平成7年虔 研究報告 大分県産業科学技術センター ハ山プ香気成分の抽出・精製。利用に関する研究 一乾燥ハープの品質評価技術の検討一 水江 替√ 食−㌔∼冨1二業部 Studies of Extraction,Refinement and肌‖ization of Aroma Components of Herbs Investigation of Quaiity Eva王uation Technique of Dry朋erbs Satoko MtZUE Food Science and Technoiogy Division 1.緒言 ハープは,国民生活が多様化している昨今,生活に 潤いを与える作物として各地で栽培,利用され,地域 2.4精油の定量一 第‖改正円本億賑慢準拠の精油定量装置を用い,試 料適量を1eフラスコ中で5時間蒸留した後,キシレ の活性化の】一翼を担っている.また,その抗菌作用や ン中に置換された精油を定量した(Fig.1). 抗酸化作用などの機能が注目を集め,食品業界ばもと 2.5香気成分の分析2へ6 より医薬品業界など9 各方面から関心が寄せられてい 各柘ハープの香気成分を,下記条件下におけるHS る. GC MS法で分析した。サンプルは,佳柴又ば乾 しかしながら,国内における栽培技彿やその加▼互二壁 搾技彿の情報は乏しく,安定性産,用途拡大及び普及 燥葉をそのまま22mまアンプル瓶に採取し,65〇cで30分 保持した後,気液ヤ儀闇潤にある気相中の香気成分を を図る面から、基礎的な技祐の確立が課題となってい 直接注入する Static Headspace法で分析した. る. 仙 川 機 器:Tekmar7000日EADSPACE Autosampler 本研究でば,より高品質なハープ産品を安定的に供 HEVLETT PACLARD 5890 SERrESⅢ 給することを目的に,バジル,レモングラス及びスペ アミントを供試し,輸入品と県産ハープとの品質の係 11本市†JMS Aト‖I150 カ ラ ム:Fused S‖icaキャビラリーカラムDB恥‡ 、60m\0.32mmi.d.dト0.25i 数管理及び,各種ハープの乾燥による香気成分の変動 について検討を行った. H S 条 n::65C 30nin オープン温度:40℃(5重笥in)ウ200つC(4℃′斑in) 2.実験方法 ガ ス 条 件:He(1m巨min) 2.1サンプルの調製 3。実験結果 収穫直後のハープを細断後,牲試料として供試した. また,質空凍結乾燥機【共和真空技術RLE203】ば 棚温度を300c又ほ50℃に設定した.以下,この条件に より乾燥させた試料をFD30,FD50と示す. 輸入品についてば,全てフランス産の天日乾燥ハー ブを供試した. 212色度の測定 2.1で調製した試料を粉砕し,その表面色を湘色色 差計E日本電色r二業 SZ∑90】で測定した. 2.3 水分の定i 赤外水分計【Sartorius MA30】を用い,2.1で調製 したサンプルを110℃で乾燥し,その乾燥減勘こより 水分を算旧した. 3.1色について 員空凍結乾腰瀾で調製した各穫サンプルば,大目乾 燥の輸入ハープに比べて官能的には色・香りともに大 変優れた品質であった. 特に色度の測定結果(Table.1)を見ると,各種ハ ープとも輸入品は退色褐変が進み,いずれもFD調製 品のカが緑味が強く鮮やかであった. 3.2バジルの香気成分について7 8 精油三Ilの分析打i黒をFig.ト(a)に示す.香りの強さ の基準となる精油の定量の結果,FD調製品の方が鴇 人品より多く,官能の結果を責付けた. 香気成分の分析(Fまg.2一(a))では,バジル特有の −147】 平成7年度 研究報告 大分県産業科学技術センター さらに,FD調製品においてば,特有成分であるミ 成分のうち1.針シネオール,リナロールば生薬,FD .詞製品及び輸入品で同様の割合で含有しているが,ミ ルセンが輸入品の約20倍含まれており,メントン, ルセン,ピネン,カレン等は輸入品からは検出されな カリオフイレン,デヒドロカルポンも微量ではあるが かった. 検出された. FD調製品の精油壷が少なくなった一因としては, 3.3 レモングラスの香気成分について78 精油量の分析結果をF皇g.ト(b)に示す.バジル同様, 隻背全盛期に刈り入れができなかったことが,原料自 FD調製品の方が輸入品より精油が多いことが判明し 体に影響したということも考えられる。よって今後は, た. 堰穫時期及び土壌(生育産地)などの違いと精油墨の 関係についても,継続謂杏する必要がある. 香気成分の分析(Fig.2−(b))によると,レモング ラス特有のシトラールは輸入品でば検出されなかった. これは,乾燥時及び輸送時の香り成分の飛散や酸化 分解により,品質の劣化が促進されたためと考えられ る 15 0 10 ■・ 5 モングラスと異なり,輸入品よりFD調製品の方が精 t・lnU 増悪荘 精油量の分析結果をFig。1−(c)に示す。バジル,レ ︵苫S容量粟\︻已︶ 3.4スペアミントの香気成分について7−8 5 油量が少ない結果となった。 0 30℃ しかし,香気成分の分析結果(Fig.2−(c))に基づ 輸入 50’c (曜l/乾燥物50g)−か水分( いて,主要香気成分の構成割合を算出すると,Fig.3 % (a) バジル に示すように,スペアミント特有の成分であると言わ 110 15 ∧‖V に異なる結果となった. 5 瑚柴墜 カルポンの含有比率が輸入品とFD調製品とば明らか ︵苫S密華ぜ\−E︶ れているリモネン,1.8−シネオール,3一オクタノール, 10 5 5 でable.1ハープ乾燥品の色魔 0 30qC 50日C 輸入 画車重亘亘亘:] (a)バジル サンプル L 輸入 37。45 −2.84 10.20 FD30 43.81 FDヰ0 40.73 −7−00 13.gl FD50 41.91 −6.76 14。89 a 15 nU l爪じ爪U 礫焉狂 14.86 10 5 ︵苫∽廊肇混\竃︶ −5.89 (b) レモングラス b 5 nU 0 30℃ (b)レモングラス サンプル 輸入 L a (c) スペアミント ▲▼ヽ ヽ ヽ FD30 48.48 −9.10 18。52 FD40 45,30 −7.90 17.67 F[)50 47。64 −9.42 19,11 (c)スペアミント サンプル L 輸入 32.Z4 −0.5g FD30 38.41 −7.82 13.28 FD40 36.05 −7.61 12.75 FI〕50 38.09 −8.47 13.56 ー148− 繰入 [車重垂麺垂戸車:季冬モ牽享二] b 43.33 −2.49 11.61 a 58℃ b 9.90 ▼ 一 一一一l − −  ̄ l ▲▲ ▲ l l l ■ l  ̄ ̄ ▼ Fig.1 各種乾燥ハープの精油量 平成7年産 研究報告 大分県産業科学技術センター (a) FD30 3−Octanoi 2% (b) FD50 (c) 王NPORT Fig。3 スペアミント主要香気成分の構成比率 3.5 まとめ 乾燥ハープば,色鮮やかで水分が少なく∴精油量が 多く,さらに個々のハーブに特有な香気成分をバラン ス良く含むものが高r清質なものであるといわれている. すなわち,ハープの品質を係数的に素早く9 なおか つ的確に把解する手法としてば,水分,耗油の定量法 Fig2一 ハープ酋気成分のガスタロマトゲラム (a)ハーシールFP30(b)レモンタ■ラスFD30(c)スへ−アミントFD30 が簡便で適切であることが判明した. 更に,色の判定を定期的に行うことによって,総合 的な判断を進めることができ,それが栽培条件や乾燥 条件の確立につながると考えられる. また香気成分については9 様々な条件に明らかに影 響を受けやすく,今後引き続きその変動を讃査してい くことが必須となる. …149− 平成7年虔 研究報告 大分県産業科学技術センター 参考文献 い日本公定書協会:第十−【一改正日本案局方,(1988).51, 廣川書店 2)森英己一久保田紀久枝q小林彰文:日本食品科学工学 会誌,42,12,989(1995) 3)時友裕紀子:日本食品科学工学会誌,42,12,1003 (1995) 4)劉饉玲,久保田紀久枝・小林彰夫:日本農芸化学会誌, 62,8,1201(1988) 5)森田新造:フレダランスシ■ヤーナ外海時増刊,且2,50,(1992) 6)安岡豊・外池光雄:匂いの応用工二学(1994),97,朝倉 書店 7)刈米達夫・木村康〟叫木島正夫・柴田承二・下村孟・東 丈夫:薬用植物大事典(1993),廣川書店 8)藤巻正生・服部達彦‘林和夫一荒井綜一一一一:香料の事典 (1993),朝倉書店 一150−
© Copyright 2024 ExpyDoc