2010年10月 No.27 - 一般社団法人研究産業・産業技術振興協会|JRIA

巻 頭 言:我 が 国 は 何 を す れ ば よ い か - - - - 1
政策情報:経済産業省における日本版バイ・
ドール制度の事前承認制の適用について-3
技 術 最 前 線 : JITA 技 術 交 流 会 - - - - - - - 8
特 集 : 専 門 技 術 者 養 成 事 業 - - - - - - - - 10
JITA 活 動 コ ー ナ ー - - - - - - - - - - - 15
27
October 2010 No.
Japan Industrial Technology Association
財団法人日本産業技術振興協会
我が国は何をすればよいか
――人と技術の夜明け――
財団法人日本産業技術振興協会
産業技術部長
閉塞感!戦後我が国が復興を果たして以来、所得倍増、
守谷 哲郎
都合がよいとして取り入れた制度や社会制度の方向性
列島改造、重厚長大、高度成長、バブル崩壊、等々の様々
が大分ひずんできているからではないのだろうか。
「迷
な局面で社会の変革が起きてきたが、閉塞感を感じると
ったときは原点に戻れ」とはよく言ったもので、我が国、
いう意味では今が最もその頂点にあるのではないだろ
あるいは我が国土に居住する倭人が古来とってきた生
うか。中国に抜かれたとはいえ、その豊かさや国の安定
来の行動遺伝子、あるいは表現が正確ではないかもしれ
度では依然として世界のベスト3に入ることは間違い
ないが、外部から持ち込まれた知識や文物を部外者には
ないし、基礎科学分野ではノーベル賞受賞も定常的なイ
或る意味理解できないかもしれない方法で変形させた
ベントになりつつある。技術開発では常にトップの性能
り、自分たちに都合の良いシステムに組み替えたりして、
を持つ製品を作り続けており、マネされることはあって
楽しく優雅に暮らしに活かすという、忘れてはならない
も終戦直後のように海外技術をそのまま真似る事など
特長を再考する必要がある。中国大陸から漢字を輸入し
我が国技術陣にとっては想像もしない状況が続いてい
てひらがなに変え、更にひらがな文化を開花させる、仏
る。技術のガラパゴス化と揶揄されるような事象もない
教を取り入れて我が国古来の土着信仰と融和させる、ま
ではないが、ゲーム機、プリンターなど依然として世界
た、近代に至っては海外からの教育システムを寺子屋、
を制覇している技術は多々あるし、漫画やコスプレのよ
藩校と言った伝統の上に機能させて、国民的教育の徹底
うに日本ならではの文化が世界に流出し、東洋の神秘的
を世界に先駆けて達成する、等々とにかく何でも自分の
な国からすでに文化大国日本のイメージが定着しつつ
モノにするのがうまいのである。
ある。
技術レベルではなくビジネスの活性度の差として、韓
それでは、何が現在の閉塞感を生むのであろうか?
国、台湾などに追い上げられているわけであるが、別に
政治の貧困などと言っても長期の歴史的観点からは瞬
度肝を抜くような、あるいは不可解な新手法をとってい
間のことであり、一時期の政策や予算編成で国の大きな
るわけではない。バイタリティーとか経済感の差とかは
流れが決まってしまうことなど最近の国際化の中では
有るが、本質的な差はないと思われる。現在の閉塞感の
あり得ない。一つの理由は、戦後我々が欧米から学んで
裏には目指すモノが不明確という点がつきまとってお
JITA ニュースレター October 2010 No.27
り、昨今では国家像の欠落という政治問題にも発展して
わゆる新たな国家像とやらも自ずと見えてくるのでは
いる。そこで、加工貿易と言う言葉を思いだそう。世界
ないだろうか。少子高齢化、経済縮小を嘆くのはそろそ
経済が金流で翻弄される以前は、物流が世界の経済をコ
ろやめにしませんか!夜は明けようとしています。
ントロールしていた。我が国は、資源を輸入して製品を
●エピローグ
輸出するというシンプルなビジネスモデルに従って、豊
富な人的資源を活用することにより比較的短期間で経
前述の小文を書いた後に、次のような話をベテラン研
究者(&技術者)から聞きました。
済大国を築いた。それでは現在我々が辟易している、株
我が国の技術陣で大切なことは「設計力とその過程に
式市場、為替、投機、デリバティブ、レバレッジ、ヘッ
埋め込まれた創造力」であると。この話で心して理解し
ジファンド、等々の金流の先に何があるのであろうか。
ておかなければならないのは、埋め込まれた創造力でな
私見であるが、今後の世界は知流へと進むのではないか。
ければならない点である。特にいわれがないにもかかわ
言葉を換えれば、モノとカネから知識(コンテンツ)と
らず、創造性の欠落が国の将来を危うくするというよう
人(生活)への変換が起きるはずである。
な上滑りの議論で、文科省では「ゆとり教育」とか称し
そうであるならば、加工貿易に対照されるモノは何か。
て創造性の陶冶が幼い子供時代の教育から生み出され
答えは明白で、知識を輸入し人の力で加工して智恵を輸
る如き誤解が広まり、ある意味では教育がゆがめられた。
出するのである。造語であるが「貿易から智易へ」であ
そもそも創造力というのはある程度具体的な実施計
る。我が国は物流を支配した時代を経て、次の金流(欧
画や実行力の上に成り立ってこそ意味があるのであっ
米流の経済主義)の時代にやや乗り遅れたが、今後は知
て、空中に浮遊するように創造性が有るわけではない。
流の時代への先鞭を付けたい、というのがシナリオであ
上記のベテランの指摘には続きがあって、
「コンピュー
る。米国発の i-Phone のようにコンテンツ主導のビジネ
タが技術者(特に物作りに関して)の創造力を奪いつつ
スがどんどん世界に広がりつつある。このような流れに
あるのではないか」と言うことだった。例えば、最新の
乗り遅れないためには、昔から我が国でとってきた戦略
設計ソフトウエアによれば、データを入力するだけでと
のように知識は安く輸入すればよい――資源を輸入し
りあえず動く製品の設計図が出来上がる。これは昔の技
たように。基礎研究ただ乗り論などは古いのである。極
術家さんに言わせれば夢のような話である。電子回路配
論をするならば学べる範囲のモノは全て学べばよい―
線のチェックを人海戦術で何日もかけて設計図を視認
―追いつき追い越せの時に我が国研究陣がやったよう
しながらかけ声を懸けながらやったなどとは最近の人
に。ビジネスとして育てることと、科学技術の創造性を
はつゆにも思わない。コンピュータを使えばあっという
育てることは異次元のことと思ってよいのである。同じ
間に出来るのだから。しかし、ここに落とし穴がある。
平面で考えるから基礎科学者と企業人の間にギャップ
設計図や仕様書は立派でも、実物とは微妙に差があるの
が生まれる。どちらも必要だが、同じ論点で捉えてはい
である。不満足な点を一つ一つ解消して行き、完璧な製
けない。連続性はないのである。
品にするにはやはり創造力が必要で、それはワザや経験
たとえば、デザイン、サービス、IT コンテンツ、環
に基づく直感に裏打ちされたものを含む。中・台・韓に
境保全、新エネルギー、等々どれをとってもこれまでの
は無いものを、利益を度外視して育てる気概があるかど
加工貿易ではカバーできない話題である。技術と社会の
うかが我が国の将来を左右するのは明白である。ナンバ
関係が密接にからむ話題が目白押しなのである。これら
ーワン“ではいけない”のである。オンリーワンに意味
に目を据えて、将来の「智易」をイメージできれば、い
があるのだから。
●「
「北杜サイト 大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究施設」視察見学会のご案内 ●
技術開発や研究開発の最先端の現場から最新技術や注目技術を学び、さらなる産業界の発展、技術開発に役立てるための見学
会です。今回は、11 月 26 日(金)に山梨に視察見学に行きたいと思います。大規模太陽光発電施設の研究開発から実証実験段階
における成果と課題、技術的側面と今後の展開等について実施担当者に伺います。また、日本ならではともいえるモルト原酒のつ
くりわけの技術と繊細さを追求する作り手の姿勢から日本のおもてなし(サービス科学)に関する経営視点について考えます。
【主な旅程】8:00 東京駅(新宿駅に変更の可能性あり)→①NEDO 北杜サイト大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究」
施設視察(見学対応:NTT ファシリティーズ実証研究担当者)→②サントリー白州蒸留所見学→20:00 東京着解散
●対象:技振協産技懇コンソーシアム会員、技振協賛助会員、関連分野の研究者等
●参加費:1人 5000 円(予定) ●参加希望の方は 11 月 12 日までに事務局(技振協産業技術部 担当:友田)までお申込み下さい。
JITA ニュースレター October 2010 No.27
政策情報
経済産業省における日本版バイ・ドール制度の
事前承認制の適用について
経済産業省 産業技術政策課 成果普及・連携推進室
1 . はじ めに
このため、
平成 21 年4月に産業技術力強化法
(以下、
産業技術力強化法第 19 条(いわゆる「日本版バイ・
「法」という)が改正され(同年6月施行)
、国等の委
ドール制度」
)は、国等の委託研究開発(独立行政法人
託研究開発の成果に係る特許権等を他者に移転し、又は
等を経由した間接委託を含む)について、開発者のイン
専用実施権を設定する場合には、あらかじめ国等の承認
センティブを増し、研究開発成果の普及を促進するため、
を受けることを受託者等が約することが義務づけられ
米国のバイ・ドール法を参考として、国等の委託研究開
た1 。
発に関する知的財産権を受託者である大学・民間企業等
3.法改正の内容
に帰属させることを可能としたものである。
平成 21 年の法改正以前は、国等の委託研究開発又は
当該制度は、平成 11 年に産業活力再生特別措置法に基
請負ソフトウェア開発の成果に係る特許権等を、以下の
づき導入された。その後、平成 19 年に関連規定が産業
①~③の事項を条件に、受託者又は請負者に帰属させる
技術力強化法第 19 条に移管され、恒久的措置化が図ら
ことができるとしていた(法 19 条第1項第1~3号)
。
れて今日に至っている。
この日本版バイ・ドール制度について、平成 21 年に
平成 21 年改正では、受託者又は請負者に特許権を帰
属させる条件として、④の事項が追加された(法第 19
法改正が行われ、受託者に帰属した特許権等を第三者に
条第 1 項第 4 号)
。
移転する場合等には、あらかじめ国等の承認を受けるこ
① 研究開発等成果が得られた場合には、遅滞なく、国
とが義務づけられた(以下、
「事前承認制」という)
。本
にその旨を報告することを受託者等が約すること。
稿では、当該法改正の趣旨及び内容と、経済産業省にお
② 国が公共の利益のために特に必要があるとしてそ
ける事前承認制の運用について説明する。また、受託者
の理由を明らかにして求める場合には、無償で当該特
の方々の理解の一助として、事前承認制に関する Q&A
許権等を利用する権利を国に許諾することを受託者
を本稿の最後に添付する。
等が約すること。
③ 当該特許権等を相当期間活用していないと認めら
2 . 法改 正の 趣旨
国等の委託研究開発の成果に関する知的財産権が、成
れ、かつ、当該特許権等を相当期間活用していないこ
とについて正当な理由が認められない場合において、
果を活用する予定のない者等に移転されてしまった場
国が当該特許権等の活用を促進するために特に必要
合、国費による研究成果の活用が困難となり、研究開発
があるとしてその理由を明らかにして求めるときは、
成果の普及を促進するという本制度の目的を達成する
当該特許権等を利用する権利を第三者に許諾するこ
ことができなくなる。
とを受託者等が約すること。
また、平成 20 年に成立した「研究開発システムの改
④ 当該特許権等の移転又は当該特許権等を利用する
革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等
権利であって政令で定めるものの設定若しくは移転
の効率的推進等に関する法律」
(通称:研究開発力強化
の承諾をしようとするときは、合併又は分割により移
法)第 41 条においては、国の資金により行われる研究
転する場合及び当該特許権等の活用に支障を及ぼす
開発の成果について、我が国の国際競争力の維持に支障
おそれがない場合として政令で定める場合を除き、あ
を及ぼすこととなる国外流出の防止に必要な施策を講
ずることとされている。
1 なお、専用実施権等の設定については、平成 14 年度から、契約により事
前承認制が導入されている。
JITA ニュースレター October 2010 No.27
らかじめ国の承認を受けることを受託者等が約する
・ノウハウを排他的に利用する権利の許諾又は移転の承
こと。
諾
4 .経済 産業 省における事前承認制の具
なお、以下の行為は事前承認制の対象外である。
体 的 内容
・通常実施権(独占的通常実施権を含む)の許諾
(注)事前承認制の具体的な運用は、委託元の省庁や独
・専用実施権の予約(第三者との契約において、特許権
立行政法人によって異なる場合がある。他省庁・独立行
等の取得前に、当該特許権等について専用実施権を設
政法人の委託契約における事前承認制の運用について
定することを予め確約する契約慣行を指す)
は、それぞれの省庁や独立行政法人に確認されたい。
(3) 事前承認制の対象とならない移転等
(1) 対象となる契約
日本版バイ・ドール制度が適用されうる契約は、国等
法及び産業技術力強化法施行令(以下、
「施行令」と
いう)において、事前承認を受ける必要がない場合とし
が委託した技術に関する研究開発契約及び国等が請け
て、以下の場合が規定されている。
負わせたソフトウェア開発契約である。なお、補助金に
・合併又は分割により移転する場合(法第 19 条第 1 項
第 4 号)
よる事業は日本版バイ・ドール制度の適用対象外である。
・当該特許権等の活用に支障を及ぼすおそれがない場合
(2) 事前承認制の対象となる権利
として政令で定める場合(施行令第 11 条第 3 項)
以下の権利が事前承認制の対象となる。
・ 受託者であって株式会社であるものが、その子会
社2 又は親会社3 に特許権等の移転等をする場合
①特許権等の移転について
・ 承認 TLO4 又は認定 TLO5 に移転等をする場合
・特許権、特許を受ける権利
・ 技術研究組合6 が組合員に移転等をする場合
・実用新案権、実用新案登録を受ける権利
・意匠権、意匠登録を受ける権利
(4) 移転等が承認された後の取り扱い
研究開発の成果に係る特許権等の移転等が行われた
・著作権
・回路配置利用権、回路配置利用権の設定の登録を受け
る権利
後も、受託者及び移転を受けた第三者は、以下の義務を
遵守する必要がある。
・育成者権、種苗法第 3 条に規定する品種登録を受ける
地位
①特許権等の移転
事前承認制の適用対象である特許権等が第三者に移
・技術情報のうち秘匿することが可能なものであって、
かつ、財産的価値のあるもの(ノウハウ)を利用する
転された場合には、移転先である当該第三者にも事前承
権利
認制が適用されることを、契約書において規定している。
・外国における上記各権利に相当する権利
すなわち、当該第三者が他の者に特許権等の移転等を行
おうとする場合には、当初の委託者である経済産業省の
②専用実施権等の設定等について
事前承認を受ける必要がある。
そのため、受託者は当該第三者との間で締結する契約
・特許権、実用新案権及び意匠権についての専用実施権
の設定又は移転の承諾
・回路配置利用権及び育成者権についての専用利用権の
設定又は移転の承諾
・特許権についての仮専用実施権の設定又は移転の承諾
・著作物を排他的に利用する権利の許諾又は移転の承諾
2
会社法第 2 条第 3 号に規定する子会社
3
会社法第 2 条第 4 号に規定する親会社
4
大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関
する法律(TLO 法)第 4 条第 1 項の承認を受けた者
5
TLO 法第 12 条第 1 項又は同法第 13 条第 1 項の認定を受けた者
6
技術研究組合法第 13 条に基づき設立された組合
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等において、当該第三者に、他の者に特許権等の移転等
を行おうとする場合には経済産業省の事前承認を受け
ることを約させる必要がある。
書を遅滞なく経済産業省に提出する。
④ 事前承認を受ける必要がない場合(4.(3)を参照)で
あっても、受託者は、移転を行った後には、移転通知
書を遅滞なく経済産業省に提出する必要がある。
②専用実施権等の移転の承諾
専用実施権等を移転する場合には、特許法等の規定に
[参考] 事前承認制に関する Q&A
基づき、当該特許権等の所有者による移転の承諾が必要
である。そのため、受託者から事前承認制の適用対象で
問1 特許権等の移転等についての事前承認の可否の
ある専用実施権等の設定を受けた者は、受託者の承諾を
判断に際しては、具体的にはどのような観点から検討を
得れば当該専用実施権等をさらに他の者に移転するこ
行うのか。
とが可能であるが、受託者は当該承諾に先立って、経済
産業省の事前承認を受ける必要がある。
事前承認の可否の判断に際しては、産業技術力強化法
及び研究開発力強化法に基づく観点や、個々の委託事業
(5) 承認可否の判断に際して考慮する観点
経済産業省は、移転等の承認の申請があった場合には、
の目的等の観点を考慮して、総合的に検討を行うことと
なる。
以下の観点等に基づき、承認可否を判断する(詳細につ
検討を行う際に考慮すべきポイントの例を、以下に示
いては、
「[参考]事前承認制に関する Q&A 」の問1を
す。ただし、承認可否の判断に際しては、複数の観点か
参照)
。
ら総合的に検討を行うため、以下に掲げる考慮すべきポ
イントに該当すること、あるいは該当しないことをもっ
① 当該移転等により、研究開発の成果が事業活動にお
て、直ちに承認可否が決まるものではない。
いて効率的に活用されるか。すなわち、移転先は、研
究開発の成果を真に利用しようとする者であるか。
(法第 19 条に基づく観点)
② 当該移転等が、我が国の国際競争力の維持に支障を
(1) 研究開発の成果が事業活動において効率的に活用
されるか、との観点
・移転先は、研究開発の成果を効率的に活用するための
及ぼすこととなる研究開発の成果の国外流出に該当
具体的な事業計画等を有している者であるか。
(なお、
しないか。
(研究開発力強化法第 41 条に基づく観点)
移転先が、研究開発の成果を事業活動において利用せ
ず、専ら他者への権利行使のみを目的としている場合
5 . 事前 承認 制に係る手続き
経済産業省の委託契約では、事前承認制に関する手続
きを以下のように定めている。
は、研究開発の成果を効率的に活用する場合には当た
らないと考えられる。
)
・移転先が研究開発の成果等を活用して行う事業が、法
令や公序良俗に反するものでないか。
① 特許権等の移転等を行う前に、受託者は経済産業省
・移転先は、当該委託研究開発に関する共同研究先であ
に対し、委託契約書に基づき移転承認申請書を提出す
るか。
(移転先が共同研究先である場合は、基本的に
る。移転等の相手先が国内か海外か、また、日本企業
は、成果の効率的な活用の観点から問題はないと考え
か外国企業かを問わず、必ず事前の申請が必要である。
られる。
)
② 経済産業省は、移転承認申請書に記載された移転等
の理由、移転等の相手方の内容等を検討した上で、移
(2) 我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすことと
転の承認の可否を判断し、その結果を受託者に回答す
なる研究開発の成果の国外流出に該当するか、との観
る。
点
③ 受託者は、承認を得て移転を行った後に、移転通知
・移転先は国内に所在する組織か、国外に所在する組織
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か。国内に所在する組織である場合、その資本比率等
はどのようになっているか。
そのため、仮専用実施権の設定についても、契約によ
り事前承認制の対象としている。
・移転等が行われた場合において、研究開発の成果が活
用される場所は国内か、国外か。
・当該移転等により、国内企業等(大学・研究機関等を
問 5 委託研究開発の成果に係る特許権の一部のみを
第三者に移転する場合には、承認は必要か。
含む)が重要な研究成果に対しアクセスすることが困
難となる恐れがあるか。
・当該移転等により、国内企業の国際競争力の維持に対
特許権の一部のみの移転であっても、事前承認を受け
る必要がある。
する不利益がもたらされないか。
問 6 委託研究開発を複数機関が共同で受託した等の
問 2 独占的通常実施権の許諾について、事前承認は必
理由により生じた共有特許について、自らの持分の一部
要か。
を他の共有者に移転することにより持分の割合を変更
する場合にも、承認は必要か。
独占的通常実施権は、特許法上は単なる通常実施権で
あり、産業技術力強化法第 19 条第 1 項第 4 号で定めら
共有特許についての持分の一部を他の共有者に移転
れた「当該特許権等の移転又は当該特許権等を利用する
する場合にも、権利の移転が発生するため、事前承認を
権利であって政令で定めるもの」には含まれておらず、
受ける必要がある。
事前承認は不要である。
問 7 委託研究開発の成果に係る特許権等を国内企業
問 3 委託研究開発の成果に係る特許権を取得した場
に移転する場合にも、事前承認を受ける必要があるのか。
合について、第三者との契約において、当該特許権につ
いての専用実施権を設定することを予め確約したい(専
用実施権の予約)
。このような行為について、事前承認
は必要か。
国内企業に対して移転または専用実施権の設定を行
う場合にも、事前承認を受ける必要がある。
ただし、以下の場合については事前承認を必要としな
い。
委託者である経済産業省との関係では、専用実施権の
予約については承認は不要であり、専用実施権の設定を
実際に行うときまでに承認を受ければ良い。
ただし、専用実施権の予約を取り決めた後に承認が受
けられないことがあり得るため、契約書に、
「専用実施
権は、当該専用実施権の設定について政府の承認が得ら
れた場合に設定される」等の条項を盛り込むことも一案
である。
・特許権等を保有する者の合併または分割により、特許
権等が移転される場合
・株式会社からその子会社または親会社に対して特許権
等の移転または専用実施権等の設定が行われる場合
・承認 TLO または認定 TLO に対して特許権等の移転
または専用実施権等の設定が行われる場合
・技術研究組合からその組合員である企業等に対して特
許権等の移転または専用実施権等の設定が行われる
場合
問 4 特許法 34 条の 2 に規定された仮専用実施権の設
定について、事前承認は必要か。
問 8 委託研究開発において外国特許権を取得したが、
当該外国特許権の移転を行う場合にも、事前承認は必要
仮専用実施権が設定された特許出願について特許権
か。
の設定登録があったときは、専用実施権が設定されたも
のと見なされる。
経済産業省の委託契約書では、外国特許権についても、
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委託研究開発の成果に係る特許権等であるとして、受託
問 13 以下の場合、事前承認の対象となる場合はどこ
者から譲り受けない旨を定めている。そのため、当該外
までか。
国特許権を移転する場合についても、事前承認制の対象
①法改正前の契約・出願で、法改正後の移転等
としている。
②法改正前の契約であるが、出願が法改正後の場合の移
転等
問 9 委託研究開発において外国特許権を取得したが、
当該外国特許権の独占的ライセンスは、事前承認の対象
③法改正前の契約・出願であるが、研究開発継続に伴う
新契約が法改正後の場合の移転等
となるのか。
①及び②の場合、事前承認制を含まない旧委託契約の
外国特許権についての独占的ライセンスは、当該外国
特許権に係る発明の日本国内における実施を制限する
ものではないため、事前承認制の対象外としている。
研究成果に基づくものであるため、事前承認の対象とは
ならない。
③の場合は、法改正後に締結された事前承認制を含む
新契約に基づくものであるため、事前承認の対象となる。
問 10 事前承認の対象とならない者に対して移転等が
行われた後、当該者から更に事前承認の対象となる者に
問 14 特許権等を保有する者の合併先が国外の法人の
移転等をしようとする場合は、事前承認が必要か。
場合においても事前承認は必要ないか。
経済産業省の委託契約書において、事前承認の対象と
ならない者に対して移転等が行われた後、さらに事前承
認の対象となる者に移転等をしようとする場合にも、事
前承認が必要である旨を定めている。
合併または分割により特許権等が移転される場合は、
事前承認は不要である。
他方、合併または分割前の者が有する権利義務は包括
的に承継されるため、合併または分割後の者が当該特許
権等の移転を行おうとする際には、国等の事前承認を受
問 11 著作権の独占的ライセンスは、事前承認の対象
ける必要がある。
となるのか。
問 15 事後に権利を移転等すべきでない者であること
著作物を利用する権利の許諾については、著作物を排
が判明した場合に、事後報告等は必要か。
他的に利用する権利の許諾によって日本国内における
活用が困難になる可能性があるため、契約により事前承
そのような事実が判明した場合、速やかに委託者であ
認制の対象としている。
る経済産業省に報告されたい。
問 12 国が請け負わせた「ソフトウェア開発」の中に
問 16 国の委託研究の成果である特許権等を第三者に
は、JAVA、CGI 等のソフトウェアを含んだコンテンツ
移転する場合、当該第三者と契約を取り交わす際に、移
制作が含まれるが、この場合、著作権・著作隣接権の移
転を受ける当該第三者が事前承認の義務を負うことを
転について、国の承認が必要か。
契約書に記載する必要があるか。
ソフトウェア開発がメインでないコンテンツの制作
当該第三者との契約書等において、他の者に対し特許
については、コンテンツ版バイ・ドール制度(コンテン
権等の移転または専用実施権の設定等を行う場合には
ツの創造、保護及び活用の促進に関する法律第 25 条)
委託者である経済産業省の事前承認を受けることを、当
が適用され、同法には事前承認制の規定はないが、契約
該第三者に約させる必要がある。
により事前承認制が導入されている。
JITA ニュースレター October 2010 No.27
技術最前線:JITA 技術交流会
産業のための最先端の技術開発と研究開発課題
-特許・技術移転交流会から技術交流会へ-
(財)日本産業技術振興協会(技振協;JITA)は創設
術交流会」として開催しています。開催規模も、これま
以来、
(独)産業技術総合研究所(産総研)や(独)新
での定員 40~50 名前後での開催にとどまらず、より多
エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の所有
くの方に最新科学や技術動向、政策動向に触れていただ
する知的財産を広く産業界で活用していただくための
けるよう、定員を大幅に増やした会も開催し、また、小
取り組みに従事しています。その一環として、主に産総
規模での開催の際は、参加者である企業・大学等の方々
研の保有する特許及び技術移転に関する最新情報を紹
と研究者等がディスカッションできる場も設けるなど、
介する「特許・技術移転交流会」を 2009 年度まで開催
双方向性と研究開発現場での PDCA サイクルのハイ・
しておりました。しかし 2010 年度からは、これまでの
クオリティ化の推進を図っています。
ような知的財産関係の情報だけではなく、産業のための
産業界に役立つ情報と機会を得る場として、また、新
最新の研究開発や技術についても、産総研をはじめとす
たな連携や産業化推進、産業イノベーションへとつなが
る最先端の現場の研究者ほか、その分野の動向や政策等
る場としての活用を目指して開催した第1回技術交流
に関係する方々の取り組み・情報もまじえ発信する「技
会について、講演内容を含め報告します。
技 術 最前 線
第1回JITA技術交流会
「サービス・イノベーション
-よりよい社会と産業のための技術-」開催(JKA 補助事業)
日時:平成 22 年8月 26 日(木) 会場:商工会館(東京都千代田区霞ヶ関)
後援:
(独)科学技術振興機構/(独)産業技術総合研究所社会知能技術研究ラボ
日本の科学技術政策が一部の領域に特化した欧米型研
究開発を推し進める傾向にある中、日本が世界に秀でる
能力のひとつにサービスへの考え方がある。一般的にい
われる第三次産業におけるサービスにとどまらず、人々
の暮らしや社会、科学技術にもサービスは深く関与し、
■サービス価値共創の伝統と革新を考える
一視点 ― もてなしとサービスロボット ―
(株)イー・クラフト代表取締/
北陸先端科学技術大学院大学知識科学研
究科客員教授
中村 孝太郎 氏
多くの課題を抱えている。そこに踏み込み、多くの科学
技術とその知を活かすことから、日本らしい産業の活性
日本語の「もてなし」
、あるいは日本型「ロボット」
化や創造を目指そうとする新たな領域「サービス科学
の例をもとに、主客の関係を重視する日本特有のサービ
(サービス・サイエンス)
・サービス工学」が注視され
ス体系が存在することを指摘し、
「サービス」の定義が、
てきている。そこで、広く世界に関わり未知数なこのサ
ユーザー(カスタマ)が参画することにより共創へと拡
ービス科学・サービス工学が、科学技術と産業において
張されていることを指摘。さらに、茶の湯の文化的意味
いかに重要であり、また、どのように社会に関係してい
合いの考察より、日本ならではの古来より続くサービス
るのかうかがい、ともにサービス・イノベーションを引
価値の共創について言及した。欧米でもサービスドミナ
き寄せるためにはどうすれば良いのかを考える場とし
ントロジック(SDL)にもとづいて、モノからコトへの
て、技術交流会を開催した。
思考の転換が進んできている。従って、日本文化に立脚
JITA ニュースレター October 2010 No.27
した広義のサービス分類に基づいた思考法が今後の我
が国サービスビジネス展開にも重要であるとの指摘を
行った。
ービスを提供すること(余裕)へとつながる。
事務情報システムの開発や医療の問題等を例に取り、
上記の分析結果の実社会での展開を例示し、広義のサー
ビス産業が7割を占めるに至っている我が国の、今後の
有るべき情報化の方向性を示した。
■ユビキタスコンピューティングがもたらす
ライフスタイルイノベーションとサービス
(独)産業技術総合研究所
社会知能技術研究ラボ
森 彰氏
ユビキタスコンピューティング技術(センサーやネッ
■ソーシャル e サイエンス
トワーク技術により様々なデバイス・装置を統合的に操
― 科学的根拠に基づく社会の構築 ―
作、利用可能にする技術)の発展により、情報家電や住
(独)産業技術総合研究所 社会知能技術研究ラボ ラボ長
宅機器を思いのままにコントロールできる「便利な」シ
橋田 浩一 氏
ステムの構築が可能になった。しかし、今後はこの便利
まず、サービス科学とは、サービスのライフサイクル
さを生活にどのように利用していくのかという、より根
と仮説検証サイクルとの融合であることを指摘した。但
本的な課題に取り組む必要があるとの指摘がなされた。
しこのサイクルは、局所的なものではなく、社会全体を
その必要性は、昨今社会環境への制限・拘束条件が急激
含む全体最適化を可能にするサイクルでなくてはなら
に変化してきている点にある。少子高齢化、地球温暖化、
ないと強調した。
経済のグローバル化などがそれであり、伴って我々の生
活に関する価値観も変化せざるを得ない。こういった変
化により、ライフスタイルそのものにも変化が起きよう
としている。一方、技術は絶え間なく進歩するのである
が、その変化により可能となる生活の変化と、環境によ
り強制される変化は必ずしも一致しない事が多い。この
両者を注意深い予測とそれを見越したサービス設計に
一般に言われているサービス、例えば、利益追求型の
よりギャップを埋める事が必要であり、これを目指すこ
サービスのみならず、広範囲に人間の意志決定に基づく
とを「ライフスタイルイノベーション」
(As is から To be
様々な現象を含むサービスを考えると、上記「サービス
への遷移)と呼ぶことを述べ、実際の研究開発を進める
科学」と言う言葉は漠然としすぎて適正を欠くことにな
上では、ライフスタイルイノベーションを念頭においた
る。そこで、こういった広範な現象を科学する方法論の
バックキャスティングの手法が有効である事を示した。
集積を「ソーシャル e サイエンス」と呼ぶことを提唱し
た。ソーシャル e サイエンスは、情報技術によって研究
サービス工学・サービス科学論、サービスの利用と研
資源を広く実社会と共有することで成り立つ。サービス
究、実証例と展開の可能性に関する3つの講演後、ディ
の受容者を支援して仮説検証サイクルに自動的に参画
スカッションが行われ、ファシリテータからの「我が国
してもらうことにより、競争と協調を最適化してサービ
がサービスで立国していくためには、今回の様な会合を
スの社会的価値を高める事が可能となる。また、受容者
重ねて各方面の方々が議論を深めていく必要がある」と
主導での開発による汎用性の高さがハイクオリティサ
の結論で、閉会となった。
JITA ニュースレター October 2010 No.27
特集:専門技術者養成事業(1)
サイエンスだけではない技術者の育成を
―ポスドク・テクニカルスタッフで終わらない人材としての教育―
「専門技術養成事業」では、技術者を必要とする(独)
するよう努めています。今年は夏に2つの知的財産セミ
産業技術総合研究所(産総研)の研究ユニットに産業技
ナーを開催し、8月に開催した「知的財産セミナー 初
術分野の技術者を派遣し、技術者が OJT(On-the-Job
級・中級」
(講師:産総研知的財産部門 仲間健一氏)
Training)によりその研究ユニットでさらに技能を磨き
では知的財産権のうち主に工業所有権について取り扱
産業界に役立つ人材となるよう育成を行っています。そ
い、OJT の場である産総研におけるは知的財産の扱い
の分野は、
ライフサイエンス、
材料、
ナノテクノロジー、
と特許申請の流れについても学びました。9月の上級セ
電子デバイス、情報技術、環境、エネルギー、計測等、
ミナーは「特許マップ分析による研究開発の進め方」
(講
幅広い専門領域に渡り、養成技術者の多くは、事業終了
師:産総研ナノシステム研究部門 栗原健一氏)と題し、
時(養成期間修了時)もしくは終了後1~2年で企業や
特許分析手法の1つである特許マップ分析の重要性や
他の研究機関、公設試などに就職しています。産総研の
方法、そこから研究テーマや技術開発・産業化の方向性
OJT で研究開発や技術開発のための知識的、技術的能
をどのように探れば良いかを学ぶ特許マップ分析の入
力が向上していく養成技術者ですが、一般企業等での経
門編を実施しましたが、難解な内容にも関わらず産総研
験の少ない人も多いことから、社会的マナーや産業化の
外の方からもお問合せがあり、外部への公開を希望する
視点から研究開発を見つめる目を養う教育も必要とな
声も多く寄せられました。また、このようなセミナーの
ります。そこで、ビジネスマナー、知的財産セミナー、
開催も回を重ねる毎に、特許明細書の書き方など様々な
モチベーション向上のための自己診断セミナーなどを
中級レベル・上級レベルのセミナーの開催を期待する声
開催し、また、企業の方々と接する場を設けることで産
も多くきかれ、実用を重視した実践型セミナーの開催を
業界における技術系人材としての自分のあり方と能力
希望する技術者の意識レベルの向上を実感しています。
活用方法について考える機会を設けるなど、産業界に必
今年度後半にはビジネスマナーのほか、MOT の現場で
要とされる人材としての素養を高め、公的研究機関以外
用いられている四画面思考を用いて課題解決と実現の
で能力を発揮する道についても考えるきっかけを提供
ためのディスカッションを計画しています。
特集:専門技術者養成事業(2)
専門技術者育成期間を経て
中央研究院地球科学研究所 ポスドク研究員
福山 繭子
専門技術者育成事業を通して3年間にわたり、産業技
でなく多くの研究者の皆様の丁寧な指導の下、SIMS の
術総合研究所地質情報研究部門マグマ-熱水系研究グ
みならず、他の表面分析技術についても必要な知識と技
ループでお世話になりました。育成課題は「コンピュー
術を学ぶことができました。特に試料処理法は様々な手
タ・データの保守管理などの SIMS(二次イオン質量分
法を学ぶことができ、これらの知識は現在も非常に役立
析法)分析技術」と題し、SIMS を用いた表面分析技術
っています。
の習得が目標でした。育成期間を通し、本グループだけ
専門技術者育成事業では、専門技術習得に必要な資格
JITA ニュースレター October 2010 No.27
取得や講習受講のための育成費が支給されます。資格取
湾にある中央研究院地球科学研究所を選択しました。
得は推奨されており、資格研修・専門研修に関する情報
私が所属する中央研究院は台湾総統府に直属した研
は日本産業技術振興協会が提供してくれます。私はこの
究機関であり、数理科学、生命科学、人文社会科学分野
予算を活用し、3年の間に、エックス線作業主任者,危
の 31 の研究所とリサーチセンターで構成されています。
険物(甲種)取扱者,有機溶剤作業主任者,特定化学物
1000 人近い研究員と技術者(96%が博士号取得者)、さ
質・四アルキル鉛等作業主任者,毒劇物取扱(一般)主
らに約 700 人の博士後研究員(ポスドク研究員)が働い
任者といった分析業務に関連する資格を取得しました.
ています。その中で、地球科学研究所は研究者が約 40
その資格分野の正確な知識を身につけることで、安全に
名、事務官・技術者・アシスタントが約 80 名、博士後
配慮した実験を行えるようになったと思います。また、
研究員が約 20 名で構成されています。研究所の雰囲気
分析に関する研修に参加することで、化学分析を行う際
は、海外の研究機関との共同研究が活発に行われている
に必要な問題意識、解決するための論理的な思考能力等
こと、外国人研究者が多いこと等から国際的でありなが
を身につけることができたと考えています。一方で、分
ら、同時に台湾の風土を反映したような穏やかで明るい
析データの解析・解釈を円滑に行う上で必要な Unix、
雰囲気があります。研究費、設備、施設の面では日本よ
MATLAB、Maple といった OS やプログラムに関する講習
り優れている点もあり、非常に恵まれた研究環境にいる
を受けることができました。もし育成費の援助がなけれ
と言えます。私にとっては、言語や文化の異なる環境で
ば、これだけの資格を取得することもなく、講習に参加
の研究生活ということもあり、それらもまた貴重な体験
することもなかっただろうと思います。育成費を使用し
になっています。
て国内外の学会にも参加することができたため、時折、
現在は、極微量元素の同位体比の測定が可能なマルチ
学会に参加し、最先端の研究動向を知ることができ、ま
コレクター二重収束型 ICP-MS(誘導結合プラズマ質量
た様々な人と議論や意見を交わすことができました。
分析計)を用いた隕石および地球の試料の分析により,
この事業の特に優れた点は、育成期間中に育成費が支
太陽系形成初期の物質の分化過程及びその進化、地球の
給されるだけでなく、日本産業技術振興協会から細やか
物質循環を検証する研究を行っています。このマルチコ
なサポートを受けることができることです。育成課題に
レクター二重収束型 ICP-MS は試料をプラズマでイオン
関係する情報の他、育成期間の後半から転職支援活動も
化し、真空中で高電圧をかけ加速させ、磁石で発生させ
行ってくれます。また、日頃から親身になって受け入れ
た磁場を通過させます。このときに質量差を利用して元
側との理解の違いや育成課題に対する方向性の違いな
素の同位体を質量ごとに検出し、濃度や同位体比を測定
ど相談を聞いてくれます。必要な際は、受け入れ側の産
する装置で、基本的な構造は育成課題だった SIMS とよ
総研との間に立ち、調整を行ってくれます。こういった
く似ています。専門技術者育成事業のおかげで、日本の
サポートがあるおかげで、心強く3年間を過ごすことが
大学だけでなく研究所の実際を知り、海外へ出ることが
できたと思います。
できました。このため、日本と海外の研究所の在り方の
さて、私は、専門技術者育成事業の3年目を迎え転職
違いを比較することもできます。現在の私があるのも、
先を考え出した頃、幸いにもいくつか声をかけていただ
専門技術者育成期間に培ったものがあるからだと思い
けました。その中には、育成費を利用して参加した国際
ます。また、育成期間中には辛いこともありましたが、
学会で知り合った研究者からの誘いもありました。最終
その度に支えてくださった技振協の上野勝彦氏、飯田の
的に、3年間で学んだ分析技術をさらに高めたいと思い、
り子氏を初めとした皆様のおかげで乗り越えることが
また海外での研究生活を経験したいという理由から、台
できました。ここに心よりお礼を申し上げます。
JITA ニュースレター October 2010 No.27
特集:専門技術者養成事業(3)
糖鎖生物学からの医療貢献をめざす
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 老年病研究チーム
板倉 陽子
私が「レクチン」(糖に結合するタンパク質の総称)という
異性情報をもとに解釈を与えました。そして、研修3年目に
分子に興味を抱いたのは、産業技術総合研究所・糖鎖工
はそれまでの技術や情報を利用し、細胞の種類や状態を
学研究センター・糖鎖構造解析チーム(現在の糖鎖医工
糖鎖によって識別する糖鎖プロファイリングシステムを構
学研究センター・レクチン応用開発チーム)へ訪れた日の
築しました。このようにして、研修期間の3年間、汎用的な
ことでした。チーム長から「糖鎖とレクチンの相互作用を解
ものから新しい解析技術まで様々な知識・技術を身につけ、
析してみませんか?」というお話を受けると同時に、日本
徐々にステップアップしてきたことを実感しています。
産業技術振興協会の専門技術者育成事業において対象
さらに本事業では、スキルアップのための育成費が用意
者を募集していることを知りました。本事業ではさまざまな
されており、私も研修生として複数の資格取得を実現し、
研修が企画され、その名の通り高度な専門技術を学べると
技術研修を受けさせて頂きました。技振協においては多く
あって、進んでこの制度へ応募しました。そして、私は
の講習会の場を設けて頂き、知財セミナーやコミュニケー
2005 年からの3年間、本制度の第 1 期生として糖鎖センタ
ション能力開発セミナーなど、通常ではあまり受講する機
ーでお世話になることとなりました。
会のない講習会に参加することができ、その経験は非常
同センターでは、ガンなどを始めとする各種疾患関連バ
に意義のあるものとなりました。また、研修生同士の交流会
イオマーカーの探索および糖鎖機能解析などを実施して
では、情報交換やお互いの意識を高め合う良い機会にな
います。前進である糖鎖工学研究センターでは、糖鎖遺
ったことも事実です。その他にも、これまで外部向け講習
伝子ライブラリーの作製、糖鎖解析装置の開発など糖鎖研
会ということで、産総研に関わる職員の参加が困難であっ
究に欠かせない数多くの実績を残してきました。そして、
たバイオインフォマティクス講習会において、私の無理な
現在のように様々な外部機関と連携し、糖鎖生物学を基礎
お願いを聞いて下さり、技振協職員の方々の多大な尽力
から臨床応用の道へと切り開いています。第3の生命鎖と
のもと、産総研で働く育成対象者の参加を実現して頂きま
呼ばれる一方で、いまだ研究人口の少ない糖鎖研究の分
した。その際、本来ならお台場産総研での受講となるとこ
野は、私にとって非常に興味深いものでした。(糖鎖が血
ろ、テレビ会議を利用することによりつくば事業所内で講
液型やインフルエンザウィルスと深く関わっていることをご
習を受けられるようにして頂くなど、多くのご配慮を頂いた
存知ですか?)糖鎖生物学の発展は糖鎖構造の複雑さに
ことを付け加えておきます。本事業は、私にとってはもちろ
より遅れていましたが、何よりその解析技術がまだ十分に
んのこと、高度な専門技術を目指す者にとって非常にす
整備されていなかったことに遅れの原因があります。そこ
ばらしいプロジェクトであると思います。今後もこのような制
で、当時、同センターの国家プロジェクトの一つとして解析
度を活用し、多くの技術者および研究者が国内外におい
技術の開発およびそのデータ収集という試みが行われま
て活躍していくことと思います。
した。研修1年目の私は、特殊で他の施設ではなかなか見
現在、私は東京都健康長寿医療センターにて、糖鎖生
ることができないようなレクチンと糖鎖の結合特異性を調べ
物学を老化や再生医療といった領域に広げるべく研究を
る自動化装置や様々な解析技術を学び、修得しました。研
進めています。産総研の先生方が背中を押してくださった
修 2 年目には、開発されたばかりの新たな解析技術(特異
こともあり、新たな分野でこれまで自身が学んできたことを
性の異なるレクチンをガラス基板上に複数固定したレクチ
活かし、医療に貢献したいと考え取り組んでいます。最後
ンマイクロアレイ法)を用いて、細胞上の糖鎖をプロファイ
になりますが、研究者として未熟な私を暖かく迎え育てて
ルする糖鎖プロファイリングを実施しました。得られた糖鎖
下さいました産総研の皆様、そしてそのような機会を与え
プロファイルには、1年目に蓄積したレクチン 1 つ 1 つの特
支えて下さった技振協の皆様に深く御礼申し上げます。
JITA ニュースレター October 2010 No.27
特集:専門技術者養成事業(4)
産総研における人材育成期間で得られたもの
株式会社テクトス 代表取締役
私は、2005 年 4 月から2年間、日本産業技術振興協
近藤 貢二
ていただき、より理解を深めることができ、他では得難
会の専門技術者育成事業の対象者として、産業技術総合
い経験となりました。加えて、応用物理学会学術講演会、
研究所 計測フロンティア研究部門 活性種計測技術
真空に関する連合講演会、日本質量分析学会など多くの
研究グループでお世話になりました。
学会へも参加させて頂き、周辺分野の多くの研究につい
野中秀彦先生の元で、溝田武志先生からご指導を頂き、
て知る機会を頂きました。また、SPM や、AES などで
イオン銃の制御と、照射状況モニタ用のプログラム作成
測定したデータの解析ソフトを作った事も現在の業務
させていただきました。金属クラスター錯体イオンビー
に役立っています。
ム用いた Si 表面のスパッタリングを行い、精度の高い
実験の合間に、ソフトウェアや真空技術、有機溶剤や
SIMS 測定を行う事を目標にしていました。数年ぶりに
危険物、毒物劇物の取扱い、衛生管理、作業環境測定等
LabVIEW の開発環境を使い、今にしてみれば荒削りで
の資格も取得させて頂き、合計で 14 の資格を得ること
すが、照射条件を自動的に変更したり、照射中のイオン
ができました。特に、情報処理に関する、ソフトウェア
源温度や真空度をモニタするなど、高機能なソフトを作
開発技術者、アプリケーションエンジニア、LabVIEW
ることができました。さらに、ソフト作りと平行して、
開発者認定試験、NI 認定講師資格は、現在の業務に直
照射ターゲットの交換や、真空チェンバーの操作、イオ
結しています。受験の機会に加え、測定ソフトを実際に
ン銃のメンテナンスなど、実に多くの実験ノウハウをご
作成する機会を与えて頂けたことに感謝しております。
教授いただきました。
講習会やセミナーへの参加は、26 種 49 日間にもなりま
照射後のサンプルを評価するために、産総研の様々な
測定装置を利用させていただきました。
井藤浩志先生のご指導で、AFM を利用させていただ
き、非常に平坦な表面でのスパッタ後の表面荒さの測定
では、パラメータの調整のコツを丁寧にご指導いただき
ました。
した。高度な内容の講習が多く、多くの事柄を集中して
学ぶことが出来ました。また、LabVIEW や Java、ワ
ンチップマイコンの講習の内容は、現在の業務に非常に
役立っています。
2年間の育成期間の後、学ばせて頂いた多くの技術を
元に、2007 年 4 月に、株式会社テクトスを設立し、研
山本和弘先生からは、オージェ電子分光法(AES)の
究機関や企業の研究開発や検査部門で使用されるオリ
使用方法をご教授いただき、イオンビームの構成元素が
ジナルソフトウェアを作成する業務で起業することが
照射後のターゲット表面にどのように分布するかを知
できました。育成期間に取得した、NI 認定講師の資格
ることができました。
によって、研究開発分野で広く使われている開発環境の
また、オープンスペースラボラトリのレーザー顕微鏡、
LabVIEW の講習会の講師も勤めさせて頂いております。
SEM、FIB なども利用させていただき、産総研のすぐ
まだ事業規模が小さいこともあり、育成事業での経験
れた研究環境を実感いたしました。さらに、藤原幸雄先
を十分に生かし切っているとは言い難い状況ですが、今
生のご指導で、共同研究に参加し、企業の分析センター
後とも努力し、できる限り社会に還元して参りたいと考
で、SIMS の測定に立ち会わせて頂けたこともとても貴
えております。
重な経験となりました。
最後になりましたが、実験の進め方、学会発表の仕方
このような、実地での測定と並行して、日本真空協会
など丁寧なご指導を頂いた野中秀彦先生、部門長の一村
の真空夏季大学や、日本表面科学会の表面科学基礎講座、
信吾先生、活性種計測技術研究グループの皆様、また日
極微細加工・造形スクールなど関連する講習を受講させ
本産業技術振興協会の皆様に心より御礼申し上げます。
JITA ニュースレター October 2010 No.27
特集:専門技術者養成事業(5)
専門技術者について
名古屋大学 核燃料管理施設 技術職員
下山 哲矢
私は、計測標準研究部門 量子放射科 放射能中性子標
大学 核燃料管理施設で技術職員をしています。核燃料
準研究室 中性子標準グループに 2005 年から2年間お世
物質は他の放射性物質とは異なった法律で規制されてい
話になりました。中性子標準グループでは、中性子標準場
ます。(原子炉等規制法)また、放射線障害防止法でいう
の維持及び供給、新しい標準場の供給に向けた研究等を
放射性物質とは違い、現在のところ核燃料物質及び核燃
行っており、私も校正補助者になり、加速器の修理の手伝
料物質で汚染された廃棄物を廃棄することはできなく、ま
いや校正の補助、新しい標準場の供給に向けた研究の補
た、その下限量もありません。そのため、多くの研究所・大
助を行っていました。
学で使用はしないが廃棄することはできないため、保管管
採用の経緯としては、中性子標準グループの方に専門
理しているところが多数あると思われます。名古屋大学 核
技術者育成事業があることを聞き、専門技術者に応募する
燃料管理施設でも大学全体で不要となった核燃料物質や
ことに決め、放射能中性子研究室の皆さんのおかげで、専
核燃料物質に汚染された廃棄物を保管管理しています。
門技術者として選ばれました。学生時代は、放射線測定器
(大学・研究所で生じた核燃料物質で汚染された廃棄物に
の開発を素粒子や環境放射能等の分野の放射線測定を
関しては、埋設処分等が計画されています。)核燃料物質
学んでいましたが、国家標準における計測とはレベルも種
の規制には、その許可された量によって大きく分けて 3 つ
類も違いました。標準となるものはあって当然のもので、誰
の規制レベルがあり、IAEA 等の査察などを頻繁に受け、
も気づかないところで関わっている。いつ何時も同一で高
防護対象となる許可レベルもあれば線量管理を法律で明
精度のものを供給しなければならなく、中性子標準グルー
記されていない許可レベルもあります。文部科学省の「原
プで供給する標準場においては、長年使用している加速
子力・放射線安全確保」のホームページをご覧頂ければも
器等が多く、供給を維持するだけで大変であったことを昨
っと詳しく分かりますので興味がある方はご参照下さい。
日のように覚えています。
次に経緯ですが、中性子標準グループに関わりがある
専門技術者の OJT では、日々の日常業務をこなすこと
大学の先生にご紹介を受けました。新たなる分野への挑
で、標準としての放射線・放射能計測の技術取得はもちろ
戦を含めて、専門技術者として得た技術を発揮できると思
んのこと、基本として標準の放射線量・放射能とは何か、ま
い就職しました。名古屋大学では、独立法人化以前に技
た、放射線・放射能分野の日本における標準の供給体制
術職員(旧文部技官)の人員整理を始めており、技術職員
並びに現状・今後の課題等を学ぶことができました。重ね
が偏った年齢構成になっている他に、法人化後にすべて
て大学・研究所の原子炉や加速器による中性子場におい
の技術職員を大学内の一組織の職員とする改革によって、
ての研究では、産業技術総合研究所以外の中性子場はど
業務ごとに技術職員がその組織から派遣されている形をと
のような研究・事業に使われているかを学び・体験すること
っているため、即戦力の技術者を採用している傾向にあり
ができました。専門性を高めるために、放射線・放射能の
ます。私が所属している工学系のここ数年に採用された技
分野において、放射線施設管理には必要であると思われ
術職員は、ほとんどが中途採用(企業や研究所の技術職)
る第1種放射線取扱主任者を取得させていただき、その他
で、採用にあたっての業務内容ができる即戦力を採用して
にも現在の職場でも役立っている床上操作式クレーンや
いるようです。
玉掛け、有機物作業主任者と特定化学物質作業主任者等
最後に、産総研の中部センターの前を通り、通勤してい
を修得しました。また、国内外で行われた国際学会等に参
ます。この執筆の依頼を受け、何気なく見ていた産総研の
加・発表の機会をいただきました。
AIST マークが懐かしく感じました。現在の職場へは任期の
現在の職場に就職した経緯について述べる前に、現在
の職場等について紹介したいと思います。現在、名古屋
途中での就職であり、中性子標準グループの皆様や JITA
の担当の皆様に無理を聞いて頂き大変感謝しています。
JITA ニュースレター October 2010 No.27
JITA 活動コーナー
●平成 22 年度第1回 JITA 講演会の開催 (JKA 補 助 事業 )
日時:平成 22 年8月 30 日(月) 会場:商工会館(東京都千代田区霞ヶ関)
今年度最初の講演会は、経済産業省 産業技術環境局
いては、ご講演後のディスカッション形式での質疑応答の
研究開発課 課長 福島 洋氏を講師にお招きし、我が国
際に参加者から「TIA の我が国企業にとってのメリットは何
における次世代の国富を担う産業を創出するための経済
か」「世界で勝つ時に何をすればよいかもっとメッセージを
産業省の研究開発プロジェクト等の概要(新成長戦略実現
出すべき」「マーケッティングに対する政策が見えない」な
アクション 100、つくばイノベーションアリーナ(TIA)の取り
どの厳しい意見も挙がりましたが、実行して行く際の重要
組み、平成 23 年度研究開発関連予算の概算要求)につい
な課題への指摘が多く、関心の高さが伺えました。
てご説明頂きました。本年6月に政府がまとめた「新成長戦
略」を経済産業省の施策として裏打ちするアクション 100 が
進めるべき7項目の施策として、①国際競争を勝ち抜く事
業活動拠点としての飛躍的魅力向上、②新たに成長を主
導する戦略分野、③地域経済・中小企業の活性化、④内
外一体の経済産業政策の展開、⑤国際標準戦略の推進、
⑥産業・社会の高度化を支える IT、⑦事業の選択と集中
について解説して頂きました。また、TIA の取り組みにつ
●戦略的基盤技術高度化支援事業
(サポイン事業)
戦略的基盤技術高度化支援事業(国の研究開発委託費
で通称サポイン事業と呼ばれています)は、日本国内のも
のづくり系中小企業の技術レベルをアップし1つ1つの技
術・製品が世界トップとなることを目指す事業といえます。
「中小ものづくり高度化法」の認定を取得した中小企業が、
計画を実行実現するための経済産業省の支援事業の1つ
で、必要に応じて、研究開発機関や大学と産学での連携
体制を組みます。その応募支援、研究開発・事業管理支
援を技振協も会員及び産総研関連企業向けに行っており、
平成 22 年度は次の3件の開発テーマが採択されました。
①「「CNX冷陰極X線管」特有真空環境の最適化及びX線
発生装置の開発」(参加機関:㈱サンバック、㈱ライフ技
術研究所、産総研計測フロンティア研究部門)
②「ナノコロイド触媒を用いたエッチングレスめっきプロセ
スによる成形回路部品の高性能化」(参加機関:三共化
成㈱、三共精密金型㈱、産総研ナノシステム研究部門)
③「真空封止技術を利用したモジュール連動型電子ペー
パーの製造」(参加機関:大和技研㈱、㈱東和製作所、
産総研ナノシステム研究部門)
●研究成果最適展開支援事業(A-STEP)
大学や公的研究機関で生まれた研究成果を基に、その
実用化を目指してフェーズごとの研究開発を行う(独)科学
技術振興機構の平成 22 年度 A-STEP 事業(FS:探索タイ
プ)に採択となり、技振協では事業管理だけでなく研究開
発も行うなど、科学技術の産業利用に尽力しています。
研究開発テーマ:「自然言語による病理文字情報教師デ
ータ作成支援システムの開発」(参加機関:技振協、東京
大学大学院、東京大学、産総研社会知能技術研究ラボ)
<お知らせ>
●第 2 回 JITA 講演会「クラウドコンピューティングとセキュリ
ティ-技術開発と現実社会での課題と政策-」
12 月中旬~1 月中旬,東京都内で開催予定
●第3回JITA 技術交流会
「バイオ医薬のための標準と分析(仮)」
2011 年1月7日(金),産総研臨海副都心センターで開催予定
●第4回 JITA 技術交流会「医学知」 2011 年2月開催予定
入会のおすすめ
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様には、JITAニュースレターなどの配布、技術情報の提供、講演会・シンポジウム・交流会などへのご招待、各種技術移転相談、研
究シーズ紹介などの特典があります。お問い合わせは、総務部まで。
発行 財団法人 日本産業技術振興協会
〒305-8562 茨城県つくば市東 1-1-1 産総研内中央第4・4-10 棟
電話(029)855-1255(代表)/855-1267(産業技術部)
FAX(029)855-1279
編集兼発行人(財)日本産業技術振興協会
発行年月日 2010 年 10 月 31 日
ホームページ http://www.jita.or.jp/