梶井研究室

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環境・都市基盤
研究者 ● 梶井克純、加藤俊吾、中嶋吉弘
連絡先 ● 042-677-2834
梶井研究室
E-mail ● [email protected](梶井)
U R L ● http://atmchem.apchem.metro-u.ac.jp/
都市環境学部 分子応用化学コース
都市環境科学研究科 都市環境科学専攻 分子応用化学域
研究テーマ
光化学オキシダントの制御戦略に関する研究
キーワード
梶井 克純
教授
̶Yoshizumi Kajii̶
理学博士。東京工業大学大学院博士課程修了。
マックス・プランク研究所博士研究員、東京工業
大学理学部助手、東京大学先端研究所助教授、東
京都立大学工学研究科教授を経て、05年より現職。
加藤 俊吾
中嶋 吉弘
准教授
̶Shungo Kato̶
東京大学大学院博士課程修了。東京大
学先端科学技術研究センターCOE研究
員、科学技術振興事業団研究員、東京
都立大学助教授を経て、05年より現職。
光化学オキシダント、大気質、NOx、VOC、オゾン
助教
̶Yoshihiro Nakashima̶
九州大学大学院博士課程修了。国立環
境研究所大気圏環境研究領域NIESポス
ドクフェロー、首都大学東京特任助教
を経て、08年より現職。
未来へ向けて、快適な大気環境保護に貢献する。
研究概要
わけではなく、逆に光化学オキシ
りません。実際に公表されている
な努力を重ねて、実現してきまし
光化学オキシダントの
制御戦略を考える
ダントの増加を助長することさえ
都市の大気中のVOCの種類は500
た。この成果を今後につなげて活
ある。従って、その削減に向けて
∼2000種と、研究者によって様々
かせるように、もっと効率よく光
光化学スモッグ発生の際に生成
は、データ分析に基づいた制御戦
です」
化学オキシダントを制御できる戦
される酸化性物質のうち、二酸化
略がたいへん重要である。
梶井研究室では、都市の大気環
略を考えていきたいと思います」
窒素以外のものを「光化学オキシ
梶井研究室では、オキシダント
境を守るために、これまで確認さ
現状の研究を加速して進め、未
ダント」と言う。その主成分であ
増加のメカニズムを詳細に解明
れていなかったVOCの発見にも
知のVOCの同定と削減の方策を
るオゾンは、工場や自動車から排
し、その削減に向けた科学的な制
力を入れている。
検討することにより、未来へ向け
出されるNOx(窒素酸化物)お
御戦略を研究している。
ての快適な大気環境の保護に貢献
よ びVOC( 揮 発 性 有 機 化 合 物 )
などの汚染物質が、紫外線を受け
最近のトピックス
て光化学反応を起こすことによっ
未知なるVOCの発見を
目指す
て生じる。
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今後の展望
したいと考える。
快適な大気環境の維持に貢献
NOxやVOCな ど の 光 化 学 オ キ
「オゾンは毒性が高く、温室効
光化学オキシダントの制御戦略
シダント生成物質の環境影響を評
果を持つ気体で、ヒートアイラン
を考える上で、
「中国からの汚染
価するためには、大気中における
ド現象の要因でもあるため減少さ
物質の越境」
「ヒートアイランド
VOCの主要な分解経路であるOH
せなければなりません。しかし、
問題」など、いくつかの仮説を立
ラジカルとの反応を調べることが
実際には観測の始まった1880年代
て検証している。
不可欠である。梶井研究室では、
から、この130年あまりで約5倍
「なかでも重要なのが、まだ発
ポンプ・プローブ法によるOHラ
に増加しています」
見されていないVOCがあるので
ジカルの寿命測定を世界で初めて
NOxやVOCな ど の 光 化 学 反 応
はないかということです。現在わ
行った。
は非常に複雑で多段階の反応過程
かっているVOCは減ってきてい
「VOC削減の実行は、産業界
であるため、これらの原因物質を
るのですが、まだ存在を確認でき
にとっては非常に痛み(コスト)
一元的に削減しても比例して減る
ていないVOCは減らしようがあ
を伴うものです。これまでも非常
ポンプ・プローブLIF OH寿命測定装置
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