201Tl 肺SPECT - 山陽核医学カンファレンス

2
0
1
T
l肺 SPECTについて
岡山労災病院放射線科
山本
博道
はじめに
肺タリウムスペクトにつきましては、皆さんよくご
存知の事とは思い ますが、当院て、のお在{象条件を紹介し
検出器型スベクト 専用装置東芝
ます。使用装置は、 3
GCA-9300A/HGで 、 タ リ ウ ム の 使 用 量 は 148MBq
表1
a
r
l
yは静注 目分後で、 Del
ayedは3時間
(
4mCi)です 。E
後に撮像しています。 データ収集は通常の方法で 、金
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u刊
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Delayed
沢大学の利波らの方法で解析し、 Earlyr
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xを求めています。 さてタリウ ム肺
r
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o,
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スペク トの使用目的ですが、 今回は 1
.の肺癌の鑑別診
I
BO
断における有用性について主にのべさせていただ、き ます。
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結果
。
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2
タリウムスベクトの肺癌診断上最も有用とされてい
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exについて 当院の肺癌症例で まとめて
るRet
1
0
0
)
。組織別にプロ ァ トして いますが、他
みました(表 1
f
l
O
施設の報告同様 、 10以上の症例を多く認めています。
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i
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ni
n
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xに有意差を認めませんで
また組織問で Reten
'
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0
した 。
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o
ni
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e
xに
次に 肺癌と肺 癌以外の良性疾患の R巴t
。塵j
}
市のひとつである
ついて検討して みました (
表 2)
珪肺と肺結核の 一 部 及 び ここには提示していません
一2
0
adeno s
q
が
、 BOOPなとでも 10以 上 の 症 例 を 認 め て い ま す 。
s
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個々の症例については、後ほど一部を提示させていた
だきます。
e
n
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nde
xが 1
0以上 の珪肺症例
表3には、肺癌と Ret
のE
a
r
lyr
a
t
i
oを比較しています 。珪肺症例では、肺癌
a
t
i
oが低いも のが多く、鍛別に際し参考
に比し Earlyr
材料 になる ものと思われました 。
表3
・
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1
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表2
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50
岡山労災病院放射線科
1-
肺抑制
。
震
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R iが凶以寺
肺i
司
珪肺
癌
肺
山陽核医学 カンファレンス
26(
1997.
10)
症例呈示
影を認め、左肺門リンパ節腫張も伴うことより、肺癌
[症例1] 52才、男性。扇平上皮癒。典型例。
が疑われました(図 3
)。
J
I
重癌への集積は比較的
胸部単純写真で右上肺野に腫癌影を認め、右目市門部に
タリウムスベクト(図 4)
では、
)
。
もリンパ節腫張を認めています(図 1
e
t
en
t
io
ni
n
de
xも2
.
6と低値で肺癌と言い切れる
弱く、 R
同症例のタリウムスベク ト冠状断像(図 2)で、右上肺
ほどの像ではありません。 しかし 、左肺門リンパ節に
野の腫場に一致してリング状の異常高集積を認め、右
m
i
癌の可能性が示唆されました。
は、高集積を認め、 J
CTガイド下
肺門リンパ節にも 異常高集積を認めています。
気管支鏡下の生検では、診断がつかず、
Del
a
y
edi
ma
g
eでも washou
tされず、 Re
t
e
n
t
io
ni
n
de
xも1
4
と高値です。
生検を施行しました 。 その結果、 I
J
泉癌と診断され放射
線治療を施行しました 。本例の様に Re
t
e
n
t
i
o
ni
n
de
xが
[症例 2
] 76才、男性。 JI泉癌 。 ~ I,典型例 。
低いJJiIi癌も認められ、 診断に │
祭し注意が必要と 思われ
胸部単純写真上、左中肺野に異常影を認め、
X腺 CTで
ました 。
)
重癌
は、左舌区に胸膜のまきこみ像を伴う 2cm大の J
[症例1
1
正a
r
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•
O
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図1
図2
[症例 2
1
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C~"
. ~‘i: l , ‘
相 円 相 町 盲 ,μ
".,吋山内
D
e
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図4
図3
-2
一
-B
彊亘書毛奮霊園
[症例 3
163才、女性。IJiIi癌(largecelca.)。
ともなった異常影を認め、一部融合して結節状になっ
骨転移で見つかった症例です。
胸腰椎の単純写真では、
ています。粉塵の吸入歴もあり塵腕のひとつである珪
第1
1胸椎左側に p
e
d
icl
es
i
gn陽性の溶骨性変化を認め、
肺と診断しました 。CT(
図7)では両側上肺野に塵肺に
骨転移が疑われました 。胸部単純写真では、右下肺野
伴う大陰影を認めています。タリウムスペクト(図 8)
の血管影に 重な るように異常影があるかにも見えます
では、 Earl
yimageでは両側上中肺野から肺門にかけて
が、断定はできないようです。X線 CT(
図5)では右下
異常高集積 を認めるものの、 Delayedimageでは大部
肺静脈に重なるように臆癒を認めています 。 タリウム
分 washoutされ ています。 しかし両側共に washou
tが
スペクト(図 6)では腫癌に一致する部位に円形の明ら
不良の部分もあり、左側の一部では Ret
en
t
i
o
ni
n
dexが
かな高集積を認め 、Del
ayedi
mageでも washou
tされず、
4
9と異常に高い部位を認めています 。 このような
Reten
t
ion i
ndexも33と高値で 、シンチ上強 く
I
J
i
I
i
癒
を
疑
R
e
t
e
n
t
i
o
ni
n
dexが高い部位は、塵肺の活動性が高い音1
1
い気管支鋭下の生検て、 l
a
r
g
ec
elc
aと診断されました。
位ではと考えています 。 また Ear
l
yr
a
t
i
oが本症例では、
この症例のように、血管)~.;と重なる様な 小腹痛では、
1
.6
6とJ市癌に比しやや低めですが、このことは、廃J市
ある程度の大きさの病変であれば、診断に有用ではな
合併J市癌と大陰影との鑑別がシンチ上っきにくい症例
いかと思いました 。
では、参考材料のひとつになるものと思われました 。
[症例 4
1 72才、男性。塵 )
J
j
l
症例。
ただし 、Earl
yr
at
i
oが低い肺癌も あり、絶対といえる
胸部単純写真で、 両側上中 J市野を中心に収縮 t
!
ニ
変化 を
ものではありません。
[症例 3
1
・‘;'J'<';
.
(
.
~...
•
I
・
'
-
。切れ..., ~J
図5
図6
[症例 4
1
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AXlaJ
E
a
r
J
y
,
D
e
J
a
y
e
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図フ
図8
-3一
山陽核医学カンフ ァレンス
26(
19
9
7
.10)
[症例 5
]7
0才、女性。肺結核症例。
まとめ
胸部単純写真上 、右上肺野に 2cm大の腫癌影を認め 、
1
.Re
t
e
n
t
ioni
n
d
ex(
RI
)を用いた良悪性の鑑別に際し 、
CT(
図9
)
て、
は腫癌は右 S
6
にあり 、明 らかな空洞や石灰
t
i
o
ni
n
d
ex1
0
前後を指標のーっとして いる。
R巴I巴n
化 を認めず、肺癌と肺結核との鑑別が困難でした 。 タ
2 塵肺 (
珪肺)や肺結核では 、R巴t
e
n
t
i
o
ni
n
de
x高値 (1
0
リウ ム ス ペ ク ト(図 1
0)では、 J
J
重癌に 一 致 し て
以上)のものが比較的多く見られ、診断に │
努し注意
De
l
a
y
ed共に 高集積を認め、 Ea
r
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o,
Del
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y,
が必要である 。
r
a
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o,
R
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ni
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exいずれも高値で、シンチ上肺癌を
3.
塵肺 (
珪肺)のRe
t
e
n
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i
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ni
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d
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x高値 (
1
0以上)のもので
疑 いまし た。気管支鋭を患者さんが拒否 したため 、
CTカ、イド 下の生検を施行しました 。生検の結果、肺
も、Ea
r
l
yr
a
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oはJ
]
i
n,
高に
よヒし低い傾向がみ られ、E
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r
a
tl
Oも鑑別に際し 参考材料になるものと思われた 。
結核と診断されました 。
[症例 5
]
、,、.
,
f.
図9
,
図 10
-4一