PDFダウンロード - 岡山県民医連

Medical*Times
医系学生と岡山県民医連をむすぶコミュニケーションマガジン
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vol.12
2011 Winter
Special Edition
精神科医はむずかしい?
∼地域とチームワークで支える、民医連の精神医療とは∼
SERIES
看護学生のページ
1
精神科医はむずかしい?
̶̶初期研修では精神科で1ヶ月の研修をしていますが…
上城…1ヶ月で精神科医療をつかむのはむずかしいけれ
∼地域とチームワークで支える、民医連の精神医療とは∼
ど、日々の研修の中でメンタルケアを学ぶことができる
環境というのが一番大事だと思います。民医連がずっ
長引く不況や超高齢化社会を受け、日本の精神疾患患者が急増する現在、日本の精神医療はい
とやってきた研修は、ローテートと言うよりは、総合的
かに向き合っていくべきなのでしょうか。医師7年目の上城医師と、20 年以上精神保健に携
うえしろ もとし
わってきた林医師のお二人に、民医連医療の魅力や研修医への期待、今後の精神医療のあり方
などについて語りあっていただきました。
な研修だと思うんです。内科でも外科でも、主治医と
上城 統士
して患者さんに向き合うとき、精神科的な関わりが当
07~ 09年 林精神科神
経科病院専門研修
然出てくるわけですから。初期研修で、がん患者さん
プロフィール
愛媛民医連 ・ 新居浜協
立病院勤務、 医師歴7
年。 精 神 保 健 指 定 医。
愛媛県出身。 愛媛大学医
学部卒。
への接し方にすごく悩みました。本当は告知したかった
けど、できないまま転院されてしまったんです。
林…そういうときは誰に相談していたのですか?
上城…内科の研修指導医です。そこに、アドバイザー的
な精神科医がいれば、研修にも深みが出て、もっとい
̶̶お二人はなぜ精神科医を目指したのですか?
ろんなことを学べるのではないかと感じました。
上城…僕は「総合的に診れる医師になりたい」という思い
が学生の頃からあって、最初は内科を目指そうと思っ
上城…民医連では、昔からそうした活動がよく行われて
いたのでしょうか?
1ヶ月ならば、PSW や OT など、いろんなスタッフが
ていました。でも、愛媛民医連での初期研修で、精神
協力しあって治療に当たっている所を見てもらえれば
科の今村高暢先生の診察を見たときに、病気だけでは
林…はい、石川民医連の清水巍
(たかし)先生は「喘息大
なくて、その人の生活や生き方、考え方も含めて関わっ
学」という喘息の患者会を主催して、発作を起こすと
いい。でも、一番いいのは一人の患者さんが回復して、
林道倫精神科神経科病院
ていく、つまり「人全体を診る」のが精神科なんだと
きのメンタルの問題に踏み込んで活動していました。
退院していく過程を見てもらうこと。どういう風に社
プロフィール
病床数 290 床の精神科専門病院。 岡山県民医連所属。 入
院治療を行いながらも地域に帰すことを念頭に置いた治療を
行っており、 地域医療の取り組みも充実している。 精神科の急
性期からリハビリテーション、 アルコール依存症、 老人性精神
疾患などの治療に積極的に取り組む。 05 年に医療機能評
価機構の認定を受ける。
感じて。そこで興味を持ったのが始まりです。
精神科では代々木病院の中沢正夫先生が、患者さん
会に帰っていくかを経験することは、きっと大きな自
の生活の場で症状を良くしようと動いていました。僕
信になるはずですから。
林道倫精神科神経科病院創設者
林…民医連とはどこで出会ったの? 大学から離れてし
まう不安はありませんでしたか?
はそれらを見て、症状を改善するには、患者さんと一
歩踏み込んだ関係を作らなくてはいけないと感じまし
チームで診て、地域で支える医療を
た。
上城…僕は兄と共に民医連の奨学生だったのですが、実
は、大学入学前に、愛媛民医連の方と一緒に阪神淡路
林 道倫(1885 ~ 1973 年)
大震災のボランティアに参加しているんです。現場で
岡山大学初代学長
医療活動をしながら生活再建のサポートをしている医
日々の研修でも、精神医療の実践を
りたいと思いました。
「人全体を診る」のが精神科
それから、総合的に診られる医師になりたいと考え
̶̶民医連での研修はいかがでしたか? 自分に向いて
す。患者さんの生活の様子を見ると、ここから通って
いないのでは……など、悩みはありませんでしたか?
いるんだな、などいろんなことが分かって、治療の目
標がより正確に、現実的になることがあるんです。
た時、内科じゃちょっと物足りないと思ったんです。
精神科は病気だけではなくて、その人の生活とか生き
̶̶自己紹介をお願いします。
上城…医師 7 年目の上城です。愛媛民医連で初期研修後
間の研修を受けました。09 年に愛媛民医連に戻り、現
在は新居浜協立病院で働いています。
林…医師歴 26 年の林です。高知生協病院で研修後、87
年から林病院に勤務、現在は院長をしています。
上城…教科書通りには全く進みませんが、逆に患者さん
方とか考え方とかそういうことも含めて関わっていく、
との会話の中で治療方針を決めていけるのがいいなと
これは自分がやりたいことにかなり近いのかなと。
思いました。
林先生はどうして精神科を選ばれたのですか?
に精神科を目指し、民間の病院を経て、林財団で3年
̶̶地域に出て、患者さんを診ることはありますか?
林…できるだけ時間をつくって往診するようにしていま
師たちの姿を見て、こういう場で力になれる人間であ
2
林…僕は、精神科で学ぶなら最低3ヶ月は必要だと思う。
はやし ひでき
林 英樹
林…上城先生には精神科が合っていたんですね。僕は悩
林…僕は何科に進むかなかなか結論が出なくて、1 年目
んだ方です。患者さんとの信頼関係づくりや薬の使い
にローテート研修を受けさせてもらったんです。とて
方など、なかなか思うようにできなくて……。一生懸
も未熟でしたが、糖尿病患者会を担当して、冊子を作っ
命先輩の真似をしていた時期もありました。でも、今
たり、料理教室をしたり……。患者さんに近い距離で
経験を重ねて思うのは、精神科の特殊性って実はなく
診療できたことが、一つのきっかけになりました。
て、人間と人間の関わりが大切なだけなんですよね。
プロフィール
岡山民医連 ・ 林道倫精神
科神経科病院長、 医師歴
26 年。 精神保健指定医、
日本精神神経学会指導医 ・
専門医。 岡山県出身、 高知
医科大学卒。
3
上城…初期研修を終えて、民間の精神科病院に初めて
心に残った患者さん
行ったときは、
「何か違うな」と思いました。凄く閉鎖
的な空間だったんです。それとは対照的に、その後勤
vol.28
務した林病院での 30 代の統合失調症の患者さんのこ
とが印象に残っています。退院に向けて、不安に思っ
岡山ひだまりの里病院 院長 藤田 文博
ている家族との面談を繰り返し、看護師や PSW と自
宅を訪問し、地域にどのような社会施設があるのか確
認にも行きました。やっぱり帰っていく場を見てみな
いと始まらない、と強く感じましたね。病院の中だけ
で考えても結論が出ないことがたくさんあるし、外に
̶̶最後に学生へのメッセージをお願いします。
高知やからね…
出る時間は研修の時にこそ大事だと思います。同時に、
他職種のスタッフが平等に意見を言えて、協力しあえ
上城…学生時代に、大学の中だけでは学べないような日
本の地域社会の中で現実に起こっていることを、実際
たのがよかったです。
に目で見て学ぶことが大事だと思います。貧困が広が
戸惑いながらの初期研修
アルコールで副作用
原稿を頼まれたが、
さてどうしたものか。
このコーナー
この患者さんは外泊中にもかかわらず飲酒してしまっ
林…それが民医連の良さでもあるよね。うちの病院がい
る日本社会のなかで精神医療の助けを必要としている
ろんな患者さんを受け入れられるのは、患者さんを地
人はたくさんいますので、ぜひ多くの方に精神科の医
へは2回目の登場だ。ネタがない。そうだ、研修医の時
た。肺炎の治療中、まさか酒を飲むとは予想せず、禁酒
域に返していくための連携ができているから。統合失
療に参加してほしいと思います。
の失敗を書こう。もう20年以上前の話だから時効だろ
の注意はしていなかった。セフェム系の抗生物質の中に
う。
は、嫌酒剤のようにアルデヒド脱水素酵素を抑制する作
林…初期研修医はすごく熱心に勉強しています。医学の
精神科に入る前に、1年間だけ内科を中心に初期研修
用を持つものがあり、アルコールと反応してアンタ
ハビリ施設があって、病院から分化した社会福祉法人
知識もたくさん持っていると思います。ただその知識
をした。100床あまりの中小病院で、内科は循環器、消
ビュース作用をおこしてしまったことが、あとで調べて
が就労支援などを活発に行っているんです。
を、この先どう活かすかをもう少し考えてほしいです。
化器、呼吸器、それと外科のドクターがいた。最初の3
精神科だけでなく、喘息や糖尿病にしても本当に患
カ月は呼吸器をまわり、肺炎や喘息の診療を学んだ。医
飲酒ののち、患者さんのアセトアルデヒド血中濃度が
調症やアルコール依存症、認知症のデイケアから、仕
事に復帰した人のためのナイトケアまで、充実したリ
上城…また、保健所などとも連携しながら、一緒に患者
者さんの治療をしようとすれば、患者さんの何らかの
師になりたてで戸惑いも多かったが、やはりその頃のこ
上昇。その結果、頭痛、顔面紅潮、発汗、頻脈、動悸、
さんを支えることができるのは素晴らしいことですね。
変化を見つけなくてはなりません。それにはすごく時
とが思い出される。今の研修医と違い、
1年目とは言え、
悪心、
嘔吐等の症状が出てしまったのだ。
「死ぬかと思っ
精神科では、思わぬ社会制度の壁にもぶつかることも
間がかかるし、生活面に踏み込んだアプローチがいり
医師としてかなりの責任を負わされていたように思う。
たぞ。そんな副作用があるのなら知らせてくれんと困
あります。でも民医連には、一緒に考えて乗り越えて
ます。そういうことをする間もなく、次々と場所を変
くれる仲間が数多くいる。そうした環境で活動できる
えている様子をみると、大丈夫かなと思います。そう
ことは、僕らにとってとてもうれしいことですね。
いうところに目を向けてもらえたら、と思います。
れない。指導医に話しても「高知やからね」との返事
れていた。甲状腺が腫れていて、どうしてだろうと考え
だった。その後は、完全に酒が抜けたことを確認して、
たら、海草をよく食べていて、ヨウ素の過剰摂取が甲状
抗生剤治療を続け、完治して退院されたように記憶して
腺腫の原因であることがわかった。
いる。
当時の私は、そういう小さな発見をして自己満足して
ほかにもいろいろと失敗が思い出されるが、恥をさら
いる傾向があって、一番先に解決しなければいけないこ
すだけなので書かない。字数も尽きてきたし。
急搬送され悪態をついて暴れる。酒の問題を指摘する
とが分かっていなかった。
しかし、医師になりたての頃の経験は貴重なもので、
と「飲んでない」と嘘をつく。
「酒を止める気はない。
そんな中、肝心の肺炎は抗生剤の注射の治療で順調に
なんらかの形で今の私に関係しているように思う。
アルコール病棟
前田 勝子
自分の金で飲んで何が悪い」と開き直り研修医たちを
治癒に向かっていた。治療終盤、その男性がどうしても
治療内容としては、解毒後 3 ヶ月間の ARP
(Alcoholism
悩ませる困った患者さんです。しかし、そんな患者さ
用事があり外泊したいと言い出した。抗生剤注射の途中
Rehabilitation Program:久里浜式アルコール依存症社会
んも「酒を止めたい。止められるものなら止めたい」と
であったが、断れず許可した。指導医に尋ねたか、その
復帰プログラム)を行っています。治療プログラムの柱
心の中では思いながらも、アルコール依存症という病
あたりは定かでない。外泊する朝に点滴注射し、翌日病
になっているのは集団精神療法で酒害教育、認知行動
気のために心ならずも飲酒を続けているのです。わた
院に戻ったらまた注射すればいい。そうすれば、中断し
療法、行軍、自助グループ
(断酒会、AA)
、家族会など
したちは、治療プログラムを通して病気を理解してい
のプログラムを行っています。
ただき仲間とともに断酒生活の心地よさを感じ、止め
療にあたってきました。
アルコール依存症の患者さんと言えば、内科病棟へ
入院して肝臓障害や糖尿病が軽快したのに、退院後す
ぐ飲酒して病気が悪化し外来に来る。深夜の当直で救
今、思い出しても理不尽な怒られ方のような気もする
が、酒に寛容な土佐の地では、当たり前だったのかも知
担当医
門病棟
(25 床)を立ち上げ、アルコール依存症患者の治
る!」とすごい剣幕で怒られた。
50歳代の男性。海べりに住んでいて、たしか漁師をさ
アルコール患者さんに寄り添って
林病院では、1986 年に県内で最も早くアルコール専
治療終盤のできごと
最初の頃の受け持ち患者さんで、肺炎で入院していた
林病院アルコール病棟の紹介
4
(笑)わかった。
たい気持ちを膨らませて、しらふで生きるお手伝いを
させていただきたいと思っています。
なくて済む。そういう計画で一泊外泊し、帰ってきた患
者さんのベッドサイドに行くと、怒鳴りつけられた。
さて、わたしはなぜこの患者さんをおこらせてしまっ
たのでしょうか。
岡山ひだまりの里病院
認知症専門病院 病床数180
5
講演
マグニチュード7.3の大地震が都市を襲い、戦後最大の被害を生み出し
た阪神淡路大震災。特に被害の大きかった長田区で、全国から支援に駆
けつけた医療従事者、ボランティアを指揮し、地域ぐるみの医療支援を
実践したのが神戸協同病院長の上田耕蔵先生です。貴重なご経験を元
に、災害医療の課題と必要な環境整備についてお話をいただきました。
災害医療の課題−
関連死の実態理解と改善に向けて
災害、 その時まちは、 医療は…
地域に求められる
求められる医療
医療 ・
まちづくりを考えよう 冬合宿
in神戸
岡山県民医連では、12月11日∼12日の2日間、
兵庫県・神戸市で冬合宿を行いました。
医学生・看護学生・職員合わせて11人が参加。ともに学び、交流しました。
阪神 ・ 淡路大震災とは
(兵庫県民医連)
激震の傷跡深く、家屋倒壊や焼失被害の多かった長
高齢者です。当時神戸の街中には福祉施設がほとんど
田区で、私たちがいち早く、そして長期に渡り医療支
なく、高齢者が安全に過ごせる場所があれば関連死は
援を継続することができたのは、全国の民医連から集
減らせたのではないか、
「福祉が問われている」と感じ
まったたくさんの支援者と、医療生協組合員さんなど
ました。それが特別養護老人ホーム「ふたば」を作る
地元ボランティアのおかげです。彼らの絶え間ない協
きっかけになりました。
力とチームワークで、避難所への医療団派遣、付近の
「震災関連死」への注目は、2004 年に発生した中越
全戸訪問や在宅医療から、高齢者世帯への食料配布、
地震でさらに高まりました。死亡者数こそ少なかった
洗髪など生活支援まで、
「地域に根ざした」活動が可能
ものの、避難時の車中泊によって肺塞栓症
(エコノミー
となりました。人々のやさしさと思いやりにふれ、被
クラス症候群)
による死者が4割に上ったのです。
災地が「癒し・癒される、助け合いの桃源郷」でもあっ
たと感じました。
震災の被害は、地震の規模・時間・場所・季節、さ
らに時代によって変化します。2010 年に起きたハイ
一方で、医師として数多くの災害医療の課題に直面
チ地震では1週間の現地活動を行いましたが、熱帯特
しました。特に注目したのが「震災関連死」です。
「避
有の感染症、設備不足など、途上国支援は日本での状
難所から来て亡くなった人はいないか」という記者の
況と著しく異なっていました。今後新たな震災に直面
質問をきっかけに調べてみると、肺炎やインフルエン
したとき、我々医療支援者は、行政は、どう動いてい
ザなどで亡くなった患者さんが確かにいたのです。外
くべきなのか? 若い皆さんができることもたくさん
傷はなくても、震災によるストレスや環境悪化が原因
あります。技術がなくても、不安があっても、自分の
です。死者数を算出すると、少なくとも 540 人、実際
頭で考え行動することでその答えを見つけ出してほし
には 800 人以上にも及んだと考えられ、その約 9 割が
いと願っています。
グループワーク
人口 350 万人余が密集する淡路北部から神戸市及び阪神地域を襲った戦後最大規
上田医師の話 ・ 防災センター見学から
災害時に必要なネットワークとは?
模の震災。神戸市、芦屋市、西宮市、宝塚市、および淡路島北部の一部が震度 7 の激
●震災のリアルな怖さを体感した。自分が直面したと
きに何ができるかを具体的に考えることができ、貴
重な経験となった。
●組織に属さない開業医や医療関係者が集ま
り、協力して医療支援に当たれる基盤整備
が必要だと思う。
●地域や住民同士のつながりが、多くの人を救えるこ
とを知った。普段から助け合いができる地域づくり
に取り組んでいきたい。
●医療者も住民も災害1日目の対策が重要。
高齢者・障害者など災害弱者をケアするた
めに地域ぐるみで取り組んでいきたい。
●技術や経験がなくても、思い切ってボランティアに
行けば、
自分ができることがあると感じ、勇気が出た。
●眼科、耳鼻科、精神科など、専門医を組織・
活用していくことも大切だと感じた。
しい揺れに襲われ、6400 名を超える死者、4 万人以上の負傷者、および約 25 万棟
(世
帯としては約 46 万世帯)
の家屋被害などをもたらした。被害総額はおよそ10 兆円。
大都市を直撃したため、電気、水道、ガスの機能が停止、鉄道、新幹線、高速道路が
損壊し、ライフラインに壊滅的な打撃を与えたほか、古い木造住宅の密集した地域で
は地震による大規模な倒壊、火災が発生した。多数の住民が避難所での生
活を余儀なくされると同時に、被災者の災害補償、メンタルケア、高齢者
福祉など、多くの側面から日本の災害対策の課題が浮き彫りにされた。
人と防災
ター
未来セン
神戸協同病院 院長
上田 耕蔵 先生
始めに、阪神・淡路大震災記念人と防災未来
始
センターを見学。音や揺れを通じた震災の追
セ
体験や、当時のまちや復興の様子を再現した
体
ジオラマを通して震災について学びました。
●耐震・免震対策は、経済格差を越えて、すべての世
帯に対して行われるべきだと思った。
ール
長田フィーク
ドワ
深めました。
ループで共有し、
学んだ内容をグ
一見すると、震災時に最も延焼の激しかった地域の面影はありません。しかし、
一
消防車が途中までしか入れなかったため、ほんの数メートルの差で延焼した
消
建物とそうでない建物の境界をみて、現実に震災が起きたのだと
建
実感しました。また、商店街の中には震災の展示コーナーが設け
実
語り部の方に、日常の人のつながりが生死を分けたこと、プライバシー
られており、震災の記憶を今に留めていました。ガイドをしてもらいながら歩いた、建
の無い避難所での生活など、実際の体験について語っていただきました。
て直された商店街は、人の力のすごさを感じると同時に、行政の支援の遅れから、復興
6
が遅れて人が戻らなくなってしまったとのことで、少し寂しさを感じるものでした。
7
臨床スキルアップセミナー
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“減災”の第一歩
林 和菜(川崎医科大学
長田区商店街を歩いて
3年)
“減災”ということの第一歩として、震災について学んだり、
自分にできることを考えたりする必要があると感じたし、それ
が災害時に役立つことでもあると思いました。災害はいつどこ
で起こるか分からないし、自分が被災者になる可能性もあるわ
けだから、普段からそういう意識を持って生活していきたいと
思いました。
原 紘志(岡山大学
医学科 5年)
地震でひび割れた壁や、火事で燃えたところと残ったところで
道幅が違う商店街、復興の取り組みに三国志のキャラを取り入
れて頑張りつつも、人も店舗も以前のようには戻らない街の姿
など、実際に歩いてみたからこそ見えるものがたくさんありま
した。
実例で知識を深める
貴重な体験に
臨床スキルアップセミナーとは
「ポリクリに出る前に基礎をしりたい」「診療の
練習がもっとしたい」
「診断技術についてもっと
学びたい」などという医学生高学年へ向けた臨床
第一線で活躍する医師に学ぶセミナー。
2010年10月23日、岡山医療生協コムコム会
館で「臨床スキルアップセミナー」が行われまし
た。岡山大学、川崎医科大学、三重大学、京都大
学の医学生7人、1年目研修医4人が参加しまし
誰にでもできることがある
この合宿を経て
田井 亜由美(神戸大学
井上 睦美(水島協同病院
保健学科 2年)
私は上田医師の話を聞いてなんとなく勇気を貰った気がしま
す。突然の災害に医療者たちも混乱し極限状態で仕事にあたっ
ていたことと思います。こんなときにその人の力量が分かると
言いますが、私には自分がそのようなときにパニックを起こさ
ず、的確に判断して医療にあたる自信がありません。しかし、
話を聞いて、
「その時になったらなんとかなるんだ!」
「自分に
もできることがあるはずだ!」と思えるようになりました。
た。
事務)
地震を予測することができたとしても、
「即座に何をすればよいの
か。大切なひと・ものをどうやって守るのか」という事を常日頃か
ら考えている人は少ない。今回の合宿では、自分が被災したらと
仮定して、個人として、医療従事者として何ができるのか、減災
のためにどんなシステムが必要なのか等を話し合えて良かった。
2日間の経験が、学生さん達の将来なりたい医師像・看護師像に少
しでも影響を与えるものとなっていれば嬉しいです。
午前中は水島協同病院 呼吸器科・畑野医師に
よる「胸部X線読影の基礎」、午後は岡山協立病
院高橋副院長による「医療面接」でした。
「胸部X線読影の基礎」では必ず読み取らなけ
ればならないラインや見逃してはならない点など
を幅広く学びました。参加学生からは「学校で
習ったのと違う視点から教えてもらったので勉強
になりました。とても面白いと思いました」(3
キラキラしてる~
真剣!
ちょっと怖い…
年)
、
「実際にレントゲン写真を持ってきていただき、
ターン(興味がなく無視するパターンと共感して聞く
興味津々でした」(4年)、「復習のみならず、初めて
パターン)を行いました。感想を出し合うと「聞いて
聞くことも多かったのでとても勉強になりました」
もらえないと話ができなくなりつらい。聞いてもらえ
(5年)などの感想が出ていました。
ると楽しくてもっともっと話したくなる。こんなにも
「医療面接」では講義の後、2人1組となり話し手
違うんだなと実感した」と意見がだされました。次に
は自分の好きなことを相手に話し、聞き手は2つのパ
医師役、患者役になって「風邪で受診をしたがそれ以
外に心配なことがある患者さん」という設定で「面接」
神戸ルミナリエ
「KOBEとんぼ玉ミュージアム」で、
色とりどりのガラスを溶かして作る
工芸品、
「とんぼ玉」づくりに挑戦!
震災犠牲者の鎮魂と復興を記
念して始められたルミナリエ。
まるで西大寺の 「裸まつり」
の様な人混みにもみくちゃに
されながらも、美しいイルミ
ネーションを堪能しました。
お楽しみ
とんぼ玉体験
を行ないました。
最後は模擬患者さんと本番さながらの面接です。1
例は「健診後に家族性コレステロール血症といわれ薬
を飲みたくない外来患者さん」と面接で5年生が医師
役を、もう1例は「病状が落ち着いていないのに家庭
の事情があって自宅に帰りたい入院患者さん」という
設定で研修医が行ないました。
参加学生から「研修医の先生や5年生の人の実演は
多く考えさせられた場面があり、自分の立場だったら
きれいだね~
企画
人が多い!
と考えながら見ることができてとても楽しく学べまし
た」
(4年)
、
「実際にあった症例でデモをやってくだ
さったことによって、その病気について勉強もできた
と思います。貴重な体験をできてよかったです」(3
南京町散策
年)と好評でした。
次回は、2011年3月21日(月・祝)に開催します。
内容は身体診察、医療面接などを予定しています。興
味のある方はぜひご参加ください。
8
9
【申し込み先】岡山県民主医療機関連合会 Tel:086 - 214 - 3911 E-Mail:[email protected] 【担当】曽根、西田
看 護 学 生 の ペー ジ
11月14日の日曜日、岡山県民医連看護奨学生のつど
13:00
下山開始 おにぎり食べて体力復活!
いを岡山市にある操山で行いました。看護学生、職員合
看護奨学生
の「つどい」
わせて27名が参加、片道1時間ほどの登山に、日頃の
運動不足のせいか悪戦苦闘。みんなで、声を掛け合いな
がら登りました。
道中では、
秋を見つけよう!と各グルー
秋だ! !
つどいだ
!
だ
り
登
山
プ、デジカメで撮影し、また病院や学校、実習の話など
交流しながら過ごしました。
山頂では自分達で握ったおにぎりを食べ、グループ対
抗でゲームを行いました。
参加学生からは「病院のことや普段の何でもない話が
できました」
「最初に比べて皆さんと話せてよかったし、
なじめました」などの感想が寄せられました。
みんなで秋を見つけに行こう。
精神科セミナー
~精神科の病院を見に行こう
!~
学生と職員みんなで楽しめた1日でした!
9月の「看護奨学生
のつどい」は、林道
倫精神科神経科病院
10:00
で心理テストなどを
オリエンテーション終了後、みんなでおにぎりにぎり大会!
今日の昼食は自分達で作るのです。そして、いざ操山へ!
行いました。
14:00
下山後の記念撮影 みなさまお疲れ様でした。
学生22名、職員10名、講師4名が参加
11:00
登山口で元気にピース!
笑顔で登り始めました。が!?
どんどん、山の中へすすんで
いくうちに…
私の中では戴帽式と言ってもあくまで通過点であり、「実施
しようと、実施しまいと自分の中にある思いは変わらないだろ
う」という程度のものだと考えていましたが、違いました。た
だ先生が指示をし、それについて行くだけの戴帽式ならおそら
く特に思うこともなく、さして取り留めのない行事の一つに
なっていたでしょう。しかし、ソワニエの戴帽式は合唱をはじ
へとへとになりながら、でも励ま
しあい登っていきました。
め誓いの言葉まで自分たちで決め自分たちで練習をし、本番を
∼ ソワニエ看護専門学校 16期生戴帽式 ∼
12:00
ランチタイム。ただ
握っただけのおにぎ
りだったけど、楽し
く美味しくみんなで
食べました。
そして、食後にはレ
クリエーション!
なく戴帽生一人ひとりがそれぞれの好きな思いを戴帽式に入
先日、戴帽式を無事終えることができました。
『少し前までは、
れることができました。「戴帽させられるのではなく、自分た
看護学校と言えば戴帽式と言ってもいいほどそのイメージは強
ちが戴帽したいからする」そんな思いを胸に式典を行うことが
かったのに、今では臨床からナースキャップが消えつつあるせ
できました。そしてやはりこれまでターバンだったのがナース
いか、戴帽式をしない看護学校も増えている。しかし、ソワニ
キャップに変わるということは嬉しいもので、やっとスタート
エではナイチンゲールを象徴として掲げ、戴帽式という式典に
ラインに立てたような感覚を覚えました。これから先、国家試
他校にはない思い入れをもち、今でも毎年一大行事として行っ
験を受け、学校を卒業し臨床で働くようになっても、ソワニエ
ている』というお話を以前、色々な先生方がおっしゃっていま
看護専門学校十六期生として、戴帽できたこの嬉しさや感動を
した。そして今年は私たち十六期生が戴帽生となり、
「自分たち」
日々忘れずにいたいと思います。
で「自分たちの戴帽式」を企画し行いました。
10
迎えるという学生主体のものだったので、やらされるのでは
(ソワニエ看護専門学校1年生 渡辺 奏平)
11
Medical*Times vol.12
Information
奨学金制度のご案内
医学生
看護学生
1・2年生/ 60,000 円
奨学金の月額
3・4年生/ 70,000 円
5・6年生/ 80,000 円
全学年/ 40,000 円
奨学生になったら…
民医 連の 奨 学 金 制 度
は、卒業後、民医連の医
療活動に参加しようとする
医学生、看護学生の要望
に応えて経済的援助を行
うことを目的にしています。
医学・医療の勉強に励むとともに民医連の
めざす「患者の立場に立つ医療」を学習しま
す。具体的には、病院実習・学習会・奨学生
会議等に積極的に参加する、などです。
手続きについて
申請を希望される方は、下記の岡山県民医
連・医学生担当または看護学生担当までご連
絡ください。面接の上、申請手続き等につい
て説明します。
いつでも、どこでも、誰もが安心して良い医療と福祉を
臨床研修病院 318 床
臨床研修病院 282 床
総合病院 岡山協立病院
総合病院 水島協同病院
林道倫精神科神経科病院
〒 703-8511
岡山市中区赤坂本町 8-10
TEL(086)272-2121
FAX(086)271-0919
〒 712-8567
倉敷市水島南春日町 1-1
TEL(086)444-3211
FAX(086)448-9161
〒 703-8520 岡山市中区浜 472 番地
TEL(086)272-8811
FAX(086)273-9944
臨床研修病院(協力型) 290 床
〒 700-0054
岡山市北区下伊福西町 1-53 民主会館3F
TEL(086)214-3911 FAX(086)214-3914
医学生担当または看護学生担当まで mail:[email protected]
●お問い合せ・申し込みは
携帯電話からの
メールはこちら
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岡山県民主医療機関連合会
詳細は岡山県民医連ホームページへ
岡山県民医連
検索
http://www.okayama-min-iren.org/
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奨学金制度の主旨
2011 WINTER
▼返済の免除の規定があります。