87 - ieice

平成 25 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会
講演番号: 87
カプセル内視鏡への無線電力伝送-送信アンテナの位相によるWireless power transmission to the capsule endoscope by phase control of the transmitting antenna
B-1
津崎 翔伍
齊藤 一幸
高橋応明
伊藤 公一
Shogo TSUZAKI
Kazuyuki SAITO Masaharu TAKAHASHI Koichi ITO
千葉大学 Chiba University
1. はじめに
表 1 位相パターン
カプセル内視鏡は電池によって駆動している.カプセ
Port1 Port2 Port3 Port4
ル内視鏡に内蔵される電池は小型であり,撮影する画像
位相パターン A [度]
0
0
0
0
の枚数や画質は制限される.本研究では,体外に設置し
位相パターン B [度]
180
0
180
0
たアンテナから無線でカプセル内視鏡の位置するエリア
に集中的に電力を供給するシステムにより,内蔵電池を
動力源としないカプセル内視鏡を用いた診断システムの
Port1
実現を目指している.先行研究では,マイクロ波アンテナ
2 7 9 2 12 2
Port2
を内蔵したカプセル内視鏡及び,複数の円偏波アンテ
ナを用いた電力送信システムを提案した[1].ここで,先
小
皮 脂 筋 腸 腸
腸背
内
肪
膚
肉
壁
壁中
行研究では行っていなかった位相制御を行って,カプセ
y
腔
x
ル内視鏡のあるエリアに向けて集中的にエネルギーを供
Port3
給可能であると考えられる.そこで本稿では,カプセル内
z
Port4
Unit : [mm]
観測面
300
視鏡の存在エリアに集中的にエネルギー供給を行うため
125
に,簡易人体モデルと送信アレイアンテナを用いた数値
図 1 解析モデル
計算により,小腸内における電界分布を解析した.
2. 解析モデル
high 300
300
円偏波を放射するスパイラルアンテナを用いて,これ
をアレイ状に並べることによって電力の伝送を行う.解析
200
200
モデルを図 1 に示す.それぞれの給電点を Port1 から
Port4 とする.各アンテナのサイズは 1 辺 60 mm の正方
100
100
形であり,各アンテナ間は 20 mm である.この解析モデ
low
0
0
ルは誘電体基板,粘着ゲル,腹側の皮膚,脂肪,筋肉,
0
300
0
300
100
200
200
100
y方向
y方向
腸壁,小腸内腔を想定した空間,背中を模擬した.
Unit : [mm]
3. 解析結果
(a) 位相パターン A
(b) 位相パターン B
電界分布の観測面は小腸内腔であり,各 Port の入力
図 2 電界分布
位相は表 1 のように変化させた.解析結果を図 2(a),(b)
high 300
に示す.これより,入力位相パターンにより,電界分布が
300
変化していることが確認できる.したがって,入力位相の
200
200
制御によりカプセル内視鏡の位置によって位相パターン
を変えて電力を伝送できることが確認できた.小腸の腸
100
100
管は入りくんでいて,カプセル内視鏡も小腸内で様々な
方向に進んでいく.そのために y 成分,z 成分の電界分
low
0
0
布も確かめた.図 3(a),(b)を見ると y 成分にも z 成分にも
0
300
0
300
100
200
200
100
y方向
y方向
放射されていることを確認した.これより,カプセル内視
Unit : [mm]
鏡の向きに関係なく電力は伝送できることを確認した.
(a) y 成分
(b) z 成分
4. まとめと今後の課題
図 3 パターン A の成分ごとの電界分布
数値計算により,送信アンテナアレイの入力位相と体
参考文献
内での電界分布の関係について検討した.その結果,
[1]
Shogo Tsuzaki, Kazuyuki Saito, Masaharu
アンテナアレイの入力位相を制御することで,カプセル
Takahashi and Koichi Ito, “Development of antenna for
内視鏡の位置に関わらず電力伝送が可能であることが
wireless power transmission to capsular endoscope,”
分かった.また,カプセル内視鏡の向きに関係なく電力
Vietnam-Japan International Symposium on Antennas and
が伝送できていることも分かった.今後は受信アンテナ
Propagation, pp195-200, Hanoi, Vietnam, Jan.2014
を小腸内に置いて伝送効率を求める予定である.
-87-
[V/m]
z方向
z方向
[V/m]
z方向
z方向
300
戸梶 敬規
Hiromi TOKAJI
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