目録法(メタデータ) - 国立国会図書館デジタルコレクション

音楽資料・情報担当者セミナー(平成23年度)
目録法(メタデータ)をめぐる
最近の動向
谷 口 祥 一
筑波大学大学院
図書館情報メディア研究科
目次(話の構成)
1.図書館目録の現時点の位置づけ
2.目録(書誌データ)作成体制の見直し
3.目録規則の再検討・構築
4.目録検索システム(OPAC)の再検討・構築
5.メタデータ(図書館目録以外)をめぐる動向
1.図書館目録の現時点の
位置づけ
目録の意義

図書館界が書誌コントロールの主要な一翼を担って
きた主なツール/仕組みが「目録」

書誌データの仕様を決めている(設計を担っている)のが
図書館界

ただし、主として刊行物に対するもの

他の業界(出版・流通業界など)はそれに準拠
書誌データの作成自体は集中化・共同化により全体的に
は減少(最小化)

しかしながら、コレクションに対するその守備範囲は…

コレクションズ・グリッド(collections grid)
資源の管理責任性(stewardship)
高
低
資源の唯一性( uniqueness
)
刊行物
低
高
・図書
・雑誌
・CD、DVD
・地図、楽譜など
フリーアクセス可能
なWeb資源
・Webページ
・オープンソース・ソフト
ウェア
特殊コレクション
機関内生産資源
・稀覯書
・記録史料
・写真など
・教材、授業記録
・研究成果報告書
・調査・実験データ
・マニュアル類
それぞれ
のタイプの
資源群に
対応した
探索ツー
ルあり
資源の管理責任性
高
刊行物
資源の唯一性
低
高
・図書
・雑誌
・CD、DVD
・地図、楽譜など
低
刊行物についても複数の資源探
索ツールが存在
・目録(OPAC)
・書誌DB検索システム(論文・記事など)
・電子ジャーナルサイト(検索システム)
・オンライン書店の検索システム
(Amazonなど)
・図書本文検索システム(Googleブックス
など)
「目録の危機」

相対的な地位低下の事実

探索(検索)ツールの分断。目録が担う範囲は相対的に
縮小している


Amazonなどオンライン書店の多様な試みの成功


サーチエンジンによる検索対象範囲の拡大
それに対して、変化のない(陳腐な?)OPAC
目録(書誌データ等)作成コストと探索ツールとして
の力量のバランスが問われている
「目録の危機」への対応
書誌データ
設計
目録規則の
再検討
書誌データ
作成・流通
作成体制の
見直し
書誌データ
提供・検索
検索システム
(OPAC)の再
検討
目録の展開の方向性(個人的見解)
方向性1:メタデータの一層の構造化
 方向性2:メタデータ検索システムの高機能化・多機
能化
 方向性3:メタデータのオープン化
 方向性4:メタデータ作成体制の再構築
 方向性5:デジタル資源管理との一元化または連携

「目録の危機」への対応
書誌データ
設計
書誌データ
作成・流通
書誌データ
提供・検索
目録規則の
再検討
作成体制の
見直し
検索システム
(OPAC)の再
検討
メタデータの一層
の構造化
メタデータ作成体制
の再構築
メタデータ検索システムの
高機能化・多機能化
メタデータのオープン化
デジタル資源管理との一元化または連携
「国立国会図書館の書誌データの作
成・提供の方針」 (2008)
方針1:書誌データの開放性を高め、ウェブ上での
提供を前提として、ユーザが多様な方法で容易に入
手、活用できるようにする
 方針2:情報検索システムを一層使いやすくする
 方針3:電子情報資源も含めて、多様な対象をシー
ムレスにアクセス可能にする
 方針4:書誌データの有効性を高める
 方針5:書誌データ作成の効率化、迅速化を進める
 方針6:外部資源、知識、技術を活用する


これらの方針の下、いくつかの具体的施策が実行さ
れている
2.目録(書誌データ)作成
体制の見直し
目録(書誌データ)作成体制、政策
国/言語圏ごとに異なる体制と政策
 米国などでは、今後、目録政策そのものが大幅に
変更される可能性あり





米国議会図書館「書誌コントロール将来WG」報告書「On
the Record」(2008.1)
同図書館による書誌コントロールの枠組みを見直す声明
「Transforming our Bibliographic Framework」
(2011.5)
たとえば、同図書館は書誌データを極力作成しない?
出版・流通機関による作成データを主たるデータとする?
特殊コレクション等の書誌データ作成に傾注する?
図書・雑誌(国内刊行物)に関する
書誌データ作成・提供の現状
資源製作・出版・
刊行
出版社、雑誌刊
行機関、その他
日本書籍出版
協会など
↓
書店、利用者
に提供
資源流通・提供
流通機関(取次、
書店、その他)
利用者(個人)
資源収集保管
資源・コピー提供
資源保存
日販、大阪屋
TRC、日外など
↓
図書館、書店、
オンライン書店
に提供
図書館など
コンソーシアム
ネットワーク
国立国会図書館
個別図書館等
NII NACSIS-CAT
↓
他の図書館、利用者に提供
わが国における複数の書誌の併存
複数の書誌の併存の問題点
 同時に、公共図書館界では寡占状態

日本全国書誌の在り方に関する検討会議
(2010.3)
 公共的書誌情報基盤に関する実務者会議
(2010.8)
 「NDL新着図書情報」の提供



納本された図書の「基本書誌情報」を、納本後数日で提
供
タブ区切りテキスト、RSS形式データ、APIによる提供
国立情報学研究所NACSIS-CAT

「次世代目録所在情報サービスの在り方について
(最終報告)」 (2009.3)





電子資料に対応する仕組みの構築
データ構造の見直し
APIの公開に向けた検討
外部書誌データのさらなる活用
共同分担目録方式の「最適化」に向けた見直し

「目録センター」館、インセンティブモデルの導入など
3.目録規則の再検討・構築
書誌データ(書誌レコード、典拠レコード)
の作成基準
概念モデル:FRBR

FRBR:「書誌レコードの機能要件」(1997/98)

Functional Requirements for Bibliographic
Records



日本語訳:和中幹雄[ほか]訳.日本図書館協会, 2004.
対象とする書誌的世界(目録が対象する世界)のモデル
化
実体関連モデル(E-Rモデル)によるモデル化

実体(entity)、属性(attribute)、関連(relationship)
 第1グループ実体
著作(work):知的・芸術的創造物の単位
 表現形(expression):文字、記号、音声等で表
現された単位
 体現形(manifestation):物理的に具体化され
た単位
 個別資料(item):個々の資料1点ずつの単位

第1グループ
第2グループ
著 作
(work)
個 人
(person)
創造される
実現される
実現される
表現形
(expression)
製作される
具体化される
所有される
体現形
(manifestation)
例示される
個別資料
(item)
団 体
(corporate body)
FRBR 実体レベル
(第1グループ)
著作
表現形
原テキ
スト
体現形
個別資料
映画作品
小説作品
印刷体
翻訳
増補版
PDF
コピー1
著者の書き込みあり
出典: Barbara Tillett
原バー
ジョン
HTML
コピー2
事例1
w1 Charles Dickens による A Christmas carol
e1 著者によるオリジナルテキスト(英語)
m1 North South Booksによる刊行
e2 中川敏による日本語訳
m2 集英社による刊行
e3 村山英太郎による日本語訳
m3 岩波書店による刊行
事例2(音楽作品)
w1 J.S. Bach による Goldberg variations
e1 Glen Gould による演奏(1955年)
m1 CBS Records による録音ディスクリリース
(アナログ、331/3 rpm、 …)
e2 Glen Gould による演奏(1981年)
m1 CBS Records による録音ディスクリリース
(アナログ、331/3 rpm、 1982年)
m2 Sony による録音ディスク再リリース
(Compact Disc、1993年)
m3 Sony によるMP3を用いた再リリース(2000年)
著作の主な属性
タイトル(統一タイトルに相当)
 形式
 成立日付
 その他の特性
 想定終期(完結性または継続性)
 想定利用者
 著作成立の背景
 音楽作品:演奏手段、番号表示、調(Key)

表現形の主な属性
タイトル
 形式
 成立日付
 言語
 その他の特性
 数量(分量)
 内容の要約
 表現形成立の背景

拡張性(継続予定の有無)
 改訂性(改訂予定の有無)
 与えられた論評(内容批評)
 利用制限
 楽譜:楽譜の種類
 楽譜・録音:演奏手段

体現形の主な属性
(従来の書誌レコードが主に記録してきた項目)

タイトル

記述対象に出現するもの
責任表示
 版・刷表示
 出版地・頒布地
 出版者・頒布者
 出版日付・頒布日付

シリーズ表示
 キャリアの形態
 キャリアの数量
 物理的媒体
 キャプチャ・モード
 キャリアの大きさ
 識別子
 取得・アクセス認証
ソース


録音資料:






再生速度
音溝幅
カッティングの種別
テープの形状
音響種別
特殊な再生特性
個別資料の主な属性
識別子
 フィンガープリント(書紋)
 出所
 銘・献辞
 展示歴
 状態
 処理歴
 アクセス制限

第1グループの実体間の関連
(全体-部分関連は除く)
(実現値)
著作
表現形
体現形
個別資料
後継、補遺、追補
要約、改作、変形、模造
後継、補遺、追補
要約、改作、変形、模造
縮約、改訂、翻訳、編曲
複製、代替
再構成、複製
(実現値)
著作
表現形
体現形
個別資料

著作と著作の関連、表現形と表現形の関連(異なる著
作の表現形間)



追補:カデンツァ(Cadenza)、台本(Libretto)、付随音楽
(Incidental music)、テキストに伴う音楽(Musical
setting for a text)
改作:変奏曲(Variation)、合唱曲(Harmonization)、
幻想曲(Fantasy)
表現形と表現形の関連(同一著作の表現形間)

編曲(Arrangement)
第3グループ
著 作
概 念
主題としてもつ
物
主題としてもつ
出来事
主題としてもつ
場 所
第1グループ
著 作
第2グループ
表現形
個 人
体現形
団 体
個別資料
利用者タスク(user task)


発見(find)、識別(identify)、選択(select)、 入手
(obtain)
4つの書誌的実体と組み合わせることで、14種のサ
ブタスクを設定


例:著作の発見、著作の識別、著作の選択、...
各実体の属性、実体間関連との対応づけ(サブタスク
達成における重要度評価)を試行

これにより、属性や関連の設定の妥当性を検証
発 見
識 別
著作
表現 体現 個別
表現 体現 個別
著作
形
形 資料
形
形 資料
体現形のタイトル
■
■
■
■
■
■
責任表示
□
□
□
□
■
■
■
■
版・刷表示
出版地・頒布地
○
出版者・頒布者
出版日付・頒布日付
○
□
□
○
□
□
■
□
■
属 製作者
○
○
性 シリーズ表示
キャリアの形態
□
■
□
■
キャリアの数量
□
物理的媒体
□
キャプチャー・モード
○
キャリアの大きさ
○
体現形識別子
■
□
■
FRAD
 FRAD「典拠データの機能要件」(2009)

Functional Requirements for Authority
Data
FRBRの第2グループ実体とそれにかかわる世界
(典拠データ)のモデル化
 実体「個人」・「団体」に、「家族」を追加
 新たな属性と関連を定義
 利用者タスクを定義

 発見(find)、識別(identify)、文脈化
(contextualize)、正当化(justify)
個 人
家 族
(FRBR 第2グ
ループ)
団 体
著作など
概念など
(第1グループ)
(第3グループ)
知られている
付与される
名 前
(name)
識別子
(identifier)
基礎となる
統制形アクセスポイント
(controlled access point)
統制される
規 則
(rules)
作成/修正
される
適用される
機 関
(agency)
国際目録原則
 FRBRを踏まえた目録原則
2009年に内容確定、制定
 パリ原則(1961)の改訂に該当
 FRBRで定義された実体および利用者タスクを用
いて目録の目的・機能の再規定


併せて、書誌レコードと典拠レコードの2種を作成
することを規定。書誌レコードは、主に体現形に
対応するものと規定
 現行方式から大きく転換を図ることを回避
FRBR実体との対応づけ(国際目録原則に依拠)
[個人、団体]
[著作、表現形]
著者名典拠 ---- [統一タイトル
レコード
典拠レコード]
[概念その他]
件名典拠
レコード
(分類表)
書誌レコード
+ [主として体現形]
(所蔵レコード)
[個別資料]
パリ原則における目録の機能宣言に
対応する概念モデル
第2目的-1:
特定著者の著作の集中
第2目的-2:
特定著作の諸版の集中
第3目的:
特定主題の著作の集中
著者
著作
主題概念
(author)
(work)
(subject)
資料
(図書)
(book)
第1目的
既知資料(特定資料)の所蔵の
有無の確認
現行目録のレコード種別とその相互関係
[著者]
[著作]
著者名典拠 ---- [統一タイトル
レコード
典拠レコード]
書誌レコード
+ [資料]
(所蔵レコード)
[資料]
[主題概念]
件名典拠
レコード
(分類表)
目録規則等への反映・影響
 FRBR/FRAD、国際目録原則を起点とする見
直し
FRBR、FRADの属性・関連には、既存レコードに
対応するデータ項目がないものあり
 実体「著作」、「表現形」の扱いなど
 目録規則、MARCフォーマットを含め、現行方式
の見直しが行われている

 加えて、書誌コントロールの枠組み(書誌
データ作成体制等)の見直しが絡んでいる
 国際レベル、各国・言語圏レベルの見直し
書誌レコードのデータ項目選定と定義にかかる
標準化
標目・アクセス
ポイント
書誌記述
国際レベル
国際標準書誌記述
(ISBD)
UNIMARC
各国・言語圏レベル
メタデータ作成機関レベル
目録規則
日本目録規則(NCR)
英米目録規則(AACR)
RDA
MARCフォーマット
Japan-MARC
MARC21
NACSIS-CATなど
適用細則など
典拠レコードのデータ項目選定と定義にかかる
標準化
国際レベル
各国・言語圏レベル
メタデータ作成機関レベル
GARR
GSARE
UNIMARC
[目録規則]
RDA
MARCフォーマット
Japan-MARC
MARC21
NACSIS-CATなど
適用細則など
ISBD(国際標準書誌記述)の改訂
 エリア0の新設(2009.12)
コンテンツ形式とメディア種別のエリア
 「コンテンツ形式」とは、表現形の種別

 テキスト、画像、音声、プログラムなど

「メディア種別」とは、体現形の種別
 録音資料、電子資料、マイクロ資料など
 これまでエリア1「タイトルと責任表示のエリア」におい
て、「資料種別」として記録されていたもの

RDAでの記録法に沿ったもの
 「統合版」として刊行(2010)

全ての資料種別を網羅させ、分冊を廃止
RDA(Resource Description and
Access)
 2004年に改訂作業に着手。2010年刊行

他コミュニティとの連携重視する立場、デジタル
資源を主たるものとする立場からの批判があり、
改訂作業は難航
 図書館以外のコミュニティでも使用可能な記
述規則
FRBR、FRADに即した規則構成
 著作、表現形、個人、団体などの実体群に係
る詳細な規定化(典拠レコード、典拠コントロー
ルに係る事項)
 構文規則、システム等からの独立性

 難航を生んだ基本的な対立軸は何であったか
内容固定型資源+旧来の方式を基本とする立場
→ インクリメンタルな展開を志向
 デジタル、ダイナミック型資源を主たるものとする
立場 → ラディカルな方向転換を志向

 デジタル資源が主流となった状況における目録や図書
館サービスのポジションを憂慮
 より汎用的なメタデータモデルを求め、他領域のモデル
との相互運用性を重要視
 汎用的な記述規則と目録特有の記述規則への切り分
けを求める
RDAの構成
 セクション1:体現形および個別資料の属性の
記録
 セクション2:著作および表現形の属性の記録
 セクション3:個人、家族および団体の属性の
記録
 セクション4:概念、物、出来事および場所の属
性の記録
 セクション5:著作、表現形、体現形、および個
別資料間の主たる関連の記録
 セクション1:体現形および個別資料の属性の
記録
1章 全般的ガイドライン
 2章 体現形および個別資料の識別
(利用者タスク「識別」に対応)
 3章 キャリアの記述
 4章 取得とアクセス情報の提供
(利用者タスク「入手」に対応)

AACR2+MARC21レコード
(書誌レコード)
=245 00 $a Macroeconomics : $b private and public choice / $c James
D. Gwartney ... [et al.].
=250 ¥¥ $a 13th ed.
=260 ¥¥ $a Australia ; $a Mason, OH : $b South-Western Cengage
Learning, $c c2011.
=300 ¥¥ $a xxvii, 585 p. ; $c 28 cm.
=500 ¥¥ $a Includes index.
=700 1¥ $a Gwartney, James D.
=985 ¥¥ $a commonsetA $bI OrQBI
=994 ¥¥ $a C0 $b DLC
RDA+MARC21レコード
(書誌レコード)
=100 1¥ $a Gwartney, James D.
=245 10 $a MACROECONOMICS : $b Private and Public Choice / $c
James D. Gwartney, Richard L. Stroup, Russell S. Sobel, David A.
Macpherson.
=250 ¥¥ $a 13th edition, 13e, Student edition.
=260 ¥¥ $a Australia ; $a Brazil ; $a Japan ; $a Korea ; $a Mexico ;
$a Singapore ; $a Spain ; $a United Kingdom ; $a United
States : $b South-Western Cengage Learning, $c [2011],
copyright 2011.
=300 ¥¥ $a xxvii, 585 pages ; $c 28 cm
=336 ¥¥ $a text $2 rdacontent
=337 ¥¥ $a unmediated $2 rdamedia
=338 ¥¥ $a volume $2 rdacarrier
=500 ¥¥ $a Includes index.
=505 0¥ $a The economic way of thinking -- Markets and government -Core macroeconomics -- International economics -- Applying the
basics : special topics in economics.
=700 1¥ $a Stroup, Richard L.
=700 1¥ $a Sobel, Russell S.
=700 1¥ $a Macpherson, David A.
=985 ¥¥ $a commonsetA $b IOrQBI
=994 ¥¥ $a C0 $b DLC
AACR2+MARC21レコード
(典拠レコード)
040 __ $a DLC $c DLC $d MoSW-Mu $d PPi-MA
100 10 $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Symphonies, $n no. 2, $r C
minor
400 10 $w nnaa $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Symphony, $n no.
2, $r C minor
400 10 $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Resurrection
400 10 $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Auferstehung
400 10 $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Auferstehungs-Symphonie
400 10 $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Resurrezione
400 10 $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Resurreccio?n
400 10 $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Auferstehungs-Sinfonie
670 __ $a Mahler, G. Symphony no. 2 in C minor [SR] 1988, p1981: $b
label (Symphony no. 2 in C minor : "Resurrection")
670 __ $a New Grove $b (Symphony no. 2, c-E♭, S, A, mixed vv, orch)
RDA+MARC21レコード
(典拠レコード)
040 ## $a DLC $b eng $c DLC $e rda
100 1# $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Symphonies, $n no. 2, $r C
minor
382 ## $a orchestra
383 ## $a no. 2
384 ## $a C minor
400 1# $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Resurrection
400 1# $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Auferstehung
400 1# $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Auferstehungs-Symphonie
400 1# $a Mahler, Gustav, $d 1960-1911. $t Resurrezione
400 1# $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Resurrecci?n
400 1# $a Mahler, Gustav, $d 1860-1911. $t Auferstehungs-Sinfonie
670 ## $a Mahler, G. Symphony no. 2 in C minor, 1988, p1981: $b label
(Symphony no. 2 in C minor : "Resurrection")
670 ## $a New Grove $b (Symphony no. 2, c-E♭, S, A, mixed vv, orch)
RDAの着地点
 目録規則構造としては、従来のものから大きく
転換
 レコード構成等(構文的要素)は規定しておら
ず、その決定は後続のステップに先送り
MARCフォーマット(MARC21)の修正:RDAに対
応するための最低限の修正が提案されている
 著作、表現形は統一タイトル典拠レコードで表現す
る方式、または書誌レコード内で体現形と合わせ
て表現する方式あり (MARC21のDiscussion
Paperなど)

米国議会図書館等のRDA導入テスト
とそれに基づく勧告
 議会図書館、国立医学図書館、国立農学図
書館への勧告(2011.7)
2013年1月以降の導入を勧告
 導入のための条件(9項目)

 RDAの指示を明確で平易な英語に書き直す
 オンライン環境でのRDA更新のプロセスを定める
 RDAツールキットの機能性を高める
 MARC、その他のエンコーディングスキーマを用いた
場合の詳細レコードの実例を示す
 RDAエレメントセットおよび語彙をレジストリに登録す
る
 MARCの代替(後継)に向けた信頼に足る進捗を示す
 コミュニティの関与を確保し、さらに促進する
 RDAにかかる研修を主導し調整する
 RDAエレメントセットを用いた入力およびディスカバ
リーシステムのプロトタイプのデモンストレーションを求
める

国立3図書館は、勧告を支持する声明を発表


RDA導入の短期的な価値はないが、長期的な価値あり
RDA導入が遅れることは、より広い情報コミュニティとの
効果的な関係構築に遅れる事態を招く
米国議会図書館による「書誌フレーム
ワークの変革」声明
 2011.5に着手
 MARCフォーマットの再検討を意図

既存MARC21フォーマットと他のメタデータエン
コーディングスキーマ群を検討
 保持すべき側面と発展させるべき側面の検討

セマンティックWeb、Linked Dataの技術の適
用を試行
 書誌フレームワークにとっての利点、それら利点を有
効活用する枠組みの検討

Web検索環境における、図書館のメタデータの
最大限の再利用を促進

背後には、報告書「On the Record」(2008.1)が
示した方向性あり

出版・流通機関作成の書誌データを最大限に流用するこ
とによる、作成・提供の効率化など
日本目録規則の改訂
 RDA(およびMARC21)との位置関係が焦
点?
非基本記入方式、統一タイトル適用の少なさ
 特有の書誌階層の扱い
 国内でも、国立国会図書館とNACSIS-CATの相
違あり

 国立国会図書館は、MARC21を2012年から採用予
定
4.目録検索システム(OPAC)
の再検討・構築
「次世代OPAC」の方向性
 構造化されたメタデータの特性を最大限に活
用

FRBR化、絞り込み機能 、表示情報の追加、ラン
キング機能
 入力支援の向上・洗練化

スペルチェック、サジェスト機能
 目録以外の多様なメタデータの活用

統合検索機能、横断検索機能
 ユーザによるタグ、レビューなどの作成と活
用

ユーザ参加型機能
 デジタル資源(本文)へのナビゲート
リンキングなど
 本文検索システム(図書、雑誌論文など)との連
携・接続

 パーソナライズ機能

検索対象の範囲・選好の設定、検索履歴の活用
ディスカバリー・インターフェース
 OPACからディスカバリー・インターフェースへ

検索できるメタデータの種類と範囲の拡大(?)
 これまでのOPACの検索対象範囲を超えて、雑誌記
事DB、機関リポジトリ、電子ブック、電子ジャーナル、
その他の一括検索

インターフェースの機能の高度化(?)
概念モデル
FRBR
FRAD
目録規則、MARC
フォーマット
+ レコード作成
OPAC
現行レコード、
データ項目定義
現行方式
OPAC
新たなレコード、
データ項目定義
(RDAなど)
+ レコード作成
新方式OPAC
OPACのFRBR化(FRBR OPAC)
 OPACのFRBR化(FRBRization)とは
FRBRの第1グループ実体群(著作 - 表現形
- 体現形 - 個別資料)の系列に沿った検索・
表示機能
同一著作(および同一表現形)の単位でまとめて
検索・表示できる機能
 欧米においては複数の実現例あり
 OPACの機能向上の一つの方向性

FRBR化の先行事例

MARC21書誌レコードに対する著作の機械的同定





書誌レコード中の限られた著作の手がかりを抽出
基本的には、「著者標目 + 統一タイトルまたは本タイト
ル」
(基本記入標目または副出記入標目)
典拠レコード(著者名、統一タイトル、著者名+統一タイト
ル)も活用
ある項目群の値が一致したものを同一著作と判定
OCLC WorldCat, FictionFinder など
FictionFinder
 小説作品の検索システム

2006年12月公開、現時点では公開を中断
 著作単位(小説作品)にレコードをクラスタリ
ング
「Work-setアルゴリズム」を公開
 著作レベルレコードを機械的に作成

 その下に書誌レコード(体現形)を配置

著作 - 書誌レコード - 所蔵レコード
WorldCat
 WorldCatのレコード全件のFRBR化
機械的な体現形(諸版)の同定
 「Work-setアルゴリズム」を採用、ただし、
FictionFinderのアルゴリズムとは差異がある
 著作レコードは生成しない

 xISBN
Webサービス
同定された諸版のISBN、その他を返すAPI
 同サービスを利用したOPACあり

わが国の書誌レコードによるFRBR化
の可能性
JAPAN/MARCレコード、TRCレコード、NACSISCATレコード(和図書)などが併存
 これらは著作の表現・手がかりが、欧米のレコード
に比べて少ないため、著作の同定の困難度が高い





統一タイトルの数、書誌レコードへの適用数の少なさ
基本記入標目、副出(分出)記入標目による著作の手が
かりがない
独自の書誌階層の扱い
他方、「国立国会図書館サーチ」における実装例あ
り


ゆにかねっとレコード(DC-NDL形式レコード)に適用
書誌同定と併せて適用
その他の試行例

谷口による著作同定実験




JAPAN/MARC書誌レコードを用いた実験
NDLゆにかねっとレコード(DC-NDL形式)を用いた実験
全般的には、使用に耐える同定結果が得られることを確
認
同時に、機械的同定には大きく限界があることを確認
 例えば、古典著作、音楽著作など

FRBR研究会による著作同定作業




既存書誌レコードに対する人手による著作同定作業
当面、古典著作を対象とする
実質的には、統一タイトル典拠レコードの作成と適用と同
じ。ただし、典拠レコードは事後的に形成
その有効性:
 著作同定は一度行われれば繰り返し行う必要はなく、
かつ同定結果は複数機関で共有できる
 同定結果は、機械的同定結果と組み合わせて活用で
きる。(すべてについて人手による作業が必要となる
わけではない)
音楽著作に対するOPACの
FRBR化事例
 インディアナ大学
Variationsプロジェクト
検索システム Scherzo
 MARC21レコードから機械的に変換
 著作および表現形を機械的に抽出し同定
 表現形は、体現形の単位で設定

 指導学生による卒業研究
JAPAN/MARC書誌レコードのうち、CDに対する
レコードのみを対象とし、かつクラシック音楽のみ
を対象とする
 著作および表現形を機械的に抽出し同定
 表現形は、「著作+演奏者」(演奏日時は無視)
の単位で設定

その他の方向性
 スペルチェック機能、先読み候補表示

「もしかして:○○○」
 サジェスト機能
関連語(共起語)の表示
 統制語彙における関連語、同義語等の表示
 タグクラウド、ワードクラウド

 ファセットブラウジング(ファセット型ナビゲー
ション)

検索結果のレコード群を、資料種別、主題、著者、
言語など、あらかじめ用意した項目により絞り込
む
 適合度順表示(ランキング表示)
 複数DB、システムの統合検索、横断検索
 リンキングによるナビゲート

リンクリゾルバの活用(DOI, OpenURL)
 ユーザタギング
 ユーザレビューの掲載・蓄積
OPACとサーチエンジンの連携

図書館側が積極的に書誌データをサーチエンジン
に提供




サーチエンジンから利用者をナビゲート
OCLCとGoogleの連携などが代表例
CiNiiによるGoogleへのデータ提供
サーチエンジン側には、データ(一次情報)、メタ
データ(二次情報)を問わず、広範なデータ蓄積が
進行しているため、実質的な統合検索システムの位
置づけを獲得している?
5.メタデータ(図書館目録以外)
をめぐる動向
目的・機能によるメタデータの区分
(メタデータのタイプ)

記述(descriptive)メタデータ




管理(administrative)メタデータ


情報メディアの発見、識別、選択、入手など
簡略な権利管理や技術的項目を通常含む
図書館目録のメタデータ、ダブリンコア(DC)メタデー
タ、MODS、MADSなど
情報メディアの管理:広義の場合(下記のものを包含)
と狭義の場合
権利(rights, use)メタデータ


権利処理・管理、利用管理など
ODRLなど
技術(technical)メタデータ
 保存(preservation)メタデータ



構造(structural)メタデータ




PREMISなど
情報メディアの内部構成情報の管理
複数種類のメタデータ間の対応づけ
METSなど
これらの区分は必ずしも排他的ではない
セマンティックWeb

「文書のWeb」から「データのWeb」へ



機械処理可能なかたちで「データ」が公開され、リンクする
情報空間
ここでの「データ」とは、広義の「メタデータ」と捉えられて
いる
 「リソース」に対する記述との点でメタデータ
これによって、推論などを可能とした「意味」を扱えるWeb
を実現する構想
セマンティックWebを実現する仕組み
(レイヤーケーキ)
RDF (Resource Description Framework)

資源(リソース)記述用の枠組み



RDFモデル






「リソース」はURIで識別可能なあらゆるもの
知識資源に限定されない。人、場所、抽象概念など
トリプル、グラフで表現
トリプル(3つ組)の「文」(statement)により構成
対象となるリソース: 主語
プロパティ(リソースの属性・特徴): 述語
プロパティの値: 目的語
構文(エンコーディング方式)

XML構文、Notation3, N-Triples, Turtle, RDFa
RDFグラフ
主語
http://www.slis.tsukuba.
ac.jp/~taniguch/
述語
http://purl.org/dc/
elements/1.1/dc:creator
目的語
谷口祥一
RDF/XML
<?xml version=“1.0” encoding=“UTF-8”?>
<rdf:RDF xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/">
<rdf:Description
rdf:about="http://www.slis.tsukuba.ac.jp/~taniguch/">
<dc:creator>谷口祥一</dc:creator>
</rdf:Description>
</rdf:RDF>
述語 目的語
主語
Linked Data(リンクするデータ)

セマンティックWebの目標に向けて、比較的実現が
容易な4つの原則の下にデータを公開




URIで名前づけする
名前の参照がHTTP URIでできる
URIを参照したときには、RDF、SPARQLを使って情報が
手に入るようにする
外部へのURIによるリンクを含めることで、より多くのもの
を見つけだせるようにする
Linking Open Data、Linked Open Data
Linked Dataとして公開されたデータ、その情報を集
めるプロジェクト
 これまでのWeb APIとの差異




URI、RDFの使用に限定
APIのプロトコルごとの固有の入力・出力形式を排する
国立図書館等による急速な公開の動き






メタデータのオープン化の方向性に合致
VIAF(バーチャル国際典拠ファイル):著者名典拠データ
米国議会図書館によるLCSH、著者名等の典拠データ公開
英国図書館による書誌レコードの公開
ドイツ国立図書館による書誌レコード、件名標目表の公開
国立国会図書館によるNDLSH、著者名典拠データの公開
参考文献


谷口祥一.メタデータの「現在」:情報組織化の新たな展開.
勉誠出版,2010.(ネットワーク時代の図書館情報学)
書誌レコードの機能要件. 日本図書館協会, 2004.
http://www.jla.or.jp/mokuroku/frbr_japanese.pdf




片岡真ほか.図書館の検索インタフェースとユーザ支援技術.
メディア教育研究. Vol.7, No.2, 2011, p.S19-S31.
片岡真. CA1727:動向レビュー:ディスカバリー・インタ
フェース(次世代OPAC)の実装と今後の展望. カレントア
ウェアネス. No.305, 2010, p.11-15.
工藤絵里子ほか. 次世代OPACの可能性:その特徴と導入
への課題. 情報管理. Vol.51, 2008, p.480-498.
「国立国会図書館カレントアウェアネス・ポータル」
の利用を強くお薦めします