No.7 脳波上で PLEDs を示した症例の臨床的検討

No.7
脳波上で PLEDs を示した症例の臨床的検討
宮崎県立延岡病院 臨床検査科1)
脳神経センター神経内科2)
○佐多章1) 宮田富美1) 赤木美与1) 清いづみ1) 津曲洋明1)
矢澤省吾2)
【はじめに】PLEDs(periodic lateralized
脳 血 流 シ ン チ は 5/7 例 、 2 例 を 除 い て
epileptiform discharge;周期性一側性てん
PLEDs の側と血流増加部位とが一致した。
かん形発射)とは周期性発射が一側性に出
そのうち 1 例に PLEDs 出現中と軽快後の
現し持続する場合と定義されている。周期
差分画像をつくると、多発性に血流変化部
性発射は普通高振幅鋭波または棘波で、周
位があった。
期は1∼2 秒、器質性脳病変が存在する側
【考察と結論】PLEDs が出現している場合
に半球性、または焦点性に出現する。
には、臨床的にはかなり重篤な状態である
当院で 2005∼2007 年の脳波検査におい
ことが多く、意識障害、片側てんかん発作
て PLEDs が認められた症例について、臨
などを伴う。原因疾患は単純ヘルペス脳炎、
床データ、画像所見との比較、検討を行い、
一側半球の粗大な脳血管障害(出血、また
脳波上での PLEDs の臨床的意義を明らか
は梗塞)、
Binswanger 病、
脳腫瘍等である。
にする。
普通は 2∼3 日で消失する。
【対象・方法】当院神経内科の患者で 2005
PLEDs の場合、ほぼ常に CBF の変化があ
年 4 月から 2007 年 9 月までの脳波記録患
ることがわかった。PLEDs を示している最
者 854 名を対象として後方視的判読を行い、
中では大脳半球の複数部位が同時に活動し
その中から、PLEDs を認めた症例を抽出し
ている可能性がある。
た。それらの臨床データを電子カルテおよ
び神経生理ネットワークを利用して抽出し、
その脳波所見、画像所見との比較を行った。
【 結果】 脳波記録 患 者 854 名 中脳 波で
PLEDs が認められたのは、7 名(男 3 名、
女 4 名)であった。基礎疾患は脳炎 3 名(う
ち 1 名が単純ヘルペスによる)、脳出血後後
遺症が 2 名、脳梗塞が 1 名、部分てんかん
(基礎疾患を伴わない)が 1 名であった。
脳波における PLEDs の局在部位は左 3
名、右 3 名、両側 1 名であり、画像所見上
認められた病変の局在部位は側頭葉4名、
頭頂葉 1 名、橋 1 名であった。
PLEDs の側と画像所見の異常部位は全例
において一致した。