2 道路・交通体系の方針 円滑で便利な都市交通網は、人や物の交流などさまざまな都市活動を結び、都市の活 力とにぎわいの創出を支える重要な都市基盤です。 とりわけ、公共交通については、高齢社会への対応や環境負荷の軽減を図る観点から、 その重要性は、ますます高まっています。 本マスタープランでは、自動車交通と公共交通が適切に役割分担した都市交通網の構 築に向けて、「道路網の整備」と「公共交通網の整備」2つの視点から、道路・交通体 系の方針を示します。 道路・交通体系の方針の柱 ■ 51 ■ 道路網の整備方針 ●広域的な都市間の交流・連携の促進に向けて、高速道路の積極的 ※市の中央部を流れる信濃川を軸として、道路が「はしご(=ラダー)状」 基本的な 考え方 に配置されていること。 ●円滑で安全・安心な交通環境を形成するため、都市内幹線道路網の整備 をはじめ、歩行者の安全性に配慮した道路空間づくりに取組みます。 ●効率的かつ効果的に道路網を整備するため、交通需要に合わせた道路 す。 ① 広域的な交流・連携を促進する道路網の整備に取組みます。 ○高速道路の積極的な活用 ・恵まれた高速交通体系を最大限に活用し、市全体の産業・観光の活性化等を図るた め、新たなスマートインターチェンジの設置を検討します。 ・市内全域において高速道路へのアクセス性を高めるため、インターチェンジに接続 する幹線道路の整備を推進します。 ○ラダー型広域幹線道路網(長岡東西道路、左岸バイパス)の整備 ・都心地区などに立ち寄らない交通を迂回させ、地区内の交通渋滞の緩和を図るとと もに、都市間の連携強化を図るため、ラダー型広域幹線道路網の整備を推進します。 ・長岡東西道路については、信濃川橋りょう部における交通渋滞の緩和とともに、周 辺市町村との連携強化に向けて整備を推進します。 ・左岸バイパスについては、信濃川左岸各地域の連携を強化し、南北方向の広域交通 軸の構築に向けて整備を推進します。現在、都市計画決定されている区間の整備に 加え、現道を活かしながら整備を進めます。 ○主要幹線道路(国道や県道など、地域間を結ぶ道路)の整備 ・市民生活や経済・産業活動、文化活動などが活発に行われ、各地域間を結び、さ らなる交流人口の増加につながる主要幹線道路の整備を進めます。 ・各地域の中心部及び隣接する市町村の中心市街地から、都心地区、基幹病院、高速 道路のインターチェンジなどに 30 分以内でアクセス可能な主要幹線道路の整備を 促進します。 ・新市の一体化と地域間の交流・連携を促進するため、信濃川右岸堤防道路、長岡・ 三島ふれあい道路、越路原バイパスなどの整備を推進します。 ■ 52 ■ 第3節 分野別の基本方針 計画の見直しや、道路施設の長寿命化に向けた維持・管理に取組みま 第2章 全体構想 な活用とともに、ラダー型広域幹線道路網※の整備に取組みます。 ○「道の駅」の整備 ・国道や県道の沿線においては、地域の創意工夫による観光・交流拠点づくりを促進 するため、民間活力の導入による「道の駅※」の整備を支援します。 ※駐車場・トイレ等の「休憩機能」、道路情報や地域情報の「情報発信機能」、地域間の交流等を促進 する「地域の連携機能」をあわせ持つ施設 市総合計画におけるラダー型広域幹線道路網 市総合計画では、 長期的な視点に立った「ラダー型広域幹線道路網」の将来形が示され この将来形を見据えて、 今後10 ています。本マスタープランにおける道路網の整備方針は、 年間の方針を定めます。 (出典) 長岡市総合計画(H19.3) 川口地域を追加し、事業の進捗状況を踏まえ図面を一部時点修正(H22.11) ■ 53 ■ ② 市内の円滑かつ安全・安心な交通環境の形成を進めます。 ○都市内幹線道路網(都市計画道路など、骨格となる道路)の整備 ・市街地内の円滑な交通を確保するため、都市内幹線道路の整備を計画的に推進します。 ・整備にあたっては、交通渋滞の緩和や移動時間の短縮など、整備効果の高い路線か ○身近な生活道路の整備・改善 ・身近な生活道路については、幅員の狭い道路の拡幅などにより、生活道路の安全性 を高めます。 ・人優先の安全・安心な歩行者空間を形成するため、通学路などでは、歩道や交通安 全施設※等の整備を推進します。また、歩道の整備が困難な地域においては、カラー 舗装化による視線誘導や防護柵設置等の方法を活用します。 ※標識、区画線、照明灯など ・高齢者や障害者、ベビーカー利用者など、誰もが安心して通行できるバリアフリー 化された歩行者空間の整備を推進します。 ・長岡らしい魅力ある街なみを創出し、質の高い生活空間を形成するため、道路の美 装化や電線類の地中化など、地域のまちづくりと連携した道路整備に取組みます。 ・冬期間の安全・安心な道路空間を確保するため、雪国の特性に配慮した道路整備、 消雪施設の更新、除雪体制の維持に取組みます。 ○駐車場・自転車駐車場の整備 ・交通結節点における公共交通機関と連携したパークアンドライドの推進を図るた め、既存駐車場の活用や新たな駐車場・自転車駐車場の整備について検討します。 ・中心市街地における円滑な交通環境を確保するため、駐車場案内システムの活用に より、駐車場の位置や満空情報を提供します。 ③ 交通需要に合わせた道路計画の見直しを行います。 ・都市計画決定後、概ね 20 年以上にわたって未整備のままとなっている都市計画道 路については、新潟県が示す「都市計画道路見直しガイドライン」に基づき、計画 の見直しを行います。この際、都市計画道路の規格についても、過大な公共投資と ならないよう、交通需要に合わせた適切な見直しを行います。 ④ 道路施設の戦略的な維持・管理に取組みます。 ・道路や橋りょうなどの道路施設の維持・管理にあたっては、これまでの事後的な維持 修繕から、予防保全的な維持修繕へと転換を図り、道路施設の長寿命化を推進します。 ■ 54 ■ 第3節 分野別の基本方針 ○安全・安心かつ快適な道路空間の形成 第2章 全体構想 ら順次行います。 N 道路網の整備方針図(今後 10 年間) ■ 55 ■ 公共交通網の整備方針 ●「コンパクトなまちづくり」を推進し、高齢社会への対応と環境負荷 の低減を図るため、過度な自動車利用から公共交通への利用転換を促 ●基幹的なバス路線を維持し、地域内や周辺地域を相互に連絡する路線 基本的な 考え方 については、利用実態に応じて効率化を図りつつ生活交通を維持しま す。 ●都心地区の利便性を高めるバス交通や鉄道駅における交通結節機能の 強化、観光交流の促進につながる公共交通など、さまざまな地域交流 ●公共交通の空白地域については、住民が主体となった公共交通の検討 や運営に対して適切な支援を行います。 ①「コンパクトなまちづくり」に向けた総合的な交通戦略を推進します。 ・各地域の中心部が有機的に結ばれ、安全で円滑な交通が確保された「コンパクト なまちづくり」を進めるため、道路整備と公共交通の利用促進を組み合わせながら、 総合的な交通戦略を推進します。 ・「コンパクトなまちづくり」を推進し、低炭素社会の実現に向けた環境負荷の低減を 図るため、公共交通への利用転換を積極的に推進します。推進にあたっては、基幹 的な公共交通の確保とともに、交通結節点の改善や徒歩・自転車による移動環境の 改善などを一体的に取組みます。 ・高齢化社会に対応し、環境負荷の少ない「持続可能なまちづくり」を推進するため、 地元の関係者(市民、交通事業者、道路管理者、警察等)と連携しながら、社会経 済活動の基盤としての公共交通を社会全体で維持し、積極的な活用に向けた取組み を行います。 ② 日常生活を支え、多様な地域交流を促進する公共交通網の維持・充実を図ります。 ○日常生活を支える公共交通の維持・充実 ・JR長岡駅と各周辺地域を放射状に結ぶ基幹的なバス路線については、適切な支援 を行い維持します。 ・地域内や周辺地域を相互に連絡するバス路線のうち、一定の利用があるものについ ては、利用実態に応じ効率化を図りつつ路線を維持します。 ・利用が少ないバス路線や公共交通の空白地域については、住民が主体となった公共 交通の検討や運営に対して適切な支援を行います。 ・バス停留所の上屋整備やバスの位置情報提供の拡充、車両のバリアフリー化など、 バス利用環境の向上に取組みます。 ・バス交通の定時性や安全性を確保するため、路線バスが運行されている道路につい ては、道路幅員や車線数の確保に取組みます。 ■ 56 ■ 第3節 分野別の基本方針 を図る公共交通網の充実を促進します。 第2章 全体構想 進します。 ○都市機能の利便性を支えるバス交通の充実 ・多様な都市機能が集積する長岡地域においては、都市機能の利便性を高めるため、 中心市街地と千秋が原地区をめぐる中央循環バス、長岡駅東地区や宮内方面をめぐ る南循環バス及び長岡駅とシビックコア地区を結ぶシャトルバスなどの市街地路 線の充実を図ります。 ・バス交通の定時性を確保するため、バスレーンの導入や信号制御の見直しを検討し ます。 ○広域交流を促進する公共交通の利便性の向上 ・高速バスの利便性を高めるため、高速バス停留所周辺では、パークアンドライド駐 車場や自転車駐車場の整備を推進します。また、さらなる広域交流を促進するため、 新たな高速バス停留所の設置についても検討します。 ・寺泊∼赤泊航路の利用者数の維持とJR長岡駅から佐渡に至る広域的な観光ネット ワークを構築するため、JR長岡駅と寺泊港を結ぶバス交通の運行を試験的に取組 みます。 ○交通結節点の機能強化 ・鉄道駅や主要なバス停留所などの交通結節点の機能強化を図るため、既存駐車場の 活用や新たな駐車場・自転車駐車場などの整備を通じて、パークアンドライドの利 便性を高めます。 N 〈都心地区の利便性を支えるバス交通網〉 公共交通網の整備方針図 ■ 57 ■
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