ER型後期研修医は手技を どの程度研修しているのか - 日本救急医学会

ER型後期研修医は手技を
どの程度研修しているのか?
~EMAllianceアンケートより~
小山 泰明1)4)、長谷川 耕平2)4)
萩原 佑亮3)4)、箕輪 良行1) 4)
1)聖マリアンナ医科大学
救急医学 2) Massachusetts General Hospital
3) 川口市立医療センター 救命救急センター 4) EMalliance
第39回日本救急医学会総会・学術集会
CO I 開示
筆頭発表者名: 小山 泰明
演題発表に関連し開示すべきCO I 関係にある
企業などはありません
背景
 全年齢・全疾患を診れるER医の育成が必須
 2007年「ER型救急専門医を育成するための
後期研修プログラム」
 2011年救急医学会専門医試験の内容が変更
 今回EMAllianceで経験数が乏しい手技を
中心にアンケート調査
⇒ER型後期研修に必要な手技を考察した
対象・内容
 EMAlliance Meetingに参加した救急ER
後期研修経験者(医師3~8年目)34名
 ER型救急専門医を育成するための後期研修
プログラム・救急医学会専門医試験・米国の
救急プログラム・その他の手技から
経験乏しいが必須と考えられた52項目を選択
 必要度(○= 2 ?= 1 ×=0)・自信度(1:自信なし
-5:上級医いなくてもできる) ・経験数を調査
52項目
E
R
型
気管切開、気管支鏡
SG挿入、イレウス管挿入
SB tube挿入
喉頭ファイバー、小児鎮痛鎮静管理、
婦人科内診、眼底鏡使用、
小児気管挿管、小児CPA、経膣分娩、細隙灯使用
鼻出血止血、大動脈echo、心臓echo、子宮経腹echo
肩関節脱臼整復、顎関節脱臼整復、肘内障整復
膝関節穿刺、肩関節穿刺
小児重症外傷、新生児蘇生、扁桃周囲膿瘍dranage
眼圧測定、恥骨上膀胱穿刺、精巣捻転整復
米
爪穿孔術、暴力患者対応、レイプ患者対応
国
その他
帝王切開分娩、Dix-Hallpike Test、Epley法
鼓膜切開、精巣echo、子宮経膣echo
虐待児対応
輪状甲状間膜切開
Cardio version
TCP
経静脈pacing
外頸静脈路確保
ERT、減張切開
PCPS挿入、IABP挿入
IABO挿入、CHDF
GF、膀胱内圧測定
緊急IVR
専門医
結果①:アンケート妥当性
1200
y = 7.3572x
R² = 0.196
1000
手 800
技 600
件
数 400
200
0
30
50
70
期間(月数)
90
110
結果②:必要度
1.5 ~ 2
喉頭ファイバー
E
SB tube挿入
R 小児鎮痛鎮静管理
型 小児気管挿管
小児CPA
鼻出血止血
大動脈echo
輪状甲状間膜切開
心臓echo
Cardio version
子宮経腹echo
TCP
肩関節脱臼整復
顎関節脱臼整復
肘内障整復
膝関節穿刺
小児重症外傷
新生児蘇生
眼圧測定、爪穿孔術 外頸静脈路確保
米
暴力患者対応
国 レイプ患者対応
その他
Epley法
虐待児対応 専門医
1 ~ 1.5
E
R
型
婦人科内診
眼底鏡使用
0~1
気管切開
気管支鏡
E
R
型
SG挿入
イレウス管
挿入
経膣分娩
細隙灯使用
肩関節穿刺
扁桃周囲膿瘍
dranage
恥骨上膀胱穿刺
米 精巣捻転整復
国
PCPS挿入
IABP挿入
IABO挿入
CHDF
専門医
Dix-Hallpike
Test
精巣echo
その他
ERT
減張切開
経静脈
pacing
米
国
帝王切開
分娩
鼓膜切開
子宮経膣
echo
その他
GF
膀胱内圧
測定
緊急IVR
専門医
結果③:自信度
4~5
3~4
E
R
型
E
R
型
米
国
その他
気管支鏡
小児気管挿管
小児CPA
大動脈echo
心臓echo
子宮経腹echo
鼻出血止血
肩関節脱臼整復 Cardio
顎関節脱臼整復 version
TCP
肘内障整復
膝関節穿刺
米
国
喉頭
ファイバー
1~3
爪穿孔術 外頸静脈路
暴力患者対応
確保
Dix-Hallpike
Test
Epley法
専門医
その他
専門医
E 小児鎮痛鎮静管理
R
婦人科内診
型
眼底鏡使用
経膣分娩
細隙灯使用
肩関節穿刺
小児重症外傷
新生児蘇生
扁桃周囲膿瘍dranage
眼圧測定
恥骨上膀胱穿刺
米 精巣捻転整復
国 レイプ患者対応
気管切開
SG挿入
イレウス管挿入
SB tube挿入
輪状甲状間膜切開
経静脈pacing
ERT
減張切開
帝王切開分娩
PCPS挿入、IABP挿入
鼓膜切開、精巣echo
IABO挿入、CHDF
子宮経膣echo
GF、膀胱内圧測定
虐待児対応
緊急IVR
その他
専門医
結果④:必要度 vs 自信度
ER、ER&米国、米国、ER&専門医
ER&米国&専門医、米国&専門医、専門医、その他
必要度
自信度
1.5 ~ 2
1 ~ 1.5
4~5
鼻出血止血・肩関節脱臼整復
顎関節脱臼整復・肘内障整復
膝関節穿刺
Cardio version・TCP
3~4
喉頭ファイバー・小児気管挿管
小児CPA・大動脈echo
心臓echo・子宮経腹echo
爪穿孔術・暴力患者対応
外頸静脈路確保・Epley法
気管支鏡・Dix-Hallpike Test
1~3
小児鎮静鎮痛管理
小児重症外傷・新生児蘇生
眼圧測定・レイプ患者対応
SBtube挿入
輪状甲状間膜切開
虐待児対応
婦人科内診・眼底鏡使用
経膣分娩・細隙灯使用・肩関節穿刺
扁桃周囲膿瘍ドレナージ
恥骨上膀胱穿刺・精巣捻転整復
気管切開・ERT・減張切開
PCPS挿入・IABP挿入・IABO挿入
CHDF・精巣echo
0~1
SG挿入・イレウス管挿入
経静脈ペーシング・GF
膀胱内圧測定・緊急IVR
帝王切開分娩・鼓膜切開
子宮経膣echo
結果⑤:経験数 vs 自信度
自信度3 - 4 米国
小児
気管挿管
小児CPA
小児
重症外傷
経膣分娩
眼圧測定
細隙灯使用
鼻出血止血
大動脈
echo
心臓echo
子宮経腹
echo
肩関節
脱臼整復
肘内障整復
5.0 - 5.9
10
4.3 - 5.4
15
5.3 - 6.6
10
14.8 - 43.3
3.0 - 13.6
5.5 - 20.0
11.5 - 17.5
10
5
10
5
15.4 - 48.8
50
80.8 - 77.5
50
17.5 - 93.3
50
5.7 - 9.4
5
2.5 - 12.7
3
自信度3 - 4 専門医
自信度3 - 4 米国 専門医
PCPS
6.1 - 8.4
3
気管切開
2.0 - 3.5
3
挿入
12.4
5
気管支鏡
IABP
SG挿入
5.8 - 14.6
3
2.5 - 5.0
3
挿入
イレウス管
3.6 - 6.5
3
IABO
挿入
4.0 - 4.7
3
挿入
SBtube挿入 2.0 - 2.5
3
6.7 - 9.7
5
CHDF
輪状甲状
1.8 - 2.8
3
3
25 - 71.7
3
GF
間膜切開
膀胱内圧
Cardio
1.0 - 7.5
3
- 14.2
10
3
測定
version
3.0 3
緊急IVR
TCP
1.3 - 7.3
5
3
経静脈
6.0 - 10.0
5
Pacing
外頸静脈路
2.4 - 15.0
5
確保
ERT
2.9 - 6.5
5
3
2.0 - 3.0
3
減張切開
考察
 小児科・産科・問題患者対応がER医には必要
 専門医の手技や眼科・耳鼻科・泌尿器科・産科
の基本手技は自信がない
 ER型には手技数の規定がなく、専門医も規定
の手技数は少ない
・実際のニーズに沿った研修内容への修正が必要
・適切な医療の質を担保するためにも
自信が持てる研修手技数を規定すべき
まとめ
 現場のニーズを調査してニーズに沿った
研修内容の改定が必要である
 現実に沿った経験手技数を規定する
 施設でどれだけ経験できるか算出し
必要なら施設間での短期留学や
シミュレーション教育で経験させる
システムが必要である