ITPA(国際トカマク物理活動)会合報告 - プラズマ・核融合学会

内外情報
■ ITPA(国際トカマク物理活動)会合報告!
れた.
1
野:「計測」
,「スクレイプオフ層およびダイバー
●分
2
ITPA および国際装置間比較実験へ日本側から多くの継
3
タ物理」,「輸送物理」,「閉じ込めデータベースとモデ
続した寄与が望まれることから,リスボン会合では初めて
4
5
リング」
,「定常運転」
,「MHD・ディスラプション・
核融合フォーラムから滞在費・旅費の補助が大学および研
6
7
制御」,「周辺およびペデスタルの物理」
究機関の研究者9名に対し行われ,各グループの重要課題
●開 催 日:2004年10月11日∼15日1,11月8日∼10日4∼7,
の解決および国際研究活動の進展に貢献した.
2,
3
11月8日∼11日
2005年の会合予定を Table 1 に示す.
1
所:プラズマ物理研究所(中国,合肥)
,リスボン
●場
2∼7
工科大学(ポルトガル,リスボン)
1.「計測」
1
1
●担当委員:河野康則(原研),川端一男(核融合研),草
第7回会合には,約3
5名の参加者があった.会合では,
1
1
間義紀
(原研)
,笹尾真実子(東北大)
,杉江達夫
(ITER
ITER に向けた各極における計測開発,重要課題への取り
1
,間瀬
国際チーム)
組み状況,専門家作業グループの活動状況,今後の活動内
2
淳(九州大)1,朝倉伸幸(原研)
,
2
2
加藤隆子
(核融合研),高村秀一(名大)
,田辺哲朗(名
大),仲野友英(原研),坂本宜照(原研),東井和夫(核
容,等に関する報告・議論を行なった.重要課題の一つで
ある中性子および !粒子の診断に関しては,径方向中性子
3
3
3,
5
融合研)
,福田武司(阪大)
,福山淳
(京大)
,藤田隆明
カメラに加えて垂直方向中性子カメラの設置が検討されて
3
4
4
(原研)
,小川雄一(東大)
,滝塚知典(原研)
,竹永秀信
おり,設置箇所に複数の候補(例えばダイバータポート内
2
2
3
4
4
4
(原研),矢木雅敏(九大),山田弘司(核融合研),井手
への設置)が挙げられたが,シールドやコリメータを含め
5
5
俊介
(原研)
,及川聡洋
(ITER 国際チーム)
,鈴木隆博
その成立性についてはさらに議論が必要な状況である.プ
5
5
5
(原研),高瀬雄一(東大),花田和明(九大),飯尾俊二
ラズマ対向反射鏡表面での入射中性粒子によるスパッタリ
6
6
6
(東工大)
,小関隆久(原研)
,小野靖(東大)
,杉原正芳
ング,および炭化水素系物質の堆積の効果に関して,赤外
6,
7
6
(ITER 国際チーム) ,武智学(原研),中島徳嘉(核融合
領域においても反射光の偏光特性が有意に変化することが
6
7
7
研)
,居田克巳(核融合研)
,浦野創
(原研)
,大山直幸
報告され,トロイダルおよびポロイダルでの赤外/遠赤外
7
7
7
(原研),鎌田裕(原研),小森彰夫(核融合研),中嶋洋
偏光計測について,この効果の影響評価が重要であること
7
輔(筑波大)
(下線は会合出席者を,1から7の上付き
が認識された.電磁気コイルの RIEMF(照射誘起起電力)
効果については,各極での中性子・"線照射試験により現
数字はグループとの対応を示す)
象はかなり解明されてきている.一方,照射による核変換
2004年の秋季に,ITPA に関する上記の7つの会合が開
で生じた不純物による熱電対効果(TIEMF)が,最近,日
催された.
「計測」グループ会合は1
0月に中国で行われた
本(原研の JMTR)での照射試験で発見され,電磁気コイ
が,その他の6つのグループ会合は第2
0回 IAEA 核融合エ
ルの温度勾配が電磁気計測に影響を与える可能性が指摘さ
ネルギー会議(2
004年11月1日∼6日,ポルトガル,ヴィ
れた.
ラモウラ)の翌週にリスボンのリスボン工科大学に集中し
日本からは,原研,核融合研,大学における計測開発の
て開かれた.調整委員会議長の Stambaugh(米)の提案で
進展に関して報告を行い,特に文部科学省科学研究費補助
開催された全体会合をはじめ,トピカルグループの合同会
金の特定領域に平成16年度新規採択された「プラズマ燃焼
合も多数開かれ,後述するような報告と活発な議論が行わ
のための先進計測(領域代表:笹尾(東北大))」は,ITER
Table 1
各トピカルグループおよび調整委員会の会合予定
トピカルグループ
調整委員会
輸送物理
閉じ込めデータベースとモデリング
周辺およびペデスタルの物理
スクレイプオフ層およびダイバータの物理
MHD・ディスラプション・制御(改称予定)
定常運転
計測
次 回 会 合 日 程
2
0
0
5年6月6−7日
2
0
0
5年4月1
8−2
1日
2
0
0
5年1
0月3−6日
2
0
0
5年4月1
8−2
1日
2
0
0
5年1
0月3−5日
2
0
0
5年4月1
8−2
1日
2
0
0
5年1
0月3−5日
2
0
0
5年7月4−7日
2
0
0
5年7月4−6日
2
0
0
5年5月4−6日
2
0
0
5年3月1
4−1
8日
128
場
所
モスクワ(ロシア)
京都
サンクトペテルブルグ(ロシア)
京都
サンクトペテルブルグ(ロシア)
京都
サンクトペテルブルグ(ロシア)
タラゴーナ(スペイン)
タラゴーナ(スペイン)
コモ(イタリア)
カラム(英国)
News of Related Fields
う電子熱輸送のモデル(Paleoclassical Transport)が紹介さ
計測に貢献する活動として大きな関心を集めた.
れ,内部輸送障壁における新古典理論より大きい電子熱輸
2.「スクレイプオフ層およびダイバータ物理」
送の説明になりうるとの議論があった.ASDEX Upgrade
全体会合は2日目の夜に開催され,通称“drsep”
(高三
の電子サイクロトロン波加熱プラズマにおいて,電子密度
角度配位の ITER では下側ダイバータのヌル点以外に上側
(規格化衝突度)の増大に伴って電子熱拡散係数の電子温度
にも SOL 領域にヌル点が発生するが,この2つのヌル点の
勾配依存性が小さくなることが観測され,電子熱輸送を決
磁力線間隔)が,閉じ込め性能の改善および ELM やディス
定する不安定性が捕捉電子不安定性 TEM からイオン温度
ラプションの熱・粒子負荷・制御などに及ぼす影響につい
勾配不安定性 ITG へと変わったと解釈されるとの報告が
て,プラズマ配位やダイバータ形状の異なる多くのトカマ
あった.DIII−D からは,ミリ波散乱による,電子温度勾配
ク(ASDEX-Upgrade,DIII-D,JET,JT-60U,Alcator
不安定性 ETG の波数領域をカバーする高波数
(∼35 cm−1)
C-Mod,MAST,NSTX)から初めて現状が報告され,共通
の密度揺動計測の初期結果が報告された.
最近の研究結果として,日本からは,田中(核融合研)か
の検討課題として認識された.
ら LHD における密度揺動計測,渡利(核融合研)からトカ
本会合(第5回)には,日本,欧州,米国,ロシア,中
国,ITER 国際チームから合計2
8名(日本からは5名)の参
マクとヘリカルにおける Geodesic Acoustic Mode(GAM)
加者があり,8セッション4
0件の発表と議論が行われた.
についての理論計算が報告された.国際装置間比較実験で
本グループの緊急物理検討項目のうち,!シミュレーショ
は,運動量入力のないプラズマでの自発的なトロイダル回
ンにより,周辺プラズマに対する ITER ダイバータの性能
転のスケーリング構築をめざす実験を新たに加えることと
が広い運転領域で調べられ,コアプラズマとの共存が報告
した.国際データベースに多数のハイブリッドシナリオ運
された.現状のシミュレーション(B2-EIRENE)にはスク
転のデータが集積された.今後は標準的な H モードのデー
レイプオフ層(SOL)でのドリフト効果などは考慮されてお
タも集積し,径電場勾配("!!シア)およびペデスタル部
らず,コード(B2,EDGE2D,UEDGE)間および実験との
(ペデスタルグループとの協力)に着目して,両者の輸送の
違いを調べることとした.
比較 を 開 始 す る こ と が 同 意 さ れ た."多 く の ト カマク
(JET,ASDEX-U,DIII-D,TEXTOR)で行われた炭素ト
レース(13CD4入射)実験の最新結果が議論され,炭素の吸
4.「閉じ込めデータベースとモデリング」
本会合(第7回)には約25名(日本4,欧州8,米国9,
着場所が速い SOL 流に大きく影響されることが確認され
た.#粒子補給法(ガスパフ,ジェット,連続ペレット,コ
ロシア2,中国2,ITER 国際チーム1)
が参加した.初日
ンパクト・トロイド)の現状,他3つの課題について議論
は全体会合が行われ,午前は,主に分布データべース(DB)
が行われた.また,国際装置間比較実験の結果7件と新提
の現状と今後の運用と活用に関し報告・議論を行った.分
案10件が討論された.
布 DB は,今やこのグループ専用ではなく,ITPA 全体のも
日本側からは7件の発表が行われた.田辺(名大)は"
のとなり,トカマク物理理解の進展と理論モデル構築に不
で TFTR,JET,TEXTOR,JT-60U での炭素堆積分布がト
可欠なものとなった.ITPA の各種データベース
(分布 DB,
リチウム分布(マイクロプレート法)と良く相関する結果
H モード閉じ込め DB,ペデスタル DB 等)は,集積後ある
を,高村(名大)は#で共堆積層およびダストによる粒子
期間は作業グループ専用で運用されるが,ある程度解析が
供給と擾乱が長時間放電で問題点となることを報告した.
進んだ後一般公開されている.午後は主に国際装置間比較
朝倉(原研)は,ガスパフによる SOL 流と不純物輸送への
実験の報告・討議を行った.滝塚(原研)が報告した JT-
影響,ヘリウム弾性衝突過程による排気性能改善,さらに
60U における H モード閉じ込めのべータ値依存性の実験結
ITPA の全体会合(ダブルヌル・第2セパラトリクスによ
果は,比例則構築への重要な指針となった.
る閉じ込めや熱・粒子束への影響)で JT-60U の高三角度実
2日目は輸送物理グループとの合同会合を持ち(3節を
験の報告を行なった.また,国際装置間比較実験に関して
参照),その後分科会合となった:(a)データベース分科会
朝倉(原研)は SOL 流の比較結果を報告し,芦川(核融合
(約10名)では,主に IAEA 核融合エネルギー会議にグルー
研)は水素除去効果の高い ICRF 洗浄の国際装置間比較実
プから発表した「H モード閉じ込め」と「H モードパワー
験のまとめ役 と し て 承 認 さ れ た.発 表 資 料 は http://ef-
閾値」の2論文の Nuclear Fusion 誌投稿のための改善を検
dasql.ipp.mpg.de/divsol/を参照されたい.
討した.(b)モデリング分科会(約15名)では,矢木(九大)
と林(原研)がそれぞれ,日本の「核燃焼プラズマ統合コー
3.「輸送物理」
ド」に関連する研究活動現状とシミュレーション結果を報
本会合(第7回)には約30名が参加し,国際装置間比較
告した.「統合コード」研究開発は最近の最重要課題の一つ
実験(一部は5節参照),電子系の輸送,内部輸送障壁と
であり,IAEA 核融合エネルギー会議期間中にも日欧米の
MHD 安定性との関係(6節参照)
,最近の研究成果,デー
関係者(日本から福山(京大),小関(原研),矢木(九大))
タベースの運営,学会発表の予定,等について議論を行っ
が非公式会合を持ち,国際協力の進め方について議論し
た.
た.
電子系の輸送のセッションは閉じ込めデータベースとモ
3日目午前は分科会を行い,
(a)では前日の検討を深め
デリンググループとの合同で行われた.磁力線の拡散に伴
るとともに今後の活動計画を議論した.また,
(b)では定
129
Journal of Plasma and Fusion Research Vol.81, No.2 February 2005
常運転グループとの合同会合を持った(5節を参照).午後
の入射実験が示され,放射損失の増加により,ダイバータ
は再び纏まって,各分科会のサマリー報告や作業宿題の確
板への熱負荷が減少することが示された.
認を行った.
開催期間の一部で「輸送物理」グループとの合同会合を
開き,輸送に基づいたプラズマ分布に対しての,MHD 安
5.「定常運転」
定性の議論を行った.小関(原研)から輸送シミュレーショ
本会合(第6回)よりグループ名が「定常運転および高
ンによる電流ホールプラズマと矛盾しない理想 MHD モー
エネルギー粒子」から「定常運転」に改称され,「高エネル
ドの安定性解析が示され,自律性の高いプラズマにおける
ギー粒子」の検討は MHD グループで行い,
「制御」の検討
輸送特性と MHD 安定性の関連が議論された.
を「MHD」グループから本グループで行なうこととなった.
他に,国際装置間比較実験の結果と予 定,
「Tokamak
また,議長は C. Gormezano(欧州)から A. C. C. Sips(欧
Physics Basis」の担当章の内容,およびディスラプション
州)に引き継がれた.本会合には23名(日本からは7名)が
デ ー タ ベ ー ス の 構 築 に 向 け た 議 論 等 を 行 っ た.最 後
参加し,初日は第20回核融合エネルギー会議の概要が報告
に,2005年において最優先する検討課題を決めた.
された.午後には,国際装置間比較実験に関する合同会合
7.「周辺およびペデスタルの物理」
を輸送物理グループともち,SSO-1(ITER 定常運転シナリ
オの開発研究),SSO-2
(ITERハイブリッド運転シナリオの
本会合(第7回)には約30名の参加があり,ペデスタル
開発研究)について JT-60U,JET 等から関連研究の進展や
構造,ELM 特性,国際装置間比較実験およびそれらのモデ
現状等が報告された.また,2005年の国際装置間比較実験
リング等の課題を中心に発表・議論が行われた.本会合に
が討論され,上記項目の継続に加え,SSO-3(定常およびハ
は中国の担当委員やヘリカル装置の研究者を含め多数の参
イブリッドシナリオにおける実時間安全係数分布制御),
加があり,様々な視点から討議が活発に行われた.
国際装置間比較実験に関する討議では,現在進められて
SSO-4(先進シナリオにおけるペデスタル特性のまとめと
いる JET/JT-60U 比較実験に基づく ELM 特性の比較につ
文書化)が新たに提案された.
グループ会合では,実時間安全係数分布制御についての
いての報告があった.加熱パワーの変化に対する ELM の
最新の成果が JT-60U,JET から報告され,新たに提案され
大きさや周波数の変化が両装置で大きく異なり,ペデスタ
た SSO-3関連の結果には 大 き な 関 心 が 集 ま っ た.また,
ル特性や ELM 特性を理解する上でこれらの違いの原因解
ITER における電流分布を含めた輸送の時間発展のシミュ
明が重要である.そこで,両装置においてトロイダル磁場
レーション結果が数件報告された.日本からは TASK コー
のリップル率を変化させる実験が準備されている旨が併せ
ドを用いたシミュレーション結果が報告され,好評であっ
て報告された.他にも Alcator C-Mod/JFT-2M におけるリ
た.TRIAM-1M からは新型 EC アンテナの伝送特性につい
サイクリングの高い H モードプラズマの比較を始めとする
ての報告と,完全電流駆動放電で新たに観測された不純物
10件の国際装置間比較実験が認められており,装置に依存
の間欠的な排出現象が注目された.さらに,電流駆動計算
しない物理理解が進むものと期待される.
「定常運転」グループとの合同セッションでは,ペデス
コードの比較結果の議論,「Tokamak Physics Basis」中の
)('
担当章の内容について議論された.
タルで評価した規格化ベータ値("& )とエネルギー増倍率
!
!$
の指標 G ファクター(!%#$"&!
0U の
")が比例する JT-6
6.
「MHD・ディスラプション・制御」
データが報告された.ハイブリッドシナリオの最適化に向
けて強い関心が集まり,各装置から同様のデータを集めて
本会合(第5回)には,日,欧州,米,ロシアに中国を
データベース化することが合意された.
加え,約25人の参加(日本からは6人)
があった.また,議
長は O. Gruber(欧州)から T. Hender(欧州)に引き継が
ペデスタルデータベースに関しては,分布データベース
れた.MHD 安定性とディスラプション研究について,最
の開発状況やそれらを利用したモデルの比較結果が報告さ
新の成果と進展の議論があり,新古典テアリングモードで
れた.JT-60U で MDSplus を利用したデータベースが準備
は,長崎(京大)から JT-60U における ECCD の早期入射
されたこと,既存スカラーデータベースへの追加が行われ
による低パワーでの安定化が示されその有効性が認知され
たことが報告された.これらデータベースを利用した論文
た.Konovalov(原研/Kuruchatov)から修正ラザフォード
も発表され,分布データの拡充は重要である.また,ヘリ
方程式に粘性効果や,イオンと電子を分離した新理論が示
カル装置(CHS,TU-Heliac,LHD,Heliotron-J)からペデ
された.理論モデルはさらに複雑化しており,今後 ITER
スタルと H モードに関して報告され,次回会合までにデー
での予測をする上で,修正ラザフォード方程式の統一化に
タの提供が可能であることから,トーラス系共通の物理理
ついてが議論となった.抵抗性壁モードに関して,NSTX
解に向けた研究が進展すると期待される.
において理想的な壁がある場合の安定限界を越え,壁の時
定数以上の長時間安定に維持された実験結果が得られてお
り,理論と実験の両面から回転による安定化効果が示され
た.河野(原研)から JT-60U における稀ガス注入による
ディスラプション緩和と逃走電子抑制実験が示され,DIII
-D から同様に,プラズマ中心部に向けた高圧 Ne または Ar
130