機関誌 - 全国内水面漁業協同組合連合会

平成21年10月
第14号
川のごみ 一つ拾って 海守る
(第8回全国標語コンクール 最多得点作品)
漁業者︵会員漁連の傘下漁協組合員 ︶ 年間契約
[四回発行 ] 定価二、
八〇〇円
︵本体二、六六七円 ︶ 単品 定価七〇〇円︵本体六六七円︶
漁業者以外の者
年間契約
[四回発行 ] 定価三、
〇〇〇円
︵本体二、八五八円 ︶ 単品 定価七五〇円︵本体七一五円︶
機関誌
刊行物案内
天然アユが育つ川
高橋勇夫
「川に潜る研究者」
が、水中で見た
アユの姿と、天然アユを増やす先
進的な取り組みを紹介
定価:本体1,800円+税
■ Infomation
事務所移転のお知らせ
水産庁長官室にて
Contents
10月13日
(火)
より、現在のビル
(三会堂ビル)
の
8階から3階に移転します。
電話番号、
ファックス番号は従来どおりです。
巻頭の言葉 内水面漁業について想うこと
2
ずいひつ 小鮒釣りしかの川は
19
中央ブロック大会
3
球磨川漁業協同組合の取り組み
20
第8回全国標語コンクール
4
即効的なカワウ対策に〈後編〉
全内漁連役員補欠選任のための推薦会議を開催
6
サクラマスを漁業権魚種にして魚の豊かな川に!
22
平成21年度全国事務担当者研修会について
(予告)
6
河川の土砂環境とアユ漁場
24
全国内水面漁業振興大会
全国内水面漁業振興大会
粗朶によるカワウ対策の試み
7
水産庁委託事業
滋賀県におけるカワウ漁業被害防止対策の取り組み
8
渓流資源増大技術開発事業の現地検討委員会を開催
26
3ブロックで協議会を開催
27
日時 平成21年10月22日
(木)
午後2時∼
場所 岡山市民会館大ホール 岡山市丸の内2-1-1
日光支所から
28
全国湖沼河川養殖研究会第82回大会
30
全内漁連 業務日誌
31
編集後記
31
中国ブロックのカワウ対策の取り組み
10
カワウ奮戦記
(概要)
12
免疫磁気ビーズを用いた新しい冷水病菌検出法の開発
14
全内漁連と水研センター
15
朱鷺の島 佐渡に広がる外来魚
16
埼玉県で導入した電気ショッカーボート
18
全国内水面漁業協同組合連合会
第52回
表 紙 の 写 真 を 募 集して い ます
内水面の振興に携わっている各県の漁連、漁協の皆様で取
り組んでいること、知ってもらいたいこと、
アピールしたいこと等を、
簡単な内容メモと共に写真でお送り下さい。メールでも結構で
す。機関誌の表紙に使用させて頂きたいと考えています。機関誌
「ぜんない」は皆様の機関誌です。奮ってご応募ください。
機関誌
第14号
全国内水面漁業協同組合連合会機関誌
平成21年10月発行
発行人:全国内水面漁業協同組合連合会
代表理事会長 桜 井 新
編 集:本所 機関誌編集委員会
発行所:全国内水面漁業協同組合連合会
〒107-0052 東京都港区赤坂1-9-13
三会堂ビル8階
TEL:03-3586-4821 FAX:03-3586-4898
ホームページ:http://www.naisuimen.or.jp
印 刷:株式会社博秀工芸
〒113-0034 東京都文京区湯島3-19-5
による魚類捕食量を試算すると約
一年間を通した県全体のカワウ
そのものを減らす取り組みも併せ
産資源の保護のため、カワウ生息数
追い払い等を実施するとともに、水
率的に事業を進めるため、高い捕獲
に繁殖抑制に重点を置きながら、効
捕獲事業を再開しました。今年は特
目標に営巣地を中心としたカワウ
然 環 境 保 全 課 ︶と 連 携 し 、三 万 羽 を
主体である全国内水面漁業協同組
緊急・広域外来魚等対策事業の実施
県漁業協同組合連合会が、水産庁の
護のための防鳥糸設置事業は、滋賀
ワウ捕獲事業や産卵アユ親魚の保
以上、紹介しました営巣地でのカ
生息羽数(羽)
近年、カワウの異常繁殖が全国的
二 千 八 百 ト ン ※と 推 定 さ れ 、こ れ は
て行っています。
巣地を中心に集中的な銃器駆除を
効果 ※を確認しているエアライフル
合連合会の支援と滋賀県の支援を
生息羽数(羽)
浩司
に大きな問題となっています。琵琶
琵琶湖の年間魚類漁獲量である約
平 成 五 年 か ら 漁 場︵ 飛 来 地 ︶に お
また、過去の食性調査からアユが
行い、年間一万二千∼一万八千羽を
と従来から用いている散弾銃を、そ
受 け て 実 施 し て い る も の で す 。ま
74,688
80,000
滋賀県における
カワウ漁業被害防止対策の取り 組み
滋賀県農政水産部水産課 課長補佐 二宮
湖を抱える滋賀県では毎年三万羽
一千九百トン︵平成十四∼十八年の
いて、銃器によりカワウ駆除を実施
として防鳥糸の設置や花火による
を超えるカワウが春から秋にかけ
平 均 ︶を 大 き く 超 え 、水 産 資 源 そ の
し て い ま す が 、特 に 、平 成 十 六 ∼ 十
ます。
て生息し︵図1︶、漁業や植生に深刻
ものへの影響が懸念されています。
◆はじめに
な 被 害 が 出 て い ま す 。こ こ で は 、本
九年度にはカワウ生息数が三万羽
主要な食物の一つと考えられてい
駆除してきました︵図2︶。しかしこ
減少はみられなかったため、平成二
の対策においても生息数の大幅な
ます。
事態に至り、竹生島や伊崎半島の営
を超え、水産資源そのものを脅かす
県におけるカワウ対策、特に漁業被
二千八百トン
羽︵H二十春︶×二百十四日︵三∼九月︶
※三百五十g︵一日の捕食量︶×三万七千
害防止対策を中心に紹介させてい
ただきます。
◆カワウによる漁業被害
本県における漁業被害には、①河
川漁業での漁協放流魚︵アユやマス
H17
H14
H11
H9
H6
H8
H5
H7
H10
H12
H13
H15
H16
H18
H19
H20
H21
(7/8現在)
ワウ生息数を減少させるために必
十年度は一旦銃器駆除を休止し、カ
本 県 で は 、前 述 の ① 、② の 漁 業 被
要な駆除数や効果的な駆除手法の
◆ 漁業被害防止対策の取り組み
における食害、③琵琶湖の全域でア
害や河川でのアユ産卵親魚をカワ
類 等 ︶へ の 食 害 、② ヤ ナ や エ リ 漁 業
ユ等が捕食される水産資源への影
繁殖個体はエアライフルの小さな発
検討を行いました。
ウの食害から守るため、飛来地対策
今年度はこの検討結果を基に、滋
砲音でも逃げる︶もあり、効果を発揮
れぞれの特性に応じて使い分けて
た、漁場での防鳥糸設置等の対策事
な銃器の選択が必要。
地︶、対象︵繁殖中個体︶に応じた適切
た っ て は 、時 期︵ 繁 殖 期 ︶、場 所︵ 営 巣
で き な い 場 合 も あ る 。銃 器 捕 獲 に あ
賀県カワウ総合対策計画の長期目
標︵飛来数が激増する以前の生息数
四 千 羽 ︶の 達 成 に 向 け 、表 1 に 示 す
ような体制で、鳥獣管理や植生保護
実施し、七月八日現在までに漁業被
業は、県内市町が滋賀県の支援を受
の担当部局である琵琶湖環境部︵自
害 防 止 対 策 事 業︵ 水 産 課 担 当 ︶と し
けて実施しているものです。
る た め 、今 後 も 対 策 事 業 を 関 係 機
カワウによる漁業被害を低減す
◆最後に
て一万四千羽を超えるカワウを駆
除しました。七月中旬からは自然環
境保全課により竹生島での捕獲事
業が継続して実施されています。
※エアライフルは散弾銃より発砲音が小
関と連携しながら鋭意取り組んで
H20
H18
H19
H17
0
H16
H21
H20
H19
H18
H17
図1.近年のカワウ生息数の推移
● 駆除目標14,600羽
● 捕獲目標15,000羽
● 駆除目標400羽
19,705
10,000
◆管理歩道整備
◆防鳥糸の設置(漁場 ・ 保護水面)
H16
25,171
29,665
23,158
6,892
11,047
7,401
7,804
15,691
30,000
26,762
29,844
◆人による追い払い
駆除目標
合計 30,000羽
◆エアライフル・散弾銃による捕獲・追い払い(竹生島)
20,000
◆花火による追い払い
◆エアライフルによる駆除(竹生島)
◆散弾銃による駆除(伊崎半島)
60,000
32,063
34,205
37,066
34,566
10,928
35,396
40,000
0
29,173
26,074
10,000
58,547
7,884
30,000
25,170
20,000
37,021
11,685
9,020
12,917
42,896
37,759
40,000
38,087
50,000
16,141
70,000
40,772
伊崎
竹生島
伊崎
竹生島
33,876
◆散弾銃による駆除
さ い た め 、営 巣 地 の 繁 殖 中 の 個 体 の 飛
散 が 少 な く 効 率 的 に 捕 獲 し や す い 。高
い き た い と 考 え ま す 。皆 様 方 の ご
ます。
理 解 、ご 協 力 を よ ろ し く お 願 い し
密度で営巣中の竹生島では五月には一
日︵射手三名︶で八百∼九百羽程度を捕
獲 し た 日 も あ り 。し か し 、短 所︵ ス コ ー
プで狙うため飛翔中の個体や船上から
の 射 撃 が 困 難 、樹 木 が 多 い 場 所 で は 枝
葉 に よ っ て 弾 道 が そ れ る 、飛 来 地 や 非
(自然環境保全課)
第14号10月発刊 ■ 8
第14号10月発刊
■ 9
竹生島カワウ対策事業
(水産課)
50,000
◆事業主体
・長浜市
◆事業主体
・滋賀県漁業協同組合連合会
◆事業主体
・市町
・滋賀県漁業協同組合連合会
(アユ保護水面での産卵親魚保護の防鳥糸
設置のみ実施)
秋 期
カワウ漁業被害防止対策事業
≒
響、等があり深刻な状況となってい
図2. カワウ駆除羽数(銃器)の推移
春 期
植生被害対策
(竹生島の保全)
営巣地対策
(水産資源の保護)
飛来地対策
(漁場やアユ保護水面での被害防除)
269
732
1,029
1,173
4,736
4,089
3,621
3,927
3,844
3,651
3,560
3,868
3,407
1,780
95
2,021
921
12,428
11,464
(14,339)
(13,160)
(12,493)
14070
16,637
11,286
(8,666)
(6,878) 5,015
3,010
(5,005)
(4,566)
1,445
(2,116) 1,159
(17,810)
(16,022)
カッコ内数字:合計
営巣地対策
飛来地対策
駆除羽数( 羽)
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
表1. H21年度滋賀県カワウ対策計画
区 霞が関 ︶
において、水 産 庁 長
水 産 庁 長 官 室︵ 東 京 都 千 代田
去る平成二十一年八月三日に
当日は水 産 庁 長 官 賞︵ 最 多
ばならない。﹂と挨拶しました。
命であり、努 力していかなけれ
水 面 漁 業 振 興 大 会のメインス
んの標語は、
第五十二回全国内
最多得点作品の佐藤尚之さ
浜野 龍夫
(徳島大学大学院)
ローガンに決定いたしました。
5.
魚道・河川構造物
得点作品︶
の佐 藤 尚 之さん
︵山
その御家族が出席され、
賞状と
糸井 史郎
(日本大学生物資源科学部)
官 賞 及び全 内 漁 連 会 長 賞の表
るには、山 を 守る必 要があ り、
記念品の授与が行われました。
4.
淡水魚の遺伝的多様性と増養殖
形 県 鶴 岡 市 鼠ヶ関 小 学 校 ︶他一
山 を 守るのを 森 林 組 合だけに
また、
佳作の五名と入選の十
相澤 康
(神奈川県水産技術センタ−)
アイス投入」
を追加する。
⑤事業実施期間を平成21年度から5年間とする。
彰式が行われました。
任せるのではなく、
我々も一緒に
七名には、
後日記念品が発送さ
山本 麻希
(長岡技術科学大学)
3.
外来種による影響
名と全 内 漁 連 会 長 賞の三名と
なって山を守らなければいけな
れました。
2.
カワウによる食害
桜井会長は冒頭に、﹁海を守
い。内水面を管理する我々の使
る﹂
つ拾って 海 守
﹁ 川のごみ 一
入
選
重い石 ひっく り 返して ﹁ 魚いたぁ!﹂
むつ市 立二枚 橋 小 学 校 4 年
杉本 諒介
青森県
勝呂 尚之
(神奈川県水産技術センタ−)
主な改正点は、次のとおりです。
開催されます。我々にとって関心の高いテ−マですので是非参加をお願いします。
講演内容は次のとおりです。
本年3月27日付け水産庁長官通知により、
「河川流域振興活動実践事業」及び「緊急・広域外来魚等対策事業」
の
運用方針が改正されました。
12月5日
(土)13:00∼16:15、
日本大学生物資源科学部10号館第4会議室で、
「内水面を巡る諸問題」
をテ−マとして
̶ 健全な内水面生態系復元等推進事業の運用について ̶
水産庁長官賞
小 学 校 低 学 年の部
その川は 世 界に1つの たからもの
吉田小 学 校 5 年
髙橋 里実
島根県
空 きかんは 川にすてずに ごみばこへ
田辺 市 立 咲 楽 小 学 校 4 年
河口 駿
和歌山県
川の水 森の中から やってくる
橿原市立耳成南小学校5年
川原 隆雅
奈良県
考 えよう 地 球のために 川づく り
湖南市立水戸小学校4年
吉田 圭 太
滋賀県
母 なる川 それを 守る 人の波
豊田市 立 足 助 中 学 校 2 年
安 藤 匠一
愛知県
森や川 自 然の恵みに 感 謝しま す
静岡市立大河内中学校1年
望月 千津子
静岡県
ぼくたちが 未 来へつなごう 魚の命
道志小学校4年
渡部 陸
山梨県
生 き 物の 命 をつな げ 川の水
糸魚川市立中能生小学校4年
家崎 敏生
新潟県
たく さんの 小さな 命 守る川
土浦市立斗利出小学校6年
桜井 優
茨城県
守ろうよ サケのふる里 請 戸川
浪江町立浪江小学校5年
山田 果 穂
福島県
よごさない よごせない 川は自 然の 宝 物
酒田市 立 新 堀 小 学 校 6 年
後藤 真利
山形県
魚 も 人 間 も きれいな川で つながる命
一戸 町 立一戸 南 小 学 校 6 年
古舘 航太
岩手県
むつ市 立 正 津 川 小 学 校 1 年
三宮 優 樹
青森県
なつやすみ きれいなかわで つりたいな
小 学 校 中 学 年の部
人 と水 なかよしこよしで 手 をつなごう
鹿 児 島 市 立 吉田小 学 校 4 年
福政 氷雅
鹿児島県
小 学 校 高 学 年 及び中 学 生の部
鶴 岡 市 立 鼠ヶ関 小 学 校 6 年
佐藤 尚之
山形県
川のごみ 一つ拾って 海 守る︵ 最 多 得 点 作 品 ︶
全国内水面漁業協同組合連合会長賞
一戸 町 立一戸 南 小 学 校 3 年
古舘 芽衣
岩手県
みんなの命 きれいな 水で つながるよ
浪江町立浪江小学校5年
山崎 翼
福島県
助 け 合い 魚の住める 川 作 り
由布市立石城小学校5年
須藤 佳菜
大分県
川の中に 小さな 命が およいでる
佳
作
鶴 岡 市 立 鼠ヶ関 小 学 校 5 年
本 間 はるか
山形県
川と魚とそれから私 みんなそろって 地球のかぞく
浜松市立追分小学校5年
藤田 綾 美
静岡県
だれのもの 川はみんなで 守るもの
立花町立下辺春小学校5年
堤 豪希
福岡県
夏の夜 きれいな川には ホタル飛ぶ
真庭市立湯原小学校6年
小椋 有人
岡山県
佐伯市立直川小学校5年
村上 卓駿
大分県
立花町立北山小学校3年
田中 まい
福岡県
きれい!! 魚 もよろこぶ エコライフ
川、
う まい米 きれいな川から つく られる
※ 学 校 及び学 年は応 募 当 時のものです 。
ふるさとの川 清 き 水 と 魚たち
鹿 児 島 市 立 吉田小 学 校 3 年
鮫島 啓斗
鹿児島県
守ろうよ!! ばく らの川 と 環 境 を
とどけたい き らめく 川の 笑い声
立花町立光友小学校5年
古賀 颯希
福岡県
豊田市 立 明 和 小 学 校 6 年
河 辺 せいら
愛知県
川 きれい 海 まで行 け 行 け ゴミゼロで
水産 学会 水産増 殖懇 話会講 演会 の開 催(
水産学会水産増殖懇話会講演会の開催
(予
予告)
補助事
補助
事業
業の運
運用
用 方針
方 針 改正
表彰式開催
第 8 回 全 国 標 語 コン ク ー ル 入 賞 作 品
第14号10月発刊 ■ 4
第14号10月発刊
■ 5
1.
行政からみた課題と展望
③外来魚駆除事業に
「電気ショッカ−」
を追加する。
④カワウ被害防止対策事業に
「産卵巣へのドライ
①事業主体は、水産庁長官が別に定める公募要領から選
定された団体等とする。
②補助対象経費の名称等の統一及び対象拡大を行う。
(「会場借料」及び「船舶借料」→「借損料」
とし、
「賃金」
とともに全ての事業項目で補助対象)
第 8 回 全 国 標 語コンクー ル
水産庁長官室にて