定額郵便貯金の預入申込書の写しの不開示決定

諮問庁:独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構
諮問日:平成24年3月16日(平成24年(独個)諮問第8号)
答申日:平成25年4月17日(平成25年度(独個)答申第4号)
事件名:定額郵便貯金の預入申込書の写しの不開示決定(不存在)に関する
件
答
第1
申
書
審査会の結論
特定日に預入した定額郵便貯金特定金額の預入申込書の写しに記載され
た保有個人情報(以下,「本件対象保有個人情報」という。)につき,これ
を保有していないとして不開示とした決定は,妥当である。
第2
1
異議申立人の主張の要旨
異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は,独立行政法人等の保有する個人情報の保護に
関する法律(以下「法」という。)12条1項の規定に基づく開示請求に
対し,平成24年1月19日付け機構第2809号により,独立行政法人
郵便貯金・簡易生命保険管理機構(以下「機構」,「処分庁」又は「諮問
庁」という。)が行った不開示決定(以下「原処分」という。)の取消しを
求めるというものである。
2
異議申立ての理由
異議申立人の主張する異議申立ての理由は,異議申立書(補正後)及び
意見書(諮問庁への閲覧不可)の記載によると,おおむね以下のとおりで
ある。
機構担当部署の担当者の指示により,機構の保有個人情報開示には必要
書類と開示手数料の納付が先決であり,必要書類の私方への至急送付を依
頼し,個人情報開示請求書なる書面に記入し,開示請求手数料300円也
を納付し,領収書も受け付けられ「浮かぶ瀬がない」という心境で待って
いたら,届いた内容は,機構保有個人情報不開示決定通知書であった。当
該書面をよく読み見ても,(2)不開示とした理由として,開示請求のあ
った文書(個人情報)を取得しておらず,機構として保有していないため,
法18条2項の決定(不開示)としたとある。この条項の具体的な内容を
知りたく質問等しても,細部なる説明はなく,法律的知識のない私にとっ
ては,ただただ人権に沿った分かりやすい解釈が基本で,あえて言えば,
機構保有個人情報の受理とは何のことであるのか不可解でならない。この
決定に不服があるときは,異議申立てをすることができるとあるので,異
1
議を申し立てる。
なお,通常郵便貯金特定記号番号の「通常貯金預払状況調書」及びその
説明資料を添付する。
第3
1
諮問庁の説明の要旨
異議申立ての概要
異議申立書によれば,その本旨は,本件対象保有個人情報を保有してい
るはずであり,原処分の取消しを求めるというものである。
2
異議申立てについての検討
異議申立人が異議申立書で述べている「異議申立ての理由」は定かで
はないが,特定日に預入した定額郵便貯金特定金額(以下「本件貯金」
という。)が存在するはずであると主張しているものと解される。そして,
異議申立人は,この主張を裏付ける証拠として,株式会社ゆうちょ銀行
の通常郵便貯金特定記号番号の「通常貯金預払状況調書」及びその説明
資料を諮問庁に提出し,本件資金の出所を説明しようとしているものと
解される。
しかし,原処分に先立ち,また,異議申立てを受けて,ゆうちょ銀行
に確認したが,本件貯金が預入された事実はなかった。
また,異議申立人が提出した「通常貯金預払状況調書」及びその説明
資料は,特定金額の資金をどのように調達したものかを説明しているも
のと思われるが,特定金額の貯金をしたことは何ら示されておらず,こ
のことをもって本件貯金の存在を証明するものではない。
よって本件貯金は存在しないものであり,本件対象保有個人情報は保
有しておらず,原処分に誤りはない。
なお,異議申立人は,異議申立書において,法18条2項の具体的意
味を知りたくて,諮問庁に質問等しても細かな説明がなかった旨述べて
いるが,諮問庁は,平成24年1月23日に同人から電話で照会があっ
た際に,本件対象保有個人情報を保有していないため,不開示としたも
のであることを説明している。
3
結論
以上のことから,原処分を維持することが妥当であると考える。
第4
調査審議の経過
当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
①
平成24年3月16日
諮問の受理
②
同日
諮問庁から理由説明書を収受
③
同年4月2日
異議申立人から意見書を収受
④
同年5月28日
審議
⑤
同年6月25日
審議
2
第5
1
⑥
平成25年2月25日
審議
⑦
同年3月27日
審議
⑧
同年4月15日
審議
審査会の判断の理由
機構及びゆうちょ銀行の業務概要について
(1)業務分担について
平成19年10月1日の郵政民営化法の施行に伴い,機構は日本郵政
公社が解散する時点で保有していた郵便貯金契約及び簡易生命保険契約
を承継し,管理することとされており,そのうち,郵便貯金契約につい
ては,同法6条2項の規定に基づき,民営化前に預入していた定額郵便
貯金,定期郵便貯金,積立郵便貯金といった定期性の貯金を承継・管理
している。
その一方,郵政民営化法174条1項では,機構の管理から除かれた
通常郵便貯金は,一定のものを除き,同法の施行の時においてゆうちょ
銀行が受け入れた預金となる旨規定されており,通常郵便貯金等のいわ
ゆる流動性貯金については,同銀行が直接承継し,管理することとされ
ている。したがって,通常郵便貯金は,郵政民営化前の取引を含めて同
銀行が管理している。
(2)業務委託について
定期性の郵便貯金を郵政公社から承継・管理している機構においては,
独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法15条1項に規定する
業務委託契約に基づき,運用・管理業務をゆうちょ銀行に委託している。
本件開示請求の対象となっている定額郵便貯金預入申込書のほか,定額
定期原簿照会票,定額定期取引履歴表,払済定額郵便貯金証書,非課税
貯金払戻しチェックシート等の証拠書写し等の管理,記入等の実務的な
運用・管理業務に関しては,ゆうちょ銀行の貯金事務センター(なお,
本件では「特定A貯金事務センター」が管轄となる。)において集中的
な運用・管理事務を行っている。
2
本件対象保有個人情報について
本件開示請求の対象保有個人情報は,特定日に預入した定額郵便貯金特
定金額(本件貯金)の預入申込書の写しに記載された保有個人情報(本件
対象保有個人情報)である。
処分庁は,本件対象保有個人情報は保有していないとして,不開示とす
る原処分を行った。
これに対し,異議申立人は,本件貯金を預入したので,本件対象保有個
人情報は存在するはずであり,不開示とした決定の取消しを求めている
が,諮問庁は原処分を妥当としていることから,以下,本件対象保有個人
3
情報の保有の有無について検討する。
3
本件対象保有個人情報の保有の有無について
(1)異議申立人の主張
諮問庁から提出された補正前の保有個人情報開示請求書の記載によれ
ば,本件貯金の定額郵便貯金証書が見当たらなくなり,速やかに複数の
郵便局に申し出ても調査中であり,異議申立書に添付された資料によれ
ば,本件貯金は,自らの通常郵便貯金及び証人となる者からの借入れで
用意したものであるので,本件対象保有個人情報は存在するはずである
との主張と解される。
(2)諮問庁の説明
諮問庁は,ゆうちょ銀行に本件異議申立てに関する調査を依頼した結
果について,以下のとおり説明する。
ア
ゆうちょ銀行では,郵便貯金の預入限度額を管理することを目的と
して、各預金者の預金状況を確認するためのオンラインシステムが
導入されている。
また,定額郵便貯金を預入する場合,申込人は定額郵便貯金預入申
込書(住所,氏名,生年月日,預入金額を記入)により申込みを行
い,単票式(1枚の証書用紙のもの),若しくは通帳式(証書用紙が
連記式になっているもの)の定額郵便貯金証書の交付を受けること
ととなる。この定額郵便貯金預入申込書の記載内容は,オンライン
システムにおいて管理されている。
イ
そこで,ゆうちょ銀行に対し,異議申立人の住所及び氏名により,
特定日を含む特定期間に現存した本件対象保有個人情報の確認につい
て調査依頼をしたところ,ゆうちょ銀行は,次のとおり回答している。
①
オンラインシステムで検索した結果,現住所(平成17年の市
町村合併前と後の住所)及び氏名のもので異議申立人が預入した
定額郵便貯金の記録は9件(単票式7件,通帳式2件)確認され,
いずれも特定日前に預入され,平成17年から23年の間に既に
解約されている。これらについては,マイクロフィルムに保存さ
れている定額郵便貯金預入申込書に記載されている生年月日,記
号番号(預入時に付与される番号)と突合した結果においても、
異議申立人のものと確認できる。
②
また,念のため,異議申立人が現住所前(平成8年以前)に住
んでいた住所についても,氏名と合わせて検索したところ,特定
日より約2年前に解約された2件の定額郵便貯金の記録が確認で
きたが,定額郵便貯金預入申込書が保存期間(平成19年9月以
前に解約された定額郵便貯金預入申込書の保存期間は,原票は3
4
年,マイクロフィルムの保存は10年)の経過により原票は廃棄
されており,マイクロフィルムにも保存されていないため,異議
申立人の貯金と断定するには至らなかった。
ウ
なお,念のため,証拠書の保管場所である特定A貯金事務センター
において,異議申立人が存在すると主張する本件貯金に係る他の証拠
書も探索させたが,存在しなかった。
エ
さらに,郵便局の窓口端末機に記録用の媒体(フロッピーディスク
又はDVD)が格納されているが,当該記録媒体は、取引等のデー
タが記入されて容量が一杯になったら,集中倉庫に集め,1年後に
廃棄処分を行っている。
したがって,異議申立人が本件貯金について確認を申し出た複数の
郵便局の記録媒体は既に廃棄されて,特定日の取引の記録は,確認
できない。
オ
したがって,①本件貯金については,オンラインシステム上,確認
されていないこと,また,②異議申立人が主張する本件貯金の預入を
前提とすれば,開示請求時点において,本件対象保有個人情報がマイ
クロフィルムに保管されていなければならないが,探索の結果,開示
請求時点も含め,マイクロフィルム上に記録が存在していないことか
ら,本件対象保有個人情報は保有していない。
(3)検討
ア
諮問庁から提示を受けたゆうちょ銀行からの調査結果についての回
答書(以下「調査回答書」という。)を確認したところ,本件貯金と
異なるゆうちょ銀行において確認された9件の定額郵便貯金につい
て,定額郵便貯金預入申込書等が添付されていることが認められ
る。
本件対象保有個人情報を機構において保有しているのであれば,本
件貯金の記録がオンラインシステムから検索され,合わせてマイク
ロフィルムに保管されている定額郵便貯金預入申込書等も確認で
き,本件対象保有個人情報が開示されるであろうが,諮問庁におけ
る調査結果では,本件対象保有個人情報は確認できなかった。ま
た、諮問庁において本件対象保有個人情報を保有しているにもかか
わらず,あえて開示しない事情は認められない。
イ
また,証拠書の保管場所である特定A貯金事務センターにおいて,
異議申立人が存在すると主張する本件貯金に係る他の証拠書も探索
させたが,存在しなかったとする諮問庁の説明に不自然,不合理な
点はなく,本件対象保有個人情報の探索範囲も不十分とは言えない。
ウ
さらに,諮問庁の説明によれば,異議申立人が本件貯金について確
5
認を申し出た複数の郵便局の記録媒体によって,特定日の取引の記録
を確認しようにも保存期間は1年であり,既に廃棄しているので,確
認できないとのことである。日々の取引記録の保存期間についての諮
問庁の説明に不自然,不合理な点はなく,当日の取引について調査回
答書以外による確認はできないものと考えられる。
エ
したがって,本件貯金に係る記録は確認できず,本件対象保有個人
情報を機構において保有しているとは認められない。
4
異議申立人のその他の主張について
異議申立人は,その他種々主張するが,いずれも当審査会の上記判断を
左右するものではない。
5
本件不開示決定の妥当性について
以上のことから,本件対象保有個人情報につき,これを保有していない
として不開示とした決定については,機構において本件対象保有個人情報
を保有しているとは認められず,妥当であると判断した。
(第5部会)
委員
戸澤和彦,委員
椿
愼美,委員
6
山田
洋