平成 23 年 6 月 1 日 平成 22 年度 重点目標成果報告 看 1. 護 部 看護のマンパワーを確保する 1) 看護職員の離職率を 6.9%(50 名)以下にする ①退職理由を調査し、個々に対 1)今年度の退職者面接は各部署で実施した。看護師長面接の結果「キャリ 応する アアップ」 「職場風土への不満」に対して異動することで留まるケースもあっ た。人員は増えたが 1~3 年目がほとんどを占める部署も生じた。 平成 22 年度退職者数 72 人、離職率 10.2%、新卒離職率 4.2% で、目標は達成できなかった。 (H21 年は 66 人 離職率 9.8% 新卒 0%) 日本看護協会 平成 22 年調査:離職率 11.2% 新卒離職率 8.6% 2)看護師長からスタッフへカウンセリングを勧めるケースが多くなりメンタル支援につ ながった。心の健康相談(心理カウンセリング)利用延べ数は 42 名。 ②業務の無駄を省き、退勤時間 を早くし、過労を防止する ・かえるプロジェクトを運用す 1)遅出勤務の休憩時間について調査した結果、部署によって差があり、 検討した。休憩時間確保の必要性を再認識する機会となった。 2)かえるプロジェクト活動の一環として昨年度より継続して退勤時間の 調査実施。介護福祉士の増員や応援体制の充実、業務体制の変更など る で退勤時間は平均 20 分早くなった。 3)夜勤専従看護師が毎月平均 29 名と増え、他の看護師の夜勤回数減少 につながった。平均夜勤時間が 72 時間を超えることもなかった。 ③子育て支援(託児の拡大) 1)今年度も短時間勤務制度の説明を積極的に行った。利用者は以前より 継続利用者を含め延べ 14 名。今年度の時短利用は育休後の復職者 17 名の内 3 名。産後退職は1名のみであった。 2)病児保育おひさまルーム利用者延べ 150 名(昨年度 135 名)他部門 からの利用希望も聞かれる中、病院全体で取り組む「女性が働く職場 環境整備」を次年度継続して検討する。 (夜間保育の導入等) ④新人が安心と自信を持てるよ 1)新人の離職は3名であった。(1年以内は 1 人) うに支援することで離職を 2)師長・主任がカウンセラーより支援についての講義を受けた。 ゼロにする 3)勤務継続困難な兆候を早めに見つけ、心の健康相談(心理カウンセリング) を積極的に勧めた。 2)看護職員・介護福祉士の入職者を増やす(看護師 40 名、介護福祉士 5 名増員) 平成 23 年 3 月 31 日現在:助産師 23 名、看護師 664 名、准看護師 24 名、介護福祉士 24 名 平成 22 年 3 月時点と比べ、 看護職員は 26 名増(目標達成できず)、介護福祉士は 8 名増となった。 介護福祉士の更なる増員をめざし、天理高校第二部介護福祉科学生を対象に「介護福祉士ふれあ い体験」を実施。9名参加。天理高校二部教員との連携で次年度の就職につながつた。 看護助手から介護福祉士への職種変更も徐々に増え今年度は3名。入院棟(急性期病院)での介護 福祉士の役割を理解して定着する傾向にある。今後、介護福祉士業務の見直し及びマニュアル作成が 必要である。 ①看護職員による募集活動 (同窓会・OB 等) 看護師不足対策の一部として、看護師長やスタッフが声かけし、潜在看護師の アルバイトを積極的に募集し 10 名就職した。うち 6 名が OB 看護師。 ②憩の家の看護を紹介するため 一年に一回以上の発表を行ったのは、29 部署中、13 部署で 45%の達成で に、各部署一年に一回以上、院 あった。部署以外に委員会からの発表も 2 題あった。誌上発表 10 件、一 外発表・誌上発表を行う 般向け講演 3 件であった。 日本看護学教育学会での清潔援助技術(石鹸使用の清拭)発表は当院の伝 統的な看護ケアを紹介でき好評を得た。 ③看護学生のためのインターン 今年度よりインターンシップ導入。看護部ホームページにインターンシップ案内とインターンシップ シップを随時行う 体験者の感想文を追加掲載しアピール。就職のための学校訪問の資料にインターン シッフポスターを追加し説明を加えた。結果、インターンシップ体験者総数は 16 名。 (最 終学年 11 名)うち 4 名(36%)が就職につながった。 3)医師・他職と連携・協働し、効率のよい医療を提供し、看護業務に専念する時間を捻出する ①看護判断基準を盛り込んだパ パス作成の推進には力を注いだが、パスの内容(看護判断基準)や、運用の スを作成し、効果的に運用する 評価までには至らなかった。 ②清掃業務委託を拡大する 全部署(救急病棟、30NS、血液浄化センター、40 NS、50 NS、60 NS、61NS、 47NS、57NS、67NS が残っていた)清掃業務導入に向けて H23.3 月末よ り作業開始。看護助手の看護業務拡大につながった。 ③夜勤専従メッセンジャー業務 4/2 より夜勤専従看護助手業務開始。 (救急病棟に3人配属し交替で夜勤) の実施等、看護助手業務を拡大す PHS を携帯し夜勤師長との連絡を密にして業務実施。不穏患者の見守り る や死後処置の介助・片付け、薬品や医療機器・材料などのメッセンジャー業務を 主に実施。夜間の看護師業務軽減につながった。年末年始も要望が強く、 夜勤に必要な業務として確立した。 ④積極的な退院調整に取り組み、 京大退院調整看護師の宇都宮宏子講師による全職員対象の講演会「チーム ソーシャルワーカーとの連携を で関わる退院調整」開催。104 名の参加。看護師が要となり取り組むこと 密にする が大事で看護部のバックアップが重要と示唆いただく。今後、シリーズで 研修継続予定。1 月から救急診療科入院制度の導入と地域医療連携室に師 長が配属されソーシャルワーカーを含め院内全体で退院調整に取り組む体制が整い つつある。退院サマリーシステムも医療情報システムセンターの協力を得て整備された。 ⑤事務職によるメッセンジャー 用度課によるリネン、寝具、洗濯物の清潔配送・不潔回収が定着した。 業務を導入する 業者による O2 ボンベの病棟配送と回収を導入した。 ⑥看護業務への理解を得るため 看護の日のイベントの一環として「看護の心にふれる」を目的に他部門(栄 に、他職種の看護体験を実施する 養士2名・放射線技師3名・医事課事務員・診療情報課事務員)7名の看 護体験を実施。体験後の感想に「想像していたよりも忙しい業務であるこ とを実感した」とあった。今後の連携につなげていきたい。 4)部署間の応援体制をさらに機能させ、マンパワーを有効活用する ①応援可能なときは自主的に申 自主的に応援を申し出る頻度は高くなり、応援要請依頼にほぼ対応するこ し出る とができた。 ②病棟、外来の一元化を検討する 外来と救急病棟との連携は密になってきたが、一般病棟とは人員不足のた め実現できなかった。 2.患者の安全を守り、安心して療養できる環境を整える 1) レベル 3a 以上の患者誤認インシデントをゼロにする 昨年度に引き続き 0 件で目標達成した。医療安全委員会による患者確認キャンペーン約 2 ヶ月間実施。医療 安全管理委員会からも「お名前どうぞ」のポスター配布があり各部署に掲示した。患者に名乗ってもらうという 患者確認行動は定着しつつあるが、その他の確認行動については検討が必要である。 2) レベル 3a 以上の危険薬インシデントをゼロにする 目標は達成できなかった。医療安全委員会による「5R 確認」研修を新人に 2 回/年、新人以外の看護職は 1 回実施。誤薬に関するインシデントの原因は「確認不足」が多い。今後は「正しい目的」を追加し「6R 確認」と する。 3) 迅速対応基準をもとに適切な看護判断を行い、連絡・報告・相談を密にして患者に対応する 看護部の Dr コール基準がスタッフに周知できていない実態が判明した。次年度はさらに SBAR を用いた Dr コールの手順を定着させる必要あり。 4) 救急外来、ICU、HCU、救急病棟、一般病棟の連携を密にして重症患者の適正な管理を行う ICU と HCU 連携で、夜間 ICU から一般病棟への押し出しが無くなった。また、ICU、救急病棟スタッフ 間の異動の結果、連携が強まり患者の安全管理につながった。 3.DPC 導入に対し、病院経営を維持する 1)平均ベッド利用率 85%以上(入院患者 684 人以上) 年間平均ベッド利用率 80.5%、入院患者数 641.8 人(昨年 79.2%、631.3 人)、で、平均在院日数 13.6 日(昨 年 13.9 日)であった。1 日平均在院患者数は昨年同様、土日の患者数の減少が著明でパスによる日程の工 夫など患者数増加が課題。 2)クリニカルパスの見直し DPC 導入2年目。 看護部記録委員会と DPC 委員会クリニカルパス推進審査部会と連携をとりパス作成を推進、 9 月に調査したパス活用率は 45%であった。 4.新体制に向けて看護実践能力向上を図る 1)看護職一人ひとりの看護実践能力(知識・技術・態度)のアップを図る ①集合教育を現場教育に活か 専門領域新人研修資料をファイルにして各部署に配布し、集合教育で す 何を学んできたかを知って現場教育を実施するようにした。 ②急性期看護(救急・循環器 ICU 看護師 2 名が一般病棟(66NS)で 8 週間研修実施。主に集中ケア 系・脳神経系・周手術期)教育 認定看護師より指導を受ける。1:1 ではなく優先度を考えて多くの患 を重点的に行う 者を看る体験や意識のある患者を通して倫理的配慮の重要性を再認識 する機会となった。OP 室、ICU は他院の見学実施。 各部署での公開勉強会には多数の出席があった。 ③フィジカルアセスメント能力を高める 昨年に引き続き奈看協の「看護に活かすフィジカルアセスメントⅠ」受講を促し 院外・院内研修を実施 計 29 名受講。講義で使用する本を教育費で購入。各部署に配布し臨床 現場で活用できるようにした。 「同Ⅱ」研修も自主的に参加する者が増 えた。今年度より新人看護職員対象に臨床病理松尾部長を講師として 「からだがみえる臨床検査」研修 2 回開催。検査データの読み方、考 え方を習得することで幅広いアセスメント能力の取得を図った。 ④院外研修参加、学会・研究発 学術講演 28 件、学会 21 件、研究会 3 件、院内集団会 19 件。 表 今年度は看護学教育学会 2 件、近畿学会 2 件、看護科学学会 1 件の発 表ができた。病院出張での院外研修は延べ 65 名、看護部教育費での院 外研修は延べ 120 名であった。 ⑤新人看護職員研修の強化を 教育研究委員の中から新人教育担当責任者(師長兼任1名)任命し、 図る 新人看護職員研修体制の基盤作りに力を注いだ。 9 月に新人看護職員研修プロジェクトチーム発足。 (メンバーに大学準備 室有田先生も加わり支援していただく) 各部署の教育担当者を決めその役割を成文化し次年度に向けて教育担 当者研修を実施した。Off‐JT と OJT の連動の重要性を再認識し自部 署での課題を検討した。看護職員研修体制組織図を作成しそれぞれの 役割を明確にした。 各専門領域の専門・認定看護師が新人研修に積極的に携わった。 ⑥各種医療チームのリンクナ 包括的ケア管理委員会と感染委員会各チームのリンクナースの活動規約を明 ースの活動を活性化させる 文化して配布する。活動内容再認識し、現場での有効な人材活用につ なげた。各チームリーダーがリンクナースの有効活用を意識して活動するよう計画 した。病棟では、リンクナースを中心に勉強会を開催したり、伝達する場を 設ける等、情報共有すると共に、リンクナースからの連絡で専門チームの介入が 迅速に受けられるようになった。結果、看護実践能力向上に繋がった。 しかし、リンクナースの交替が多いことで経験年数やスキルにばらつきがあ り経験の蓄積ができないことが課題である。 2)看護管理者の育成 ①ファーストレベル6名受講 主任 4 名、看護師 2 名、計 6 名受講修了した。 ②セカンドレベル3名受講 師長 3 名受講修了した ③医療安全管理者研修6名受 本館より看護副部長1名、師長 3 名、主任1名、外来診療棟より師長 講 1名、白川分院より主任 1 名、計 7 名受講修了した ④退院調整支援研修3名受講 聖路加看護大学看護実践開発研究センター事業「退院調整看護師養成と活 動」師長1名受講修了。受講後、地域医療連携室に異動。専ら退院調 整に関わり、病院全体で取り組む一歩となった。 「退院調整における病棟ナースの役割」看護師 4 名受講。 ⑤院内暴力対策研修 看護副部長1名、師長4名、主任 2 名、看護師 1 名受講。当院での「暴 言・暴力講演会」開催につながった。 5.天理医療大学看護学科開学に向けて、実習環境を整備する 1)実習指導者講習会8名受講 主任 2 名、看護師 9 名 計 11 名受講修了認定受けた 2)各部署の看護基準・手順を整備する 委員会で見直しと差し替えを行う。新たに穿刺(胸腔・腹腔・脊椎・骨髄)の作成に着手した 3)大学・大学院進学支援(進学相談) 放送大学の講師を招き説明会を開催。師長会、主任会等で呼びかけた。 大学準備室の屋宜先生が教員の立場で全病棟を巡廻され看護基礎教育環境としての問題を指摘された ので検討した。 <その他> 1.36 病棟へ感染症(肺炎、尿路感染)など総合内科で入院する高齢者が増加した結果、介護領 域の負担が看護師の疲弊に繋がった。救急診療科および総合内科入院患者を空床のある全病 棟で退院まで対応することで負担軽減を図った。 2.三木明子講師による院内暴力に関する当院初の講演会「医療現場における暴言・暴力の対応 について」開催。他部門含め 245 名の参加者。その後、 「セクハラ対策」「暴力発生時の天理 警察への通報の仕方」を成文化。具体的な対応策を明確にして看護職員の安全を図った。 「院 内暴力の報告書」作成。運用を検討中。 3.髙田早苗講師による看護倫理実践の講演会開催。141 名の参加者。次年度は事例を持ち寄り ディスカッション形式で継続研修予定 4.三県合同セカンドレベルの看護管理実習を受け入れた(受講生 5 名) 5.医療安全管理室専従を看護師長が輪番で行うことになり、4 月より交替した。 6.医療大学設立準備室に 10 月から有田清子先生が赴任され新人教育体制構築に支援いただい た。 7.今年度より奈良県看護協会長表彰授与されることになり 3 名受賞 8.コスト削減の視点で器材委員が各部署の物品整理を実施。 ①ボディソープ ②鼻腔カニューラ ③吸引カテーテル ④吸引瓶 ⑤口腔ケア綿棒 9.男性看護師ユニフォームの変更。 10.患者用掛布団変更(軽くて温かく洗濯可能なものに〈速乾性〉) 11.年末年始の病棟閉鎖を4病棟(47.49.57.60)とし救急病棟 5 床は運用した。在院患者の多く が高齢者で重症、看護度も高いため、夜間緊急入院を救急病棟が対応した。救急外来の日勤も 非常に業務量が多いので検査技師への役割分担の協力依頼予定。 以上
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