1 平成 22 年土地家屋調査士試験午後 第 21 問 C 市 D 町三丁目 1 番 2

1
平成 22 年土地家屋調査士試験午後
第 21 問
C 市 D 町三丁目 1 番 2 号見事務所を有する土地家屋調査士北野一郎が、下記見取
図に示す A 市 B 町二丁目 6 番 2 の土地(以下「本件土地」という。)の相続人から、本件土
地に関して、相続の登記を行うために必要となる土地の表示に関する登記の申請について
依頼されたものとして、後記の調査に基づき、別紙第 21 問答案用紙を用いて、後記の問に
答えなさい。
[見取図]
(注)見取図中、A 点から N 点までの各点は、境界点の位置を示す。K 点から L 点を結んだ
点線及び M 点から N 点を結んだ点線は、土地の分割線を示す。T1 から T3 までは、A 市基
準点を示す。
(A) から(D)までの符号は、後記遺産分割協議書の添付図面(本問において
は省略)の符号を転機したものである。当該添付図面には H,I,J の各点及び各点を結ぶ記載
はない。
[土地家屋調査士北野一郎による調査結果]
(1) 登記所における登記記録の調査結果
(表題部)
所在
A 市 B 町二丁目
地番
6番1
地目
宅地
地積
××.××m²
所在
A 市 B 町二丁目
2
地番
6番2
地目
宅地
地積
××.××m²
(権利部)
甲区
順位 1 番
所有権移転
C 市 D 町二丁目 5 番 6 号
乙区
杉山太郎
なし
なお、6 番 1 と 6 番 2 の権利部は、同一であり、6 番の最終の支号は、6 番 3 である。また、
本件土地については、平成 8 年 3 月 6 日に分筆の登記がされており、地積測量図を閲覧し
た際のメモは、下記のとおりである。
地積測量図のメモ
点
名
X 座標
Y 座標
A1
212.45
161.82
A2
193.23
183.97
A3
211.47
184.61
A4
214.63
180.20
A6
213.95
146.95
A8
193.23
145.73
A10
193.23
164.12
任意座標
3
(2)
A 市道路課における道路境界の調査結果
A 市道路課において本件土地付近の道路境界について調査を行った結果、本件土地付近にお
いては A 市によって道路拡幅事業が実施されており、杉山太郎との間で道路拡幅に関する
協議が成立したとのことであった。同課の担当者である森山職員から聴き取りを行った結
果は、以下のとおりである。
・平成 20 年 12 月 15 日に森山職員が杉山太郎宅を訪問し、図面等によって事業計画の説
明を行い、計画の内容及び土地買収金額に関して協議した。
・平成 21 年 3 月 10 日に森山職員及び作業員が杉山太郎宅を訪問し、本人の立会いの下、
協議内容に基づき道路拡幅位置に市コンクリート杭の埋標を行った。埋標の後、道路境界
承諾書に杉山太郎本人の署名と押印を受けた。
・当該境界標の実測成果に基づき、平成 21 年 4 月 10 日に道路管理図を作成した。
・現在は、北側の土地所有者との交渉中であり、協議が成立すれば、北側の道路拡幅土
地と合わせて、道路拡幅の工事に着工する予定である。
・道路拡幅工事の完成後、全ての土地提供者に対し、土地代金を支払う。
森山職員からの提示を受けた道路管理図は、下記のとおりである。
(3)
A 市基準点である T1 から T3 までを器械点として観測を行った結果、得られたデー
タは、以下のとおりである。
4
[A 市基準点成果表]
名称
X 座標
Y 座標
T1
510.94
507.05
T2
510.98
464.24
T3
51051
482.27
[観測データ]
器械点 後視点
測点
水平角
平面距離
T3
T2
N
52°26'32"
3.414m
T3
T2
G
122°54'34"
3.345m
T3
T2
L
165°33'52"
12.323m
T1
T3
J
21°57'44"
6.511m
T1
T3
F
38°27'45"
3.830m
[測量によって得られた座標]
A
513.27
465.77
B
533.99
466.99
E
531.51
504.65
H
532.42
503.38
I
514.61
502.57
M
532.88
477.98
B 点、G 点にはコンクリート杭が、A 点には金属標が、F 点には鉄鋲が埋設されている。E
点、H 点、I 点、J 点には A 市コンクリート杭が埋設されている。C 点、D 点の境界標は、
亡失していたため、関係者の確認を得た上で、平成 8 年の分筆時作成の地積測量図に基づ
いた復元位置にコンクリート杭を埋設した。北野一郎による検証の結果、現地の境界標と
平成 8 年の分筆時作成の地積測量図の座標成果は整合していることが確認された。
分割点である K 点、L 点、M 点、N 点には、申請人に位置を確認した上で、金属標を埋設
した。なお、K 点は、C 点と D 点を結ぶ直線上にあり、C 点から K 点までの距離は、10.18
mである。
A 市基準点を用いて行う測量においては、距離に関する補正計算を行わないものとする。
(4) 相続について
登記名義人である杉山太郎は、平成 22 年 6 月 12 日に死亡しており、その相続人によって
遺産の分割協議が成立した。遺産分割協議書の内容は、以下のとおりである。
遺産分割協議書
平成 22 年 6 月 12 日に死亡した被相続人杉山太郎の遺産については、同人の相続人全員に
おいて分割協議を行った結果、各相続人が次のとおり遺産を取得することに決定した。
5
1. 相続人杉山良子が取得する財産
(1)
A 市 B 町二丁目 6 番 1 の土地のうち、添付する図面中(A)の部分
(2)
A 市 B 町二丁目 6 番 2 の土地のうち、添付する図面中(B)の部分
2. 相続人杉山敏夫が取得する財産
(1)
A 市 B 町二丁目 6 番 1 及び 6 番 2 にまたがって存する建物
3. 相続人杉山健二が取得する財産
(1)
A 市 B 町二丁目 6 番 2 の土地のうち、添付する図面中(C)の部分
4. 相続人田中文子が取得する財産
(1)
A 市 B 町二丁目 6 番 1 の土地のうち、添付する図面中(D)の部分
(2)
A 市 B 町二丁目 6 番 1 上に存する建物
以上のとおり相続人全員による遺産分割の協議が成立したので、これを証するために本書
を作成し、角時署名押印する。
平成 22 年 7 月 4 日
住所
相続人
住所
相続人
住所
相続人
住所
相続人
住所
相続人
C 市 D 町二丁目 5 番 6 号
成年後見人
杉山良子
E 市 G 町四丁目 2 番 1 号
成年後見人
木村光江
印
C 市 D 町二丁目 5 番 7 号
杉山敏夫
印
C 市 D 町三丁目 4 番 6 号
杉山健二
印
C 市 D 町一丁目 8 番 1 号
田中文子
印
(遺産分割協議書ここまで)
問 1 本件土地の東側の道路境界については、登記所に提出されている地積測量図と A 市
道路管理図に差異が認められが、必要となる登記の申請に添付するために作成する地積に
おいては、いずれの道路境界線を採用すべきか。その結論と採用した理由を簡潔に述べな
さい。
問 2 C 点、D 点及び K 点の座標値を求めなさい。
問 3 本件土地について申請すべき登記の申請書を、別紙第 21 問答案用紙(その 1)の空
欄を埋めて、完成させなさい。なお、地積は、今回の測量の結果である座標値を用いて、
座標法により求積すること。
問 4 問 3 の登記申請書に添付する地積測量図を、別紙第 21 問答案用紙(その 2)を用い
6
て、完成させなさい。
(注)1 座標値は、計算結果の小数点以下第 3 位を四捨五入し、小数点以下第 2 位までと
すること。
2 訂正、加入、削除をしたときには、押印や字数を記入することを要しない。
3 地積測量図には、今回の測量成果である座標値から求めた筆界点間の辺長を、計算
結果の小数点以下第 3 位を四捨五入し、記載すること。ただし、各境界点の座標値の表示、
求積の方法及び地積の表示の記載は、省略してよい。
4 T1,T3 の各点は、地積測量図にその地点を明示して名称を付した上、用紙の適宜の
場所に、その名称及び座標値を記載すること。
5 本件土地の地積に関する誤差の限度は、下記の表のとおりである。
6番1
1.71m2
6番2
2.01m2
6 必要な登記の申請は、書面を提出する方法によって行うものとする。
(解答)
問 1 本件土地の東側の道路境界については、登記所に提出されている地積測量図と A 市
道路管理図に差異が認められが、必要となる登記の申請に添付するために作成する地積に
おいては、いずれの道路境界線を採用すべきか。その結論と採用した理由を簡潔に述べな
さい。
[結論]登記所に提出されている地積測量図を道路境界線とする。
[理由]A 市道路管理図の道路境界線は、不動産登記法上の土地の境界ではなく、登記の申請
にあたって、A 市道路管理図に基づいたものを道路境界線とはできない。
問 2 C 点、D 点及び K 点の座標値を求めなさい。
X 座標
Y 座標
C
532.49
481.86
D
534.67
500.24
K
533.69
491.98
問 3 本件土地について申請すべき登記の申請書を、別紙第 21 問答案用紙(その 1)の空
欄を埋めて、完成させなさい。なお、地積は、今回の測量の結果である座標値を用いて、
座標法により求積すること。
登記の目的:
土地分筆登記
7
登記免許税
略
添付書類
略
平成 22 年 8 月 22 日申請
A 地方法務局
(被相続人)杉山太郎
申請人
代理人
C 市 D 町二丁目 5 番 6 号
杉山良子
C 市 D 町三丁目 4 番 6 号
杉山健二
略
所在
A 市 B 町二丁目
③地積
m2
①地番
②地目
登記原因及びその日付
6番2
宅地
432 76
の (B)
表
(C)6 番 4
示
宅地
201 96
③6 番 2、6 番 4 に分筆
宅地
230 80
6 番 2 から分筆
土
地
問 4 問 3 の登記申請書に添付する地積測量図を、別紙第 21 問答案用紙(その 2)を用い
て、完成させなさい。
8
(参考)
方向角T
y の座標差が-、x の座標差が+のとき辺 T3-T2 は第 4 象限にあるので求めた角に 360º を加
算する。
y
x
tanT
464.24
510.98
482.27
510.51
18.03
0.47
88.50677°
360°
271°29′35"
y
x
T
38.36170
N
△
T2
゚
52
'
36
"
32
△ T3
t2
3Tt
'08"
323゚56
N 点の座標
T
T
∠T T N
x
510.51
x
T
y
T
323°56′08"
NcosT
3.414cos323°56′08"
y
482.27
271°29 35 52°26'32"
513.270
NsinT
3.414sin323°56′08"
480.260
G 点の座標
T
T
∠T T G
x
510.51
y
482.27
271°29 35+122°54'34"‐360°
x
T
GcosT
3.345cos34°24′09"
y
T
34°24′09"
513.270
GsinT
3.345sin34°24′09"
484.160
L 点の座標
T
T
∠T T L
x
510.51
y
482.27
271°29 35"+165°33'52"-360°
x
T
LcosT
12.323cos77°03′27"
y
T
513.270
LsinT
12.323sin77°03′27"
494.280
77°03′27"
9
y
x
tanT
482.27
510.51
y
x
T
89.0059°
507.05
510.94
180°
24.78
0.43
57.62791
269°00′21"
J 点の座標
T
T
∠T T J
x
510.94
269°00′21"+21°57'44"
x
T
JcosT
6.511cos290°58′05"
y
507.05
y
T
290°58′05"
513.270
JsinT
6.511sin290°58′05"
500.970
F 点の座標
T
T
∠T T F
x
x
510.94
269°00′21"+38°27'45"
T
FcosT
3.830cos307°28′06"
y
y
507.05
T
307°28′06"
513.270
FsinT
3.830sin307°28′06"
504.010
ヘルマート変換
x
X
-yo
Y'=Y
y
Y
xcosθ
ycosθ
ysinθ
xsinθ
x
…①
y
y
sθ
yco
xo
inθ
X
Y
X
o ys
X-x
X'=
yo
sθ
x
xco
θ
nθ
xsi
Y
10
又は
X
Y
ax
ay
by
bx
c
…②
d
ここで、cosθ=a, sinθ=b, xo=c, yo=d とおいた。
ヘルマート変換は通常最小二乗法により、パラメータ a,b,c,d を解いて、必要な点を必要な
座標系に変換するが、誤差の少ない測地座標間では、以下のように最小二乗法によらない
で行う場合もありうる。
E 点と A 点を用いて、式②を適用すると
211.47a-184.61b+c=531.51…(1)
184.61a+211.47b+d=504.65…(2)
193.23a-145.73b+c=513.27…(3)
145.73a+193.23b+d=465.77…(4)
(1)-(3)より
18.24a-38.88b=18.24…(1)’
(2)-(4)より
38.88a+18.24b=38.88…(2)’
(1)’÷18024-(2)÷38.88
a-2.13158b=1
-)a+0.13134b=1
b=0
(2)’に代入すると
∴a=1
(1)に代入すると 211.47+c=531.51
∴c=320.04
(2)に代入すると
184.61+d=504.65
∴d=320.04
求めるヘルマート変換式は次式で表される。
X
Y
x
y
320.04
320.04
C 点の座標
X
x
c
212.45
320.04
532.49
11
Y
y
d
161.82
320.04
481.86
X
x
c
214.63
320.04
534.67
Y
y
d
180.20
320.04
500.24
D 点の座標
K 点の座標
これは CD の直線式と距離 CK の式から以下のように計算する。
m
y
x
m
500.24
534.67
y
x
y
y
y
500.24
m
481.86
532.49
x
18.38
2.18
8.431193
x
8.431193 x
534.67
y=8.431193x-4007.66578…①
x
距離CK
532.49
x
y
y
481.86
x
10.18 …②
y
これに①を代入すると
283,545.6001
1,064.98x
481.86
x
20,439,283.7
x
x=531.29,
8.431193x
76,769.0967x
1,64.9799x
4,007.66578
72.0850154x
283,544.14
0
533.689
x=531.29 は図上で CK=10.18mの位置にないので
∴x=533.69(=xK)とする。
①に代入すると
∴y=491.978(=yK)
座標のまとめ(求めたものを追加)
符
点
号
名
x 座標
y 座標
X 座標
Y 座標
C
A1
212.45
161.82
C
532.49
481.86
F
A2
193.23
183.97
F
513.27
504.01
E
A3
211.47
184.61
E
531.51
504.65
D
A4
214.63
180.20
D
534.67
500.24
B
A6
213.95
146.95
B
533.99
466.99
A
A8
193.23
145.73
A
513.27
465.77
G
A10
193.23
164.12
G
513.27
484.16
N
513.27
480.26
L
513.27
494.28
0
103.6324
12
J
513.27
500.97
K
533.69
491.98
H
532.42
503.38
I
514.61
502.57
M
532.88
477.98
X 座標
Y 座標
C
532.49
481.86
D
534.67
500.24
K
533.69
491.98
x,y:任意座標、XY:公共測量座標
6-1 の面積(任意座標)
符
点
号
名
C
A1
212.45
161.82
17.17
3647.7665
G
A10
193.23
164.12
-16.09
-3109.0707
A
A8
193.23
145.73
-17.17
-3317.7591
B
A6
213.95
146.95
16.09
3442.4555
倍面積
663.3922
面積
331.6961
X 座標
Y 座標
Yi+1-Yi-1
Xi(Yi+1-Yi-1)
6-1 の面積(公共座標)
符
点
号
名
C
A1
532.49
481.86
17.17
9142.8533
G
A10
513.27
484.16
-16.09
-8258.5143
A
A8
513.27
465.77
-17.17
-8812.8459
B
A6
533.99
466.99
16.09
8591.8991
倍面積
663.3922
面積
331.6961
X 座標
Y 座標
Yi+1-Yi-1
Xi(Yi+1-Yi-1)
6-1 の面積は任意座標も公共座標も一致している。
13
6-2 の面積(任意座標)
符
点
号
名
C
A1
212.45
161.82
16.08
3416.1960
D
A4
214.63
180.20
22.79
4891.4177
E
A3
211.47
184.61
3.77
797.2419
F
A2
193.23
183.97
-20.49
-3959.2827
G
A10
193.23
164.12
-22.15
-4280.0445
倍面積
865.5284
面積
432.7642
X 座標
Y 座標
Yi+1-Yi-1
Xi(Yi+1-Yi-1)
6-2 の面積(公共座標)
符
点
号
名
C
A1
532.49
481.86
16.08
8562.4392
D
A4
534.67
500.24
22.79
12185.1293
E
A3
531.51
504.65
3.77
2003.7927
F
A2
513.27
504.01
-20.49
-10516.9023
G
A10
513.27
484.16
-22.15
-11368.9305
倍面積
865.5284
面積
432.7642
X 座標
Y 座標
Yi+1-Yi-1
Xi(Yi+1-Yi-1)
6-2 の面積も任意座標と公共座標で一致している。
次に、分筆後の面積を点検してみると、
6-2(B):6-2 を分筆した面積(B)
点
名
X
Y
Yi+1-Yi-1
Xi(Yi+1-Yi-1)
C
532.49
481.86
7.82
4164.0718
K
533.69
491.98
12.42
6628.4298
L
513.27
494.28
-7.82
-4013.7714
G
513.27
484.16
-12.42
-6374.8134
倍面積
403.9168
面積
201.9584
14
6-4(C):6-2 を分筆した面積(C)
点
名
X
Y
Yi+1-Yi-1
Xi(Yi+1-Yi-1)
K
533.69
491.98
5.96
3180.7924
D
534.67
500.24
12.67
6774.2689
E
531.51
504.65
3.77
2003.7927
F
513.27
504.01
-10.37
-5322.6099
L
513.27
494.28
-12.03
-6174.6381
倍面積
461.606
面積
230.803
(B)+(C)=432.7614m²であり、元の 6-2 の面積=432.7642m²との差は、0.0028m²<6 番 2
の面積誤差の限界(2.01m²)なのでクリアしている。
7-2
6-2(B)
K
8.32
D
5.
6-4(C)
I
A
△T2
14.49
3.90
N
縮尺1/300
△T3
H
43
E
道路
19.36
6-1
10.18
3.90 C
19.74
M
11.05
18.25
20.76
B
20.55
7-1
10.12
G
L
9.73
J
F
△T1