エネルギーの長期安定供給を目指して-原子力発電の昨日・今日・あした

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エネルギーの長期安定供給を目指して
−原子力発電の昨日・今日・あした−
三菱重工の昨日・今日・あした
For the Long-Term Stable Supply of the Electrical
Energy
− Yesterday, Today and Tomorrow of Nuclear
Electric Power Generation −
三 宅 芳 男 向
井
卓
トへのニーズにこたえるために,分散型電源やエネルギーの
1.は じ め に
多目的利用の実現なども含めた将来炉の開発にも取り組んで
いる.軽水炉技術の導入から定着化への経緯も含めて,現在
日本で商業ベースの原子力発電が開始されて 30 数年が経
の取組みについて紹介する(図1).
過した.この間,海外より軽水炉技術を導入することから始
まり,設計,製造,建設,運転・保守の各分野において運転
2.昨日―軽水炉技術の導入から定着化へ
経験に基づく技術の改良,及びこれらの定着化が関係者の努
力によりなされてきた.その結果,今や 52 基の軽水炉プラ
2.1 軽水炉技術の導入
ントが国内電力の約 1/3 を供給し,基幹電源としての役割を
当社は 1959 年に米国ウェスチングハウス社(WH 社)と
提携を結び,商業用原子力発電プラントとして加圧水型軽水
果たすまでに至っている.
炉(PWR)の技術を導入し日本国内への展開を図ってきた.
この基幹電源としての役割を担い続けるためには,安全性
を維持しつつコンバインドサイクル火力発電等他電源に対す
当社が手掛けた PWR プラントは,1970 年に開催された大阪
る競争力を確保することが重要である.そのための具体的な
万国博覧会に原子力発電による電気を初めて送電した美浜1
取組みの一つとして,これまでの経験を集大成した次期新設
号機(1970 年営業運転開始)以来,玄海 4 号機(1997 年営業
プラントの設計を推進するとともに,高経年化プラントの安
運転開始)まで 23 基になる(表1).これらは,それぞれ
定運転の維持を図りつつ,設備の有効活用を実現するための
1970 年代,1980 年代,1990 年代に営業運転を開始したプラ
各種方策の立案,及び必要な技術開発を実施している.
ント毎に3つの世代に分けることができる.第一世代は輸入
プラント,及びその技術導入に基づく国産プラント9基であ
また,中長期的には,多様化する将来の原子力発電プラン
分 野
1 980年代
1 970年代
<新設プラント>
第一世代
第二世代
通商産業省軽水炉改良標準化
軽水炉
(PWR)
1 990年代
<運転プラント>
2 000年代∼
第三世代
次期プラント
通商産業省軽水炉技術高度化
将来軽水炉
大型設備取替・更新(SG 等)
運転保守の高度化
(高経年化対応,長サイクル運転,電気出力向上)
<FBR>
MKⅢ
改造
常陽建設
もんじゅ建設
新型炉
<新型転換炉>
ふげん建設
<高温ガス炉>
<核融合炉>
核融合試験装置開発
アドバンストループ型 FBR
高温工学試験研究炉建設
ヘリウムガスタービン発電炉
国際核融合実験炉
<原子燃料>
39GWd/t 燃料
55GWd/t 燃料
(ステップ2)
48GWd/t 燃料(ステップ1)
更なる
高燃焼度燃料
MOX燃料
六ヶ所再処理工場建設
原子燃料と
燃料サイクル
<燃料サイクル>
○
東海再処理工場
<キャスク>
革新的再処理技術の開発
輸送・貯蔵兼用キャスクの開発
○
六ヶ所低レベ ル放射性廃棄物埋設センター
放射性廃棄物処理・処分技術の開発
使用済燃料
中間貯蔵施設
図1 三菱の原子力のあゆみ
三菱重工技報 Vol.40 No.1(2003_1)
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り,第二世代は建設経験,運転経験に基づく当社の自主技術
レビス部に残留したりん酸ナトリウムに起因する応力腐食
による7基のプラントである.そして,第三世代は自主技術
割れ(SCC)を経験したが,これ以降 AVT 採用によりりん
によりさらに改良開発を進めた7基のプラントである.
酸塩に起因する損傷事例を排除することができている.
第一世代プラントでは,美浜1号機等の初期プラントにお
管支持板の構造については,伝熱管との間に形成されるク
ける技術導入以降,機器の国産化,国情を踏まえた導入技術
レビス部が構造的に不純物が濃縮しやすい条件となることよ
の改良を実施,推進してきたが,原子力発電が実用化されて
り,管支持板穴形状の改良による濃縮度の軽減を検討した.
からの 10 数年間,燃料棒の曲がり(ボーイング)や炉心バ
各種の基礎特性試験等を実施し評価した結果として BEC
ッフル板間隙からの横流れ,蒸気発生器伝熱管損傷などの不
(Broached Egg Crate)穴形状を立案し,試験による濃縮特
具合事象を経験し,プラントの稼働率低下にもつながった.
性を確認した.この結果,BEC 穴形状は従来の丸穴形状に
これらの事象に対しては,発生原因の徹底究明を行い,材料,
比べクレビス領域を低減し,二次系水を BEC 穴部に流す設
構造面での設計改良や水質管理など運転管理面での改良,検
計とすることで濃縮度が 1/100 以下に低減する効果が認めら
査補修技術の開発,適用などの総合的な対策を講じることで
れ,高浜3号機以降の新設プラント,及び取替え蒸気発生器
克服してきた.技術改良に関する事例として,蒸気発生器伝
に採用されている. また,伝熱管の U ベンド部の振動を抑え
熱管損傷事象に対して実施した取組みを以下に紹介する.
る目的で挿入している振れ止め金具(AVB)の不十分な支持
蒸気発生器は縦置 U 字管式熱交換器で,炉心で発生した熱
エネルギーを蒸気に変換してタービン発電機系へ伝達する役
が原因となって発生した伝熱管のフレッティング摩耗に対
しては,支持点数を増加する設計改良を実施している.
目を担っており,数千本の伝熱管で構成されている.米国
伝熱管材料については,応力腐食割れに対する耐力を向
WH 社からの技術導入以来,様々な形態の伝熱管損傷を経験
上させることを目的に,従来材料の改良,新材料の開発研
したが,対策として二次系水質改善,伝熱管支持部の構造改
究を行い,Ni-Cr-Fe 合金の高温高圧水中での耐 SCC 性は Cr
良,伝熱管材料の改良,製造方法の改善等を実施した.
量を増すにしたがって向上することが明らかになった.Cr
二次系水質管理は蒸気発生器伝熱管の腐食防止と二次系機
量を 27 %∼ 31 %とし,完全溶体化処理後,特殊熱処理
器の経年劣化防止を目的としており,米国技術導入時には火
(700 ℃で 15 時間程度の時効処理)を施した TT690 合金は優
力発電プラントの延長線上にあるりん酸塩(PO4)処理であ
れた耐 SCC 性を有することより,大飯3号機以降のプラン
ったが,これが伝熱管と管支持板との間の狭隘部(クレビス)
ト,及び取替え蒸気発生器に採用されている.
で濃縮することに起因する伝熱管の腐食減肉を経験した.こ
製造方法にかかわる事例としては,管板と伝熱管との間
のため,水質管理を揮発性薬品処理(AVT)へ切り替え,ク
のクレビス部で残留アルカリが濃縮し,伝熱管の外側(二次
レビスで濃縮が起きにくい対応とした.切替え後に一部,ク
側)からの応力腐食割れを経験した.対策として,クレビス
部で残留アルカリを濃縮させないために,ローラで伝熱管の
表1 三菱の加圧水型(PWR)原子力発電プラント
タイプ
プラント名
*
2 ループ
PWR
3 ループ
PWR
方法を採り入れ,クレビス部をなくす対応とした.また,管
電気事業者
運転開始年月
板部でローラを用いた拡管を行ったことに起因して伝熱管
1970 年 11 月
の内側(一次側)に高い残留応力が生じた結果,一次側から
美浜 1 号機
340
関西電力
(株)
美浜 2 号機
500
関西電力
(株)
1972 年 7 月
の純水中での応力腐食割れが生ずるという事象を経験した.
玄海 1 号機
559
九州電力
(株)
1975 年 10 月
これに対しては,液圧を用いた拡管方法を採用して残留応
伊方 1 号機
566
四国電力
(株)
1977 年 9 月
玄海 2 号機
559
九州電力
(株)
1981 年 3 月
力の発生を抑制することにより解決を図ってきた(図2)
.
伊方 2 号機
566
四国電力
(株)
1982 年 3 月
泊 1 号 機
579
北海道電力
(株)
1989 年 3 月
泊 2 号 機
579
北海道電力
(株)
1991 年 4 月
高浜 1 号機*
826
関西電力
(株)
1974 年 11 月
高浜 2 号機
826
関西電力
(株)
1975 年 11 月
美浜 3 号機
826
関西電力
(株)
1976 年 12 月
川内 1 号機
890
九州電力
(株)
1984 年 7 月
高浜 3 号機
870
関西電力
(株)
1985 年 1 月
高浜 4 号機
870
関西電力
(株)
1985 年 6 月
川内 2 号機
伊方 3 号機
4 ループ
PWR
定格電気
出力
(MWe)
内側から管板の厚さ方向全域にわたって伝熱管を拡管する
890
九州電力
(株)
1985 年 11 月
890
四国電力
(株)
1994 年 12 月
大飯 1 号機*
1 175
関西電力
(株)
1979 年 3 月
大飯 2 号機*
1 175
関西電力
(株)
1979 年 12 月
敦賀 2 号機
1 160
大飯 3 号機
1 180
関西電力
(株)
1991 年 12 月
大飯 4 号機
1 180
関西電力
(株)
1993 年 2 月
玄海 3 号機
1 180
九州電力
(株)
1994 年 3 月
玄海 4 号機
1 180
九州電力
(株)
1997 年 7 月
日本原子力発電
(株) 1987 年 2 月
*:一次系Westinghouse社,二次系三菱,他は一次系,二次系とも三菱
2.2 改良技術の確立と定着化
第二世代プラントでは,第一世代プラントの経験を反映し
二次側水質
PO4 ⇒ AVT 処理
振止め金具の支持点数増加
管支持板管穴改良
丸穴
管支持板
二次冷却水
BEC 穴(四つ葉穴)
一次冷却水
管穴
伝熱管
一次冷却水
二次冷却水
管支持板
伝熱管
管 板
応力低減
全厚液圧拡管 +1ステップローラ拡管
図2 蒸気発生器の改善
三菱重工技報 Vol.40 No.1(2003_1)
3
稼働率
稼働率(%)
70
60
2
被ばく線量当量
50
40
30
1
初期トラブル経験
20
10
0
70
4ループ
1200
MWe級
APWR
1500
MWe級
発電容量
0
・PWR 技術の導入
・主要機器の国産化
機器の大型化
3ループ
900
MWe級
ループ数増加
75 80 85 90 95 00
第一世代 PWR
図4 PWR 大容量化の考え方
20 000
第二世代 PWR
・PWR 技術の改良開発
・信頼性・安全性,稼働率向上
・被ばく低減,定検短縮
15 000
第三世代 PWR
10 000
・経済性の向上
・運転性・保守性の向上
70
2ループ
600
MWe級
発電容量(MWe)
80
プラント建設単価
90
被ばく平均線量当量(mSv)
26
5 000
75 80 85 90 95 0
年 度
図3 稼働率と従事者被ばく線量の推移
表2 APWR の基本仕様
たことに加え,原子炉容器蓋一体化構造物の採用,保守点検
スペースの拡大等による保守・検査作業の改善,及び自動化
等を反映し,従事者の被ばく低減や定検期間の短縮などを実
現した.また,単機容量を大型化したスーパーサイズ湿分分
離加熱器採用による設備簡素化,低圧タービンロータ一体化
などの採用による信頼性の向上も図っている.これらは電気
事業者の優れた保守技術,運転技術が反映されたことと合わ
せ,
プラント稼働率の向上に著しい貢献をもたらした
(図3)
.
第二世代プラントに続く第三世代プラントでは,ディジタ
ル式制御装置や改良型中央制御盤等の新技術の採用ととも
に,設備の簡素化や建屋配置のコンパクト化などシステム/
機器設計,配置設計を含めて原点に立ち戻った設計の最適化
を行い,運転性,経済性,及びプラント性能のさらなる向上
項
目
発電端電気出力
原子炉系熱出力
(万kWe)
(万kWt)
燃料集合体数
原 燃料棒配列
子
炉 炉心有効長
ウラン燃料装荷量
ループ数
一次冷却材流量
原 一次系圧力
子
炉
蒸気発生器
冷
却
系
一次冷却材ポンプ
(体)
(m)
(t U)
(m3/h/ループ)
(kg/cm2a)
タービン
3.今日―基幹電源としての原子力の役割をより確実に
発 電 機
APWR
118
342
153
445
193
17×17
約 3.7
89
257
17×17
約 3.7
121
4
2.01×104
157
4
2.58×104
157
型
式
52 F型
70 F-1 型
台
数
4
4
蒸気圧力
型
式
台
数
(kg/cm2a)
62.5
62.5
93 A-1 型
100 A型
4
4
約 4 480
約 6 000
式
TC6F44 型
TC6F54 型
湿分分離加熱器
2 段再熱
2 段再熱
1 310
1 715
(kW)
電動機軸動力
を図った日本版の成熟した PWR プラントを実現している.
最新 4 ループ
型
容
量
(MVA)
3.1 APWR(改良型 PWR)の開発
現在,軽水炉プラントにはコンバインドサイクル火力発電
APWR は 4 ループ構成であるが,従来型プラントに比べ機
など他電源に対する競争力確保の観点から,安全性の確保は
器を大型化することによって電気出力を約 1 530 MWe に増
もちろん,これまで以上に高性能かつ運転保守が容易で,経
加させている(図4).APWR の主な仕様を従来型4ループ
済性を向上させることが求められている.当社はこの課題へ
プラントと比較して表2に示す.また,設計の特徴を,改良
の対応として新技術の積極的な採用とともに,三次元 CAD
を駆使した新しい設計手法や合理化した建設工法などを採用
することで,電気事業者のニーズにこたえることとしている.
PWR の最新設計プラントとなる敦賀3,4号機は,第三次改
技術を中心に以下に紹介する.
(1)信頼性の向上
APWR では,保守性も確保しつつ信頼性を向上させるた
め炉内構造物,蒸気発生器などの主要構造物を改良した.
良標準化として 1981 年から 1985 年に国,電気事業者,メー
炉内構造物については,従来の PWR の炉心周りに採用
カが三位一体となって開発し,その後,電気事業者と当社の
してきたステンレス板を多数のボルトで組み上げる炉心バ
自主開発として 1986 年から高度化検討を行ってきた APWR
ッフルに代えて,溶接線が無くボルト結合が少ないステン
の初号機であり,世界最大級の出力となることに加え,機器,
レス鋼のリングブロックを 8 段積み重ねた中性子反射体を
システムに斬新な技術を導入することで信頼性,安全性,運
採用した(図5).中性子反射体の採用によって,炉心領
転操作性,経済性などの飛躍的な向上を目指している.
域で使用されるボルトの本数が約 2 000 本から約 50 本に削
三菱重工技報 Vol.40 No.1(2003_1)
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位置決めピン
タイロッド
アライメントピン
流路孔
タイロッド
燃料集合体
タイロッド
ボルト
炉心そう
中性子反射体
流路孔
原子炉容器
リングブロック
炉心バッフル
炉心
バッフル取付板
中性子反射体
図5 中性子反射体
減され炉内構造物が簡素化できるとともに,原子炉容器へ
とにより高さ方向の増加を抑えた設計としている.これら
の中性子照射量を約 1/3 に低減でき,原子炉容器の信頼性
の工夫によって,蒸気発生器の重量は,従来の設計思想の
が一層向上する設計となっている.
まま大型化する場合に比べて約 10 %以上低減することが
蒸気発生器は,炉心の大容量化に対応して伝熱面積を約
できている.伝熱管の U 字曲げ管部に設置する振れ止め金
5 000 m (従来型4ループプラント)から約 6 500 m へ増
具については,支持点数を既設最新プラントの6点から9
加した大型タイプ(70F-1 型)を採用した.一方で,大容
点に増加し信頼性の向上を図っている(図6).
2
2
量化に伴う機器外形の増加を極力抑えるための新技術とし
(2)安全性の向上
て,伝熱管サイズを従来の 7/8 インチから 3/4 インチに小
安全性の向上を達成するための設計として,APWR では
口径化して胴の外径増加を抑え,また,従来よりも性能の
非常用炉心冷却系の機械設備を従来の2系列構成(2×
向上を図った湿分分離器を採用して設置段数を低減するこ
100 %容量)から4系列構成(4× 50 %容量)とし,事
故時の機器作動に対する信頼性を向上させた.各系列の設
蒸気出口ノズル
備をそれぞれのループ近傍に設置することで,配管物量を
上部鏡
削減するとともに配置上の分離・独立性も強化した
(図7).
1 一段型湿分分離器 ● SG 上部胴寸法
(高さ)
の小型化
また,従来格納容器外に設置していた燃料取替用水ピッ
上部胴
トを格納容器内底部に設置し,これを一次冷却材喪失事故
給水入口ノズル
2 小型気水分離器 (LOCA)時等の非常用炉心冷却系の水源にする設計とし
円錐胴
● 気水分離性能の向上
3 改良型振止め金具(AVB)
た.これにより,事故時に炉心に注入された冷却水が水源
であるピットに回収されることとなり,炉心冷却の水源切
中間胴
● 伝熱管流動振動に対する裕度の向上
・AVB による支持点数の増加(6点⇒9点)
・すべての伝熱管を中央 AVBにより支持
替えを不要として安全性の向上を図る設計とした.
下部胴
さらに,非常用炉心冷却系に新技術である高性能蓄圧タ
管板
ンクを採用した.高性能蓄圧タンクは,一次冷却材喪失事
水室
4 伝熱管寸法 3/4 インチ
● プラント出力増加に伴うSG 大型化を抑制
故時の初期に炉心冷却に必要な大流量注入と,その後の炉
一次系冷却材
出入口ノズル
心水位維持に必要な低流量注入を,タンク内の流路構造を
図6 70F-1 型蒸気発生器
工夫することで外部からの動力を用いずに切り替えること
最新4ループプラント
スプレイヘッダ
CS/RHRP
スプレイヘッダ
SG
SG
ACC
ACC
原子炉
ACC
SG
SG
ACC
サンプ
LP HP
CSP
HP LP
CSP
SIP:安全注入ポンプ
HP:高圧注入ポンプ
RWSP
LP:低圧注入ポンプ
CSP:格納容器
スプレイポンプ
CS/RHRP:格納容器スプレイ
/余熱除去ポンプ
SG:蒸気発生器
ACC:蓄圧タンク/
高性能蓄圧タンク
RWSP:燃料取替用水ピット
ス
プ
レ
イ
ヘ
ッ
ダ
APWR
SIP
SIP
SG
ACC
ACC
ス
プ
レ
イ
ヘ
ッ
ダ
SG
SG
図7 非常用炉心冷却系
水位高
ス
プ
レ
イ
ヘ
ッ
ダ
CS/RHRP
SIP
水位低
窒素ガス
注入水 スムースな流れ
で大流量
注入水
うず巻き
ダンパ
渦発生で
小流量
うず巻き
ダンパ
大流量注入時
CS/RHRP
RWSP
ス
プ
レ
イ
ヘ
ッ
ダ
窒素ガス
ACC
ACC
原子炉
SG
CS/RHRP
SIP
小流量注入時
流量切替
低圧注入ポンプ削除
図8 高性能蓄圧タンクの炉心注入のしくみ
三菱重工技報 Vol.40 No.1(2003_1)
28
最新 4 ループプラント
ダウンカマー
炉心再冠水
長期冷却
満水
APWR
ダウンカマー
炉心再冠水
満水
長期冷却
蓄圧タンク
注入要求
高圧注入ポンプ
注入流量
注入流量
高性能蓄圧タンク
低圧注入ポンプ
注入要求
安全注入ポンプ
図 10
時間
大型表示盤と運転指令コンソール
時間
図9 原子炉冷却材喪失事故時の炉心注入特性
ができる設備である.これにより,従来低流量注入に用い
ていた低圧注入ポンプを削除できた(図8,図9)
.
(3)運転操作性の向上
新型中央制御盤には,フラットディスプレイを用いたコ
ンパクトなコンソールを導入し,コンピュータディスプレ
イの画面タッチ方式による運転操作方式を取り入れてい
る.さらに,監視情報を操作画面上に集約表示して監視と
操作を一体化した設計とし,より容易な運転操作を実現し
た.また,ディジタル制御・原子炉保護装置を採用して自
己診断,自動試験装置による保守の容易化を図るとともに,
警報の重要度,優先度を即座に判断できる新型警報システ
図 11
低圧タービン最終段 54 インチ翼
ムを採用するなどの運転支援機能も充実させた.これによ
り,通常時,事故時を含めて一人でもプラントを運転する
プ2燃料として 55 GWd/t 燃料の開発が終了し,実用化のた
ことが可能な設計としている.中央制御室には大型表示装
めの安全審査が電気事業者にて進められている.
置を設置して,プラントの主要系統,主要パラメータ等を
ステップ2燃料の主要な特徴は,まず燃料棒において,高
表示することとし,当直長を含めたすべての運転員が監
燃焼度化対応として耐食性を向上した被覆管,及びウラン装
視・操作に必要なプラント全体の状態を容易に把握でき,
荷量を増加しさらなる燃料取替体数削減のため高密度ペレッ
運転操作性の向上に寄与する設計としている(図 10).
トを採用した点である.また,燃料集合体設計については,
(4)大容量・高性能タービン
従来のインコネルに代えて燃料棒を支持するグリッドの材料
タービンの性能向上はプラントの経済性向上に大きく寄
に中性子吸収の少ないジルカロイを採用している.このこと
与するため,APWR に採用する蒸気タービンは高効率化を
によってウラン濃縮度が同一でもインコネルを採用した場合
図った設計にするとともに,プラント出力の増加に見合う
に比べて必要な反応度を長く維持できるため,運転期間を長
大容量化,さらには大型回転機械としての信頼性向上のた
くすることが可能になる.さらに一次冷却水中の異物による
めに新技術を採用している.高効率化のためには,完全三
燃料漏洩を低減させるため,燃料下部に新たに開発した異物
次元流れ解析に基づいた高性能翼を採用し効率を向上する
フィルタ構造を採用する等の設計変更も行った(図 12)
.
設計としている.低圧タービンの最終翼には 54 インチ翼
次ステップとして,燃料サイクル費の一層の低減と信頼性
群を採用し(図 11),大容量化に伴う蒸気流量増加条件下
の向上を目指し,さらなる高燃焼度燃料の開発にも鋭意取り
での出力を最大限に発揮する設計としている.また,低圧
組んでいるところである.
タービンの大型化に伴い,従来車室で支持していた軸受け
MOX(Mixed Oxide)燃料については,国のリサイクル路
を基礎から直接支持する方式に変更することにより支持剛
線に沿って,設計上の検討はすでに終了し,燃焼度
性を高め,振動に対する信頼性の向上を図っている.
45GWd/t までの炉心での運用が可能となっている.一方,
3.2
燃料の改良,開発
海外での MOX 燃料加工については,英仏の大型 MOX 工場
当社は 1970 年に美浜1号機用燃料を製造して以来,2002
での加工が行われる場合に備え,国内ウラン燃料と同等の品
年 12 月時点で累計約 15 000 体の PWR 燃料を製造し,ここ約
質を確保するため,工場の調査,品質管理上の要求仕様の調
11 年間は燃料漏洩無しで良好な運転実績を上げている.
整等を行うとともに,品質保証の観点から,工場認定のため
この間,
燃料の燃焼度は炉心サイクル長さの長期化に伴い,
の事前準備等も進めている.
燃料サイクル費の低減のため,39 GWd/t から 48 GWd/t(ス
3.3 既設プラントの安定運転に向けた取組み
テップ1)へ高燃焼度化が図られた.また,同時に信頼性向
1970 年に美浜 1 号機(PWR)と敦賀 1 号機(BWR ;沸騰
上に向けても種々の設計改良を行ってきた.現在は,ステッ
水型軽水炉)が商業運転を開始したが,運転年数が 20 年を
三菱重工技報 Vol.40 No.1(2003_1)
29
耐食性向上被覆管
高密度ペレット
ジルカロイグリッド
異物フィルタ
図 12 ステップ2燃料(55GWd/t
燃料)の主要な特徴
図 13 蒸気発生器取替え工事
図 14 原子炉容器上蓋取替え
工事(出荷前)
超える高経年プラントが増加してきている.これらのプラン
トに対しては,安定運転を維持しながら,現有設備能力の有
効活用を図った運用を行うことが,生涯発電コスト低減の観
原子炉容器
点から重要である.このような要求にこたえるためには,運
転期間と発電量を可能な範囲で増加させる対応が考えられる
が,このための技術開発の取組みについて紹介する.
フェーズドアレイ
UT マシン
(1)高経年化対応
安全性,信頼性を維持しつつプラントの運転期間を延ば
すためには,故障やトラブルを未然に防ぐための予防保全
が重要である.予防保全の観点から,海外のプラントにお
いて経験した事例も踏まえて,これまで蒸気発生器,原子
図 15 フェーズドアレイ UT の原子炉
容器への適用
炉容器上蓋の取替えを実施してきており(図 13,図 14),
今後,炉内構造物の取替えも計画している.
から評価,確認を行うことが必要であり,燃料の成立性に
また,万一,故障やトラブルにつながるような予兆が
関しては,前述した高燃焼度燃料の開発を完了して実用化
発生した場合に早期に検知するための検査技術の開発に
を推進し,炉心設計,安全解析への影響評価,対応検討も
も取組んでいる.蒸気発生器伝熱管の検査用に高精度か
実施している.設備の信頼性に関しては,現状定検ごとに
つ高速検査が可能なインテリジェント ECT(Eddy Current
保全を実施している機器の健全性評価を実施し,一部現在
Test)装置,原子炉容器等の検査用に探傷時間を短縮し,
も継続検討を実施しているが,基本的な適用性を確認して
探傷できない範囲の低減を図ったフェーズドアレイ UT
いる.また,プラントの安全性については,長サイクル運
(Ultrasonic Test)装置(図 15)などの開発を行い,実用
転による影響を評価するために,確率論的安全評価(PSA)
化に向けて検討中である.
また,設備の経年変化の評価技術として,Ni 基合金の
一次冷却水中における応力腐食割れ発生と進展の評価技
の手法を適用して安全上のリスクの上昇程度を把握し,設
備,運用面での改善策の検討を実施している.
(3)電気出力向上
術,残留応力を考慮した高度なき裂進展解析方法の開発な
稼働中のプラントに対し,設備変更や設計余裕の適正化
どにも取り組んでいる.これら技術開発を含めた適切な対
による電気出力増加の変更申請を行い,経済性の向上を図
応により,60 年間のプラント運転が問題無いことを各プ
る取組みが欧米では既に盛んに行われている.原子炉の出
ラントについて順次評価,確認している.
力を変えずにプラント出力を向上させる技術方策として,
(2)長サイクル運転
大容量・高性能蒸気発生器や高効率タービンへの設備取替
これまで我が国では,運転サイクルに関しては最長 13
えによる熱効率向上が考えられる.国内でも性能向上を目
ヵ月運転しか認められていなかったが,サイクル当たりの
指した改良タービンへの取替え工事など順次実施してい
運転期間の延長が実用化の方向で検討され始めている.米
る.また,設計上の余裕や設備の健全性上必要な余裕を適
国では,既に大部分のプラントで 18 ヵ月以上の長サイク
正化することによる原子炉熱出力の増加も有効な技術方策
ル運転を実施している状況であり,プラントの稼働率を向
であり,これについてはプラントの安全性,健全性に関す
上するために有効な運用として,日本でもサイクル当たり
る確認評価を含め,欧米での実績を参考にしながら技術検
の運転期間の延長について具体化が検討されている.
討を進めている.これら対応方策の組合せにより,プラン
この長サイクル運転を実現させるためには,燃料の成立
性,プラント設備の信頼性,及びプラントの安全性の観点
トのループ数によっても異なるが,最大 15 %∼ 20 %程度
の電気出力向上が見込めると考えている(図 16).
三菱重工技報 Vol.40 No.1(2003_1)
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加圧器
He ガス冷却による高熱効率化
高性能のロータ
への換装
蒸気
SG
適用新技術
SGの高性能化,RCPの流量増加
水
タービン 発電機
給水
流量計
FI
一次系一体化
プラント建設単価
原子炉格納容器
静的安全系採用
スケール
AP600 メリット
復水器
PBMR
原子炉圧力
容器
AP 1 000
APWR+
海水
冷却材
ポンプ
給水ポンプ
・炉心の安全余裕
の適正化等
IMR
APWR
・給水流量計測
精度向上
循環水
ポンプ
50
100
150
200
出 力 (万 kWe)
SG:蒸気発生器
RCP:一次冷却材ポンプ
図 17 将来炉の経済性向上の考え方
図 16 電気出力向上のための方策
量プラントで対応することが基本的な考え方であり,この
4.あした―エネルギーの長期安定供給を目指して
ニーズに対応するための概念として APWR +の開発を実
施している.APWR +は,APWR をベースプラントとして
エネルギー資源を持たない日本にとって環境問題を解決す
燃料の長尺化,主機の大型化により電気出力を 1750MWe
ると同時に,エネルギーの自給と長期安定供給を実現する観
級に増加させた4ループプラントである.安全系の設備は
点から,原子力発電は今後も重要な役割を果たしてゆくもの
電気系も含めて4系列構成として運転中の保守を可能にし
と考えられる.
ている.安全性向上とスケールメリット追求による経済性
このため軽水炉プラントは,新しいコンセプトを導入する
ことで,十分な安全性を確保しつつ経済性の向上を図るとと
向上を図った概念である.
(2)小型一体モジュール炉 IMR
もに,プラント新設にあたってのリスク軽減が可能で地域分
送電系等の整備が不要な需要地に近接する小容量分散電
散電源としても期待できる中小型炉や,高温を利用した多目
源に適した安全性,経済性を両立させ得る原子力発電プラ
的利用炉などの軽水炉以外の炉の実現も求められることにな
ントが実現できれば,将来における新たな原子力市場の開
ろう.さらに,ウラン資源の長期的な活用の観点から,高速
拓につながる可能性がある.また,これをモジュール炉と
増殖炉による核燃料サイクルに関する開発も必要である.
して達成することで,電力需要や立地条件にも柔軟に対応
これらの動きは既に始まっており,米国主導で我が国を始
することができることより,これらの要求を満たす概念と
め世界各国が参加するかたちで開始されている第四世代原子
して小型一体モジュール炉 IMR の開発を行っている(図
力システムに関する国際フォーラム(GIF)では,2030 年を
18).IMR は,蒸気発生器を原子炉容器内に設置し,自然
ターゲットにして,高い経済性と安全性,廃棄物の削減,核
循環による炉心冷却を行う電気出力 300 MWe 級のプラン
拡散の防止,ウランの有効利用,発電以外への原子力利用な
トである.一次冷却材管を不要とすることで想定事故事象
どを実現する,革新的原子炉が各国から提案され,ガス冷却
を限定し,安全性向上と設備簡素化による経済性向上を図
高速炉,鉛合金冷却高速炉,溶融塩炉,Na 冷却高速炉,超
っている.この原子炉概念と安全系の成立性については,
臨界圧水冷却炉,超高温ガス炉の6概念が選定されている.
現在,経済産業省(METI)の公募研究にて確認を行って
また,日本においても平成 12 年の原子力長期計画を受けて,
いる.このような標準化された小型炉は,工場での全プレ
原子力委員会において革新炉の検討が行われた.
ハブ化,バージによる海上輸送が可能なため,洋上立地な
当社はこのような国内外の動向も視野に入れ,新しいプラ
どとも組み合わせることで工期の大幅な短縮,経済性の向
ント概念として,将来の大容量ニーズにこたえる概念である
上が期待できる.また,東南アジアなどの諸国と共同で開
APWR +,電力需要への柔軟な対応にこたえる小型一体モジ
発,建設,運転を行うことができれば日本の国際貢献の役
ュール炉 IMR(Integrated Modular Water Reactor)の開発に
割を果たすことも可能である.
積極的に取り組んでいる.また,米国 WH 社が開発主体であ
る簡素化プラント AP1000,南アフリカ PBMR 社による熱効
(3)AP1000
従来の動的設備から構成される安全システムに代って,
率向上を図った高温ガス発電炉 PBMR(Pebble Bed Modular
重力や水頭差などで作動する静的設備を採用することによ
Reactor),さらには水素製造など多目的に利用できる高温ガ
るシステムの簡素化が,プラントの経済性を向上させる一
ス炉の開発プロジェクトへも参画している.各概念の経済性
つの手段として期待できる.WH 社はこの考え方に基づい
向上を実現するための考え方を模式化して図 17 に示す.ま
て電気出力 600 MWe 級プラント AP600 の開発を行い,
た,プラント概念を以下に紹介する.
(1)APWR +
1999 年に米国 NRC の設計認証(Design Certification)を
取得し,引き続き電気出力を 1 000 MWe 級に増加させた
将来における原子力発電プラントの建て替え需要に対し
AP1000 を開発している(図 19).当社は近い将来に実用
ては,建設用地の有効活用,建設単価低減の観点から大容
可能な安全性と経済性を両立させた中容量プラントとし
三菱重工技報 Vol.40 No.1(2003_1)
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蒸気発生器
二次主配管
内蔵
蒸気発生器
一次主配管
原子炉容器
図 19 AP1000(プラント完成予想
図)
図 18 小型一体モジュール炉 IMR
原子炉構造
一次系合体機器
(中間熱交換器+
一次系ポンプ)
図 21 ナトリウム冷却アドバンスト
ループ型高速増殖炉
及び日本原子力発電
(株)
が中心となりオールジャパンで推
進する“高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究”では,
原子炉
高圧/低圧
ターボユニット
革新的な技術を導入し軽水炉に比肩する経済性を有した高
発電機
速増殖炉の概念の構築が進められており,当社もこのプロ
ジェクトに参画し積極的に開発を進めている.当社の革新
パワー
タービン
的なアイデアを取り入れた技術のうち代表的なものとし
て,ナトリウム冷却高速炉の概念について紹介する.
高速増殖炉は,特に経済性の観点でいかに軽水炉のレベ
ルに到達できるかがポイントであり,これにこたえ得る候
再生熱
交換器
原子炉
燃料出口
プリクーラ
インタークーラ
図 20 PBMR 鳥瞰図
補概念として“ナトリウム冷却アドバンストループ型炉”
が抽出されている.この概念は,冷却方式としては原型炉
“もんじゅ”と同じナトリウムを用い,原子炉構造のコン
パクト化,新材料採用による配管短縮化とループ数削減,
一次系機器の合体など斬新なアイデア,技術を導入して大
て,AP1000 の設計認証取得に向けて WH 社との共同開発
幅な建設費の低減を目指している(図 21).この概念は,
を行っている.
第四世代原子力システムに関する国際フォーラムにも今後
(4)高温ガス炉
南アフリカの PBMR 社は,約 900 ℃のヘリウムガスを用
いた直接サイクルガスタービンによる高い熱効率(40 %
以上),被覆粒子燃料の採用による高い安全性等を特徴と
する 165 MWe 級の小型原子炉 PBMR を開発している(図
の有力な候補炉型としてノミネートされている.今後,実
用化への基盤となる“もんじゅ”の早期運転再開とともに
実用炉概念のプラントレベルでの実証が強く望まれる.
5.お わ り に
20).これはガスタービン技術の進歩を背景に,炉心で加
基幹電源としての原子力をより確固たるものにするため
熱された高温ヘリウムで直接ガスタービンを回して発電す
に,また,将来的にエネルギーの長期安定供給を実現してゆ
る,高効率でコンパクトな原子力発電プラントを実現しよ
くために取り組んでいる技術開発について紹介してきた.我
うとするものであり,当社は保有する原子力技術とガスタ
が国が原子力を平和目的に活用することを決めて半世紀が経
ービン技術の両者を活用できるプロジェクトとして,
過しようとしている.この間,国内外の経済や政治,社会環
PBMR 社からの要請に基づき世界初の縦型ヘリウムガスタ
境に大きな変化を経験してきたが,資源小国である日本が原
ービン発電機の開発に参画している.また,日本原子力研
子力の導入を決断した原点は変わっていない.この基本政策
究所が推進する高温ガス発電炉 GTHTR300 の開発や,高
を揺ぎないものとするために我々原子力プラントメーカの果
温工学試験研究炉(HTTR)への接続を計画している水素
たすべき役割は大きい.国,電気事業者,並びに関係者のこ
製造システムの開発にも積極的に取り組んでいる.
れまでに勝るご指導を得つつ,巨大な技術の集積である原子
(5)高速増殖炉(FBR)
高速増殖炉 FBR(Fast Breeder Reactor)による核燃料
サイクル技術は,軽水炉に比べウラン資源の利用率を飛躍
的に高めることができ,また,高レベル放射性廃棄物中に
長期にわたり残留する放射能を少なくする可能性を有して
おり,エネルギーの長期安定供給の観点から,その実用化
が求められている.
力発電プラントを支える技術基盤の確保と強化に努めるとと
もに,将来に向けた新しい挑戦的な技術についてもこれを着
実に前進させて行く所存である.
三宅芳男
向井卓
常務取締役
原子力事業本部長
原子力事業本部
原子力技術センター
原子力技術部長
現在,核燃料サイクル開発機構と電力 9 社,電源開発(株),
三菱重工技報 Vol.40 No.1(2003_1)