国公労連速報

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2014 年 9 月 30 日《No3102》
【社保庁職員不当解雇撤回闘争ニュース No.103】
社保庁不当解雇撤回裁判(京都事案)で証人尋問
全厚生・山本委員長「経験豊富な元職員の早期復職を」
【近畿ブロック
29 日、大阪地裁第 202 号法廷において、不当解雇撤回裁判(京都事案)
【近畿ブロック国公発】
ブロック国公発】9月
国公発】
第 13 回口頭弁論が開かれ、証人尋問が行われました。全厚生組合員をはじめ、国公各単組、京都総評、
国公OBのほか多くの支援者が駆けつけるなど 80 人余りが傍聴しました。
国側証人~答えにシドロモドロ 「処分ありき」が明らかに
「処分ありき」が明らかに
午前中は主に、国側証人として、分限免職が行なわれた当時の厚生労働省本省の人事担当官と、社会保
険庁の総務課人事調整官が出廷しました。
主尋問で2人は当時の状況について「分限免職の回避に向けて最大限努力した」
「分限免職処分を行な
った平成 21 年度は新規採用を抑えて、定員確保に向けて尽力した」
「各省庁の人事担当者が集まる会合の
場で、省庁間配転を打診してきた」などと主張しました。
しかし、反対尋問では、
「人事担当者の会合で、社保庁からの省庁間配転について正式議題にあがって
いなかったこと」や、分限免職者数 525 名の実数については、処分した以降に総務省からの発表で把握し
たこと、平成 21 年 12 月末の処分以降、年金記録問題に対応するための 117 名分の人員予算配置があった
にも関わらず、それを執行しなかったことについて「わからない。判断できる立場になかった」と回答。
さらに、
「年金機構法では『分限免職処分することができる』と定められているが、絶対的義務事項で
はないため、処分そのものを行なう必要性はなかったのではないか」との問いに対し「
(法令解釈では)そ
うだが、私には分からない」と言葉を濁しながらまともな回答を行なわず、尋問が終わると即座に退室し
ていく始末でした。
その後、全厚生・山本中央執行委員長が証言しました。当時、分限免職処分の回避に向けて当局へ要請・
申し入れを繰り返し行なってきたが、当局は最後まで状況を明らかにせず、処分実施の姿勢であったこと
が明らかになりました。山本委員長からは「職場は、知識が少ない非正規職員が増えて大変。経験豊富な
元職員の早期復職をお願いしたい」と力強く訴えました。
原告代表5人が堂々と証言~「のぞき見」えん罪を立証
原告代表5人が堂々と証言~「のぞき見」えん罪を立証
今回の証人尋問について裁判所は、先に実施されている人事院審理で各原告が既に証言していることを
理由に簡略する、として原告全員の尋問は実現しませんでしたが、15 人の原告のうち、5人が証言台に立
ちました。
各原告からは、
「勤務最後の日も、最後の最後まで年金記録問題のマッチングのため仕事を行ない、年明けも引き継ぎ
-1-
を兼ねて作業するため出勤していた」
「当時、滞納件数が 100 件近くあり、それを 20 件にまで解消し、全国トップレベルの実力があり、評
価もS~Aだったにもかかわらず、移行調査で『声が小さい』と評価されただけで採用にならなかった」
「自分の端末操作カードを他人に使用され『目的外閲覧』されたにも関わらず、
『自己管理不十分』を
理由に、育児休業中に分限免職処分を強行され、収入が途絶え、子どものお年玉にも手を付け、苦しい生
活を強いられた」
「明らかに部下が自分の端末で『目的外閲覧』したにも関わらず、部下が強く否認を主張したため、濡
れ衣を着せられ、転任することができなかった。その部下は日本年金機構に採用されている」
(なお、この
事案については、具体的に事象を検証し、明らかに原告が行なったものでないことを法廷で立証)
「
『懲戒処分歴がある者も、以降の頑張りによって、それを考慮し、日本年金機構への転任も可能であ
る。だから頑張れ』との社保庁長官の当時の言葉を信じて、休みを惜しんで頑張ってきたのに……」
「他人が勝手に自分の端末操作カードを使って『目的外閲覧』をしたことを、管理不十分と上司から強
く責められ、精神疾患を発症。がんばって職場復帰したが、移行調査では病気のことしか聞かれず、不採
用となった。当局から非常勤職員の募集があることを薦められ面接に行ったが、相手方が既に病気のこと
を知っていたため、採用されなかった。なんのための就職あっせんなのか、怒りが収まらない」
と、涙を流しながら訴えました。
これに対し、国側弁護人からは、
「なぜ、公務員にこだわるのか?」
「非正規職員の募集に応募しなかっ
たのはなぜか?」
「
『懲戒処分を受けた者は採用されない』ことを知っていながら、転任希望を出すのは、
組織にいた者として、どうなのか?」など、辛辣な「あげ足をとる」問いに終始し、法廷内が一時騒然と
なりました。
原告の証人尋問は、各 30 分程度の非常に短いものでしたが、各自が精いっぱい当時の状況や今も変わ
らぬ年金業務への想いを熱く語り、閉廷となりました。
全員の復職めざし全力で奮闘しよう~報告集会
全員の復職めざし全力で奮闘しよう~報告集会
弁論終了後、大阪
弁護士会館にて、裁
判報告集会が行なわ
れました。
今回の弁論には、
東京・愛媛の原告も
参加し、それぞれの
裁判の進捗状況や決
意表明し、支援の訴
えが行なわれました。
そして、全厚生京
都の裁判支援共闘会議の代表世話人である京都総評の梶川事務局長より「証言した原告のみなさんの発言
は立派なものだった。これで、よりいっそう国が恣意的に分限免職を作り出してきたことが明らかとなっ
た。弁護団の追及により相手への法律上の追い込みが固まったので、これを後押しし、勝利を確実なもの
とするため、国民との対話や署名を積み上げるとりくみなど、全力で支援しよう」と呼びかけがされまし
-2-
た。
最後に、全厚生京都の原告団による合唱が行なわれ、勝利めざして最後の最後まで奮闘することを確認
しました。
9.19 全厚生京都支援共闘会議の決起集会に 100 名
【近畿ブロック
19 日、全厚生不当分限免職撤回京都支援共闘会議の第3回総会と決起集
【近畿ブロック国公発】
ブロック国公発】9月
国公発】
会が、ラボール京都2階大ホールにおいて、100 名を超える参加のもと行なわれ、裁判闘争の全面勝利を
めざし奮闘していくことを全体で確認しました。
冒頭、支援共闘会議の代表世話人である京都総評の梶川事務局長が「政府は、6月に財界からの要望を
丸飲みする『骨太の方針』を閣議決定し、解雇の金銭解決制度をはじめとする労働法制の改悪・規制緩和
に向けた動きを強めており、これを跳ね返していかなければならない。JALの裁判やIBMのロックア
ウト解雇争議とともに、全厚生の不当解雇争議に勝利し、政府が推し進めている『雇用の切り捨て』
『財界
本位の雇用破壊』を阻止しよう。また、今だ 2000 万件以上にも及ぶ『年金記録問題』の早期解決や、年金
制度の改悪の動きとむすんで、社会保障制度拡充の実現をめざし、安倍暴走政治をくい止める運動へ大い
に奮闘しよう」と力強く呼びかけがなされました。
その後、全厚生京都弁護団の毛利弁護士からは、この間の経過について「昨年の総会以降、うれしい報
告として、人事院審理により京都で3名の処分が取り消され、公務に復帰できた。この人事院審理では、
日本年金機構への移行調査結果のみを再審査しただけであり、個々の当時の事情や調査そのものの公正性
などにはふれていないため、裁判により処分の取り消しは充分に可能だ。引き続き、署名や裁判傍聴への
結集をお願いしたい」と報告がありました。
争議支援共闘会議事務局からは、この間、毎月 18 日にターミナル宣伝を実施し、近畿の各府県労連へ
署名要請を展開してきたことなどが報告され、
「9月 29 日に証人尋問、12 月8日に結審、来年3月を目途
に判決が言い渡される予定であり、最後の最後まで宣伝や署名獲得に全力をあげよう」と提起ました。
集会では、不当解雇争議でたたかうJAL争議団や、JMIU日本IBM支部原告団、明治乳業懲戒解
雇裁判をたたかう仲間より激励のあいさつが述べられ、京都府職労連と京都国公からは争議支援にむけて
の決意表明がなされました。
そして、今ではなくてはならないものになった全厚生京都争議団の「合唱構成」では、4年以上の長き
にわたる数々のとりくみがスクリーンに映し出され、
「証人尋問」にかける決意や想いが原告団全員から語
られました。
最後に、京都総評の吉岡徹議長による「団結がんばろう」を行ない、集会を終えました。
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社保庁不当解雇撤回裁判(東京事案)第3回口頭弁論
裁判でたたかう仲間の誇りと権利を守ろう
社保庁不当解雇撤回裁判東京事案(原告は鶴田、松本、
相川の3人)の第3回口頭弁論が9月 18 日に東京地裁で
開かれました。10 時からの東京地裁前での宣伝行動には
60 人が参加しました。
リレートークで、国公労連の千葉中執は「人事院審理
で全厚生の仲間 10 人が処分取り消しとなり職場復帰し
たことはうれしいニュースだったが、裁判でたたかう仲
間の誇りと権利を守るため、勝利にむけ奮闘していきま
しょう」と訴えました。東京国公の植松事務局長は「裁
判勝利のために、不当解雇とたたかう民間の仲間と連帯して、
『解雇自由社会』を阻止するたたかいとあわ
せ、大衆的にたたかっていこう」と呼びかけました。全医労の香月書記次長は「年金は国民の生活保障の
ために、極めて重要なもの。職員がしっかりした労働条件のもとで働いていなければ、私たちの年金は保
障されない。裁判で勝利するため、全力で支援していく」と述べました。全厚生OBで、全厚生闘争団を
支える会の杉下事務局長は
「全厚生闘争団への支援をあらためてお願いする。
全厚生OBも全力をあげて、
支援を強めていきたい」と決意を述べました。
政府の責任を問うべきだ――準備書面(1)を提出――
11 時から始まった第3回口頭弁論では、加藤弁護士、中川弁護士、萩尾弁護士がこの日提出した「原告
側準備書面(1)
」の要旨を意見陳述し、①分限免職をしたことについて政府の責任を問うべきであり、職
員の責任に帰すべきものではないこと②厚労省へ配転すれば分限免職は回避できたこと③日本年金機構設
立時の欠員を満たすためにも追加募集を行い、正規職員を採用すべきであったこと――などと主張しまし
た。
弁論終了後、弁護士会館で報告集会が行われ、単組のほか、IBMロックアウト解雇の撤回を求める仲
間から連帯のあいさつがありました。第4回口頭弁論は 12 月4日(木)11 時から 527 号法廷で開かれる
こととなりました。
以 上
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