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小児耳 30(3): 308
320, 2009
原
著
小児上気道感染症患児の鼻咽腔から検出された
インフルエンザ菌の薬剤耐性の変化
宇
野
芳
史
(宇野耳鼻咽喉科クリニック)
2003年から 2007 年に当院を受診した小児上気道感染症患児の鼻咽腔から検出された Haemophilus in‰uenzae 5297株を対象に薬剤感受性および耐性率について検討を行った。 H. in‰uenzae の Ampicillin に対する薬剤感受性の変化は,いずれの年度も 2 峰性のピークを示し
ていたが,ピークの位置は各年度で異なっていた。耐性率では BLNAS,
low
BLNAR,
BLNAR, BLPAR 毎の割合で検討してみると,2003年には,BLNAS の割合が約55であっ
たものが, 2005年以降は 70 を超えるところまで回復,特に 2006年には 85近くにまで回
復していた。ただ, 2007 年にはそれまでの年度と比べ BLPAR の割合が 10 を超えるとこ
ろまで増加していた。また,逆に low BLNAR と BLNAR を加えた割合は 2004 年には 45 
を超えるところまで増加していたが, 2007年には 10前後にまで減少していた。 PBP 遺伝
子の変異について検討を行うと,2003年のみいずれの遺伝子も変異していない株が最も多く
認められたが,その後の年度は pbp31, 2 の両 PBP 遺伝子とも変異している株が最も多く
認められた。また,TEM 型遺伝子の出現と pbp31, 2 の両 PBP 遺伝子の変異が認められた
株は年度を追う毎に増加していた。耐性率を gBLNAS, glow BLNAR, gBLNAR, gBLPAR,
glow BLPACR, gBLPACR 毎の割合で検討してみると,gBLNAS と glow BLNAR の割合は
徐々に低下しており,逆に gBLNAR の割合は2003年から2007年にかけて倍近く増加してい
た。TEM 型遺伝子を持つ gBLPAR, glow BLPACR, gBLPACR を合わせた割合は2007年に
は2003年の約 2 倍以上に増加していた。しかし,薬剤感受性による耐性率の分類と遺伝子変
異による耐性率の分類との間に乖離があり,今後検討を要するものと考えられた。
キーワード小児上気道感染症,インフルエンザ菌,薬剤感受性,耐性遺伝子,耐性率の変化
して,耳鼻咽喉科領域では急性中耳炎,急性鼻
はじめに
副鼻腔炎,小児科領域では,急性気管支炎,肺
Haemophilus in‰uenzae は,小児の鼻咽腔に
炎,あるいは髄膜炎等の起炎菌となる。従来
おける常在菌の一つであると同時に Streptococ-
H. in‰uenzae の耐性機構は,bラクタマーゼ産
cus pneumoniae お よ び Moraxella catarrhalis と
生によるものであったが,近年それとは異なる
共に,上気道感染症の 3 大起炎菌の一つであ
耐性機構であるペニシリン結合蛋白(PBP)の
り,ウイルス感染等の様々な要因をきっかけと
変異による b ラクタマーゼ非産生 ampicillin
宇野耳鼻咽喉科クリニック(〒7011153
( 308 )
岡山県岡山市北区富原37024)
― 122 ―
小児上気道感染症患児の鼻咽腔から検出されたインフルエンザ菌の薬剤耐性の変化
耐性 H. in‰uenzae ( blactamase negative am-
表
各年度検体数
picillin-resistant H. in‰uenzae以下 BLNAR)
2003 2004 2005 2006 2007
の分離検出頻度の増加が報告されている。
上気道感染症,特に小児急性中耳炎において
小児耳 30(3), 2009
3 歳未満
416
731
698
628
598
H. in‰uenzae 3 歳以上
196
357
447
555
671
は , 以 前 よ り penicillin 耐 性 S. pneumoniae
合
計
612 1088 1145 1183 1269
(以下 PRSP )による難治化・反復化がいわれ
ており1) ,当院でも S. pneumoniae の耐性率の
増加及びそれによる小児急性中耳炎の難治化,
反復化の報告をしてきた2) 。しかし近年
方法
H. in-
栄研のシードスワブ 2 号を用い鼻咽腔から検
‰uenzae の耐性率の増加に伴い,小児上気道感
体を採取した後,分離培養は血液寒天培地ある
染症,特に急性中耳炎の難治化・反復化が生
いはチョコレート寒天培地を用い35°
C 5炭酸
じ,初期治療に失敗したり治療に難渋したりす
ガス培養を 2 日間行った。薬剤感受性について
る症例が増加している3)。
はマイクロスキャン Walk Away 全自動細菌検
そのような状況に対し,我が国では,成人の
査 シ ス テ ム を 用 い , 培 地 は MICroFAST シ
呼吸器感染症4,5),小児の上気道感染症6),ある
リーズの LHB ブロス( B1015 26 )ヘモフィ
いは耳鼻咽喉科領域では,小児の急性中耳炎診
ルス用を用いて行った。H. in‰uenzae の薬剤耐
療ガイドライン7)が作成・公表され,現在臨床
性の判定はアメリカ臨床検査標準委員会
の場で使用されその検証が行われている。また
(Clinical and Laboratory Standards Institute
抗菌薬使用のガイドライン8)も作成され,抗菌
以下 CLSI)の2007度版9)に従い,bラクタマー
薬が適正使用に使用されるようその指針が示さ
ゼを産生せず ampicillin (以下 ABPC )に対す
れている。
る MIC が 1.0 mg / ml 以 下 の も の を b ラ ク タ
今回当院で治療を行った小児上気道感染症患
マーゼ非産生 ampicillin 感受性 H. in‰uenzae ( b
児(急性中耳炎,急性鼻副鼻腔炎)の鼻咽腔か
lactamase negative ampicillin-susceptible H.
ら検出された H. in‰uenzae の薬剤耐性の変化
in‰uenzae 以 下 BLNAS ), 2.0 mg / ml のも の
について検討を行ったので報告する。
を b ラクタマーゼ非産生 ampicillin 中等度耐
性 H. in‰uenzae ( blactamase negative ampicil-
対象と方法
lin-intermediate resistant H. in‰uenzae以下
対象
low-BLNAR),4.0 mg/ml 以上のものを bラク
対象は, 2003 年 6 月から 2007 年 12 月の間に
タマーゼ非産生 ampicillin 耐性 H. in‰uenzae ( b
当院を受診した 15 歳未満の急性中耳炎,急性
lactamase negative ampicillin-resistant H. in-
鼻・副鼻腔炎症例の鼻咽腔から検出された H.
‰uenzae 以下 BLNAR )とした。また, b ラ
in‰uenzae 5297株である。今回は年度ごとにも
クタマーゼ産生株を bラクタマーゼ産生 H. in-
検討すると同時に,各ガイドライン48) が発刊
‰uenzae
された前後における薬剤感受性及び耐性率の変
resistant H. in‰uenzae以下 BLPAR),bラク
化についても検討した。全症例,抗菌薬投与前
タマーゼを産生し,かつクラブラン酸に対して
に検体を採取し,1 度のエピソードで 1 検体を
耐性を示す H. in‰uenzae を b ラクタマーゼ産
検討の対象とした。また今回の検討では検体を
生 ampicillin-clavulanate 耐性 H. in‰uenzae ( b
採取する前 1 カ月以内に抗菌薬の投与を受けた
lactamase
症例は今回の検討から除いた。その各年度の検
resistant H. in‰uenzae以下 BLPACR)とし
体数の内訳を表に示す。
た。
( b lactamase
positive
positive
ampicillin-
ampicillin-clavulanate
PBP 遺伝子の変異および bラクタマーゼ産
― 123 ―
( 309 )
小児耳 30(3), 2009
宇野芳史
図
H. in‰uenzae の ABPC に対する薬剤感受性(症例全体)
生をしめす TEM 型遺伝子の検出は PCR 法を
結
用いて行い, PBP 遺伝子の変異を認めずかつ
TEM 型 遺 伝 子 を 認 め な い 場 合 を gBLNAS,
1)
果
ABPC に対する H. in‰uenzae の感受性 3
PBP 遺伝子のうち pbp3 1 あるいは pbp32 遺
歳未満児と 3 歳以上児の比較
伝子のいずれかの変異を認めかつ TEM 型遺伝
ABPC の H. in‰uenzae に 対 す る 感 受 性 の 変
子を認め ない場合を glow BLNAR, PBP 遺伝
化は,各年度により異なり,2003年では0.5 mg
子のうち pbp3 1 と pbp3 2 遺伝子の両方の変
/ ml と 2.0 mg / ml にピークをもつ 2 峰性の分布
異を認めかつ TEM 型遺伝子を認めない場合を
を,2004年では0.25 mg/ml と2.0 mg/ml にピー
gBLNAR, TEM 型遺伝子のみを認める場合を
クをもつ 2 峰性の分布を,2005年では0.25 mg/
BLPAR, TEM 型遺伝子を認めかつ PBP 遺伝
ml と1.0 mg/ml にピークをもつ 2 峰性の分布を,
子のうち pbp3 1 あるいは pbp3 2 遺伝子のい
2006 年では 0.5 mg / ml から 1.0 mg / ml と 4.0 mg /
ずれかの変異を認める場合を glow BLPACR,
ml 超にピークをもつ 2 峰性の分布を, 2007 年
TEM 型 遺 伝 子 を 認 め か つ pbp3 1 と pbp3 2
では1.0 mg/ml と4.0 mg/ml 超にピークをもつ 2
遺伝子の両方の変異を認める場合を gBLPACR
峰性の分布を示していた(図 1 )。これを 3 歳
とした10)。
未満の症例と 3 歳以上の症例から検出された
H. in‰uenzae に分けて検討してもほぼ同様の分
今回の検討項目は,
1)
ABPC に対する H. in‰uenzae の感受性 3
歳未満児と 3 歳以上児の比較
2)
1.0 mg / ml にピークをもつ 1 峰性の分布を示し
H. in‰uenzae の耐性率の変化 3 歳未満児
と 3 歳以上児の比較
3)
である。
ており, 3 歳以上の症例では 2003 年で 0.5 mg /
ml と4.0 mg/ml にピークをもつ 2 峰性の分布を,
H. in‰uenzae の耐性遺伝子の変化 3 歳未
満児と 3 歳以上児の比較
布を示したが, 3 歳未満の症例では 2007 年で
2007 年に 0.25 mg / ml と 1.0 mg / ml と 4.0 mg / ml
超にピークをもつ 3 峰性の分布を示していた
(図 2, 3)。
2)
H. in‰uenzae の耐性率の変化 3 歳未満児
と 3 歳以上児の比較
H. in‰uenzae の ABPC に 対 す る 耐 性 率 を 検
( 310 )
― 124 ―
小児上気道感染症患児の鼻咽腔から検出されたインフルエンザ菌の薬剤耐性の変化
図
H. in‰uenzae の ABPC に対する薬剤感受性(3 歳未満児の症例)
図
H. in‰uenzae の ABPC に対する薬剤感受性(3 歳以上児の症例)
小児耳 30(3), 2009
討するために BLNAS, low BLNAR, BLNAR,
いた(図 4 )。これは 3 歳未満の症例から検出
BLPAR, BLPACR 毎の割合で検討してみると,
された H. in‰uenzae と 3 歳以上の症例から検
2003 年には BLNAS の割合が 50 を越えてい
出された H. in‰uenzae に分けて検討してもほ
たものが, 2004 年には 47 台にまで低下して
ぼ同様の傾向が認められた(図 5, 6)。
いたが,その後は 2005 年から 2007 年までは 70
3)
H. in‰uenzae の耐性遺伝子の変化 3 歳未
を超えるところまで増加していた。一方 low
満児と 3 歳以上児の比較
BLNAR と BLNAR を 加 え た 割 合 は , 2003 年
PBP 遺伝子の変異について検討を行うと,
には 40 近くあり, 2004 年には 45 を超える
2003 年のみいずれの PBP 遺伝子の変異も検出
ところまで増加していたが, 2006 年以降は 10
されない株が最も多く認められ, 2004 年から
前後にまで減少していた。しかし, b ラク
2007 年までの各年度では pbp3 1, 2 の両 PBP
タマーゼ産生株は2003年には約 5であったも
遺伝子が変異している株が最も多く認められ
のが 2007 年には約 12 にまで 2 倍に増加して
た。また,pbp31 の PBP 遺伝子のみ変異して
― 125 ―
( 311 )
小児耳 30(3), 2009
宇野芳史
図
( 312 )
H. in‰uenzae の薬剤感受性による ABPC に対する耐性率(症例全体)
図
H. in‰uenzae の薬剤感受性による ABPC に対する耐性率(3 歳未満児の症例)
図
H. in‰uenzae の薬剤感受性による ABPC に対する耐性率(3 歳以上児の症例)
― 126 ―
小児上気道感染症患児の鼻咽腔から検出されたインフルエンザ菌の薬剤耐性の変化
図
図
小児耳 30(3), 2009
H. in‰uenzae の PBP 遺伝子変異(症例全体)
H. in‰uenzae の PBP 遺伝子変異(3 歳未満児の症例)
いる株は, 2003 年に約 20 認められたが,年
( 図 8, 9 )。 以 上 の 結 果 を gBLNAS,
glow
度を追うに従い徐々に減少し 2007 年には 10 
BNLAR, gBLNAR, gBLPAR, glow BLPACR,
に満たない検出率であった。同様の傾向はいず
gBLPACR 毎の割合で検討してみると, 2003
れの PBP 遺伝子の変異も検出されない株でも
年には gBLNAS の割合が 40 以上認められた
みとめられ年度を追うに従い減少していた。一
が,その割合は徐々に減少し 2007 年には 24 
方, pbp3 1, 2 の両 PBP 遺伝子が変異してい
を 切 る と こ ろ ま で 低 下 し て い た 。 ま た glow
る株および検出率はわずかであったが, TEM
BNLAR も同様の傾向があり, 2003 年には 20
型遺伝子と pbp3 1, 2 の両 PBP 遺伝子の変異
以上認められたが, 2007 年には 12 近くに
いずれもが認められた株は年度を追うに従い徐
まで減少していた。逆に gBLNAR は,2003年
々に増加していた(図 7 )。この傾向は, 3 歳
にはその検出割合が30以下であったものが,
未 満 の 症 例 か ら 検 出 さ れ た H. in‰uenzae と 3
2007 年には 50 を超える検出率を示した。ま
歳以上の症例から検出された H. in‰uenzae に
た , TEM 型 遺 伝 子 を 持 つ gBLPAR,
分けて検討してみても同様の傾向が認められた
BLPACR, gBLPACR の検出率は高くなかった
― 127 ―
glow
( 313 )
小児耳 30(3), 2009
宇野芳史
図
H. in‰uenzae の PBP 遺伝子変異(3 歳以上児の症例)
いる株は, 2003 年に約 20 認められたが,年
たものが, 2007 年には 10 を超える検出率を
度を追うに従い徐々に減少し 2007 年には 10 
示した(図 10 )。これらの傾向は, 3 歳未満か
に満たない検出率であった。同様の傾向はいず
ら検出された H. in‰uenzae と 3 歳以上から検
れの PBP 遺伝子の変異も検出されない株でも
出された H. in‰uenzae に分けて検討してもほ
みとめられ年度を追うに従い減少していた。一
ぼ同様であった(図11, 12)。
方, pbp3 1, 2 の両 PBP 遺伝子が変異してい
考
る株および検出率はわずかであったが, TEM
察
型遺伝子と pbp3 1, 2 の両 PBP 遺伝子の変異
H. in‰uenzae は小児においては鼻咽腔に常在
いずれもが認められた株は年度を追うに従い徐
細菌叢を形成し常在菌として存在すると同時に
々に増加していた(図 7 )。この傾向は, 3 歳
様々な上気道感染症あるいは細菌性髄膜炎,肺
未 満 の 症 例 か ら 検 出 さ れ た H. in‰uenzae と 3
炎,敗血症等の全身感染症の起炎菌となり,特
歳以上の症例から検出された H. in‰uenzae に
に耳鼻咽喉科領域では急性中耳炎,急性鼻副鼻
分けて検討してみても同様の傾向が認められた
腔炎の主な起炎菌となっている。従来 H. in-
( 図 8, 9 )。 以 上 の 結 果 を gBLNAS,
glow
‰uenzae の耐性機構は bラクタマーゼ産生によ
BNLAR, gBLNAR, gBLPAR, glow BLPACR,
るものであったが,近年それとは異なる耐性機
gBLPACR 毎の割合で検討してみると, 2003
構であるペニシリン結合蛋白(PBP)の変異に
年には gBLNAS の割合が 40 以上認められた
よる b ラクタマーゼ非産生 ampicillin 耐性 H.
が,その割合は徐々に減少し 2007 年には 24 
in‰uenzae ( blactamase negative ampicillin-
を 切 る と こ ろ ま で 低 下 し て い た 。 ま た glow
resistant H. in‰uenzae以下 BLNAR)の分離
BNLAR も同様の傾向があり, 2003 年には 20
検出頻度が増加している11)。またそれに伴い,
以上認められたが, 2007 年には 12 近くに
耳鼻咽喉科領域の感染症では,小児急性中耳
まで減少していた。逆に gBLNAR は,2003年
炎,急性鼻副鼻腔炎の難治化・反復化の報告が
にはその検出割合が30以下であったものが,
増加している。 1990 年代までは,このような
2007 年には 50 を超える検出率を示した。ま
難治性・反復性の感染症の起炎菌としては S.
た , TEM 型 遺 伝 子 を 持 つ gBLPAR,
glow
pneumoniae の耐性菌である PRSP が数多く報
BLPACR, gBLPACR の検出率は高くなかった
告されてきたが1,2) ,その後 H. in‰uenzae の耐
ものの,2003年には合わせて 5に満たなかっ
性菌である BLNAR を起炎菌とする小児の難
( 314 )
― 128 ―
小児上気道感染症患児の鼻咽腔から検出されたインフルエンザ菌の薬剤耐性の変化
小児耳 30(3), 2009
図 H. in‰uenzae の PBP 遺伝子変異による耐性率(症例全体)
図
 H. in‰uenzae の PBP 遺伝子変異による耐性率(3 歳未満児の症例)
図
 H. in‰uenzae の PBP 遺伝子変異による耐性率(3 歳以上児の症例)
― 129 ―
( 315 )
小児耳 30(3), 2009
宇野芳史
治性・反復性の感染症の報告が増加している3)。
ついて詳細にその指針が示されている。また,
H. in‰uenzae を起炎菌とする感染症は S. pneu-
日本感染症学会・日本化学療法学会からも「抗
moniae を起炎菌とする感染症,特に小児急性
菌 薬 使 用 の ガ イ ド ラ イ ン 」8) が 作 成 ・ 公 表 さ
中耳炎の臨床症状が急激で激烈であるのに比較
れ,耳鼻咽喉科領域感染症を含む感染症全領域
し,発症時の臨床症状は多少マイルドであ
での抗菌薬の適正使用についてその指針が示さ
る12) 。 し か し , S. pneumoniae と 比 較 し , H.
れている。
in‰uenzae は細胞の表面に付着するのみでなく
今回我々は小児の上気道感染症の重要な起炎
細胞内への侵入あるいはバイオフィルムの形成
菌である H. in‰uenzae の耐性状況の変化につ
等の自己防衛システムを持っているため,除菌
いて,当院を受診した小児急性中耳炎,小児鼻
し難く,臨床症状が遷延し,また抗菌薬投与を
副鼻腔炎症例の鼻咽腔から検出された検体を元
やめると再発しやすい等の特徴を持つ12)。これ
に検討を行い,その ABPC に対する薬剤感受
らの元来 H. in‰uenzae が持っている細菌学的
性および遺伝子の変異,耐性遺伝子の出現状況
特徴に加え,最近では,上記に記した
を検討し,また,耐性率の変化を検討すると同
BLNAR, BLPAR, BLPACR 等の様々な耐性機
時に,これらのガイドラインの公表前後でその
構を持った H. in‰uenzae が出現し,これらが
耐性率について変化があるかどうか検討を行っ
感染するとますます除菌し難く,また臨床的に
た。
は症状が遷延したり再発したりする症例が増加
1)
ABPC に対する H. in‰uenzae の感受性
している11) 。このような耐性菌の増加は, S.
今回検討したいずれの年度でも 2 峰性の分布
pneumoniae の場合と同じく,その原因として
を示していたが,各年度によりそのピークの位
は,臨床の場での無秩序な抗菌薬の使用である
置に変化が見られた。 2003 年から 2006 年まで
と考えられ,特に我が国では外来での経口抗菌
は,徐々にそのピークの位置が左方移動し感受
薬の乱用がその一因であるといわれている11)。
性が良好になる傾向が見られたが, 2007 年に
しかし欧米では H. in‰uenzae の耐性は b ラク
は 2 峰性のピークがいずれも右方移動してお
タマーゼ産生によるものが多いのに対し,我が
り,感受性が低下していた。この傾向は 3 歳未
国ではペニシリン結合蛋白(PBP)の変異によ
満の症例と 3 歳以上の症例に分けて検討しても
るもの多いのが特徴であるとされている11)。
ほぼ同様の傾向を示していた。これを以前
しかし,一方このような状況を打開すべく,
(1998年12月から2000年 6 月)に当医院で検討
耳鼻咽喉科領域では, 2006 年に「小児急性中
した結果と比較してみると,当時は0.25 mg/ml
耳炎診療ガイドライン」7) が作成・公表, 2009
と 4 mg / ml を超えるところの 2 峰性のピーク
年にその改訂版が作成・公表され,抗菌薬の使
がみられている3)。これは,今回の2003年から
用方法を含め現在臨床の場で使用されその有効
2006 年までのピークと比べると感受性が良好
性について検証されている。小児科領域では,
な部分のピークはほぼ同じであるが,感受性が
2004 年に「小児呼吸器感染症診療ガイドライ
低下している部分のピークが右方移動してお
ン 2004 」6) が作成・公表, 2007 年にその改訂版
り,また 2007 年の結果と比べるとそのピーク
が作成・公表され,疾患ごとの標準的な抗菌薬
の間隔が離れており,すなわち H. in‰uenzae
の使用方法が示され現在臨床の場で使用されて
の感受性は前回の検討以後一旦良好になってい
いる。このような小児感染症に対する診療ガイ
たものが今回の検討期間中に再び特に感受性の
ドラインに先立ち,成人の特に呼吸器疾患の領
低下している株が増加していることを示してい
域では,市中肺炎4) ,院内肺炎5) などに対する
る。これは,H. in‰uenzae の耐性率の結果から
診療ガイドラインが作成・公表され,これらの
みると特に BLPAR が 2007 年に急増している
疾患での抗菌薬(経口,非経口)の使用方法に
ために 4 mg/ml を超える部分の株の割合が増加
( 316 )
― 130 ―
小児上気道感染症患児の鼻咽腔から検出されたインフルエンザ菌の薬剤耐性の変化
小児耳 30(3), 2009
したものと考えられ,以前の BLNAR が多く
国での報告は 2007 年に平潟ら16) が宮城県で収
検出されたために 4 mg/ml を超える株が多く検
集 し た 株 で 検 討 し た 結 果 BLNAS
出されたのとは異なる要因であると考えられ
BLNAI (low BLNAR) 18.0, BLNAR 29.0,
た。薬剤感受性について他の報告をみてみると
BLPAR 2.0, BLPACR 1.0と報告してい
50.0  ,
は 1998 ~ 2001 年 の 臨 床 分 離 株 で は
る。これらいずれの報告も耐性率が 50 前後
ABPC に対する感受性は 0.25 mg / ml と 1.0 mg /
と今期の我々の検討の 2003 年, 2004 年の耐性
ml の 2 峰性の分布を示すと報告しており,野
率とほぼ同様であった。耳鼻咽喉科領域では工
々山14) は 2008 年の報告で
ABPC に対する感受
藤ら17) が経年的に検討を行っているが, 1991
性は 0.5 mg / ml と 4.0 mg / ml の 2 峰性の分布を
年には 15 未満であった耐性率が 2006 年には
示すと報告している。このような感受性のピー
55 を超えるところまで耐性率が進んでいる
クの差異は,検討した年度の違いによるものと
と報告している。当院では上記に記したように
考えられ,経年的なサーベイランスが必要であ
2004 年までは耐性率が進行していたがその後
るとか考えられる。
改善し,工藤ら17) が耐性率は 55 を超えたと
2)
している 2006 年には 15 の耐性率であった。
田13)
坂
H. in‰uenzae の耐性率の変化
耐性率の割合を検討してみると,2003, 2004
この差の要因については今後の検討を要する
年と徐々に BLNAS の割合が減少し BLNAR,
が,一つには診療形態の違い(診療所と専門病
low BLNAR, BLPAR の割合が増加し2004年に
院),抗菌薬の使用方法などが原因と考えられ
は 50 を超える耐性率を示していたが,その
る。耳鼻咽喉科領域の経年的な全国的サーベイ
後徐々に BLNAS の割合が増加し, 2006 年に
ランスとしては日本耳鼻咽喉科感染症研究会が
は 15 近くにまで耐性率の低下が見られた,
行っているものがあるが1821) ,それによると
この傾向は 3 歳未満の症例と 3 歳以上の症例
1994 年 11 月~ 1995 年 3 月に収集された株では
に分けて検討してもほぼ同様の傾向を示してい
ABPC に対する感受性株81.7,耐性株18.3
た。これを以前(1998年12月から2000年 6 月)
であり18) , 1998 年 11 月~ 1999 年 3 月に収集さ
に当医院で検討した結果と比較してみると,
れた株では BLNAS 70.8, BLNAR 23.1,
BLNAS (60.3), BLNAR (25.5), BLPAR
BLPAR
( 14.2 )であり3) ,今回の検討の 2003 年に近
収集された株では BLNAS
6.1であり19),2003年 1 月~5 月に
49.7  ,
BLNAR
い耐性率を示していた。また, BLPAR の割合
47.1, BLPAR
が今回検討したいずれの年度よりも高かった点
6 月 に 収 集 さ れ た 株 で は BLNAS
が異なっていた。耐性率の他の報告をみてみる
BLNAR 52.5, BLPAR 6.2であった21)とし
と野々山14) は 2001 年と 2004 年に分離された株
ている。この報告をみると2003年 1 月~5 月に
の検討で BLNAS,
BLNAI
(low
BLNAR),
3.2であり20),2007年
1 月~
41.3  ,
収集された株を境にそれまで約 7 割を占めてい
BLNAR, BLPAR の割合が各々62.6と34.3,
た BLNAS の割合が徐々に減少し,BLNAR の
17.8 と 16.0 , 11.4 と 43.4 , 8.2 と 6.4
割合が約半数,最近のものでは 50 を超える
であったと報告しており BLNAR の株が急
ようになっている。この報告も我々の今回の検
増し BLNAS の株が半減したと報告している。
討とは異なっていた。また今回の我々の報告の
賀来ら15) は 2003 年から 2004 年に開業医と大学
ように BLPAR の割合が 10 を超えた報告は
病院で分離された株を比較しており, AMPC
我が国の報告ではほとんど見られない。このこ
に対する感受性分布が感受性,低感受性,耐性
とを含めて検討してみると,我々の施設が,小
の順に各々 73.5 と 51.2, 14.3 と 18.6 ,
児の急性中耳炎および急性鼻副鼻腔炎を含む上
12.2と30.2であり,大学病院の方が耐性は
気道感染症の抗菌薬投与を必要とするほぼ全例
進んでいると報告している。また,最近の我が
に,第一選択薬としてペニシリン系抗菌薬を投
― 131 ―
( 317 )
小児耳 30(3), 2009
宇野芳史
与していることが関与しているのかもしれない
分類の間には Hotomi ら22)の検討より乖離があ
が,今後その要因については検討を要するもの
り,その要因については薬剤感受性測定に用い
と考えられた。
た方法に要因があるのかもしれない。この点に
3)
ついては再検討を要すると思われる。しかし,
H. in‰uenzae の耐性遺伝子の変化
H. in‰uenzae の耐性遺伝子の検索および分類
PBP 遺伝子変異の検出では, pbp3 遺伝子の 1
については Ubukata ら10) が詳細に行っている
と 2 の両遺伝子とも変異している株の割合が増
ら22)がその分
加していることから,H. in‰uenzae の耐性化は
類に従った臨床分離株による H. in‰uenzae の
徐々に進行しているものと考えられ,今後も引
PBP 遺伝子変異にも基づく薬剤耐性遺伝子型
き続きサーベイランスを行う必要があると思わ
の検討を行っている。 Ubukata ら10) は, pbp3
れる。
が,耳鼻咽喉科領域では Hotomi
の 1 カ所に変異を持つ Group I/II BLNAR, 2
今 回 の 検 討 で は 薬 剤 感 受 性 で は 2004 年 と
カ所に変異を持つ Group III BLNAR, bラクタ
2005 年と境に H. in‰uenzae の耐性状況に変化
マーゼを産生するとともに pbp3 の 1 カ所に変
が見られた。この年度は 2004 年に「小児呼吸
異を持つ Group I/II BLPACR, 2 カ所に変異を
器 感 染 症 診 療 ガ イ ド ラ イ ン 2004 」6) が 公 表 さ
持つ Group III BLPACR, pbp3 変異がなく bラ
れ,その前に成人の特に呼吸器疾患の領域で
クタマーゼを産生する gBLP,遺伝子に変異が
は,市中肺炎4) ,院内肺炎5) などに対する診療
なく bラクタマーゼを産生しない gBLNAS と
ガイドラインが作成・公表され,これらの疾患
分類している。 Hotomi ら22) によると小児の鼻
での抗菌薬(経口,非経口)の使用方法につい
咽 腔 か ら 分 離 さ れ た H. in‰uenzae は , gBL-
て詳細にその指針が示されている。また,日本
NAS 33.0, gBLNAR Group I/II 37.1,
感染症学会・日本化学療法学会からも「抗菌薬
gBLNAR Group III 28.0, gBLPACR Group I
使用のガイドライン」8) が作成・公表され,耳
/II 0.38, gBLPACR Group III 0.76, gBLP
鼻咽喉科領域感染症を含む感染症全領域にわた
0.75であったと報告している。これを今回の
り抗菌薬の適正使用についてその指針が示され
我々の分類に合うように再分類してみると
ている。これらのガイドラインや指針では,抗
gBLNAS
33.0  ,
glow
BLNAR
37.1  ,
菌薬の適正使用や,抗菌薬を使用する場合の第
gBLNAR
28.0,
glow
BLPACR
0.38,
一選択薬としてペニシリン系抗菌薬を使用する
gBLPACR 0.76, gBLP 0.75となる。これ
ことが推奨されている。耳鼻咽喉科領域からは
を我々の結果と比較してみると,いずれの年度
その後に「小児急性中耳炎診療ガイドライン」7)
と比較しても gBLNAR の頻度は我々の結果の
が公表されているが,このようなガイドライン
方が高く, glow BLNAR の頻度は我々の結果
や指針の抗菌薬の使用方法の推奨が薬剤感受性
ら22) の薬剤感受性の
の改善に影響を与えたのではないかと考えられ
結果では BLNAS 58.7, low BLNAR 15.6,
た。しかし, PBP 遺伝子変異にはまだ明らか
BLNAR 25.7, BLPAR 1.9であり,この結
な改善は認められず,不適切な抗菌薬の使用や
果は我々の 2003 年, 2004 年の結果よりの耐性
抗菌薬の使用方法を推奨してあるものから変更
率が低く, 2005 ~ 2007 年の結果より耐性率が
することにより,再び薬剤感受性の低下が生じ
高かった。彼らの検討した年度が我々の今回の
るもとも考えられ,今後も抗菌薬の適正使用に
検討年度のほぼ中間にあることから,耐性遺伝
注意すべきであろう。
の方が低かった。 Hotomi
今回の検討で 2007 年に認められた特徴であ
子では我々の方が耐性化は進んでおり,今後耐
性遺伝子の検出がどのように進んでいくのか検
るが,この年に BLPAR がそれまでの年度に比
討を要するものと考えられた。しかし我々の検
べ明らかに増加している。その原因としては,
討では,耐性遺伝子による分類と薬剤感受性の
ペニシリン系抗菌薬の使用が考えられる。従来
( 318 )
― 132 ―
小児上気道感染症患児の鼻咽腔から検出されたインフルエンザ菌の薬剤耐性の変化
欧米では BLPAR の検出頻度は,我が国と比べ
明らかに高く,その要因としてはペニシリン系
抗菌薬の使用が考えられていた23) 。我が国で
も,従来のセフェム系抗菌薬の高い使用頻度か
らペニシリン系抗菌薬の使用に変更したことか
ら生じているのではないかと考えられる。今後
は H. in‰uenzae の耐性が欧米のように BLPAR
に変化することも考えられ注意を要するものと
考えられた。しかし,BLNAR 株に関しては,
現在公表されているガイドラインや指針に従っ
て抗菌薬の選択および使用を行うことで改善し
ており,今後もガイドラインや指針に従って抗
菌薬の選択および使用を行うことが推奨される
ものと考えられた。
文
献
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た中耳炎起炎菌の薬剤耐性化機序と耐性菌の急
増.小児中耳炎のマネジメント 医薬ジャーナル,
大阪,2006 138
150頁
原稿受理
2009年11月 5 日
別刷請求先
〒7011153
岡山県岡山市北区富原37024
宇野耳鼻咽喉科クリニック
― 133 ―
宇野芳史
( 319 )
小児耳 30(3), 2009
宇野芳史
Changes in antimicrobial susceptibilities of Haemophilus
in‰uenzae detected in nasopharynx of children with upper
airway infection
Yoshifumi Uno
UNO ENT Clinic
Drug sensitivity and resistance (drug susceptibility and gene analysis) were investigated in 5,297
strains of Haemophilus in‰uenzae detected in the nasopharynx of children with upper airway infection who visited our hospital between 2003 and 2007. Changes in ampicillin sensitivity of H. in‰uenzae were showing biphasic peaks every year, but the peaks in 2003 to 2007 showed a change each
year. The resistance rates presented as rates of b-lactamase-negative, ampicillin-resistant (BLNAR),
low BLNAR, BLNAR, and b-lactamase-positive, ampicillin-resistant (BLPAR) strains, the rate of
low BLNAR and BLNAR exceeded 45 in 2004, but decreased to about 10 in 2007, while the
rate of BLNAS was about 55 in 2003, but exceeded 70 in 2007. However the rate of BLPAR
strains exceeded 10 in 2007. Strains showing no mutation of pbp genes were the most frequently
detected in 2003, but from 2004 to 2007, strains showing mutation of both pbp31 and 2
(gBLNAR) were the most frequently detected, accounting for about 4050. The rate of strains
with the TEM gene and mutation of both pbp31 and 2 increased year by year. The resistance
rates, presented as rates of gBLNAS, gLow BLNAR, gBLNAR, and gBLPAR, gLow BLPACR, and
gBLPACR, the rates of gBLNAS and gLow BLNAR, decreased yearly, and the rates of gBLNAR in
2007 increased twice as much as in 2003. The rates of strains with the TEM gene (gBLPAR, gLow
BLPACR, and gBLPACR) in 2007 was about twice that in 2003.
Key words: Haemophilus in‰uenzae, susceptibility to antibacterial agents, changes in drug
resistance, children with upper airway infection, gene mutation
( 320 )
― 134 ―