2009年版CSRレポート一括ダウンロード - 荏原製作所

E B A R A
E B A R A
G r o u p
C S R
R e p o r t
G r o u p
C S R
R e p o r t
2 0 0 9
荏原グループ
CSRレポート 2009
株式会社荏原製作所はチーム・マイナス6%に参加しています。
この印刷物の本文用紙は、森を
元気にするために間伐した木材の
有効活用に役立っています。
〒144-8510 東京都大田区羽田旭町11-1
TEL.03-3743-6111(大代表) FAX.03-5736-3103
e-mail [email protected]
U R L http://www.ebara.co.jp
ご意見・お問合せ CSR 企画室
インキは環境負荷の小さな、
植物性大豆インキを使用しています。
95-023-J02
3284②JI-H(BE)NK
荏原グループ
CSRレポート 2009
2 0 0 9
E B A R A
G r o u p
C S R
R e p o r t
2 0 0 9
荏原グループ
CSRレポート 編集方針
CSRレポート発行の目的
荏原グループはステークホルダー(荏原グループと関わる社内
荏原グループCSRレポート2008に
寄せられた皆様の声に対して
外の様々な利害関係者)
とのコミュニケーションを図りながら
● 従業員150名、社外13名からアンケート回答を得ました。
より信頼される企業へと成長していくことを目指しています。
● 従 業員からは、
「 会社が進もうとしている方向が見えた」、
C = Corporate
荏原グループ(企業)が
S = Social
社会に対して果たすべき
R = Responsibility
責任
「私たちの製品が社会の目に触れないところで役に立って
いることが示されていて良かった」
、などの感想が複数寄せ
られました。
● 社外からは、
「法令違反に対する対応状況がわかった」、
「コン
として、重要ととらえている課題にどのように取り組んでいるかを
プライアンスのより一層の強化を」
、
といったご意見が寄せら
ステークホルダーに報告し、
ご意見やご協力をいただき、改善に
れました。
つなげることを目的として発行します。
● 第 三者所感でいただいたご意見に関し、低炭素社会に向け
た取り組みについては、業績の悪化などにより規模の大きな
荏原グループ CSRレポート2009について
設備投資による対応は難しい状況にあります。業務改善活動
発 行 年 月 日:2009年8月10日
を通じて地道な省エネルギー活動を続けます。
制 作:荏原グループCSRレポート制作委員会
2010年に本格稼動する富津工場(羽田工場の移転)は、環境
発 行:
(株)荏原製作所CSR統括部 CSR企画室
配慮型工場として建設中です。来年のレポートで報告させて
報 告 期 間:2008年4月1日〜2009年3月31日
いただく予定です。
また、
「顧客目線」についてのご指摘については、顧客を含め
この期間以外は注釈記載
報 告 範 囲:日本国内の荏原グループ連結会社
荏原グループの事業活動に関わる様々なステークホルダー
の目線に立って報告するよう努めました。
これ以外は注釈記載
報 告 内 容:荏原グループのCSR活動
次 号 発 行 予 定:2010年8月
本レポートでの社名表記について
荏 原:
(株)荏原製作所単体を指します。
荏原グループ:荏原と荏原の子会社、関連会社を指します。
CSR重要課題の設定プロセス
● 2 007年10月に 発 足したCSRレ ポ ート制 作 委 員 会 の 下 に、
荏原グループ行動基準に則した9つのワーキング・グループ
を設け、課題抽出と改善活動を継続実施しています。
荏原グループCSRレポート2009のテーマ
荏原グループの情報提供
荏原ホームページ〈 http://www.ebara.co.jp/ 〉の各コンテンツ
をご覧ください。
■ エバラ時報 … …………… 荏原の技術、研究開発の最新情報。
「事業・製品」
からアクセスしてください。
■ Annual Report …………… 株主・投資家様向け情報。
「株主・投資
家情報」からアクセスしてください。
■ 事業報告書 … …………… 株主様への情報。
「株主・投資家情報」
からアクセスしてください。
■グループ会社の情報 ………「企 業情報」のページからアクセスして
ください。
●「ステークホルダーとのコミュニケーション」をテーマに制作
しました。荏原グループの活動がステークホルダーに対して
どのような影響を与えたかを報告するよう努めました。
● 従業員、顧客、お取引先様、株主・投資家を主要なステークホ
ルダーととらえています。
また、地域・社会及び環境への配慮、
情報セキュリティを重要なCSRテーマととらえています。
02
EBARA Group CSR Report 2009
図表の色・デザインについて
色覚に障がいのある方にも読みやすいよう配慮いたしました。
願いから、1998年より毎年、
「 荏原グループ世界の子ども
イタリア
子どもたちに自然の美しさや大切さを理解してほしいという
日
本
各ページの絵画について
環境絵画展」を開催しています。
子どもたちの目に映る環境がいつまでも豊かで美しいも
のであるよう、子どもたちの絵にこめられたメッセージを
受け止め、環境への思いを新たに活動しています。
皆様のご意見をお寄せください
様々な立場の皆様にご理解いただけるよう、一般的、
平易な言葉でお伝えするよう努めました。分かりにくい
ところ、もっと知りたいことを、
どうぞお知らせください。
荏原グループのCSR活動やCSRレポートの改善に生かせ
るよう努力してまいります。
e-mail:[email protected]
FAX .03-5736-3103
Tadiello Anastasiaさん(7歳)
細田 優さん(9歳)
C ontents
目次
社長メッセージ … ………………………………………………………
荏原グループについて ………………………………………………
社会、産業、
くらしを支える荏原グループ …
………………
04・05
06・07
08・09
2008年度 CSRトピックス Vol.1
困難な課題を総力で乗り越える荏原のものづくり。
〜 二相ステンレス製缶製ポンプ開発ストーリー 〜 … ………………
10・11
2008年度 CSRトピックス Vol.2
個人情報保護方針
http://www.ebara.co.jp/privacy/ に基づきます。
汎用ポンプ生産1,500万台の実績。その歴史を支えてきたもの。
〜 時代の変化に応えてきた汎用ポンプの歩み 〜 … …………………
2008年度 CSRトピックス Vol.3
バスケットボールの楽しさを多くの子どもたちに伝えたい。
お寄せいただいたご意見・お問合せ等の取り扱い
〜 女子バスケットボールチーム エバラヴィッキーズ 〜 … ………
荏原グループの
方針・体制・姿勢
http://www.ebara.co.jp/terms/ に準拠します。
表紙について
「ものづくりが支える
豊かな社会と人々の笑顔」
サービスは、普段目に触
れることの少ないところ
で、社会、産業、くらしを
支えています。
“縁 の 下 のち からもち”
として、豊かで過ごしや
すい社会づくりに寄与
することで、そこに暮らす人々の笑顔を支え続ける
を表現しました。
本レポートのご利用について
印刷物やインターネット上での無断複製・転載はご遠慮ください。
地球環境のために
ことを使命と考えて事業活動にまい進し続けること
14・15
16・17
コーポレート・ガバナンス … …………………………………… 18
内部統制・リスクマネジメント ………………………… 19・20
コンプライアンス … ………………………………………… 21〜23
企業理念とCSR ………………………………………………
地域・社会のために …
ステークホルダーのために
荏原グループの製品や
12・13
………………………………………
24・25
優れた技術と最良のサービスを提供するために
26・27
環境事業カンパニー … ………………………………… 28・29
精密・電子事業カンパニー … ………………………… 30・31
お取引先様とともに ………………………………………… 32・33
株主・投資家のために … …………………………………………… 34
情報セキュリティの取り組み … ……………………………… 35
従業員とともに … …………………………………………… 36〜39
風水力機械カンパニー … ………………………………
40・41
荏原グループの事業活動と環境への影響 … ……………… 42
環境マネジメント … ………………………………………………… 43
環境リスク・マネジメント … …………………………………… 44
環境教育、環境会計 … ……………………………………………… 45
地球温暖化防止対策 ………………………………………… 46・47
荏原グループ環境目標と2008年度活動成果 ……
第三者所感 立命館大学 経済学部教授 島田 幸司様 ………………
荏原グループの CSR 課題 …
……………………………………………
EBARA Group CSR Report 2009
48
49
03
社長メッセージ
右ページの写真は、大正10年から昭和
38年の42年間、東京都浅草田町のポン
プ場で使われていた荏原製ポンプです。
当 時としては 記 録 的 な 大 型 ポンプで、
クレーンもないような町工場で手づくり
されました。
(1994年産業考古学会推薦産業遺産認定)
この一年を振り返って
CSRレポートの発行も今回で2回目になりました。第一号
は、CSRについて荏原が目指している方向が良く理解でき
る内容であったと社内外の方からコメントを頂きました。
社会への貢献とは
2008年度におけるCSR活動を総括すると、
とにかくコー
社会の発展に継続的に貢献することが企業の目的であ
ポレートガバナンスを確立するための内部統制システムの
るのは言うまでもありません。そのために、企業は存続に必
構築に全力を上げました。具体的には、法令及び社会規範
要な利益を出すことで企業自身の継続性を保っていかなけ
の順守に加えて、2009年3月期決算から適用される金融
ればなりません。利益が出せなければ企業は存続を許され
商品取引法(いわゆるJ-SOX)による内部統制報告制度に
ず、社会への貢献という目的を果たせないことになります。
対応するための内部統制システムの整備活動に注力しま
この点を社員全員がしっかりと認識する必要があります。
した。
企業の実態は、法人という名称が示すように、日々の業務
法令及び社会規範の順守については、会社内で起きて
活動を行う社員の集合体にほかなりません。企業が社会
いる不適切あるいは違法な行為を会社が迅速に把握し
に 貢 献 するということは、そ れ を 構 成 する社 員 全 員 が
対応することができるよう、内部通報制度の重要性を訴え
社会に貢献していることと同じです。社員の皆さんは会社と
てきました。実際に不適切な行為を目撃したり、その被害を
いう場を通して社会に貢献し、且つ会社に利益を生み出
受けた方がその内容を経営幹部に直接伝える仕組みとして
させて、自分たちが社会に貢献する場を確保し続ける為に
のコンプライアンス相談窓口及びコンプライアンス・リエゾ
毎日の 業 務 を 行っているわ けで す。会 社 のCSR活 動 は
ン制度の重要性を社員の皆さんに理解していただくために
自分達のCSR活動であると理解していただければ、活動
「内部通報は会社のためになる。会社は通報してくれた人
自体への皆さんの理解も深まると思います。
に感謝している」
というメッセージを発信し続けています。
2008年度のコンプライアンスアンケートでは、経営陣の
コンプライアンスに対する取り組む姿勢に対して社員から
当社は2009年6月に国連グローバル・
一定の評価を頂きました。今後もコンプライアンスに対す
コンパクト
(以下 GC)に賛同、支持表
る社員の意見をくみ上げて、全取締役が参加する企業倫理
明しました。
委員会の場で議論し、コンプライアンスを重視する企業
GCが提唱する10原則を継続して実
風土の確立に向けてグループをあげて取り組んでいきたい
践致します。
と思います。
一人ひとりの仕事の結集で
社会の発展に貢献し続けたい
株式会社荏原製作所
代表取締役社長
04
EBARA Group CSR Report 2009
Top M essage
荏原の社会貢献の形
荏原は、産業機械メーカとして、最高の品質と性能の製品
ターにおけるジュニアプレイヤーの養成活動及び女子
をお客様に提供することで社会の発展・進歩に貢献すると
バスケットボールチームを核とした地域スポーツ振興活動
同時に、地球環境の改善にも貢献していくことを事業活動
等を通じて、事業以外でも社会に貢献し続けています。先輩
の目的としています。1912年の設立以来、先輩たちはその
たちから受け継いできた事業と技術・芸術振興、環境保全、
目的を果たすために働いてきましたし、今働いている私た
スポーツ振興、地域交流等を通した社会貢献のあり方は
ちも同じ思いを持って働いています。
私たちの宝です。宝を守るだけでなく更に大きくして、次の
また、畠山記念館における文化・芸術活動、畠山文化
財団を通した学術・文化に対する支援活動、日本のトップ
世代が更に大きな社会貢献ができるように私たちの責任
を果たして行きたいと思います。
テニスプレイヤーを輩出している荏原湘南スポーツセン
EBARA Group CSR Report 2009
05
荏原グループについて
荏原グループは、荏原、子会社104社(うち連結子会社53社)及び関連会社15社で構成されており、
カンパニー制度の下、風水力機械カンパニー、環境事業カンパニー、精密・電子事業カンパニーが
各分野で事業を展開しています。
荏原と国内55社(うち連結子会社23社)、海外64社(うち連結子会社30社)が
グローバルに活動しています。
(株)荏原電産
荏原テクノサーブ(株)
(株)荏原由倉ハイドロテック
荏原冷熱システム(株)
(株)荏原エリオット
Elliott Company
他
風水力機械
カンパニー
連結子会社
国内:11社 海外:22社
そ の 他
国内:17社 海外:22社
コーポレート
連結子会社
国内:5社 海外:1社
そ の 他
国内:3社
環境事業
カンパニー
精密・電子事業
カンパニー
連結子会社
国内:5社 海外:3社
連結子会社
国内:2社 海外:4社
そ の 他
国内:12社 海外:10社
そ の 他
海外:2社
荏原エンジニアリングサービス(株)
荏原環境プラント
(株)
青島荏原環境設備有限公司
他
06
EBARA Group CSR Report 2009
(株)荏原フィールドテック
(株)荏原九州
Ebara Technologies
Incorporated
他
荏原グループの概況※
(2009年3月末現在)
◆ 創 業
1912年11月
(ゐのくち式機械事務所)
◆ 設 立
1920年 5 月
(株式会社荏原製作所)
◆ 資本金
612億8,406万5,423円
◆ 従業員
連結 16,102人
■売上構成比※
(単位:百万円)
精密・電子事業
52,760 / 10.5%
■荏原グループ従業員構成※
連結
16,102 人
連結
501,149
エンジニアリング事業
146,045 / 29.2%
風水力事業
302,343 / 60.3%
■売上高※
(百万円)
600,000
環境事業カンパニー
5,397 人/ 33.5%
■海外売上高※
538,097
(百万円)
567,190
250,000
400,000
200,000
300,000
150,000
200,000
100,000
100,000
50,000
0
0
第143期
(08/3)
第144期
(09/3)
■営業利益※
(百万円)
15,000
■海外売上高 31.0%
海外売上高比率
36.1%
40%
35%
212,771
30%
180,975
167,061
25%
20%
15%
10%
5%
第142期
(07/3)
第143期
(08/3)
第144期
(09/3)
0%
■当期純利益※
(百万円)
9,000
13,249
6,000
12,000
7,608
5,446
3,000
0
9,000
-3,000
6,016
6,000
-6,000
-9,000
3,000
637
0
風水力機械カンパニー
8,491 人/ 52.7%
37.5%
300,000
501,149
500,000
第142期
(07/3)
コーポレート
480 人/ 3.0%
精密・電子事業カンパニー
1,734 人/ 10.8%
第142期
(07/3)
第143期
(08/3)
第144期
(09/3)
-12,000
-15,000
-13,113
第142期
(07/3)
第143期
(08/3)
第144期
(09/3)
※数値はすべて、
海外を含む連結。
EBARA Group CSR Report 2009
07
社会、
産業、
くらしを支える荏原グループ
荏原グループの製品、技術、サービスは、社会、産業、
くらしの様々な場面で
“縁の下のちからもち”としてお役に立っています。
L
K
F
J
E
D
I
H
C
B
A
3
〈社会〉
A 発電所
B 下水処理場
C ごみ焼却施設
D トンネル換気施設
E 雨水排水施設
F 浄水場
〈産業〉
G 鉄鋼業
H 石油・ガス産業
I 食品・飲料水産業
J 農業
K 半導体産業
L 各種産業のポンプ、水処理
08
EBARA Group CSR Report 2009
G
4
5
1
2
6
〈くらし〉
1 ビルの空調システム(冷凍機)
2 ビル・マンションの給排水ポンプ
3 ビルの空調システム(冷却塔)
4 換気ファン
5 FPD製造のための高真空を作るドライ真空ポンプ
6 コンピューターの心臓部“半導体” の製造装置
社会を支える荏原グループ
社会生活に不可欠な電力や都市ガスが家庭に届くまでに
は、ポンプやコンプレッサなどが活躍しています。上水道・
下水道の施設では、水処理・汚泥処理施設、ポンプ、送風機
などが支えています。大雨のとき、洪水から社会を守る施設
で荏原のポンプが役立っています。家庭やオフィスなどから
発電所向けボイラ給水ポンプ
汚泥処理施設
ごみ焼却施設
廃棄物処理施設
コンプレッサ
CMP装置*3
工場排水処理施設
F固定式排ガス処理装置
高層ビル用自動給水装置
ファン
ターボ冷凍機
水族館の水処理施設
出される廃棄物を処理する施設では、焼却技術やリサイク
ル・再資源化技術、焼却灰の減容化技術、
ごみ発電技術が
使われています。普段目にする機会は少ないかもしれませ
んが、荏原グループの製品、技術、サービスは、広く社会イ
ンフラを支えています。
産業を支える荏原グループ
鉄鋼、化学、石油化学などをはじめ、半導体、FPD*1、機械、
金属、製紙、食品、飲料など様々な産業の分野で、ポンプ、
コンプレッサ、タービン、冷凍機、水処理装置、半導体製造
装置、真空機器など多数の製品・技術が使われています。
また、地球温暖化ガスの一つで、半導体製造過程などで発
生するPFCガス*2 などプロセスガスの処理装置や、有機性
廃棄物などのバイオマス資源からメタンを回収する技術、
廃棄物から有価ガスを抽出する内部循環型流動床ガス化
炉など、地球温暖化対策や循環型社会の実現に役立つ製
品・技術開発も行っています。荏原グループの製品、技術、
サービスが、様々な産業を支えています。
くらしを支える荏原グループ
ビルやマンションなど建築物の高層階まで水道水を届け
るポンプユニットや、火災に備える消火ポンプユニット。
オフィスビルや公共施設、ショッピングセンターなど大規
模建築物の冷暖房を担う冷凍機や冷温水機。高層ビルや
地下街など密閉された空間の換気を行うファン。
アミューズ
メントパークや水族館の水処理施設、ビル等の厨房排水処
理施設。ふだん、直接目にすることはありませんが、
くらしの
様々な場面を支えているのも荏原グループの製品、技術、
サービスです。
*1【FPD】 液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネルなどの画面が平面になっているディスプレイ機器。
*2【PFCガス】 パーフルオロコンパウンド。
半導体の製造過程でエッチングや洗浄に用いられる代替フロンガスの一種。
京都議定書の規制対象となっている温室効果ガス。
*3【CMP装置】 半導体デバイスの平坦化を行うために用いられる研磨装置。
EBARA Group CSR Report 2009
09
お客様からの大きな期待
二相ステンレスという選択
2000年、荏原は、中東カタールの石油
まずは海水中でも腐食しにくい材料の
に高い「二相ステンレス鋼*1」でした。
化学プラント用大型ポンプについての
検討です。荏原は サウジアラビア海水
荏原は、共同研究で得られた知見をも
引き合いを受けます。当時、海水用ポ
淡水化公団(SWCC)
との共同研究を重
とに二相ステンレス鋼の仕様を決定
ンプはダクタイルニレジスト鋳鉄製が
ねました。その結果たどりついたのは
し、国内の素材ヴェンダーの協力を得
一般的でしたが、水温が高く、塩分濃
ステンレス鋼、それも強度、耐食性とも
て、共同で材料開発を進めました。
度も高い中東の海の条件を考えると、
その材料では応力腐食割れなどが課
題点として指摘されていました。
中 東 の 海 ならで は の 過 酷 な 環 境 の
中で、長期にわたって安定した性能を
発揮し信頼できるポンプ。荏原ならそ
れがつくれるに違いないという、お客
様の大きなご期待をいただきました。
2008年度 CSRトピックス Vol.1
困難な課題を総力で乗り越える
荏原のものづくり。
〜 二相ステンレス製缶製ポンプ開発ストーリー 〜
様々な壁を乗り越えて
きょうたい
一方、ポンプの筐 体については、技術
接構造を、あえて大型の海中ポンプに
ベル *2、吐出ボウル *3など、ポンプの
面、製造面、
コスト面など様々な観点か
採用する。それは新たな挑戦でした。
命といえる部分は鋳物で作るのが常識
ら検討した結果、ケーシングをすべて
原 子 力 製 品 で 培った 溶 接 技 術 力 を
でしたが、荏原はロンドン大学との共
二相ステンレス板材の溶接構造とする
生 かし、溶 接 構 造 の 弱 点を克 服 する
同研究によって確立した最先端の流れ
ことにしました。溶接部の強度面で難
独自の二相ステンレス溶接施工法が
解析技術を駆使し、製缶溶接構造でも
があり、腐食しやすいとされていた溶
生 み 出されました。また、従 来、吸 込
高い性能を達成いたしました。
Key Word
*1【二相ステンレス鋼】従来から使われてきたステンレス鋼と比べて孔食やすき間腐食に強く、
耐海水
腐食性に優れた材料。
強度にも優れるが、
熱には敏感で高度な溶接施工技術を必要とする。
*2【吸込ベル】羽根車の上流側に位置したケーシングの一部。
水がスムーズに羽根車に流入するよう
配慮された特殊な形状をなす。
その形状から、
別名吸込ラッパ管とも称される。
*3【吐出ボウル】羽根車の後流側に位置したケーシングの一部。
羽根車から吐出された水の流れを案内
羽根で軸方向に導く。
羽根車の吐出側にあり、
丸みを帯びた形状から吐出ボウルと称される。
羽根車組み込み作業
10
EBARA Group CSR Report 2009
*4【浸漬実験】多品種な材料からなるテストピースをポンプの使用環境と同等条件の海域に沈め、
一定
期間後に引き上げて各材料の腐食性能を評価する実験。
荏原のものづくりの象徴
こうして2002年、ついに「立型二相ステ
他の関係者の緊密な連携と協調、創
ンレス製缶製ポンプ」1号機が完成し
意工夫の結集から生まれたブレーク
ました。鋳物製に比べてはるかに軽量
スルーでした。二相ステンレス製缶製
で耐食性が高く、製造寿命にわたる維
ポンプは、
このような荏原のものづくり
持管理コストを重視した大型海水用ポ
の姿勢を象徴する成果といえます。
ンプ。お客様のその高度なご要望に、
荏原はお応えすることができました。
現在、このポンプの製造実績は約160
台にのぼり、世界のオイル&ガス市場
や海水淡水化プラント、発電プラントな
どで稼働、荏原の風水力機械事業にお
ける主力製品の一つになっています。
それは、荏原と素材ヴェンダーの皆様、
石油化学プラント向け 冷却用海水ポンプ(口径2000mm)
水温が高く塩分濃度も高い中東の海。
その過酷な条件の下で使われるポンプを鋳物でつくる場合、
鋳造制限、鋳造欠陥、耐腐食性や重量などの点でさまざまな限界がありました。
荏原に求められたのは、
そうした難題をクリアする新しいタイプのポンプ。
高品質で長く使える製品づくりを妥協なく追求してきた荏原が選択したのは、
ケーシングを全てステンレス鋼製缶製にする方法でした。
そして、素材の研究、製造技術の開発など各段階の壁に挑み、乗り越えながら、
ついに完成したのが「立型二相ステンレス製缶製ポンプ」。今や荏原の主力製品の一つである
このポンプは、調達先の皆様、研究機関などと一丸になってお客様満足を成し遂げる、
荏原のものづくりの姿勢を象徴しています。
極寒地の作業で
思わぬハプニング
青島荏原環境設備有限公司
塚原 重二
困難を極めた真夏の
サウジアラビアでの
浸漬実験*4
荏原 八鍬 浩
青島は日本の水戸とほぼ同じ緯度に位
先輩方から引き継いだ中東での
置しますが、
大陸にあるため真冬には
浸漬実験は、湾岸戦争やイラク戦
−2〜−10℃という厳しい寒さにみま
争の勃発により滞ることもありま
われます。
二相ステンレスポンプの溶接工程を担う青島荏原
した。
このままではいつまでも実験ができないと思い、
での仕上げ工程に、
ペースト状の“酸”を塗布して一定時間置
周囲から
「真夏のサウジアラビアでの屋外作業は危ない
いた後に水道水で洗い流す酸洗工程があります。初めての
ですよ!くれぐれも御用心を!」
と忠告を受けながらも、
自ら
冬、その洗い水が見る見るうちに凍結し、酸が洗浄される間
50℃の炎天下で20kgほどのパレットを汗だくになりなが
もなく氷のコーティングができ
ら4箇 所 に 沈 めました。
1年
てしまいました。その光景に目
後、
再びサウジアラビアに降
を見張り
「それはそれで美しく
り立ち、
唖然!ロープが切れ、
…」とも言っておられ ず、泡 を
パレットが1つ消えていたの
食って温水を沸かし無事に解決
です。
このような苦難の末に
しました。これも今では良い思
い出です。
得た貴重な成果は、様々な
青島荏原での吐出ボウルの溶接
サウジアラビアでの浸漬実験現場
思いのこもった宝物です。
EBARA Group CSR Report 2009
11
日本の高度経済成長に応えて
荏原のポンプには、
受注生産のカスタ
ぞれの時代のニーズに応えてきた歩み
ムポンプと、量産品である汎用ポンプ
そのものといえます。
があり、汎用ポンプは、
ビルやマンショ
ンの空調、
給排水、
消火設備などの多様
な用途に使われています。
1950年代、
社会の要請を的確に読む姿勢
軽量小型赤水対策FDP型ステンレス製
渦巻ポンプ
汎用ポンプを既に標準化していました
1970年代から、国内外にサービス網を
に応えました。
が、
日本の高度経済成長とともに需要
拡大するとともに、社会の要請にすば
お客様のニーズを正確に読み、求めら
はさらに拡大、社会インフラの整備に
やく対応し、的確に形にする量産体制
れるものをタイムリーに供給する生産
伴って信頼性の高いポンプが多量に
をさらに拡充していきました。たとえば
体制のもと、汎用ポンプの生産台数は
求められ、
さらに標準化を進めました。
1980年代に入って、ポンプや水道管の
1984年に500万台に達し、1996年には
そこで1965年、
藤沢に汎用ポンプ用の
素材から錆が流出する赤水が問題視
1,000万台の大台を超えました。それ
工場を新設、
量産体制に入りました。
されるようになると、荏原はいち早くス
は、長い歴史の中で磨かれた品質、そ
2008年11月、汎用ポンプ生産台数は
テンレス製ポンプや、鋳物をナイロン
してお客様のご要望への迅速な対応
第1号 機 から数えて累 計1,500万 台と
でコーティングする技術の開発に注力
がもたらした荏原ブランドへの信頼を
なりました。それはまさに、荏原がそれ
し、水道水の質に対する関心の高まり
物語る数字です。
2008年度 CSRトピックス Vol.2
汎用ポンプ生産1,500万台の実績。
その歴史を支えてきたもの。
〜 時代の変化に応えてきた汎用ポンプの歩み 〜
市場が真に求めるものを
(株)荏原テクノサーブから荏原藤沢
ニーズにきめ細かくお応えしています。
工場に出荷指示を出して迅速に納品す
荏原のポンプづくりを支えているのは
現在、全国の販売代理店、特約店を通
る体制をとっています。荏原藤沢工場
「製品は常に市場に受け入れられる
じて設備会社やマンションオーナーな
で生産するポンプは150機種に及び、
ものでなければならない」
という意識
どのお客様からのご注文をいただき、
多品種少ロット生産によってお客様の
です。
■荏原汎用ポンプの歴史
1960年代
社会情勢
'60所得倍増計画
'64東京オリンピック
累 計
生産台数
'65 4万台
1970年代
'73オイルショック
'71 100万台
'65藤沢工場汎用ポンプ '74藤沢工場P2工場
工場完成
新設
デルチェンジ形
モ
S型渦巻ポンプ発売
'76自動給水ユニット
発売
1980年代
赤水問題
1990年代
'90バブル崩壊
'84 500万台
赤水対策ポンプキャン
ペーン。ステンレスポン
プを前面に出す。
'96 1,000万台
2000年代
省エネルギー
'08 1,500万台
'99直結給水ユニット
PN、PNC発売
'00販売・サービス会社
荏原テクノサーブ発足
'01新型直結給水ユニット
PNE発売
脂製水中ポンプ
樹
発売
荏原
汎用ポンプの
動き
S型1号機
12
EBARA Group CSR Report 2009
自動給水ユニット
フレッシャー100
LPS型
ステンレス製
ラインポンプ
DWS型
樹脂製汚水・
雑排水用水中ポンプ
直結給水ユニットPNE
そこに活かされているのは、販売代理
き続けることによって、効率、環境適合
店をはじめ、荏原グループのお客様と
性などあらゆる面で、お客様のニーズ
現場のさまざまな声です。1,500万台と
に応え続けられる汎用ポンプを追求し
いう記録は、
この声に耳を傾けてとらえ
ていきたいと考えています。その先に、
たニーズと、それを具現化する協力会
1,500万台を超えたさらなる実績を積
社や荏原グループの技術、その総力が
み重ねていきたいと考えています。
あったからこそなしえたものと考えて
います。
1,500万台、そしてその先へ
今日、汎用ポンプへのニーズはさらに
高度化し、お客様のご要望は省エネル
ギー化や給水圧力の最適制御などに
推定末端圧一定台数制御給水ユニット
(高層ビル用)F3100BN
も及んでいます。知識と技術を更に磨
荏原の藤沢工場ショウルームに、
リボンをまとった1台のポンプがあります。
口径80mm、出力11kWのステンレス製立形多段ポンプEVML型。
1965年に藤沢工場が生産を開始して以来、
汎用ポンプ生産台数累計1,500万台目となった記念すべき製品です。
その実績は、
お客様の声をもとに、荏原の事業をとりまく
さまざまなステークホルダーの力が一体になって達成されたものにほかなりません。
練り上げた技術とサービス体制を基盤に、求められる製品をタイムリーに供給し、
いっそう高度化するお客様の要望に、開発・設計から販売、
アフターサービスにいたる
総合力でお応えしていきます。
組織力×製品力の
相乗効果が
お客様からの信頼を支えています
橋本産業株式会社
常務取締役 本部長
岩瀬 清様
お客様の信頼を礎に、
多様化するニーズに
応えます
荏原テクノサーブ(株)
専務取締役 荒川 信之輔
汎用ポンプ1,500万台の実績は、エバラさんが他のメーカに
全国の代理店と当社76ヶ所のサービス網を駆使し、お客
はない独自の代理店網を確立した結果であり、
この組織の活
様に密着した営業活動、サービス活動を続けてきたこと
躍と強力な製品への信頼があったからだと思います。
が荏原ブランドに対する大きな信頼につながり、汎用ポ
特に地方の工事業者や卸し店は、エバラの看板が信用のもと
ンプ生産1,500万台という記録を成し得たのだと思いま
となり信頼されてきました。
す。近年複雑多様化するお客様のニーズを的確にとらえ
要は組織力×製品力の相乗効果が1,500万台の実績につな
て製品に反映させることが必要です。住環境の改善や世
がったのだと思います。
界の水環境への対応など今後ますます多様化するお客
上記ポイントにますます磨きをかけ拡販していきたいと思い
様のニーズに適切かつスピーディーに応えられるよう、
ます。
荏原の技術、製造部門、代理店と連携しながら全力を
投入してまいります。
EBARA Group CSR Report 2009
13
“熱と誠”の思いが
チームの原点
スポーツを通じて
地域社会に貢献したい
女子バスケットボールチームは、1971
ヴィッキーズは実業団チームとして公
ケットボールが好きでなかった子ども
年、当時の人事勤労部長の情熱によっ
式戦に参戦する傍ら、試合遠征先の地
たちが「本物の技に触れる」
ことによっ
て創部されました。1990年には、荏原
域や、荏原の事業所近隣の小中学校
て、めきめき上達し、目が輝いていく
の取締役やバスケットボール部長が
で、体育授業やバスケットボールクリ
姿は、
「頑張ればできる」自信につなが
中心となって荏原グループあげての後
ニックの講師として積極的に参加して
り、学校の先生方やPTAからも好評を
援会が発足され、社内公募でチーム
います。運動が得意でなかったり、バス
いただいています。2008年度は30回、
名を”エ バラヴィッキーズ”と命 名し、
2,628人の子どもたちとバスケットボー
2001年 にはWJBL*1 に入 会して活 動
ルを通じて交流することができました。
しています。2003年からは、現部長の
子 ど も た ち の ひ た む き な 姿 か ら
地域貢献への思いから、小中学校で
「熱と誠 *2」を実感することがこの活
のバスケットボールクリニックを開催
動を継続する原動力になっています。
するなど、多くの人たちの”熱と誠“が
スポーツの楽しさを多くの人に知って
結 集して、社 会 人スポーツの 振 興 や
地域活動に寄与しています。
学校授業支援
いただく活動を永く続けていきます。
〈 詳細:http://www.ebara.co.jp/csr/localsociety/sports_exchange.html 〉
2008年度 CSRトピックス Vol.3
バスケットボールの楽しさを
多くの子どもたちに伝えたい。
〜 女子バスケットボールチーム エバラヴィッキーズ 〜
2008年 国民体育大会優勝
2008年に大分県で開催された第63回国民体育大
会に東京都の要請を受けて都代表チームとして参
戦し、強豪チームとの激戦を勝ち抜き、見事優勝の
栄冠を得ました。
ますますの活躍に期待
東京都バスケットボール協会 理事長 成澤 偉三郎様
東京都に優勝の栄誉をもたらしていただき、心から
お礼を申し上げます。バスケットボールの振興と青少年
これは東京都にとって26年ぶりの快挙で、
東京都バス
の健全な育成に貢献するエバラヴィッキーズのますま
ケットボール協会様から感謝状をいただきました。
すのご活躍を期待しております。
クリニック活動及び学校授業支援(2008年度)
2008年 国体参加経緯
■クリ ニ ック ク
ラブ活動をしている団体からの依頼
17箇所 対象人数延べ1,402名
4月 東
京都バスケットボール協会より強化選手派遣
要請受託
■学校授業支援 学
校長から、体育授業及び総合学習の一環として講師の派遣依頼
小中学校11校13回 対象人数延べ1,041名
8月 関
東ブロック大会で2007年の国体優勝チームに
勝利し、国体関東ブロック代表に決定
■イ ベ ン ト 行政、都市協会、地域諸団体との協働事業
11月
(おおたふれあいフェスタ、品川区バスケットボールフェスタ他)
9月 国体本戦の準決勝で2007年度優勝チームに勝利
10月 決勝戦で勝利し、東京都代表チームとして優勝
実業団チームでの活躍、国体優勝、永年にわたるバスケットボールクリニックによる社会貢献活動が認められ、
社内褒賞制度で2008年度CSR貢献褒賞*3特級を受賞しました。
14
EBARA Group CSR Report 2009
子どもたちから贈られた横断幕の中での試合
photo by Yoshihiro KOIKE
多くの人の「熱と誠」の結集で活動するエバラヴィッキーズ。
より高い目標に向かって一丸となって日々、努力しています。
エバラヴィッキーズが、バスケットボールを通じて地域や子どもたちとの交流を深め、
明るい社会づくりに貢献していくことも荏原グループが社会に果たす重要な役割の一つです。
2008年、国民体育大会に東京都代表チームとして参加し、全国優勝を成し遂げられたのは、
たくさんの人たちの協力や声援のお陰です。
スポーツを通じて
地域のため、
子どもたちのために
エバラヴィッキーズ
部長兼監督 坂根 茂
多くの人たちの
声援に
感謝しています
エバラヴィッキーズ選手
阿形 美由紀
7年程前、対戦チームが小学校の授業でバスケットボー
昼間は仕事、終業後は練
ルを教えていることを知り、私たちも実施してみようと
習、休日は 試 合という、
思い、教育委員会や校長会で地域スポーツの説明を
忙しいけれども充実した
させていただきました。企業PRでなく、
スポーツを通じて
日々を過ごしています。
子どもたちの健全な育成に貢献したい思いは、子どもた
バスケットボールを通じ
ちが生き生きとしている姿で、先生やPTAにも理解を得
て子どもたちや地域の人たちと交流できたのをきっかけに、
ることができました。バスケットボールクリニックに参加
多くの人が応援してくださることは本当に嬉しく、感謝の気持
してくれた子どもたちがヴィッキーズの公式戦に大勢応
ちでいっぱいです。国体で優勝できたのも皆さんのお陰だと
援に駆けつけてくれるのも、私たちの大きな励みです。
思っています。
photo by Yoshihiro KOIKE
*1【WJBL】バスケットボール女子日本リーグ機構
(Woman's Japan Basketball League Organization)
の略称。
*2【熱と誠】荏原創業の精神。
P16参照
*3【CSR貢献褒賞】CSR活動を通じて社業の発展、
向上に寄与した業績に対して贈られる。
2008年度に従来の環境貢献褒賞を包含して新設。
EBARA Group CSR Report 2009
15
荏原グループの方針・体制・姿勢
企業理念とCSR
企業理念の達成は荏原グループが社会に対して果たすべき責任(CSR)
です。
企業理念を達成するには、単に結果だけを追求するのでなく、
結果に至る一人ひとりの行動のありかたも
「荏原グループ行動基準」に則して律しています。
創業の精神「熱と誠」
と企業理念
CSR推進体制
創業者で初代社長の畠山一清は何事も熱意と誠心をもっ
CSR統括部管下には、①CSR活動の企画・推進、②コンプラ
て人に接することによって、信頼関係を築いていくことを
イアンス、③人権啓発、④環境保全の推進、⑤貿易ルールの
「熱と誠」
と表現し、経営の中に具現化することを追求して
順守、⑥適正取引の確保、⑦製品の品質・安全性確保、を
いました。
目的とする部門が設置されています。
これらの部門は、経営
荏原グループはこの創業の精神に則して、ステークホル
企画、内部統制、人事、各カンパニー(事業部門)、
グループ
ダーに信頼され、社会とともに発展し続けられる企業で
会社など、関係部門と連携しながらCSR経営の継続的な
あることを目指しています。荏原グループの企業理念「水と
改善にあたっています。
空気と環境の分野で優れた技術と最良のサービスを提供
することにより、広く社会に貢献する」の根底には、創業の
精神「熱と誠」が常に生きています。
荏原グループ行動基準
企業理念を達成するための行動規範「荏原グループ行動
創業の精神『熱と誠』
企業理念
水と空気と環境の分野で、
優れた技術と最良のサービスを提供することにより、
広く社会に貢献する。
基準」は国内荏原グループ全ての役員
(取締役及び執行役
員)
と従業員
(理事、正社員、顧問、パート・アルバイト、出向
受入者など、会社と雇用関係にある全ての者)に適用され、
これに従って行動することを宣言しています。経営方針、
環境方針、品質方針、調達方針、人事方針など事業活動上
のあらゆる方針の達成に向けても行動基準に則して行動
しています。
すべての役員、従業員は「行動基本原則5か条」によって
自らの行動をチェックします。この基本原則は、2000年に
荏原藤沢事業所で起きたダイオキシン流出事故*1をきっ
かけに定められました。
「適切な行動を怠ると重大な事故
荏原グループ行動基準の骨子
◆ 水と空気と環境の分野で優れた製品とサービスを
グローバルに提供します。
◆ 企 業倫理を十分に認識し、法令を順守すると共に
社会規範を尊重します。
◆ 事業活動にあたって、地球環境保全に配慮します。
◆ ステークホルダーと公正で良好な関係を保ちます。
◆ 経営層及び従業員は各々の職務に対し責任を果たし
ます。
※海外グループ会社では、各国の法令、社会規範、慣習等を考
慮して各々の行動基準を定めて適用しています。
に至ってしまう」
ことを教訓とし、事故が判明した3月23日を
企業の社会的責任について考え直す機会として
「行動基本
原則再確認の日」
と定め、1年間の行動を振り返り、社長から
行動基本原則5か条
すべての役員、従業員に対してメッセージが配信されます。
1. いかなる些細な行動も重大な結果につながることを
自覚する。
2008年度の行動基本原則再確認の日には、行動基本原則
2. 行動する前に、その目的及び意味を確認する。
5か条と業務の質の向上とのつながりについて具体的な説
明が行われました。
3. 行動にあたっては、定められた手順・ルールに従う。
4. 行 動を振り返り、確認すると共に、行動の結果に責任
を持つ。
5. 視野を広く取り、自己の担当部分以外にも配慮しつつ
行動する。
*1【ダイオキシン流出事故】 http://www.ebara.co.jp/dioxin/
16
EBARA Group CSR Report 2009
中
国
姜昊さん(11歳)
荏原グループの方針・体制・姿勢
CSR課題の抽出と継続的な改善
経営全般・内部統制・コンプライアンスW.G.
2007年10月に、CSR担当役員を委員長としてCSRレポート
ました。
この委員会は、CSRレポートの制作を進めながら、
荏原グループのCSR課題を認識し、
グループ内にCSR意識
の醸成を図ることを任務としています。荏原グループ行動
基準の7つの章に則して、委員会の下に9つのワーキング
グループ(以下、W.G.〈右図参照〉)を設け、各W.G.ごとにCSR
課題の抽出と目標設定を行い、活動の進捗状況や成果を
レポート制作委員会
制作委員会を発足し、2008年にCSRレポート第1号を発行し
C
S
R
委員会に報告し、CSR活動の継続的な改善を図っています。
顧客W.G.
株主・投資家W.G.
取引先W.G.
荏原グループ従業員W.G.
環境W.G.
地域・社会・コミュニケーションW.G.
情報セキュリティW.G.
ステークホルダーのために
CSRレポート編集W.G.
行動基準とCSR活動
2008度は、荏原グループ行動基準をCSRの基本的な考え方ととらえて、CSR課題の抽出と改善活動を行いました。
行動基準の各章とその成果を本レポートで報告しています。
行動基準の各章
私たち = 役員及び従業員
各章の目的
本レポートでの 活動推進に関わる
成果報告の
主なW.G.※
参照先
第1章 企業活動と私たち
荏原グループの企業活動に関する基本姿勢
を表明し、
これに沿って行動します。
16・17ページ
18・19ページ
全W.G.
第2章 法令・社会規範などと私たち
私たちは、法令、社会規範、社内ルールを
順守し、
自己の行動を絶えずチェックします。
20〜23ページ
A
第3章 環境保全と私たち
日常業務及び、製品、サービスを通じて地球
環境を守ります。
40〜47ページ
F
第4章 社会と私たち
社会と適正に関わり、行動します。
24・25ページ
G
I:CSRレポートによる
情報発信
第5章 顧客・株主などと私たち
顧客、取引先、株主・投資家、競合会社など
利害関係者と適正に関わり、行動します。
26〜31ページ
32・33ページ
34ページ
B
D
C
第6章 荏原グループと私たち
経営者はリーダーシップを果たし、役員及び
従業員は職務や職場における責任を果たし
ます。
また、役員及び従業員は会社の財産を
守ります。
35ページ
36〜39ページ
H
E
第7章 運用体制
行動基準を実効あるものにするための運用
体制を保持します。
16ページ
21〜23ページ
全W.G.
A
地球環境のために
A
※ A:経営全般・内部統制・コンプライアンスW.G. B:顧客W.G. C:株主・投資家W.G.
D:取引先W.G. E:荏原グループ従業員W.G.
F:環境W.G.
G:地域・社会・コミュニケーションW.G.
H:情報セキュリティW.G. I:CSRレポート編集W.G.
EBARA Group CSR Report 2009
17
荏原グループの方針・体制・姿勢
コーポレート・ガバナンス
荏原は、
ステークホルダーから信頼され、
社会に認められた企業となる上で、
コーポレート・ガバナンスの強化が不可欠と認識し、
継続的改善に取り組んでいます。
コーポレート・ガバナンス体制
取締役会コンプライアンス行動計画
荏原では、取締役会が経営上の重要な意思決定と業務執
荏原グループの重要方針であるコンプライアンスの徹底を
行の監督を行う一方、監査役会を設置し取締役の職務執行
取締役会が率先垂範するために、2007年度より
「取締役会
などを監督しています。
コンプライアンス行動計画」を策定し、それに基づき年間を
経営の透明性と客観性の観点から、取締役会では当社と利
通じて計画的な活動を行っています。
害関係のない社外取締役を2名(11名中)選任し、監査役会
2008年度は、代表取締役社長から、荏原グループの役員、
は過半数(5名中3名)
を社外監査役としています。
従業員に対し、反社会的勢力との一切の関係遮断を再
社外取締役は、取締役会の場などを通じて客観的な立場
確認するメッセージの伝達や、外国公務員への贈賄など
からの意見で意思決定の妥当性を高めるほか、
「取締役候
の未然防止対策の実施、また取締役会として取締役及び
補者指名委員会」および「報酬委員会」の過半数を占め、
主に公共営業に携わる従業員に対して不祥事の未然防止
取締役選任プロセスや取締役等の報酬決定プロセスの
対策に関する教育訓練の実施、などの活動を行いました。
適切性・透明性確保のために関与します。
業務執行に関わる意思決定の迅速性や事業の効率性を高
グループ・マネジメント
めるため、2002年から執行役員制度を導入するとともに、
2005年より社内カンパニー制に移行しています。
さらに、全社の経営方針・経営戦略の策定や経営上の重要
荏原グループでは、各社の自立性と自主性を尊重しつつ、
課題への対応については、
「経営会議」を設置して十分な
内部統制の整備、
コンプライアンス教育、
リスク・マネジメン
審議を行い、取締役会での審議を行っておりその決定事項
ト、環境マネジメントなどグループ最適経営に欠かせない
などについては、
「 執行役員会」を活用するなどの方法に
経営基盤の連携を図っています。また、事業運営面では各
より会社内部への効率的な情報伝達を図っています。
関係会社をカンパニーの管理下に位置付け、各種の経営
計画を統合的に管理することにより、
グループ経営の強化
に努めています。
■コーポレートガバナンス模式図
(2009年7月1日現在)
株
取締役候補者指名委員会
酬
委
員
会
経
営
監
査
室
内部監査
営
会
議
リスク・マネジメント・パネル
内部統制統括部
コンプライアンス室
経営計画委員会
18
EBARA Group CSR Report 2009
報告
報告
取
会
選任・解任
締
役( 会 )
選任・解任・監督
内部監査
報告
経営・業務執行支援
経
総
監査
代表取締役社長
指示・
情報伝達
執 行 役 員
(会)
関
係
報告
監査・報告
会
社
監
選任・解任
査
役( 会 )
補助
報告
監査
監 査 役 室
会 計 監 査 人
選任・解任
報
主
スペイン
内部統制・リスクマネジメント
荏原グループは、
コンプライアンスを最優先とする方針の下、
業務の適正を確保するために
内部統制システムを構築・評価し、
持続的発展と企業価値の向上を目指しています。
■内部統制報告制度への対応
金融商品取引法に基づき、2008年度から全ての上場企
業に対して、財務報告に係る内部統制報告制度が適用さ
■内部統制推進体制
れました。荏原もこの制度に沿って、
「全社的な内部統制」
荏原では「内部統制整備推進統括部」が会社法と金融商品
「 決 算・ 財 務 報 告プ ロセス」
「 その 他 の 業 務プ ロセス」
取引法に基づく内部統制システムを構築・評価しています。
「IT全般統制」の4つの対象項目について、内部統制の構築
◆内部統制推進体制図
社 長
「全社的な内部統制」については、連結グループ各社を対
内部統制統括部
象に、内部統制の整備・運用状況を6つの基本的要素(統制
環境、
リスク評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリン
財務報告リスク統制室 企業リスク統制室
グ、ITへの対応)から多角的に評価しました。
金融商品取引法
(J-SOX)
会社法に係る
に係る内部統制の
コーポレート・ガバナンス、
整備・運用
内部統制の改善推進
風水力
機械
カンパニー
と評価を行いました。
環境
事業
精密・
電子事業
カンパニー
カンパニー
「決算・財務報告プロセス」
「その他の業務プロセス」及び
「IT全般統制」に関しては、連結売上高の3分の2をカバー
する主要会社(国内6社、海外1社)を対象に、
コーポ
レート
◆決算処理の業務プロセス
◆売上・売掛金・棚卸資産等に関連する業務プロセス
■内部統制基本方針
◆IT基盤の全般統制(アクセス管理、変更管理等)
荏原グループでは、荏原および国内連結子会社のすべて
について業務内容や業務の流れを文書化(可視化)
しまし
が、それぞれ内部統制システム構築の基本方針について
た。それらに基づいて、財務報告上のリスク
(不正やミス等)
取締役会決議を行いました。荏原グループは、これらの
を洗い出し、必要な統制(コントロール)
との対比表を作成・
整備し、評価しました。
さらに実際に統制が行われているか
行うとともに内部統制システムが有効に機能しているか
を検証するため、キーとなる統制について、評価メンバー
を検証し、
PDCAサイクルにより常に内部統制システムを
が現場で運用評価(証跡との突合せ等)を実施しました。
改善していきます。
評価の過程で発見された不備事項については、その都度
責任者に改善を促し、是正しました。
■内部統制評価の枠組み
以上の結果、2008年度の連結
内部統制の独立的評価(社内)+ 内部統制監査(監査人)
グレード ( 社) A
7
財務諸表監査
業務プロセス評価
売上に到る業務プロセス
会計
仕訳
売掛金に到る業務プロセス
会計
仕訳
棚卸資産に到る業務プロセス
会計
仕訳
*1
集約
I T 全般統制
全連結会社
間接的に影響
な欠陥は見当たらず、一定の
財務報告の信頼性を確保でき
集約
決算・財務報告に
係る業務プロセス
ベ ース の 財 務 報 告 に は 重 要
ましたので、その旨を取りまと
連結
財務諸表
め、6月26日付 け「内 部 統 制 報
告書」
として提出しました。監査
法人による監査意見も、
「内部
財務報告の適正性
(決算書が正しい)
の確保
統制監査報告書」において無
限定適正意見として表明され
ています。
全社レベル統制評価
全社的統制
決算・財務報告プロセス
*1【グレ ードA(7社)】連結売上高の
3分の2をカバーする主要7社。
EBARA Group CSR Report 2009
19
地球環境のために
基本方針の下、業務の適正を確保するための体制整備を
ステークホルダーのために
会社法・金融商
品取引法に係る
内部統制の評価
内部監査
経営監査室
(2009年7月1日現在)
荏原グループの方針・体制・姿勢
内部統制システム構築と評価と
そのグループ展開
Diaz Garcia Pabloさん(14歳)
荏原グループの方針・体制・姿勢
内部統制・リスクマネジメント
■反社会的勢力との関係遮断
会」を設けています。
荏原グループは、荏原グループ行動基準において、反社会
この体制の下で、包括的なリスク管理活動として、
的勢力に資金やその活動のための社会基盤を提供しない
◆発生し得るリスクの洗い出しを行い、
リスクを可視化する
ことを明記し、内部統制基本方針に基づいて反社会的勢力
◆各リスクの分析と評価を行い、優先して対応すべきリスク
との「一切の関係遮断」のための全社的体制整備を行って
の順位をつける
います。
◆リスクの予防・対策の方針を立て、
対応責任部署を定める
2008年度には、代表取締役社長が「反社会的勢力との関係
◆リスクの予防・対策を実施し、モニタリングを行う
遮断に関する基本方針」を宣言し、荏原グループが反社会
◆リスク情報の共有化等を通してリスク・マインドを醸成する
的勢力との関係を一切遮断することを表明しました。そして
などを実施しました。
また、
個別的な活動としては、
リスク管
弁護士を委員とする社外審査委員会、社内統括室、
グルー
理の対象となる個々の案件についての審査の実施とクラ
プ内の各地区対策室からなる反社会的勢力対策本部を設
イシス発生時の対応の統括を行っています。
クライシス対
置し、組織として反社会的勢力に対して断固たる態度をとる
応テーマの一つとしては、
新型インフルエンザを取り上げ、
ようにしています。
万一の場合に適切な対応がなされるよう行動計画を策定し
ています。
またさらに、
安全保障貿易、
環境管理等、
特定のリスクテーマ
リスク管理
については組織横断的な委員会を設置し、
対応しています。
■リスク管理体制
■グループリスク管理
荏原は、荏原グループのリスク管理を統括する組織として、
荏原グループ内では、
グループ間で特定のリスク、個々の会
代表取締役社長を委員長、全常勤取締役を委員とする
「リス
社における固有のリスク、各社に共通するリスク、さらにグ
ク・マネジメント・パネル」
を設置し、
その下部組織として各
ループ全体のリスクについて、情報の共有化をすることによ
カンパニー及びコーポレートに「リスク・マネジメント委員
り、
グループとしてのリスク管理体制の充実に努めています。
■荏原グループリスク管理体制
◆包括的活動(全社的リスク管理)
◆案件管理
取締役会
リスク・マネジメント・パネル
コンプライアンスリスク
特定リスク
企業倫理委員会
組織横断的委員会
リスクの網羅的抽出
カンパニー/コーポレート
リスク・マネジメント委員会
リスクの網羅的抽出
各子会社
20
EBARA Group CSR Report 2009
案件リスクの抽出
各統括部
案件リスクの抽出
各子会社
各統括部
案件審査/審査部門
韓
国
コンプライアンス
荏原グループは、
ステークホルダーの皆様から信頼される
良き企業市民であるために、法令順守のみならず、
社内規定・その他のルール、社会規範、
そして常識・良識を含めて、
誠実に実践することをコンプライアンスと定義しています。
企業倫理委員会
企業倫理委員会は、荏原グループ行動基準に準拠したコン
を頂点として体系的に構築されています。
プライアンスを全社に浸透させ、コンプライアンス経営を
企業倫理委員会で決定される諸施策の運用・展開を確実に
推進することを目的として、2005年5月に設置しました。
グループ全体で徹底するため、2007年度に関係会社で
ここでは、荏原グループの企業倫理・コンプライアンスに
構成される
「グループ・コンプライアンス連絡会」を設置
関わる事項について部門責任者から報告を受け、委員が
しました。
また、各職場でのコンプライアンス・リスクの早期
情報を共有して審議するとともに、必要な改善指示を行い
発見などを目的とした「コンプライアンス・リエゾン制度」
も
ます。改善指示が出された場合、当該部門は次回の委員会
設けました。
までに対処し、報告することになっています。
このネットワークに加え、個別の相談に対応する
「コンプラ
委員会は、原則として年4回開催され、必要に応じて委員長
イアンス相談窓口」の運営などを通して不正行為を未然に
が臨時委員会を招集します。2008年9月の企業倫理委員会
防止し、再発を防止するための情報交換を行っています。
からは、開催概況をイントラネットに掲載し、適正取引に
いずれも、コンプライアンス室が事務局を担当し、情報や
関する内部監査の結果、適切に行われていること、内部
活動の一元化を図っています。
通報制度(コンプライアンス相談窓口など)が、有効に機能
しており、
コンプライアンス・リスクを軽減していることなど
■荏原グループ・コンプライアンス体制図
をお知らせしています。
ステークホルダーのために
荏原グループのコンプライアンス体制は、
「企業倫理委員会」
荏原グループの方針・体制・姿勢
コンプライアンスの徹底
Lee Yeon Jungさん(7歳)
企業倫理委員会:委員長 社長
荏原グループ・コンプライアンス連絡会
委 員
荏原では、
グループ会社の企業倫理担当部門の交流を通
全取締役
を目的として
「荏原グループ・コンプライアンス連絡会」を
常勤監査役
設けています。2009年2月に第3回の会議を開催し、すべ
ての国内関係会社の代表者や企業倫理責任者等が参加
アドバイザー:
コンプライアンス相談窓口担当弁護士
しました。
事務局:コンプライアンス室
荏原グループ・
コンプライアンス連絡会
関係会社各社の企業倫理
責任者及び担当者で構成
荏原・コンプライアンス・
リエゾン委員会
全国の事業所、支社、支店
など各拠点にコンプライ
アンス・リエゾンを配置
コンプライアンス
相談窓口
社外弁護士
グループ・コンプライアンス連絡会開催風景
EBARA Group CSR Report 2009
21
地球環境のために
じてグループ全体のコンプライアンス経営を推進すること
荏原グループの方針・体制・姿勢
コンプライアンス
コンプライアンス・リエゾン制度
コンプライアンス相談窓口
コンプライアンス重視の社風を形成し、
コンプライアンス・
組織や個人による法令違反や社内規定違反があった場合、
リスクに対する自浄作用を高めることを目的としてコンプ
その事実を速やかに認識し、早期に改善・解決を図ること
ライアンス・リエゾン*1 制度を2007年度に導入しました。
が必要です。
コンプライアンス違反が疑われるときは、上司
これは本社及び全国の拠点に「リエゾン委員」を配置し、
や専門部署などに相談するのが基本ですが、様々な事情で
日常業務の中で生じるコンプライアンス関連問題の身近な
社内で相談するのがためらわれる場合もあります。荏原グ
相談窓口とする制度です。2009年1月のリエゾン委員研修
ループでは社外に「コンプライアンス相談窓口」を設置し、
では社長から
「企業・個人が法令・社会規範に触れる可能
公益通報者保護法(2006年4月施行)も視野に入れて運用
性が著しく増大している現在、
リエゾン委員は会社を不祥
しています。コンプライアンス相談窓口は各職場にコンプ
事から救う内部通報制度の伝道師であれ」
との激励を受け
ライアンス啓発ポスターを提示して周知徹底しています。
ました。今後は、関係会社にもその活動を広げていく予定
窓口に相談が寄せられた際、相談者と窓口との間で解決
です。
する場合と、相談者と窓口、会社が一体となって解決する
場合があります。後者の場合、会社には相談者個人が特定
できる情報は伝えられず、相談者のプライバシーは保護
■コンプライアンス啓発ポスター
される仕組みになっています。
2003年3月の 開 設 以 来、2009年3月末 現 在 で 約180件 の
相談を受け、適切に対応しています。
■“コンプライアンス相談窓口”運用フロー
コンプライアンス相談窓口
(社外弁護士)
相談
勧告
助言
回答
報告・照会
助言・勧告
調査
回答
相談
◆相談者
◆会社側
荏原グループ従業員
コンプライアンス室
調整
関係者
グループ各社のコンプライアンス担当窓口の
連絡先が記載されています。
*1【リエゾン】 フランス語の
「Liaison」
。
橋渡しの意味を持ちます。
22
EBARA Group CSR Report 2009
当該関連部門
ベトナム
Le Ha Linhさん(8歳)
荏原グループの方針・体制・姿勢
コンプライアンス意識の浸透調査(アンケート)
荏原グループでは、コンプライアンスがどれほど従業員の
意識の中に定着し、実行されているかを調査・評価するた
気軽に相談できる
存在でいたい
め、2004年度より毎年1回、アンケート調査を実施していま
コンプライアンス・リエゾン
荏原 畠山 雅規
す。そのねらいは以下のとおりです。
◆従 業員のコンプライアンスに対する理解度(コンプライ
企業経営上、ルール違反は重大なリスクとなること
アンス相談窓口などの認知度も含む)を把握し、
コンプラ
から、
コンプライアンスの重要性がますます高くなって
イアンス実践における問題点・課題を抽出する。
います。荏原では、
リスク低減と迅速な対応を効果的に
◆定期的な調査により、コンプライアンス推進活動の有効
性と効果を評価し、活動の改善につなげる。
マインドの向上を促す。
イアンス・リエゾン制度を発足しました。
このような体制の整備とともに、従業員や、
ともに働い
ステークホルダーのために
◆従 業員に倫理的行動への気づきと、コンプライアンス
行うため、初期のリスク情報抽出機能として、コンプラ
ている方々の意識向上が大切だと考えております。身の
回りで行われていることに対するチェック意識の向上と
2009年1月から2月にかけて、5回目の調査を荏原グループ
気軽に相談できる環境の存在として、
コンプライアンス・
の経営者及び従業員約13,000人を対象に行いました。回答
リエゾンの役割を遂行していきたいと考えています。
率は年々上昇しており、会社のコンプライアンス実践への取
り組みに対する評価は上昇しています。今回の設問の中で
は、
「経営層が行動基準を率先垂範していると思う」
という
評価が向上していることが特徴的でした。
◆コンプライアンスアンケート回答率
[%]60
また、アンケートには自由記入欄を設けており、2008年度
50
は、
コンプライアンス意識やハラスメントなどについての意
40
イアンス活動に反映させていきます。
◆自由記入欄の主な意見【グループ全体】
記述内容カテゴリー
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
コンプライアンス意識
コンプライアンス教育・研修・啓発
アンケート
セクシュアル・ハラスメント、
パワー・ハラスメント
30
33%
20
22%
10
0
52%
2005
2006
2007
2008[年度]
◆経営層(会長・社長、取締役・執行役員など)は
「行動基準」を率先垂範していると思いますか?
そう思う
概ねそう思う
そう思わない
わからない
あまりそう思わない
(空白)
[%]
100
職場
反社会的勢力
上司・管理職
コミュニケーション
待遇
経営トップ
80
60
40
20
0
2005
2006
2007
2008[年度]
EBARA Group CSR Report 2009
23
地球環境のために
見が多く見られました。
これらをまとめて、今後のコンプラ
46%
ステークホルダーのために
地域・社会のために
荏原グループは、事業を通じて社会的責任を果たすとともに
社会の良き一員として、技術振興をはじめ、
芸術、地域交流、環境保全、
スポーツ、福祉活動を通じた
社会貢献活動に積極的に取り組んでいます。
社会貢献活動の5つの柱
荏原グループ全体の活動を広げたい
荏原グループは、技術・芸術振興、地域交流、環境保全、ス
地域・社会活動はグループ各社の自主的な活動を主体とし
ポーツ振興、社会福祉を社会貢献活動の5つの柱とし、荏原
ていました。CSR企画室では、2008年に国内外荏原グルー
グループ各社・各部門等の自発的な取り組みや、
自治体や学
プ会社の地域・社会活動の実態調査を行いました。地域の
術機関、
NGO、
NPOとの協働による活動を展開しています。
特性や組織の規模により活動状況の差はありますが、事業
これらの活動を継続すると同時に、その成果を評価し、内容
密着型、地域密着型、災害支援、学術支援など様々な活動を
の充実と発展を図っています。
行っていることがわかりました。
今後、荏原グループ全体で地域・社会活動の方針の浸透を
更に図り、継続的な活動を推進していきます。
技術・芸術振興
“ものづくり”の伝承
古美術品の
展示・公開
地域交流
環境保全
地域との良好な
関係の維持
次世代に豊かな
環境を引き継ぐ
社会貢献活動
5つの柱
社会福祉
スポーツ振興
人道的な活動・支援
健全な心身の育成
藤沢事業所納涼祭 毎年8月に開催しています。
2008年は事業所周辺の皆様1万人にご来場いただきました。
■技術・芸術振興
荏原グループの技術に関する技術指導を、主に東南アジア
諸国に対して行っています。
しゅうしゅう
地道に永く続け、
多くの人に参加してもらう
芸術に関しては、荏原の創業者 畠山一清が蒐集した能楽
誰もが参加しやすく、地道に永く続けられる社会貢献活動
や茶道の道具、古美術品を公開する
(財)畠山記念館の
を基本としています。無理なく続けることによって、従業員の
運営を支援しています。
日常の一部となっている活動が多いのが荏原グループの
■地域交流
社会貢献活動の特徴です。
事業所周辺地域とのコミュニケーションを大切にしています。
畠山清二記念
■環境保全
荏 原 基 金 によ
従業員とその家族の環境意識の向上につながる活動を
る国際セミナー
企画・実施しています。
は2008年 度 に
■スポーツ振興
19年目を迎え、
女子バスケットボール部による小中学校への出前授業や
東 南アジアの
バスケットボールクリニック、
(株)
荏原湘南スポーツセンター
学生や技術者
によるジュニアテニスプレイヤー育成事業を行っています。
の参加は延べ
■社会福祉
9,329人 に 達し
被災地や物資の不足している地域への人道的な支援など
を行っています。
24
EBARA Group CSR Report 2009
ました。
国際セミナー ベトナムでの研修風景。
研修生より研修コースの総合満足度6.4の評価
(7が最高)を得ました。
〈 詳細:http://www.ebara.co.jp/csr/contribution/seminar.html 〉
中
国
翟 洋さん(6歳)
国内外の従業員の子どもたちによる
「荏原グループ世界の
都心にありながら緑豊かな佇まいと静寂に包まれた環境
子ども 環 境 絵
の中で優れた作品を鑑賞できる美術館として、多くの方々
画展」は2008年
にご来場いただいています。
に11年 目 を 迎
えました。社 内
展示のほか、画
廊での社外展
覧 会も開催し、
荏原グループの方針・体制・姿勢
(財)畠山記念館の運営支援は1964年から行っています。
子どもたちの絵
【重要文化財】
赤楽茶碗 銘 雪峯
本阿弥光悦 作(桃山)
〈 詳細:http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/ 〉
難民キャンプに衣料を送る活動は、
毎年春の恒例行事として
2000年から行っており、
全国の従業員が参加しています。
2008年の銀座アートホールでの「世界の子ども環境
絵画展」
では、
学校法人旭出学園の児童が制作してく
れたオブジェが会場の雰囲気をより一層引き立てま
した。
画を通じて多く
の 人 たち が 交
流しています。
障がい者施設の皆さんとの協働作業
難民キャンプに送る衣料の箱詰め作業や子どもの絵画の
荏原グリーン基金による国内外の植樹や森林保全活動は、
貼り付け作業、
ダイレクトメールの発送準備作業などは、
従業員や家族も参加し、1995年から実施しています。基金
地域の障がい者施設の皆様の協力を得ています。施設の
の原資は、両面コピーと裏紙コピーを利用した枚数(1枚
皆様には荏原の事業所内で作業をしていただくことや、
従
1円)なので、日常業務での資源の有効利用が成果につな
業員と一緒に作業をしていただくこともあり、
従業員からは
がる仕組みになっています。
ステークホルダーのために
【国宝】
離洛帖 藤原佐理 筆(平安)
「日ごろ接する機会の少ない人たちとの交流を持てて良かっ
た。
」
といった感想が寄せられています。
また、
施設の皆様か
いう言葉をいただいています。
植樹活動で
自然の素晴らしさを
改めて実感
荏原 金森 一博
社会と関わる
喜びを
感じています
特定非営利活動法人 樹林館
施設長 小平 真理様
荏原グリーン基金の支援先視察として、
(財)オイスカ
子どもの絵画の貼り付け作業や難民キャンプに送る
が主催するフィリピンでの植樹活動に参加しました。
衣料の箱詰め作業などをお手伝いしています。障がい
植林場所への急な山を登り、直射日光の強い中、地元
を持つ人たちが荏原の従業員の皆さんと一緒に作業
の人と日本からの参加者が一緒になって木を植え、
を行えることや、荏原さんだけでなく、絵を描いたお子
作業が終了するとみんなで歓声を上げました。人と人
さんたちや絵画展のご来場者、難民キャンプの人たち
との交流の楽しさ、
自然のすばらしさを満喫しました。
のお役に立てていることをとても嬉しく思っています。
EBARA Group CSR Report 2009
25
地球環境のために
らは
「仕事を通じて社会と関われる喜びを感じている。
」
と
ステークホルダーのために
優れた技術と最良のサービスを提供するために
風水力機械カンパニー
社会・産業の基盤となる製品やシステムを提供する風水力機械カンパニーは、
お客様の声を映し出す
「品質」
をキーワードととらえ、
業務品質を向上することでお客様の期待に応え続けて行きます。
風水力機械カンパニーの事業
サービスが多くの事業にわたり、受注生産品も多いこと
から、お客様が期待される機能や性能、納期なども多様に
荏原創業以来の主力製品であるポンプをはじめ、送風機、
なります。そこで私たちはお客様の声を「製品・サービスの
コンプレッサ、冷凍機など、社会生活や産業を支える施設の
品質」の指標ととらえ、製品・サービスの品質を改善し事業
中核となる機器や関連設備を広く社会にご提供する、それ
活動にフィードバックする取り組みを行っています。
が風水力機械カンパニーの事業です。その生産・販売拠点
「品質」は単にものづくりの現場である生産工場だけでは
は海外にも拡大しており、世界各国のインフラ整備や産業
なく、営業、設計、サービスなどすべての業務段階において
の振興に大きく貢献しています。
それぞれの視点からとらえることができる指標です。私たち
は各従業員の日常業務における
「業務品質」を向上させる
ことにより、高品質な製品・サービスを安定してご提供でき
る強い企業を目指しています。
お客様の声を日々の業務に反映
業務品質を向上する取り組みの一環として、製品を納入
した後にお客様にアンケート調査やヒアリングを実施し、
営業の対応はどうだったか、
ご指定の納期通り納品できた
多段タービンロータの翼組立作業
かどうかなど、
ご意見を伺っています。
お叱りを含むご意見、ご提案などお客様の声を品質改善
お客様の声を表す指標としての「品質」
活動に取り入れ、カンパニーの共通課題として従業員一人
当カンパニーの製品・サービスは主に企業や自治体等、
ことで担当業務の品質向上に結びつけるしくみとなってい
お客様の設備の中で運転されているものが多く、お客様の
ます。
ひとりの貢献目標に組み込み、それぞれが目標管理する
声に製品・サービスの評価がそのまま表れます。
また製品・
■品質改善活動推進体制
(下図「品質改善活動推進体制」参照)
風水力機械カンパニー
QA統括委員会
事業部
QA委員会
お客様の声(アンケート)
お客様の声
お客様の声
マネジメントレビュー
営 業
お客様
設計・開発
お客様の声(苦情等)
購 買
製造・サービス
工場・試運転
業務・管理
事業部
事業部
事業部
26
EBARA Group CSR Report 2009
委員長レビュー
方針、
計画策定
改善プロセス
製品実現
監視、測定
データ分析
方針、
目標策定
目標策定
実 施
内部監査
事業部に展開
データ分析
報 告
台
湾
海外8名の技術指導員が、最前線のお客様設備で活躍して
います。
お客様の設備に納入された製品やシステムは、長期に
これからもお客様のご期待に沿う荏原ブランドの製品・
わたって安定的に運転することを求められます。近年、お客
サービスを提供し続けます。
様から設備納入のみならず運転業務まで受託する機会が
増え、
メンテナンス技術員の重要性が増しています。そこで
私たちはメンテナンスサービスにおける
「荏原ブランド」の
品質を約束するために、2006年より
「スーパーバイザー
(技術指導員)認定制度」を運用開始しました。
これは荏原
グループやお取引先様の従業員を対象に、荏原伝統のポ
荏原グループの方針・体制・姿勢
伝統の技術をお客様のもとへ届けるために
お客様に前向きに、
真摯に接したい
ンプ関連技術やメンテナンスサービスに関するノウハウを
に派遣する制度です。これまでに認定された国内24名、
Elliott Ebara Middle East W.L.L.
Nicolae Deacu
ステークホルダーのために
伝承し、技能を認定した上で技術指導員としてグローバル
(後列左)
私は2008年5月より2ヶ月間、羽田工場で技術指導員
認定講習を受け、現在サウジアラビアを中心に、主に
ポンプのフィールドサービス業務を行っています。
この
業務を通じて、私は前向きで真摯な態度で接すればお
客様が安心し信頼してくださることを知り、チーム員に
もそのことを伝えています。
昨今の経済状況では、特に“顧客から見た企業の価値”、
“顧 客 の 満 足”、“顧 客 へ の 誠 実さ”が 重 要であると感
じています。そのために私は、専門家としての高度な
地球環境のために
技術、図面の確認、正しい手順、環境に配慮した安全
作業、正しい工具の使用、整理整頓を心がけ日々笑顔
で頑張っています。
スーパーバイザー研修風景
お客様の声を聴き、荏原ブランドをさらに高めてまいります
私たちは、単にお客様の仕様・要求に合った
風水力機械カンパニー
プレジデント
鈴木 厚郎
のブランドです。
製品供給を目標とすることに満足していませ
ポンプ等製品そのものやシステムの品質、
ん。仕様の後ろに隠れた、お客様や社会が私
営業活動・アフターサービスなどお客様に接
たちに期待することを製品・サービスに反映
する業務だけでなく、
営業支援、
調達、
その他
し、ご提供できるよう努めることを使命と考
間接部門にいたる全ての業務が、
私たちの
えています。90年以上にわたる
「ものづくり」
製品・サービスです。
お客様に期待され喜ば
の歴史の中で私たちが培ってきた技術・ノウ
れる製品・サービスをご提供し続けるために、
ハウの集大成が、今お客様にご提供している
私たち一人ひとりが荏原ブランドのインプルー
製品・サービスであり、その品質こそが荏原
ブメントにたゆまぬ努力を行ってまいります。
EBARA Group CSR Report 2009
27
ステークホルダーのために
優れた技術と最良のサービスを提供するために
環境事業カンパニー
水処理、廃棄物処理施設のエンジニアリングからオペレーションまで手がける環境事業カンパニーは
今、大幅な組織再編によって新しい事業体へと生まれ変わりつつあります。
その目標は、時代の変化に合わせて、
よりお客様に近い存在となることです。
環境事業カンパニーの事業
増え、全体の50%を超えるまでになってきました。また、
設備の維持・管理だけでなく運転までお任せいただくなど、
環境事業カンパニーの仕事は、水処理、廃棄物処理などに
お客様のご要望の内容も変化しており、今後もこの傾向が
関連する施設の設計・調達・建設(EPC*1)
と、その運営・
続くと考えられます。
維持管理(O&M*2)で、主なお客様は、国内外の官公庁や
このような事業環境の変化、お客様のご要望の多様化に
民間事業者です。
お応えするため、組織を大幅に再編することにしました。
上下水道やゴミ焼却施設など、社会や毎日の暮らしを支え
る基盤をつくり、長期にわたって常に良好な状態に保つこ
と。
また、先進的な技術の開発によって、持続可能な社会の
構築に貢献することを使命としています。
サービス向上をめざす組織再編
この再編は、水処理、廃棄物処理、それぞれの事業分野で、
設計・調達・建設と運営・維持を一貫して行えるよう組織を
大きく二つに分けるもので、2009年度中に二段階で完了し
ます。
具体的には、
これまで荏原、
荏原環境エンジニアリング
(株)
、
荏原エンジニアリングサービス(株)の3社に分かれていた
事業を再編し、水処理事業全体を荏原エンジニアリング
サービス
(株)
、
廃棄物処理事業全体を荏原環境プラント
(株)
で行う体制となります。
この再編の狙いは、
よりお客様に近い存在となること。つま
バイオマスを燃料とする内部循環流動床ボイラ発電設備
り、各分野の仕事の流れを統合してお客様のニーズを的
事業環境の変化に応えて
確に把握し、それに迅速に対応できる組織とすることです。
より効率的に仕事ができる事業体に生まれ変わることで、
これまで、水処理、廃棄物処理いずれの事業分野でも、施
お客様へのサービスの質を向上したいと考えています。ま
設の設計・調達・建設と運営・維持管理をそれぞれ別の会
た、それぞれの連結会社が持っていた営業情報などを統合
社組織で行ってきました。
しかし、最近は、施設を新たにつ
し、事業分野ごとのノウハウの蓄積及び活用を推し進めて
くる仕事よりも、設備の更新やメンテナンスといった需要が
参ります。
■旧組織体制
荏 原
(開発・EPC)
荏原環境エンジニアリング
(株)
(EPC)
荏原エンジニアリングサービス
(株)
(O & M・薬品販売)
28
EBARA Group CSR Report 2009
■新組織体制
水 処 理 部 門
(上下水以外)
廃棄物処理部門
荏原エンジニアリングサービス
(株)
( 水 処 理 )
水 処 理 部 門
( 上 下 水 )
水 処 理 部 門
廃棄物処理部門
荏原環境プラント
(株)
(廃棄物処理)
E PC
(設計・調達・建設)
O&M
(運転・維持管理・薬品販売)
E PC
(設計・調達・建設)
O&M
(運転・維持管理)
中
国
李汀 さん(9歳)
て企業体質のレベルアップを果たすための土台づくりを進
めます。そして、新しい体制のもと、お客様はもちろん、施設
現在、
この組織再編の効果を最大限に引き出し、お客様満
を利用する地域社会、住民の皆様にも奉仕したいと考えて
足度を向上するための計画を作成しています。その一環と
います。
してお客様へのアンケート調査を実施しており、いただい
た評価結果を分析して、仕事の全段階に反映していきたい
と考えています。
資材の調達から設備の運営・管理まで一貫したサービスを
ご提供するには、自分の担当分野に限られがちな従業員
の知識を広げるよう、教育の見直しも必要になります。
この
「リサイクルフェスタ」
イベントの実施
現場従業員の階層に応じた研修会を実施しました。また、
お客様のご要望にいっそう的確にお応えするには、現場
当施設では隔年周期で「リサイクルフェスタ」を行って
でお客様の声を直接うかがうオペレーターの意識向上も
おり、資源の循環・再利用の促進を担う場として好評を
大切です。
このため、
オペレーターの声を設計・調達・建設
博しています。搬入されたごみの中から再使用可能な
の段階へ反映できるしくみづくりも進めています。
ものを、お客様を含む全職員で修繕・清掃し、地域住民
へ無料で還元す
2009年度にか
ることで、施設意
け て、組 織 再
義の理解・リサイ
編と、それに伴
クル意識向上が
うさま ざ ま な
図られます。会場
改 革 を 進 め、
へ足を運ぶ住民
お客様の 声を
の方は年々増加
仕 事 に 活 かし
しています。
地球環境のために
2008年 度 から
ステークホルダーのために
荏原環境プラント
(株)
北海道営業所愛別管理事務所
丸谷 明
ため、マネジメント能力強化を目的とした所長研修など、
所長向けマネジメント研修の様子
EPCからO&Mに至るトータルソリューションを提供します
環境事業カンパニー
プレジデント
廣瀬 政義
荏原グループの方針・体制・姿勢
お客様の声を活かすしくみづくり
水処理施設や廃棄物処理施設などの環境事
の高いサービスにより、その現場に合った
業は、施設延命化のニーズや更新需要増加、
最適なトータルソリューションを提供して
PFI*3に代表される事業型案件の増加など、
まいります。
総合力が問われる時代へと変化しています。
今回の再編によりEPCとO&Mの一体運営を
私たちは、国内外のお客様からの声はもち
強化し、お客様の難易度の高い要求に対し
ろんのこと、全国500箇所を超える維持管理
て、
よりスピーディにかつ的確にお応えできる
現場からの声を大切にし、差別化された製
よう一層の精進に努め、
環境の総合事業会社
品及び永年培ったエンジニアリング力と質
として、
お客様と社会に貢献していきます。
*1【 E P C 】 Engineering Procurement Construction:プラントの設計・調達・建設業務
*2【O&M】Operation & Maintenance:プラントの運転・維持管理業務
*3【 P F I 】 Private Finance Initiative:民間資金等の活用による公共施設の整備・運営
EBARA Group CSR Report 2009
29
ステークホルダーのために
優れた技術と最良のサービスを提供するために
精密・電子事業カンパニー
世界の半導体メーカ、FPD*1メーカなどで使われる装置や機器類をご提供する
精密・電子事業カンパニーでは、お客様の声を製品の信頼性向上に役立てるため、
さまざまな取り組みを進めています。
精密・電子事業カンパニーの事業
2008年10月からは、ソフトの完成度や安定性、サポート面
などについての評価項目を加えた「CMPユーザー満足度
精密・電子事業カンパニーは、半導体産業やFPD産業な
調査」も開始し、お客様のご要望をより総合的に把握する
どで用いられる装置やコンポーネント機器の開発・製造・
ことができるようになりました。
販売を行っています。ウェーハを研磨するCMP*2 装置、
調査結果は、当カンパニー内に報告され、担当部署で共有
半導体やFPD装置内をクリーンな環境にするためのドラ
されています。また、調査結果を基に実施された改善内容
イ真空ポンプなど当カンパニーの製品は、世界の半導体
は、各拠点に伝達しています。
メーカ、FPDメーカに向けて送り出されています。ますます
第一回目の調査で、
ドキュメントの整備改善が必要である
高度化・複雑化するお客様のご要望にお応えするため、
ことがわかりました。
このため、
メンテナンスに関するドキュ
国内外グループ会社との緊密な連携の下、迅速でタイム
メントの整備や英語訳を進め、世界中の拠点で情報を共
リーなサポートが行える体制を築いています。
有できるようにしました。品質向上とお客様満足度向上に
向けた成果は確実に出始めています。
■お客様アンケート結果
CMP 評価(回答平均値)有効回答数15件
COO
迅速な部品供給
文書類
正確性/平易性
文書類整備
2.9
2.7
2.5
ソフト安定性
2.4
UPTIME
3.3
3.1
3.1
2.6
3.3
2.6
ソフト完成度
一人ひとりが改善への意志を
COC
評価平均
3.1
対応の迅速さ 3.6
CMPの製造ライン
3.3
3.6
プロセス性能
3.4
3.4
MTBF, MTBFp
MTTR
Through-put
ウェーハ割れ
ウェーハスクラップ
※ 線はスコア3を示す
お客様にとって最適の提案を行うためには、常にお客様の
声を把握・分析し、その結果を製品の改善と品質の向上に
結びつけなければなりません。当カンパニーは、特定の
部署だけでなく、従業員一人ひとりが担当職務にも、関連
する他の職場の仕事にも目をむけて改善意識を持てる
企業文化、風土をつくりたいと考えています。
お客様の声を聞くしくみの強化
主 力 製 品 の 一 つであるCMP装 置 の 信 頼 性 につ いて、世
COO:ウェーハ単価当たりのCMP管理費用
(CMP購入費、維持費、保全費、消耗品費用)
COC:ウ
ェーハ単価当たりのCMPに使用される消耗品の費用
UPTIME:稼働率
MTBF:故障の平均発生間隔(時間で表します)
MTBFp:製
品処理時間内の平均故障発生間隔
(時間で表します)
MTTR:故障時の平均復旧時間
Through-put:1時間当たりのウェーハ処理枚数
お客様の声をデータベース化して共有
界の主なお客様の声を聞くため、これまで、2ヶ月に一度
世界の各拠点、営業担当者などからのトラブル情報や技
「装置信頼性調査」を実施してきました。これは、稼働率、
術的な問い合わせを受け付ける窓口として、2004年から
稼働時間などハード面での評価をいただく調査でしたが、
「CRデスク*3」を設け、寄せられる情報をデータベース化
30
EBARA Group CSR Report 2009
ブラジル
Carolina Fonseca De Assisさん
(13歳)
荏原グループの方針・体制・姿勢
してきました。
これまでは、デスク担当者がデータベース化していました
が、2008年11月からは、各拠点や営業担当者がウェブ上で
直接入力、回答できるようシステムを変更しました。その結
果、問題点やその解決過程を関係者全員が共有できるよう
お客様との協業による
コスト改善の達成
になり、同様のトラブルをかかえたメンテナンス担当者は
もちろん、設計・開発担当者がトラブルの原因を解析する
上でも有効なシステムになりました。
荏原 小倉 大
ソニーセミコンダクタ九州株式会社(SCK)殿の業務改
善活動の中で最優秀賞をいただきました。SCK殿では、
メーカとのコラボレーションによる運用費削減活動を
組織変更によるお客様満足度向上
推進しています。改善成功のキーポイントは、SCK殿と
ステークホルダーのために
パートナーが互にWin-Winの関係を保ち、高い目標と
サポート体制をさらに充実させ、
よりきめ細かいサービスを
ブレークスルーの必要性を共有することでした。SCK殿
ご提供できるよう、
組織面の変革も進めています。
2009年
と打ち合わせを重ね、お互いの情報を共有して課題の
4月には、
国内の連結子会社である
(株)
荏原フィールドテック
抽出を行い、高い目標に向け
(EFT)
のCS*4 事業本部内に
「営業統括部」
を新設しました。
て取り組みました。その結果、
これは、
現場エンジニアだけで構成されていたEFTに営業の
装置のバージョンアップ、消
機能を追加した組織変更です。
これによって、
営業と現場が
耗部材のリサイクルなど、大
一体となり、お客様のご要望についてより迅速で的確な
幅な運用費改善を達成する
判断ができるようになることを目指しています。
ことができました。SCK殿から
今後も、従業員一人ひとりの品質向上意識を高め、お客様
のありがたいお誘いに事業
満足度向上につなげていくための取り組みを重ねていき
部一丸となって取り組んだ成
改善活動表彰状
果であったと思います。
地球環境のために
たいと考えています。
お客様にさらに信頼される企業を目指します。
精密・電子事業カンパニー
プレジデント
中尾 幸蔵
お客様
(半導体メーカ)にとって信頼できる
新しい開発へつなげることのできる日常的
企業
(サプライヤ)
とはその企業の経営方針
品質向上活動を推進することが大切になり
や取り組む姿勢が明確であることが重要な
ます。この活動は当然のことながら国内外
要素の一つであると思います。
グループ会社との緊密な連携の下タイムリー
つまり、技術の開発の方向性さらには機器
でグローバルな展開が必要です。
納入からアフターサポートに至るシステムに
勿論これらを速やかに実行に移すには従業
おいて客観的に
「見える化」ができており、
員一人ひとりの意識改革が必須であり、
それ
お 客 様と認 識 の共 有が 可 能になることが
がひいては創造的な企業文化を育むことに
重要です。即ち、お客様の現在から将来に
つながるものと確信しています。
向かっての要望を的確にとらえ改善或いは
*1【FPD】 フラット・パネル・ディスプレイ:09ページ注釈
(*1)
参照
*3【CRデスク】 カスタマー・レスポンス・デスク
*2【CMP】 ケミカル・メカニカル・ポリッシャー:09ページ注釈
(*3)
参照
*4【 C S 】 カスタマー・サポート
EBARA Group CSR Report 2009
31
ステークホルダーのために
お取引先様とともに
荏原グループは以下の調達方針の下、
お取引先様(製品材料、資材、役務の調達先)
との
パートナーシップを築き、
公正な取引を行っています。
調達方針
公正/公平な機会の提供
相互信頼
ISO 9001に基づいてすべてのお取引先様に、競争の
お取引先様との信頼関係・パートナーシップを築くと
機会を広く提供します。
ともに、相互の発展を目指します。
お取引に当ってはISOに基づく当社認定制度に則り
すべての調達部門員は社内外の関係する部門と常に
技術的評価と商業的評価を行い、基本取引契約・工事
良好な関係を保ち、相互に協力的かつ、創造的な活動
基本取引契約を結んだ上でお取引を開始させていた
をするべきとの心得をもち、仕事が円滑に、そして効率
だきます。
よく業務全体が機能できるよう努力します。
経済合理性
社会的信頼・順法精神
お取引先様の選定は、資材の品質・信頼性・納期・価
購買活動において国内外の関係法令を順守すると
格・技術開発力・提案力、並びにお取引先様の経営安
ともに、健全な商習慣に従い取引を行います。なお
定性等を十分に評価して行います。
かつ社会の健全な発展に寄与することを常に念頭に
製品やユーザーとの契約条件によって、上記の評価基
置いています。
準の重み付けが変わってくることもありえます。
グリーン調達
機密保持
地球環境の保全を考慮して製品づくりを有効に促進
お取引を通じて知り得た機密事項については、お取引
できるよう、お取引先の皆様と協力し、環境に配慮した
先様の承諾なしに第三者に開示しないものとします。
調達を推進します。
調達方針の下に新規取引を希望するサプライヤーの皆様には、下図手順で調達部門並びに関連部門で審査の上、
お取引いただいています。
■新規お取引までの流れ
b 業界における地位及び過去の実績
d 価格、品質、性能及び技術水準
e 納期の確実性、
クレーム対応能力 及び
アフタサービス体制
f 当社に対する経営者の協力意欲又は度合
g 第三者の工業所有権に抵触しないこと
h 環境保全水準又は能力
書類審査や製造工場のサーベイ
取引の開始
c 長期的かつ安定的な供給能力
基本取引契約・工事基本取引契約の締結
a 経営状況及び社会的信用度
認定購入先として登録
見積の
依頼等による
技術的要件の確認
新規取引先
調達部門と品質保証部門による審査
認定購入先とするための供給者の要件
お問い合わせは当社ホームページ
( http://www.ebara.co.jp/ )
で受け付けています。
32
EBARA Group CSR Report 2009
日
本
阿部 航大さん(9歳)
調達方針の中でもとりわけお取引様にかかわりの深い
お取引先様と共に達成した
汎用ポンプ1,500万台生産
下請代金遅延防止法については、CSR統括部内に調達業務
2008年11月に、汎用ポンプ生産1,500万台を達成しました。
統括室を置いて、全社組織の中に複数ある調達部門の日常
汎用ポンプの生産には、
協力会をはじめ多くのお取引先様
業務をモニターし、お取引先様にご迷惑がかからないよう、
が関っており、
生産技術や品質の向上、
また部材の供給体制
月次で支払の状況を監視・監督しています。
などで多大な協力をもとに達成された記録です。
今後とも
また、法令の認識不足による違法行為が発生しないように
お取引先様とのコミュニケーションを密に取り、より良い
毎年繰り返し従業員の教育を行っています。
関係を築きながらお互いが継続的に発展していけるよう
荏原グループの方針・体制・姿勢
法令の順守について
努めます。
CSR調達を推進するためにはお取引先様に理解を深めて
いただくことが第一歩と考えています。そのための活動とし
て2008年度よりお取引先様に対して段階的にCSRに関する
アンケートを開始しています。2009年4月末時点のアンケー
トの回収率は49%で、ご回答いただいた会社のうち70%
ステークホルダーのために
CSR調達の推進
一致団結して共に
ものづくりを
続けていきたい
共和会会長
大蔵精機株式会社 代表取締役社長
佐藤 登左衛門様
以上は取り組みを開始または計画中との回答結果を得て
共和会は機械加工を行う28社が所属する荏原藤沢工
おり、CSRに対する意識が高まっていく発展途上の段階と見
場の協力会として、1991年から活動しています。2008
ています。今後も、様々な機会をとらえて意思疎通を図り、
年11月の汎用ポンプ1,500万台生産達成は、永年に
啓発を継続し、意識を高めていくように努力していきます。
わたって荏原製品の企画、試作、量産化に至る試行錯
誤の苦労をともにしてきた私たちにとってもたいへん
嬉しい記録です。材料の調達から納期、性能、品質、
地球環境のために
お取引先様との協力体制
価格等、すべての事象を網羅して製品を市場に送り
各カンパニー、事業部それぞれが、品質向上やコストダウ
出す過程は、私たち協力会と荏原さんが一致団結し
ンの実現や、安定的な資材供給体制の確立のために事業
て努力していかなければ成しえないことであると常々
に適した調達活動を行っており、その中で、お取引先様と
思っております。
は「熱と誠」の精神の下に互いに発展していくことを目的
次の2,000万台の大目標に向かって、
ともに切磋琢磨
としたパートナーシップを築いています。その一例として
していきたいと思います。
荏原藤沢工場(カスタムポンプ、産業用ポンプ、汎用ポンプ)
では、お取引先様28社の機械加工、組み立てを行う会社が
相互に協力して情報交換や研修会などを行い、相互の発展
と親睦を図ることを目的とした協力会「共和会」を組織して
おり、年に1度、技術、環境保全、品質保証、VE*1などをテー
マに講習会を行っています。
また知見を広げるために他社
工場見学会を開催したり、荏原藤沢工場の年度方針を共有
するなど、協力体制を維持するように努めています。
協力会の研修会風景
*1【VE】 Value Engineering:製品やサービスの
「価値」
を、
それが果たすべき
「機能」
とそのためにかける
「コスト」
との関係で把握し、
システム化された手順によって価値
の向上を図る手法のこと。
EBARA Group CSR Report 2009
33
ステークホルダーのために
株主・投資家のために
荏原グループは、広く社会に受け入れられ、
社会の発展に寄与し、社会とともに成長することによって
長期的に企業価値向上を図り、
株主・投資家の皆様のご期待に応えていきます。
情報の適切なディスクロージャーの実施
2開示情報の収集
経営企画室、広報室、コーポレート管理室、審査室、カン
荏原は、荏原グループが上場会社として社会的な信頼を
パニー管理室を情報収集部門と位置付け、これらの部
得て存続していく上で、株主、投資家等のステークホル
門を通じて、当社グループ内の適時開示に関する情報を
ダーの皆様に対し、会社の経営、事業、財務に関する情報
網羅的に収集・集約し、ディスクロージャー委員会に報告
を公正かつ適時・適正に開示(ディスクローズ)することが
される体制としています。
基本かつ重要であると認識しています。
これら当社グループ全体に係る発生事実、決定事実及び
3適時開示の是非等の検討
決算等の情報開示の是非判断の対象となる会社情報に
ディスクロージャー委員会は情報収集部門から情報を
ついて、漏れなく収集し、情報開示の是非を判断し、開示
入手する都度、その会社情報が、適時開示規則上開示が
に該当する会社情報の内容と開示時期を決定するための
求められる適時開示基準に該当するかについて検討及
適時開示に係る体制として、
「ディスクロージャー委員会
び開示の是非を判断し、開示が必要と判断した情報に
運営規則」を定め社内横断組織であるディスクロージャー
ついて開示案文の作成、検討を行います。
委員会を設置しています。
4適時開示の実施
■適時開示のための体制
ディスクロージャー委員会で開示することを決定した情
1ディスクロージャー委員会
報は、代表取締役社長の決裁または取締役会の決議の
ディスクロージャー委員会は、財務・管理担当取締役を
後、速やかに適時開示を実施します。なお、証券取引所に
委員長とし、法 務 担 当 取 締 役、内 部 統 制 担 当 取 締 役、
適時開示した情報については、速やかに当社ホームペー
経営企画統括部長、広報室長及び、コーポレート管理室
ジに掲載しています。
長を委員として構成されています。
■情報開示業務プロセス — 定期的に開示する会社情報 —
荏原 及び グループ会社
◆SRI*1インデックスへの採用
企業責任基準を満たす企業活
経営企画室、広報室、管理室、
審査室、
カンパニー管理室
動を評価した上で、社会的責任
経営計画委員会
投 資(SRI)対 象として的 確であ
ることを示 す 世 界 的 なSRI指 数
「FTSE4Good Index」に、継 続し
て採用されています。
会計データ
管理室
ディスクロージャー委員会/事務局
代表取締役社長
取締役会
チェック
&
アドバイス
監査役(会)
会計監査人
弁護士
ディスクロージャー委員会/事務局
TDnet*2登録
ホームページ、株主総会招集通知、会社公告
EDINET*3登録
東京証券取引所、関東財務局
ステークホルダー(株主、投資家、取引先、従業員、地域社会)
*1【SRI】 Social Responsible Investment:社会、
倫理、
環境、
労働安全などに配慮した事業活動を行うという点から、
その企業が社会的責任を果たしているかどうかを
銘柄選別基準にして投資すること。
*2【TDnet】東京証券取引所が運営する適時開示情報伝達システム。
*3【EDINET】金融庁が運営する、
金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム。
34
EBARA Group CSR Report 2009
中
国
情報セキュリティの取り組み
企業活動では日々膨大な情報を処理しています。
それらの情報を適切に管理運用することが、
社会から企業に対して強く求められています。
荏原グループは、
情報セキュリティを重要な経営課題ととらえ、
取り組んでいます。
■認証LAN機能の導入
認証されたパソコンのみ社内ネットワークへの接続を許可
企業活動では、電子媒体や紙の営業情報、技術情報、個人
することとしました。
これは、
持ち込みパソコン等の不正パソ
情報などが活用されています。
これらの情報の機密性、完全
コンから社内のIT情報資産を守るために大変有効な施策
性、可用性*1が、さまざまな脅威にさらされることによって
です。
失われないよう、物理的、技術的、人的対応で運用するの
また、昨今のグローバル化の進展により、社内のIT情報
が情報セキュリティ管理です。情報セキュリティの管理は、
資産へのアクセスは、インターネットを経由した社外から
内部統制の面から求められているだけでなく、お客様から
のアクセスが増加しています。
このため、接続機器の認証に
も、取引先としての荏原グループ各社に対し、様々な情報
加え、利用者本人の認証とインターネットを流れるデータ
を適正に管理することが強く要請されています。もちろん、
の暗号化も実施し、セキュリティの維持を図っています。
荏原グループの方針・体制・姿勢
情報セキュリティ管理の考え方
湯堯宇さん(10歳)
社会的にも、情報セキュリティに関する責任を果たすことが
■データセンタの運用
このような観点から、荏原グループは「荏原グループ行動
荏原グループの主要なサーバ類は集中管理によるリス
基準」を規範として、情報セキュリティ関連規定の整備と
ク低減とコストダウンを図る目的で、現在データセンタに
見直しを行い、積極的に対応しています。
集約されています。2008年度は、外部の専門家に依頼し、
データセンタのセキュリティと省エネルギーに関する診断
評価を受け、その結果を踏まえて、データセンタのセキュリ
情報セキュリティの取り組み
企業活動では、コンピュータとインターネットが不可欠で
ティレベルの更なる向上を目指しています。
ステークホルダーのために
ますます求められています。
■全社員へ情報セキュリティの更なる啓発・教育の実施
一般に、情報漏洩の原因の70%は人的ミスによると言われ
重要です。そこで、荏原グループでは、2007年度までの取り
ています。そこで、今後は従業員の情報セキュリティ意識の
組みに加え、以下の施策を推進しています。
向上を図るためのeラーニングを実施し、情報漏洩が、自ら
のグループ企業のみならず顧客企業にも重大な悪影響を
■統合ID管理システムの運用
与える可能性があること等を十分に教育する予定です。
荏原グループの情報部門では、人事情報を核としたID管理
また、普段の情報セキュリティ管理体制と事故時の連絡体
とアクセス権管理を統合する統合ID管理システムを運用
制等を明記したハンドブックを作成し、従業員に周知徹底
しています。
これにより、IT資産を業務で活用する際の利用
します。
者認証と利用権限を明確に管理できるようになりました。
実際、アプリケーションシステム *2の新規開発や大きな
改修時にこのシステムが適用され、IT資産のセキュリティ
強化に役立っています。
職務分離による業務執行を確実に行うためにアクセス権管
理は、内部統制の面からも重要な施策です。
*1【可用性】 コンピュータやネットワークシステムの壊れにくさ。
*2【アプリケーションシステム】特定の業務を行うために、
開発・運用されるコンピュータシステム。
EBARA Group CSR Report 2009
35
地球環境のために
あり、情報技術(IT)を活用したデジタル情報の管理が特に
ステークホルダーのために
従業員とともに
「人材」
は、事業の持続的発展を支える源です。
従業員一人ひとりが意欲を持って仕事に取り組めるよう、
安全で働きやすい職場環境の維持、改善に努めています。
労使の対話による信頼関係の維持、向上
人事方針
荏原グループの永続的発展のため、チャレンジ精神を
もって創意工夫する人材を獲得し、定着させ、モチベー
トし、実力が最大限発揮できる環境を整える。
ユニオンショップ制度により、経営側と労働組合が定期的
及び必要に応じて労使協議会を開催し、適度な緊張関係を
保ちつつ、信頼関係を維持、向上できるよう努めています。
労働組合の視点から企業運営を把握し、経営の健全性等を
人事政策
1. 経営課題と個人の行動のベクトルを合わせる諸制度
を整備する。
確認することができる労使協議会は、会社としても従業員
の声をとらえることができる重要な場となっています。
荏原羽田工場が2009年に千葉県富津に移転することに伴
2. 年功序列を改め、役割・成果に応じた評価と処遇を
徹底する。
う対策や、環境事業カンパニーの再編に伴う対応などが、
3. 自己責任を意識させ、自律性を高める諸制度を整備
する。
労働組合との交渉を経て、互いの合意のもとに新しい労働
4. 各社の個別状況を考慮しつつ、
グループ全体を視野
に入れた諸制度を整備する。
5. 透明で分かり易い仕組みにする。
人事・労務課題の対応について
2008年度の特に大きなテーマとしてとりあげられ、会社と
条件が設定されました。
公正な人事評価に向けて(荏原)
潜在能力を評価するのではなく、顕在化した成果に結び
つく質の高い仕事ぶりを評価する
『行動評価制度』
、組織が
荏原グループ各社が直面している人事・労務の課題と対
達成すべき目標に対して、各人がその目標に対して、また
応に加え、毎年の春闘(賃上げ交渉)の結果報告や各種労
どのように貢献するかを上司と決め、期末にその達成度を
働法制の動向等、様々な情報を共有し合うことを目的に、
評価する
『貢献目標管理制度(MBO)』を導入しています。
「荏原グループ関係会社人事部門会議」を毎年1回開催して
両制度とも上司と部下の面談を基本とし、両者が納得した
います。荏原グループ各社は、労働組合との協議を踏まえ
上で業務が遂行できる仕組みとしています。
また、評価レベ
たグループ全体での取り組みのほか、事業や拠点の特性、
ルの向上・統一化を図るために上司(評価者)間で会議を
必要性に応じてそれぞれに人事制度や労働条件を定めて
行うなど、公正な評価の実現に努めています。
います。
貢献に報いる賃金制度(荏原)
荏原の賃金制度の目的は、能力・成果をあげた従業員を評
価し、高く処遇することで従業員のモチベーションを高める
ことであり、
これにより、
「組織の活性化」、
「経営目標に対す
る貢献」を実現し、会社の永続的発展を目指します。
荏原グループ関係会社人事部門会議
36
EBARA Group CSR Report 2009
ベトナム
Nguyen Thi Linh Giangさん(11歳)
2009年度からは、新たなテーマで人権啓発説明会を開始
します。
従業員が仕事と家庭を両立させることを目的として以下の
また、荏原とは別に、
グループ会社独自の人権啓発説明会
制度を設けています。
を開催している会社もあります。
◆フレックスタイム制度
◆短時間勤務制度(母体保護、育児、介護に付帯する制度)
◆荏原主催の人権啓発説明会開催状況
◆半日有給休暇制度
(対象:荏原及び一部グループ会社)
◆リフレッシュ休暇制度
実施年度
回 数
◆育児休業制度
2006年度
30回
657名
2007年度
29回
5,406名
◆介護休業制度
◆ボランティア休職・休暇制度
合計
8回
183名
67回
6,246名
員が裁判員に選出され、出頭した場合には、特別公休を取
得できることを就業規則に定めました。
■荏原エンジニアリングサービス
(株)の取り組み
荏原エンジニアリングサービス(株)では、2006年度より
すべてのハラスメントに対応した
就業規則へ改定(荏原)
3年にわたり、全従業員を対象に、
「コンプライアンスの総論」
「心のリスクマネジメント」などについて、直接教育を実施
ステークホルダーのために
また、2009年5月に始まった国の裁判員制度に対して、従業
2008年度
参加人数
荏原グループの方針・体制・姿勢
ワーク/ライフバランスのための諸制度
してきました。全従業員にコンプライアンス、ハラスメント、
荏原は、2008年7月にハラスメントに関する就業規則を改
メンタルヘルスについてなど、知識として理解してもらい、
訂し、すべてのハラスメントが懲戒の対象となることを定め
行動につなげてもらうよう活動しています。
ました。
「セクシュアル・ハラスメント」のみを対象としてい
◆荏原エンジニアリングサービス(株)主催の研修会開催状況
を追加し、
これらすべてのハラスメントに直接的、間接的に
実施年度
回 数
関わることも、見て見ぬふりをすることも懲戒の対象となる
2006年度
17回
430名
ことを定めました。
2007年度
38回
1,201名
すべての従業員にとって働きやすい環境になるよう、今後
2008年度
38回
1,006名
93回
2,637名
も継続して改善に努めていきます。
人権意識を高めるための周知・啓発活動
合計
参加人数
■人権・労働に関する国際基準の周知・啓発活動
世界人権宣言、
グローバル・コンパクト等の、人権・労働に
荏原グループでは、従業員及び派遣社員など、すべての
関する国際的に合意された諸基準の周知徹底を目的とし、
人を対象とした人権啓発説明会を開催しています。頻度と
その第一ステップとして2008年度は、国内及び海外の荏原
しては、1人の人が、3年に1回必ず受講するサイクルで実施
グループ各社に対するアンケートを実施しました。
しています。2006年度は、全国支社・支店、2007年度は、全
その結果を踏まえ、2009年度も引き続き諸基準の周知・啓
事務所・事業所、2008年度は、
グループ会社など個別対応
発活動を実施する予定です。
の年とし、3年間で全67回、6,246名の従業員等に対し、人権
について説明しました。
EBARA Group CSR Report 2009
37
地球環境のために
た従来の規則に、
「パワー・ハラスメント、いじめ、嫌がらせ」
ステークホルダーのために
従業員とともに
従業員の健康増進と疾病予防
経営層に対する研修
荏原では、従業員が健康に働けることが、会社の発展、継
一般従業員だけでなく、
グループ各社の経営層に対しても
続につながると考え、健康の維持、疾病予防の諸施策を実
研修を行っています。従来、環境経営をテーマとして実施し
施しています。毎年、全従業員を対象とする定期健康診断
ていた研修を2008年度から、環境経営を含むCSR全般を
や職種特有の検査も行っているほか、生活習慣病やメタボ
テーマとして実施しています。
初回は
「クライシス・マネジメン
リック症候群、精神の疾患の予防にも取り組んでいます。
ト」
「
、環境経営」
「
、安全保障貿易管理」
「
、人権・労働の国際
基準」
をテーマに荏原の執行役員以上と国内グループ会社
■生活改善プログラム
の代表取締役など63名を対象とし、
54名が受講しました。
生活習慣病やメタボリック症候群を予防・改善することを
目的に、食生活の見直しによって体質改善を図る
「Let's
challenge 生活改善プログラム」
を実施しています。
これは、
食事の量を記録し、
月に一度栄養士・看護師が栄養・保健指
能力開発
導を行うもので、自分の食事摂取の傾向を認識し改善する
グローバル化、人口構造の変化、個人の価値観の多様化に
良い機会になっています。2008年度は、参加者86人のうち、
対応することを目的に、各種研修プログラムがより体系的
6ヶ月間継続できた66人の約40%が改善に成功しました。
かつ費用対効果が高くなるよう見直しを行っています。従業
員一人ひとりが自らの意志で能力開発を行い、事業活動に
■メンタルヘルス
貢献できるよう、様々な人材開発プログラムを提供していま
仕事のストレスなど、労働に起因する精神の疾病を予防
す。また、通信教育プログラムも提供し、会社が指定した講
するために、神経科医師の診断を会社で受けられるように
座を期間内に修了した場合には、奨励金として、受講費の
しています。
また、職場ぐるみで精神の疾病を予防するため
50%を会社が負担しています。
に、2004年度から管理職を対象にメンタルヘルスセミナー
を実施しています。2008度には管理職に加え一般従業員に
も対象を広げて実施しました。
経営課題(目的)
■経営課題と
人材開発プログラム
目標とする成果
1〜5 人材開発プログラム(下表)
グループ経営強化
経営者及び経営者候補の育成
労働安全衛生
従業員の職場における安全と健康を確保するとともに快
1
専門能力強化
プロフェッショナル人材の育成
2
グローバル対応能力強化
グローバル人材の育成
リーダーシップ強化
適な作業環境の形成を促進することを目的とし、労働災
4
害を未然に防止するための安全衛生管理規定を定めて
モチベーション強化
います。法令で定められた総括安全衛生管理者、産業医な
5
どによる安全衛生管理体制を敷き、事業所全般の観点か
ら、中央安全衛生委員会を設置しています。また事業所ご
とに安全衛生委員会を設置し、安全衛生管理計画を立案
して実施しています。労働災害を防止するため、従業員に
3
変革型人材の育成
自律型人材の育成
◆人材開発プログラム
1 役員・グループ会社経営者研修、ビジネスリーダー研修
営業・法務・財務・知的財産研修、
2 キャリア形成支援(コーチング、女性活躍推進、異業種交流)、
通信教育
は安全衛生教育訓練に参加することを義務付けています。
3 留学(長期・短期・国内)、海外赴任前研修、外国語教育
さらに、脳、心疾患や過労死などの予防対策として、長時間
ダイバーシティ※
4 管理職セミナー、G-One手法トレーニング、
労働者への産業医面談を実施しています。
5 各階層別研修
※ 2008年度に追加したプログラム
38
EBARA Group CSR Report 2009
台
湾
黃柏榕さん(9歳)
荏原グループの方針・体制・姿勢
■グローバルに活躍できる人材の育成
英語と中国語の語学研修を社内で定期的に実施しており、
受講完了者には受講料の50%を会社が負担しています。
さらに、各カンパニープレジデントの推薦によって選抜
される国内留学制度では英語によるプログラムが実施され
相手を理解することは
自分を理解することに
つながる
ています。
女性活躍推進プログラム参加
荏原 江澤 清子
2008年度から管理職昇格試験に英語を追加しています。
私は入社以来、営業事務を担当しています。他の職場
の雰囲気や仕事を知ってリフレッシュしたいと思って参
加しました。1年間に4回行われたプログラムの最終回
国内留学制度参加
荏原 内田 亮
国内留学制度で7回の全プログラムが英語で行われる
に、全参加者30人で「参加者宣言文※」を作り上げまし
た。相手の話をじっくり聞き、自分自身の考えも掘り下
げることで30人の思いを一つにまとめ上げることがで
きました。
「何事も熱意と誠心をもって接すれば相手に
通じないことはない。
」
と説いた荏原の創業の精神「熱と
誠」に通じることを実感しました。
ビジネススクールに通いました。私は輸出向けポンプ
※
の見積業務をしているので、
このプログラムで海外との
● 私たちは前向きに行動することで影響し合える存在です。
コミュニケーション力を高めたいと思いました。
● 私たちは一人ひとりの言葉に耳を傾けて想いや考えを
ここで学んだことによって、上司、同僚、後輩それぞれの
目線で仕事の進め方を考えることができるようになっ
ステークホルダーのために
相手の目線に立つことが
コミュニケーション力向上に
つながりました
2008年度女性活躍推進プログラム参加者宣言文
共有しているので、お互いを認め合える存在です。
● 私たちは豊かな発想で未来を創っています。
たと思います。相手の立場を理解することがコミュニ
地球環境のために
ケーション力の向上につながり、効率的に仕事を進め
ることにもつながるということに気づきました。
■ダイバーシティ*1
女性活躍推進プログラムの一環として異業種交流会を行っ
本音を伝え合うことで
人と人は解りあえる
ことを実感
ています。全く異なる業種・会社に席を置く人たちが、一つ
異業種交流会参加
荏原 豊田 由貴
のテーマについて話し合うことにより、各人の考え方を認め
私は環境プラント開発や知的財産管理の仕事を経て、
合い、会社は違っても働く者として共通点があることなど、
現在は環境事業カンパニーの再編業務を担当してい
多くの気付きを得ることを目的として2008年度は7社が
ます。昨年育児休暇から職場に復帰し、モチベーション
参加しました。
を向上させるきっかけを模索していたところにこの会
また、性別、国籍、障がいなどに関係なく、公平な立場で働
の募集があり、即、申し込みました。商社、広告代理店な
くことのできる職場づくりの重要性を再認識させる目的で、
ど普段接することのない業界の女性たちと本音で語り
管理職の希望者に対してダイバーシティをテーマとした研
合うことで、業種や年齢を超えて理解し合えたと思いま
修を実施しました。2008年度は性別に関わらず能力を生か
す。
とても密度の濃い一日で、コミュニケーションの重
せる職場作りの意識向上を図りました。
要性を再認識しました。
*1【ダイバーシティ】 人的な多様性。
EBARA Group CSR Report 2009
39
地球環境のために
荏原グループ
環境目標と2008 年度活動成果
荏原グループ行動基準に定められた「環境保全と私たち」
を実践するために、
荏原グループ各社、各事業所ごとに目標を策定し、
荏原グループ目標(2010年度)の達成に向かって活動しています。
荏原グループ基本ビジョン
環境トップランナーを目指し、持続可能な社会の形成に貢献する。
荏原グループ目標(2010年度)
2008年度活動成果(活動の紹介ページ)
■ 日常業務における環境保全活動
事業所ごとに水質汚濁防止、大気汚染防止などについて自主基準
を定め、環境保全・汚染予防活動を実施する。
● サーマルリサイクルよりマテリアルリサイクルを優先させる。
廃棄物のマテリアルリサイクル率を95%以上とする。
● 廃棄物最終埋立処分率を3%未満とする。
● ● 事業所ごとに汚染予防活動を実施し、基準値を全
てクリアしている。
マテリアルリサイクル率95.0%で目標達成。
最終埋立処分率3.5%で、目標未達。
(41ページ)
温室効果ガスをCO2排出量換算で2000年度比10%削減する。
事務所・事業所においては原単位目標を定めて削減に取り組む。
2007年 度より6.6% 削 減した が2000年 度 比で は
3.6%増で、目標未達。
(41ページ)
モーダルシフトなどによる、製品輸送のCO2排出量を削減する。
グループ社用車(看板車を含む)の低公害車導入率90%以上とする。
2007年度比19%削減。
導入率73%で未達。
上水、工業用水及び地下水の使用量を2000年度比10%削減する。
2000年度比21%削減で、目標達成。
環境審査システムを各グループ会社で導入し、実施する。
荏原ハマダ送風機(株)に導入済。
PRTR法対象化学物質の排出量を2000年度比20%削減する。
2000年度比8.5%削減で、目標未達。
(41ページ)
トルエン、キシレン、
ジクロロメタン等の排出量を2000年度比
30%削減する。
2000年度比10.9%削減で、目標未達。
(41ページ)
● ● ● ● ● ● ● ● ■ 事業活動における環境保全への貢献
製品に含有する禁止物質、削減物質、管理物質の基準を設定し、
カンパニーごとに基準を策定中。
実施する。
● 環境適合設計基準を設定し、実施する。
● グリーン調達基準を設定し、実施する。
● http://www.ebara.co.jp/csr/management/green_procure.html
環境適合設計指針に基づき基準をカンパニーごと
に策定中。
荏原グループグリーン調達ガイドラインをホームペー
ジで公開している。カンパニーごとに基準を策定中。
■ 環境マネジメントへの取り組み
荏原グループ全社で環境マネジメントシステムの運用方法を
統一する。
羽田本社屋落成を機に、従来の品川事務所、羽田
事務所の統一を推進中。
荏原グループ全体で共有する環境情報システムを構築する。
荏原グループ全社で環境データを収集し、一元化する。
環境情報収集・集計システムを2006年度から導入
済み。
荏原グループ環境会議を定期開催する。
2009年1月29日に実施済。
荏原は、
グループ各社の経営層環境教育を実施する。
2008年12月3日に実施済。今後はCSR教育の一環と
して実施予定。
グループCSRレポート、ホームページにより荏原グループ環境情報
を外部へ発信する。
荏原グループCSRレポート2008発行。HPでも公開。
http://www.ebara.co.jp/csr/csr/2008/index.html
ステークホルダー・ミーティングを実施する。
検討中(2008年度未実施)
● ● ● ● ● ● ● 40
EBARA Group CSR Report 2009
スペイン
Rodriguez Sanchez Victoriaさん
(7歳)
荏原グループの方針・体制・姿勢
環境データ
荏原グループ目標達成と環境データの対象組織は荏原とグループ会社(連結)*1としました。
■マテリアルリサイクル率と最終埋立処分率の推移
60
[千t]
100
[%]
80
91.5
92.2
93.2
95.3
荏原 グループ会社(連結)
51.3
95.0
目標値
95.0以上
マテリアルサイクル率
50
45.0
49.9
46.6
40
20
最終埋立処分率
5.5
2004
10
5.3
4.5
3.4
3.5
2005
2006
2007
2008
目標値
3.0未満
2009
2010[年度]
0
2000
2006
2007
2008
2009
2010[年度]
■PRTR法対象物質排出量の推移
■PRTR法対象物質排出量のうちVOC排出量の推移
[t]90
[t]90
◆最終埋立処分率:
(最終埋立処分量/廃棄物量)×100(%)
80
荏原 グループ会社(連結)
80.5
75.4
75.9
73.7
目標値
64.4
70
80
60
50
50
40
40
30
30
20
20
10
10
0
2000
2006
2007
2008
2009
2010[年度]
荏原 グループ会社(連結)
80.5
69.9
72.8
70
60
0
地球環境のために
◆最終埋立処分量:排出後そのまま直接埋立処分される廃棄物と、
中間処理後再利用されず埋め立てられる残渣を含む。
・2
008年度は、
電力監視システムの活用など、
日常的な省エネルギー活動に
より、
2007年度よりCO2排出量を6%削減しました。
・2
008年度は、
藤沢事業所工場棟の屋根に断熱塗装を実施したり、
各事
業所の省エネ型照明設備への更新を実施しましたので、
今後はより一層の
省エネルギー効果が見込まれます。
・環
境対策を実施した荏原の富津事業所は2009年4月に建屋が完成し、
羽田工場からの生産設備の移転を2010年9月までに完了予定です。
◆マテリアルリサイクル率:
[マテリアルリサイクル量/
(マテリアルリサイクル量+埋立量)
]
×100(%)
ステークホルダーのために
目標基準年を
2000年度と
しているため、
排出係数は
2000年時点の
地球温暖化対策
推進法施行例の
0.357kg/kWhを
適用しています。
30
20
目標値
40.5
40
60
0
■CO2排出量の推移(電力・燃料由来)
71.7
目標値
56.3
2000
2006
2007
2008
2009
2010[年度]
◆PRTR法:特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促
進に関する法律。
◆排出量:大気、水域、土壌など環境へ排出された量。
◆VOC:Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)
*1【グループ会社(連結)】 43ページ
「荏原グループISO14001登録組織一覧」
の組織番号①〜⑭及び荏原バイロンジャクソン
(株)
、
荏原機電
(株)
(株)
、 日設、
(株)
荏原湘南スポーツセンターを含む17組織。
EBARA Group CSR Report 2009
41
地球環境のために
荏原グループの事業活動と環境への影響
事業活動に伴う環境への影響を把握し、
事務所や事業所で発生する
環境負荷の低減に努めています。
INPUT
OUTPUT
荏原グループの
事業活動
荏原(①〜⑤)*1
資材
金属(鉄鋼、非鉄金属)、
プラスチック、
ゴム、木材等
電力量 …
……………………
開 発
75,810 MWh
荏原(①〜⑤)*1
廃棄物
総排出量 …………………………… 8,732 t
マテリアルリサイクル量 ……… 5,671 t
(再資源化や再利用のために
社外に処理委託した量)
燃料(原油換算)… ………………… 4,815 ㎘
最終埋立処分量 … ………………… 140 t
化学物質(PRTR法対象物質)… ……… 109 t
CO2
電力・燃料由来 ………… 37,254 t-CO2
製品輸送 …………………… 2,915 t-CO2
上水・工業用水・地下水 …
……
483 km3
設 計
調 達
化学物質(PRTR法対象物質)
排出・移動量*3 … ……………………66 t
製品出荷量 … …………………………42 t
排水 …………………………………… 308 km3
INPUTとの差は、
空調で使用するクー
リングタワーからの蒸発等
製 造
事業活動による社会への貢献
(製品・技術・サービスの提供)
販 売
グループ会社(連結)*2
資材
金属(鉄鋼、非鉄金属)、
プラスチック、
ゴム、木材等
電力量 …
……………………
サービス
17,851 MWh
上水・工業用水・地下水 …
……
104 km3
廃棄物
総排出量 …………………………… 2,111 t
マテリアルリサイクル量 ……… 1,439 t
(再資源化や再利用のために
社外に処理委託した量)
最終埋立処分量 … ………………… 236 t
燃料(原油換算)… ………………… 1,306 ㎘
化学物質(PRTR法対象物質)… ……… 183 t
グループ会社(連結)*2
輸 送
CO2
電力・燃料由来 …………… 9,394 t-CO2
化学物質(PRTR法対象物質)
排出・移動量*3 … ……………………16 t
製品出荷量 … …………………………84 t
製 品
排水 ……………………………………… 58 km3
INPUTとの差は、溶鉱炉用
クーリングタワーからの蒸発等
*1【荏原(①〜⑤)】 43ページ
「荏原グループISO14001登録組織一覧」
番号①〜⑤。
*2【グループ会社(連結)】 43ページ
「荏原グループISO14001登録組織一覧」
番号⑥〜⑭の会社及び、
荏原バイロンジャクソン
(株)
、
荏原機電
(株)
(株)
、 日設、
(株)
荏原湘南スポーツセンターのデータです。
*3【排出・移動量】 排出量/大気、
水域、
土壌など環境へ排出された量、 移動量/産業廃棄物として事業所外へ移動した量。
42
EBARA Group CSR Report 2009
韓
国
環境マネジメント
ISO14001に則った環境マネジメントシステムを
運営しています。
■荏原グループISO14001登録組織一覧
(2009年6月1日現在)登録年月日順
事業活動が及ぼす環境への負荷を低減し、環境汚染の
登録組織
荏 原
下図は、荏原グループの環境マネジメント体制の概要で
す。事務所・事業所などの事業拠点と周辺地域の環境保全
藤沢事業所
(横軸)と製品・サービスに関る環境保全(縦軸)を両立
させています。
事業所別環境方針はホームページに掲載しています。
①
http://www.ebara.co.jp/csr/management/regional_policy/
(2009年6月1日現在)
② 羽田事業所
③
環境統括委員会
1997年2月5日
1997年2月20日
羽田事務所
【荏原の支社・支店・営業所及び、
(株)荏原環境テクノ北海道】
袖ヶ浦事業所
④
【(株)荏原エリオット】
⑤
【荏原ハマダ送風機(株)】
1997年11月21日
1998年1月21日
鈴鹿事業所
2002年10月11日
日本国内 グループ会社(連結)
鈴 鹿
事業所
⑥ 荏原エンジニアリングサービス(株)
2000年7月18日
⑦ (株)荏原フィールドテック
2002年3月6日
⑧ (株)荏原シンワ
2002年7月18日
⑨
荏原テクノサーブ(株)
地球環境のために
袖ヶ浦
事業所
精 密・電 子 事 業 カ ン パ ニ ー
藤 沢
事業所
環 境 事 業 カ ン パニ ー
風 水 力 機 械 カ ン パニ ー
コー ポ レー ト
羽 田
事業所
【荏原冷熱システム(株)、
(株)荏原エージェンシーの一部、
(株)荏原電産の一部、
(株)荏原フィールドテックの一部、
(株)イー・シー・イーの一部、
荏原工業洗浄(株)の一部、
荏原環境プラント
(株)の一部、
荏原エンジニアリングサービス(株)の一部、
荏原テクノサーブ(株)の一部】
ステークホルダーのために
■環境マネジメント体制図
羽 田
事務所
登録年月日
登録範囲に含まれている荏原グループ会社
予防に継続的に取り組みます。
荏原グループの方針・体制・姿勢
環境マネジメント組織
Min Sung Junさん(6歳)
2002年11月8日
【荏原冷熱システムの一部】
⑩ (株)荏原九州
2002年11月18日
⑪ 荏原工業洗浄(株)
2003年4月23日
⑫ (株)荏原由倉ハイドロテック
2004年1月19日
⑬ (株)荏原電産
2004年2月27日
⑭ (株)荏原金属
2004年4月21日
日本国内 グループ会社(非連結)*1
支社・支店・営業所
グループ会社
支社・支店・営業所
グループ会社
工事現場
支社・支店・営業所
グループ会社
工事現場
支社・支店・営業所
グループ会社
⑮ (株)クリーンシステム 2004年10月28日
⑯ 中部リサイクル(株) 2005年3月14日
⑰ (株)ジェイ・チーム
2006年7月28日
⑱ (株)大岩マシナリー
2007年7月19日
海外 グループ会社(連結)
⑲ Ebara Precision Machinery Europe GmbH
2003年10月16日
⑳ 烟台荏原空調設備有限公司
2005年9月26日
*1【日本国内 グループ会社(非連結)】
生産設備のある日本国内の非連結グループは環境リスク回避、
低減のために、
コーポレート環境監査
(P44参照)
を実施しています。
EBARA Group CSR Report 2009
43
地球環境のために
環境リスク・マネジメント
荏原グループは、
環境汚染事故をはじめとする
環境リスクを少なくするために、
環境審査及び環境監査のしくみを導入しています。
環境審査
環境監査
事業所内などで工事を行う場合は、環境審査を受け、着工
環境監査員が、環境法規制の順守、環境汚染予防対策の
承認を得る必要があります。
実施状況、環境マネジメント活動の推進状況を確認して
います。
■3重の環境審査を実施
生産設備、厚生施設などの新設や改修、撤去の工事を行
■環境監査も3重に実施
うと、廃棄物や振動・騒音など、様々な環境負荷が生じる
1内部環境監査(第1者監査)
可能性があります。環境法令違反や周辺地域への被害を
防ぐため、荏原では、工事の計画段階で環境審査を行って
います。
各社や事務所・事業所毎に独自に行う監査です。
2コーポレート環境監査(第2者監査)
コーポレートの環境推進室が荏原グループの各サイト、
各社を監査します。
工事の申請
3外部審査機関による審査(第3者監査)
1 カンパニーの環境管理部門が審査
外部の審査登録機関による環境監査です。
2 事業所・事務所の環境管理部門が審査
3 コーポレートの環境推進室が審査
全ての審査をパスした場合、着工
■2008年度コーポレート環境監査による不適合の内訳
2008年度のコーポレート環境監査は、CEAR*2登録環境審
査員を核に、19サイト、22社に対して実施しました。
廃棄物処理法に関わる要改善項目や危険物管理の見直し、
■18種類の環境法令について確認
環境側面の抽出不足や環境マネジメントプログラムの
設備の建設・設置工事と設備の運用段階における環境影
未達などが指摘され、改善に向けた取り組みが行われて
響、環境法令の順守、工事における労働安全衛生上の不適
います。
合の有無について審査し、必要なアドバイスを行います。
◆2008年度コーポレート環境監査(19サイト)
で
確認された全不適合の内訳
廃掃法
29件/ 24%
■2008年度の環境審査
2008年度の審査件数は105件でした。環境審査を通じて、
環境負荷の低減方法や、作業安全上の注意点なども工事現
その他
43件/ 36%
不適合
全121件
場に周知徹底しています。
◆事業所別申請件数
◆カンパニー別申請件数
羽田 2 支社・支店 1
富津 3
その他 4
袖ヶ浦 5
環境事業
カンパニー 3
精密・電子事業
カンパニー 44
その他 5
5S活動*1
4件/ 3%
環境法※
11件/ 9%
危険物管理
10件/ 8%
薬品管理
5件/ 4%
影響評価
教育訓練 10件/ 8%
9件/ 7%
※主に該当法規制一覧表の作成不備
全105件
全105件
◆荏原のCEAR登録環境審査員の構成
環境主任審査員
環境審査員
藤沢 90
風水力機械
カンパニー 18
環境審査員補
コーポレート 35
*1【5S活動】 整理・整頓・清潔・清掃・躾の頭文字をとって、
これらの活動を指します。
*2【CEAR】 環境マネジメントシステム審査員評価登録センター
44
EBARA Group CSR Report 2009
5 (5)名
0 (0)名
23(27)名
( )は2007年度データ
ブラジル
環境教育、
環境会計
荏原グループの環境リスクを低減させるため、
また従業員一人ひとりが
環境意識を高め、
自らの職務の中で考え行動できるよう環境教育を行っています。
また環境に対する取り組みの投資効果や費用効果を知るために、
環境会計を導入しています。
のe-ラーニングを用意し、未受講者が出ないように配慮し
ています。
また、廃棄物処理に関するリスクを低減するため
経営層から全従業員までを対象に、職務に応じた環境教育
に、
グループ各社の環境担当者に対して、外部講師による
プログラムを組んでいます。荏原グループの経営層を対象
廃棄物処理場の現地確認方法に関する教育を実施しまし
に行ったCSR研修会の中で、2008年度は、大手電機メーカ
た。そのほか、内部環境監査員、エネルギー管理士などの環
の方を講師に招き、製品への環境適合設計の先進的な取り
境保全に係る担当者への専門教育なども社内研修や社外
組みについて講演していただき、今後の社内取り組みの参
セミナーへの参加などにより適宜実施しています。
考としました。
荏原グループの方針・体制・姿勢
環境教育
Guilherme Casanova Lozanoさん
(9歳)
荏原の事務所・事業所の全従業員を対象とした「全社一般
環境教育」は、毎年、各事業所の環境教育担当者が集まり、
その年度で実施する共通の教育内容を制作しています。
の原因、社内でのCO2削減に関する取り組み事例、他社の
環境対策製品例などの紹介を教材に含めました。参加者か
らは、環境意識の向上になるので継続的な開催を望む声
が例年どおり多く寄せられました。各事業所で複数回開催
される集合教育に参加できなかった従業員には、同じ内容
グループ各社の環境担当者教育
ステークホルダーのために
2008年度は、社会で実際に起こった環境事故の事例とそ
2008年度環境会計
地球環境保全コストの設備投資が2007年度と比較して増加したのは、省エネルギー対策を実施したためです。
設備投資 日常経費*1
環境保全項目
主な投資・経費
単位:百万円、
( )は2007年度データ
主な効果
0( 4)
178( 53)
●
公害防止設備の維持費用等
法規制、協定、
自主基準の順守
428(57)
0( 0)
●
断熱塗装・照明設備更新
電力使用量の削減
CO2削減(年間2,181t)
廃棄物の処理・再資源化コスト
7( 2)
240(257)
●
廃棄物の処理・再資源化費用
最終埋め立て処分率の低減
環境に関わる管理活動コスト
2( 4)
249(252)
ISO14001の維持審査及び更新審査費用
環境監査の監査員人件費等
環境マネジメントシステムの維持、改善、
環境リスクの回避
環境負荷低減のための社会的
取組に関するコスト
0( 0)
41( 38)
荏原グリーン基金による緑化活動
CSRレポート制作費、環境広告・宣伝費等
緑化推進、社員の環境保全意識向上
ステークホルダーとのコミュニケーション
その他のコスト
0( 0)
344(211)
藤沢事業所の焼却炉解体工事費等
ダイオキシンの環境リスク回避等
公害防止コスト
地球環境保全コスト
合計
●
●
●
●
●
437(66) 1,052(811)
環境保全を目的とした研究開発費(環境会計システムとは別に集計)
2008年度は、全研究開発費のうち、予算ベースで約22%を環境維持・改善関係技術、省エネルギー、新エネルギー技術開発に充てました。
*1【日常経費】 減価償却費は費用に含まれていません。
EBARA Group CSR Report 2009
45
地球環境のために
対象期間:2008年4月1日〜2009年3月31日
対象組織:荏原単体(羽田事務所、羽田事業所、藤沢事業所、袖ケ浦事業所、鈴鹿事業所・営業部門)
地球環境のために
地球温暖化防止対策
荏原グループは、地球温暖化を防止するために、
設備の更新や様々な工夫によってCO2削減に取り組んでいます。
断熱塗装によるCO2削減
照明設備更新によるCO2削減
藤沢事業所では、2008年夏季より事業所内工場棟の屋根
藤沢事業所、鈴鹿事業所、袖ヶ浦事業所では、2008年度に
に順次断熱塗装を施しています。断熱塗装の目的は、太陽
工場照明設備を省エネルギー型に更新しました。
光を反射・断熱して外部からの熱の侵入を抑え、工場内の
省エネルギー型工場照明設備は、反射板と高効率ランプを
温度上昇を抑えることです。
使用しており、従来の約40%の消費電力量で同等の照度を
これまでは、特に夏場は太陽光の吸熱により屋根表面が熱
確保することができます。
せられ、
その熱が工場内の空気に伝わり、外気温に対し屋根
下1mの室温は10℃以上も高くなっていました。
この影響で
冷房負荷が大きくなり、電力消費量も増大していましたが、
断熱塗装施工後は、屋根下1mの室温も外気温に対し約5℃
の上昇に抑えられました。
その結果、冷房用エネルギー使用
量が減り、CO2換算で約20%削減することができました。
省エネルギー型照明を設置した藤沢事業所の工場
藤沢事業所では、精密・電子事業カンパニーの工場照明設
備542灯を高効率ランプに更新しました。
これにより、蛍光
灯も含めた工場全体の照明系消費電力のCO2排出量は、
屋根の断熱塗装施工状況
2007年度の同時期に比べ、約35%の削減となりました。
日常のきめ細かな温湿度管理により、断熱塗装によるCO2
また、CO2排出量の90%を電力が占める鈴鹿事業所では、
削減は、
より一層の効果を引き出すことができます。藤沢事
工場照明設備285灯のうち、162灯を省エネルギー型に更新
業所精密・電子事業カンパニーでは、工場内の温度と湿度
し、事業所全体で年間約23tのCO2削減となりました。
を毎日午前・午後の2回、20箇所で測定しています。工場が
広いため、全体的な空調とスポット的な空調を併用してい
ますが、作業員の快適性、精密製品の精度維持・結露防止・
その他品質上必要な雰囲気条件を確保しながら温度ムラ
の修正や、無人エリアの空調停止など、その日の配置人員
数に応じた調整を行っています。
藤沢事業所内建屋への断熱塗装工事は2009年5月に全て
完了しました。今後は、適切な温湿度管理を実施し、CO2を
更に削減するように活動します。
省エネルギー型照明を設置した鈴鹿事業所の工場
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EBARA Group CSR Report 2009
ベトナム
Pham Trung Kienさん(9歳)
す。袖ヶ浦事業所では、工場内324灯を省エネルギー型照
明設備に更新し、CO2排出量換算で、年間約130tの削減と
なりました。
(株)荏原九州では、半導体産業用装置の組立製造を大型
クリーンルーム内で行っています。作業環境を維持する
ために、冬期でも冷暖房の各設備を24時間併用運転しな
ければならず、そのエネルギーは工場全体の消費エネル
ギーの50%以上になっていました。
この冬期のエネルギー
変圧器更新によるCO2削減
を削減するために様々な改善活動に取り組み、特に、工場
荏原グループの方針・体制・姿勢
空調設備改善によるCO2削減
2009年度も残りの照明設備を省エネルギー型に更新しま
内を循環する空調用循環水を応用した排熱吸収・転用利
用が、大きな成果をあげました。従来、暖房を必要とするク
験に大量の電力を使用しています。電力系統に使用している
リーンルームには独立した暖房設備を使用し、排熱が発生
従来の変圧器は電力損失が多く、余分な電力を消費してい
するコンプレッサ室や組立クリーンルームには、排熱冷却
ました。そこで、この電力損失を減らし、CO2排出量を抑える
のために冷房設備を使用していました。今回の対策では、
ため、計画的に最新変圧器への更新を進めており、2008年度
コンプレッサ室や組立クリーンルーム内の排熱を、空調用
は、82台中8台更新しました。更新した変圧器により従来の
循環水を利用して他所に移送し、直接暖房に利用しまし
変圧器に比べて電力損失を約60%低減でき、CO2は約40t
た。
これにより、冬期に冷暖房の両熱源装置を運転する必
削減できました。
要がなくなったため、2008年11月から2009年3月には、冷
暖房用電力削減量は2007年度の同期比50%、CO2換算49t
ステークホルダーのために
袖ヶ浦事業所では、主力製品の一つである大型圧縮機の試
の削減となりました。
この改善によって冬期のクリーンルー
パソコンの節電設定によるCO2削減
ムの熱収支はバランスが保たれ、良好な作業環境が保た
れています。
荏 原 は、2009年2月から、情 報 機 器 を 通して一 層 のCO2
地球環境のために
削減を推進するために「クライメート・セイバーズ・コン
ピューティング・イニシアチブ」Climate Savers Computing
Initiative(略称CSCI)に参加しています。
CSCIは、2007年に開始されたエコロジー意識の高い一般
消費者、企業、環境保護団体が参加する非営利団体で、
コン
ピューターの消費電力削減を実現する高度な技術の開発、
導入、利用を推進していく事を目標としています。
CSCIへの参加により、パソコンの消費電力削減への取り組
■従来の冬期の冷暖房概念
(
冷房を
要する個所
温水
)P
コンプレッサ室、
クリーンルーム
など
冷水
冷房装置 暖房装置
冷水
P
温水
暖房を
要する個所
(
)
クリーンルーム
など
みを徹底し、荏原所有2,500台のパソコンで、12万kWh/年
の消費電力、CO2換算で43t削減を目指しています。
■改良後の冬期の冷暖房概念
CSCIロゴマーク
(
冷房を
要する個所
)P
コンプレッサ室、
クリーンルーム
など
【排熱発生】
温水
冷房装置 暖房装置
(停 止)(停 止)
空調用循環水
冷水
暖房を
要する個所
(
)
クリーンルーム
など
【排熱利用】
P
:ポンプ
EBARA Group CSR Report 2009
47
荏原グループCSR レポート 2009
第三者所感
立命館大学
経済学部教授
島田 幸司様
48
専門は環境システム分析や環境政策評価。
人・企業の選好や行動メカニズムの解明を通じて、
環境・地域問題の解決に
貢献できるよう、
研究・教育・社会貢献活動を展開していらっしゃいます。
CSRレポートとしては第2号の発刊となる本レポート
ト、コンプライアンス、情報セキュリティへの対応や地
は、たいへん厳しい経済情勢のなかでの発刊となり
域・社会、顧客、取引先、株主・投資家、従業員への配慮
ました。荏原グループにおかれても、営業利益や当期
のための体制はほぼ整っているといっても過言ではな
純利益の推移(p.7)が示すとおり厳しい状況に直面
いでしょう。
していますが、
「利益が出せなければ企業は存続を許
一方、現場では「さまざまな社会的要請に応えるため、
されず、社会への貢献という目的を果たせないことに
会議や形式的事務量は増えて忙しくなったけれど実際
なります。
」
という社長メッセージ(p.4)から、社員一丸
の成果は?」
という疑問に往々にして直面します。
この
となってこの困難に立ち向かおうとする力強い姿勢を
ような閉塞感を克服するためにも、CSR関連の体制整
読み取りました。産業機械メーカとしての本業に根を
備や取組みの成果をできるだけ目にみえる形でフォ
おろしたCSR活動であるべきとする経営哲学に評者も
ローアップすることが望まれます。環境分野と比較す
深く共感します。
ると定量化しにくい分野も多いとは思いますが、それ
2007年、経 済 協 力 開 発 機 構(OECD)は 世 界 の 企 業
ぞれの分野でアウトカム指標を設定しPDCAサイクル
(7カ国4,144事業所、日本は1,467事業所)を対象とし
を形成していくことが今後必要になってくるでしょう。
た環境パフォーマンスと経済パフォーマンスの関係
たとえば、ワーク/ライフバランス関連の制度は整備
についての調査結果を発表しました。報告書は、環境
されつつあります(p.37)が、その活用は進んでいるの
負荷を効率的に減らしている企業群のほうが経済パ
でしょうか?
フォーマンスもよいという興味深い関係に加え、本社
つぎに、荏原グループの環境側面をみると、2010年度
の方針が生産の現場にまで浸透しているかどうかが
目標を達成していない項目が散見される
(p.40)もの
環境パフォーマンスに大きく影響していることを明
の、取組みの成果は排出量低減の形で着実に現れてい
らかにしました。また近年の研究により、対象を環境
ると評価できます。たとえば、2008年度環境会計(p.45)
からCSRに広げた場合にも同様の関係が当てはまる
をみると地球環境保全コストとして、工場棟屋根の断
側面(たとえば女性登用状況)があることが分かって
熱塗装や照明設備の更新などに約4億円が投資され、
きました。本業の経済パフォーマンスとの好循環を
空調や照明に起因するCO2排出量を約20%〜35%削減
念頭においたCSR活動を現場の理解のもとで展開する
しているのは特筆に価すると思います。工場移転に伴
ことが、活動の持続可能性の観点からも極めて重要で
う大規模なCO2対策を含め、今後の環境対策の深化を
あるといえます。
期待します。
さてCSRレポート2009では、荏原グループのCSRに関
さいごに、昨年のCSRレポート2008に対する社外から
する方針・体制・姿勢やさまざまなステークホールダー
の意見が13件(p.2)に留まったことは、コミュニケー
のための取組みの説明に多くの紙面が割かれていま
ションツールとしての役割からみて活用しきれていな
す。このなかで、CSR関連の組織・制度の整備や連絡
いという印象をもちます。
アンケートへの回答を待つだ
会・研修会などによるCSRの普及浸透に向けた精力的
けでではなく、社内外でCSRレポートに関する意見交
な取組みの様子がうかがえます。
換会(ステークホールダーダイアログ)を企画し、意見
コーポレート・ガバナンス、内部統制・リスクマネジメン
を拾いあげる努力も必要なのではないでしょうか。
EBARA Group CSR Report 2009
荏原グループのCSR 課題
荏原は2012年に創業100年を迎えます。
さらにその先の継続的な成長にむけてCSRの課題を認識し、改善に努めます。
荏原
取締役 常務執行役員
CSR統括部長
伊藤 章
荏原グループCSR活動の課題
す。2008年度には海外グループ会社に対して現状調査を実
施しました。2009年度以降も継続して調査を実施するとと
荏原グループCSRレポートは、2007年10月に発足したCSR
もに、国や地域、事業内容や規模に応じた対応も検討した
レポート制作委員会が制作しています。単にレポートを制
いと考えています。
作するだけでなく、制作をすすめる中で見えてくるCSR課題
を認識し、改善していくことで社会に信頼される企業グルー
プづくりをしていくことを目的としています。2008年にCSR
レポート第1号を制作・発行する過程で見出した主要な課
題は3つあります。
第三者所感に対して
今回も、立命館大学 島田教授から貴重なご意見をいただ
きました。ご指摘の通り、厳しい経済情勢の中、弊社も苦
1 荏原グループ全てが共有できる
CSR方針の明文化
戦を強いられている状況です。
しかしながら、
こういう時に
こそ、一人ひとりが持てる力を最大限に発揮し、その力の結
荏原グループには「創業の精神」
「経営理念」
「行動基準」が
集で社会に対しての責任を果たしていくべきだと考えてい
定められていますが、
「経営理念」
と
「行動基準」をより明確
ます。2009年度版も従業員に「荏原のCSR」を考え、行動して
につなぐ
「CSR方針」の明文化を検討しています。あらゆる
もらうことを主目的として制作しました。社内体制の有り様
ステークホルダーに荏原グループの姿勢をわかりやすく
をわかりやすく提示し、体制とその活動の意義を理解して
示すことができる
「荏原グループCSR方針」を2009年度中に
もらいたいと考えました。様々な社内の制度や取り組みが、
明文化することを目指しています。
従業員一人ひとりのため、会社のため、さらには社会のた
めにつながるということをよりわかりやすく示していきたい
2「CSR」
言葉と意味の浸透
と思います。
2008年度に荏原グループ第1号のCSRレポートを発行し
社外からのCSRレポートに対するアンケート回答の件数は
て全従業員に配布しましたが、従業員から寄せられたアン
少ないながら、CSRレポートをご覧いただいた機関投資家
ケート回答で複数あったのが「CSRの意味」を問うもので
や大学から様々なお問い合わせをいただけるようになりま
した。何の略記かという質問から、荏原グループの社会的
した。今後は、弊社側からステークホルダーに働きかける活
責任の本質を問うものまで幅広い意見が寄せられました。
動も検討していきたいと思います。
2009年度はより一層社内にCSR意識浸透を図る活動を実
2009年6月に荏原グループは、国連グローバル・コンパクト
施します。
に署名しました。
グローバル・コンパクトは、
「人権」
、
「労働」
、
「環境」、
「腐敗防止」に関する10原則を掲げています。
この
3 荏原グループ全体の
CSR意識醸成と活動推進
ると考えています。
この世界的なイニシアティブに参加し、
日本国内荏原グループ内にCSR意識を醸成し、活動を推進
成果を示していくことは、私たちのCSR経営の継続的な改
することを優先課題としています。一方、労働条件、人権、
善につながるものと考えています。ステークホルダーの期
10原則は、荏原グループが取り組むべきCSRに合致してい
サプライチェーン、地域・社会との良好な関係の維持など
待に応えられる企業として成長し続けられるよう、努力して
は海外グループ会社にも展開するべき課題と認識していま
まいります。
EBARA Group CSR Report 2009
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E B A R A
E B A R A
G r o u p
C S R
R e p o r t
G r o u p
C S R
R e p o r t
2 0 0 9
荏原グループ
CSRレポート 2009
株式会社荏原製作所はチーム・マイナス6%に参加しています。
この印刷物の本文用紙は、森を
元気にするために間伐した木材の
有効活用に役立っています。
〒144-8510 東京都大田区羽田旭町11-1
TEL.03-3743-6111(大代表) FAX.03-5736-3103
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ご意見・お問合せ CSR 企画室
インキは環境負荷の小さな、
植物性大豆インキを使用しています。
95-023-J02
3284②JI-H(BE)NK
荏原グループ
CSRレポート 2009
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