超虚弱高齢者における遠赤外線低温サウナ介入試験による 健康増進効果の検証とバイオマーカー開発 東京都健康長寿医療センター・循環器内科 杉江正光 超高齢社会に至った我が国において「高齢者の健康」に対する対策は喫緊の課題である。高齢者 の健康に関して、WHOは「生活機能が有用である」としており、老年医学においては、この「生活機 能を脅かす因子」として「老年症候群」や「虚弱」が掲げられている。そこで本研究では「 “超虚弱” のために運動療法を行うことの出来ない高齢者(以下本研究対象者と称す)」を対象として、遠赤外 線低温サウナ療法を用い、科学的根拠に基づいた効果検証を行い、そのバイオマーカー探索を行 う事にある。 これまで東京都健康長寿医療センターでは「慢性疾患を有する虚弱高齢者」に、重症化予防、健 康寿命の延伸、社会参加の活性を目的とした有酸素運動介入事業を運営し、運動耐容能、歩行速 度、自己効力感、抑うつ傾向、認知機能の改善が得られた。しかし、一方でQOLや生活機能が著し く障害された多くの方(超虚弱高齢者)に対しては行われてきていない。そこで、高齢者における心 不全治療の一環として行っている遠赤外線低温サウナ療法が「老年症候群に類似した諸症状」の 改善や、運動耐容能の改善を有していることから、超虚弱高齢者に対して遠赤外線低温サウナ療 法を用いた効果について検証を始めた。現在「高齢者の健康」と定義される生活機能と、その増悪 因子である老年症候群と虚弱における評価を実施している。さらにその改善効果におけるミトコンド リア機能について評価を実施したうえで、バイオマーカーの探索に繋げていきたいと考えている。
© Copyright 2024 ExpyDoc