放射線診断・IVR科 放射線治療科 眼科 耳鼻咽喉科 - 福山市民病院

診療部 Information
Ophthalmology
中山 雅雄 科長
菅 達人 科長
木下 悠十 医師
大谷 佳子 視能訓練士
奥野 勇夫 視能訓練士
当科では白内障、緑内障、糖尿病網膜症
などの眼科一般疾患をはじめ、網膜剥離、
角膜異物、結膜・強膜裂傷(眼球破裂)の救
急眼科疾患にも対応しています。外来は通
常外来ならびに検査予約外来に加えて、専
門外来として緑内障外来および斜視弱視
外来を定期的に行っています。
手術症例は年々増加の一途をたどり、
2012年度は約1,700件でした。なかでも、
網膜・硝子体症例330例、緑内障症例も
110件となっています。今後も救急症例を
含め、さらにベッド数の確保・手術器材の
充実をはじめ診療体制の強化に取り組ん
でまいります。
放射線診断・IVR科
Diagnostic and Interventional Radiology
診療の特色
放射線診断・IVR科は4名の放射線科専門医(診断)が画像診断(CT、MRI、PET/CTなど)、
IVR(Intervensional radiology)について、専門性の高い診療を行っています。当院は地域
がん診療連携拠点病院で救命救急センターも併設しており、がん診療、救命救急の症例が
豊富です。院内では合同カンファレンスが盛んに行われ、当科は画像診断、IVRを通じて標
準治療、集学的治療に貢献しています。2011年度(平成23年度)から 日本放射線学会総合
修練施設(放射線診断、RI、IVR、放射線治療の全分野)
として認定され、後期研修医、放射
線科専門医の養成、修練に適しています。
診 療 部
診 療 部
眼科
診療の特色
【放射線診断】
奥村 能啓 統括科長
兵頭 剛 科長
岸 亮太郎 医長
宇賀 麻由 医長
今年度からPET/CT 1台が導入されました。PETはtime of flightなどの新技術を搭載し、
病変の詳細な描出が可能です。PET/CTのCTは64列で、CT単体としても十分な性能を認め
ます。診断用CTは320列、64列の2台を有しています。特に320列CTでは高速で詳しい画像
診 断 が 可 能 と な り 、加 えて 血 流 を 評 価 す る
perfusion,0.35secでの心臓CTも可能となっていま
す。MRIは3T(テスラ)、1.5Tの2台体制で診断の質・
1
量とも改善しています。3T MRIでは非造影MRIで血
管描出が可能な場合もあり、造影剤の使用困難な
例で期待されています。
1
核医学としては、SPECT 1台を有し、骨シンチ、心筋
シンチを行っています。
4D-CTA-Fusion
【IVR(Interventional radiology)】
0.35secScan
CT-Perfusion
1beatScan-CTCA-CPR
64列CT一体型IVR-CT(血管造影CT複合装置)
を
活用して、安全に正確なIVRを積極的に行っていま
す。中心静脈リザーバー留置、CTガイド下ドレナー
ジ、CTガイド下の針生検、動脈塞栓術、
ラジオ波治
療など実施例も豊富です。
以上、病院全体の救命救急・がん診療体制の整
備に伴い、IVR診療件数は増加を遂げ、備後地区で
有数の施設となっております。
耳鼻咽喉科
Otolaryngology
2013年4月に耳鼻咽喉科は1人増員となり5人体制となりました。
外来日は水曜日を除く月∼金曜日の午前中。
午後には頸部エコーなどの検査また治療説明を予約制で行っています。
山下 安彦 統括科長
2010年から、現在福山地区の公的病院で入院手術可能な施設は当院のみになりました。
手術症例は年間500件以上ですが、平均の手術待ちが3ヶ月以上になるため、2013年4月よ
り手術枠が増え、手術日は月曜日、水曜日、金曜日の午前・午後になっています。
内容は頭頚部悪性腫瘍から鼓膜チューブまで幅広く、
また高齢化社会に対応するため誤嚥
防止手術・嚥下改善手術も行っています。
また頸部重傷感染症や気道狭窄に対する緊急切開排膿、気管切開などの緊急症例も増
加しています。
今後も地域の基幹病院としての役割を果たしていきたいと考えています。
大上 哲生 科長
中 希久子 医長
平井 悠 医師
濵田 浩司 医師
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診療の特色
放射線治療科
Radiation Oncology
小林 満 医療技術部次長・科長
診療の特色
当院の放射線治療装置はCTが放射線治療装置と一体となった治療装置(CT-ライナッ
ク)
です。患者さまは放射線治療装置の治療台に寝たままCTが撮影できるので、通常照射
の他に定位照射をはじめとした高精度放射線治療が可能です。2012年度の放射線治療総
数は365人(426回)
でした。
このうち定位照射やIMRT、IGRTなどの高精度放射
線治療は37人でした。
脳定位照射
7人
肺定位照射
8人
前立腺IMRT
10人
その他のIGRT 12人
高精度放射線治療は熱可変型シェルにて頭部や体幹部を固定し、照射しています。前立
腺がんに対してはrod compensatorを用いての強度変調放射線治療(IMRT)で76Gy/38回
を照射しています。肝臓がん、膵臓がん、
リンパ節転移などに対しては画像誘導放射線治療
Image-Guided Radiation Therapy(IGRT)を施行しています。通常の分割照射の場合には、
放射線照射をする際には体の表面につけた基準点を基にして毎日の照射位置に合わせま
す。それに対してIGRTでは毎日の照射の度に同室のCTにて照射部位を撮影し、骨格や腫
瘍そのものに位置合わせし、照射します。皮膚の位置で位置合わせをしていたのを、骨格
または腫瘍そのもので位置合わせをすることにより、余分な範囲への照射を極力狭くする
ことができる最新の放射線治療法です。
脳や肺への定位照射や前立腺がんの根治照射その他の高精度放射線治療はもとより緩
和ケアとしての骨転移などへの放射線治療など、患者さまへの負担が少ない治療を心が
けています。
当科のもう一つの特徴は、
ウイークデイの祝祭日における照射です。土曜日、
日曜日は放
射線治療は休みですが、その他のウイークデイは祝日であっても原則的には放射線治療
をしています。
放射線治療の適応の相談も含めて放射線治療のご依頼はご遠慮なくご紹介いただきた
いと存じます。
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診療部 Information
井谷 史嗣 がん診療統括部長
Palliative Care
地域がん診療連携拠点病院にある緩和ケア科として、福山・府中二次保健医療圏および
岡山県西部の笠岡・井原地区も含めた地域に対して県東部の緩和ケア支援センター的役
割を果たすことを目指しています。
福山市民病院は2006年8月に厚生労働省より広島県における地域がん診療連携拠点病院に指定され、質の高いがん医療の提供と福山・府中二次保
健医療圏および近隣地域におけるがん診療・連携の円滑な推進を図ることを求められています。
その中でがん診療統括部は院内のがん診療を横断的
に統括する部署として2007年10月に誕生しました。
がん診療統括部とは福山市民病院におけるがん診療に関するすべてに係わり、統括する部署であり、診断から治療、患者支援など幅広い守備範囲に
対応できるよう努力しています。
16床の緩和ケア病棟(PCU)は、地域緩和ケアの集中治療室(ICU)
として2∼2.5次の緩和
ケアに責任をもちつつ、
「Think globally, Act locally(glocally)」
をモットーとして地域完結
型そして地域主導型の緩和ケアを担います。
在宅緩和ケアにおいては、在宅ケアチーム
(往診医・24時間対応訪問看護ステーション・
ケアマネージャー等)
と病院ケアチーム
(当科および主科)の連携により安心・安全な在宅
● がん診療統括部
●キャンサーボード
療養を目指しています。在宅ケアチームには全身状態の管理と緊急時の対応を担当してい
キャンサーボードとはがんに対する治療法を、医師個人レベルではなく病院全体として検討するも
ので、主治医個人の治療方針ではなく、がん診療連携拠点病院として当院における最良の治療を提供
できるよう配慮しています。消化器全般、乳腺、呼吸器に関する腫瘍ボードは毎週月曜日7時30分より
外科、乳腺外科、内科、放射線科、病理診断科の参加のもと行っています(写真)。必要に応じて泌尿器
科、婦人科とも連携をとり、病院全体としての治療方針を決定するようにしています。参加医師は年々
増加し新たなカンファレンスルームが必要なほどで、常に活発な意見交換が行われています。
ただき、病院ケアチームは腫瘍に起因する苦痛症状の緩和に責任を持ちつつ在宅ケア
チームからの要請があればバックベッドとして必ず入院をお受けすることにしています。
こ
のようにして、住み慣れたご自宅や地域で少しでも長くまた最期まで過ごしていただける
ようなサポートをしています。
そして、緩和ケアチーム
(PCT)
との協働・精神腫瘍科との協働・
「がん診療に携わる医師
に対する緩和ケア研修会」の主催・講演活動等を通じて、院内外において緩和ケアの理念
●手術
手術療法はがんに対する治療の大きな柱であり、がんによっては手術が唯一の治療法である場合もあります。手術件数は増加の一途をたどっていま
すが、がんに対する手術件数も増加傾向にあります。2012年度の手術件数は11,645件で(カテーテルなどすべて含む)、がんに対するものは1,866件でし
た。多くの場合が予定手術ではありますが、腸閉塞症状や腹膜炎の合併による緊急手術にも十分対応できるのは、救急体制のしっかりしている当院の
強みではないでしょうか。
診療の特色
診 療 部
診 療 部
がん診療統括部
緩和ケア科
古口 契児 がん診療統括部次長・統括科長
の啓蒙と普及をさらに推し進めていきたいと願っています。
●化学療法
新規抗がん剤の登場によりここ10年で化学療法は大きく変わってきています。手術や放射線治療との併用により根治も期待できる状況もあり、化学
療法の重要性は増す一方です。多くの化学療法は外来化学療法に移行していますが、2012年度の外来化学療法件数は4,174件であり、外来化学療法室
もフル稼働しています。
この春より西館に20床の「外来化学療法センター」が完成し、今後の症例数増加が期待されます。
●緩和医療
緩和医療はがん対策基本法においてもっとも重視されている項目の一つで、当院でも力を入れている分野であります。広島県でも有数の緩和ケア病
棟での診療に加えて、緩和ケアチーム(PCT)が院内において横断的に緩和ケアをサポートするシステムが整っています。
ネイチャーアクアリウム
●患者支援
緩和ケア病棟チーム
(多職種)
カンファレンス
患者支援に関する活動は、がん相談支援センターが中心となって行っていますが、2012年度の相談件数は1,171件です。医療費・生活費・社会保障制
度に関する相談が25.2%を占め、次いで多いのがホスピス・緩和ケアに関する相談で11.5%となっています。
また、
日頃感じる思いを同じ立場で語り合うことのできる
「がん患者サロン・おしゃべり会」
を月2回開催しています。他の方に話すことで気持ちが楽に
なったり、話を聞くことで疑問や不安、悩みを解消する糸口を見つけられる患者さまもいます。
●栄養管理
がん治療において栄養管理は欠かすことの出来ない分野であり、がん治療中の栄養相談に力を入れています。経口あるいは経腸栄養を持続するこ
とは、化学療法を続行する上で重要な要因であり、症例に応じてNST、栄養管理科との協力の下、食欲不振対策食の開発実施、経腸栄養の効果的実施を
検討することで、
より多くの患者さまが安全に化学療法を続けることが出来るよう配慮しています。
●がん地域連携クリティカルパス
腫瘍内科
診療の特色
Medical Oncology
された患者さまの薬物療法を担当しています。腫瘍内科は各種臓器のがん
(いわゆる固形
腫瘍内科(medical oncology)は、2008年4月よりがん化学療法を専門として、がんと診断
2011年10月から5大がんの地域連携クリティカルパスの運用を開始しました。地域連携クリティカルパスを利用することで患者さまは二人の主治医
をもつこと、看護師、薬剤師など多くの医療関係者が関わることで、異常の早期発見やきめ細かな対応が受けられます。
また治療状況や病状把握が患者
さま本人だけでなくその家族とも共有でき、
より良い医療や安心・安全な医療を受けることができます。
がんとよばれ血液腫瘍以外)
を対象として、抗がん剤の長所・短所・副作用などの特徴を十
がん診療統括部
です。
分に知ったうえで、
より安全に効果的な治療を目指しています。治療薬(抗がん剤・分子標
的薬)
・治療方法とも年々進歩を続けており、各臓器におけるがん化学療法の標準治療も
変化する過程にあるため、新しい情報を適切に判断して治療に取り入れていくことが必要
外来化学療法センター
遠藤 久之 外来化学療法室長
「外来化学療法センター」は2013年5月7日より新設された西館1階で稼働開始しています。当院の
「外来化学療法室」は2007年12月に整備され、がん化学療法を専門とする医師(がん薬物療法専門
医)
・看護師(がん化学療法看護認定看護師)
・薬剤師(がん薬物療法認定薬剤師(現在準備中))
を含
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腫瘍内科医師は現在1名です。各がん領域とも専門化が進んでいますので、各診療科の
状況に応じて化学療法の協力あるいは、腫瘍内科にて化学療法を行う連携体制です。治療
方針については内科・外科・放射線科・腫瘍内科を中心に合同カンファレンス
(キャンサー
遠藤 久之
がん診療統括部次長・科長
外来化学療法室長
がん相談支援室長
ボード)
を行い、個々の患者さまに最善と考えられる治療を検討し実践する体制もとってい
ます。
がん化学療法は生活を重視した外来化学療法への移行が進んでおり、在宅療養あるい
は仕事を継続されながら化学療法を受けられる患者さまが増えています。本年は「外来化
めたスタッフにより各診療科の外来化学療法を実施してきました。外来化学療法の件数は1ヶ月に
学療法センター」が開設され
150件程度から、最近では350件を超え当初の2倍以上となりました。当初7床のリクライニングチェア
ました。化学療法専門の医
で開始し、2011年2月から10床(内ベッド2)に拡張しましたが、今後の外来化学療法の増加に対応す
師、看護師、薬剤師を中心に
るため新しく
「外来化学療法センター」が計画されました。
スタッフがチームとして協力
明るいスペースの中で20床(リクライニングチェア14、ベッド6)にベッド数を増やし、
センター内ト
し、治療のレベルアップを図
イレ設置など環境の改善をはかり、
また診察室と無菌調剤室を併設しました。治療(化学療法)
と連続して診察、インフォームド・コンセント
(説明と同
ります。化学療法をしっかり
意)、無菌調剤と薬剤指導、相談やカウンセリングなどが行えるようになり、
よりチーム医療(医師、看護師、薬剤師ほか)
として治療だけでなく、副作用の
受けていただくためにも、患
予防、対処、生活指導を含め、外来化学療法を受けながら生活される患者さまをサポートします。
者さまの身体的・精神的な
最近は化学療法のためにも早期から緩和ケアを活用することが重要と考えられており、必要に応じて緩和ケア科、精神腫瘍科医、臨床心理士、
そのほ
苦痛を十分緩和することが
か地域医療連携室、がん相談支援センターなどにも協力を得て、患者さまを中心とした広い意味での「チーム医療」体制を目指しています。
重 要 で あり、緩 和 ケア 科・
かかりつけ医を含めて地域の医療機関にも、外来化学療法中の患者さまの診療に連携のご協力をお願いする機会が増えております。
チームとも協力しています。
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診療部 Information
Dentistry and Oral Surgery
目瀬 浩
診療部次長・科長
山本 大介
医長
倉本 桃子
歯科衛生士
安川 綾香
歯科衛生士
麻酔科・がんペインクリニック
診療の特色
当院歯科口腔外科は、
2013年4月より福山市民病院で新たに誕生した診療科です。
診療は
常勤医2名と歯科衛生士2名で行い、
地域かかりつけ歯科医などからの紹介患者さまのみ診
察を行う完全紹介制をとっています
(ただし、
救急患者さまはその限りではありません)
。
さて、口腔外科とは食べ物をかむ(咀嚼)、飲み込む(嚥下)、言葉を発する
(構音)などの
機能を維持または回復させるための専門分野です。具体的には、一般の歯科医院では対
応の難しい、口腔顎顔面外傷や口腔がん
(舌癌、上・下顎歯肉癌・口腔底癌・頬粘膜癌など)
など口腔、顎骨およびその周囲の顔面、頸部の疾患を診療対象とし、総合病院の機能を生
かして診療を行っています。
一般歯科開業医(かかりつけ歯科医)
との役割分担を明確にし、かかりつけ歯科医院で
治療可能な、虫歯・歯槽膿漏・義歯などの治療は全身疾患を有する患者さまなどを除いて、
原則行わず口腔外科的疾患のみを対象として治療を行っています。
そのため、当科への受
診に際しては、かかりつけ歯科医院の紹介状をお持ち下さい。
主な診療対象疾患
*口腔腫瘍
*口腔顎顔面外傷
*顎関節疾患
*嚢胞性疾患
*口腔粘膜疾患
*埋伏智歯などの難抜歯
*炎症性疾患
*全身疾患に対する歯科的アプローチ
*周術期(術前・術後)の口腔ケア
*歯科インプラント
(骨増生を含む)
(なお、当科では矯正治療は行っておりません)
Anesthesiology and Oncological Pain Medicine
小野 和身 中央手術部長・統括科長・集中治療室長
日高 秀邦 科長
小山 祐介 科長・広報室長
石井 賢造 科長
田中 千春 科長
田口 真也 医長
小坂 真子 医長
谷本和香奈 医師
木村 百穂 医師
山下 千明 医師
内視鏡診断・治療センター
Endoscopic Center
診 療 部
診 療 部
歯科口腔外科
診療の特色
今年度より手術室は3室増えて計10室と
なりました。当院では殊に近年、手術件数の
増加のみならず、手術内容の高度化には目
を見張るものがあります。
そのような現状に
ふさわしく当科は、
日本麻酔科学会認定の
指導医4名、専門医3名、認定医2名が常勤
するという、県東部では類をみない屈指の
布陣であり、夜間休日も常時2名の当直およ
び待機医師を配して、多発外傷や心臓血管
外科症例を含むあらゆる緊急手術に迅速
に対応できる体制をとっております。
新しく稼働した西館2階にはこのたび、集
中治療室が手術室に隣接して設けられ、そ
の管理を当科が担当することになりまし
た。大手術の術後症例ならびに、院内発生
の重症症例に対して、先進の集中治療を提
供することを通じて、当院で入院治療を受
けられる患者さまの安全の確保とさらなる
向上に寄与する所存であります。
またこの4月より
「がんペインクリニック」
の標榜を開始しました。薬物療法など従来
の手法で対処が不十分であった、比較的強
いがんの痛みに対して、主に神経ブロック
を用いて効果的な緩和をめざすとともに、
専門研修施設としての責務も果たしてまい
ります。なおスタッフ全員が麻酔科との兼任
であり、手術室での麻酔業務との調整が必
要ですので、受診にあたっては完全予約制
とさせていただきます。
診療の特色
2013年5月の新棟オープン時に旧内視鏡室から西館2階へ移転し、
「内視鏡診断・治療セ
ンター」
と改名し新たなスタートを切りました。消化器癌や肺癌の診断と治療、消化管出血
や胆管結石の緊急内視鏡など、治療的内視鏡の占める割合が多い当院内視鏡部門の特徴
を表すため、
このネーミングとさせて頂きました。
病理診断科
Pathology
旧内視鏡室に比し約2倍の広さとなり、内
視鏡ブースが5室から7室に増えました。ス
タッフも内科が1名増員となり、上下部消化管
3名(名和・藤澤・齋藤)、胆膵2名(植木・友
診療の特色
病理診断科では、当院で採取された組織生検材料、手術材料、各種の細胞診材料につい
て診断業務を行っています。
さまざまな診療科から提出される材料について標本を作成し
て病理診断を行います。
当科では5名の細胞検査士が業務しています。増加する検査依頼に対応すべく、今年の
秋にはより広い部屋に引っ越しする予定です。常勤病理医は1名です。岡山大学から3名
の非常勤医師の派遣を受けています。
田)、肺2名(髙田・三谷)
と外科医師による専
門体制となりました。さらなる画質の向上が
図られた最新の内視鏡システムを3台、
レント
ゲン室の天吊り4面モニター、2台目の超音波
内視鏡システムの導入などのハード面はか
植木 亨
内科科長
なり整って来ました。
重西 邦浩 科長
また、大腸内視鏡前処置室の拡張とトイレ
数の増加、内視鏡後の移動の安全性を考慮
したストレッチャーベッドの導入やリカバ
リールームの増床、
プライバシーに配慮した
各ブースの半個室化、待合室が廊下ではなく
センター内への設置など、患者さまのアメニ
ティも充実させました。
地域の中心となる内視鏡センターとして努
力していく所存でございますので今後とも宜
しくお願い申し上げます。
24
25
診療部 Information
Department of Rehabilitation
診療の特色
リハビリテーション科は2011年(平成23年)10月1日に専門医が着任しました。診療は各
科からの紹介のみ対応しています。
救命救急センター
救急科
Emergency Medical Center
●リハビリテーション医学
●リハビリテーション医療の対象
永続する障がいあるいはその原因となる病気、外傷がリハビリテーション医療の対象で
す。脳、脊髄、末梢神経、骨関節、筋の異常さらに呼吸、循環器、代謝・内分泌系の内臓疾患、
嚥下障がい、廃用症候群(不動による機能低下、合併症)なども含まれます。医療の拡大、医
療の進歩によってその対象は拡大されてきました。脳の可塑性や再生医学の研究成果に
伴うリハビリテーションの役割も再認識されているところです。
【診療の概要】救急科(当科)は文字通り救命救急センターに勤務している医師集団で、多
発外傷のたらいまわしが国の問題として認識され、救命救急センターが設置された経緯を
踏まえ、多発外傷に代表される各科横断的に診療を必要とし単科では対応できない症例
に対して診療を行っています。
また通常の医院、病院では、手がかかるとして診療に敬遠さ
れる熱傷、中毒も診療しています(図1)。当圏域で現在問題となっている小児救急に関し
ては、現在小児救急検討部会が立ち上がり福山府中圏域で議論されていますが解決には
至らず、小児の救急に関してはいまだ方向性が見えないままですが、当救命救急センター
でも小児を受け入れています(図2)。当科の受け入れは主に救急隊からのホットラインと
いわれる直接の搬送依頼を診ています。
これは当科が7名と医師が少なく、2名が常に病院
に泊まっているとなると月平均8ないし9回の泊りとなるためであり、通常の医院、診療所か
らの紹介はすでに医師が初期診療にタッチしており何らかの診断、方針がたっているはず
であり、診断に近い診療科に直接コールしていただくようになっています。熱傷は当初は
我々の科で植皮を行っていましたが、形成外科設置後は形成外科と協力して植皮を行って
います。中毒診療に関しても、意識障害のある場合や大量服用時は通常の病医院では対処
できないため当院で診療しています。特に一酸化炭素中毒に対しては、高気圧治療をオプ
ションとして追加して診療しています。
これら重症の救急疾患は初期治療のみでなく、集中
治療も必要であり、ホットラインで受け入れた患者をはじめ、循環器内科や整形外科で受
け入れた患者に対しても人工呼吸、PCPSを含む循環管理、経管栄養を含む栄養管理など
全身を管理する集中治療を行っており、我々救急科は重症患者の初期治療のみならず引
き続き集中治療を行うことのできる救急集中治療の専門科集団です。
●福山市民病院リハビリテーション科
藤井 俊宏 科長
救命救急センターは2003年に救急業務を開始し、2005年4月に救命救急センターの認
可を受け、2013年で9年目に入ります。
ただこの間の救急診療は決して順風満帆であったわけではありません。医師数も長く5
人から7人で診療業務を行い、やっとこの3年間で9名の医師を抱えるまでになりましたが、
この3月で2名の医師が救急科を辞職し2013年度からはまた2名減の7名の医師数に逆戻
りしました。中国地区の救急医療の現状も厳しく、大学の教授であっても耐えられずに辞職
する事例が続いており、救急診療を含め、救急に従事する医師が枯渇しており、診療自体が
できなくなりつつあるのが現状です。半面当院の救急科の医師は十分な経験を積み独り
立ちできるほどの技量を習得しています。当院の診療、特に救急診療の特色である多発外
傷や、中毒、熱傷、心肺停止症例に関して。多発外傷症例に関しては、当科がホットラインで
救急隊からの依頼を受け、外傷初療を行い、
ある症例は血管塞栓術を放射線科で行い、
あ
る症例は大動脈遮断を行いつつ根治的な手術を外科、整形外科、脳外科で行いその後周
術期を当科で管理、治療しています。
この各科連携の動的なサイクルは非常にうまく回って
いますが、
それはそのパートの人員の個々のレベルが高いためであり、
この3月で人員が変
わり当科も人が減ってきているためこの診療体制が維持されるかどうかは不透明です。 ● 救命救急センター
これまでの伝統的な医学では、病気を治癒させること、
そしてできるだけ延命をはかるこ
とが目標でした。
もちろん、
これは重要なことです。
でも、忘れられていた大切なことがあります。
それは患者さまのQOLです
(QOLはQuality
of Lifeの略で、生活の質、命の質などと訳されます)。
どんな先端治療を行っても治らない病気がたくさんあります。病気が治らないとき、
そし
て障がいが残るとき、従来は「医学の限界」
と考える傾向がありました。
しかし、
それは違い
ます。障がいに対するリハビリテーション治療を行うことによって、障がいを最小限にでき、
障がいが残っても最大限のQOLを達成することができるはずです。
このようにQOLを重視しながら障がいを治癒する医学がリハビリテーション医学です。
診療の特色
診 療 部
診 療 部
リハビリテーション科
診療部 Information
診療報酬上のリハビリテーション医療は、基本的動作能力の回復等を目的とした理学療
法、応用的動作能力や社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法、言語聴覚能力の
回復等を目的とした言語聴覚療法により構成され、いずれも実用的な日常生活における
諸活動の実現を目的として行われるものです。福山市民病院は2011年(平成23年)4月に
言語聴覚士の採用によりこの3本柱がそろいました。2013年(平成25年)4月から、理学療法
士8名・作業療法士5名・言語聴覚士2名・マッサージ師1名で急性期リハビリテーションに
取り組んでいます。
また、筋電図や嚥下造影を開始しています。今後とも、時代に対応でき
るリハビリテーションシステムを福山市民病院に確立できるよう、
スタッフ全員で努力して
いきたいと考えます。
宮庄 浩司 センター長・臨床工学科長
臨床検査科
Department of Clinical Examination
中山 雅人 科長・産婦人科長
眞鍋 明広 内科長
診療の特色
臨床検査には検体検査と生理機能検査があり、それぞれ検査技師により検査の実施と
結果報告がなされています。検査技師は迅速で正確な検査結果を返すべく日々努力して
いますが、検査精度や検査結果などに疑問を持つことも往々にして起こります。医療現場
の思いと齟齬を来すこともあり、
そこにパイプ役として診療部臨床検査科の医師が介入す
ることは医療現場と臨床検査技師の双方にとってメリットのあることです。
そのため臨床検
査科の拘わる関連した委員会での調整にも関与し、病院の安心・安全な医療をバックアッ
プしています。
また、検査項目や内容は時と共に多岐に分化し、高度化してゆきます。新しい検査手法
や検査技術が次々と生まれている現状に鑑み、
その紹介や運用調整などを行っています。
柏谷 信博 科長
米花 伸彦 科長
甲斐 憲治 医長
大熊 隆明 医長
石橋 直樹 医長
山下 貴弘 医師
図1:外傷、CPA、中毒、熱傷の受け入れ状況
図2:18歳未満小児の受け入れ状況
26
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中央手術部 Information
看護部 Information
当院中央手術部における手術件数は、2012年度は5,602件でした。
専任看護師3交代勤務に加え、麻酔科専門医師を夜間休日にも常時2名の待機を配し、
24時間365日緊急手術に対応可能な体制をとっております。
2012年度手術件数
256
9
152
245
13
2012年度全麻手術件数
73
■外科
4
2
144
■眼科
879
■形成外科
658
99
22
■呼吸器外科
4
855
■産婦人科
■耳鼻咽喉科
307
■整形外科
108
■内科
421
1782
●看護部の基本方針
1.地域と連携し、継続した質の高い看護を提供します。
2.豊かな人間性と専門性を持った看護実践ができる人材育成をします。
3.人間の尊厳と人権を尊重し、倫理的配慮に基づいた看護を行います。
4.
ワークライフバランスへの支援をします。
5.業務改善を行い、業務の効率化を図ります。
6.病院経営に参画します。
7.情報を正しく伝え、周知を行います。
■心臓血管外科
■耳鼻咽喉科
■整形外科
109
■乳腺甲状腺外科
■脳神経外科
448
■心臓血管外科
468
●看護部の理念
日々の看護を見直し、
自己を磨き、ぬくもりの届く看護をしよう
■外科
66
110
■呼吸器外科
224
看護部
●看護部からのメッセージ
福山市民病院は、最先進の医療で24時間市民の命を守り、安全・安心な医療の提供を
しています。看護部は、チーム医療の一員として、一人ひとりの患者さまと向き合い「この
病院でよかった」
と感じていただける看護を目指しています。
また、看護職一人ひとりが看護への夢を膨らませ、仕事を通じて自己実現できる、そん
な職場を目指しています。
■形成外科
■眼科
■乳腺甲状腺外科
■泌尿器科
■脳神経外科
■産婦人科
■泌尿器科
■複数科
■皮膚科
448
■複数科
180
105
237
■小児科
■小児科
■麻酔科
開院からの手術件数(年度)
看 護 部
中 央 手 術 部
中央手術部
石井 泉
看護部長
藤田 眞由美
副看護部長
小坂 奈保子
副看護部長
植田 睦常美
副看護部長・地域医療連携室副室長
中居 あゆ子
副看護部長
局麻
●2013年度看護部目標
1.知識・技術・心を磨き、一人ひとりが専門職として責任ある行動をとる。
2.看護チームが互いに協力し、魅力ある職場をつくる。
●看護体制
7:1看護
●認定看護師
11名: 集中ケア
(2)
救急看護(1)
がん化学療法看護(2)
緩和ケア
(3)
感染管理(1)
手術看護(1)
がん放射線療法看護(1)
(2013年4月1日現在)
全麻
6000
5000
件数
4000
子育て支援:院内保育所
3000
チームで育成する新人教育システム
福山市民病院ローズシステム
ローズシステム とは、
チーム全体でローズナース
(新人ナース)
を教育・支援するシステムです。
2000
看護師長
1000
●バックアップチームの構成
▲
2年
S5
S5
年
主査(教育担当者)
ローズナースの指導計画を立案し、
実施される研修の
企画・運営を中心となって行います。
サポート
ナース
サポート
ナース
リーフナース
(実地指導者)
知識・技術の指導を主に行
い、ローズナースの成長段
階に合わせて指導し、評価
を行います。
チームリーダー
リーフナースの支援を行
うとともに、ローズナース
の指導も行います。
サポート
ナース
▲
0
3
S5 年
4年
S5
5年
S5
6
S5 年
7
S5 年
8
S5 年
9年
S6
0
S6 年
1
S6 年
2
S6 年
3年
H
1年
H
2年
H
3年
H
4年
H
5年
H
6年
H
7年
H
8年
H
9年
H
10
H 年
11
H 年
12
H 年
13
H 年
14
H 年
15
H 年
16
H 年
17
H 年
18
H 年
19
H 年
20
H 年
21
H 年
22
H 年
23
H 年
24
年
副看護師長
メンバー全 員が 責 任を
持って支援できるように、
達 成 度 を評 価し 、スケ
ジュール調整を行います。
サブリーダー
チ ームリー ダ を補 佐し
ながら、2年目ナースの
支援を行います。
ローズナース
(新人)
ポスト
ナース
ポスト
ナース
(3年目)
手術室
手術室入口
中央材料室
(3年目)
2年目
ナース
ポスト
ナース
2年目
ナース
(3年目)
ローズナースの精神面の
フォローを行います。
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