ナノ・インプリント法のためのナノ金型作製とその応用 Fine mold

共同研究
F 阪大 H16-008(F 阪大 H15-015)
ナノ・インプリント法のためのナノ金型作製とその応用
Fine mold fabrication for imprint lithography and it’s application
平井 義彦
Yoshihiko Hirai
大阪府立大学 大学院工学研究科
Osaka Prefecture University
ナノ・インプリント法による多様なナノ構造体の高効率形成のため,その原版となる金型の作製と,こ
れを用いた樹脂のナノ成型に関する基礎的な検討を行った.電子線露光装置とドライエッチング装置を
利用したナノ・パターン形成のためにシリコン基板上に格子状パターンと突起パターンの基本的な形成
を行った。
Studies on process conditions for an electron beam lithography and a dry etching lithography have been carried
out to fabricate fine mold fabrication for nano imprint lithography. Processes for fabrication of fine grating and
dot array on silicon substrates have been carried out.
背景と研究目的:
ナノ構造体の高効率作製技術は、ナノ工学の基
礎的研究ならびに産業的な応用には不可欠であ
る。従来のトップダウン的な微細加工技術では、
半導体リソグラフィに代表されるように、集積化
された微細構造を任意の形状に加工できる利点
があるが、装置コストや生産性に課題がある。こ
れを解決するひとつの手段として、ナノ・インプ
リント・リソグラフィが提唱されている1)。ナノ・
インプリント法では、従来のリソグラフィ手法を
利用して加工した金型(モールド)を作製し、これ
を熱硬化性樹脂にガラス転移温度以上でプレス
することによってモールドの微細構造を樹脂に
転写成型する。これまでに,10nmの解像性が報告
されている。
本研究ではナノ・インプリント法で用いるモー
ルドの微細加工と被加工材料に関する研究を行
い、多様な形状ならびに材料に対する集積化微細
構造体の高効率作製技術の確立とその応用を検
証しようとするものである。
Mold
Heat mold
& Plate
Press mold
& Hold
Cool down
& Hold
Polymer Plate
T>Tg
T<Tg
Releasemold
Fig.1 Fabrication processes on a polymer surface by using
imprint method.
結果、および、考察:
図 1 にポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)、
ポリ乳酸(PLA)、PET の機械的特性測定結果を示す。
ここではガラス転移温度の異なる代表的な高
分子樹脂と生分解性樹脂のポリ乳酸を取り上げ
た。
図 3 に格子状モールドを用いて、種々の熱可塑
性高分子樹脂プレートに インプリント法によっ
て格子パターンを成型した結果を示す。
ここではインプリント圧力を 10MPa に統一し、
図 2 の機械特性に基づいてインプリント温度を設
定した。格子の線幅は 200nm のものを用いた。
実験: 微細モールド実験は電子線描画(EB)装置
を用いて行った。ポリカーボネート、アクリル、
ポリ乳酸など樹脂に対する成形性の検討をおこ
なった。
図1にインプリント法による樹脂プレート成型
プロセスを示す。モールドと樹脂をガラス転移温
度以上に加熱し、樹脂にモールドをプレスする。
冷却後、モールドを離型してモールドの格子パタ
ーンを樹脂表面に転写する。
1
860nm
今後の課題: ナノ・インプリントにより各種の
ナノテクノロジー、バイオテクノロジーに必要な
多様な構造、材料によるナノ構造の形成にはさら
に微細なモールド形成と、その工業的応用へのア
プローチが必要となる。
Fig.2 Mechanical characteristics of various polymers.
100nm
Fig.4 High aspect ratio fine mold of acryl resin (8.6:1).
(a)
PLA (120℃)
(c )
PMMA (140℃)
参考文献
1) S.Chou, P.Krauss and P.Renstrom, J. Vac. Sci.
Technol. B14(1996) 4129.
(b)
PET (150℃)
キーワード
・ナノ・インプリント
熱硬化性樹脂などをもちいて、金型のナノ構
造を転写成型する技術。
・ 生分解性樹脂
土壌や水中に長時間放置することにより、自
己的に分解する樹脂。多くは環境汚染の問題
がなく、使い捨て使用できる樹脂。
(d)
PC (180℃)
Fig.3 Fine patterns on various polymers (Linewidth= 200 nm)
図 3 に示すように、樹脂の機械的特性の測定
結果に基づいて適切な温度、圧力条件でインプリ
ント加工することにより、微細な格子パターンが
多様な樹脂表面に転写できることが示された。
図 4 にこれらの知見をもとにアクリルを用いた
高アスペクト比格子の作製を試みた結果を示す。
アスペクト比が 8 以上の線幅 100nm の格子が均一
性よく成型できた。
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