後期高齢者医療における 歯科医療の果たすべき役割 - 国民医療研究所

後期高齢者医療における
歯科医療の果たすべき役割
自立高齢者及び要介護高齢者の健康の維持
とQOLの改善をめざす歯科医療
米山歯科クリニック
米山武義
1
後期高齢者に対する歯科医療の意義
• 低栄養と誤嚥性肺炎等の予防による健康寿
命の延伸
• 食べる楽しみ、話す楽しみの享受よるQOL
の改善
• 障害を持った口腔に対するリハビリテーショ
ンとしての意義
2
NHKラジオ 心の時代に出演して
「口は長寿の門」
• 多くのお手紙やファックスを拝読し、
• 一見、幸せそうに見えて、口が思うようになら
ないことで生き地獄であったりする現実を知
らされました。
• このことが、終末期あるいは後期高齢期に本
人と家族が直面する本当の苦しみであるよう
に思います。
3
味覚
ストレスの発散
呼吸への関与
脳への刺激
摂食
咀嚼
免疫物質の分泌
歯と口腔の働き
異物の認識と排除
嚥下
愛情、怒りなどの感情表現
消化への関与(消化液の分泌)
構音、発音
力の発生
顔貌
平衡感覚の維持
4
27年前の記憶から
高齢者の口腔が忘れ去られていた
歯頚部に多量の食物残渣とプ
ラークが付着し歯肉の発赤が
見られる。
長期間口腔内に入れたままにし
てあった義歯の内面。多量のデ
ンチャープラークが観察される。
5
学んだこと
要介護者の口腔環境は
誰かがケアをしない限り
悪くなることはあっても
自然に改善することはない。
そして心も老化してしまう。
口腔は死を迎えるまで大切な
器官である。
6
現
状
1.歯科治療が必要な人は多いが、
2.治療を受けている人は少ない。
3.治療とケアが一体になった時の
効果について知られていない。
7
口腔ケアとは
広義には
口腔の持つ,種々の働き(機能)が障害された場
合,これらの働きがより健全に機能するよう手当
て(ケア)をすること。
狭義には
口腔内の衛生状態を改善し,口腔疾患と口腔内
に起因する全身疾患の予防に努めること。
歯科医師とともに歯科衛生士が重要な役割を担う。
8
専門的口腔ケア(管理)の目的
①感染予防
口腔疾患の予防(う蝕,歯周病、歯性感染症など)
呼吸器感染症の予防(誤嚥性肺炎など)
②口腔機能の維持,回復
摂食嚥下障害の改善
口腔内爽快感,口腔感覚の向上にともなう食欲の増進
③全身の健康の維持,回復,および社会性の回復
食欲増進による体力の維持,回復
体力の維持,回復に伴うADL向上
言語の明瞭化や口臭の消失などによるコミュニケーションの改善
9
専門的口腔ケア(口腔管理)の内容
•
•
•
•
•
口腔清掃(バイオフィルム除去)
歯石除去
義歯の清掃・管理
摂食・咀嚼・嚥下機能の回復
誤嚥性肺炎、低栄養の予防に配慮し
た口腔の管理
10
ある老人病院での死亡者の
主要基礎疾患と直接死亡原因
その他, 1 2
糖尿病性昏
睡, 2
DI C, 2
その他, 4
褥瘡, 2
多臓器不全, 2
慢性硬膜下血
腫, 2
心筋梗塞, 2
術後( 脳以
外) , 3
脳梗塞, 3 0
去痰不全, 3
肺炎, 3 3
褥瘡, 3
心不全, 3
不整脈, 3
脳血管性痴
呆, 3
悪性腫瘍, 6
脳挫傷, 3
ク モ膜下出血,
4
腎不全, 1 1
悪性腫瘍, 5
ア ルツ ハイ
マー , 6
脳出血, 1 1
脳炎, 9
骨折, 1 0
主要基礎疾患
心不全, 1 2
感染, 1 9
直接死亡原因
東北大学老年・呼吸器内科チームによる研究報告
11
期間中の発熱発生率
50 (%)
(**:p<0.01)
40
対照群
30
*
*
20
10
口腔ケア群
0
0
5
10
15
20
25 ヶ月
要介護高齢者に対する口腔衛生の誤嚥性肺炎予防効果に関する研究:米山武義、吉田光由他 日歯医学会誌2001
12
2年間の肺炎発症率
p<0.05
(%)
肺炎発症率
20
19%
15
10
11%
5
0
対照群
口腔ケア群
Yoneyama T, Yoshida Y, Matsui T, Sasaki H:Lancet354(9177), 515, 1999.
13
無歯顎者の肺炎発症率
p<0.01
(%)
30
29%
肺炎発生率
25
20
15
10
11%
5
0
義歯あり
義歯なし
要介護高齢者に対する口腔衛生の誤嚥性肺炎予防効果に関する研究:米山武義、吉田光由他 日歯医学会誌2001
14
在宅における家族の悩みと苦しみ
1、病院から帰ってきたけど、家族にとって食事介
助がよくわからない。とくにむせが激しい時、不安に
なってしまう。
2、熱を出したり、食事がとれなくなったら、家では
介護が出来ない。そのことを、本人も家族も分かって
いる。気軽に相談出来る人はいないか。
3.どうしても、胃に穴を開けるのはいやだ。最後
まで口から食べさせたい。でも、これからどうして
いいか不安で自信がなくなってしまった。
15
地域における
口腔ケアネットワークの必要性
病院にいる時から(入院時から)、地域で口に
関わる多職種のネットワークができていたら、ど
んなに安心か。
口から食べることの支援と誤嚥性肺炎の予防
のために安心のネットワークがほしい。
病院の専門スタッフにとっても退院後、どうなっ
ているか。まったく、その後が、見えてこない。
16
老人性肺炎の予防と免疫力
1.免疫力と心の問題
2.免疫力と栄養の問題
17
低栄養
• 急性期病院入院中の高齢者で3
0~40%、在宅診療を受けている
人で、32~35%といわれる。
(葛谷雅文、高齢者ケアマニュアル より)
18
(g/dl) 血清アルブミン値(ALB値)の結果
5
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
平均3.7±0.3g/dl
0
10
20
30
40
50
ある特別養護老人ホームでの調査
60
19
お茶でむせる
(g/dl)
3 .8 0
3 .7 5
3 .7 0
3 .6 5
3 .6 0
3 .5 5
3 .5 0
ない
ときどき
しばしば
20
食べこぼしがある
(g/dl)
3.80
3.75
3.70
3.65
3.60
3.55
ない
ときどき
しばしば
21
口腔機能と
ALB値
P<0.05
4.1
4
3.9
3.8
3.7
3.6
3.5
3.4
口腔機能異常
正常
22
要介護高齢者に対する口腔
の機能に重点を置く
栄養改善の試みは
有効か?
23
口腔ケアの介入が与えた効果
P<0.05
介入前
介入後(6ヶ月)
Total protein(g)
6.92±0.38
7.02±0.47
Albumin(g/dl)
3.65±0.32
3.77±0.33*
Total cholesterol(mg/dl)
174.12±29.24
174.15±29.09
HDL cholesterol(mg/dl)
49.39±13.39
53.44±11.27*
Hemoglobin(g/dl)
11.39±1.76
11.75±1.75*
A/G ratio
1.14±0.20
1.20±0.24
24
頭頸部進行がん患者の再建手術
における口腔ケア介入効果
„
結果
術後合併症率(単変量解析)
P<0.0001: Fisher Exact Test
100%
80%
64%
60%
40%
20%
16%
0%
口腔ケアあり(S病院)
口腔ケアなし(A病院)
(大田洋二郎, PRACTICE IN PROSTHODONTICS, 2005)
25
高齢者の口腔に関わる現状
26
1人平均現在歯数(年齢階級、年次別)(平成17年歯科疾患実態調査)
27
歯数別「何でもかんで食べることができる」
と回答した者の割合(40歳以上)
(平成16年国民健康・栄養調査)
28
後期高齢者における歯科医療の受療率
人 口 10万 対
14000
12000
10000
8000
6000
4000
2000
0
入院総数
外来総数
歯科外来
平成14年患者調査より作成。歯科については傷病小分類(う蝕+歯肉炎及び歯
周疾患+その他の歯及び歯の支持組織の疾患+歯の補綴)により算出した。
29
日常生活自立度別要介護高齢者の歯科的対応の必要性
(歯科健診担当医による評価)
31.0
15.6
1.0 15.8
27.0
9.7%
総数
不明
訪問診療のみで対応
C2
通院治療も必要
C1
入院治療も必要
B2
指導のみで対応
必要なし
B1
不明
A2
A1
J2
J1
0%
20%
40%
60%
80%
100%
(対象者:新潟県内施設入所者4,887名))
(江面晃 新潟県要介護者歯科治療連携推進事業における調査に関する報告-特別養護老人ホームを対象
とした全身・口腔内状況、歯科治療診療の必要性及び病診連携の状況に関する調査、2000)
30
31
血清アルブミンの変化
食支援・
口腔機能向上訓練群
食支援群
N=22
4.5
N=17
**
4.5
4.0
***
4
g/dl
g/dl
3.5
**;p<0.01
3.0
3.5
***;p<0.001,
3
ベースライン
2ヵ月後
ベースライン
2ヵ月後
平成16年度厚生労働省未来志向研究プロジェクト(菊谷ら、老年歯学,2005.)
32
専門的口腔ケアが高齢者の健康や生活機能に与える効果
専門的口腔ケア
歯科治療
歯科保健指導
専門的口腔清掃
摂食機能訓練
歯牙喪失防止 ・ 咬合回復
自立
生活習慣病予防
要支援
咀嚼機能維持による低栄養の予防
嚥下機能維持による気道感染予防
発音改善、容貌回復、口臭改善に
よる閉じこもり予防(社会参加向上)
平衡機能維持による転倒骨折予防
要介護
栄養の改善によるADLの維持と食の楽しみによる生活機能の
改善
家族と一緒の食事により在宅継続の可能性を高める
肺炎の予防
要介護度悪化の防止
介護者の負担軽減
高齢者リハビリテーション研究会中間報告「高齢者リハビリテーションのあるべき方向」
(平成16年1月)(抜粋)
33
「8020」達成者・非達成者別1件あたりの点数(医科・歯科)
3,000
2,480
2,500
2,000
2,047
2,016
1,795
1,658
1,554
1,784
1,642
1,655
1,839
1,680
1,733
1,500
歯科
医科
1,000
500
0
達成者
非達成者
達成者
非達成者
達成者
非達成者
70~74歳 75~79歳 80歳以上
兵庫県歯科医師会・兵庫県国民健康保険団体連合会:8020運動」実態調査の報告に
ついて,2006
2005年5月診療分歯科レセプト数31,870件,医科レセプト数55,093件
34
後期高齢者の口腔保健の現状
○
高齢者の歯の保存状況をみると、80 歳で 20 歯以上を有する者の割合は、
ようやく 20%を超えたに過ぎず、後期高齢者の多くは義歯などによる口腔
機能の回復が必要となっている。
○
○
歯科治療はこれまで外来によるものがほとんどである。その歯科(外来)
受療率は、医科(入院・外来)の受療パターンと異なり、75 歳以上の後期
高齢者で急速に低下するという実態があった。
平成 18 年度から「口腔機能の向上」が介護保険制度上位置づけられたもの
の、施設入所者を中心とした重度者に対する対応は制度化されておらず、
こうした要介護高齢者、有病(入院)高齢者の口腔内状況が劣悪な状況に
おかれていることが指摘されている。
○
病院、要介護高齢者施設および在宅医療において、いずれも医科と歯科の
連携が不十分である。
35
後期高齢者に対する歯科治療および口腔ケアの意義
○ 「食べること」と発話・表情などを通した「コミュニケーション」を直接支
える口腔機能は、人がその人らしく生きていくために欠かせない機能であり
生涯における QOL の維持向上に深く関わる。
○ 後期高齢者の口腔衛生状態の改善と咀嚼能力の改善を図ることが、誤嚥性肺
炎の減少や低栄養および ADL の改善に有効であり、健康寿命の延伸に寄与す
る。
○
○
脳卒中患者への歯科的対応は、入院期間中の急性期からが効果的であり、
しかもそれは入院期間の短縮につながる。
歯数が多く、よく噛めている高齢者ほど健康で総医療費が低いという調査
結果が報告されており、高齢者の口腔機能を維持・増進することは、活力
ある健康長寿社会を実現するために不可欠な課題の一つである。
36
まとめ
1. 後期高齢者の健康寿命を延長するためには、口腔ケア(管
理)を含む歯科的介入がぜひ必要(医療連携を踏まえ)
2.特に誤嚥性肺炎や低栄養の予防のためにも口腔機能の向上
および義歯の装着・調整を含む維持管理などが必要
3.唾液分泌が減少し、極度に口腔乾燥が起き易い終末期にお
いては、特に口腔の維持管理が大切
4.後期高齢者の健康保持のためには、早い時期から歯の喪失
が防止されるようむし歯や歯周病の管理が必要
37
高齢者における医薬品の適正使用
と安全管理
虎の門病院
薬剤部長 林 昌洋
ヨシケン岩月薬局 薬剤師 岩月 進
高齢者薬物療法の特性と問題点
• 加齢とともに複数の疾患を合併することが多くな
る。このため、多剤併用が多くなり、重複投薬、薬
物間相互作用のリスクが問題となる。
• 視覚や聴覚機能の低下、嚥下障害などにより、
服薬の自己管理や服薬自体に支援が必要。
• 腎機能・肝機能の加齢による低下、体成分組成
(筋肉量減少・体脂肪比率増加等)の変化による
体内動態の変動がある。こうした生理機能の個
人差に対応した処方、調剤、服薬の管理が必要。
1
東大病院老年病科入院症例の投薬数加齢変化
(1995-1998年)
~
歳
以
下
上
以
歳
9 0 9歳
8
~
8 5 4歳
8
~
歳
80
79
~
7 5 4歳
7
~
7 0 9歳
6
~
6 5 4歳
6
~
6 0 9歳
5
~
5 5 4歳
5
~
5 0 9歳
4
~
歳
40
39
29
30
7
6
5
4
投薬数
3
2
1
0
年齢
退院時
入院時
2
鳥羽研二、他:日本老年医学雑誌、36、181-185、1999.
投薬数と薬物有害作用発現頻度
東大病院老年病科(1995-1998年)
発現頻度(%)
30
20
10
0
1
2~3
4~5
6~7
8~9
10以上
投薬数
3
鳥羽研二、他:日本老年医学雑誌、36、181-185、1999.
薬物有害反応の発現機序とその予測・対応性
Adverse Drug Reactions
不耐症・過敏症
Hypersensitivity
予測可能
β-刺激薬
による振戦
シベンゾリン
による低血糖
等
予知困難
副次反応
トログリタゾン
による
肝機能障害
NSAIDsによる
血管浮腫
Side Effects
アレルギー反応
予測可能
ジコキシン中毒
テオフィリン中毒
フェニトイン中毒
等
Allergic Reactions
中毒反応
Toxic Reactions
予知困難
中毒性表皮壊死症
薬剤性肝機能障害
(アレルギー性)
等
4
副作用の発現機序と高齢者の注意点
・ ‘副作用’は、その発現メカニズムから、4タイプに分類される。
・ 高齢者では、代謝・排泄などの生理機能の加齢変化により、
薬物の体内動態が変わり、副次反応(狭義の副作用)や中毒
反応に分類される副作用(広義の副作用:薬物有害反応)が
生じやすい。
こうした副作用は、薬理学的、体内動態学的に予知可能で
あるため、一人ひとりの経過を薬剤師がモニタリングすること
により対処可能となる。
・ アレルギーが関与する副作用や、個人的な過敏性(代謝酵
素欠損等)による副作用は予知は困難だが、初期の症状をと
らえて重篤化を防止できる。高齢者では、初期症状が目立た
なくなる傾向があり、薬の専門家が直接モニタリングしたり、
副作用の自己管理のための支援が必要。
5
入院患者に関する薬学的処方支援
と副作用の未然回避
Ⅰ.薬物療法開始前
》患者情報の評価
・ 投与禁忌
・ 慎重投与
》薬歴の評価
・ 重複する治療
・ 薬物相互作用
・ 薬物アレルギー歴
》処方の支援
・ 不適切な投与経路
・ 不適切な治療期間
・ 不適切な剤形
・ 適応外使用
・ 過剰費用となる治療
・ ガイドラインからの解離
6
入院患者の薬学的な患者モニタリング
と患者支援による副作用の重篤化回避
Ⅱ.薬物療法期間中
》有効性のチェック
・ 薬物動態モニタリング
・ 薬物と効果の解離
・ 患者満足度
》安全性のチェック
・ 副作用
・ 薬物相互作用
・ 薬物アレルギー
・ 薬物動態モニタリング
》患者支援
・ 治療意義の理解と選択・
参加の支援
・ 副作用回避への自己管理
の支援
・ 服薬の問題解決への助言
・ 必要な服薬カウンセリング
・ 不適切な自己治療の回避
7
薬剤部管理組織図と主な業務(院外処方発行前)
薬剤部長
副部長
分院薬局長
(9名)
調剤科長
(24名)
製剤科長
(7.5名)
・ 院内製剤
調剤主任
(消毒剤希釈滅菌)
・ 特殊製剤
・ 外来調剤
(非販売・倫理委経由)
・ 入院調剤
・ TPN無菌調剤
・ 院外処方監査 ・ 注射抗癌剤無菌調整
・ 服薬支援・管理 ・ 薬物血中濃度解析
補給科長
(7.5名)
・
・
・
・ 発注・納品管理 ・
・ 在庫管理
・
・ 麻薬管理
・
・ 注射調剤
・
・ 薬品補給
・
医薬情報科長
(4名)
問い合わせ応対
採用薬検討
薬剤マスター管理
医薬品集・月刊誌発行
妊娠と薬外来
製薬企業MR管理
院内副作用集計管理
副作用情報等伝達
8
虎の門病院 薬剤部 旧組織図より
薬剤部管理組織図と主な業務(院外処方発行後)
薬剤部長
副部長
分院薬局長
(11名)
調剤科長
(10名)
製剤科長
(7.5名)
補給科長
(7.5名)
病棟薬剤科長
医薬情報科長
(4名)
・
・
・
・
・
・
(13名)
服薬支援・管理
病棟薬品在庫管理
TDM等処方支援
相互作用・副作用回避
医師への検査・処方提案
医師への情報提供
9
虎の門病院 薬剤部 現行組織図より
処方支援による副作用の未然回避
と
病棟薬剤師による副作用の早期発見・重篤化回避
未然回避
処方支援
処方
調 剤
副作用の初期症状・
薬物体内動態の変化
による早期発見・対処
重篤化回避
副作用の重篤化
10
日本病院薬剤師会 副作用・相互作用等回避報告
薬剤師が、①薬物血中濃度の解析・予測と処方支援、
②薬物への個人の反応を確認し副作用対策立案、
③副作用の自己管理に関する助言、④薬歴管理、等の
薬学的な患者ケアを実践して、薬の副作用、相互作用
をはじめとした患者の安全管理に寄与した実例報告。
(社)日本病院薬剤師会が提案し収集している薬学的な
患者ケア実例報告。
11
施設数
薬剤管理指導承認・届出施設数推移
病棟薬剤業務実施施設数の推移
6000
5000
4000
3000
2000
1000
6
20
0
4
20
0
2
20
0
0
20
0
8
19
9
6
19
9
4
19
9
2
19
9
19
9
0
0
年度
12
薬剤管理指導料算定施設の集計より
副作用・相互作用回避報告の推移
件
12000
10000
8000
6000
4000
2000
0
度 年度度
度 年
度 度年度 度年度 度
度
度
年
年
4
1 002 003
0
9
0
0
0
9
0
0
0
9
年
24年 2 5年 2 6年
2年
2年
1
1
2
3
1
1
1
1
1
1
H
H
H
H
H
H
日本病院薬剤師会 副作用・相互作用回避報告の年次集計より 13
病棟薬剤業務実施施設数の増加
と副作用回避数の増加
・ 病棟における薬剤師業務は、多くの医療機関に普及、
定着している。
・ 2000年度以降、実施施設数の増加は定常状態に近づき、
業務として普及の段階から、内容の充実・成果の提供の
段階に入ってきている。
・ 病棟薬剤業務の成果の指標の一つとして、薬剤師による
副作用の未然回避と、副作用の早期発見、重篤化回避の
報告数は、著しく増加してきている。
14
重篤化回避事例の年齢別比較
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
上
代
以
0歳
90
80
歳
代
代
70
歳
代
歳
60
50
歳
代
代
40
歳
代
30
歳
代
歳
20
歳
10
歳
10
10
歳
未
満
代
0
日本病院薬剤師会 平成16年度 副作用・相互作用回避報告集計結果
(重篤化回避報告1,533件より)
15
副作用未然回避事例の年齢別比較
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
以
0歳
90
上
代
代
80
歳
代
歳
70
60
歳
代
代
歳
50
40
歳
代
代
30
歳
代
歳
20
歳
10
歳
10
10
歳
未
満
代
0
日本病院薬剤師会 平成16年度 副作用・相互作用回避報告集計結果
(未然回避報告5,811件より)
16
副作用・相互作用の発見者 (職種)
500
450
400
350
300
250
医師
薬剤師
看護師
その他
200
150
100
50
以
上
代
0歳
10
90
歳
代
80
歳
代
70
歳
代
60
歳
代
歳
50
40
歳
代
30
歳
代
20
歳
代
10
歳
満
未
歳
10
代
0
平成16年度プレアボイド報告DBから n=1,581
17
副作用などの発見の端緒
450
400
薬歴
350
300
250
副作用自己管理の助言
検査値
200
150
症状変化・訴え
100
薬物血中濃度
50
0
10
歳
未
満
1
0歳
代
2
0歳
代
3
0歳
代
4
0歳
代
5
0歳
代
6
0歳
代
7
0歳
代
8
0歳
代
9
0歳
代
平成16年度プレアボイド報告DBから n=1,581
18
副作用未然回避事例の措置の年齢別比較
1400
1200
1000
800
変更
追加
増量
中止
減量
600
400
200
0歳
以
上
代
歳
10
90
80
歳
代
代
歳
70
60
歳
代
代
歳
50
40
歳
代
代
30
歳
代
歳
20
歳
10
歳
未
満
代
0
10
件数
日本病院薬剤師会 平成16年度 副作用・相互作用回避報告集計結果
(未然回避報告5,811件より)
19
副作用重篤化回避事例の措置の年齢別比較
180
160
140
その他
原因特定
増量
追加
経路変更
用法変更
薬剤変更
休薬
中止
減量
120
100
80
60
40
20
以
上
代
0歳
10
90
歳
代
80
歳
代
70
歳
代
60
歳
代
50
歳
代
40
歳
代
30
歳
代
20
歳
代
10
歳
10
歳
未
満
0
20
平成16年度プレアボイド報告DBから 措置解析590例から
病棟薬剤業務実施と副作用回避数の解析より
・ 副作用を発見した職種は薬剤師が多く、発見の発端は、
患者の症状の変化・訴え、薬物血中濃度、検査値、薬歴
など、患者に面談している薬剤師の職能によるものが多
かった。
・ 高齢者の加齢変化に留意し、副作用を未然回避する
場合の措置は、中止が最も多く、減量がこれに次いで
おり、副作用の重篤化回避とともに薬品費の節減にも
寄与していると考えられる。
・ 高齢者に発現した副作用への措置は、中止が最も多く、
減量、休薬を含めて過半数に達し、副作用の重篤化回
避とともに薬品費の節減にも寄与していると考えられる。
21
急性期病院における副作用重篤化回避
具体例
患者面談→副作用の初期症状確認
→血中濃度検査提案→薬物減量提案
22
◆患者情報
80歳代、男性、現疾患:気管支喘息、
合併症:前立腺肥大、慢性胃炎
肝機能障害(+) 腎機能障害(-)
副作用歴(-) アレルギー歴(-)
飲酒(-) 喫煙(-) 身長 134cm 体重 36kg
◆入院目的 : 入院目的:嘔吐による脱水症状治療
◆処方情報 :
テオフィリン徐放錠200mg
塩酸アンブロキソール錠15mg
オオウメガサソウ他合剤
テプレノンカプセル50mg
2T
3T
6T
3C
2×
3×
3×
3×
23
【臨床経過】
(day1) 嘔吐による脱水の精査・加療目的で入院。
〔病棟薬剤師〕 持参薬、患者症状よりテオフィリン中毒を
疑い血中濃度測定を医師に依頼。
(day2)
テオフィリン血中濃度 23.2μg/mL
〔病棟薬剤師〕 担当医へ、テオフィリン血中濃度が中毒
域であることを報告。テオフィリンの減量を提案。
〔担当医〕テオフィリン 200mg/日への減量を指示。
(day4) 嘔気,嘔吐の消失。
〔病棟薬剤師〕患者面談。喘息症状のないことを確認。
(day32) テオフィリン血中濃度 11.6μg/mL
24
療養型病院等における副作用遷延化回避
具体例
患者面談→副作用の初期症状確認
→経過確認依頼→薬物中止・変更提案
25
◆患者情報
80歳代、女性
腎機能障害(-),肝機能障害(-),
副作用歴(-),アレルギー歴(-)
◆入院目的 : リハビリテーション
◆処方情報 :
リスミー錠2mg
レンドルミン錠
テトラミド錠
1錠 1X
1錠 1X
1錠 1X
眠前
眠前
眠前
ガスターD錠10mg
ラニラピット0.05
1錠 1X 眠前
1錠 1X 朝食後
26
【臨床経過】
(day1) リハビリテーション目的で転院。
〔病棟薬剤師〕 持参薬を確認すると、眠剤として複数の薬剤
が調剤されていた。
面談すると、患者はボーとしている印象があった。
患者の家族と面談した際に確認すると家族の印象も
同様で「面会に来ても、寝ていることが多いが大丈夫か」
との相談を受けた。
高齢で、痩せ型の体系であり、眠剤の持ち越し効果
が影響している可能性が考えられた。
看護師に、夜間と日中の患者の観察を依頼した。
(day14)
入院後二週間の看護師の観察では「昼夜逆転の傾向
あり。」との回答が得られた。
次項へ
27
【臨床経過】
前頁より
(day15)
〔病棟薬剤師〕 短時間作用型の眠剤リスミーとレンドルミン
が処方されているが、高齢者の睡眠リズムに配慮して、
長めに作用する眠剤への処方変更を提案。
〔担当医〕 リスミー、レンドルミン、テトラミドを中止として、
新たに、 ロヒプノール1mg 1錠 1Xを処方。
(day21) その後、昼夜逆転傾向は改善し、昼間の顔つきや応対
がしっかりしてくる。
日中うなだれがちだった状態も改善し、背筋がピント
伸びリハビリにも積極性が認められるようになる。
28
副作用・相互作用回避の経済効果について
◆ 副作用・相互作用の回避は薬物療法自体の
リスクマネージメントであり、安全確保という具
体的な効果を有している。
◆ さらに、副作用・相互作用の回避は医療経済
への効果が期待できる。
① 副作用に対する治療費の節減
② 入院期間延長による患者負担の軽減
③ 副作用の原因薬剤削減による薬品費軽減
29
海外論文に報告された副作用の管理コスト
# 副作用に関連するコスト = 3,244$/事象
# 推定コスト
= 560万$/年
Bates,et,al. JAMA , 277:307;1997
30
副作用の早期発見と被疑薬推定、処方提案
(我が国における副作用管理コストの試算)
臨床経過
7/12 AST36,ALT135と上昇
薬剤師が検査値モニターにより副作用の可能性を発見し、服
用中の薬剤の医薬品情報を調査し、服用中の薬剤で薬剤性肝
障害の頻度が高いのはランソプラゾールであることを医師に伝
え、処方変更を協議した。
7/13 ランソプラゾールからファモチジンに変更
7/15 AST 21,ALT 98となった
7/19 AST23と正常化.ALT68と低下
31
薬剤性肝障害の治療にかかった医療費調査
副作用重
篤度分類
肝障害の
重篤化防止
2
2
入院治療
日数
医療費
43
¥178,000
¥266,000
外来治療
日数
医療費
2
3
¥472,000
¥638,000
16
副作用重 入院治療
篤度分類
日数
3
3
外来治療
日数
23
26
治療法:肝庇護剤、輸液等の投与
32
・ 高齢者の薬物療法では多剤併用が多く、重複投与や
薬物相互作用が発現しやすく安全管理が重要。
・ 高齢者は、生理機能の加齢変化により、副作用、相互
作用が発現しやすく安全管理が重要。
・ 急性期病院、療養型病床ともに、チーム医療の中で、
薬剤師は薬物療法の安全管理機能を担っており、今後
もこうした職能を評価すべき。
・ 安全な薬物療法を推進するには、院内における職種
間連携とともに、病院薬剤師と保険薬局の薬剤師の
連携が重要となる。
33
薬局薬剤師の立場から
調剤
薬学管理
調 製
z
z
z
z
z
自家製剤
計量混合
一包化
無菌製剤 ほか
z
z
z
z
併用薬の確認
アレルギー歴、副作用歴の確認
重複投薬・相互作用の防止
(薬-薬、薬-サプリメント)
日常生活の確認
服薬管理者の確認 ほか
34
高齢者の薬物療法の特性と問題点
①
加齢とともに…
• 合併疾病数の増加
平均疾患数 7.7 (78.3歳)※1
↓
• 多科受診の機会の増加
多科受診率 49.7%※1
↓
重複受診率 9.5%※1
↓
• 使用薬剤種類数の増加
4.63種類/件※2
↓
• 薬物有害作用の発現頻度の増加
※1. 寳滿誠、松田晋哉.福岡県の某健康保険組合における老人保健制度医療対象レセプト
の解析(日本公衛誌、2001)
※2. 平成17年社会医療診療行為別調査(厚生労働省)
35
36
出典:社会保障審議会医療保険部会(平成15年11月10日資料より)
薬剤種類数の状況(入院外)
100%
8.7%
13.1%
20.4%
17.0%
29.9%
50%
25.9%
48.3%
36.7%
7種類以上
5~6種類
3~4種類
1~2種類
0%
一般医療
老人医療
37
出典:平成17年社会医療診療行為別調査(厚生労働省)
重複受診者の状況
30%
20%
16.6%
15.6%
14.8%
15.3%
10%
8.6%
4.9% 4.4%
0%
0~
3.3%
4.5%
11.6%
10.2%
11.3%
5.9% 5.4% 5.3% 6.0% 5.3% 5.8%
5~ 10~ 15~ 20~ 25~ 30~ 35~ 40~ 45~ 50~ 55~ 60~ 65~ 70~ 75~ 80~ 85~
年齢階級
38
出典:平成9年度診療状況実態調査報告(厚生省保険局)
高齢者の薬物療法の特性と問題点
②
• 視覚や聴覚の機能低下、認知症など
↓
• 薬についての理解が得られにくく、服薬拒否も
• 薬の副作用など、症状を適切に訴えることが困
難な場合も
• 嚥下障害対応や外用薬の使用に配慮が必要
39
高齢者の薬の飲み残し(入院外)
100%
7.1%
5.6%
7.1%
3.8%
36.4%
36.9%
29.5%
30.9%
32.0%
44.4%
49.2%
49.1%
39.4%
43.3%
10.7%
10.8%
12.1%
14.2%
14.2%
16.1%
1種類
2種類
3種類
4種類
5種類
6種類以上
6.4%
50.9%
4.3%
45.5%
50%
0%
無回答
ない
たまにある
よくある
処方されている薬の種類
40
出典:平成17年「高齢者と薬」全国老人クラブ連合会女性委員会モニター調査
高齢者におこりやすい症状の
主な原因となる薬剤
•
•
•
•
•
•
•
錯乱状態 ← 催眠剤、精神安定剤、抗うつ薬
うつ病 ← メチルドパ、レセルピン
転倒 ← 催眠剤、精神安定剤
起立性低血圧 ← 降圧剤、利尿剤、催眠剤
便秘 ← コデイン、利尿剤、排尿障害治療剤
尿失禁 ← 利尿剤、催眠剤
パーキンソン様症状 ← 向精神薬
41
薬剤が生活機能に与える影響
42
出典:薬剤師による食事・排泄・睡眠を通した体調チェック・フローチャート(日本薬剤師会)
相互作用の発見事例
科目
消化器科
神経内科
呼吸器科
薬剤名
パリエット
錠
ガスモチン
錠
カマ
フェロミア錠
セルベックス
ムコソル
バン錠
エリスロ
シン錠
ボルタレ
ンSR
ムコダイ
ン錠
イトリゾール
服用
朝食後
毎食後
毎食後
毎食後
毎食後
毎食後
朝夕食後
朝夕食後
毎食後
朝→夕食後
7月22日
●
●
●
8月 3日
↓
↓
↓
8月19日
●
●
●
●
↓
8月24日
↓
↓
↓
↓
↓
●
●
●
●
9月 7日
↓
↓
↓
↓
↓
●
●
●
●
◆9月7日
●
◆服用時点
変更
呼吸器科からイトリゾールカプセルが処方された。
■呼吸器科のエリスロシン錠との相互作用と、消化器科のパリエット錠との相互作用につき疑義照会
【疑義照会】①エリスロシン錠との併用により代謝酵素阻害のため、イトリゾールの血中濃度が上昇
②パリエットとの併用により酸分泌量低下のため、イトリゾールの消化管での溶解性が低下し吸収が低下
【回
答】①エリスロシン錠の問合せ事項は処方せんのとおり
②イトリゾールは、パリエット錠と服薬時点を変更する(朝⇒夕食後)
43
重複投薬の発見事例
市民病院
科目
診療所(整形外科)
脳外科
消化器科
呼吸器科
薬剤名
スミルスチック
ロキソニン錠
セルベックス
ゾーミックRM
スミルスチック
セレキノン錠
クラビット錠
セルベックス
服用
腰部塗布
毎食後
毎食後→取消
屯用
取消
毎食後
毎食後
毎食後
8月21日
●
8月29日
↓
●
◆(重複)
10月11日
↓
↓
●
●
●
10月13日
↓
↓
↓
↓
↓
▲(重複)
◆8月29日
B市民病院脳外科からスミルスチックが処方された。
重複のため疑義照会した結果、市民病院の処方薬が取り消しとなった。
▲10月13日
診療所からセルベックスが処方された。
重複のため疑義照会した結果、診療所の処方薬が取り消しとなった。
44
重複投薬の防止事例①
• G整形外科で処方されたロキソニン(消炎鎮痛剤)とソロ
ン(消化性潰瘍用剤)を服用中の患者に、T皮膚科でアレ
グラ(抗アレルギー剤)とソルニラート(消化性潰瘍用剤)
が処方されたが、ソロンとソルニラートは同一薬効のため、
T皮膚科に疑義照会。ソルニラートが処方削除に。
• M病院泌尿器科でハルシオン0.25mg(睡眠導入剤)が
処方されていた患者に、同M病院内科からハルシオン
0.25mgが処方されたため、内科に疑義照会。処方削除
に。
• K病院内科で処方されたジスロマック(抗生剤)を服薬中
の患者に、同病院歯科からジスロマックが処方されたた
め、疑義照会。処方削除に。
45
重複投薬の防止事例②
• T泌尿器科で処方されたクラビット(抗生剤)を服用中の
患者に、K病院呼吸器科よりアベロックス錠(抗菌剤)が
処方され、K病院に疑義照会。アベロックス錠が処方削
除に。
• A内科で処方されたベザトールSR錠(抗高脂血症)を服
薬中の患者に、メバロチン(同)が追加処方されたが、併
用禁忌のため疑義照会。処方削除に。
• K病院内科で処方されたドルナー錠(抗血栓)を服薬中
の患者に、同病院整形外科よりプロレナール(血管拡張
剤)が処方されたが、疑義照会の後、整形外科のプロレ
ナールが処方削除に。
46
重複投薬の傾向
• 内科と歯科 → 抗生物質
• 耳鼻科と内科 → 抗アレルギー剤
• 内科と皮膚科 → 睡眠導入剤
• 内科と精神科 → 向精神薬
• 先発医薬品と後発医薬品
47
高齢者における医薬品の適正使用
と安全確保のために
• 地域における高齢者の医薬品の一元的管理が必須
¾どこの医療機関(診療科)にかかっても、同一薬
局を利用することで実現可能
¾薬歴の活用
¾訪問薬剤管理指導(在宅患者が対象)
¾介護保険利用者については、地域包括支援セン
ター・居宅介護支援事業所(ケアマネジメント担当
者)との連携
48
在宅における服薬管理業務
薬剤の保
管状況の
確認
•他の家族の医薬品との区分
•点眼薬と皮膚疾患の外用薬と間違えない工夫
•不衛生になっていないか
•保管場所の温度は大丈夫か、遮光のものが陽射しを浴びていないか
•吸湿性のある薬剤の保管状況等
•麻薬の管理
服薬状況
の確認
•正しく服用できているか(PTPから取り出せるか、飲み間違いはないか?)
•外用薬の正しい使用ができているか、
•独居の方の背中等のシップ・軟膏の塗布ができているか
•リウマチ(手の関節の変形)、パーキンソン病(振戦)
•点眼薬の点眼ができるか(らくらく点眼の利用等の検討)
服薬の援
助と工夫
•「お薬の飲み忘れ・飲み間違いはありませんか?」…声かけ
•おくすりカレンダーの利用
•服薬管理を行う施設の職員の状況を勘案して、ショートステイ・デイサー
ビス(デイケア)利用者には必ず声をかける。…一包化の工夫等
•外用薬の使用の確認[湿布、軟膏等]…家族や訪問介護士との連絡
•一包化の検討・実施
•粉砕(嚥下困難者 経管患者)
•トロミ剤の活用
49
在宅における医薬品の適正使用例
• アリセプト錠(認知症薬)とレンドルミン錠(睡眠導入剤)を
服薬中の患者が、錠剤を服用困難となったため、それぞ
れD錠(口腔内崩壊錠)に変更された。
• 変更後、下痢(便失禁)、不眠、振戦、徘徊症状が発現し
たことを、介護職より薬剤師が聴取。
• アリセプト錠の副作用の疑いがあり、D錠変更によるアリ
セプトの吸収向上の可能性を医師に伝達
• アリセプト錠5mgから3mgに減薬となり、副作用症状の消
失、QOLの改善と介護負担の軽減に結びついた。
↓
各専門職との連携と情報共有
50
在宅における医薬品管理の実例
患者Aさん(女性)
病院(心療内科)
処方薬 7種類
診療所(内科)
処方薬 4種類
介護ヘルパーは入っているが、薬は自己管理にてこのような状態だった。
51
73日分の処方薬をはじめ、これまで服用していた薬剤も雑多に混在していた。
52
後日、他科受診で14日分が処方される。処方医に疑義照会を行い、
73日分処方も合わせて一包化した。
53
高齢者の状況
• 一人暮らしの高齢者の動向(平成12年現在)
男性
女性
74.2万人(高齢者人口に占める割合 8.0%)
229 万人(高齢者人口に占める割合 17.9%)
(平成18年版高齢社会白書)
• 高齢者の家族形態
ひとり暮らし
夫婦のみ
子と同居
その他
18.6%
38.6%
39.2%
3.6%
(平17「高齢者と薬」全国老人クラブ連合会女性委員会モニター調査)
54
在宅医療における多職種、多施設の関わり
医 師
介護職種
歯科医師
介護支援
専門員
患 者
OT,PT他
薬剤師
看護師
→ 多職種、多施設との連携が不可欠(医療、介護)
55
後期高齢者医療における薬物治療
に係る評価について
• 高齢者の医薬品の一元的管理の評価が
必要
• 在宅高齢者の療養状況や療養環境等に
応じた、きめ細かい服薬管理業務の評価
(プロセスの評価)が必要
56
社会保障審議会
第4回後期高齢者医療の在り方に関する特別部会
在宅療養支援診療所の現状と課題
仙台往診クリニック
川島 孝一郎
1
在 宅 医 療
24時間
24時間の内部で仕事を行い
その24時間全体に影響を与える
2
ゲ
シ
医師
ュ
タ
ル
ヘルパー
ショート
ステイ
薬剤師
生活者
入浴
サービス
ケアマネ
看護師
行政
ト
「全体」は
部分の総和
とは異なる
全体としての
性質を持つ:
家風・絆の中
での医療
内部から全体の平衡状態を維持して行く
3
A さん宅
Dr
B さん宅
Dr
A さん色に染まる
Dr
B さん色に染まる
Dr
4
在宅
病 外
棟 来
外
来
病院
(9:00~17:00型)
診療所
(9:00~17:00型)
救急・急性期
高度医療
療養型
病
棟
外 来
軽症在宅
外
来
重症型
24時間365日対応型
重症在宅
5
在宅
重症型
病院
重症型
軽症型
診療所
従来型
(9:00~17:00)
療養型
いずれも2極構造化
重症型
在宅療養支援
診療所
(24時間365日)
6
a)
b)
c)
回復可能
現状維持
回復不能
⇒ 治癒して帰す
⇒ 病状の平衡状態を見極めて帰す
⇒ 生活の中で看取ることを視野に入れて帰す
この3点の収束するところが
病院医に課せられた重要な目的となる
『病院死を極力回避する』・『説明責任を果たす』
病院医に対する在宅療養支援診療所の
周知の徹底(同時に国民にも周知)
7
後期高齢者の特徴
◎ 生きられる時間が短い
◎ 残された時間をどのように有意義に
生きたいかという生き方の呈示が重要
◎ いかに良く生きたか、
の結果としての看取り
【 若年者はまず生きること
(生命の保持)が使命 】
8
(介護保険・自立支援・県単独制度・生保等)
(自然死・胃瘻経管栄養・IVH)
(在宅酸素・気切・在宅人工呼吸・自然死・ QQ ICU )
(自然死・ QQ ICU )
急 変
救急車を呼ぶ
(延命を承諾)
救急車を呼ばない
支援診Drが診る
看 取 る
死亡
完全治癒
不完全に生き残る
家族介護負担↑↑
入院
それでもやはり生きたいなら
救 急 車 O K
(自然死・ QQ ICU )
穏 や か
大往生
天寿を全う
9
10
Nonreversible process cascade の概念
協議期間
する
Point of no return
生き方の変容
経管栄養
し
な
い
する
気管切開
し
な
い
つける
人工
呼吸器
つ
け
な
い
心マッ
サージ
し
な
い
する
生命の
限界
生存時間
看取り
11
病
院
中
医療依存度
入院
止
止
Ns
介護依存度
中
Dr
終末期
安定期
移行期
入院・
外来
在宅ケア
在宅医療
ケアマネ
生活者
ヘルパー
行政
ショート
入所
地域ケア
12
後期高齢者モデル
私は87歳、5年前に脳出血のため寝たきりの状態になりました。 80歳の妻と二人暮しです。糖尿病、狭
心症も合併、1日2回の血糖値測定、インスリン注射を必要としています。一時は気管切開も検討されましたが、妻が反対(私ももちろ
ん嫌)、吸引が命綱になっています。妻も年なので、全日訪問介護を利用しています。要介護5の認定を受け、身体障害者手帳1級を
持ち、支援費制度も利用しています。現在の私の生活を紹介しましょう。
たまには妻も
リフレッシュさせてあげたい
1週間位のショートステイというものが
あるらしいが、してみようかな?う~ん
でも家を離れるのは初めて
ものすごく不安なのだ!
酸素濃縮器を使用中
残念ながら唾液さえ飲み込むことができません
①鼻腔②口腔から吸引を必要としています
吸引回数は5~6分に1回位
頭の中は実ははっきり
しかしハイしか言えないのが
はがゆくくやしいのである
私のエネルギー源
腸瘻への経管栄養注入は1日2回
(注入ポンプ使用)
ヘルパーさん
(介護保険・
自立支援法派遣)
外出はリクライニング
車椅子とリフトカーが必要
毎日24時間
常に私の側にいてくれます
吸引もマスターしています
薬局
私の楽しみ ⇒ 週2回の入浴サービス
昔の様に湯治場で温泉につかりたいなあ
お薬は調剤薬局の薬剤師さんが
配達してくれます
主治医のK先生(在宅医療専門の先生)
毎週木曜日が定期訪問ですが、
看護師さん
月1回歯科医師による訪問も利用
※介護保険のサービスは
ケアマネージャーが調整
具合が悪い時には、電話1本で
①月・木 11:00~12:00
すぐに診察にかけつけてくれます
バイタルサインのチェック、血糖値のチェック
摘便、尿カテーテル交換等を担当
②拘縮予防の為週2回訪問リハビリテーションを受けています
13
24/45
※
53%
連携事業所数
訪問看護
ステーション
2003年10月21日
仙台往診
クリニック
調剤薬局
7
居宅介護
支援事業所
74/188
39%
※
※
平成15年4月仙台
市登録事業所数
22/123
※
18%
訪問介護
ステーション
訪問入浴
10/14
※
7
1%
14
訪問薬剤指導の開始
薬剤師への負担増
一包化・服薬指導・服薬カレンダー
(胃瘻経管栄養・IVHの調剤)
粉末化
麻薬管理・頻回訪問
◎調剤時間の増大
後期高齢者の1/3はがん
◎患者・家族の
精神状態への配慮
◎監査時間の増大
(外来調剤の10倍)
穏 や か
◎麻薬・抗がん剤等高額な薬剤の在庫増
大往生
◎夜間・休日の緊急対応
天寿を全う
15
1,182名/9年
4%
7%
116名10%
個人 8%
紹介元=後方病院
30%
5%
2%
4%
2%
115名10%
211名18%
東北大学病院
仙台厚生病院
国立病院機構仙台医療センター
仙台市立
西多賀医療センター
東北労災
その他の病院・医院
仙台オープン
東北公済
仙台社会保険
16
在 宅 底 上 げ 案
在 宅 橋 頭 堡 案
1万
箇所
17
現状の看取り数と目標値に対する割合・例
【北陸・中部・東海】
在宅死の割合
2004
推計死亡者数
目標値
(上限25%)
総数
(2014年)
全国
14.5%
24.5% 1,334,108
新潟
18.9%
25.0%
富山
12.6%
石川
在宅+
老人ホーム
(目標達成時)
届出件数
平均20人を
看取る在宅 目標値に対す
支援診療所
る現数割合
数
327,434
9,123
16,393
55.7%
29,294
7,324
80
367
21.8%
25.0%
12,960
3,240
27
162
16.7%
13.5%
25.0%
12,524
3,131
85
157
54.1%
福井
16.0%
25.0%
9,273
2,319
29
116
25.0%
山梨
15.2%
25.0%
9,758
2,440
28
122
22.9%
長野
20.1%
25.0%
25,679
6,420
197
321
61.4%
岐阜
15.5%
25.0%
22,791
5,698
117
285
41.1%
静岡
16.5%
25.0%
39,486
9,872
175
494
35.4%
愛知
12.7%
25.0%
66,764
16,691
381
835
45.6%
全国の値は、全都道府県の総和
在宅死の目標値は、都道府県ごとの目標達成時の死亡者数から逆算
18
後期高齢者医療について
全国国民健康保険診療施設協議会常任顧問
公立みつぎ総合病院事業管理者
山
口
昇
高齢者医療の特性と留意点
○
○
○
○
○
○
○
○
○
高齢者は多病で、一人で多数の疾患を有している、中でも循環器疾患、特に脳血管
障害が多い
高齢者は多病であるにも拘らず、夫々が臓器別に診られていて、総合的視点が不足
している(総合医療専門医の不足)
急性期医療(救命)後、障害をもつケースが多い
高齢者には急性期のあとの回復期から慢性期にかけてのケアが必要
→ 病院における急性期医療と在宅医療の間の医療を如何するか
→ しかもこれらの各ステージの移行期には空白(欠落)部分があってはならない
(医療の継続性)
廃用症候群や要介護状態になる可能性が高く、これらの予防が大切
高齢者のリハビリは、PT・OT・STが適切に組み合わされて総合的・一体的に
提供されることが望ましい
高齢者には医療と介護(場合によってリハビリ)を同時提供することが必要なケー
スが多い(医療と介護の連携)
→ 総合医療の必要性
終末期医療(ターミナルケア)をどうするか
高齢者にこそ地域包括医療(ケア)が望まれる
→ 新医師臨床研修制度(プライマリケアの重視、地域保健・医療の必修化)の意義
地域包括医療認定制度(国診協・全自病)→プライマリケア科の標榜
地 域 包 括 医 療 (ケ ア) と は
○ 地域に包括医療を、社会的要因を配慮しつつ継続
して実践し、住民のQOLの向上をめざすもの
○ 包括医療(ケア)とは治療(キュア)のみならず
保健サービス(健康づくり)、在宅ケア、リハビ
リテーション、福祉・介護サービスのすべてを包
含するもので、施設ケアと在宅ケアとの連携及び
住民参加のもとに、地域ぐるみの生活・ノーマラ
イゼーションを視野に入れた全人的医療(ケア)
○ 地域とは単なる Areaではなく
Communityを指す
(山 口
昇)
公立みつぎ総合病院を核とした地域包括ケアシステム
(保健・医療・福祉の連携・統合システム)
行
政
広島県尾三地域事務所
保
健
所
地域包括支援センター
保健福祉セ ン ター
歯科保健センター (行政)
いきいきセンター(介護予防)
(運動・栄養・口腔)
居宅介護支援事業所
ヘルパーステーション
公立みつぎ
総合病院
急性期病棟(ICU)
(一般棟・認知症専門棟)
居宅介護支援事業所
デイサービスセンター
リハビリテーションセンター(診療所)
地域リハビリテーション広域支援センター
回復期リハ病棟
ケアハウス
緩和ケア病棟
グループホーム
老人性認知症センター
在
地域住民
老人保健施設
特別養護老人ホーム
療養病棟
訪問看護ステーション
保健福祉総合施設
宅
医師会、歯科医師会
他
病
院
社会福祉協議会
障 害 者 通 所 施 設(授産場)
福祉人材研修センター
救護施設
他市国保診療所
及び介護施設
国保直診(直営診療施設)のめざすもの
○ 国保直診とは予防と治療の一体化をめざして開設された
自治体病院・診療所
○ 理念 : 地域包括医療(ケア)の実践と
地域包括ケアシステムの構築
○ 治療中心の医療から、保健・介護・福祉とも連携する包括
医療(ケア)を実践
○ 病院や診療所を中心として、健康管理センター(保健福祉
センター)を併設し、これらを拠点として介護施設等をも併設
して、在宅ケア(訪問看護、訪問リハビリ)、健康づくり、
介護予防(寝たきりゼロ作戦)も併せ実施
○ 地域完結型の地域包括ケアシステムを構築
○ 地域住民のニーズに応える医療、リハビリ、介護を提供
国保直診活動の概念
利用者(在宅)
他病院
診療所
国
治 療
(キュア)
入院
外来
国保健康管理
センター
保
直
診
活
動
地域包括医療(ケア)
保健福祉事業
国保総合
保健施設
保健福祉
センター
在宅医療(ケア)
訪問診療
( 訪問看護・介護
訪問リハビリ )
訪問看護
ステーション
療養型病床群
( 医療型・
介護型 )
介護保険
施
設
老健施設
デイケア
グループホーム
ケアハウス
(新しい住まい)
特
養
デイサービス
センター
国保直診を核とする地域包括 ケ ア シ ス テ ム
利
地域包括支援センター
健康管理センター
保健福祉センター
用
者(
在
宅
国 保 直 診
)
かかりつけ医
(診療所)
他病院
(病院・診療所)
居宅介護支援
事業所
訪問看護ステーション
ヘルパーステーション
介護保険施設
(老健、特養)
グループホーム
ケアハウス等
介護サービス事業所
地域リハビリ
広域支援センター
( 山 口 )
地域包括ケアシステムの流れ
保 健
健康づくり
一次予防
医 療
一次予防
(健康づくり座談会)
二次予防
(健康診査、事後指導、
保健指導)
急性期医療(ICU等)
回復期リハビリ病棟
緩和ケア病棟
療養病棟
リハビリセンター
公立みつぎ総合病院
公立みつぎ総合病院
保健福祉センター
診 療 所
介 護
老人保健施設(デイケア)
特別養護老人ホーム
グループホーム
ケアハウス
デイサービスセンター
地域包括支援センター
居宅介護支援事業所
介護予防センター
公立みつぎ総合病院
診 療 所
(保健福祉総合施設)
訪問看護ステーション
ヘルパーステーション
在
宅
(御調町)
福 祉
救護施設
障害者授産場
他
住民ボランティア
保健福祉センター
社 協
(福祉・介護)
地域包括ケアの概念
福祉事務所
福祉センター
行
訪問介護
通所介護
短期入所
保健所
保健センター
健康管理センター
政
地域包括支援センター
(在宅介護支援センター)
居宅介護支援事業所
訪問看護(ステーション)
訪問リハビリ
在宅緩和ケア
地域リハビリ
広域支援センター
グループホーム
介護
老人保健施設
回復期
リハビリ病棟
緩和ケア
病棟
地域密着型
サービス
特別養護
老人ホーム
ボランティア
療養病床
病 院
診療所
(施設)
(施設)
住 民
(利用者)
(在宅)
新しい住まい
ケアハウス
(在宅)
(在宅)
介護予防
センター
(保健・医療)
地域包括ケアシステムの概念
医 療
保 健
(健康日本21)
(健康フロンティア戦略)
(ハード)
保健(福祉)センター
医療法改正
医療制度改革
医療計画
病
院
介 護
福 祉
介護保険法
介護保険
制度改革
他
障害保健福祉
(自立支援法)
老人福祉
児童福祉 他
介護保険施設
障害福祉施設 等
健康管理センター
ケアハウス 等
診 療 所
(総合保健施設)
救命・救急
介護 ケアマネジメント
一次予防
(ソフト)
治療(一次・二次・三次) 介護予防 他(新予防給付、地域支援事業)
新予防給付、地域支援事業
二次予防
リハビリテーション
三次予防
(急性期、回復期)(維持期、地域リハビリ)
地域リハビリ
在宅ケア
在宅医療
ケアマネジメント
(ターミナルケア)
ターミナルケア
新医師臨床
( 住民参加 )
研修制度 他
ケアマネジメント
訪問サービス
通所サービス
( 住民参加 (ボランティア))
「線」へ、
「線」から
「面」へ(
地域連携 )
「点」
「線」
「線」
「面」
(システム) 「点」から
地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム
地 域 ぐ る み の 包 括 ケ ア 体 制
地域完結型の地域包括ケアシステム
○ 地域に保健・医療・リハビリテーション・介護・福祉
のサービス提供体制(ハード、ソフト)と連携システ
ムがあること
○ 状態像に応じた必要なサービス提供が可能なこと
○ 医療機関の役割(機能)分担と連携
○ 医療施設と介護施設との連携
○ 施設ケアと在宅(自宅、居住型施設)ケアとの連携
○ 点から線へ、線から面へ
ネットワークの構築
○ 全人的医療
○ 地域住民のニーズに応えられる保健・医療・介護・福祉
地域完結型の地域包括医療(ケア)システムのイメージ
機 能 分 担 と 連 携
B病院
(がん)
A病院
(脳血管)
C病院
(心疾患)
緩和ケア病棟
(ホスピス)
かかりつけ医
かかりつけ医
かかりつけ医
E病院
(回復期リハ)
かかりつけ医
住 民
(利用者)
かかりつけ医
かかりつけ医
D病院
(療養型)
かかりつけ医
かかりつけ医
介護施設
地域包括
支援センター(行政)
(保健・医療・介護・福祉)
中小病院
地域包括ケアシステムの問題点
○ 「人」と「金」
○
○
○
○
○
○
○
○
マンパワーの確保
財 源
保健・医療・福祉の連携(機構改革)
再編・統合
施設ケアと在宅ケアの連携
首長の理解とやる気
拠点の有無
保健・医療関係者と福祉関係者の相互理解と連携
住民の協力と参加
ハードとソフトの連携
介護保険制度との関わり
高齢者医療の最近の状況
○
○
後期高齢者については今後独立した新制度を創設
後期高齢者医療の在り方については社会保障審議会特別部会で検討
(H18.10)
○ H.18の診療報酬改定で療養病床の大きな制度改正を実施
・療養病床38万床を15万床に
・介護型は今後6年間で廃止
→ 老健施設等に転換
・医療型は、医療区分(1~3)と、ADL区分(1~3)
により9類型化
→ 両者の間には整合性がない部分があり、現場は困惑
→ 退院後、療養する場がないケースが出ないか
→ 急性期病床に転換するものもあり
○ 介護に関しては介護保険で対応
○ 在宅医療の重視
(在宅にシフト(在宅療養支援診療所の新設)、医療と介護の連携)
高齢者医療の入院から在宅医療まで
急 性 期
入院医療
在
医
?
回復期リハビリ病棟
・
緩和ケア病棟
・ 療養病床
・ 新高齢者病床
(国診協案)
宅
療
・在宅療養支援診療所
・中小病院
(介護型廃止)
(医療型の今後は?)
高齢者医療の流れ
亜急性期
在
慢
(療養病床)
回 復 期
(回復期リハビリ病棟)
急 性 期
性
期
終 末 期
介護施設
(老健施設)
緩和ケア
病 棟
宅
状態像の各ステージにおける医療
宅
在
施 設
慢性期
回復期
亜急性期
急性期
在宅療養支援診療所
往診・訪問診療
訪問看護・訪問リハビリ
訪問介護
通所リハビリ・通所介護
療養通所介護
介護保険施設(老健、特養)
ケアハウス・グループホーム
有料老人ホーム
新高齢者病床
(介護型廃止の方向)
療養病床 (医療型)
緩和ケア病棟
回復期リハビリ病棟
亜急性期病床
急性期病院
特定機能病院
( 山 口 )
後期高齢者医療のあり方(ポイント)(その1)
○ 高齢者は多病で、臓器別でなく総合的な医療が不可欠
○ 予防の発想が大切
→ 一次予防と介護予防
○ 保健から医療(急性期、回復期、慢性期、終末期)、介護・福祉の連携の中で
各ステージの間に継続性が必要
→ 空白(欠落)部分があってはならない(医療の効率化)
○ 回復期、慢性期、特に慢性期医療はいかにすべきか
○ 終末期医療のあり方 → 在宅死が望ましい
ターミナルケア病棟の新設についての検討
○ 医療と介護の連携(総合的・一体的サービスの提供及びケアカンファランス、
医療機関と介護施設との連携)が不可欠
○ 在宅、福祉との連携
→ 在宅では地域包括支援センターとの連携が必要
→ 在宅と介護施設との連携、在宅にはケア付き住宅も含む
○ 高齢者には障害を有するものが多く、そのためにはリハビリが必要
→ 重度化の防止、PT・OT・STが適切に組み合わされて総合的・一体的に提供
→ 総合リハビリ施設、地域リハビリ支援体制
→ 高齢者特に脳卒中の場合には画一的な上限設定は適切でなく、維持期のリハビリ
を継続する必要あり
○ 在宅へシフトさせるためには現行の仕組みのみでいいか
→ 制度の見直しは必要ないか
○ 以上は地域包括ケアシステムそのもの
後期高齢者医療のあり方(ポイント)
(その2)
○ 必要病床数は単なる医療計画の中のみでなく、保健・医療・介護・福祉計画を
策定し、その中で検討されることが望ましい
○ 報酬については、基本的には包括化、しかし状態像に応じた類型化も必要
→ 特性のあるものについては加算
新高齢者病床では医療と介護(場合によってはリハビリも)を一体的に提供する
スタッフもそれをふまえた人員基準にし、財源は医療保険と介護保険の双方が負
担する。入院する高齢者は状態像に応じた類型化を行う
○ 新高齢者病床の類型化
① 原疾患による区分
② 医療の必要度 → 悪化と軽減をどう評価するか
③ ADLの状況(日常生活自立度、認知症判定基準、要介護度)
④ 当面現在(H.18)の医療区分の見直しが必要
○ 従来の専門職のうち、もう少し看護師を増やして手厚い看護を目指すべきである
最近、地方では看護師不足が加速している。なお、今後高齢者医療に必要となっ
てくるのはMSWやリハビリスタッフである。これらのスタッフを手厚く配置する
ことが全体の医療費総額の減につながるものと思われる
○ 全体としての財源は担保出来るか
ま と め
○ 後期高齢者医療には地域包括ケアシステムの構築が必要
○ 予防の発想が重要
→ 一次予防と介護予防
○ 医療・介護・リハビリを一体的に提供
○ 新たな高齢者病床(仮称)の新設についての検討
○ 状態像に応じた継続性のある医療が必要
○ 在宅医療の推進
→ ケア付き住宅(新しい住まい)の拡充
○ 報酬 → 基本的には包括化
○ 安定した制度、財源の検討
長寿社会における“まちづくり”
保健・医療・福祉(介護)と生活の連携
○ 環境、建築、教育
○ 高齢者住宅
三世代同居住宅
○ 公民館
住民参加
学校・保育所
住民組織
ショッピングセンター
保健福祉推進員 ○ 就労(雇用)
保
健
(健康づくり)
健康増進センター
保健福祉センター
(健康管理センター)
保
医
療
病 院
診療所
健
所
一般
療養型
精神
結核
生
活
福祉事務所
(総合)福祉センター
住民参加
訪問看護ステーション
在宅介護支援センター
老人保健施設
ホスピス
○
地域包括支援
センター
○
介護・福祉
特別養護老人ホーム
養護老人ホーム
ケアハウス(軽費老人ホーム)
グループホーム
有料老人ホーム
社会福祉協議会