成山堂通信 い。これを何とかしなければなりません。 上場企業の社長さんは1割にも満たな 国内総生産︵GDP︶が %上がる﹂と ﹁日本の女性が男性なみに就労したら、 林 米国のゴールドマン・サックス社は、 方を改める事﹂は、その後の様々な企業で 現場発想で考えて慣習でやっているやり ︱︱﹁お客様をおもてなしする。そして、 神は、行政を含めあらゆる業界で通用す 林 確かに、現場主義とおもてなしの精 ーチですね。 でも見る事ができる林市長らしいアプロ の業績好転、スーパーのダイエーの再建 いう試算も出しています。 世間話もそこそこにセールス に入る。順序が逆では? ると考えています。 ︱︱女性の持っている特性が企業の現場、 か。 あったのです。 重ねて、自動車セールスの仕事にめぐり 林 やりがいのある仕事を求めて転職を ですか? 時代に、自動車の営業をはじめられたの た。 しての部下の接し方にも触れられていまし 導いたという記載の部分では、リーダーと の支店長時代、最下位の営業店をトップに ︱︱著書も拝読してまいりました。BMW ︱︱林市長は、現在に生きていらっしゃ 経営においても生きてくると。 ︱︱では、どうして、トップセールスに上 林 リーダーとして大切なのは﹁人を褒 応力や包容力がある。まず話をきいて、 林 そこで横浜市は、女性の社会進出 り詰る事ができたのでしょう。 める習慣﹂を持つ事。部下や仲間のよい いますが、過去の経歴についてもうかが のサポートに取り 組んできました。ま 林 先輩の男性職員は、一緒に営業に回 部分を探して、褒めて、能力を発揮して そこから考 える。こうした事が様々な リーダーに欲しい﹁人を褒める ず、力を入れたのは待機児童対策です。 ってはくれませんでしたが、本を読んで もらう。男性は、割合、シャイで褒め上 いたい事が沢山ございます。まず、なぜ 童数は1552人。これは、全国ワース 営業の勉強をしました。何もわかりませ 手ではありませんね。 仕事、そして、企業の経営においてもベ ト1位。市 長就 任 後、﹁ 待 機 児 童をゼ んので、本に書かれていた﹁1日100 ︱︱最後に、もう一つよろしいでしょうか。 習慣﹂。部下をもてなす 年4月には179人。今 年の3月 末日 件のお宅を訪問する﹂という方法を素直 ご登場いただいた本紙は、2013年新春 男性しか自動車のセールスマンがいない までにゼロにしようと思っています。当 に取り入れました。その結果、1年目で 号となります。2013年の横浜市の方向 年4月段階の横浜市の保育所待機児 たり前の話ですが、少子高齢化で生産 台を売り、トップセールスになりまし ストな判断を導くのではないでしょう 出てしまいがちですね。女 性には、従 林 男性は対立、対決する姿勢が前に んな面に着眼されていますか。 事は同じです。具体的に、女性の持つど ︱︱経営者であっても、仕事をする人間 ● お が わ・のりこ● としても、男性、女性の別なく行うべき 1954年創業の成山堂書 店の設立者、会長の小川 實の娘として東京に生ま れる。87年、成山堂書店 入社。以来、経理部門を 中心に進み、2007年事業 を継承、代表取締役に就 任。 「第2創業期」の事業 を推進 。2012年8月、月 刊発行の情報紙、 『成山堂 通信』を創刊 。 「閉塞し た日本経済を元気に!!」と いう打ち出しで、「日本 再生プロジェクト」を始動 させる。現在は、「海事 図書の伝統を守り、成山 堂を世界に名を残す出版 社にする事 」を目標に 掲げ事業を運営している。 15 林文子横浜市長に聞く ﹁もはや議論の段階ではありません。 日本を元気にするには、一つでも多く ﹃女性の活躍できる職場﹄を増やす事です﹂ ﹁伝説の自動車トップセールス﹂と言われ、日本の社会に自動車文化を定着させる事 に貢献した林文子氏。その後、経営トップとして収益バランスを崩したスーパー、 ダイエーを再建させるなどして﹁企業再生請負人﹂の通称も持つ。また、2009年 には、政治の世界に入り横浜市長として地方行政を改革してきた。同氏は、今、この 日本の社会をどう俯瞰し、どうすれば元気を取り戻す事ができると考えているのだ 小川 典子 ロにする﹂と宣言しました。そして、 ﹁エクサス横浜﹂というシェアオフィス 合わない。また、起業家支援策として、 性の働き手を増やす事をしないと間に 冷たいお茶をいかがですか?﹂と入る。 められるのです。私は、 ﹁暑いですから、 すぐに世間話もなくセールスの話をはじ 林 セールスマンの多くが、お会いして きた理由はありますか。 ︱︱その他に、頂点に上り詰める事がで た。 しい。現場で働く女性に勇気を与えて欲し ルスや企業再建の経験を行政に生かして欲 目線を徹底した結果、成し得たトップセー ︱︱﹁現場主義を貫き、生活者目線、主婦 事を目標に邁進しています。 年。﹁中期4か年計画﹂を着実に果たす 林 就任から4年。今年は任期が終わる 性をお聞かせ下さい。 性人口は激減するのです。今から、女 ﹁女性が男性並みに就労すれば、 ショールームなら、 ﹁せっかくのお休みの もオープンさせました。 日本のGDPを %引き上げる﹂ 80 日本を含め、世界的に経済が低迷してい うテーマを掲げて創刊しました。現在、 ︱︱成山堂通信は、 ﹁日本を元気に﹂とい です﹂と進言しています。 している場合ではなく、実行に移す段階 再生に向けた不可欠な課題です。議論を ますが、 ﹁女性の活躍、社会進出は経済 会議の議員も務めさせていただいており です。首相をトップとする男女共同参画 うした事を謳ったのは初めてだというの いう政策も掲げました。横浜市政で、こ では、﹁女性の力で市民力を高める﹂と くりたい。横浜市の﹁中期4か年計画﹂ 林 要するに、働く女性のキャリアをつ 実施してくれるとよいですね。 のお帰りは遅いのですか?﹂といった雑 もらえるようになる。そして、﹁ご主人 でも飲んでいきなさい﹂とお家に上げて 何度も通っているうちに﹁ちょっとお茶 ます﹂と言われてしまいます。しかし、 と申し上げても、大抵は、﹁間に合って 林 飛び込み訪問で﹁お車どうですか﹂ して人間関係を作る。 ︱︱モノを売るというより、まずは話を 関心を話題にしました。 の話にいかず、お客様の生活や個人的な うございます﹂と。そして、すぐに商品 日にわざわざご来店いただいてありがと の都合で抜粋版を掲載しております。完 ︵敬称略。文責・本紙特別取材班。紙幅 川社長を私も応援しています。 として会社を盛り立てようとしている小 志を継いだ2代目、そして、女性経営者 林 ありがとうございます。創業者の意 拝見させていただきます。 市政に浸透し、状況を変革するか最後まで た﹁おもてなしの発想﹂が、どこまで横浜の すが、林市長が経済人として一貫させてき すでに沢山の成果を上げていらっしゃいま もりで市長選に出馬したと聞いています。 い﹂という声を受けて社会への恩返しのつ ︱︱横浜のような都市が、こうした施策を ます。こうした中で、日本を元気にして 成版は弊社サイトをご参照下さい︶ くのです。 談をするようになり人間関係ができてい えなければならない。 ︱︱社会全体が、男性の働き方を含めて考 考えられますか。 東京都生まれ。東京都立青山高 等学校を経て東洋レーヨン(現: 東レ)、松下電器産業、立石電機 (現:オムロン)に勤務。77年ホ ンダの販売店に入社。87年ビー ・エム・ダブリュー東京に入社。 93年新宿支店長。99年 ファーレ ン東京(現:フォルクスワーゲン 東 京 )代 表 取 締 役 社 長 就 任 。 2003年ビー・エム・ダブリュー 東京代表取締役社長就任。05年 4月、ダイエー顧問就任。同年5月、 同社代表取締役会長兼最高経営 責任者(CEO)に就任。06年 CEO を退任し代表取締役会長職に専 念。07年取締役副会長に就任。 08年取締役副会長を退任。同年 日産自動車執行役員就任。同年 東京日産自動車販売代表取締役 社長に就任。09年東京日産自動 車販売を退職。同年8月横浜市長 に当選。政令市市長としては史 上2人目の女性市長に。主著に、 『失礼ながら、その売り方ではモノ は売れません』(亜紀書房)、『一生 懸命って素敵なこと』(草思社)。 ●はやし・ふみこ●1 9 4 6 年 林文子︵以下、林︶ 今 、性 別 、年 齢 、 国籍を超えて多様な人材を生かすダイ バシティーの時 代と言われます。どう でしょう 。日本の社 会には、まだその 多様性が足りないのではないでしょうか。 この社会に元気を取り戻す最大のヒン トは、女性の活躍の場をつくる事だと 思います。日本の女性の国会議員の比 率は %。経済界にしてもそうです。 横浜市長 林 文子 いくためには、どのようにしたらよいと 15 新年号 Vol.5 女性の従応力や包容力が 企業をベストな判断に導く ろう。本紙編集発行人・小川典子がきいた。 女性経営者を集 めたシンポジュウ ムでのショット。 作詞家の秋元康 さん(左)との共 通項は、慣習にと らわれずお客 様 目線 で 正しいと 思う事を断 行 す る所であろうか。 成山堂書店 代表取締役社長・ 『成山堂通信』 編集発行人・ 24 22 ! ! 10 平成25(2013)年 1月号 Seizando Press 「成山堂通信」vol.5 新年号 [TAKE FREE] 成山堂書店の本 日本再生 閉塞した日本の社会を元気に!! 成山堂書店 代表取締役・小川典子 「こんな事でよいものか」。ずっと疑問を感じてきました。閉塞した日本の社会、 この社会を元気にしたい。それには、まず、少しでも沢山の「成功のロール・モデル」を 提示する事が大切です。小社では、袋小路の日本社会でも成果を上げている元気のよい企業の 経営者の声を集め、読者の皆さまに届けます。日本再生プロジェクトの始動です。 http://www.seizando.co.jp/ ※本紙の記事の著作権は、すべて成山堂書店に帰属いたします。一切の複製、複写、転載、引用を禁止いたします。
© Copyright 2024 ExpyDoc