Software for Enjoying Fine Arts on the Internet: Art Gallery

芸術鑑賞サポートソフト:Art Gallery
Software for Enjoying Fine Arts on the Internet: Art Gallery
河野 みなみ
Minami Kono
法政大学情報科学部ディジタルメディア学科
E-mail: [email protected]
Abstract
This software is designed to allow any person
interested in fine art to enjoy it on the Internet. The
special features are that it facilitates an easy retrieval of
graphics and information on artists and their art works
and that it enables the administrator to create quizzes and
the user to take them so that they can increase knowledge
about fine arts including artists and paintings.
The current software employs Java technology,
Tomcat, and PostgreSQL, and it is therefore portable to
any OS with ease.
As the present software displays many pictures of
artists and paintings, a special attention was paid to the
design of the background including the arrangement that
it is basically white so that the user can concentrate on
the images of artists and art works created by the pictures.
1. まえがき
近年の世の中では,様々なものがデジタル化されてい
る.それは音楽や映画に留まることなく,漫画や小説ま
でもが携帯で読めてしまう時代になってしまった.そし
て,現代の美術館にもその波は来ているのである.それ
がニンテンドーDS やワンセグ対応携帯電話を利用した美
術館ガイドである[1].従来の美術館で使われていたヘッ
ドホンによる音声の美術館案内とは違い,画面に映し出
された絵画の説明を本物のそれを目の前にしてみること
ができるのである.
しかし,そこで私自身が違和感を覚えたのが,図1-
1のようにニンテンドーDS を持ち歩いて美術館にいる人
たちがほとんど本物の作品ではなく,ニンテンドーDS の
画面を見ていたことだ.本物の絵を見たいという気持ち
ももちろんあるのだろうが,その絵の情報を知りたいと
いう気持ちもそれと同様に,美術館来訪者にはあるので
はないだろうか.
そこで,知りたい情報を自宅でゆっくり見ることがで
きる,今回のこのソフトウェアの開発を思いついたので
ある.
2. 本ソフトウェアの構成と使用方法
Supervisor: Prof. Yukiko Sasaki Alam
本ソフトウェアの構成は図 1 のようになっている.ま
ず,一般ユーザは美術鑑賞ができる「検索」と美術に関
する「クイズ」の画面を選択することができる.検索に
は,「人名検索」と「作品検索」があり,キーワードを
入力すれば,それに該当する候補の一覧が表示される.
その中からユーザが選んだ候補を選択すると,さらに詳
しい情報を見ることができるようになっている.また,
クイズ画面では,管理人が登録したクイズがランダムで
表示されるようになっている.
次に,管理人は管理人名とパスワードを入力してロ
グインする.ログインすることによって新たに追加され
る機能は,「管理人追加」と「クイズ制作」の2つであ
る.ログインをすると,まずトップ画面に「管理人追
加」の項目が新たに表示される.そこで,新しい管理人
を追加することが可能になっている.また,一般ユーザ
同様に作品の検索をし,作品詳細の画面に移ると,ログ
イン時のみ「クイズ制作」の項目が追加され,新しいク
イズを追加することができる.
本章では,この美術鑑賞サポートソフトのそれぞれ
の機能について説明する.
図1
『Art Gallery』の全体機能遷移図
2.1.トップページ
図 2 にあるトップページでは,一般ユーザは,美術鑑
賞と美術クイズの2つを選択することができる.また,
管理人はトップページで管理人名とパスワードを入力し
てログインができるようになっている.
図2
トップページ
2.2.美術鑑賞
図 3 のように美術鑑賞では,人名検索と作品検索がで
きる.何かキーワードを入力すると,データベースに登
録されている人名や作品に一致するものが一覧で表示さ
れるようになっている.また,何も入力しない状態で人
名検索や作品検索のボタンを押すと,データベースに登
録されている作者,作品が全て表示されるようになって
いる.
それらの機能について詳しく説明していく.
図4
作者詳細画面
2.4.作品検索
人名検索と同様に,キーワードを入力すると,キーワ
ードに一致する候補が検索結果の画面に表示されるよう
になっている.そして,出てきた候補を選択すると,そ
の人物の詳細画面である図 5 に移行する.この作品詳細
画面の左側には,その作者の作品が一覧になって表示さ
れるようになっていて,他の作品の詳細も見ることがで
きるようになっている.また,作品詳細画面からは,作
者詳細の画面に移動することができる.
図3
検索画面
2.3.人名検索
検索画面でキーワードを入力すると,キーワードに一
致する候補が検索結果の画面に表示されるようになって
いる.そして,出てきた候補を選択すると,その人物の
詳細画面である図 4 に移行する.また,作者詳細画面か
らは,作品詳細の画面に移動することができる.
図5
作品詳細画面
2.5.美術クイズ
美術クイズでは,管理人が登録したクイズがランダム
に表示され,それを一般ユーザが解くことができる.ク
イズは 4 択問題になっていて,図 6 のように答えを選択
し,解答ボタンを押すと,クイズ解答画面に移行する.
正解すれば,正解と表示され,ユーザが間違った解答を
選択すると,不正解と表示されるようになっている.ま
た,そのクイズに対する解説が表示されるようになって
いる.
そして,「次へ」のボタンを押すと,次の問題がラン
ダムに表示されるようになっている.
図6
クイズ出題画面
2.6.ログイン
本サイトには,管理人の名前とパスワードをトップ画
面で入力することにより,管理人のみが扱うことができ
るクイズ制作や管理人追加の機能が新たに加わることに
なる.まず,トップ画面で管理人名とパスワードを入力
する.もし,ここで管理人名やパスワードを入力しない
状態でログインボタンを押すと,エラーメッセージが表
示されるようになっている.
そして,正しい管理人名とパスワードを入力して,
ログインボタンを押すと,トップ画面に「ただ今ログイ
ン中」と表示されるようになっている.
2.7.管理人追加
管理人の追加を行いたい時に,ログインしたあとに
「管理人追加」の項目を選択すると,管理人追加画面に
移動することができる.ここで,新しく登録したい管理
人名とパスワードを入力すると,新しい管理人がデータ
ベースに登録されることになる.また,ここでもログイ
ン時と同様に,管理人名やパスワードを入力せずに登録
ボタンを押すと,エラーメッセージが表示されるように
なっている.さらに,すでに登録してある管理人名で登
録しようとすると,「○はすでに存在する管理人で
す.」というエラーメッセージが表示される.
そして,新しい管理人の追加が完了すると,「○の管
理人登録が完了しました.」と表示される.
2.8.クイズ追加
管理人としてログインした後のもう一つの機能として
追加されるのがこのクイズ追加である.一般ユーザ同様
に作品検索を行い,作品詳細画面に移動すると,「クイ
ズ追加」という項目が増えている.
この「クイズ追加」を選択すると,図 7 のようにクイ
ズを制作することができる.
図7
クイズ追加画面
図 7 の GUI のそれぞれの意味は以下の通りである.
問題……新しく追加したいクイズの問題内容をここに
記述する.(図 7①)
正解……正解番号をラジオボタンで決定する.(図 7
②)
解答……ラジオボタンで選んだ正解の番号のところに
正解内容を,それ以外には間違いの内容を記
述する.(図 7③)
解説……解説を入れたい時は,ここに記述する.(図
7④)
作品……ここで表示されている作品が,クイズ追加時
に以上のデータ同様にデータベースに登録さ
れる.(図 7⑤)
また,図 7 の画面で管理人が新しいクイズの記述をし,
決定ボタンを押した時に記入漏れがあった場合,どこが
記入漏れしているかわかるようなエラーメッセージが表
示されるようになっている.そして,記入漏れがない状
態で決定ボタンを押せば,クイズ追加の完了画面へと移
動する.ここでは,クイズ追加画面で選んだ正解番号が
赤い丸で示される.
ここで追加したクイズは,一般ユーザが美術クイズを
選択した時に,他の問題と同様にランダムで出題される
ようになっている.そして,追加されたクイズはデータ
ベースに追加される.
3. 開発環境,動作環境
本ソフトウェアを開発した環境を以下の表に示す.
表 エラー! 指定したスタイルは使われていません。-1
開発環境
OS
WindowsXP
Eclipse 3.4.1
使用 IDE
サーブレット
Apache Tomcat 6.0
データベースサーバ
PostgreSQL 1.8.4
表示部
XML+XSL Transration
言語
Java,XML,SQL,Java Script
次に,本ソフトウェアの確認済み動作環境を以下の表
に示す.
表 エラー! 指定したスタイルは使われていません。-2
動作環境
OS
Red Hat Linux release 7.2
j2sdk1.4.2_10
Java 環境
jakarta-tomcat-4.1.31
サーバ
ブラウザ
Internet Explorer6.0
4. 評価
本ソフトウェアを実際に使用してもらい,その際にア
ンケートを実施した.その結果を以下に示す.
良い点
・簡単な操作で説明が少なくてもできる
・芸術に興味が持てそう
・デザインが良い
悪い点
・問題のパターンが少ない
・データ量が少ない
・字が小さい
5.今後の課題
本ソフトウェアは,データが非常に少なくソフトとし
て内容が希薄である.しかも,ブラウザ上で追加できる
データがクイズのみで,作者や作品のデータを増やして
いくことができない.そして,作品等のデータ追加が一
般ユーザからもできるようにすることが望ましい.
また,美術クイズもランダムで際限なく問題に挑戦出
来るが,成績発表画面や問題のジャンル選択などができ
る工夫が必要である.
検索についても,国別,時代別により細かいジャンル
分けができるようにできたら,より充実した内容になっ
た.
6.結論
本抄録では,美術,芸術に興味を持つ全てのユーザを
対象として開発したソフトウェア『Art Gallery』の機能,
使い方,プログラムの説明,及び評価について述べた.
本ソフトウェアを開発する上で気をつけたことは,次
の2つである.
まず1つ目は,芸術作品の鑑賞及びそれについての情
報の提供を目的としているので,ユーザにとって芸術鑑
賞をしやすい環境になるようなデザインにした.
2つ目はユーザにとって知りたい情報を的確かつわか
りやすく伝えることである.
以上の2点に気をつけながら開発してきたので,「簡
単な操作で説明が少なくてもできる」,特に「見やす
い」「デザインが良い」などの評価を得ることができた.
参考文献・URL
[1] 国立西洋美術館,ニンテンドーDS やワンセグ携帯
を利用したトライアル
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/15977.html
[2] 宮下徹雄,XML 入門,松尾泰(編),SCC 出版局,
(社)株式会社エスシーシー(SCC),東京,2006.
[3] (株)アンク,ホームページ辞典第3版,速水浩二
(編),(社)株式会社翔泳社,2002
[4] (著書,編書の場合) 著者名,書名,編者名,発行所,
発行都市名,発行年.
[5] (著書,編書例 1) 山田太郎,移動通信,木村次郎
(編),pp.21-41,(社)電子情報通信学会,東京,
1989.
[6] (著書,編書例 2) H. Tong, Nonlinear Time Series: A
Dynamical System Approach, J. B. Elsner, ed., Oxford
University Press, Oxford, 1990.
[7] (著書の一部を引用する場合) 著者名,“標題,”書名,
編者名,章番号または pp.を付けて始め-終りのペ
ージ,発行所,発行都市名,発行年.
[8] (著書の一部引用例 1) 山田太郎,“周波数の有効利
用,”移動通信,木村次郎(編),pp.21-41,(社)
電子情報通信学会,1989.
[9] (著書の一部引用例 2) H. K. Hartline, A. B. Smith, and F.
Ratlliff, “Inhibitory interaction in the retina,” in
Handbook of Sensory Physiology, ed. M. G. F. Fuortes,
pp.381-390, Springer-Verlag, Berlin.