2013 手術室① 手術患者の褥瘡発生率 手 手術 術患 患者 者の の褥 褥瘡 瘡発 発生 生率 率 手術を受ける患者は全身麻酔下で、手術の為に同じ体勢を長時間とることになる。全身麻酔により意識 がない事から、自分では体を動かすことができないため、褥創(床ずれ)を発生する危険性が高まる。 床ずれは皮膚の局所的な圧迫や摩擦によって引き起こされ、皮膚の発赤から始まり、悪化すると潰瘍形 成に至り、術後の回復遅延につながる。褥瘡予防には、体位変換を行い同じ部位の圧迫を避ける事が必 要である。だが全身麻酔下での手術では体位の変換ができないため、看護師は、全身麻酔後から手術開 始前までに主治医・麻酔科医と共に、手術に有効な体位をとる際に、褥瘡の原因となる圧迫・摩擦が出 ないように、細心の注意を払い、体位固定を行い褥瘡予防を行う。 データの定義 分子:手術退室時に仙骨部に指で押して退色しない発赤が残った件数(d-1 以上の発赤) 分母:全身麻酔・硬脊麻での手術件数 2013 年のデータ 全身麻酔・硬脊麻酔下の手術件数 発赤発生件数 23 件 平均発生率 7198 件(全体位)(2013 年1月~12 月) 0.31% (2013 年1月~12 月) (内訳) 褥瘡 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 計 件数 1 1 1 1 4 3 2 2 2 1 4 1 23 0.1 0.1 0.1 0.1 0.9 0.5 0.3 0.2 0.3 0.1 0.5 0.1 0.31% 発生率% 参考データ 全身麻酔・硬膜外併用脊髄麻酔の手術件数 発赤発生件数 20 件 平均発生率 0.27% 7371 件(仰臥位のみ) (2012 年 1 月~12 月) 評価 昨年よりデータ収集の範囲・方法が変更され、全体位の褥瘡発生を集計するよう範囲を広げ、 「術直後の 充血した発赤」を含まない「d-1」以上の褥瘡のみを収集するよう方法を変更した。 今回報告された 23 件の内、12 件がせぼね科手術と脳外科手術であり、内訳は腹臥位:せぼね 6 件・脳外 4 件、側臥位:脳外 1 件、仰臥位:脳外 1 件であった。せぼね科手術では昨年度 10 件が 6 件と発生率は 減少している。昨年度からの対策として、7 月から体圧が集中していた前胸部と腸骨部フィルム材貼布が 定着してきたが、中間反省でもあがっていた前額部への定着がまだ薄いため、今後は徹底させていく。 そして体圧測定を行い、腹臥位用除圧物品、固定器具の今後の変更、改善点も検討していく必要がある。 脳外手術は 2012 年度 2 件であったが、2013 年度は 5 件と増加している。これは術中の体位だけでなく、 長時間手術であることや体格 BMI20 以下であることが原因としてあげられる。今後は、脳外手術でのフ ィルム剤使用を定着させていくこと、また長時間手術への検討が課題である。 参考文献 1)OPE ナーシング 2010 Vol.25 no.2 2)ICU・HCU 入室患者の手術中褥瘡発生要因の検討,17-26,宮城大学看護部紀要,2007.
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