岡田研究室 - 群馬大学産学連携・共同研究イノベーションセンター

●フロンティア
茨城大学理学部
■研究テーマ
解に役立てています。例えば、流れの少ない
深海底では、磁性粒子(その他の粒子も)
は
進んできました。当研究室では古地磁気強
静かに海底に沈積しています。
このような環境
度変化を読み取ることで、
ベーリング海で採
下では、
粒子の長軸がランダムに水平面上に
取された海底堆積物試料の堆積年代を過去
分布するように沈積します。
しかし、流れがあ
情報通信
岡田研究室
年、地磁気強度変化を復元し、その変動パ
ターンからより詳細な年代決定を行う試みが
ライフ
サイエンス
首都圏北部4大学研究室紹介
1
0万年にわたり求めることに成功しました。
環
●古地磁気を用いた長周期地磁気変動の解明
●酸素同位体を用いた氷期−間氷期変動の解明
境
■キーワード
海底堆積物、古地磁気、古海洋、地質学、
層序学
■産業界の相談に対応できる技術分野
ナノテクノロジー・
材料
古地磁気層序、酸素同位体層序による堆積物の年代決定
帯磁率異方性による岩石中の粒子配列推定
■主な設備
2G社製超伝導岩石磁力計MODEL-750R、ASC社製熱消磁電気炉TD-48
夏原技研製交流消磁装置DFM-8601、
AGICO社製帯磁率計 KLY-3 等
e-mail:[email protected]
TEL:0294-38-5005 FAX:0294-38-5240 e-mail: ccrd-iu@mx.ibaraki.ac.jp
マグネティックケージ内の磁力計等
帯磁率異方性計 Kappa Bridge KLY-3
エネルギー
連 絡 先
茨城大学理学部 岡田 誠
茨城大学産学官連携イノベーション創成機構
岡田 誠 准教授
る場合は、
粒子の長軸が流れの方向に揃う傾
うに磁力線の向きにわずかですが揃う状態に
堆積物に記録された地球の歴史
なります。
堆積が進むと、
泥は徐々に圧密され
ていきますが、
やがてその中の磁性鉱物粒子
◆
は自由に動くことができなくなっていき、
たとえ
岡田研究室では、一般にはなじみの薄い
地磁気の方向が変わっても、
それらは堆積当
「古地磁気学」
を用いた研究をしています。
古
時の磁力線の方向を保持し続けます。
このよ
地磁気学は地球科学の分野ではプレートテ
うにして堆積物は、
あたかもテープレコーダー
のように地磁気の変動を記録していくのです。
役割を担ってきました。国内では、
1
5箇所程
このようにして獲得された古地磁気記録から、
度の古地磁気ラボ
(大学・研究所含む)
が稼
地磁気は過去1億年の間に200回近く極性を
働しています。
反転させ、
最後の反転は約78万年前に起こっ
磁気の方位や強度などを復元する学問で
極がS極に、
南極がN極
(だから磁石のN極が
す。当研究室で主に扱っているのは、海底な
北を指す)
になっていますが、
反転が起こると
どに泥が降り積もってできた堆積物や、
それ
磁石のS極が北をむくようになるということで
が固化した堆積岩です。
通常、
堆積物の粒子
す。
この反転パターンと年代との関係をもとに
は、堆積時の水流等の影響を受けた方向を
古地磁気記録から地層の年代を決めることを
向いて堆積します。
しかし、堆積物は表層付
古地磁気層序学と呼んでいますが、
この手法
は海底堆積物の年代決定の基準となってい
ます。
ようなもの)
の非常に細粒のものが堆積後も自
磁気極性を利用した年代決定法では、極
由に回転できるため、
それらが方位磁針のよ
性反転以上の時間分解能はありませんが、
近
4u Vol.5
総合的な地層年代決定
の磁化強度まで安定した測定が可能になっ
◆◆◆
ています。
また、磁力計本体と熱消磁電気
近年では、房総半島南端に分布する第四
炉・交流消磁装置の試料導入口を、地磁気
紀−新第三紀境界付近の地層の年代決定
相殺用のマグネティックケージ
(地磁気強度
や、国際深海掘削計画によりベーリング海で
を1/100程度まで軽減)
で覆う
(上写真)
こと
掘削された堆積物コアの分析などを手がけて
で、
消磁後の試料が地磁気の影響で粘性残
います。
房総半島の地層では、
古地磁気だけ
留磁化を獲得してしまうことを防いでいます。
なく、
地層に含まれる有孔虫化石の同位体分
この効果により、地磁気暴露下の状態と比べ
析(高知大学海洋コアセンター全国共同利
て、
段階消磁の質が格段に向上しています。
用で測定)
を行うことで、数千年程度の解像
この他、
当研究室では6T
(テスラ)
までの瞬
度での年代決定を行っています。
また、
広域テ
間磁場強度を発生できるパルス磁化器を用
フラ
(広い領域で対比可能な火山灰層)
の解
いた等温残留磁化着磁実験や、
段階熱消磁
析を併用することで、複合的な手段による地
における帯磁率測定実験により、
岩石試料中
層の年代決定精度の向上を目指しています。
の磁性鉱物種の特定を行っています。
また、岩石試料の帯磁率異方性を測定す
ることにより、
試料に含まれる磁性粒子の配列
埼玉大学
近ではまだ水分を多量に含んでおり、
泥の中
に含まれている磁性鉱物粒子
(細かい砂鉄の
今後の展開
料があれば、
1E-7 kA/m (emu/cc)オーダー
群馬大学
いう意味は、現在の地磁気極性は地球の北
導岩石磁力計を用いることで、
10cc程度の試
宇都宮大学
たことが明らかになりました。
この極性反転と
弱な磁化
(残留磁化)
から岩石形成当時の地
当研究室では、
SQUID素子を用いた超伝
茨城大学
古地磁気学というのは岩石が持っている微
帯磁率異方性測定から得ることができます。
◆◆
フロンティア
クトニクスを証明した学問として大変重要な
向があります。
このような情報を、岩石試料の
古地磁気・岩石磁気測定
社会基盤
∼地磁気反転から氷期−間氷期変動まで∼
特徴と強み
製造
︵ものづくり︶
技術
197
研究概要
パターンを解析し、
その試料の形成過程の理
4u Vol.5
198