新型軽水炉 千葉 豪 発電用原子炉の進展 ・APWR ・EPR ・AP-1000 ・ESBWR APWR ・三菱PWRプラントの集大成 ・出力大容量化(118→153万kWe)(ループ数は4) ・安全系を2系列から4系列構成に(ただし電気系は 2系列) ・SG伝熱面積の増加(5,000→6,500m2) ・原電・敦賀3、4号機に採用(当初予定:H24着工、 H29運開) ・九電・川内3号機に採用(当初予定:H25着工、 H31運開) APWR:安全性の強化1 http://www.mhi.co.jp/atom/hq/apwr/0201.html ・格納容器内にRWSP(Refueling Water Storage Pit)を設置:LOCA 時の水源切り替え(サンプ/RWSP)が不要 APWR:安全性の強化2 http://www.mhi.co.jp/atom/hq/apwr/0201.html ・高性能蓄圧タンクが、従来の低圧注入機能を併せ持つため、低圧 注入ポンプが不要 ・窒素ガスが一次系に注入されるおそれがない。 APWR:中性子反射体の採用 (水反射体) (ステンレス鋼反射体) http://www.mhi.co.jp/atom/hq/apwr/0301a.html ・中性子反射効果によるウラン燃料の有効利用とボルト数の低減 による簡素化 APWR+ ・APWRの後継、MHIが開発 ・経済性向上のニーズに応える ・出力170万kWe ・炉内核計装を上部から挿入し、原子炉容器の下 部管台を削除 ・燃料有効長の増加:3.7m→4.3m ・SG伝熱面積のさらなる増加:6500m2→8350m2 ・安全系4系列(機械系、電気系ともに) →運転中の保守が可能に APWR+ ・ハイブリッド安全系: LOCA時には静的設備のみで、それ以外は動的設備主体で対応 LOCA時重力落下炉心冷却 APWR+ ・ハイブリッド安全系: LOCA時には静的設備のみで、それ以外は動的設備主体で対応 格納容器冷却系 SG冷却系 US-APWR ・APWRをベースとした米国仕様 ・出力170万kWe ・経済性向上のニーズに応える ・米国の低地震条件適用により建屋容積低減 ・SGのさらなる高性能化(四角配列→三角配列) ・熱効率39% ・電源系の4系列化 ・NRCの形式認証を取得、米国での2基の採用 が決定したが、計画は停止中(Comanche Peak、 unit 3 and 4) US-APWR http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/02/02080206/11.gif ・大きな熱出力と低い出力密度→24か月サイクル運転が可能 ・炉内核計装方式を上部挿入方式に→下部炉内構造を簡素化 AP-1000 ・WHが開発 ・2ループ、出力115.4万kWe ・炉心損傷頻度:2.41E-7プラント/年 ・中国で標準炉型として採用(4基建設中: 三門2基[完成予定2016]、海陽2基[完成予定2016]) ・米国でも4基建設中(ボーグル、V.C.サマー) http://upload.wikimedia.org/wikiped ia/en/6/64/AP1000Reactor.jpg AP-1000:配管、バルブ等の大幅な削減 http://www.ap1000.westinghousenuclear.com/images/graphics/lg_glance.jpg AP-1000:受動的安全系 熱交換器 均圧注入系 (受動) 燃料取替用 水タンク (IRWST) ・異常時には、蓄圧注入系→均圧注入系で冷却 ・自動減圧弁による減圧後、緑丸の弁が開放さ れ、1次系と熱交換器の間で自然循環により崩 壊熱を除去 ・1時間程度でプール水が蒸発開始。蒸気は格 納容器で冷却されIRWSTに戻る 蓄圧注入系 (受動) http://www.ap1000.westinghousenuclear. com/docs/AP1000Safety2011.pdf AP-1000:受動的安全系 熱交換器 燃料取替用 水タンク 蓄圧注入系 (受動) 均圧注入系 (受動) 圧力の低下後は緑丸の弁が開放され、 1次系が水没する水プールを形成。 破断口、減圧弁より圧力容器に水注入 http://www.ap1000.westinghousenuclear. com/docs/AP1000Safety2011.pdf AP-1000:受動的格納容器冷却系 ・事故後、格納容器の圧 力が高まると、自動的に 重力により格納容器冷 却水が注入 ・万が一、水が注入でき なくても空冷で対応可能 http://www.ap1000.westinghousenucle ar.com/docs/AP1000Safety2011.pdf EPR:European pressurized water reactor EPR ・出力165万kWe、5%濃縮ウラン使用 ・能動的・受動的安全系 ・炉心損傷頻度:6.1 10-7 プラント/年 ・Areva NP(仏)、EDF(仏)、Siemens AG(独)の共同開 発(ArevaのN4、SiemensのKonvoiがベース) ・検査期間短縮のためのメンテナンス性の向上(運転中の 点検が一部の機器で可能):燃料交換+検査で16日→設 備利用率92%が達成可能 ・60年のプラント寿命 EPR:安全注入系、崩壊熱除去系 完全に隔離された4系統の安全系 EPR:緊急冷却材注入系 EPR:電気系統 ・安全系に合わせて4系統 ・全電源喪失に対応するため、2台の緊急時ディーゼル発電機も配備 EPR:過酷事故への対応 ・高い信頼性を有する減圧系、崩壊熱除去系 ・水素爆発防止のための触媒型再結合器 ・溶融燃料を冷却させるための特殊な空間を装備 ・大気への放出はフィルター経由 EPRの現状 ・Olkiluoto-3(Finland):2018年以降に完成予定(9年の遅 れ)。4号機はEPRオプション棄却。 ・Flamanville-3(仏):完成は2016年(2011年7月時点) ・台山-1、2(中):上記2基に比べて大幅に高速化かつ安 価。1号機は2015年末に完成? ・米国向け:US-EPR、いくつか採用予定 ・EPR-UK:ヒンクリーポイントCに採用予定 ・安全系と計測系のコンピュータが分離していない点につ いて、フィンランド規制当局が問題視、英国・米国でもその 懸念が伝播(奈良林先生談) 韓国の新型原発 ・韓国標準型軽水炉(KNSP)、加圧水型 ・出力100万kWのOPR1000と、140万kWのAPR1400が ある。 ・OPR1000はCE社のSYSTEM80をベースに設計。霊光 5、6号機に採用(運転中) ・APR1400はABB-CE社のSYSTEM80+をベースに設計。 新蔚珍1~4号機に採用(1号機は2016年6月運開予定)。 UAEからも受注。 ESBWR:Economic Simplified Boiling Water Reactor ・ABWRをさらに進化 ・GEが開発 ・出力155万kWeの自然循環炉(再循環系不要) ・安全系(重力落下注水、自然放熱等)の採用 ・再循環系不要、安全系の簡素化により、ポンプ、 弁等が25%削減 ・保守費用20%合理化 ESBWR http://www.hitachi-hgne.co.jp/activities/innovation/esbwr/index.html ・高圧冷却:ICSと、非安全系の制御棒駆動ポンプ、FAPCSポンプ (燃料補助プール冷却系ポンプ)による注水で対応(ICSプールは格 納容器外) ・ICSは72時間冷却可能 ESBWR http://www.hitachi-hgne.co.jp/activities/innovation/esbwr/index.html ・LOCAを伴う場合は減圧して低圧系で対応 ・減圧は、従来の自動減圧弁に加えて、爆破弁で対応可能(ただし、 爆破弁を作動させると放射能が格納容器内に漏洩してしまう) ・低圧での冷却は、GDCSによる注水+PCCSによる格納容器冷却 (PCCSプールは格納容器外に設置)(72時間注水可能) ESBWR:自然循環 http://wwwsoc.nii.ac.jp/aesj/division/thd/TH-RMmenu/SWG-H21-1/SWG21-1-8.pdf ・チムニー領域(高さ9m)の設置により、自然循環の駆動力確保 ・炉内の冷却材水量も増加
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