わが国でのホスピスを 考える~シンガポールとNZとの

わが国でのホスピスを考える~シ
ンガポールとNZとの比較から
第一生命経済研究所
小谷みどり
死期が近いとしたら不安や心配なこと
0
10
20
30
40
病気が悪化するにつれ、痛みや苦しみがあるので
はないかということ
(%)
50.9
35.2
残された家族が精神的に立ち直れるかということ
自分のやりたいことができずじまいになること、やり
残した仕事があること
34.2
残された家族が経済的に困るのではないかというこ
と
27.9
自分が死ぬと、自分はどうなるのか、どこへ行くのか
ということ
20.7
自分の存在がこの世から忘れられてしまうのではな
いかということ
10.5
7.3
職場や周りの人が仕事や業務のことで困るのでは
ないかということ
4.9
財産がどうなるのかということ
4.8
心配や不安はない
60
56.2
家族や親友と別れなければならないこと
誰にも気づかれずに一人で死んでいくのではない
かということ
50
6.0
2003年10月 第一生命経済研究所調査
死の恐れを被説明変数とした重回帰分
析の結果(前進ステップワイズ)
病気が悪化するにつれ、痛みや苦しみがあるのではないか
自分が死ぬと、自分はどうなるのか、どこへ行くのか
残された家族が経済的に困るのではないか
残された家族が精神的に立ち直れるか
家族や親友と別れなければならない
自分の存在がこの世から忘れられてしまうのではないか
誰にも気づかれずに一人で死んでいくのではないか
自分のやりたいことができずじまいになる
F値
調整済決定係数
有効ケース数
男性
0.243
0.207
0.115
0.051
-
0.074
0.065
0.059
10.37
0.151
372
***
***
*
***
女性
0.109
0.322
-
0.143
0.188
0.074
-
-
19.60
0.200
374
*
***
**
***
***
注:図中の数字は標準偏回帰係数
2003年10月 第一生命経済研究所調査
治る見込みがなく、死が近い場合、終末
期を過ごしたい場所
全体(n=971)
23.8
男性(n=478)
55.1
33.9
女性(n=492)
48.3
14.0
0%
61.7
20%
40%
自宅で過ごしたいし、実現可能だと思う
自宅では過ごしたくない
無回答
13.2
7.8 0.1
9.4
8.4 0.0
16.8
60%
80%
7.3 0.2
100%
自宅で過ごしたいが、実現は難しいと思う
分からない
2001年11月 第一生命経済研究所調査
終末期を自宅で過ごせない、
または過ごしたくない理由(3つまで)
84.6
82.6
86.0
家族に迷惑や手間をかけるから
入院した方がきちんとした医療が受けられるか
ら
41.5
51.4
34.4
容体が急変したとき、手当てがすぐに出来ない
から
37.1
40.2
34.9
27.5
30.4
25.3
自宅は介護できる住居構造ではないから、部屋
が狭いから
往診してくれる医者や看護婦がいないから
17.9
15.2
19.9
家族は介護の経験や知識がないから
17.5
15.2
19.1
14.3
10.9
16.8
介護してくれる家族がいないから
11.5
13.4
10.1
お金がかかるから
全体(n=663)
男性(n=276)
女性(n=387)
8.1
9.1
7.5
自宅ではゆっくりと療養できないから
1.7
1.8
1.6
近所に迷惑がかかるから
3.3
1.8
4.4
その他
0
20
40
60
80
(%)
100
シンガポールのホスピス1
• 末期がん患者の7割以上が緩和ケアを受けている
• 最初のホスピスは1985年、老人ホームに併設された(13
床)。
• 施設型ホスピスでスタートしたが、現在では在宅ホスピス、
デイケア型ホスピスが充実している
☆在宅ホ
スピスケアを受けられる条件 -進行性の末期の病気
-余命が数ヶ月と診断されている
-身体な
どに障害があり、定期的な診断が必要 -紹介状がある
-在宅患者か、決まった日に在宅できる患者
-医療
スタッフが家に入れること
シンガポールのホスピス2
• デイケア型ホスピスを受けられる条件
-末期
患者で、治癒の見込みがないこと
-周りの人と順
応できること
-車いすで移動が可能なこ
と
-年齢や宗教、民族は問わない
• デイケア型ホスピスの利点
-在宅
患者の気分転換
-介護者や家族の
レスパイト
-リハビリを兼ねたアクティビ
ティ
ニュージーランドのホスピス
• 施設型ホスピスは在宅ケアの補完→病床数は少ない
• 運営は国の補助金50%と住民からの寄付金、地域の基
金50% → 患者の負担はなし
• GPを中心として、専門医とコミュニティ・ナース、オンコロ
ジー・ナース、ボランティアが連携して自宅を訪問する体
制が確立
• コミュニティ・ホスピスの拠点としての役割
-ターミナ
ルケア、症状コントロール
-GPや専門医との連
携
-在宅介護機器の貸し出し/介護
サービス/リネン サービス