第1章 算数科、数学科における「しっかり教え、しっかり引き出す指導」 1 「しっかり教え、しっかり引き出す指導」のとらえ 算数、数学科における「しっかり教え、しっかり引き出す指導」は、 「横浜版学習指導要領 算 数科、数学科編」で、「習得・活用・探究」の学習を意図的・計画的に位置付けた指導であると、 示しました。 形式的な計算が確実にできたり、用語や性質を単に理解できたり、その学び方について理解する ことだけではなく、算数・数学が日常生活や社会の中で必要的に生まれ、豊かな文化を育んできた ことを踏まえ、しっかり引き出す指導として、日常事象への疑問や関心、算数・数学の価値に気付 き、さらに学ぼうとする意欲なども大切にしていかなければなりません。 学習指導要領の主な重点 1 発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)による指導の充実 → 基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着 2 内容の系統性の確保や小学校・中学校の学習の円滑な接続等の観点からの指導内容の充実 → 小学校の図形と数量関係、中学校の資料の活用の充実 3 知識・技能を活用する力を育成し、学ぶことの意義や有用性の実感 → 算数的活動・数学的活動の指導内容として規定 後の学習内容に結び付く内容や、既習事項を活用して課題解決が図れることをしっ かりと教え、習得させる必要があります。また、繰り返される領域や単元において、 数や図形等の豊かな感覚を育んだり、思考力・判断力・表現力等の力を伸ばしたり、 日常生活や社会において算数・数学を活用しようとする意欲や態度を身に付けさせる ことが大切です。 しっかり教え、しっかり引き出す指導 国の学習指導要領の重点と横浜市が目指す「しっかり教え、しっかり引き出す指導」とは、同じ 視点で授業改善の方向をとらえています。指導に当たっては、どんな課題を設定すればよいか考え、 仕掛けが必要であり、子どもの気付きを促すための発問を用意し、より良い考えについて、収束す る方向を持っていなければなりません。このことが「意図的・計画的」ということです。 「横浜版学習指導要領 指導資料」では、ベースカリキュラムとして 9 年間の学習内容を示し、 学習活動の概要と留意点の中で、「しっかり教え、しっかり引き出す指導」の具体を示しました。 「しっかり教える」指導として、学び方の習得が十分に図れるよう系統性を意識し、既習と関連 を明確に示しました。このことは、既習を生かして新たな課題解決を図る「活用」場面でも、既習 の内容や方法のどこに帰着し、どこにつなげるのか意識して指導することができます。同じ考え方 や方法を繰り返し活用することで知識・技能の確かな定着を図ることができます。 「しっかり引き出す」指導場面として、算数的活動・数学的活動を具体的に示すとともに、補充 的指導内容と発展的指導内容を明記しました。活動を積極的に取り入れることで、単に関心・意欲 を高めるだけでなく、算数・数学の価値を見いだし、よさを実感することができます。また、思考 力・判断力・表現力等の「資質・能力」を育み、言語活動の具体が図られ、説明する力を身に付け ることができます。 ・反復 (補充的・発展的指導内容と方法を明記) ・系統性 (学年間・校種間での学習内容の接続を明記) ・活用する場面(算数的活動・数学的活動の明記) ─ 3 ─ 「横浜版学習指導要領 指導資料」 ・ベースカリキュラム ・指導事例 第 1 章 算数科、数学科における「しっかり教え、しっかり引き出す指導」 2 「しっかり教え、しっかり引き出す指導」の具体例 【小学校第4学年「直方体と立方体」】 系統性 「しっかり教える」内容 ・長 方 形 や 正 方 形 の重視 ・直方体・立方体の弁別 等平面図形の敷 ・直方体・立方体の定義 き詰め ・直方体・立方体の構成要素 ・平 面 図 形 に お け ・構成要素の位置関係 る構成要素 ・見取り図と展開図の書き方 ・かたちあそび 反復 ・はこのかたち 系統性 「発展的指導内容・指導方法」 の重視 学習ステップの素地 直方体の構成要素の位置関係 ・3 種の面(3 方向で決定) →小 4 年 ものの位置 反復 →小 5 年 体積の単位 →小 5 年 角柱と円柱 →中 1 年 空間図形 「既習内容」 ◆「しっかり引き出す」内容 ○身の回りの具体物の観察 ○立体模型の作製 ○展開図における面や辺の位置関係の考察 〈平行や垂直の有用性〉 〈生活への活用、豊かな感覚〉 〈面の移動、立体のイメージ〉 算数的活動 ・立方体の展開図〈11 種類見付ける意欲・態度、共通点の考察〉 ・立体模型の作製〈切り口や図柄の入れ方を工夫する→豊かな感覚の育み・習得の確認〉 【中学校第 2 学年「平行線と角」】 の大きさを求める場合 〈課題〉 50° 課題解決のための基礎的・基本的な既習事項 「対頂角」「同位角」「錯角」「三角形の内外角」「四角形」 ° 30° 補助線の利用 ・複数の学習内容の組み合わせ → 新たな角や性質 しっかり教える内容 課題解決が図れる ・解決の方法を論理的に説明する しっかり引き出す内容 ・より多く見いだそうとする意欲や態度 基礎的・基本的な知識・技能の定着 ・解決方法を比較→思考の整理[妥当性・共通性(統合)・効率性(順位)の吟味] ・それぞれの考えを互いに認め、集団としての高まり ・新たな課題や類似課題についても複数の解決方法を探ろうとする関心・意欲 発展的課題 類似課題① ∠ +∠ +∠ 「くさび形」 類似課題② ○ =∠ +∠ の論証 △ 「ほし形五角形 の内角の和」 □ 3 「ベースカリキュラム」について 第2章で示すベースカリキュラムは,市立小中学校の教科等カリキュラムの基本形とします。 各学校では、ベースカリキュラムをもとにして小中一貫教育推進ブロックの多様な特性・特色及 び児童生徒の実態に合わせてカリキュラム編成をすることとします。また、ベースカリキュラムと 『横浜版学習指導要領 教科等編』 (ぎょうせい刊、2009、以下「教科等編」 )をそのまま各学校の カリキュラムとして位置付け、これを基本にしてカリキュラムマネジメントすることも可能としま す。 ベースカリキュラムには、教科等の全学年の学習指導要領の内容を提示、単元・主題等の目標、 時間数、単位時間ごとの基礎的指導内容・方法を位置付けます。また、「教科等編」と関連させて、 学年間等の系統及び補充的、発展的指導内容・指導方法を盛り込み、横浜型小中一貫教育の推進を 支えていきます。 ─ 4 ─ 第 2 章 算数科、数学科のベースカリキュラム ◆ 年間単元配列表の見方 小 1(136 時間) 小 2(175 時間) ◆せいりのしかた④ 月 4 ◆なかまあつめ いくつかな⑯ A⑴アイ ➡(浜)p.26 ➡(指)p.8 D⑶ ➡(浜)p.46 ➡ (指)p.38 ◆時間のたんい③ B⑶ア ➡(浜)p.42 ➡ (指)p.33 〇数字:単元・章の指導計画時数 ➡ (浜)p. : 「横浜版学習指導要領 算数科、数学 科編」の頁 ➡ (指)p. :本指導資料の頁 ◆ ベースカリキュラムの見方 「横浜版学習指導要領 算数科、数学科編」を基に学習展開がイメージできるようにしています。 そのため「横浜版学習指導要領 算数科、数学科編」で示した指導内容の配列と展開を変更して いる単元や章もあります。 指導内容を明確にし、それに伴う学習活動を大切にして、これまで以上に思考力・判断力・表 現力等の身に付ける力の育成を図るために、「習得」と「活用」を重視した構成にしています。 小学校 第 5 学年 「数量の関係を表す式」 3 時間 ➡(浜)p.87 ➡(浜)p.87 : 「横浜版学習指導要領 算数科、数学科編」の頁 目標 D ⑵ 数量の関係を表す式についての理解を深め、簡単な式で表されている関係について、二つの数量 の対応や変わり方に着目できるようにする。 (浜) p.74 既習 小 4 年 「かわり方」 ➡ 目標 :国の学習指導要領から 既習 :系統性の重視 ・一方が変化すると他方も変化するという関数の考え方を帰納的にとらえ、筋道を立てて考える。 本単元や本章の学習を支える基礎的・ ・変量を□や△などを用い式に表し、数量の関係を簡潔に表現する。 基本的な知識・技能、数学的な考え方等 時 指導内容 学習活動の概要 指導上の留意点 伴って変わる二つ ・マッチ棒を使って正方形を作る場面を観察して、正方形の個 ・変化の様子を観察できる ように、正方形 1 個の場 の数量の関係の考 数とマッチ棒の本数との依存関係に着目する。 合から並べながら提示し 察 【算数的活動】 具体的な場面 ▪正方形の数が 10 個のときのマッチ棒の本数を、具体的な場 て問題場面を把握する。 →図、表、式 補 面や表から帰納的に考えて求め、式と図を対応させながら説 ・式から関係を読み取り、 明する。 正方形 10 個の場合のマ 正方形の数 △個 1 2 3 4 ・・・ 10 ッチ棒の本数の求め方を 式の読みと評価 マッチ棒の本数 □本 4 7 10 13 ・・・ 具体的な場面と対応させ 式→表【数学的活動】:一層の充実 【算数的活動】 式→具体的な場 て説明する。 発・浜 思考力・判断力・表現力等の身に付ける力を育 成する活動の充実 面 1 + 3 × 10 = 31 4 + 3 × 9 = 31 ・表した式を、数量の関係 「横浜版学習指導要領 算数科、数学科編」に ・正方形の個数がさらに増えていく場合のマッチ棒の本数につ 示している活動及び他にも例示 を簡潔、明瞭、的確、に いて、伴って変わる二量に着目して、それぞれの一般化した 表しているかという観点 式を考える。 からよさを説明する。 1 個のとき 1 + 3 × 1 4 + 3 × 0 → 4 + 3 ×(1 − 1) 発 2 個のとき 1 + 3 × 2 4 + 3 × 1 → 4 + 3 ×(2 − 1) ・数値を大きくした場合に 3 個のとき 1 + 3 × 3 4 + 3 × 2 → 4 + 3 ×(3 − 1) 適用し一般化することの ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ よさを実感できるように △個のとき 1 + 3 ×△ 4 + 3 ×(△− 1) する。 補 発 :一人ひとりの子どもの実態に応じた指導 マッチ棒の数を□本とすると、 補充的な指導内容や発展的な指導内容、指導方法例 □= 1 + 3 ×△ □= 4 + 3 ×(△− 1) ・さらに段数を増やした場 浜: 「横浜版学習指導要領 算数科、数学科編」参照 ② 一般化した式の適 ・正方形の段数を 2 段、3 段、・・・ にした場 合や形を変えた場合な 用場面の拡張と考 合のマッチ棒の本数の変化の様子を式に表 ど、場面を広げて考える。 関連 :系統性の重視 察 して、1 段の場合と同じ仕組みになってい 発 本単元や本章の学習がつながる ることを見いだす。 学年、単元の基礎的・基本的な知 □= 2 + 5 ×△ □= 7 + 5 ×(△− 1) 識・技能、数学的な考え方等 (浜)p.101 関連 小 6 年 「文字と式」 ➡ ・数量の関係を帰納的にとらえて論理的に考えたり、発展的、統合的にとらえたりして、関数 の考えを一層伸ばすとともに、式に表したり式の表す事柄や数量関係を一般化して読んだり する。 練習、習熟の時間の具体的な内容: ③ 公式や計算のきま ・公式や計算のきまりを表す式が、小数も含めて用いられるこ 単元や章における知識・技能の定着、 りを表す式の役割 とから、簡潔かつ一般的に表す式という役割を理解する。 他教科等や生活への活用、よさや有用 性の感得等、例示 ① ─ 5 ─ 第 2 章 算数科、数学科のベースカリキュラム 小学校 第 1 学年 「なかまあつめ いくつかな」 16 時間 ➡(浜)p.26 目標 A ⑴ ものの個数を数えることなどの活動を通して、数の意味について理解し、数を用いることができ るようにする。 ア ものとものとを対応させることによって、ものの個数を比べること。 イ 個数や順番を正しく数えたり表したりすること。 時 指導内容 学習活動の概要 指導上の留意点 ・ス タ ー ト カ リ キ ュ ラ ム ①∼ 観点や条件に応じ ・観点や条件にあった集合をとらえる。 ③ た集合のとらえ 例)動物や植物を描いた情景図で、指定されたものの上にお として 4 月 1 ∼ 2 週、生 活科「がっこう だいす はじきを置く。 ものの位置や方向 ・前後、左右、上下などの言葉を正しく使い、ものの位置を言 き なかよし いっぱい」 等の学校生活の基礎とな い表す。 る内容として、合科的・ 例)右(左)側に座っているのはだれですか。 ④∼ 1 対 1 の対応によ ・1 対 1 の対応をつけることを通して、個数の大小や相等を判 関連的な活動を取り入れ る。15 分モジュールなど ⑥ る数量の比較 断する。 で、3 時間程度設定する。 例)ブロック■とおはじき●を 1 対 1 の対応をさせる。 算数科では、就学前に 音の回数のように見えないもの、動いているもの、手元 の操作のできないなど直接比べにくい場合、おはじきな 身に付けた数の概念を生 かして、生活科の学校の どで 1 対 1 の対応をさせる。 施設や教師、友だちなど ⑦∼ 1 ∼ 10 の 数 詞 の ・同じ数の集合をとらえる。 ⑬ 唱え方、数字の読 例)絵の上におはじきを 1 対 1 対応で置き、同じ個数を置け とのかかわりなどを通し て、観点や条件に応じて み方、書き方 た集合は、同じ数であることをとらえる。 ・数えようとするものに数詞を 1 対 1 対応させ、最後の数詞が 集合をとらえること、も のの位置や方向を言い表 その集合の数を表すことを理解する。 すこと、1 対 1 対応をつ ・数字の書き方を知り、練習する。 けること、ものの個数や ・数図カード、数字カードを作る。 ・おはじきの個数と数詞、数図、数字を対応させて、どれも同 順番を正しく数えること などの経験をする。 じ数を表していることを理解する。 ・ものの集合については、 ●●● さん 3 大きさや向き、色などは 関係ないことをとらえさ ⑭ ⑮ 0 についての意味 ・輪投げゲームなどの場面を通して、何もない意味として 0 を 理解 用いることを知る。 ・0 の読み方、書き方を知り、練習する。 数の大小比較 ・数図カードや数字カードを使ったゲームをすることを通し て、数の大小比較をする。 例)・二人組で同時にカードを出して、大きい数のカードを 出した方がカードをもらい、カードを多く取った方が 勝ち。 ・教師と児童全員が 11 枚のカード(0 ∼ 11)の中から 1 枚のカードを選んで同時に出し、教師より大きい数の カードを出したら 1 ポイント。何ポイント取れるかを 数える。 (浜)p.27 関連 小 1 年「いくつといくつ」 ➡ ・並べたおはじきや数図を見て、数をとらえること。 (浜)p.26 小 1 年「10 よりおおきいかず」 ➡ ・1 対 1 対応や数字の比較により数の大小をとらえること。 ⑯ せる。 ・具体物やおはじきの置き 方、数字の大きさを変え るなどしても数は変わら ないことを確かめる。 補 ・具体物を数える操作を繰 り返し、数詞、数図、数 字の対応をさせて、数の 大きさの感覚を育てる。 補・浜 ・落ちや重なりなく数える 方法について、工夫を考 えて説明する。 発 例)端から順に数える ・ゲームで得点がない場合 身の回りのものの 【算数的活動】 や、具体的な量が 1 ずつ 数への関心 ▪学校探検などをして、10 までの数で表すことのできるもの 減少していってなくなる を探す。探したものを絵や数字で表し、簡潔に表せる数のよ 場合などの体験を通して さを味わう。 0 の意味の理解を図る。 例)・1 ∼ 10 で表せるものを探す。 ・1 年 3 組 の「1」 や「3」 「廊下の水飲み場には蛇口が 6 個付いている」 は量を表す数ではないこ 「花壇に 10 本チューリップが咲いていた」 とに気付かせて、どんな ・1 ∼ 10 の数字で表されているものを探す。 数を表しているかという 「体育館の跳び箱に 1 ∼ 6 の数字が書いてある」 課題をもち「なんばんめ」 「1 年 3 組の教室には、1 と 3 が書いてある」 への単元につなげる。 ─ 8 ─ 第 2 章 算数科、数学科のベースカリキュラム 小学校 第 1 学年 「いくつといくつ」 7 時間 ➡(浜)p.27 目標 A ⑴ ものの個数を数えることなどの活動を通して、数の意味について理解し、数を用いることができ るようにする。 エ 一つの数をほかの数の和や差としてみるなど、ほかの数と関係付けてみること。 (浜)p.26 既習 小 1 年「なかまあつめ いくつかな」 ➡ ・おはじきや数図を見て、数をとらえること。 時 指導内容 学習活動の概要 指導上の留意点 ・行うゲームは、結果が二 ①∼ 5 ∼ 10 の 合 成・ ・ゲームなどの活動を通して数を分解する。 ⑥ 分解についての理 例)おはじきとりゲームで「青● ●」と「赤●」を記録をする。 つの集合に分けられるも 解 (5 個とる場合は、青 5 個、赤 5 個を箱の中に入れ、見 の。輪投げだったら「入 えないようにしてそこから 5 個取り、青 1 個につき 1 点 った数」「入らなかった 数」となる。 とする。) おはじきを 5 個とる場合 1 人目 ● ●●●●● ●● :3 点 ・5 ∼ 10 ま で の 数 の 合 成 や分解を行うにあたり、 2 人目 ●●● ●●●●● ● :4 点 行うゲームは毎回同じで ・・・ ・・・・・ 数のみ変えるという方法 【算数的活動】 でもよい。 ▪ゲームの結果を見て、全ての場合が出て ・左のような図を見て、 「階 いるかを確かめる。その中から結果の記 段のようになっている」 録をどのように表したら見やすくなるか 「左の数が 1 ずつ減って を考え、順に並べるなど落ちや重なり無 いくと右の数が 1 ずつ増 く全ての場合を出すことができる考えを えていく」というような 話し合う。 反応から表した結果につ ・具体的場面と結び いてすべての場合を挙げ 付けて数を合成し 5と0で 5 5は 5と0 4と1で 5 5は 4と1 られていることを説明す たり分解したりす 3と2で 5 5は 3と2 る。 発 る。 2と3で 5 5は 2と3 ・数図の 5 と 5 の 2 列にな 1と4で 5 5は 1と4 0と5で 5 5は 0と5 っている特徴を生かし「5 ⑦ 「5 個のおはじきのうち、青が 2 個だったら赤は何個になるか」 と 2 で 7」というように 数を読みとるようにす →「5 は 2 と 3」 る。 補 「青が 1 個と赤が 4 個でいくつになるか」→「1 と 4 で 5」 ・数図や数字カードを使った活動で数の合成・分解をし、念頭 ・10 の 組 み 合 わ せ を 考 え るときには、数図では色 で合成・分解をできるようにする。 例)教師が出したある 1 枚の数図や数字のカードを見て、組 が塗ってある部分とそう でない部分を見ると分か み合わせて 10 になるカードを 1 枚出す。 数についての多面 ・一つの数を他の数と関連付けてみることにより、数について ることに気付けるように 的な見方 の多面的な見方ができるようにし、数についての感覚を豊か する。 ・始めは具体物や数図で量 にする。 例)ある数を手元にある数字カードを何枚か組み合わせて説 としてのとらえで合成・ 分解する経験をし、徐々 明する。何通りかの説明の仕方を考え説明し合う。 に念頭での操作ができる 「8 は 10 より 2 小さい」 ようにしていく。 「2 と 6 で 8」 補・浜 「4 と 3 と 1 で 8」など (浜)p.28 関連 小 1 年「あわせていくつ」「のこりはいくつ」 ➡ ・「4 + 3 = 7」の計算の答えを「4 と 3 で 7」をもとに求める。 ・「7 − 4 = 3」の計算の答えを「7 は 4 と 3」をもとに求める。 小 1 年「たしざん」「ひきざん」 ➡ (浜)p.29、30 ・計算の仕方の説明で数の合成・分解をもとにした説明をする。 「9 はあと 1 で 10」「3 を 1 と 2 に分ける」など ─ 9 ─ 第 2 章 算数科、数学科のベースカリキュラム 中学校 第 1 学年 「正の数・負の数」 25 時間 ➡(浜)p.105 目標 A ⑴ 具体的な場面を通して正の数と負の数について理解し、その四則計算ができるようにするととも に、正の数と負の数を用いて表現し考察することができるようにする。 ア 正の数と負の数の必要性と意味を理解すること。 イ 小学校で学習した数の四則計算と関連付けて、正の数と負の数の四則計算の意味を理解するこ と。 ウ 正の数と負の数の四則計算をすること。 エ 具体的な場面で正の数と負の数を用いて表したり処理したりすること。 「同分母分数の加法や減法」 ➡ (浜)p.64 (浜)p.65 既習 小 4 年「小数の仕組みとその計算」 ➡ 「計算のきまり」 ➡ (浜)p.73 小 5 年「小数の乗法、除法」 ➡(浜)p.77 (浜)p.79 小 6 年「分数の乗法、除法」 ➡ (浜)p.90 「分数」 ➡ ・小学校第 4 学年までに整数についての四則計算の意味や四則計算に関して成り立つ性質などを学習し、 その定着と活用を図るとともに、交換法則、結合法則や分配法則について理解を深める。 第 5 学年では小数、第 6 学年では分数について、整数の場合と同じ関係や法則が成り立つことを学 習する。 ・第 5 学年までに小数について、第 6 学年までに分数について、その意味と四則計算を学習し、数に ついての感覚や見方を広げ、第 6 学年においてその定着と活用を図る。 時 指導内容 学習活動の概要 指導上の留意点 ①② 整数の必要性と意 ・これまでの経験や日常生活と関連付けて、数の範囲を負の数 まで拡張し整数の必要性と意味を理解する。 味 ある日の最高気温と前日の最高気温との差 ・数直線上に正負の数を表す。数直線上から数を読み取る。 ③④ 数直線 ・正の数、負の数の大小関係を理解し、不等号を使って表す。 数の大小 − 3 <− 1 ・絶対値の意味を理解する。 絶対値 5 5 絶対値が 5 である数⇒+ 5,− 5 −5 0 +5 ⑤∼ 加法 ・正負の数の 2 数の和を求める。 【数学的活動】ア 同符号の 2 数の加法の学習を基にして、異 ⑦ 符号の 2 数の加法の計算の仕方を見いだす。 数直線を利用して、 (+ 3)+(+ 5)=+ 8 であること を説明し、このことを基に、 (+ 3)+(− 5)=− 2 であ ることを説明する。 −5 +8 −2 +3 +3 +5 −5 0 +5 −5 0 ・温度計などと数直線を比 較する。 補・浜 ・東へ 3 の移動を + 3 、西へ 5 の移 動を− 5 と表し数直 線と対比させる。 補・浜 +5 加法の交換法則と ・正負の数の計算でも加法の交換法則と結合法則が成り立つこ ・正の数の範囲で交換・結 合法則を確認し、負の数 とを理解する。 結合法則 についても成り立つこと ■+●=●+■ (■+●)+▲=■+(●+▲) を確かめる。 補・浜 ⑧⑨ 減法 ・正負の数の 2 数の差を求める。 減法を、加法との関係からとらえると同時に、数直線で表 し、加法に直して計算できることを知る。 (+ 2)+(+ 3)=+ 5 であるから、(+ 5)−(+ 3) =(+ 2) 一方、 (+ 5)−(+ 3) を数直線で表すと、 (+ 5)+(− 3) と見ることができる。 ⑩⑪ 加法と減法の ・項の意味を理解する。 ・加法と減法の混じった式を正の項、 負の項の和としてとらえ、 混じった計算 代数和として計算する。 7 +(− 6)− 3 −(− 9) = 7 +(− 6)− 3 +(+ 9) = 7 − 6 − 3 + 9 = 7 + 9 − 6 − 3 関連 中 1 年「文字と式」における項 ➡(浜)p.108 = 16 − 9 = 7 ・具体物を用いて実感を伴 ・正負の数の 2 数の積を求める。 ⑫∼ 乗法 って理解する。 3 × 2 = 3 + 3 = 6 であることから、 ⑮ 東を正の方向として、東 (− 3)× 2 =(− 3)+(− 3)=− 6 となる。 へ向かって時速 5 で2 (− 3)× 2 =− 6,(− 3)× 1 =− 3,(− 3)× 0 = 0 であることから、 (− 3)×(− 1)=+ 3 となること 時間移動した場合 を帰納的に理解する。 東(+) 西(−) 乗法の交換法則と ・正負の数の計算でも乗法の交換法則と結合法則が成り立つこ とを理解する。 −10 0 +10 結合法則 ■×●=●×■ (■×●)×▲=■×(●×▲) ↑ ↑ 現在 2時間後 ・累乗・指数について理解し、同数の積を、指数を使って累乗 累乗 (+5)×(+2)=+10 の形で表す。 32 = 3 × 3 ・正の数の範囲で交換・結 = 9 合法則を確認し、負の数 についても成り立つこと (浜)p.107 関連 中 1 年「文字と式」における累乗 ➡ を確かめる。 ・同じ文字の積は、累乗の指数を使って表す。 ─ 103 ─ 第 2 章 算数科、数学科のベースカリキュラム ・20,2 − 1 に つ い て 考 察 す ・正負の数の 2 数の商を求める。 る。 除法を、乗法との関係からとらえる。 (+ 2)×(− 3)=− 6 であるから、 (− 6)÷(− 3)= 発・浜 +2 除法と逆数 ・負の数の逆数について理解する。 乗法と除法の混じ ・乗法と除法の混じった式は、すべて乗法の式に直して計算す る。 った計算 15 4 )×(− 5)= 9 ×(−― )×(− 5) 9 ÷(−― 4 15 ⑯⑰ 除法 ⑱⑲ 四則の混じった計 ・四則の混じった計算では、乗除を先に計算する。 5 + 4 ×(− 3)= 5 +(− 12)= 5 − 12 =− 7 算 ・かっこのある式の計算では、かっこの中を先に計算する。 5 ×(− 4 + 3)= 5 ×(− 1)=− 5 ・正負の数の計算でも分配法則が成り立つことを理解する。 分配法則 (− 9)× 3 +(− 9)× 6 2÷3 分数 =(− 9)×(3 + 6) ⑳ 2−3 2+3 2×3 整数 ・計算方法の理解を豊かに する活動(小町算) 発・浜 ・正の数の範囲で分配法則 を確認し、負の数につい ても成り立つことを確か める。 自然数 知識・技能の定着、 ・適用問題や活用問題で習得を深める。 確認 個々の習熟度に合わせた課題で補う。 数の範囲と四則 ・自然数、整数、分数と数の範囲を拡張し、四則演算の可能性 を考える。 関連 中 3 年「平方根」における有理数、無理数 ➡(浜)p.133 正負の数の活用 ・身のまわりの事象で、たがいに反対の性質をもつ量や、基準 となる量に対する増減を、正の数、負の数を用いて表す。 環境教育との関連例 「横浜の各年代の熱帯夜の年間日数の平均」 年代 1930 年代 (1931∼ 1939 年) 1940 年代 1950 年代 1960 年代 1970 年代 1980 年代 1990 年代 2000 年代 (2000∼ 2004 年) 5日 4日 5日 8日 11日 10日 21日 23日 −5 −4 −5 −2 +1 0 +11 +13 各年代の 平均日数 基準日数 (10日) との差 1970 年代から基準日数(10 日)より熱帯夜が多くなり、 ・次に「真夏日」について 特に 90 年代から急激に熱帯夜が増加していることを、 調べるなど、生徒の学習 意欲・探求心を高めるこ 基準日数との差の値から読み取る。 ・仮平均の考え方を用いることにより、 効率よく平均を求める。 とに繋げる。 単元の学習内容の ・適用問題や活用問題で習得を深める。 個々の習熟度に合わせた課題で補う。 定着、確認 中学校 第 1 学年 「文字と式」 18 時間 ➡(浜)p.107 目標 A ⑵ 文字を用いて数量の関係や法則などを式に表現したり式の意味を読み取ったりする能力を培うと ともに、文字を用いた式の計算ができるようにする。 ア 文字を用いることの必要性と意味を理解すること。 イ 文字を用いた式における乗法と除法の表し方を知ること。 ウ 簡単な一次式の加法と減法の計算をすること。 エ 数量の関係や法則などを文字を用いた式に表すことができることを理解し、式を用いて表した り読み取ったりすること。 既習 小 5 年「数量の関係を表す式」 ➡(浜)p.87 ・具体的な場面→表→言葉の式→記号の式のプロセスから、数量を表す式の理解を深める。 小 6 年「文字と式」 ➡(浜)p.101 ・数量の関係を、 や などの文字を用いた式で表現し、その簡潔性のよさを味わう。 ・文字で表した式に数を当てはめて調べる活動を通して、数の範囲を拡張して考える。 中 1 年「正の数・負の数」 ➡(浜)p.106 ・加法と減法の混じった式を正の項、負の項の和としてとらえ、代数和として計算する。 ・累乗・指数について理解し、同数の積を、指数を使って累乗の形で表す。 時 指導内容 ①② 文字を使った式 学習活動の概要 指導上の留意点 ・文字を用いることで、数量の関係や法則などを簡潔、明瞭に ・操作・観察・説明を通し て具体から抽象への移行 一般的に表現できるよさを知る。 ・文字を用いた式には、思考の過程を表現し、的確に伝達でき を丁寧に扱うことで理解 の定着を図る。 るよさがあることを知る。 【数学的活動】ウ マッチ棒を並べて正方形をつくるとき、そ の本数について考え、その考え方を伝え合う活動から、「自 分の思考の過程を文字を使って表現し、他者に的確に伝達で きるよさを実感」する。 1+3× (本) 4+3×( −1)(本) … … 個 −1個 ─ 104 ─ 第 2 章 算数科、数学科のベースカリキュラム ③④ 積の表し方 ⑤ 商の表し方 ⑥⑦ 数量の表し方 ⑧ 式の値 ⑨ 項と係数 ・「乗法の記号×は省く」「文字と数との積では、数は文字の前 ・ 累 乗 ど う し の 積 を 考 え に書く」 「同じ文字の積は累乗の指数を使って表す」ことを る。 0, − 1 について考察す 理解する。 2 る。 発・浜 × = ×(− 3)=− 3 × = ・「除法の記号÷は使わずに、 分数の形で表す」 ことを理解する。 ― ÷ = ・数や言葉の式に置き換え ・数量を、文字を用いた式の表し方にしたがって表す。 家から 離れた学校まで時速 4 で歩くとき、家を出 て考える。 補・浜 発してから 時間後の残りの道のりは、( − 4 ) と 表される。 ・文字を用いた式の意味を読み取る。 左の図において、式 は長方形の面積を表し、 2( + )は周の長さを表す。 ・文字を用いた式に数を代入して式の値を求める。 気温 ℃のとき、雷が光ってから 秒後に音が聞こえたと すると、雷までの距離[ ]=(331.5 − 0.61 ) ・数の計算と同様にできる ・項と係数の意味を理解し、一次式の意味を理解する。 ことの理解 補・浜 ・文字の部分が同じ項を一つの項にまとめる。 3 2 3 + 2 =(3 + 2) = 5 3 2 3 2 4 5 3×4 2×4 5 ・一種類の文字についての、 一次式の加法と減法の計算をする。 ・面積や買い物など具体場 面を設定する。 (3 − 2)−(2 − 5)= 3 − 2 − 2 + 5 = + 3 ・項が一つの一次式と数の乗法・除法の計算をする。 5 × 2 = 5 × 2 × = 10 ・分配法則を使って説明す ・項が二つの一次式と数の乗法・除法の計算をする。 る。 3(2 − 5)= 3 × 2 + 3 ×(− 5)= 6 − 15 1 12 8 =― +― =3 +2 (12 + 8)÷ 4 =(12 + 8)×― 4 4 4 ⑭⑮ 等式 ・二つの数量の相等関係を表す等式の意味を理解する。 具体的な場面を設定し、個数の合計や速さ・時間・道のりの 関係を、線分図などを用いて説明する。 円の品物 1 個と 円の品物 2 個買ったとき 代金がちょうど 1000 円だった → + 2 = 1000 ・文字を使った公式を活用する。 πを用いて円の周や面積を求める。 台形の面積を求める公式を文字を用いた式で表し、面積を 求める。 ・等式から問題場面を設定する。 3 + = 5 で表される問題をつくる。 ⑯⑰ 不等式 ・不等号の意味を理解し、二つの数量の大小関係を不等式に表 ・≦、≧(中学校で初めて 取り扱う)の意味を理解 す。 する。 円の品物 1 個と 円の品物 2 個買ったとき 1000 円でおつりがもらえた → + 2 < 1000 1000 円では足りなかった → + 2 > 1000 1000 円で買うことができた → + 2 ≦ 1000 ・不等式から問題場面を設定する。 3 + < 5 で表される問題をつくる。 【数学的活動】ウ 事象を式を用いて表し、数学的な表現を用 いて説明する。 「A 町から 5 離れた B 町まで行くとき、A 町から C ・等式で表すのか不等式で 町を通って B 町へ行くと遠回りになる」ことを、A 町 表すのか考える。 から C 町までの道のりを 、C 町から B 町までの道 のりを として式で表し、そのように表せる理由を 説明する活動 + > 5 ⑱ 単元の学習内容の ・適用問題や活用問題で習得を深める。 定着、確認 個々の習熟度に合わせた課題で補う。 ⑩⑪ 一次式の加法・減 法 ⑫⑬ 一次式の乗法・除 法 関連 中 1 年「一元一次方程式」の立式と解の求め方 ➡(浜)p.110 「比例、反比例」における数量の関係を表す式 ➡ (浜)p.115 ・文字を未知数として、式を成り立たせる文字の値を求める。 ・移項が等式の性質に基づいて行われる操作であることを理解し、説明する。 ・文字を変数として、対応するもう一つの量との関係を表す。 中 2 年「文字を用いた式の四則計算」 ➡(浜)p.120 ─ 105 ─ 第 3 章 指導事例 ◆ 指導事例の見方 1 単元目標 2 指導のポイント ⑴ 「横浜版学習指導要領 算数科、数学科編」で示した重点的課題との関連 ア 豊かな心の育成 本単元における学習内容と算数 ○ 根拠を明確にし、それに基づいて筋道立てて考え、 科・数学科の担う五つの重点的 (例) 課題との関連を示しています。 ⑵ 「しっかり教え、しっかり引き出す指導」について ア 本単元で「しっかり教える」内容 具体的事例の本時展開の中に、 イ 本単元で「しっかり引き出す」内容 示しています。 ⑶ これまでの学習及び今後の学習とのつながり 3 指導計画 4 具体的事例(1・2 / 12) ア 本時目標 イ 本時展開 ◆ 指導事例 小学校6事例 中学校6事例 学年 小 学 校 領 域 単元名 指導のポイント 1 数と計算 ひきざん 減加法、減減法の計算方法について、ブロック操作や図、言葉、式に表し て考え説明することを通して、10 のまとまりをくずすという繰り下がり の仕組みを同じとみて、いつでも使える考え方にまとめる。 2 量と測定 長さの単 直接比較から任意単位による測定の過程を振り返る反復的指導によって、 位 量の意味や比較・測定の方法の理解を確かにする導入から、条件を付加 した場面を提示して普遍単位の必要性や有用性を実感できるようにする。 3 図 形 二等辺三 図形を動的にみる教材を工夫して、既習の構成要素の辺や直角、円の等 角 形 正 長に着目して、二等辺三角形及び正三角形について理解する。 三角形 4 数量関係 折れ線グ 複数の折れ線グラフを見比べ、見付け出したきまりや特徴、傾向について、 ラフ 言葉やグラフを使って自分の考えを説明する力を育てる。 5 量と測定 平行四辺 台形の面積の求め方を既習の面積の求め方や図形の性質などを活用して 形と三角 考え、図や式、数、言葉を用いて表現する過程を通して、アイデアの根 形の面積 拠や共通性を明らかにして説明する力を育てる。 CD資料有り 中 学 校 6 図 形 対称な図 線対称・点対称な図形は、二つの合同な三角形の組み合わせ方の操作の 形 違い(裏返す・回す)でできることを明らかにする活動を通して、自分 の考えを説明する力を育てる。 1 数 と 式 文字と式 数量の関係や法則を式に表現したり式の意味を読み取ったりする活動を 通して、文字を用いる有用性や美しさを感得できるようにする。 1 関 数 比 例・ 反 日常生活の中で、事象を理想化したり単純化したりして比例関係を見出 比例 し、課題の解決に数学的な表現を用い、説明する力を育てる。 2 数 と 式 二元一次 連立方程式のよさを理解し、身の回りの事象を活用することで解決が図 方程式 れることを知り、的確に活用しようとする態度を育む。 2 図 形 平行線の 求角問題で、多面的な見方や考えから、既習を用いて様々な課題解決方 性質 法を見い出し、その方法について筋道立てて説明する力を育てる。 3 図 形 三平方の 三角形の 3 辺の長さに着目し、直角三角形で成り立つ 3 辺の関係を見い 定理 出し、定理としてまとめ、活用しようとする態度を育む。 3 資料の活 標本調査 具体的な活動を通して、調査の方法を理解したり、調査を振り返りなが 用 ら評価したりして、信頼できる結果を得るためのよりよい標本調査の在 り方を理解する。 CD資料有り ─ 131 ─ 第 3 章 指導事例 指導事例 小学校 第1学年 「ひきざん」 ➡(浜)p.30 1 単元目標 A⑵ 加法及び減法の意味について理解し、それらを用いることができるようにする。 ア 加法及び減法が用いられる場合について知ること。 イ 1 位数と 1 位数との加法及びその逆の減法の計算の仕方を考え、それらの計算が確実に できること。 D⑴ 加法及び減法が用いられる場面を式に表したり、式を読み取ったりすることができるよう にする。 2 指導のポイント ⑴ 「横浜版学習指導要領 算数科、数学科編」で示した重点的課題との関連 ア 豊かな心の育成 ○ 根拠を明確にし、それに基づいて筋道立てて考え、物事を判断したり表現したりするな ど、自分の考えに責任をもつ態度を育てる。 (例)12 − 5 の計算 2 − 5 はできない→ 10 のまとまりをくずせば、計算できる。 イ 国語力及び学習の基盤的能力の育成 ○ 基礎的・基本的な算数・数学の知識及び技能を確実に身に付ける。 (例)数の合成・分解や十進数の仕組みを繰り返し学習する中で、繰り下がりのあるひき 算の、計算の仕方を説明することができるようになると共に、上学年の学習へとつ なげていく。 ⑵ 「しっかり教え、しっかり引き出す指導」について ア 本単元で「しっかり教える」内容 ○ 繰り下がりの原理 ・一の位だけで計算できないひき算は、10 のまとまりをくずして計算することを理解 する。 〔反復的指導〕 ○ 数の合成・分解 ・12 − 5 の計算の減減法による処理の場面で、 「5 は 2 と 3」と分解できることを確実 につかむ。 ○ 10 の補数 ・10 は 5 と 5、10 は 3 と 7 とみることができる。 ・7 は 10 より 3 小さいということを 10 − 3 と表すことができる。 ○ 十進数の仕組み ・12 は 10 と 2 という意味の理解を丁寧に扱う。 ・十のまとまりをくずすと一のばらが 10 こあり、各位には 9 までしか入らないことを 確認する。 ○ 減法の意味 ・減法は一つの集合を二つの集合に分けたときの、一方の集合の要素の個数を求めるこ とを確認する。 ○ 3 口の計算 ・減加法・減減法を3口の計算に表す。 イ 本単元で「しっかり引き出す」内容 ○ 数の仕組みや計算処理のよさ ・12 − 5 の原理を学習した後で、22 − 5 や 32 − 15 の計算について、22 − 5 → 10 + (12 − 5) 、32 − 15 →(20 − 10)+(12 − 5)という仕組みへの関心をもつ。 ○ 知識・技能を活用しようとする態度 ・既習のことを用いて計算の仕方を考えたり、簡単な処理の仕方を工夫したりする。 ○ 数学的な考え〈同じものとみる〉 ・減加法も減減法も 10 のまとまりをくずしている点では同じとみる。 ─ 132 ─ 第 3 章 指導事例 ⑶ これまでの学習及び今後の学習とのつながり 学年 単元名 学習内容 新しく学習すること 7−5 求残・求差 式で表す のこりはいくつ 小 2 年 1 10 より おおきいかず 5 17 − 5 17 を 10 と 7 とみて一の位だけで 計算する。 10 7 12 − 5 繰り下がりの原理 10 のまとまりをくずして ひけばよい。 22 − 5 22 を 10 と 12 とみる。 10 12 減法の筆算形式 32 −15 17 ひきざん 小 年 2 ひきざんの ひっ算 32 − 15 =(20 − 10)+(12 − 5) 計算手順を発見し理解する。 3 けたの数 小 年 小 数 4 120 − 50 10 の束で考えると 12 − 5 1.2 − 0.5 1.2 は 0.1 が 12 こ分 0.5 は 0.1 が 5 こ分 0.1 をもとにして考えると 12 − 5 で計算できる。 数の仕組みに基づく減法計算 小数が整数と同じ十進数の仕組み になっていることを理解する。 3 指導計画(12時間扱い) 本指導資料 p.15参照 4 具体的事例 既習事項からの導入 一の位だけで計算できる 既習との違いへの関心 □ 17 − 5 ○ 一の位(ばら)だけで 計算できることを確認 する。 □ 12 − 5 ○ 繰り下がりの有無を確 認し、繰り下がりの必 要な場面であることを しっかりとらえる。 減加法・減減法による計算方法の 両方を一緒に取り上げる。 どちらも 10 のまとまりをくずし ているということは同じ 教える対象の明確化 (繰り下がり) □ 12 − 5 ○ 具体的な場面から、繰り下が りの仕組みを理解する。 ○ 10 のまとまりをくずせばよ いことに気付く。 ○ 減加法も減減法も、10 のま とまりをくずしているという 点では同じとみる。 ─ 133 ─ 発展的に考える □ 22 − 5、32 − 15 ○ 他の数も同じでは ないかと発展的に 考える。 計算の習熟 □ 11 − 9、11 − 3 ○ 減 加 法・ 減 減 法 を 使 う な か で、 減 数 の大きさに触れな がらその手続きを、 説明することがで きる。 第 3 章 指導事例 ⑴ 本時目標(1・2/12) ○ 繰り下がりが必要な場面において、減加法と減減法を比べながら、繰り下がりの手続き について理解することができる。 ⑵ 本時展開 子どもの学習内容と教師の指導 指導のポイント 学習課題Ⅰ(既習内容の確認) ・求残の場面の問題を取りあげ、 ひき算で求められることを確 認する。 たまごが 17 こあります。 オムレツをつくるのに 5 こつかいます。 のこりはなんこですか。 17 − 5 = 12 たまごパックを 10 7 開ける必要はない。 ・一の位だけで計算できること、 10 のまとまりはそのままでよ いことをおさえ、次の問題場 面で繰り下がりの必要な場面 であることをしっかりととら えられるようにする。 学習課題Ⅱ たまごが 12 こあります。 オムレツをつくるのに 5 こつかいます。 のこりはなんこですか。 12 − 5 = 7 2 から 5 はひけない。 10 2 たまごパックをあけなくてはいけない。 T:一のばらだけで計算できないときはどうすれば計算できま ・繰り下がりのある減法の計算 は 10 のまとまりをくずせばよ すか。 いことをブロックや図を用い 【ブロック操作や図、式、言葉を用いて表現すること】 て考えることができるように する。 〔いくつといくつ〕で学習したこと しっかり教える ・5 は 2 と 3 既習事項の活用 ・12 は 10 と 2 で表すことができる。 〔10 よりおおきいかず〕で学習したこと ・一の位には 9 までしか入らない。 ・十のまとまりをくずすとばらが 10 こある。 ・減加法と減減法の手続きの違 いについて、分かるようにし ておく。 (例)減加法 ・・・ ひきたしざん 減減法 ・・・ ひきひきざん など、子どもが学習しやすく するために計算方法をネーミ ングすることも有効。 減加法 ⑴ 12 は 10 と 2 ⑵ 10 から 5 をひいて 5 ⑶ 5 と 2 をたして 7 ⑷ 10 − 5 + 2 = 7 減減法 ⑴ 12 は 10 と 2、5 は 2 と 3 ⑵ 12 から 2 だけひいて 10 ⑶ 10 から 3 をひいて 7 ⑷ 12 − 2 − 3 = 7 ブロック操作 □□□□□ □□ □□□□□□□ 言葉 十の束を先にくずして、残りをた す。 十の束は後からくずして、残りを ひく。 具体の場面 先に新しいたまごパックをあけて 5こ使う。 先に2こ使って、後から新しいた まごパックをあけて3こ使う。 言葉や式 ─ 134 ─ 第 3 章 指導事例 【二つの場面を比較して共通点に着目すること】 T:二つのやり方の同じところはどこですか。 どちらも 10 のまとまりをくずしているというところが 同じ しっかり教える 繰り下がりの原理 しっかり引き出す 同じものと見ること 一の位だけで処理できない計算は、十の位をくずせば計算でき る。これまで学習したことで計算できる。 【学習したことの活用】 学習課題Ⅲ(発展) ・原理を理解することで、他の 数値の計算の場合でも同じよ うに処理できることをつかみ、 数の仕組みのよさに関心をも たせる。 たまごが 22 こあります。 オムレツをつくるのに 5 こつかいます。 のこりはなんこですか。 22 − 5 C:たまごパックが一つ増えただけ。 12 − 5 の計算ができればわかりそうだ。 10 12 32 − 5 ・自らが進んで数値を変化させ て、発展的に見たり、考えた りする態度を育てる。 C:あけるたまごパックはやっぱり一つだけだ。 しっかり引き出す 知識・技能を活用しようとす る態度 20 12 次学年の学習への見通し 32 − 15 C:あけるたまごパックとあけないたまごパッ クで考えたらできるかもしれない。 20 12 5 10 ⑶ 板書 たまごが17こあります。オム たまごが12こあります。オム レツをつくるのに、5こつかい レツをつくるのに、5こつかい ました。のこりはなんこですか。 ました。のこりはなんこですか。 しき 17−5=12 こたえ 一のばらだけでけいさんでき ないときは、どうすれば けいさんできるか。 たまごが22こあります。オム レツをつくるのに、5こつかい ました。のこりはなんこですか。 しき 22−5=17 2から5はひけない! 10のまとまりをくずせば けいさんできる! 12こ こたえ 17こ しき 12−5=7 7−5ができれば けいさんできる。 かんたん! 一のばらだけで けいさんすればいい。 十のまとまりはその ままでいい。 こたえ 22−5 7こ (ブロック) □□□□□ □□ (ず) ○○○○○○○○○○ ○○ (せつめい) 12−5 (ブロック) □□□□□□□■■■ ■■ (ず) ○○○○○○○○○○ ○○ (せつめい) 12−5 10 2 (1) 12は10と2 (2) 10から5をひいて5 (3) 5と2をたして7 (4) 10−5+2=7 2 3 (1) 12は10と2 5は2と3 (2) 12から2をひいて10 (3) 10から3をひいて7 (4) 12−2−3=7 どちらも10のまとまりをくずしているところが おなじ! ─ 135 ─ 10 12 22は10と12だ。 たまごパックが一つふえただけ。 12−5ができればわかりそう。 32−5 20 12 32は20と12だ。 これも たまごパックが 一つふえただけ。 12−5をつかえば、おなじように けいさんできる。
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