フーチング部構築
ペデスタル部構築
鉄筋(下側)
鉄筋組立て
基礎金物据付
型枠組立て
鉄筋(上側)
コンクリート打設
型枠
埋め戻し
コンクリート打設
建築と土木
• 風車は建築基準法上の工作物に該当する。
建築基準法に則って設計する必要がある。
• 建築と土木では考え方が異なるため、基準が異なる。
• 相違点の例
– コンクリート: 強度の割増
– 鉄筋: 継手長さ、施工図の考え方
– 基礎杭: 使用可能な工法
• 設計や施工を土木系で行なうケースが多いので、注意が
必要。
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基礎杭
建築基準法上、条件無しで採
用可能なのは以下の3工法
・ 既成杭直接打撃
・ 既成杭+外周にミルク
・ 現場打ち杭
杭が地中障害物などのために高止まりしたり、所定の長さを
打設しても支持地盤に届かない場合などは、大臣認定の再
取得が必要。
そのため最近は、リスク回避のため現場打ち杭が採用され
ることが多い。
各メーカー別のアンカー方式
底版埋込式
アンカーリング
アンカーボルト
ヴェスタス/ガメサ
三菱重工業
富士重工業
日本製鋼所
エネルコン
底版上置式
エコテクニア
シーメンス
写真左
アンカーボルト
外フランジ接合
写真右
アンカーリング
内フランジ接合
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鉄筋とアンカーリング
鉄筋貫通孔(内側から)
貫通鉄筋状況(リング内側)
アンカーリングの場合、鉄筋の
貫通穴があり、そこに主筋を
通すケースが多い。
鉄筋貫通状況(外側から)
躯体コンクリート打設
フーチング打設状況
コンクリート均し 1回目
コンクリートボリューム600立
方メートルの場合、ミキサー
車100台となる。
コンクリート均し 2回目以降
打設は早朝に始めるが、コン
クリートの均しは夜遅くまでか
かる。
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輸送計画 許認可
法令
所轄官庁
担当部署
道路法
道路運送車両法
道路交通法
車両制限令
道路運送車両法の
保守基準
道路交通法施工令
国土交通省
国土交通省
警察庁
陸運局長
都道府県公安委員会
(牽引)
警察署長(積載)
道路管理者
許可無しで輸送できるのは、長さ12m、幅2.5m、高さ3.8m、総重量20
トンまで。
また、道路法道路構造令による建築限界は、通常は高さ4.5m。 (特例で
4.0m、小型道路は3m。)
輸送計画 (2MWクラス)
タワー重量: 54 ton
タワー最大径: 4.0 m
トレーラ全高: 5.49 m
タワー重量: 43 ton
トレーラ全長: 28.0 m
トレーラ全高: 4.95 m
タワー(トップ)
タワー(ボトム)
3車連結式ポールトレーラ
トラクタ式ポールトレーラ
ナセル重量: 85 ton
トレーラ全長: 18.57 m
トレーラ全高: 5.07 m
ブレード長: 39.0 m
トレーラ全長: 42.5 m
ナセル(発電機)
ブレード
低床式トレーラ
トラクタ式ポールトレーラ
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輸般
送認
路定
線形計画 シミュレーション(軌跡図)の実例
一
トップタワーの場合
中央分離帯の撤去が必要
ブレードの場合
左折前に反対車線の走行が必要
据付
クローラークレーンによる据付
トラッククレーンによる据付
大型で高さの高い風車向き
吊上げ能力に限りがある
場内で自走できる場合は有利
クローラータイプに比較する
と安い。
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ナセ ル据付
トップタワーとナセルは同じ日に架設するのが鉄則
ブレード地組&上架
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ブレー ド 上 架 方 法
3枚同時上架
(一般的な方法)
1枚付け
通称ラビット
(最近比較的多い) (洋上、あるいは300kW
以下の小型風車)
据付完了 (2MWクラス風車の大きさ・重さ:例)
ブレード3枚+
ハブ(回転部分) 43.5トン
ナセル 75トン
中に発電機
ハブ 24トン
ハブ高さ78m
タワーは4分割
トップ
43トン
ミドル上 56トン
ミドル下 62トン
ボトム 54トン
タワーなどは全てボルト締め
ボルト本数 914本
24.4m
23.9m
17.0m
11.1m
風車全重量 333.5トン
基礎重量 1450トン
タワー合計 215トン
基礎コンクリート 600㎥
タワー直径4m
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