ロジスティック曲線の性質と図式解法の一考察

ロジスティック曲線の性質と図式解法の一考察
今岡正美
(昭和44年9月12日受理)
Some Graphical Solutions and Considerations on Logistic Curve
MasaharuIMAOKA
Synopsis
The logistic curve is often used for population forecast that is an element to estimate quan.
tities of water and waste・water. It is S・shaped, early growth taking place at an increasing
rate, late growth at a decreasing rate as a saturation value or upper limit is approached. It is
thought to be a rational method to estimate population growth with the logistic curve, but lts
calculation is not so brief as other simple methods. Some graphical methods were studied for
easy estimate of constants of the logistic curve formula and some consideration were made about
it.
方法が望まれる。
1.はじめに
ここでは,ロジスティック曲線を適用する場合のた
ある一定の地域内における将来人口の推定あるいはあ
めその基本的な性質を知り,また簡易に使用することが
る一定の法則で増加する量の変化の状態を推定すること
できるよう,図式解法についての考察を行なった。
は,何か将来計画をたてるときに重要な要素である。こ
2. ロジスティック曲線の性質
の場合,過去の増加量をもとにして,その一定の法則に
よる変動が将来まで続くと考えて将来の変化を推定する
A.基本型
方法と,一定の将来計画をたて,また将来の変動に対し
ロジスティック曲線は,もっとも単純な型としてつぎ
ておよぼされると考えられる種々の新しい影響に関して
の微分型からなっている。
調査し,それらをあわせて計画的に増量を調節する場合
書一y(・−y) (・)
と,また実際問題としてその中間的な場合とが考えられ
る。前二者の場合,大地域における計画をたてるときに
は,いろいろ将来の変動におよぼす要因を調査し,それ
にしたがって計画をたてる必要があるが,たとえぽ小地
域における人口の変動や給水量の変動等は,過去のデー
タより,その変動に一定の法則を見出し,それにしたが
って将来の変動が起ると考えて,短期間の将来計画をた
てることが多い。
水道あるいは下水道における将来計画のための将来人
口推定の計算方法はいろいろ紹介されているが,いずれ
も曲線の増加率が増加あるいは減少のどちらか一方また
y:増加する量(0→1),
x:経過時間等(一。。→+。。)
すなわち,yの増加率は, yの飽和値を1とした場合,
現在の量と,飽和量と現在量との差の積に等しい。
これを積分して
1
(2)
y=
1十e−x
がえられる。これを図一Rこ示す。
B.一般型およびその基本型との関係
Pジスティック曲線の一般型つぎはの式であらわされ
ツ
は一定値を示す。しかし1838年にベルギーのVerlust
]
氏によってはじめて示され,名付けられたLogistic
A与
凾R=c’
\ _
_ 、
1
@ダr耳e−・
@ 1
Curve1)は合理的なS字型曲線を示し,興味を与える。
τ
しかし,実際使用にあたっては,いろいろな原因で,あ
_拒1丁
0.5
\ y3=ακ
まり正確な推定値を与えない場合が多いが,その割合に
営絃=
は計算に時間を要し,参考値として使用する場合でも,
1 T
Sc
\肌=1−−e−・
より単純な計算式で計算される場合が多い。また丁寧に
計算する場合も,いくつかの計算式で比較計算が行なわ
れるがe’
10 −5
サの時にも,ロジスティック曲線の簡易な計算
一 206一
0
5 10κ
図一1二・三の曲線の増加状態の比較
ロジスティック曲線の性質と図式解法の一考察
ロジスティック曲線を人日推定等に用いる場合,
る。
x−一・。でy・−Oの仮定は強すぎることがあるため,
(3)
y=’1+eα一b・
・一・一、+岩 (・)
K:飽和値,a, b:定数
とすべきであるといわれている。一般に,定数を決定す
(3)式の微分型は
豊一巫告虹輌(1一芸)
る場合の最小限の3点の座標値の間の関係には制限があ
(4)
り,これからはずれると,(3)式は適用されず,適用させ
であらわされる。
る場合には(6)式を用い,あらたにc値を決定しなくて
(2)および(3)式を比較すれば,(2)式は,(3)式において
はならない。yが0に近いときこの状態が起きることが
K ==1,a−0, b・−1のときである。これをもとに,三つ
多い。
の定数の性質について考える。
D.ほかの計算式との比較
そのほか,これに関連のある式は
(・)(・)式において・1−・の場鋤1ま丁であり,また
変曲点を示す。(3)式においてα一bx−0, x・=a/bで同様
のことがいえる。したがって図一1において,曲線をそ
嘉一鱈一プ (・)
器一1−y・−y−1−e−x (・)
のままにし,xの座標値をa/bだけ右(+の場合)また
は左(一の場合)の方へ移動したものになり,x,yの組
合せから,定数値を決定する場合に,任意のyのとき
嘉一a・一・−a・ (・)
がある。これらをロジスティヅク曲線との比較のため
x−0とすることに対する調整の役目をしている。
(b)(4)式からbの値はdy/dxの値に関係する。 bが
小さけれぽ,この曲線のこう配はゆるやかになる。また(2)
式より,図一1においてx座標の値をb倍すれぽそのま
ま(3)式においてa=・Oのグラフが得られる。ふつうxの
座標値は変えないから,図一1のグラフを,変曲点の位置
を中心に左右に1/bだけ引伸ぽしたグラフがえられる。
aニ0,b−0.1∼2.0の場合を図一2に示す。
に,
(・)y一丁‥一丁+丁(・−e−x)を・==・で合成し
たもの
(b)y−〆およびy−1−e−xとこれに接する
͡弓の直線よりなるもの
の二つを図一1に重ねて示す。
(c)K値については
3.計 算 方 法
X−、fO,。.・x (・)
より,1/(1+eα一bりのグラフをy方向にK倍すれぽ,(3)
式の曲線となる。したがって,図一1のグラフを縦方向
にK倍引伸ばすか,またはy座標の値をすべてK倍すれ
ばよい。通常後者の方法がとられている場合が多い。
C.ロジスティック曲線の制限
ロジスティック曲線の定数の算定方法にはいくつかあ
るが,そのうちの3方法を示す。
A.3点法2)
ロジスティック曲線の一般式は
K
(3)
y=1+。α→x
y:推定人口,x:基準年からの経過年数
1.0
K:飽和人口,a, b:定数
で示される。
等間隔に年数をとった3組の値を(x。,y。),(Xl, Yl),
(x2・Y2)とした場合,っぎの条件
0〈y。<Yl<y・, y・2>y・・y・
を満足する場合に用いられる。x。−0,エ1−1,0c2−2とす
ることが多い。 −
ai−⊥一⊥,∂、一⊥一⊥ ㈹
一10
図一2 bの変化による曲線の比較
yo Yl Yi Y2
とすれぽ
一 207 一一
昭和44年12月
山梨大学工学部研究報告
yo(d,−d2)
K==
d1{1−d,・y。}−d、
一磁1・g謡;
10gdi−log d2
6=
log e
⑪
第20号
求められると,ロジスティック曲線のもつ一般的な性質
から,その曲線の状態を推定することができ,また最小
⑫
自乗法による場合の飽和値をあらかじめ推定することも
容易である。したがって,グラフによる解法を試みた。
⑬
A.飽和値との差を求める方法
3点の値をy。,Yl, Y2とし,それぞれの経過年を0,
である。
B.Kをあらかじめ推定し, 最小二乗法による方法2)
(3)式より
eα一・・_K−y
y
bxloge−aloge=10gy−10g(K−y)
1,2とすると
K一必篭譜÷11〃 ⑳
yo dl −d,
(14
2
1 1
⑮
K y・ ⊥_.旦+⊥
驚ニニ(K−,)一γ}
aθ
1 1 可+7一三
yo Yl Y2
2 2
一諏麗場器三∬ 2s)
とおけば
bX−(aloge)=Y
⑰
Y12(Y2一トyo)−2yoyiy2
K=
2
Yl−YoY2
となる。N個の資料よりこれを解くとすれぽ,
旨‘er」
1 ΣXEXY−XX2iY
a「∼壱τ’NiX・一(Σx)・ ⑱
100
溺。
NXXY一Σx=Y
み=
⑲
堰求
@ 菟
Nxx2−(Σx)2
により,a, bが求められる。
B、め 刀c 幾
C.相対増加率より最小二乗法を用いて計算する方
法2)
Yl
ロジスティック曲線は非線形であるため,定数の決定
ヱ
10010 1 0.10.01
0.010.1 1 10 100
び
@ °ll。三 1 ;1 111
B 発
に直接適用することができないので(3)式をxで微分し
て
÷・書+ピ 2・)
dy→dy, dx→Ax, dx→1とおけぽ
R=P十Qy ⑳
R一争PゴQ−一妾
$
図一 3a Y2とKとの差を求めるグラフ(その1)
κ1
最小二乗法によりP,Qを決定し, b, Kを求める。
1000
ER2y2−iy.E’Ay
P=
22)
100 み
N勾2−〔Ey〕2
Q一鵬:≡畿㌢ ㈱
%
またaの値はK/2に近いyとそれに対応するxの値
∼
α001α01α1ら
を⑳式に代入して決定すれぽ,誤差が少ない。
⑭%
1 10 100 1000
0.1
4. 3点法による計算の図式解法
0.01
ロジスティック曲線の計算法はいずれにしてもやや面
倒であり,しかも,実際のデ・一一一タをあてはめた場合にデ
0,001
ータ自身にいろいろな要因がからんでいるために,常識
外の結果がえられることもある。一般に飽和値が簡単に
一 2Q8一
図一3bY2とKとの差を求めるグラフ(その2)
x
1
ロジスティック曲線の性質と図式解法の一考察
に示すようなものが考えられる。
旦(y,+y。)−2y2
図一 3aにおいてたて軸の下方よりyoをとり,右に移
yo
Yl Y2
動してuの線に到り,それより上方にむかう。また横軸
yo Yl
1y・(Yl−y。)−y。(Y2−Yl)
の左方よりY1を選び,上方にむかい, vの線を経て右
にむかって両者の交点Xを求める。
⑳
!/0 !/1−!/0 !/2−!!1
ただし X=一旦÷⊥
yo yo
yo gl
Yl−Yo=U, Y2−Yl=Vとおけぽ26)式は
K==⊥.y・U−y・二抑一〃)+U(U+V)
である。
つぎに図一3bより横軸上にX−1をとり,上あるい
2カ
は下方に移動してvに到り,横方向に動いてたて軸上に
yo u v Yov
u yo Yl yo十U
また K−y2−K’とおけば
K =yo十u十v十Kt
Ktを求めることができる。
B.飽和値との比を求める方法
2s)
飽和値との比K/yoをu/y。=qとv/u−pの関数と
K’_幽一の+娠+の_yr。_。
して計算する。
Yov
v−
yo十u
㈱式より
y、Y2U−y。y・V−(yo 十u十v)(YIU−y。の
旦(y,+y。)−2y、
Ylu−Yov
yo
K=
YI Y2
yo Yl
29)
⑳式の図式解法として,たとえば図一3a,
(÷+1)(2…+u+の一2(y・+u+v)
図一3b
u v
yo yo十u
=・・y・{(・+÷)(昔一1)+2}
3,5
一[・一{÷一(・+丁)}] (・・)
3.0
したがってK/yoは
K_(1十p)(q−1)十2_(勿十q−p十1)(q十1)
カ q−P十1
yo
1−
q十1
2.5・
( Pq 十1q一力十1)(q+1)
⑪
またa,bに関しては
,一・(Y・−Y・)一・+U+V.Z
ε一諏(y、−Yi)− y。−v
−( u v1十 十 yo yo)(号)
一÷+〉+・」ヂ刊
lil
glii
㌘.3111
e・_壼一y・
鋤
㈱
yo
で示される。
図一4は,p−v/uを横軸にq・・u/yoをたて軸にとり,
K/y。および♂のそれぞれ一定値に対するp,qの関係
を示したグラフである。これにより,p, qを計算した
図一4 (y一y。)/yo=u/yoおよび(Y2−Y、)/(y、−y。)=v/u
よりK/yoを求めるグラフ
ものをあてはめて,K/yoおよびbの値は容易に求めら
れる。
一209一
昭和44年12月
山梨大学工学部研究報告
第20号
1.5
.K=1.2
K=1
1.0κ
図一5a
図一5c
x=−10∼−6の5点より最小2乗法で
求めた曲線の各Kの場合の比較
x=−2∼十2の5点より最小2乗法で求
めた曲線の各Kの場合の比較
警
0.5
図一5b
x=−6∼−2の5点より最小2乗法で求
めた曲線の各Kの場合の比較
またp,qの一組の座標値が,このグラフから外に出
た場合は解くことができず,ロジスティック曲線にのら
ないことになる。しかし,y。, Yl, Y2の代わりに,(6)式
によるy。−C,Yl−C, Y2−Cを用いれば, pの値が増加
することにより,座標点が上にあがってこのグラフ内に
はいり,ロジスティック曲線にのることになる。ただ
図一5dx=−6∼−2およびx=−2∼+2の各
し,cの値は任意に推定せねぽならない。
また座標点がグラフの線の密集しているところ,特に
一21Q一
5点より最小2乗法で求めた曲線の各K
の場合の比較
ロジスティヅク曲線の性質と図式解法の一考察
1.0101であることおよび,bの範囲が0.2∼0.8程度が
表一1・ y−、告+百舞切略定数の組合せ
実用的であることを考えれば,小数以下3位まで求める
(1)
K1
K2
0.8
0.2
(2)
(3)
〃
(4)
0.2
〃
〃
〃
〃
〃
0.5
0.5
0.2
0.2
(6)
0.5
0.5
0.5
0. 5
(7)
0.8
0.2
0.5
0.2
(8)
(9)
(ill
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
0.5
⑪
⑫
0.5
4
−4
4
0.5
(5)
0.5
6.その他の二・三の考察
−4
〃
0.5
必要は特になく,グラフで十分実用的な値がえられる。
4
O.2
〃
0.2
0.8
f
c
A.最小二乗法による場合の飽和値の影響
飽和値をあらかじめ推定し,それによってほかの2定
−4
4
数を最小二乗法により計算した場合のいくつかの例につ
0
いて,そのグラフを図一5a,5b,5c,および5dに示
−4
4
0.2
〃
〃
〃
〃
0
〃
〃
〃
〃
−4
す。図一1のロジスティック曲線から,x−−10∼−6,
−6∼−2,−2∼+2のそれぞれの間隔について5組の
点をとり,それらについて任意の飽和値(K−0.8,1.2,
K
表一lb表一1aのそれぞれの場合について, y=1+θα一b・
1.5,2.0)を定めた場合を計算したものである。比較の
とおいて3点法で求めた定数値
ためにK−1の場合も示した。それぞれの場合,いずれ
も5点の付近では曲線はそれらの点に忠実に接近
xyKba/bレ・Kba/b
しているが,飽和値に近ずくにつれて曲線は散り,
(2)
(1)
一100.1420.953 0.198 8.813
−60.2650.9890.196 5.117
0 0.538 1.006 0.194 0.717
一10 0.107 0.958 0.200 10.38
−60.2090.9710.199 6.503
00.4620.992 0.196 0.730
十6 0.791 1.002 0.196 −6.745
十6 0.735 1.003 0.194 −5.196
十10 0、893 1.000 0.198 −10.70
十10 0.858 1.001 0.195 −9.190
(3)
(4)
一100.0150.4800.499 6.906
−60.0920.7060.470 4.047
0 0.576 1.029 0.438 0.550
十6 0.961 1.000 0.449 −7.110
十10 0.994 1.000 0.499 −10.38
一10 0.006 0.851 0.505 9.640
示している。
B.二つの曲線が合成された場合
3定数a,b,Kについて任意に組合わせた二つ
の曲線を合成した場合のいくつかの例を求めた。
−6 0.039 0.858 0.505 5.970
Kは合計して1になるようにし,この曲線が一つ
00.4240.946 0.470 0.445
十60.908 1.0040.439 −5.130
十100.985 1.0000.488 −8.459
仮定し,K, a,bを計算した。その結果の要点を
の式,すなわち1組の定数であらわされるものと
(6)
(5)
表一1aおよび表一lbに示す。グラフは省略する。
一100.1750.945 0.198 7.465
一10 0.004 0.649 0.505 9.94
3点法による計算の結果,K−O.8,0.2の組
−6 0.316 0.981 0.195 3.805
−60.0270.6520.499 6.24
00.595 1.006 0.191 −1.932
十60.825 1.002 0,193 −7.948
十100.912 1.001 0.196 −11.86
0 0.3100.912 0.430 1.546
(7)
(8)
一5 0.15ユ ー 一 一
十6 0.842 1.0070.440 −L788
十100.973 1.0000.490 −3.865
一50.114 − 一 一
一40.1572。1750.350 7.289
00.538 1.010 0.435 0.299
0 0.500 0.975 0.453 −0.115
十60.9380.9930.428 −6.636
十60.9160.9860.384 −6.695
十10 0.983 0.998 0.338 −12.51
十100.971 0.9960.276 −13.23
(9)
⑩
一
一40.1432.6290.300 9.503
00.4050.832 0.405 0.128
1とし,0.2の方のKを0とした曲線に接近す
が増大する。また2組のbが等しい場合はα=0
であらわす場合と比べて大きな変動はないが,b
が0、5,0.2などそれぞれ異なる場合には,合成
曲線と相当異なる結果がえられ,特にxの小さい
一10 0.119 1.321 0.179 12.92
−60.224 − 一 一
〇〇.595 1.017 0.344 −1.00
十10 0.881 1.003 0.181 −10.92
十60.9170.9880.332 −7.744
十100.9680.9970.251 −13.99
⑪
⑫
十6 0.776 0.963 0.232 −6.116
合せの場合は0.8の影響を大きく受け,そのKを
る。したがってK−0.5,0.5とした場合に誤差
一40.19519.530.273 16.83
一50.109 − 一 全体としては飽和値に大きな影響を受ける傾向を
ところでK値の計算の不能な場合が多い。
7,む す び
人口推定などにおいて,飽和値は,それにおよ
ぼしている要因が現在点以後に変化を生ずれぽ,
一5 0.172 − 一 一
一50.109 − 一 一4 0.215 9.244 0.230 16.26
一40.143 2.6290.300 9.503
当然全体が変わってくる。したがってロジスティ
00.4050.8320.405 0.128
十60.7760.9630.232 −6.116
ック曲線のみでなくいろいろな計算方法,またい
十10 0.881 1、003 0.181 −10.92
ろいろな観点から人口などの推移状態を予測すべ
0 0.500 0.943 0.375 −0.32
十6 0.861 0.9770.282 −7.103
十10 0.9370.997 0.216 −12.74
一
きである。その一つの方法のロジスティヅク曲線
右下方付近にある場合は,誤差が大きくなる可能性を示
の計算に限ってみた場合,つぎのことが考えられる。
している。
3点法によるよる場合,計算方法はもっとも簡単であ
b値をグラフにより求めることについては,e°’°」
るが,実際のデ・・一・タを用いて3点をとると,そのとり方
一211一
昭和44年12月
山梨大学工学部研究報告
第20号
により飽和値に相当の変動があることが予想される。し
された場合,通常これをもとの状態に分離して考えるこ
たがって,数組の適当な3点を選んで飽和値を計算し,
とは困難である。合成される曲線が,1個のロジスティ
その妥当性を判定する必要がある。この方法はグラフに
ック曲線で示されるものとして計算した場合,えられる
よる計算が容易な利点がある。
曲線は,もとの合成されたものに対して,通常それほど
最小二乗法による場合,飽和値をあらかじめ推定しな
大きな差を示さないと考えられる。しかし,増加率の増
ければならない。これは,3点法などによることができ
加する部分で,yの値の小さいところでは,3点法で計
る。曲線全体は,飽和値の決定如何に大きく影響をうけ
算した場合に,飽和値が計算できないことや,いちじる
る。3点法の場合と逆に,飽和値をあらかじめ決定し,
しく過大な値がえられることがある。
その方向に曲線を導くような場合に適する。
参 考 文 献
相対増加率による方法は,計算はもっとも面倒になる
が,全般的に,使用したいく組かの座標値に忠実な値が
えられる。しかし,変曲点の位置すなわちaの値は計算
方法によってある程度幅がでるものと考えられる。
1)広瀬孝六郎:都市上水道,p.18技報堂(昭36)
2) 日本水道協会編:水道施設基準解説,p.13日本水道協
会(昭41)
3) 合田 健,津郷 勇,山本剛夫:衛生工学p.20彰国社
Pジスティック曲線であらわされる二つの集団が合成
一一 @212 一
(昭44)