学 位 論 文 要 旨 研究題目 (注:欧文の場合は、括弧書きで和文も記入すること) Prospective postsurgical capsule endoscopy in patients with Crohn’s disease (カプセル内視鏡による術後クローン病の小腸残存病変の評価および早期再発の評価) 兵庫医科大学大学院医学研究科 医科学専攻 器官・代謝制御系 消化管疾患学(指導教授 三輪洋人教授) 氏 名 河野 友彰 背景: 術後クローン病(CD)患者には、臨床的再発に先んじて内視鏡的な炎症性病変が しばしば認められる。術後 CD の小腸再発病変の診断において、カプセル内視鏡(CE) の有用性は今のところ十分に確立されていない。 目的:我々の前向き研究の目的は、CE を用いて手術直後 CD の小腸病変および術後早 期再発病変を評価することである。 方法: CD の病変に対し回腸結腸切除または回腸部分切除術が行われた 19 例を前向き に組み入れた。術後 2-3 週に CE を行い、小腸に残存する病変や吻合部再発の有無と程 度を評価した。さらに術後早期の内視鏡的再発を評価するため、術後 6-8 ヶ月後に再 度 CE を行い、術直後の CE 所見と比較した。小腸の症性変化の評価には Lewis score (LS) を用いた。 結果: 術直後の CE において、回腸遠位側まで到達しなかったため 1 例が除外された。 術直後の total LS は平均値 428.3 点、中央値 174 点(range: 8-4264)であり、78%(14/18) の症例が total LS が 135 以上の活動期と判定された。残存小腸を通過時間で 3 等分し た proximal 、mid、distal tertile における LS の平均値は各々286.6 点、83.0 点、 146.7 点であり、有意差を認めなかった。吻合部における潰瘍病変は、83%に認めた。 術後 6-8 ヶ月後に再度 CE を行えた 13 例のうち 38%の症例が、術直後の CE と比較して total LS が 100 点以上増加しており、endoscopic progressive recurrence に該当し た。 結論: 術直後 CD の小腸には全域に残存病変が少なからずあり、多くの症例ですでに吻 合部に潰瘍が形成されていることから、活動性ありと判定される症例が大半を占めた。 この術直後の CE 所見をベースラインとして経時的に CE を行い、その所見を比較こと で、術後 CD の内視鏡的な小腸病変の再発を客観的に評価できる可能性が示唆された。
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