第29版(2005.10.1):婦人科 - 久留米大学病院

臨床試験
第29版 2005.10.5
NEWS LETTER
みなさん、こんにちは。台風が過ぎ去り、やっと秋らしい季節になりました。秋と言えば、
スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋と言いますが、皆さんはどんな秋を過ごす予定ですか?
さて、今回は「婦人科」にスポットを当ててみたいと思います。
まずは、婦人科の治験実施状況を紹介します。
実施率:43.8%
終了治験件数:2件(2004.9∼2005.8現在)
現在の治験契約件数:2件(契約症例数:6例)
(契約症例数:16症例、実施症例数:7症例)
臨床試験センター事務室(本館1F愛恵会前)
直通:0942-31-7200 FAX:0942-31-7201
内線:5131、5132 Email:[email protected]
http://www.hosp.kurume-u.ac.jp/rinsyousiken/index.html
文責:檀 佳代子 梶原 真知子
藤吉 啓造 講師
取材者:國武
①中核医療施設に勤務する医療従事者の義務として、重要な任務であると位置づけています。
②治験で最も大変だった事は、それに関わる全てのスタッフのトレーニングです。 複雑化する医療現場で安全
な診療を確立させる為、日常の病棟診療をマニュア ル化していますが、治験の患者様の場合、全く異なった
管理が要求されます。 事前にスタッフミーティングまで行っていても、その内容を全てのスタッフに徹底さ
せることは困難でした。
③医療不信が叫ばれる中、信頼回復のためにはエビデンスに基づいた診療が行われるべきだと思います。誰も
が納得できるEBMを確立させる上でも治験は避けては通れない関門であると考えます。
婦人科では、複数の治験や製造販売後臨床試験が走っています。特に化学療法の臨床試験が多く、手術を希望
する患者様もいるため、全体と比べると実施率は43.8%と低めです。 またマンパワー不足が問題となっている
中で、先生方はどのような体制で治験を実施しているのでしょうか? 婦人科の2名の先生方にいろいろお話を伺
いました。
質問内容
①先生にとって「治験」とは何ですか?
②治験において今までで一番苦労した経験は何ですか?
③治験の重要性について、考えをお聞かせください。
④治験の問題点をお聞かせください。
⑤今後の治験に対する抱負(期待)をお聞かせください。
⑥その他
④日常診療ですらマンパワー不足の状態なので、進んで治験に参加する余裕がない事です。治験をスムーズに
進行させる為にCRCを確保することは、コストの問題より重要です。
⑤治験期間中は予想外の問題が多々発生します。それらを迅速に解決することに より、スタッフ個人が治験を
より身近な業務として捉え、スキルアップに励むとともに治験の重要性についても認識を深めていけたらと
思います。
⑥マンパワー不足を補うために、工夫していることがあればお聞かせ下さい。
大学病院ではコメディカルスタッフも含めた研修者に対する指導を行っていかなければなりません。このよ
うな状態でマンパワーが不足した場合起こるのが、 医療事故です。そこで、安全性と指導の面も考慮して診
療内容の標準化に取り 組んでいます。内容はできる限りエビデンスに基づいた診療であること、クリニカル
パスの積極的な導入と変更、抗がん剤投与レジメの徹底(レジメごとのプロトコル作成)などです。患者さま
に不安を抱かれず安心した医療を提供させていただくため、少ない人数でも、チームワークが取れた医療を
目指しています。
EBMを確立させる上でも、医療スタッフ一人一人が治験の重要性の認識を深める必要があります。
牛嶋 公生 助教授
取材者:横手
今回は、婦人科を紹介させていただきました。お忙しい中インタビューに応じてくださった牛嶋先生、藤吉先生、
本当にありがとうございました。
①将来の新たな治療法を提供するために必要不可欠なステップである。
②手術療法と術前化学療法が組み合わさった治験を患者さんに紹介しましたが、煩雑な準備がたくさん要るにも拘わ
ず、多くの人に、「先生の話はよくわかりました。でも手術をお願いします。」 と、治験への参加を拒否されま
した。異なった治療法が入った第III相試験は日本では難しいと感じました。
③治療にあたる上では、常に標準治療とは何か、自分がそれを行っているのかを認識せねばなりません。個人の”思
いつき” の治療が、その患者さんのみならず、治験を紹介しなかったことで、次世代の患者さんへ不利益をもたら
すことになることを意識しておく必要があります。
④治験をとりまく環境整備を行わねばなりません。未整備のまま臨床試験の件数ばかり増えると、結果的に質の悪い
試験となり、参加された方に非常に失礼となります。特に化学療法においては複数のプロトコールが同時に走って
いますが、マンパワー不足で、CRF等がなかなか書けません。CRCの増員が先決だと考えます。
⑤難治性疾患に対し、患者さん自ら治験への参加を希望されるようになること。米国ではHIVの患者が治験以外の治
療は受けないと運動しているとの話を聞いたことがあります。日本でも機会がある度に,臨床試験、新薬の治験の必
要性を(医療側にも患者側にも)説く必要があります。
⑥婦人科は、治験や製造販売後臨床試験に関わらず様々な臨床研究が通常診療で行われていますが、多くの試験を
同時に高い進捗率で実施する為に心がけていらっしゃることがあればお聞かせ下さい。
多施設共同研究に積極的に参加することで、治療法の開発に貢献できたり、新しい情報に接することができます。
該当する患者さんがいないかと、常に気を配っています。
治験や製造販売後臨床試験は、次世代の患者さんへの新たな治療として必要不可欠なもの!
「臨床試験」は医療設備が十分整っていること、医師を始めとする専門のスタッフがいること、緊急の場合には直ち
に必要な処置ができることなど、厚生労働省が定めた要件を満たした医療機関でしか行えません。つまり、治験は医
師とCRCのみで行うものではなく、病院全体で実施するものなのです。臨床試験を実施する際には、説明会等を行
わせて頂きますので、今後ともご協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。
さて、来月号ではコメディカル部門第2回目として「薬剤部」にスポットを当ててみたいと思います。お楽しみに!
*お詫び
先月号の図1(臨床検査部と治験)中の検査部とCRC間の矢印の向きが反対でした。この場を持ちましてお詫び申し上げます。
3ヶ月振りとなりますが、日本臨床薬理学会主催 認定CRC試験合格体験記をご紹介します。
第3回 竹内 美貴 (看護師CRC)
頭痛がして、薬を飲む時にいつも思います。「この薬も治験をやったんだろうな・・・。誰が被験者に
なってくれたのだろう。」と・・・。
当センターへ異動前は新薬誕生までの過程など考えた事もありませんでした。研修に参加し、実際に
CRCとして働いていき、治験の重要性を知る事ができました。そして、昨年の11月認定CRCを取得
しました。合格できたのは各医師や看護師等とのかかわり、薬剤部、検査部、栄養士等コメディカルの
先生方からの学び、センター立ち上げからの業務整備や、センターのスタッフ全員で様々な問題に立ち
向かい、乗り越えてきた成果だと思います。
CRCの仕事は1人では絶対にできません。院内スタッフの協力があってこそ、安全に治験を実施でき
る環境が整います。安心して患者さんが治験に参加できるような環境を整備し続けていく事が私の使命
だと考えています。