資料2 産業動物の福祉について 1.現状 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和 48 年法律第 105 号)においては、 産業動物のみを対象とした規定はなく、第7条第1項の人の所有又は占有 下にある動物の適正な飼養・保管等に係る規定が適用され、同条第4項に 基づき「産業動物の飼養及び保管に関する基準(昭和 62 年総理府告示第 22 号)」が定められている。殺処分に当たっては第 40 条第2項に基づく「動 物の殺処分方法に関する指針(平成7年総理府告示第 40 号)」が適用され る。 また、 (社)畜産技術協会等により、畜種別の「アニマルウェルフェアの 考え方に対応した家畜の飼養管理指針」が策定されたところであり、これ に基づく業界独自の取り組みが期待される。 ○動物の愛護及び管理に関する法律(昭和 48 年法律第 105 号) (動物の所有者又は占有者の責務等) 第七条 動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者 としての責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に 飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努め るとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を 及ぼすことのないように努めなければならない。 中略 4 環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の飼養及び保管に関しよる べき基準を定めることができる。 (動物を殺す場合の方法) 第四十条 動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を 与えない方法によつてしなければならない。 2 環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、前項の方法に関し必要な事項を 定めることができる。 2.主な意見 (1)業界団体等(ヒアリングより) ・家畜を快適な環境で飼うことは、生産性の向上にも結びつくものであ り、現場では既に努力している。このような状況において「5つの自由」 を法律で義務づけることは、現場から反発が出るおそれがある。 ・例えば除角は一時的に苦痛を与えるが、一方で除角しないことによっ 1 てかえって群飼育をした場合の牛の間の闘争が激化するといったメリ ット・デメリット、不慮の事故に遭うことをどうとらえるのかといった ことを総合的に評価する必要がある。 (2)愛護団体等 ・産業動物の福祉の確保のために、動物福祉の基本である5つの自由に 基づいて飼育管理すること ・バタリーケージ、ストール等の使用禁止。 3.国際的な動向 (1)EUではEU指令として Animal Welfare に基づく飼養管理の方法が規 定され、各国はこれに基づき、法令・規則等を制定。 (2)アメリカ、カナダ、オーストラリアでは、生産者団体や関係者が独自に ガイドラインを設定。 (3)国際獣疫事務局(OIE)においては、アニマルウェルフェア章に輸送や とさつに関するコードが存在。ブロイラーや肉牛の飼養管理に関するコ ードは検討が進められているところ。 4.主な論点 (1)産業動物は畜産物の生産に寄与するなど国民の消費生活と深く関わり、 その法制度上の扱いによっては国民に経済的な負担が生じるため、広く 社会的な支持なしに施策を進めることは困難。 (2)「産業動物の飼養及び保管に関する基準(昭和 62 年総理府告示第 22 号) 」 で改訂できる箇所があるか。 (3)家畜福祉の基準原則である「5つの自由」の理念を何らかの形で位置付 けることが可能か。 「5つの自由」 ① 飢えと渇きからの自由 ② 苦痛、傷害又は疾病からの自由 ③ 恐怖及び苦悩からの自由 ④ 物理的、熱の不快さからの自由 ⑤ 正常な行動ができる自由 2 アニマルウェルフェアに関するアンケート調査の結果について 平成 23 年に、一般市民を対象に、インターネット集計によるアンケート調査を実施した。 アニマルウェルフェアの認知度 良く知っている ある程度の内容は知って いる 0.5 内容は知らないが、名前 は聞いたことがある 4.8 12.5 n= 2,747 (%) 82.1 知らない アニマルウェルフェアの考え方についての賛否 反対 賛成 どちらかといえば反対 4.2 9.8 8.2 どちらかといえば賛成 22.9 n= 2,747 (%) 55.0 どちらともいえない ○平成 23 年 環境省調べ 3 アニマルウェルフェア賛成の理由 TOTAL n=853 (%) 80 70 71.4 60 56.4 50 40 30 24.7 23.1 20 10 1.6 0 家さ 畜れ やる 家べ 禽き のだ 動か 物ら 福 祉 も 尊 重 畜う 産価 品値 価が 格あ 上る 昇と で考 もえ おる 金か をら 払 品は 質カ 向バ 上 で可 日能 本と の考 農え 業る 競か 争ら 率 ー 自が 然好 にま 飼し わい れと た考 家え 畜る のか 畜ら 産 品 そ の 他 アニマルウェルフェア反対の理由 TOTAL n=384 (%) 50 46.1 44.0 40 33.1 30 20.3 20 9.6 10 0 家る 畜必 な要 のは でな 、い そと こ考 まえ でる 気か にら す 動値 物観 にと 対考 すえ るる 福か 祉ら は 過 剰 な 価 畜く 産か 品ら の 価 格 上 昇 が 家 計 に 響 価争 格率 上が 昇落 にち よる りと 日考 本え のる 農か 業ら 競 そ の 他 ○平成 23 年 環境省調べ 4
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