オピスタン注射液 - 薬剤部

使用上の注意改訂のお知らせ
2009 年 10 月
田辺三菱製薬株式会社
このたび、標記製品につきまして、「使用上の注意」を改訂しましたのでお知らせ致します。
今後のご使用に際しましてご留意下さいますようお願い申し上げます。
今後とも弊社製品のご使用にあたって副作用・感染症等をご経験の際には、弊社 MR まで
できるだけ速やかにご連絡下さいますようお願い申し上げます。
なお、このたびの改訂添付文書を封入した製品をお届けするには若干の日時を要しますので、
既にお手元にある製品のご使用に際しましては、ここにご案内致します改訂内容をご参照下さ
いますようお願い致します。
また、ここでお知らせした内容は弊社ホームページ(http://di.mt-pharma.co.jp/di/)「医療関
係者向け情報」でもご覧いただけます。
さらに、「医薬品安全対策情報(Drug Safety Update)」No.184 号(11 月中旬発行)に掲載
されます。
■改訂内容(5~6頁に改訂後の「使用上の注意」全文を記載しておりますので、併せてご参照下さい。)
改 訂 前
改 訂 後(下線 部:追記改訂箇所)
4.副作用〈抜粋〉
4.副作用〈抜粋〉
(1)重大な副作用
(1)重大な副作用
1)省略(変更なし)
1) ~ 6)省略
2)ショック、アナフィラキシー様症状(いず
れも頻度不明)があらわれることがあるの
で、観察を十分に行い、血圧低下、呼吸困
難、意識低下等があらわれた場合には、直
ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3) ~ 7) 現行2) ~ 6)のとおり
-1-
■改訂理由
本剤との因果関係が否定できない「ショック」及び「アナフィラキシーショック」の症例が集積し
ていることから、「重大な副作用」の項に追記しました(平成 21 年 10 月 27 日付 厚生労働省医薬
食品局安全対策課課長通知)。
これまでに報告されている症例の概要は次のとおりです。
①内視鏡検査前に投与されている例が大半です。
②約半数が静脈内投与されています。
③投与直後~約 40 分以内にアナフィラキシー様症状が発現しており、主な症状として意識低下や
脱力、嘔気を伴っています。
④著明な血圧低下や呼吸抑制を伴うショックに至った例も報告されています。
⑤対処方法は、発現症状に応じて、ステロイド投与、麻薬拮抗薬投与、アドレナリン投与、酸素吸入、
人工呼吸器装着などが行われています。
〈投与方法に関するお願い〉
本剤の静脈内投与後にショック、アナフィラキシー様症状に加えて、血圧低下、静脈炎、悪心等を
きたした症例が報告されています。
本剤の静脈内投与にあたっては、以下の添付文書抜粋のとおり「用法・用量」、「効能・効果」及び
「使用上の注意(適用上の注意)」をご確認の上、ご使用いただきますようお願い申し上げます。
〈添付文書抜粋〉
【効能・効果】
【使用上の注意】
○激しい疼痛時における鎮痛・鎮静・鎮痙
9.適用上の注意
○麻酔前投薬
1)静脈内投与時:
○麻酔の補助
静脈内注射をする場合は、患者をねかせて極
○無痛分娩
めて緩徐に投与するか、又は希釈(5%ブドウ
糖液又は生理食塩液)して投与するのが望ま
【用法・用量】
しい(急速に注射した場合、呼吸抑制、血圧
○激しい疼痛時における鎮痛・鎮静・鎮痙には、通常、
降下、循環障害、心停止等があらわれること
成人にはペチジン塩酸塩として、1回35 ~ 50mgを
がある)。麻薬拮抗剤(ナロキソン塩酸塩、レ
皮下又は筋肉内に注射する。なお、必要に応じて
バロルファン等)や呼吸の調節・補助設備の
3 ~ 4時間ごとに追加する。特に急を要する場合に
ないところでは静脈内注射を行わないこと。
は緩徐に静脈内に注射する。
また、静脈炎・発赤を起こすことがあるので、
○麻酔前投薬には、通常、麻酔前30 ~ 90分にペチジ
なるべく太い静脈を選び、注射速度をできる
ン塩酸塩として、50 ~ 100mgを皮下又は筋肉内に
だけ遅くすること。
注射する。
2)筋肉内注射時:
○全身麻酔の補助には、通常、5%ブドウ糖注射液又
筋肉内注射に当たっては、組織・神経等への
は生理食塩液で、1mL当りペチジン塩酸塩として、
影響を避けるため、下記の点に注意すること。
10mgを含有するように希釈し、ペチジン塩酸塩と
①筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ必要
して、10 ~ 15mgずつ間歇的に静脈内に注射する。
最小限に行うこと。なお、特に同一部位へ
なお、投与量は場合によりペチジン塩酸塩として
の反復注射は行わないこと。また、新生児、
50mgまで増量することもある。
未熟児、乳児、小児には特に注意すること。
○無痛分娩には、通常、子宮口二横指開大ないし全
②神経走行部位を避けるよう注意すること。
開時に、ペチジン塩酸塩として、70 ~ 100mgを皮
③注射針を刺入れたとき、激痛を訴えたり、
下又は筋肉内に注射する。なお、必要に応じて3
血液の逆流を見た場合は直ちに針を抜き、
~ 4時間ごとに35 ~ 70mgずつ1 ~ 2回追加する。
部位をかえて注射すること。
この場合、母体及び胎児の呼吸抑制を防ぐために、
3)皮下・筋肉内注射時:
ペチジン塩酸塩100mgに対してレバロルファン酒
皮下・筋肉内注射により、注射部位に疼痛、
石酸塩1mgの投与比率で混合注射するとよい。
局所刺激及び硬結を見ることがある。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
4)アンプルカット時:
本品はワンポイントカットアンプルである
が、カット部をエタノール綿等で清拭してか
らカットすることが望ましい。
-2-
■〈症例の概要〉
1 日投与量
投与期間
性 · 年齢 使用理由(合併症)
(発現日)
1
男
大腸内視鏡手術の 静注 35mg
70 歳代 前処置のため(咽 1 日間 投与開始
頭癌、尿管癌) (1 日目)
No.
患 者
副 作 用
経過及び処置
アナフィラキシーショック
50 分前 大腸内視鏡にて、大腸ポリープを切除するため、内視鏡室へ入
室した。
5 分前 ブチルスコポラミン臭化物製剤 (1 アンプル:20mg) の筋注投
与を実施した。
投与開始時
本剤 (1 アンプル:35mg) を点滴後、大腸内視鏡による手術を
開始した。
投与終了後
35 分後 2 個の大腸ポリープを切除した。ポリープを回収後、倦怠感が
出現。また、息止めができず、過換気ぎみであった。腸蠕動
を抑えるため、ブチルスコポラミン臭化物製剤 (1 アンプル:
20mg) の筋注投与を追加した。残り 1 個の大腸ポリープを切除
した。
約 40 分後 突然の脱力感と意識消失により、内視鏡を中止。血圧測定不可。
1 分位呼びかけにて返答がなかった。救命救急センターのドク
ターコールを行った。その後、返答があった。
酸素吸入を行い、自発呼吸はみられていた。
約 50 分後 救 急 処 置 室 へ 搬 送 し た。 全 身 潮 紅、 脈 拍 140/ 分、 血 圧
60mmHg。
1 時間後 頭部 CT、胸部 CT、心電図、血液ガス及び血液検査を行うが、
異常なく、アレルギー反応と判断した。
1 時間 10 分後 注射用メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム (1g/
日)の静注投与を実施。意識清明となるが、脱力感、潮紅及び
倦怠感は続いた。
1 時間 35 分後 グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤 (20mL × 2 ア
ンプル / 日 ) の静注投与を実施した。
1 時間 50 分後 d- クロルフェニラミンマレイン酸塩注射液 (5mg × 1 アンプル
/ 日 ) の静注投与を実施した。
2 時間 30 分後 全身潮紅は軽快、脈拍 90/ 分、血圧 100mmHg になった。
2 時間 35 分後 一般病棟に戻った。
4 時間 10 分後 潮紅は薄くなった。
5 時間 40 分後 病棟で新聞が読めるほど回復した。脈拍 84/ 分。
2日目 潮紅は全く消失し、バイタルサイン ( 血圧 120mmHg、脈拍
94/ 分、体温 36.8℃ ) も安定し、酸素吸入も中止。昼から食事
を再開した。16:00 点滴も中止した。
5 日目 プリックテストを実施。結果:本剤 ( 陽性 )、ブチルスコポラ
ミン臭化物製剤 ( 陰性 )。
2
併用薬:ブチルスコポラミン臭化物製剤※
男
肝癌に対する IVR 筋注 35mg
ショック、意識障害
70 歳代 PRFA の前投薬の 1 日間 ヨードアレルギー歴 ( ショック、意識レベル低下 ) のある肝硬変、肝細胞癌を有する患者。
IVR の前投薬として一般病棟出棟時にアトロピン硫酸塩水和物
ため(肝細胞癌) (1 日目) 投与開始時
(0.5mg)+ 本剤 (35mg) を筋注した。
投与終了後
15 分後 手指のしびれ、ショック、意識障害が発現した。手指、下肢の
しびれを訴え、その後血圧は 54mmHg に低下。意識レベルも
JCSI-3 に低下したため、ショック体位とし、アセテートリンゲ
ル液 (500mL) を全開点滴した。
35 分後 血圧は 99/60mmHg。注射用ヒドロコルチゾンコハク酸エステ
ルナトリウム (200mg) を静注した。HR138/ 分で、洞性不整脈。
医療用酸素 (3L/ 分 ) 投与で SpO2:95%~ 99%。
1 時間 45 分後 血圧は 99/64mmHg、
HR90/ 分、
アセテートリンゲル液 (500mL)2
本目を全開した。上下肢のしびれは持続し、嘔気があった。
2 時間 45 分後 血圧は 116/66mmHg、HR60/ 分。意識レベルは清明であった。
5 時間 15 分後 血圧は 99/48mmHg、HR57/ 分、体温:36.4℃、上下肢のしび
れは軽減した。
7 時間 15 分後 血圧は 110/66mmHg、HR73/ 分。歩行を開始した、麻痺、感
覚障害はなかった。
9 時間 15 分後 食事、経口摂取を開始した、両上下肢のしびれも消失した。医
療用酸素も投与中止した。
併用薬:アトロピン硫酸塩水和物※、プレドニゾロン錠※
-3-
※併用被疑薬
1 日投与量
投与期間
性 · 年齢 使用理由(合併症)
(発現日)
3
男
大腸内視鏡検査の 静注 35mg
70 歳代 ため(貧血)
1 日間 投与開始
(1 日目)
No.
患 者
副 作 用
経過及び処置
ショック
1 週間前 Hb:10.0g/dL。
5 日前 早朝、新鮮血と黒色便を混じた大量の下血があり、急激な貧血
の進行 (Hb:6.1g/dL) が認められ、A 病院より当院へ紹介入
院。緊急内視鏡検査にて十二指腸に多発潰瘍を認め、うち 1 つ
に拍動性出血を伴う露出血管あり。出血性十二指腸潰瘍と診断
し内視鏡的止血術にて止血した。Hb 濃度は当院入院時 5.8g/
dL に低下しており、20 ~ 22 日の 3 日間で人赤血球濃厚液計
1600mL を輸血。
安静・絶食・点滴・酸素使用・止血剤および抗潰瘍薬使用等に
て治療を継続し、再出血の兆候なく経過は良好であった。
2 日前 経口摂取再開。
1 日前 Hb:9.4g/dL に回復。院内歩行可能。入院前の下血には新鮮血
も含まれていたため、大腸病変の検索も必要と判断し翌日検査
を予定した。
投与開始
約 5 時間前 ナトリウム・カリウム配合剤 (2L/ 日 ) 服用開始。
約 1 時間前 観便にて反応便に残渣のないことを確認。
3 分前 内視鏡室に搬入。意識清明。
投与開始時
前処置薬としてグルカゴン ( 遺伝子組換え)製剤 (1mg/ 日 )、
フルニトラゼパム製剤 (0.2mg/ 日 )、本剤 (35mg/ 日 ) を静注し、
内視鏡を肛門より挿入して検査開始。
投与終了後
1 分後 血液酸素飽和度 68 ~ 80%。直後、自発呼吸がみられなくなった。
検査を中止し声掛け、殴打刺激を続けるも反応なし。
2 分後 同飽和度が 38%へ一気に低下しチアノーゼ出現。脈の触診不能、
心音聴取不能となった。直ちに医師・外来看護師の応援を得て
挿管・心肺蘇生を開始するとともに末梢ライン確保し、フルニ
トラゼパム製剤の中和のため、フルマゼニル注射液 (0.25mg/
日 )、強心 ( 心肺蘇生 ) のため、アドレナリン注射液 (2mg/ 日 )、
アトロピン硫酸塩水和物 (0.5mg/ 日 ) の静注、アシドーシス
補正のため、炭酸水素ナトリウム液 (125mL/ 日 ) の点滴静注
を行った。
17 分後 心拍再開、血圧 180/90mmHg、血液酸素飽和度 83%、瞳孔は正
常で対光反射あり。しかし、昏睡状態で自発呼吸なし。
23 分後 回復室に搬入し人工呼吸器に接続し、中心静脈ラインを確保。
その後血圧が低下し、昇圧のため、塩酸ドパミン注射液 (15cc/
h × 3 時 間 ) の 持 続 点 滴 を 開 始 し た と こ ろ、 血 圧 は 100 ~
150mmHg に回復した。急変後のレントゲン写真や血液検査で
は急変の原因と考えられる異常はなかったが、心臓病や脳卒中
など突発的な疾患の併発による急変も否定できなかったため、
A 病院に診察・検査・治療を依頼。
4 時間 12 分後 救急車にて同病院に転送した。
時刻不明 A 病院に転送後、同院および B 病院にて専門的診察・検査が行
われたが、急変を来たすような疾患は認められなかった。その
後も病状は回復せず、昏睡・自発呼吸停止の状態が続き、A 病
院にて気管切開・人工呼吸器装着・点滴・経管栄養などにて治療・
管理が行われたが回復しなかった。
約 5 ヵ月後 AM9:33 重症肺炎による敗血症性ショックの併発により同院
にて永眠された。
併用薬:人赤血球濃厚液、グルカゴン(遺伝子組換え)製剤、フルニトラゼパム製剤、ナトリウム・カリウム配合剤、医療用酸
素
-4-
■使用上の注意(下線部追記改訂箇所)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
1) 重篤な呼吸抑制のある患者 〔呼吸抑制を増強する。〕
2) 重篤な肝障害のある患者 〔昏睡に陥ることがある。〕
3) 慢性肺疾患に続発する心不全のある患者〔呼吸抑制や
循環不全を増強する。〕
4) 痙攣状態 ( てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ
中毒 ) にある患者〔脊髄の刺激効果があらわれる。〕
5) 急性アルコール中毒の患者〔呼吸抑制を増強する。〕
6) 既往に本剤に対する過敏症のある患者
7) MAO阻害剤を投与中の患者〔「相互作用」の項参照〕
【使用上の注意】
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
1)心筋梗塞、 心房粗動、 上室性頻脈のある患者 〔病態
が増悪するおそれがある。〕
2)手術後の患者及び血圧保持の困難な患者〔著しい血
圧降下が生じることがある。〕
3)呼吸機能障害のある患者〔呼吸抑制を増強するおそ
れがある。〕
4)気管支喘息発作中の患者〔気管支平滑筋を収縮させ
る。〕
5)肝・腎障害のある患者〔代謝・排泄が遅延し副作用
があらわれるおそれがある。〕
6)頭部外傷、脳に器質的障害のある患者及び頭蓋内圧
亢進のある患者〔呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を増強
するおそれがある。〕
7)ショック状態にある患者〔循環不全や呼吸抑制を増
強するおそれがある。〕
8)代謝性アシドーシスのある患者〔呼吸抑制を起こす
おそれがある。〕
9)甲状腺機能低下症(粘液水腫等)の患者〔呼吸抑制や
昏睡を起こすおそれがある。〕
10)副腎皮質機能低下症(アジソン病等)の患者〔呼吸抑
制作用に対し、感受性が高くなっている。〕
11)薬物依存の既往歴のある患者〔依存性を生じやすい。〕
12)高齢者〔「高齢者への投与」 の項参照〕
13)新生児、乳児〔「小児等への投与」 の項参照〕
14)衰弱者〔呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなって
いる。〕
15)前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿管手術術
後の患者〔排尿障害を増悪することがある。〕
16)急性腹症のある患者〔急性腹症の経過及び診断を混
乱させるおそれがある。〕
17)器質的幽門狭窄、麻痺性イレウス又は最近消化管手
術を行った患者〔消化管運動を抑制する。〕
18)痙攣の既往歴のある患者〔痙攣を誘発するおそれが
ある。〕
19)胆囊障害及び胆石のある患者〔胆道痙攣を起こすこ
とがある。〕
20)重篤な炎症性腸疾患のある患者〔連用した場合、巨
大結腸症を起こすおそれがある。〕
2.重要な基本的注意
1)連用により薬物依存を生じることがあるので、観察
を十分に行い、慎重に投与すること。〔「副作用」 の
項参照〕
2)眠気、眩暈が起こることがあるので、本剤投与中の
患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従
事させないよう注意すること。
3.相互作用
併用注意(併用しないこと)
-5-
薬剤名等
MAO 阻害剤
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
興奮、錯乱、呼吸循環不全等
を起こすことがあるので併用
しないこと。
MAO阻害剤の投与を受けた
患者に本剤を投与する場合に
は、少なくとも2週間の間隔
をおくことが望ましい。
本剤は神経系のセロ
トニンの取り込みを
阻害する。
MAO 阻害剤併用に
より中枢神経のセロ
トニンが蓄積する。
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
中枢神経抑制剤
( フェノチアジ
ン系薬剤、バル
ビツール酸系薬
剤等 )
呼吸抑制、低血圧及び顕著な 相加的に作用 ( 中枢
鎮静又は昏睡が起こることが 神経抑制作用 ) を増
ある。
強させる。
併用する場合には、定期的に
臨床症状を観察し、用量に注
三環系抗うつ剤 意する。
吸入麻酔剤
β 遮断剤( プ
ロプラノロー
ル塩酸塩)
アルコール
クマリン系抗
凝血剤 ( ワル
ファリンカリ
ウム )
抗凝血作用が増強することが 機序不明
ある。併用する場合には、定
期的に臨床症状を観察し、用
量に注意する。
抗コリン作用
を有する薬剤
( アトロピン硫
酸塩水和物)
麻痺性イレウスに至る重篤な 相加的に作用 ( 抗コ
便秘又は尿貯留が起こるおそ リン作用 ) を増強さ
れがある。
せる。
併用する場合には、定期的に
臨床症状を観察し、用量に注
意する。
イソニアジド
イソニアジドの MAO 阻害作 本剤は神経系のセロ
用により呼吸抑制、低血圧、 トニンの取り込みを
昏睡、痙攣等が起こることが 阻害する。
ある。
イソニアジド併用に
併用する場合には、定期的に より中枢神経のセロ
臨床症状を観察し、用量に注 トニンが蓄積する。
意する。
アンフェタミ アンフェタミンの MAO 阻害 本剤は神経系のセロ
ン
作用により呼吸抑制、低血圧、 トニンの取り込みを
昏睡、痙攣等が起こることが 阻害する。
ある。
アンフェタミン併用
併用する場合には、定期的に に よ り 中 枢 神 経 の
臨床症状を観察し、用量に注 セロトニンが蓄積す
意する。
る。
尿アルカリ化 本剤の作用が増強することが 本剤の尿中排泄が減
剤( 炭酸水素 ある。
少し、作用を増強さ
ナトリウム)
せる。
4.副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる
調査を実施していない。
(1)重大な副作用
1)連用により薬物依存(頻度不明)を生じることがあるの
で、観察を十分に行い、慎重に投与すること。また、連
用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止に
より、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、
腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、せん妄、振戦、全身の
筋肉・関節痛、呼吸促迫等の退薬症候があらわれること
があるので、投与を中止する場合には、1日用量を徐々
に減量するなど、患者の状態を観察しながら行うこと。
2)ショック、
アナフィラキシー様症状
(いずれも頻度不明)
があらわれることがあるので、観察を十分に行い、血圧
低下、呼吸困難、意識低下等があらわれた場合には、直
ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3)呼吸抑制(頻度不明)があらわれることがあるので、息切
れ、呼吸緩慢、不規則な呼吸、呼吸異常等があらわれた
場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソ
ン塩酸塩、レバロルファン等)が拮抗する。
4)錯乱、せん妄(いずれも頻度不明)があらわれることがあ
るので、このような場合には、減量又は投与を中止する
など適切な処置を行うこと。
5)痙攣(頻度不明)があらわれるとの報告がある。
6)無気肺、気管支痙攣、喉頭浮腫(いずれも頻度不明)があ
らわれるとの報告がある。
7)炎症性腸疾患の患者に投与した場合、麻痺性イレウス、
中毒性巨大結腸(いずれも頻度不明)があらわれるとの報
告がある。
(2)その他の副作用
副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適
切な処置を行うこと。
種類
頻度
頻度不明
循環器
不整脈、動悸、血圧変動、顔面潮紅
精神神経系
眠気、眩暈、不安、不穏、多幸感、振戦、
幻覚、興奮、発汗
眼
視調節障害
消化器
悪心、嘔吐、便秘、口渇
過敏症
発疹、そう痒感
投与部位
静脈内投与による静脈炎・発赤
その他
排尿障害、頭蓋内圧の亢進
5.高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しており、特に呼吸
抑制の感受性が高いため、低用量から投与を開始する
など患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。
6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上
の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ
投与すること。
〔類似化合物(モルヒネ)の動物実験(マ
ウス、ラット)で催奇形作用(骨格異常)が報告されて
いる。
〕
2)分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多
動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある。
3)分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれ
ることがある。
4)授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせる
こと。〔ヒト母乳中へ移行することがある。
〕
7.小児等への投与
新生児、乳児では呼吸抑制の感受性が高いため、低用
量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、
慎重に投与すること。
8.過量投与
徴候・症状:
呼吸抑制、意識不明、痙攣、錯乱、血圧低下、重篤な
脱力感、重篤なめまい、嗜眠、心拍数の減少、神経過敏、
不安、縮瞳、皮膚冷感等を起こすことがある。
処置:
過量投与時には以下の治療を行うことが望ましい。
1)投与を中止し、気道確保、補助呼吸及び呼吸調節に
より適切な呼吸管理を行う。
2)麻薬拮抗剤投与を行い、患者に退薬症候又は麻薬拮
抗剤の副作用が発現しないよう慎重に投与する。
3)必要に応じて補液、昇圧剤等の投与又は他の補助療
法を行う。
9.適用上の注意
1)静脈内投与時:
静脈内注射をする場合は、患者をねかせて極めて緩
徐に投与するか、又は希釈(5%ブドウ糖液又は生理
食塩液)して投与するのが望ましい(急速に注射した
場合、呼吸抑制、血圧降下、循環障害、心停止等が
あらわれることがある)。麻薬拮抗剤(ナロキソン塩
酸塩、レバロルファン等)や呼吸の調節・補助設備の
ないところでは静脈内注射を行わないこと。また、
静脈炎・発赤を起こすことがあるので、なるべく太
い静脈を選び、注射速度をできるだけ遅くすること。
2)筋肉内注射時:
筋肉内注射に当たっては、組織・神経等への影響を
避けるため、下記の点に注意すること。
①筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ必要最小限
に行うこと。なお、特に同一部位への反復注射は
行わないこと。また、新生児、未熟児、乳児、小
児には特に注意すること。
②神経走行部位を避けるよう注意すること。
③注射針を刺入れたとき、激痛を訴えたり、血液の
逆流を見た場合は直ちに針を抜き、部位をかえて
注射すること。
3)皮下・筋肉内注射時:
皮下・筋肉内注射により、注射部位に疼痛、局所刺
激及び硬結を見ることがある。
4)アンプルカット時:
本品はワンポイントカットアンプルであるが、カッ
ト部をエタノール綿等で清拭してからカットするこ
とが望ましい。
お問い合わせ先
信頼性保証本部
くすり相談センター
専用ダイヤル 0120-753-280
(弊社営業日の 9:00~17:30)
T09A-19
2009年10月
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