閲 覧 - 折戸の物理

「折戸の物理」 今週の 1 問
http://orito-buturi.com/
NO.33(2009.12.28)
次の文章の[ (1) ]から[ (11) ]に適切な数式または数値を入れよ。
図 1 のように,水平面となす傾斜角が α の斜面があり,
斜面上の 1 点 O を原点として,x 軸と y 軸をそれぞれ水
y
v0
平方向と鉛直方向にとる。 xy 平面(紙面)は斜面に垂
直である。重力加速度の大きさを g〔m/s2〕とする。また,
A
θ
O
x
B
斜面はなめらかである。
間 1 大きさの無視できる質量 m〔kg〕の物体 A を,時刻
α
Os に初速度の大きさ v0〔m/s〕で,図 1 のように,原
点 O から x 軸となす投射角 θ で xy 平面内に投げ上げた。ここで,投射角は 0° < θ < 90°
とする。物体 A が斜面に衝突するまでの運動を考える。時刻 t〔s〕での物体 A の速度の x
成分は[ (1) ]〔m/s〕,y 成分は[ (2) ]〔m/s〕である。また,このときの x 座標は[ (3) ]
〔m 〕,y 座標は[ (4) ]〔m〕である。
問 2 原点 O に大きさの無視できる質量 M〔kg〕の物体 B をおき,時刻 0s に静かに離すと斜
面をすべりはじめた。時刻 t〔s〕での速さは[ (5) ]〔m/s〕である。このときの原点 O から物
体 B までの距離は[ (6) ]〔m〕であり,物体 B の x 座標は[ (7) ]〔m〕,y 座標は[ (8) ]
〔m 〕である。
問 3 時刻 0s に,初速度の大きさ v0〔m/s〕,投射角 θ で,原点 O から物体 A を xy 平面内に
投げ上げた。それと同時に,原点 O に物体 B をおき静かに離した。時刻 t〔s〕に物体 A と
物体 B が斜面上で衝突するための条件は,
[ (3) ]=[ (7) ]
[ (4) ]=[ (8) ]
である。これらの式を連立させて解くと,v0 を含まない tanθ = [ (9) ]の関係が求まる。
この関係から,物体 A と物体 B が斜面上で衝突するための条件は,α + θ = [ (10) ]で
ある。この条件が満たされていれば,v0 がどんな値であっても物体 A と物体 B は斜面上
で衝突する。2 つの物体が動きはじめてから斜面上で衝突するまでの時間 T〔s〕を,θ を用
いずに,v0,g,α を用いて表すと,T = [ (11) ]〔s〕である。
「折戸の物理」
今週の 1 問
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NO.33 解答
(解説)物体 A は放物運動。物体 B は等加速度直線運動である。(10)で数学的に解けなく
ても答だけは出せる。
問 1.物体 A の初速度の x 成分は v0cosθ,y 成分は v0sinθ である。速度の x 成分を vx,y
成分を vy,座標を xA,yA とする。
(1) v x = v 0 cos θ
(2) v y = v 0 sin θ - gt
1
y A = v 0 sin θ × t - gt 2
2
問 2.物体 B の斜面に沿った加速度を a とすると,運動方程式より
∴
a = g sin α
ma = mg sin α
時刻 t での物体 B の速さを V,O から物体 B まで斜面に沿った距離を S,座標を xB,
yB とする。
(5) V = at = g sin α × t
1
1
S = at 2 = g sin α × t 2
(6)
2
2
1
1
x B = S cos α = g sin α cos α × t 2
(8) y B = - S sin α = - g sin 2 α × t 2
(7)
2
2
問 3.(9)衝突するためには,物体 A,B の座標が一致する必要がある。問題にあるように
1
v 0 cos θ × t = g sin α cos α × t 2
…①
(3) = (7)より
2
1
1
v 0 sin θ × t - gt 2 = - g sin 2 α × t 2
(4) = (8)より
…②
2
2
t≠0 であるので①式より
2v 0 cos θ
t=
…③
g sin α cos α
これを②式に代入して整理すると
æ 2v 0 cos θ ö
1
1
÷÷
v 0 sin θ = g 1 - sin 2 α × t = g cos 2 αçç
2
2
è g sin α cos α ø
(3)
x A = v 0 cos θ × t
(
(4)
)
sin θ cos α
=
…④
cos θ sin α
1
…⑤ …(答)
∴ tan θ =
tan α
(10)④式より
cos α cos θ - sin α sin θ = 0
cos (α + θ ) = 0
θ,α ともに 90°以下であることを考慮に入れて
α+θ =
π
2
…(答)
(数学の先生に怒られるかもしれないが,こんな方法もある。
α + θ が一定値であると問題にあるので,α を適当に決めて θ を求める。
π
例えば, α = とすると,⑤式より
4
1
π
tan θ =
=1
∴ θ=
π
4
tan
4
π π π
これより
α+θ = + =
4 4 2
α を他の値にしても求めることが出来る。また,先に θ を適当に決めてもよい。)
(11)衝突するまでの時間 T は,③式なので,(10)の結果も利用して
æπ
ö
2v 0 cosç - α ÷
2v 0 cos θ
2
è
ø = 2v 0
=
…(答)
T=
g sin α cos α
g sin α cos α
g cos α