一般論文 京都製作所におけるJIT活動 ─ロスミニマムの追求─ 中村慎治朗* Just−In−Time Activity at Kyoto Works, −Pursuit of Loss Minimization− Shinjiro Nakamura 要 旨 三菱電機京都製作所はAV(Audio Visual)事業の海外展 開とブラウン管事業の終息によって,構内余剰スペースが Innovation Challenge)”を立ち上げて現場改善を中心とし た生産革新推進体制を強化した。 発生した。新事業創出や外部倉庫取り込みによって外部流 さらに筋肉質な事業体質への変革のためには,PSI 出費用抑制を図ってきたものの,大量生産時代のものづく (Production/Procurement,Sale,Inventory)管理強化に り体制を踏襲したままであり,構造改革が必要であった。 よる在庫ミニマムオペレーションが不可欠であり,現場改 そのような状況下で,国内生産の生き残りをかけて当製 善を中心とした活動から営業・調達・出荷へ深化と拡大を 作所工作部門の一棟集約合理化による作業工程の全面改善, 行うKPIC−PartⅡ活動によってAV製品の準受注生産化と 関係会社物流部門の当製作所製造管理部統合による棟間物 いう在庫ミニマム・短納期生産体制を確立した。 京都製作所におけるJIT(Just In Time)活動はロスミニ 流ロス削減,業務重複ロス削減等構内物流全般の合理化を マムの追求を基本とし,これまでの活動成果は世界初のブ 実施した。 次に組織再編と負荷状況に合わせた体制のスリム化によ ルーレイ/ハードディスク搭載液晶テレビの国内生産垂直 って,最適オペレーションが可能な体制に転換し,ものづ 立ち上げで十二分に発揮され,市場即応力に対応した生産 くり革新活動キャンペーン“KPIC(Kyoden Productivity を継続中である。 液晶テレビ“量販店・小売店の販売実績に基づくジャストイン生産” 【改善前】工場出荷から需要を予測(困難)。製造工期も長い→棚残増加傾向 【改善後】顧客への週次販売実績から売れ筋商品を引受け納期2日で出荷 機種別の販売実績から 2日後に出荷する機種・台数を指示 生産指示システム 売れ筋機種 組立指示を同期 共通基板 補充指示 組立工作フロア 基板工作フロア 基板 チップ実装 コンビニストア 基板組立 延長ユニット 販売実績 組立セル 量販店 小売店 機種ごとの部品装着 ファーム書込み 共通部品を 実装(自動機) 実装・保管:2日 生産量に応じ レイアウト自在 組立∼出荷:2日 製造工期:4日 顧 客 引受け納期2日 現場改善による工期短縮 組立∼出荷 :2日 製造工期(全体):4日 液晶テレビ生産の準受注生産を支える引受け納期2日体制 ロスミニマム体制は,在庫を極力持たず,そのかわり営業要求を受けた2日後には出荷する“引受け納期2日体制”の構築実践にある。見込み 生産に頼ったPSI管理を,販売実績をもとに毎日行うミニ工程会議で2日後の投入計画を確定する。生産は製造工期4日を基本とするが,チッ プ実装は共通基板を事前に実装し必要最小限をストアする。毎日の生産指示は基板手挿・総組同一指示によって同期生産させ,2日後に出荷す る体制を構築した。 * 京都製作所 39 (355)
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