技 術 内 容 説 明 書 技 術 の 名 称 最新航空機部品等の製造に用いる穴開け工具『Rドリル』 申 請 者 マコトロイ工業株式会社(東大阪市新喜多2丁目4番 38 号) 連 絡 先 技術部 技術課 東脇 啓文 (TEL)059-237-4133 (FAX)059-237-4149 (E-mail) [email protected] ① 技術・製品について ■技術・製品の概要 本製品は、最新航空機部品に用いられるCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等の硬 い素材を切削するための工具であり、従来品よりも長期にわたり刃の先端を鋭利に保つこ とができるものです。 ■原理 従来の切削用ドリルの刃は、被削材と接する面である「すくい面」及び被削材と接しな い面である「逃げ面」の両方にダイヤモンドによる被覆が施されており、切削過程で生じ る被削材の切粉によってこれらの面が一様に摩耗することで、刃の先端がR状になり、そ の結果、切削性能が低下していきます。 切削性能が低下したドリルで切削すると、被削材にバリが発生することがあるほか、特 に被削材が積層構造を持つ素材であるCFRPの場合は、被削材の表層が剥がれる「デラ ミネーション(層間剥離) 」と呼ばれる現象が発生することがあります。 新品時 使用後 図1 従来のドリルの摩耗形態 本製品は、すくい面にダイヤモンドによる被覆が施されている一方、逃げ面には被覆が 施されておらず母材が露出しています。また、本製品の主たる切削対象であるCFRPに は、母材よりも硬くダイヤモンドよりも柔らかい性質があります。 そのため、CFRPの切粉との摩擦によって生じる刃の摩耗は、ダイヤモンドで被覆さ れたすくい面よりも母材が露出している逃げ面で早く進みます。その結果、刃の摩耗が進 行しても、すくい面と逃げ面の境界である刃先は、比較的鋭利に維持されます。 このようなことから、本製品は、従来品よりも長期にわたり刃の先端を鋭利に維持でき るものです。 新品時 使用後 図2 本製品の摩耗形態 ※特許出願 2008-223467 審査請求済。 ■特徴・長所 l 本製品は、従来品よりも長期にわたり刃の先端を鋭利に維持することができます。 l この結果、被削材のバリやデラミネーションが起こりにくくなり、従来ドリルと比べ良 好な穴開け品質を長期に維持することができます。さらに、ドリルの寿命と切削効率も 大幅に向上しています。 l また、特殊な器具や液体を必要とせず、従来の工具のドリル部分を取り換えるだけで使 用することができます。 ② 環境性能に関する事項 ■環境保全・改善効果 CFRPは、従来のドリルでは 300 穴/本しか加工できませんが、このドリルを用いる と 1,800 穴/本の穴開け加工が可能です。母材やコーティング材の素材や質量は、従来品と ほぼ同じであることから、単位穴開け加工あたりの資源消費を概ね1/6程度に抑えること ができます。 (図3) 図3 他社品との加工数比較 また、切削効率は従来品の5倍に上り、切削加工に要するエネルギー消費の低減が期待で きます。 (表1) 表1 他社品との切削条件比較 さらに、このドリルは、長期に使い続けても従来ドリルと比べてデラミネーションが起こ りにくく、穴開け加工品質を良好に維持することができます。 (図4、図5) 図4 A社ドリルのデラミネーションの状況 ■副次的な環境影響 特になし。 図5 本製品のデラミネーションの状況 ③ 経済性 ■初期経費と運転・維持管理費 【導入費用】参考価格 66,000 円/本(ただし、用途によって導入費用は異なります) 【設置費用】不要 【保守・管理費用】不要 ■従来技術との経済性比較 競合技術であるA社ドリルと本製品の経済比較を示します。 A社ドリルと比べ、導入費用が若干安いことに加え、寿命が6倍あるため、1穴当たり の加工費用が安価です。 (表2) 表2 他社品との経済性比較 ※導入費用は参考価格 ④ その他 ■技術・製品に対する法規制及び関係法令 PL法(製造物責任法) ■品質管理体制等 ISO9001:2000 2003 年1月認定取得 ISO9001:2008 2013 年 2 月認証取得 弊社品質マニュアルを作成し品質管理を行っています。
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