肺病変が先行し diffuse alveolar damage(DAD)と - 日本呼吸器学会

938
日呼吸会誌
44(12),2006.
●症 例
肺病変が先行し diffuse alveolar damage(DAD)と筋炎が同時発症した
多発性筋炎の 1 剖検例
神宮亜希子1)
臼杵 二郎1)
阿部 信二1)
吾妻安良太1)
瀬尾 宜嗣1)
中山 智子2)
国保 成暁1)
福田
悠2)
斉藤 好信1)
工藤 翔二1)
要旨:症例は 68 歳の女性で特発性間質性肺炎(NSIP パターン)の診断で入院前の 3 年間当科外来通院中
であった.呼吸困難,下腿浮腫および腓腹筋痛を主訴に受診.著明な筋原性酵素の上昇,炎症反応を認め,
精査加療目的に入院となった.入院後,筋生検は施行できなかったものの筋電図にて筋原性変化を認め,臨
床症状と合わせて多発性筋炎(PM)
(肺病変先行型)と診断した.呼吸状態は次第に悪化し,ステロイドパ
ルス療法および免疫抑制剤等で加療を行ったが改善せず死亡となった.剖検では両肺の 80% 以上が diffuse
alveolar damage(DAD)の所見であり,線維化期の像を呈していたことから筋炎と同時期に DAD を発症
していたと考えられた.PM の肺病変において進行性に悪化する報告も散見されるが本症例のように筋炎と
同時期に DAD を発症した報告は少なく発症病態を考える上で重要と考えられた.
キーワード:多発性筋炎,間質性肺炎,びまん性肺胞傷害
Polymyositis,Interstitial pneumonia,Diffuse alveolar damage (DAD)
はじめに
て約 3 年間当科外来にて経過観察していた.入院の 3 カ
月前より下腿浮腫が出現し,同時期に胸部絞厄感も認め
一般に多発性筋炎!
皮膚筋炎(PM!
DM)の約 30∼70%
たため,虚血性心疾患が疑われた.心臓超音波検査,ド
に間質性肺炎の合併が認められると言われている.その
ブタミン負荷試験等を施行したが,虚血性心疾患は否定
病理組織学的所見は多彩であるが,その中で最も重症で
的であった.しかし,入院数日前より著明な筋原性酵素
予後不良なのが diffuse alveolar damage(DAD)であ
の上昇および下腿浮腫の増悪,呼吸困難を認め,精査加
1)
る .一般に DAD をきたすものは DM 例に多く,特に
療目的にて入院となった.
筋症状に乏しい amyopathic DM(ADM)例の報告が知
入院時現症:身長 152.4cm,体重 50.5kg,意識清明,
られている.今回我々は肺病変先行型で PM と DAD を
体温 35.8℃,血圧 126!
78mmHg,脈拍 72!
分整,呼吸数
同時期に発症し,呼吸不全をきたした症例を経験したの
18!
分,結膜に貧血,黄疸認めず.チアノーゼ,バチ指
でまれな症例として報告する.
なし.心音整,異常音聴取せず.呼吸音は両側背部に fine
症
例
症例:68 歳,女性.
主訴:呼吸困難,下腿浮腫,腓腹筋痛.
crackles を聴取した.両下腿の浮腫と腓腹筋の把握痛を
認めた.腹部ならびに神経学的に異常所見は認めなかっ
た.
入院時検査所見(Table 1,2)
:血液検査では,CPK
既往歴:特記事項なし.
1,921U!
L(MB 3%,MM 96%),CRP6.98mg!
dL と筋
現病歴:乾性咳嗽にて当科初診.胸部 X 線および CT
原性酵素の著明な上昇および炎症反応を認めた.またア
上,間質性肺炎が疑われ,経気管支肺生検を施行.病理
ルドラーゼは 47.9U!
L と上昇を認めた.血清学的には
組織にて NSIP(Non specific interstitial pneumonia)パ
抗アミノアシル tRNA 合成酵素抗体の一つである抗 PL-
ターンを認めた.以降,呼吸不全の進行はなく無治療に
7 抗体は陽性であったが,その他,抗核抗体や抗 Jo-1 抗
体は陰性であった.血液ガス分析では,PaO2 48.4Torr
〒113―8603 東京都文京区千駄木 1―1―5
1)
日本医科大学内科学第 4 講座
2)
同 人体解析病理学
(受付日平成 18 年 3 月 9 日)
と著明な低酸素血症を認めており,また AaDO2 は 58.6
Torr と開大していた.心臓超音波検査では駆出率は
69% と 比 較 的 良 好 で あ っ た が,推 定 肺 動 脈 圧 は 43
mmHg と上昇を認めた.
DAD と筋炎が同時発症した多発性筋炎の 1 例
939
Tabl
e 1 La
bo
r
a
t
o
r
yda
t
ao
na
dmi
s
s
i
o
n(
1
)
CBC
WBC
1
4
,
9
0
0
/
μL
Ne
u
8
9
.
9
%
Eo
1
.
7
%
Ba
s
o
0
.
1
%
Mo
no
2
.
1
%
Lymph
6
.
2
%
4
RBC
3
0
1
×1
0
/
μL
Hb
8
.
3g/
dL
Ht
2
5
.
7
%
4
Pl
t
.
4
6
.
4
×1
0
/
μL
Co
a
g
ul
a
t
i
o
ns
y
s
t
e
m
PT
1
3
.
7s
e
c
APTT
3
2
.
4s
e
c
FDP
8
.
2μg/
mL
Ddi
me
r
4
.
3μg/
mL
Bl
o
o
dc
h
e
mi
s
t
r
y
TP
6
.
2g/
dL
Al
b
3
4
.
5
%
α1
4
.
6
%
α2
1
4
.
6
%
β
7
.
2
%
γ
3
9
.
1
%
AST
9
8I
U/
L
ALT
7
5I
U/
L
LDH
5
5
9I
U/
L
CPK
1
,
9
2
1U/
L
(
MB3
%,
MM 9
6
%)
ALD
4
7
.
9U/
L
Mb
1
,
2
0
1ng/
mL
TBi
l
0
.
4mg/
dL
BUN
1
4
.
1mg/
dL
Cr
0
.
5
5mg/
dL
Se
r
o
l
o
g
y
CRP
I
gG
I
gA
I
gM
CH5
0
C3
C4
ANA
RF
抗 DNA抗体
抗J
O1抗体
抗 PL7抗体
MPOANCA
KL6
SPD
6
.
9
8mg/
dL
2
,
1
8
9mg/
dL
5
2
6mg/
dL
2
5
2mg/
dL
3
4
.
1U/
mL
7
5mg/
dL
1
0mg/
dL
(- )
5
.
0I
U/
mL
3
.
8I
U/
mL
(- )
(+ )
1
0EU未満
7
6
5U/
mL
8
5
.
4ng/
mL
Tabl
e 2 La
bo
r
a
t
o
r
yda
t
ao
na
dmi
s
s
o
n(
2
)
Blood gas analysis (room air)
pH
7.525
PaCO2
34.4 Torr
PaO2
48.4 Torr
HCO3
28.3 mmol/L
BE
5.5 mmol/L
AaDO2
58.6 Torr
SaO2
86.2 %
TTE
IVST : 10mm PWT : 9mm
LvDd : 44mm LvDs : 27mm
EF : 69% ASYNERGY (−)
PA : 43 mmHg
Electromyogram
Sputum analysis
Bacteria : normal flora
Tbc : negative
Fi
g.1 Che
s
tr
a
di
o
gr
a
phs
.
(
a
)Che
s
tXr
a
yf
i
l
mo
nt
hef
i
r
s
tvi
s
i
t(
t
hr
e
eye
a
r
sbe
f
o
r
ea
dmi
s
s
i
o
n)s
ho
wsbi
l
a
t
e
r
a
lr
e
t
i
c
ul
a
rs
ha
do
wi
nbo
t
hl
o
we
rl
o
be
s
.
(
b)Che
s
tXr
a
yf
i
l
mo
na
dmi
s
s
i
o
ns
ho
wsar
e
t
i
c
ul
a
rs
ha
do
wa
nd
gr
o
undgl
a
s
so
pa
c
i
t
ywi
t
hvo
l
umel
o
s
s
.
940
日呼吸会誌
44(12),2006.
Fi
g.2 Che
s
tHRCT.(
a
)Che
s
tHRCT o
nf
i
r
s
tvi
s
i
t
i
ng(
t
hr
e
eye
a
r
sbe
f
o
r
ea
dmi
s
s
i
o
n)s
ho
wi
ngbi
l
a
t
e
r
a
lr
e
t
i
c
ul
a
rs
ha
do
w.
Re
t
i
c
ul
a
rs
ha
do
wswe
r
epr
e
do
mi
na
nti
nt
hepe
r
i
phe
r
a
ll
ungz
o
ne
.
(
b)Che
s
tHRCT o
na
dmi
s
s
i
o
ns
ho
wi
ngpr
o
gr
e
s
s
i
ver
e
t
i
c
ul
a
rs
ha
do
wa
ndgr
o
undgl
a
s
so
pa
c
i
t
y.
Fi
g.3 Cl
i
ni
c
a
lc
o
ur
s
e
入院時胸部 X 線(Fig. 1a・b):当科初診時(a,入院
3 年前)のものと比較して今回入院時(b)では両側の
網状陰影の悪化を認めた.
現を認めた.
入院後臨床経過(Fig. 3)
:入院時より著明な筋原性酵
素の上昇,炎症反応を認め,筋電図検査を施行した.筋
胸部 HRCT(Fig. 2a・b):当科初診時(a,入院 3 年
電図検査にて定型的筋電図所見を認め(Table 2)
,筋生
前)ものと比較して今回入院時(b)では両側下葉胸膜
検は呼吸状態が不安定で施行できなかったものの,Bo-
直下背側の網状陰影に加えて広範なスリガラス陰影の出
han らの診断基準2),日本の研究班(厚生省自己免疫疾
DAD と筋炎が同時発症した多発性筋炎の 1 例
941
Fi
g.4 Hi
s
t
o
pa
t
ho
l
o
gi
c
a
lf
i
ndi
ngsf
r
o
mt
hea
ut
o
ps
i
e
dl
ung.(
a
)Ma
c
r
o
s
c
o
pi
c
a
l
l
yt
hel
ungss
ho
we
ddi
f
f
us
e
ns
o
l
i
da
t
i
o
na
ndf
i
br
o
s
i
s(
*
)
.(
b)Mi
c
r
o
s
c
o
pi
ce
xa
mi
na
t
i
o
no
ft
hel
ungs
ho
we
ddi
f
f
us
ei
nt
e
r
s
t
i
t
i
a
lf
i
br
o
s
i
s
c
o
(
NSI
P,gr
o
upI
I
I
)
.No
t
et
heuni
f
o
r
mi
nt
e
r
s
t
i
t
i
a
lf
i
br
o
s
i
swi
t
ho
ute
vi
de
nc
eo
fo
ngo
i
ngi
nj
ur
y.(
c
)Di
f
f
us
ea
l
ve
o
l
a
rda
ma
ge(
DAD)wi
t
he
vi
de
nc
eo
fo
r
ga
ni
z
a
t
i
o
na
f
t
e
rr
e
s
o
r
pt
i
o
no
fhya
l
i
neme
mbr
a
nef
o
r
ma
t
i
o
n.
患調査研究班,1992)の診断基準3)を満たし多発性筋炎
ing NSIP を反映するものと考えられた.
と診断した.入院後,呼吸状態の増悪を認めたため,第
びまん性に含気の低下した部分では,硝子膜はすでに
15 病日よりメチルプレドニゾロンによるステロイドパ
消失し肺胞道領域を取り囲むような線維化を示してお
ルス療法を開始した.パルス療法施行開始翌日にさらに
り,発症後約 3 週間以上を経過したと推測される線維化
呼吸状態の悪化を認め,気管内挿管,人工呼吸器管理と
期の DAD の像であった.この変化は両肺の 80% 以上
なった.パルス療法終了後も間質性陰影の改善が認めら
を占めていた(Fig. 4c).この組織所見より PM と急性
れず,免疫抑制剤シクロスポリンを追加投与し,2 回目
肺傷害の発症時期はほぼ同時期と考えられた.線維化が
のステロイドパルス療法を施行したが治療反応性は乏し
進行した部位では肺動脈の内膜肥厚が顕著に認められ臨
く,さらに呼吸不全は進行し第 31 病日に死亡した.
床的に肺高血圧を反映する所見であった.なお,明らか
解剖所見:剖検肺の肉眼像では,胸膜下・肺底部優位
な感染症や悪性腫瘍の所見は認められなかった.大腿四
に白色調に硬化した線維化病変を認め(Fig. 4a,左下*)
,
頭筋のミクロ像では,わずかに残存している正常部分と
これ以外の肺実質は著明に含気が低下し,びまん性の器
比較すると筋線維束の著明な萎縮が認められ,かつその
質化所見を認めた(Fig. 4a,中央*)
.ミクロ所見では,
萎縮線維は筋束の辺縁部に優位であることから PM に
白色の線維化部においては,顕微鏡的蜂巣肺の形成を伴
合致する所見と考えられた.また,結合織に置き換わっ
う時相が均一な fibrosing(Group3 相当の)NSIP の像
ている部分(矢頭)や空胞化といった変性所見(矢印)
を示しており(Fig. 4b),生前画像で確認されていた下
も認められた(Fig. 5)
.PM に特徴とされるようなリン
肺の病変は,この病変,つまり先行して存在した fibros-
パ球浸潤は認められなかったが,これは治療により筋原
942
日呼吸会誌
44(12),2006.
その有効例は 46% にとどまっている.Fujisawa らは 28
例の PM!
DM に伴う間質性肺炎症例の検 討 に お い て
DAD をきたした症例は全例 DM であったことを報告し
ている10).
本症例は,典型的な皮膚所見は呈さず,筋原性酵素の
著明な上昇,筋電図所見,抗 PL-7 抗体陽性などから PM
と診断した.剖検所見においては DAD の線維化期の病
変を認めていたことから,PM の発症時期と同時期に
DAD を発症したと推測された.また胸膜直下には先行
した fibrosing NSIP の病変を認めていたが,病変の連続
性は認められず,それ以外の健常部分に DAD が生じた
と考えられた.なお他の DAD の誘因と考えられる各種
感染症の存在や薬剤の関与は否定的であった.以上のこ
とから本症例は PM 発症と同時期に DAD を発症,呼吸
不全をきたしたものと考えられた.ステロイド剤ならび
に免疫抑制剤の治療により筋原性酵素の改善を認めたも
のの,呼吸状態は急速に進行し死亡に至ったことからこ
Fi
g.5 Hi
s
t
o
pa
t
ho
l
o
gi
a
lf
i
ndi
ngsf
r
o
mt
hef
e
mur(
EMG
s
t
a
i
ni
ng)
.Fe
murmus
c
l
es
pe
c
i
me
ns
ho
wi
ng va
r
i
o
us
fmus
c
l
ef
i
be
ra
t
r
o
phy(
a
r
r
o
w he
a
ds
)wi
t
h
de
gr
e
e
so
va
c
uo
l
ef
o
r
ma
t
i
o
n(
a
r
r
o
ws
)
.Lympho
c
yt
ei
nf
i
l
t
r
a
t
i
o
n
wa
sno
to
bs
e
r
ve
d.
れらの治療は DAD に対しては無効であった.
一般に PM に伴う間質性肺炎は DM 例と比較すると
予後良好とされている.その理由に PM では CD8 陽性
細胞障害性 T 細胞による筋線維の壊死が,DM では補
体の活性化と沈着による皮膚と筋との微小血管障害がそ
の疾患の本態であると考えられているように11)それぞれ
性酵素の改善を認めたことによるものと考えられた.
考
病因の異なった疾患群であることが示唆されている.肺
病変についてもその合併率でこそ差は認められないもの
察
の急性増悪例, 予後不良例は DM において顕著である.
PM!
DM には様々な肺病変が合併するが,間質性肺炎
4)
特に ADM について滝沢らはこの一群に関して臨床的に
は 1956 年の Mills&Mathews らの報告 以来知られてお
も病理学的にも一つの subgroup の可能性を示唆してい
り,当初比較的頻度の少ない合併症であると考えられて
る12).このことは DM の筋病変が筋自体ではなく間質で
いた.しかし,近年比較的高率に合併しかつ生命予後を
あることとの関連も考えられているが,現在のところ
規定するきわめて重要な合併症であると考えられてい
PM!
DM に伴う間質性肺炎の肺傷害機序はほとんど明ら
5)
,crypる .組織学的には diffuse alveolar damage(DAD)
かにされていない.PM に伴う間質性肺炎において進行
togenic organizing pneumonia(COP)
,non specific inter-
性に悪化した症例も散見されるが,いずれも呼吸困難,
stitial pneumonia(NSIP),usual interstitial pneumonia
咳嗽などの呼吸器症状が先行していたことが報告されて
(UIP)などに分類されるが,この組織型が治療反応性
いる13)14).本症例では発症 3 カ月前に胸部絞扼感を認め
また予後に大きな影響を与えると考えられている.
ており肺病変が徐々に進行していた可能性は否定できな
1)
Tazelaar らの報告 では DAD を呈するものは進行が早
いが,その間,呼吸困難はなく胸部 X 線上変化がなかっ
く予後不良とされている.特に ADM に伴う肺病変症例
たことから DAD の発症は PM と同時期と考えられた.
6)
∼8)
.厚生省
これまでの報告例も含めて予後不良例は多くが DM で
DM
の 1995 年度びまん性肺疾患調査研究 によると PM!
あり,本症例のように PM で DAD を発症し予後不良の
において急性発症!
急性増悪の経過をとった間質性肺炎
経過をとった症例は比較的まれで貴重なものであると考
のステロイド単独治療例の有効率はそれぞれ PM56%,
えられた.また,これまでの報告と同様に DAD に対し
DM28% であり,さらに免疫抑制剤を追加した症例にお
てステロイド剤や免疫抑制剤は無効であった.今後症例
いては PM88%,DM46% と PM においてはステロイド
を重ね PM!
DM に伴う間質性肺炎の病理像とその治療
単独治療で反応性は 50% を超えており無効の場合でも
法について,それらの病因も含めた検討が必要であると
免疫抑制剤を追加することにより 80% 以上で改善を認
考えられる.
での予後不良例が相次いで報告されている
9)
めている.一方,DM においては免疫抑制剤の追加にも
DAD と筋炎が同時発症した多発性筋炎の 1 例
943
間質性肺炎により死亡した Amyopathic
ま と め
Dermato-
myositis の 1 症例.リウマチ 2000 ; 40 : 705―710.
肺病変が先行し DAD と同時に発症した多発性筋炎の
1 剖検例を経験した.本症例のように PM 発症と同時期
に DAD をきたした報告は少なく貴重な症例と考えられ
7)加治賢三,五十嵐敦之,濱口儒人,他.急性間質性
肺炎を合併した amyopathic
dematomyositis の一
例.日本臨床免疫学会雑誌 2004 ; 27 : 103―107.
8)Fudman EJ, Schnizer TJ. Dematomyositis without
た.
尚,本症例は第 167 回日本呼吸器学会関東地方会(神奈川
creatine kinase elevation. Am J Med 1986 ; 80 :
319―322.
県秦野市)において発表した.
9)佐藤篤彦,千田金吾,早川啓史,他.多発性筋炎!
引用文献
皮膚筋炎に伴う肺病変について―全国調査報告―.
1995 年度びまん性肺疾患調査研究:61―64.
1)Tazelaar HD, Viggiano RW, Pickersgill J, et al. Interstitial lung disease in polymyositis and dermoto-
10)Fujisawa T, Suda T, Nakamura Y, et al. Differences
myositis : clinical features and prognosis as corre-
in Clinical Features and Prognosis of Interstitial
lated with histologic findings. Am Rev Respir Dis
Lung Diseases Between Polymyositis and Dermato-
1990 ; 141 : 723―733.
myositis. J Rheumatol 2005 ; 32 : 58―64.
11)Dalakas MC, Hohlfeld R. Polymyositis and dermato-
2)Bohan A, Peter JB. Polymyositis and dermatomyosi-
myositis. Lancet 2003 ; 362 : 971―982.
tis (First of Two Parts). New Eng J Med 1975 ; 292 :
12)滝沢 始,鈴木直仁,柳川 崇,他.多発性筋炎,
344―347.
3)Tanimoto K, Nakano K, Kano S, et al. Classification
皮膚筋炎に伴う間質性肺病変の予後に関する検討―
Criteria for Polymyositis and Dematomyositis. J
とくに予後不良群について―.日胸疾会誌 1996 ;
34 : 1093―1097.
Rheumatol 1995 ; 22 : 668―674.
13)Aoun NY, Velez E, Aggarwal A, et al. Fetal acute in-
4)Mills ES, Mathews WH. Interstitial pneumonitis in
dermatomyositis. JAMA 1956 ; 160 : 1467―1470.
terstitisl pneumonitis complicating polymyositis in a
5)滝沢 始,鈴木直仁,柳川 崇,他.膠原病におけ
41-year-old man. Respiratory Care 2004 ; 49 : 1515―
1521.
る間質性肺病変の重要性―生命予後の解析から―.
14)Lee CS, Chen TL, Tzen CY, et al. Idiopathic inflam-
日胸疾会誌 1996 ; 34 : 1177―1181.
matory myopathy with diffuse alveolar damage.
6)南家由紀,立石睦人,山県 元,他.急速進行性の
Clin Rhumatol 2002 ; 21 : 391―396.
Abstract
A case of polymyositis with concomitant diffuse alveolar damage following interstitial pneumonia
Akiko Shingu1), Shinji Abe1), Yoshitsugu Seo1), Nariaki Kokuho1), Yoshinobu Saito1), Jiro Usuki1),
Arata Azuma1), Tomoko Nakayama2), Yu Fukuda2)and Shoji Kudo1)
1)
The Fourth Department of Internal Medicine
2)
Clinical Pathology, Nippon Medical School
A 68-year-old woman had been given a diagnosis of interstitial pneumonia (NSIP pattern) and followed up at
our hospital for 3 years. She was admitted to our hospital because of dyspnea, lower limb edema and myalgia. On
admission, serum CPK and CRP levels were elevated and an electromyogram suggested inflammatory myopathy.
We diagnosed polymyositis (PM) with progressive interstitial pneumonia (IP). Although methylprednisolone pulse
therapy and immunosuppressive agents were administered, pulmonary lesions became aggravated. The patient
died due to respiratory failure as a result of the progress of IP. The autopsy lung revealed diffuse alveolar damage
(DAD) at the both acute and fibrotic phases, suggesting that DAD could coincide with PM. We report here a rare
case of polymyositis with diffuse alveolar damage (DAD).