Agilent U1881A/U1882Aパワー測定 アプリケーション Agilent InfiniiVisionおよび Infiniiumオシロスコープ用 Data Sheet スイッチング電源を高速に自動評価 高効率/低コストの電源開発において、さまざまな制約が あります。従来、デザインの最大の目標は、コストパフォー マンスを高めることでした。現在では、エネルギー・コス トの上昇により、電源の効率が重視されるようになってい ます。さらに、デザインのコンパクトさ、デジタル制御へ の移行、電圧許容範囲の減少、パワー品質/EMIに対する 規制といった制約により、高速で信頼できる電源テストの 必要性が高まっています。デザインの制約が増加するに伴 い、パワー・デバイスの測定と解析により多くの時間を割 くことを強いられています。 最近のオシロスコープは、解析機能が充実してきています。 しかし、測定や評価を手動で行う機会もまだ多くあります。 このような測定は、捕捉/解析/レポート作成のためにか なりの時間を要します。 2 図1. Agilent 8000シリーズ オシロスコープとパワー測定アプリケーショ ンでスイッチング・モード電源の特性をテストするためのワンボックス・ ソリューションとなります。 スイッチング・モード電源(SMPS)の特性評価と自動レポート作成 Agilentオシロスコープ用のU1881A/U1882Aパワー測定 Agilentのパワー測定アプリケーションには、デバイスの 評価のための7つのモジュール(パワー・デバイス解析、 入力ライン解析、出力解析、ターンオン/オフ解析、過 渡解析、変調解析)と、スキュー補正およびレポート作成 機能があります。各モジュールには、関連する測定とセッ トアップが含まれ、測定を容易に反復できます。 アプリケーションを使用すれば、パワー・デバイスの評価 に時間のかかる手動測定が不要になります。Infiniium 8000/9000シリーズ オシロスコープの場合は測定器内部 で、InfiniiVision 3000 Xシリーズ/7000シリーズ オシロ スコープの場合は外部PCで動作し、さまざまなパワー測定 が可能です。 モジュール 測定 スキュー補正 電圧/電流プローブの自動スキュー補正 パワー・デバイス解析 スイッチング損失 安全動作領域(SOA)、SOAマスク編集機能付き 動的オン抵抗 dI/dt dV/dt 入力ライン解析 力率 (有効電力/皮相電力) 有効電力 皮相電力 無効電力 クレスト・ファクタ IEC61000-3-2規格A、B、C、DおよびRTCA DO-160Eに対するプリコンプライアンス・テスト 突入電流解析 突入電流 出力解析 出力電圧リップル ターンオン/オフ解析 ターンオン時間 ターンオフ時間 過渡解析 過渡負荷応答 変調解析 パルス幅と時間 デューティ・サイクルと時間 周期と時間 周波数と時間 レポート作成 レポート作成 3 自動スキュー補正とU1880Aスキュー補正フィクスチャ パワー測定は、各電圧/電流プローブが測定した電圧/電 流波形を単にポイントごとに乗算したものです。正確なパ ワー測定と計算を行うには、電圧プローブと電流プローブ の時間遅延を一致させることがきわめて重要です。このた めには、「スキュー補正」と呼ばれる方法が用いられます。 この手順がきわめて重要なのは、電圧と電流のタイミング にわずかでもずれがあると、瞬時パワー測定値に大きな誤 差が生じるからです。プローブのペアをスキュー補正する には、U1880Aスキュー補正フィクスチャを使って、電圧 プローブと電流プローブの両方を同じパルス信号でドライ ブします。メニューを1回クリックするだけで、スキュー 補正が自動的に実行され、値がパワー測定ソフトウェアに 保存されます。次にパワー測定アプリケーションを立ち上 図2. スキュー補正ダイアログ げたときには、保存されたスキュー補正値を使用すること も、スキュー補正をもう一度実行することもできます。 スキュー補正の確度は、電圧/電流プローブの電気的特性 や被試験信号の立ち上がり時間に依存します。一般的に、 広帯域プローブは、立ち上がり時間の忠実度とスキュー補 正分解能が優れています。ほとんどのアプリケーションで、 AgilentのN2790A ∼ N2793A差動プローブの使用をお勧 めします。 右の電圧プローブと電流プローブを組み合わせて使用する 場合は、U1880Aスキュー補正フィクスチャをお勧めします。 図3. スキュー補正フィクスチャ 4 パワー・デバイス解析 電源の効率は、スイッチング損失によって決まります。ス イッチング・デバイスの瞬時パワー損失と、指定したスイッ チング・サイクルの間の伝導パワー損失を容易に評価でき ます。動的オン抵抗測定では、パワー・トランジスタが導 通している間のパワー損失を測定できます。 電源の信頼性を判定するには、動的負荷変動の際のパワー 損失の測定と、SOA (安全動作領域)プロットの観察がきわ めて重要です。オシロスコープのロングメモリとSOAプ ロットを使用することで、パワー・トランジスタの不適切 な動作を容易に発見できます。 図4. パワー・デバイス解析結果をグラフ形式と表形式(リスタ)で表示 入力ライン解析 電源の評価には、ライン・パワーのパワー品質、高調波、 伝導エミッションを、さまざまな動作条件で評価する必要 があります。常に必要な測定として、有効電力、皮相電力、 無効電力、力率、クレスト・ファクタ、高調波などがあり ます。これらは、IEC 61000-3-2 (クラスA、B、C、D)や RTCA DO 160Eなどの規格に基づいて測定されます。ま た電流プローブとパワー測定ソフトウェア (FFT演算機能 を装備)を使用することで、伝導パワー・ライン高調波を 測定できます。 図5. 入力ライン解析結果 5 変調解析 変調解析を使うと、PWM信号のオン・タイム/オフ・タ イム情報を簡単に見ることができます。これは、帯域幅が パルス・スイッチング周波数よりもはるかに小さいため、 通常見るのが困難な情報です。PWM信号のオン・タイム またはオフ・タイムに含まれる変動を長時間にわたってプ ロットすることにより、フィードバック・ループ・システ ムの制御ループ応答をモニタできます。この測定では、波 形のスイッチング変動データのトレンドを次の形式で表示 します。 ● 周波数と時間 ● 周期と時間 ● デューティ・サイクルと時間 ● 正パルス幅と時間 図6. 変調解析結果 出力解析 このモジュールは、出力DC電圧のリップル(ACまたはス イッチング)成分の評価を行います。リップルとは、電源 のDC出力に重畳される残留AC成分です。リップルには電 源周波数とスイッチング周波数が関与します。この測定は、 p-pリップル値と、捕捉信号の周波数応答を示します。 図7. 出力解析結果 6 ターンオン/オフ時間解析 このモジュールは、入力電圧を印加した後で電源が安定し た出力電圧に達するまでの時間 (ターンオン時間)と、入力 電圧をオフにした後で電源の出力電圧がオフになるまでの 時間(ターンオフ時間)を測定します。 図8. ターンオン/オフ解析の結果 過渡応答解析 電源の過渡現象としては、ターンオン/ターンオフ過渡現 象、出力負荷やライン入力電圧の変化に伴う過渡現象など があります。このような条件には、電源の主要な仕様の1 つである負荷過渡応答が関わります。このモジュールは、 DC出力の負荷過渡応答(負荷変化の際にDC出力が安定化 するまでの時間)を測定します。 図9. 過渡応答結果 7 レポート作成機能 テストを実行すると、View Reportタブに測定データとグ ラフが表示され、記録やデータ共有に利用できます。レポー トはHTML形式で保存され、関連するテスト情報の一覧が 表示されます。 レポートは、選択したディレクトリのテスト・フォルダに 自動的に保存されます。 図10. 自動レポート作成機能によるテスト結果 8 オーダ情報 製品番号 概要 U1881A InfiniiVision 3000 X/7000シリーズ オシロスコープ用パワー測定アプリケーション 7000シリーズ オシロスコープ・ロック・ライセンス(一般的なライセンス・タイプ) (1台のPCと接続可能) PCロック・ライセンス(複数の3000 Xシリーズ/7000シリーズ オシロスコープのうちの1台と接続可能) 3000 Xシリーズ オシロスコープ・ロック・ライセンス オプション001 オプション002 オプション003 U1882A オプション001 オプション002 U1880A Infiniium 8000/9000シリーズ オシロスコープ用パワー測定アプリケーション オシロスコープ・ロック・ライセンス(一般的なライセンス・タイプ) PCロック・ライセンス(Windows®ベースのInfiniiumオシロスコープでは、あまり使用されていません) スキュー補正フィクスチャ 推奨プローブ/アクセサリ U1880A 電圧/電流プローブのスキュー補正用フィクスチャ AC/DC電流プローブ (次のいずれかのAgilent電流プローブ) • • • • • 1147A 50 MHz、15 A電流プローブ、AutoProbeインタフェース付き N2780A 2 MHz、500 A電流プローブ(N2779A電源が必要) N2781A 10 MHz、150 A電流プローブ(N2779A電源が必要) N2782A 50 MHz、30 A電流プローブ(N2779A電源が必要) N2783A 100 MHz、30 A電流プローブ(N2779A電源が必要) 差動プローブ (右のいずれかのAgilent差動プローブ) • • • • N2790A 100 MHz差動プローブ、AutoProbeインタフェース装備(±1.4 kV差動) N2791A 25 MHz差動プローブ(±700 V差動) N2792A 200 MHz差動プローブ(±20 V差動) N2793A 800 MHz差動プローブ(±15 V差動) パッシブ・プローブ(出力雑音測定用) • 1162A 1:1、25 MHzパッシブ・プローブ • N2870A 1:1、35 MHzパッシブ・プローブ 製品Webサイト 関連カタログ タイトル カタログ・タイプ カタログ番号 InfiniiVision 3000 Xシリーズ 新・定番オシロスコープ Data Sheet 5990-6619JAJP Agilent Technologies InfiniiVision 7000B シリーズ・オシロスコープ Data Sheet 5990-4769JAJP Agilent Technologies Infiniium 9000 シリーズ・オシロスコープ Data Sheet 5990-3746JAJP Agilentオシロスコープ用プローブおよびアクセサリ Selection Guide 5989-6162JAJP 9 最新の詳細なアプリケーション/製品 情報については、下記の製品Webサイ トを参照してください。 www.agilent.co.jp/find/scopes Agilent Technologiesのオシロスコープ 20 MHz∼90 GHz以上でさまざまなサイズ、業界最高レベルの仕様と、幅広いアプリケーション 10 www.agilent.co.jp www.agilent.co.jp/find/scopes 電子計測UPDATE www.agilent.co.jp/find/emailupdates-Japan Agilent からの最新情報を記載した電子メール を無料でお送りします。 www.lxistandard.org LXI は、 Web へのアクセスを可能にするイー サネット・ベースのテスト・システム用イ ンタフェースです。Agilentは、LXIコンソーシ アムの設立メンバです。 アジレント・アドバンテージ・サービスは、お 客様の機器のライフタイム全体にわたって、お 客様の成功を支援します。また、サービスの品 質向上、サービス内容の充実、納期の短縮に継 続的に取り組みます。こうした取り組みは、機 器の維持管理費の削減にも繋がると信じており ます。このような修理・校正サービスに支えら れたアジレント製品を購入後も安心してお使い ください。機器およびサービスの管理の効率化 に、Infoline Webサービスもご活用いただけま す。修理・校正サービスを通じて、お客様のビ ジネスの成功に貢献できるよう努め、エンジニ アは専門知識を積極的にお客様に提供します。 契約販売店 www.agilent.co.jp/find/channelpartners www.agilent.co.jp/find/advantageservices アジレント契約販売店からもご購入頂けます。 お気軽にお問い合わせください。 Agilent Electronic Measurement Group Quality Management Syst System www.agilent.co.jp/quality アジレント・テクノロジー株式会社 本社〒 192-8510 東京都八王子市高倉町 9-1 計測お客様窓口 受付時間 9:00-18:00(土・日・祭日を除く) TEL ■■ 0120-421-345 (042-656-7832) FAX ■■ 0120-421-678 (042-656-7840) Email [email protected] 電子計測ホームページ www.agilent.co.jp ● Agilent Technologiesのオシロスコープ 20 MHz∼90 GHz以上でさまざまなサイズ、業界最高レベルの仕様と、幅広いアプリケーション 記載事項は変更になる場合があります。 ご発注の際はご確認ください。 © Agilent Technologies, Inc. 2011 Published in Japan, September 13, 2011 5989-7835JAJP 0000-00DEP
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