液体水素の安全性について - 一般社団法人 水素エネルギー協会 HESS

水素エネルギーシステム Vo
1
.35,
No.
4(
2
0
1
0
)
特集
液体水素の 安全性につ いて
神谷祥二
川崎重工業株式会社
兵 庫 県 明 石 市 川 崎 町 1番 1号
S
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.
1
. はじめに
加え断索明彰張する冷凍サイクルで、水素ガスは液化する。
LH2は飽和温度(@大気圧)20.3Kで
フk
素ガスより非常
液体水素 (
L
H
2
) の需要は、 1
9
6
0年前後から宇宙技
に低いエノレギー状態にある。室温の水素ガスから LH2
術の発展と共に急激に増大してきた。最近では貯蔵輸送
までの冷却の状態を、圧力をパラメータとして温度とエ
効率が高いことから産業用の化学原料としても増大して
ントロピの開系、温度と内部エネルギーの関係を夫々図
おり、将来の大量水素導入を想定した水素社会のエネル
1と図 2に示す。図で LH2は臨界圧(1.28MPa)、臨
ギー媒体としても期待される。 LH2の着火爆発リスクを
界温度 (
3
2
.
9
K
) 以下で荊主し、任縮)水素ガスの状態
最小化にする安全性評価は、 1
9
6
0年頃から宇宙技術分野
は室温付近にある。水素ガスを等圧冷却するとエントロ
を対象として行われ 1
)、その成果は基準及び法規に反映
ピは低い状態になり、また LH2の内部エネルギーは圧
されてきた。 2
000年前後から燃料電池自動車及び水素ス
縮水素ガスより非常に小さい状態になる。 LH2も蒸発し
テーションを対象とした小規模な安全性試験が行われた。
て加温されると水素ガス状態になり発熱量 (
k
J
l
k
g
)は
安全性試験は主に圧縮水素ガスを対象としており LH2
共に同じである。水素の斬敷として、原子核の核スピン
は少ない。村高では、安全「生から見た LH2の物性特性、
の結合の仕方で、パラ水素とオルソ水素がある O 平衡状態
米国の LH2輸送の実績例、 LH2の安全性試験例、及び
の LH2は 9
9
.
8
%
パラ水素、常温水素はノーマル水素(パ
LH2の安全な取り扱いについて述べる。
ラ水素 25%
、オルソ水素 75%) となる。
通常、水素ガスは常温で、高い圧力(例 2
0
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"
'
'
7
0
M
P
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)
2
. 液体水素の物性特性と安全性
状態で貯蔵されるが、 LH2は臨界圧以下の低温低圧状態
で貯蔵される。 LH2と圧縮水素ガスでも重量あたりの発
室j
匙伏態 (
3
0
0
K
) の水素ガスに仕事(圧縮仕事)を
-13
熱量は変わらないが、 LH2は常温の水素ガスに比較して
集
)
0
1
0
2
4(
.No.
5
.3
1
水素エネノレギーシステム Vo
特
内部エネルギー(分子運動エネルギー)が小さいので、
容積あたり蒸発潜熱も小さい。表 1に LH2と他液化ガ
貯蔵容器の水素脆性に繋がる水素アタックの影響は小さ
スとの比較を示す。 LH2は容積あたりの潜熱 (KJι)
い。また貯蔵容器が崩壊する最悪状態を想定する事故で
8であり、貯蔵容器から外に流出した場
/
が LNGの約 1
は、大気放出した時の流体の外部仕事は小さく周囲に対
合、流出液は短時間に蒸発拡散するので着火リスクが小
する破裂エネルギーが圧縮水素ガスより小さくなる。
さく安全性が高い。
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一一血圧縮水素ガ
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圧力 (MPa)
10.00
100.00
. 液体水素と圧縮水素ガスの密度比較@
図3
G
20
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40
20
60
エントロピハー (kJjkg.K)
. 水素と他液化ガスの物性比較
表1
項目
300
加)
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ス 高圧力。ス密度 (
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容積あたりの低位発熱量(MJ
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水素ガス
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天然ガス
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園 田
. 米国における液体水素の輸送と安全性
3
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500
1500
2500
3500
液化基地から需要地までの LH2輸送はローリ・コン
内部エオリレギ (kJ/kg)
テナ等のトラック輸送が一般的である。その 1回の輸送
量は容器重量が軽いためトレーラによる圧縮水素ガス輸
. 水素の内部エネノレギーと温度の関係 8
図2
0倍である。海外では
1
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"
'
送量 (20MPaクラス)の約 7
水素の長距離輸送として LH2輸送が一般的である。図 4
次に LH2と水素ガスの密度と圧力の関係を図 3に示
。 LH2の密度は、水素ガスと異なり圧力が増加すると
す
に液化基地から米国 NASAのロケット射点設備まで
0
0
.lMPaの水素ガスの約 8
減少するが、大気圧状態で O
s社の大型 LH2ローリ(内
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LH2を輸送するAirP
、 35MPaの圧縮水素ガスが約 3倍となり、低圧貯蔵
倍
3
0年間以
s社は約 5
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)心を示す。AirP
容積約 56m
で多量の水素が貯蔵できる。
上にわたり宇宙産業、化学産業等へのローリ・コンテナ
LH2は、一般に流通する他の可燃性液化ガス(天然ガ
5台の LH2ローリ・
による LH2供給実績がある。現在 7
、 LPG等)に比較して沸点温度、密度が共に小さく、
ス
5万 m3)
.
6
コンテナを保有し、年間約1.9万トン(約 2
-14一
水素エネルギーシステ ム Vo
1
.35,No.
4(
2
0
1
0
)
特集
の LH2を供給 し
、 その延べ走行E
間
住1
3
0
0万 kmI年とさ
E
仁
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8
)らは水素災害の 2
8
7件を調査し LH2と圧縮
5年間で見ると約 9
.
1万 トンを輸送してい
れる。過去 2
水素ガスの安全性比較を整理解析 している。 この統計に
るが、その間重大事故は一件もなく LH2輸送の高い安
よると LH2の関連災害は全件数の約 3
0% (
8
6件)で、
)。輸送中の L
H2は、定置式タンクで
全性を示 している 5
6件中の 1件で、あった。一方圧縮水
この内人身災害は 8
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形成も
見られる LH2の熱劇言(古田r
0
1件中の 1
9
9件が人身災害に至った。圧新首水
素ガスは 2
なく 外乱に よる液撹祥から圧力と温度が熱的平徐予伏態に
素ガスと LH2の夫々の災害割合を図 5に示す。同図に
o
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s社は LH2ロー
なり安定性が高まる。また A止Pr
よると LH2と圧縮水素ガスともに災害原因の大多数が
3
リの液充填、液払出の回数を年間 2万回行っており、 2
液 ・ガスの流出獄曳である。圧縮水素ガスの場合、着火
年間 (
1
9
7
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9
9
3年)における液充填 ・払出時の着火
但r
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)、爆発(
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)に移行する割合が増加 している
(
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)
事故は配管継ぎ、手等からの漏れによる 2件と
が
、 LH2は着火に至る確率は圧縮水素ガスの約半分で、あ
。
される ω
る。圧縮水素ガスは噴出圧力が高く、ガス流速も早いた
一方、我が国でも関西 ・関東地区に 2基の液化基地が
めガス運動量が大きくなり着火爆発に至る確率が高くな
建設され、LH2供給量が 5年前の約 4倍(約 0
.
2万 トン
し 、こと
る。LH2の場合、放出の運動量も小 さく温度が低
/年)に増加 しているが 7)、安全に LH2が輸送供給され
が未着火の要因と考えられる。また温度の低し 、
漏洩ガス
ている。
は大気中の水分を紹精するので漏れの状況(水素と空気
可燃性混合物の拡散領域)が目視でき漏洩後の対策が容
易になる。
4
. 液体水素タンクの事故を想定した安全性試験
LH2は圧縮水素ガスより統計上からも安全性は高い
rPr
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1
ダ
図 4 大型液体水素ロ ー リ仏i
が
、 LH2の災害リスクを減らすために事故時を想定した
熱流動量験が内外で実施されてきた。米国 NASAのアポ
9
5
0年代よ り大規模な LH2漏洩誤験がなさ
ロ計画では 1
70
ユーロケベック 、1
9
8
8
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1
9
9
6
れ、また欧州、
防 EQHHPP(
区2
5
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]漏 洩
年)、我が国の WE
NET (水素利用国際クリ ーンエネル
災
合
割
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40
ギ技術、 1
9
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2年)プロジェク トでも LH2漏洩試
.
.
.
.30
0
0
0年前後から LH2ステーション
験が行われた。また 2
号
令
.
.
_
.
.20
及び水素自動車の車載用 LH2タンクを対象とした誤験
10
が欧州を中心に進められてきた。以下に LH2の安全性
。
試験例を紹介する。
未着火
着火
爆燃
爆ごう
4
.
1
. 車載用液体水素タンクの安全性試験
70
60
災
合
割
害 50
40
扇
C = J未 漏 洩
匿歪Ql漏 洩
│
液体水素 │
災人害身の災全
害件
割
数
合 8
約
6
0
件0
1件/件
水素自動車の安全性に関する研究のーっとして車載用
LH2タンクの安全性確認は重要である。BMW社は、故
障 ・事故の分析手法(
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)に基づ、
き、タ
ンクへの過度な外乱揺動振動、内槽と外槽間の真空断熱
.
.
.
.30
%
.
.
_
.
.20
層の破壊、外部荷重によるタンク変形 ・崩壊、及び最悪
1
0
事故シナリ オである車火災を想定した安全性試験を実施
。
した 9)。 これらの想定状況の模式図を図 69)に示す。変
未着火
着火
爆燃
爆ごう
図5
. 液体水素と圧縮水素ガスの災害別割合
形、貫通、火炎試験で小さい着火が見られたがいずれも
爆発に至っていない。
1
5-
水素エネルギーシステム Vo
.35,
1
No.
4(
2
0
1
0
)
特集
との温度差に関係して、温度差により自然対流、核沸騰、
特性を示す。LH2が地面に接触すると 一部が蒸発し液と
地面の聞に蒸気膜が介在し膜沸騰状態になる。蒸気膜は
断繋効果を有するが不安定で LH2が地面に再櫛虫し液
揺動試験
振動試験
真空試験
がダンスするような複雑な挙動を示す。 この挙動は液へ
の黙り荒束に関係するため地面と水面とでは大きく異なる。
地面への液漏洩では蒸発量は徐々に減少するが、水面へ
瞳主
変形試験
貫通試験
漏洩の場合、蒸発量は一定になる傾向になり液の蒸発時
間は短い。LH2が水から熱を吸収した分だけ水面は冷却
火炎試験
され表面に薄氷が形成される。
図 6 車載用液体水素タンクの安全性試験 ω
ー 自然対流
4
.
2
. 液体水素の漏洩流失試験
,.
抜沸騰
1
卜 遷移沸騰
、
│
膜沸騰
臨界熱流東
MR
慌桜
LH2が貯蔵容器から漏洩 ・
流出する状況として以下の
ケースが想定される。
①容岩部尉員から地面等に流出し急激に蒸発する o
G酒己管等の欠損穴から液とガスの二相流が噴く 。
飽和点
③容器が完全崩壊して一瞬に全液が流出する。
LH2と地面との温度(差)
特に大型貯蔵タンクでは③が重大事故に繋がる可能性が
ある。流出した LH2は、地面 ・液面と接し急激に蒸発
図8
. 液体水素のイ湖特性曲線
した後、外気の空気との熱交換により膨張し空気中の水
崩宿した蒸気雲(
V
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p
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rc
l
o
u
d
)状態で、拡散する。着火
分をJ
米国 NASAは、世界最大の LH2貯蔵タンク(内容積
源あればそこで着火し、地面(液面)上の漏洩液にも着
3) が破壊した事故シナ リオを想定した大規模な
3000m
ω
1 に示す。蒸
火伝播する。この勲茄動メカニズムを図 7
LH2流失詐建設を行っている
気雲の形成は、漏洩量、風向き及び LH2と地面(液面)
で約 5
110m
の伝索l
状態に関係する。地面との伝索l
状況は、液と地面
ガスの濃度を測定している。図 9は流出開始後 2
1秒後
蔚弗騰状態に刻々変化する。図 8にその伝熱
遷移沸騰、 1
の水素ガス濃度分布である。液のガス化は早くガス化後
1
1
)
。詐搬は
LH2を 38秒間
3を砂面に流出し蒸発拡散した大気中の水素
の上方拡散が大きし L この試験から、 LH2を大量貯蔵す
るタンクにおいて、 日~G タンク等で法的に適用される
防壁(液が周囲に流出しないようタンク周囲の壁)は水
素拡散を阻害するので好ましくないとの興味ある知見を
得=ている。
20
亙
水素濃度(%)
高
さ 10
、
円
5
0
o
5
1
0
1
5
20
25
30
35
距 離 (m)
図7
. 液体水素が流出した時の流体挙動模式図ω
1
図9
. 米国 NASAの大量繍曳試験結果 11)
-1
6-
40
水素エネルギーシステム Vo
1
.35,
No.
4(
2
0
1
0
)
特集
次に、 LH2、液体窒素 (LN2)、液体酸素 (LOX)、
LNGが瞬時に流出したとき(流出量
3
40m
)
、地面に溜る
圧力上昇と配管内の閉塞時の管内圧力上昇を防ぐ安全弁、
配管の不純物による閉塞を防ぐガス置換ライン、漏洩ガ
ω
1 に示す。
液(
p
∞1l
i
q
凶d
)直径の変化の計算例を図 10
ス検知器、及び瀞電気発生防止等を設置する。取り扱い
LH2は溜る液の直径は約 18秒で最大約 18mになるが、
では、凍傷、漏洩時の酸欠防止に注意が必要である。
他液化ガスに比較して蒸発速度が早く地面に滞留する時
詳細は他文献等 12)を参照して頂きたし、。
間、量とも小さい。
6
. まとめ
40
3
5
材高では、安全性から見た LH2 の物性特性、水素事
30
樹充計から見た LH2の安全性を解説し、またそれを実
月士会
富w
証する砂トの安全性試験例を紹介した。将来の水素社会
液 w
内
の
直
1
5
m
1
0
-
径
において、現在の LNGに匹敵する LH2が導入されるこ
とが予想される。その規模に応じた液化設備、輸送貯蔵
設備、及び利用系機器ごとに安全と経済性が両立する総
~
4
合的な安全性評価が必要となろう。この評価には LNG
I
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骨l
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骨o
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産業の拡大過程で安全性が確立した経緯、経験が参考と
経過時間 (
s
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)
なろう。最後に LH2、圧縮水素ガス共に他の石油、天然
図 10 液体水素と液化ガスの滞留液の直径変化 1ゆ
ガスと同様に正しく扱えば安全であり、誤って取り扱え
ば危険であることを十分に認識することが重要である。
5
. 液体水素に関する安全5
宣言十と取り扱い
参考文献
LH2 は圧縮水素ガスに比較して安全性が高いと考え
。例えば、 M
.
G
.
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るが、 LH2機器設計及び取り扱いには十分な安全対策が
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必要である。例として図 11 に内槽と外ヰ曹から構成され
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出1
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1
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19
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る LH2 コンテナタンクのフロー図を示し、設計上の留
2
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凶 dTh
ermodynamicand T
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意点を概略述べる。 LH2に接する機器には低温脆性(低
温域で脆くなる)を示さない材質(例 SUS304L、アル
Pr
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