蒲鉾への乳化油脂加工品添加による魚臭低減効果 - キユーピー

日本調理科学会
平成19年度大会
蒲鉾への乳化油脂加工品添加による魚臭低減効果
Improvement in flavor of kamaboko through the addition of emulsified foods
キユーピー㈱研究所
木庭朋子、木村知文、堀井直人、柳澤琢也、兒嶋高志、
重松康彦、長谷川峯夫
【目的】植物油脂を卵で乳化した乳化油脂加工品(以下、乳化油脂)は、様々な食品の食
感・品質改良を目的として使用されることがある。特に蒲鉾への添加においては、1)食感
のソフト化、2)歩留まり向上、3)すり身の白度向上、4)魚臭低減等の効果が知られている。
3)、4)は、風味・質がやや劣る魚種の場合により顕著であり、スケソウダラ等の収穫量減
少によって代替使用されるイトヨリが一例である。本研究では、水煉製品への使用が多い
卵白ベースの乳化油脂(商品名:ヨークラン№6、キユーピータマゴ㈱販売)を使用し、こ
れまでデータ化がされていない乳化油脂の魚臭低減効果について明確にすることを目的と
した。
【方法】イトヨリすり身に対して乳化油脂を 0%(対照)、5%、10%、20%添加した蒲鉾を
試料とした。魚臭の発生源であるすり身の配合率は一定にし、乳化油脂は清水と置き換え
た。においの解析は、評点法による嗅覚での官能評価、SPME 法による GC-O 分析および GC-MS
分析にて行った。
【結果】官能評価より、乳化油脂の添加量増加に伴って、対照と比較して魚臭さが弱くな
ることが確認された。GC-O 分析より、乳化油脂 20%添加で、対照よりも石油、ケミカル、
魚臭、青臭いといったにおいを弱く感じる傾向が認められた。GC-MS 分析より、乳化油脂
添加試料では、同上のにおい成分の応答値が減少する傾向があり、官能評価の魚臭さの減
少との相関が見られた。
以上の結果から、乳化油脂には、イトヨリすり身を使用した蒲鉾に添加することによって
魚臭を低減する効果のあることが示された。
Keyword:
乳化油脂加工品 emulsified foods; 卵 egg; 蒲鉾 kamaboko; 魚臭 fishy odor